JP2008288741A - 帯域制限フィルタ - Google Patents

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治 佐藤
Kazuo Yamashita
和郎 山下
Atsushi Yamazaki
淳 山嵜
Masaya Sawayanagi
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Abstract

【課題】プリントコイルと狭偏差コンデンサの組み合わせで構成しながらも、プリントコイルのインダクタンスを調整可能とし、狭偏差コンデンサ側での調整を無くして、中心周波数の補正、バンドの切替、特性の切替等が可能となったフィルタを提供する。
【解決手段】帯域制限フィルタ5Aを、第1のコイルL1と第1のコンデンサC1の並列回路で構成するとき、第1のコイルL1を、主プリントコイルL11と、副プリントコイルL12,L13と、スイッチSW1〜SW5で構成し、第1のコンデンサC1を狭偏差コンデンサで構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーダ受信機の中間周波数回路又は同調回路に使用され、コイルとコンデンサを並列接続した帯域制限フィルタに関するものである。
船舶用のレーダ受信機は、一般的には、図3に示すように、レーダ送信機から送信されターゲットで反射されアンテナで受信されたレーダ波を、低雑音増幅器1で増幅し、ミキサ2で局部発振器(同調回路)3から入力する局部発振周波数信号でミキシングして中間周波数信号を取り出し、飽和増幅器4で飽和増幅し、帯域制限フィルタ5で所定帯域の中間周波数信号を取り出し、検波回路6で検波し、ローパスフィルタ7で低域分を取り出して、図示しない指示部に送り、この指示部で得られた信号により表示部を表示駆動するよう構成されている。飽和増幅器4と帯域制限フィルタ5は中間周波数回路を構成する。
レーダ受信機の受信帯域は、帯域制限フィルタ5により決定されるが、船舶用のレーダは探索距離に応じてパルス長を切り替えることが行われ、遠距離探索では長パルスを使用するため、帯域は狭くまた感度向上のため狭帯域のフィルタが望まれる。反対に近距離探索では短パルスを使用するため、応答を重視した広帯域のフィルタが望まれる。このため、帯域制限フィルタ5は、例えば、中心周波数が60MHzで、3MHz、6MHz、20MHz等の帯域幅をもつ3個の帯域制限フィルタ5A,5B,5Cから構成され、これらが探索距離に応じて切り替えられるようになっている。
これら3つの帯域制限フィルタ5A,5B,5Cのうち、狭帯域の3MHz用、6MHz用では、高感度を実現するために高い共振尖鋭度Q(例えば、Q=20)が要求される。この場合、フィルタの構成要素としてのコンデンサやコイルは、一般的な素子を使用する場合は、その部品の精度が設計上の許容範囲にならないため、トリマコンデンサもしくはトリマコイルを追加使用して、所望の特性に調整していた。コイルとしては、積層コイル等のように精度が高いものもあるが,これはQが低く狭帯域のフィルタを構成できない。
また、トリマコンデンサ又はトリマコイルを用いる場合は、次の問題があった。(1)一般に温度特性が数百ppm/℃と大きく、船舶用レーダ受信機においては、温度特性による悪影響を避けることができない。すなわち、帯域切り替えにより利得が変動したり、入出力特性が非線形になるといった現象が発生する。(2)トリマコンデンサ又はトリマコイルは、素子の性格上、受信機の動作前に測定と調整を必要とする。(3)トリマコイルは、低背化しにくいため、その部分で回路基板の実装高さが最高となってしまい、受信機の小型化の支障となる。
そこで、上記した(1)、(2)、(3)の問題が無く、高精度でQが高いプリントコイル(例えば、非特許文献1参照)に着目し、図4に示すように、このプリントコイルL21と高精度(誤差1%程度、温度係数30ppm/℃程度)の狭偏差コンデンサC21とを組み合わせることにより、例えば、帯域制限フィルタ5Aを構成することが提案された。
しかし、プリントコイルL21は設計(計算又は解析)と実物の試作品との間に設計誤差が生じる(特に多層で重ね巻の場合)ので、他の素子で調整するか、試作回数を増やす必要がある。
この問題に対しては、図5に示すように、狭偏差コンデンサC21に誤差調整用の別の狭偏差コンデンサC22を並列接続し、狭偏差コンデンサC22の値を調整することで、中心周波数を合わせる作業を行っていた。
吉田武 著、「高周波回路設計ノウハウ」、41〜45頁、CQ出版、1998年。
しかし、狭偏差コンデンサC21,C22は高価であり、狭偏差コンデンサC22の容量値がE系列の製品群に合わない場合は複数個を並列接続して使用しなければなず、調整のために多くの狭偏差コンデンサを準備しなければならないばかりか、コストアップの要素となる問題があった。
本発明の目的は、プリントコイルと狭偏差コンデンサの組み合わせで構成しながらも、プリントコイルのインダクタンスを調整可能とし、狭偏差コンデンサ側での調整を無くして、上記した問題を解決した帯域制限フィルタを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明の帯域制限フィルタは、レーダ受信機の中間周波数回路又は同調回路に使用され、第1のコイルと第1のコンデンサを並列接続した帯域制限フィルタにおいて、前記第1のコイルを、主プリントコイルと、該主プリントコイルに対して第1のスイッチ手段を介して直列接続される副プリントコイルと、該副プリントコイルを短絡する第2のスイッチ手段とを含むよう構成し、前記第1のコンデンサを狭偏差コンデンサで構成した、ことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の帯域制限フィルタにおいて、入力側又は出力側にインピーダンス変換用のハイパスフィルタ又はローパスフィルタを接続し、該ハイパスフィルタ又はローパスフィルタのコイルを、前記第1のコイルと同様の構成にしたことを特徴とする。
