JP2008288420A - 半導体製造装置およびそのクリーニング方法 - Google Patents

半導体製造装置およびそのクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常に最適なクリーニングを行うことができる半導体製造装置およびそのクリーニング