本発明の帯域制限フィルタによれば、スイッチ手段によってプリントコイルのインダクタンスを切り替えるので、プリントコイル側で中心周波数の補正、バンドの切替、特性の切替等が可能となる。また、狭偏差コンデンサの側での調整が不要となるので、従来のように多くの誤差調整用の狭偏差コンデンサを用意する必要が無い。また、狭偏差コンデンサをスイッチで切り替える場合は、その狭偏差コンデンサに直列にスイッチのインダクタンス成分が生じて共振系の特性が悪化するが、このうような問題も無い。
図1は本発明の1つの実施例の帯域制限フィルタ5Aの構成を示すブロック図である。本帯域制限フィルタ5Aは、プリントコイルL1と狭偏差コンデンサC1の並列接続回路からなる。プリントコイルL1は、主プリントコイルL11と、副プリントコイルL12,L13と、スイッチSW1〜SW5で構成されている。スイッチSW1〜SW5としては、トランジスタを使用した電子的スイッチや接点を持った機械式スイッチが使用可能であるが、寄生キャパシタの少ないものが好ましい。
プリントコイルL1は、スイッチSW1,SW2のみをオンさせれば、主プリントコイルL11と副プリントコイルL12が直列接続されたインダクタンス値となり、スイッチSW3,SW4のみをオンさせれば、主プリントコイルL11と副プリントコイルL13が直列接続されたインダクタンス値となり、スイッチSW5のみをオンさせれば、主プリントコイルL11のインダクタンス値となる。
主プリントコイルL11や副プリントコイルL12,L13は、設計時のインダクタンス値と実際作成した際のインダクタンス値が異なる場合はあるものの、特定の基板上に形成するパターンを一旦設計した後は、量産されるプリントコイル間のインダクタンス値のバラツキは極めて小さくなる(前記したように誤差は1%程度)ので、設計値と実際値とのバラツキを考慮して、プリントコイルL11,L12,L13のインダクタンス値を設計する。このバラツキは、試作回数を増せば小さくすることができる。
本実施例では、上記のような構成の帯域制限フィルタ5Aを使用することで、その帯域制限フィルタ5Aに要求されるQと周波数特性を所望の値に設定することができる。帯域制限フィルタ5B,5Cについても、同様な構成を採用することができる。狭偏差コンデンサを切り替える場合には直列インタクタンスが問題となることが多いが、インダクタンスを切り替える場合はスイッチのインダクタンス分はプリントコイルのインダクタンスに直列になるだけであるので、大きな問題となららない。
なお、インダクタンスの切り替えは、誤差調整用のために限られるものではなく、積極的に中心周波数、帯域、インピーダンス変更するために切り替えるようにすることもできる。
また、コイルとコンデンサを並列接続して高いQの帯域制限フィルタを構成するときは、インピーダンスを高くすることが行われるが、このときは当該の帯域制限フィルタの入力側又は出力側に、インピーダンス変換回路として、図2(a)に示すハイパスフィルタ8や図2(b)に示すローパスフィルタ9等を接続することが行われる。これらの場合、図1に示したプリントコイルL1と同様な構成のプリントコイルL2,L3と狭偏差コンデンサC2,C3を使用することにより、それらハイパスフィルタ8やローパスフィルタ9のカットオフ周波数を、プリントコイルL2,L3側の切り替えで誤差調整すること、あるいは積極的に切り替えることが可能となる。このとき、ハイパスフィルタ8のプリントコイルL2は帯域制限フィルタ5AのプリントコイルL1と並列接続されるので、インダクタンス値を小さくすることが可能となる。
なお、以上では船舶レーダ受信機の中間周波数回路の帯域制限フィルタ5に適用した場合について説明したが、同調回路(局部発振回路3)の帯域制限フィルタについても同様に適用することができる。
本発明の1つの実施例の帯域制限フィルタの回路図である。 (a)はハイパスフィルタ、(b)はローパスフィルタの回路図である。 レーダ受信機の概略構成を示すブロック図である。 プリントコイルと狭偏差コンデンサを使用した帯域制限フィルタの回路図である。 狭偏差コンデンサにより周波数調整した帯域制限フィルタの回路図である。

Claims (2)

  1. レーダ受信機の中間周波数回路又は同調回路に使用され、第1のコイルと第1のコンデンサを並列接続した帯域制限フィルタにおいて、
    前記第1のコイルを、主プリントコイルと、該主プリントコイルに対して第1のスイッチ手段を介して直列接続される副プリントコイルと、該副プリントコイルを短絡する第2のスイッチ手段とを含むよう構成し、
    前記第1のコンデンサを狭偏差コンデンサで構成した、
    ことを特徴とする帯域制限フィルタ。
  2. 請求項1に記載の帯域制限フィルタにおいて、
    入力側又は出力側にインピーダンス変換用のハイパスフィルタ又はローパスフィルタを接続し、該ハイパスフィルタ又はローパスフィルタのコイルを、前記第1のコイルと同様の構成にしたことを特徴とする帯域制限フィルタ。
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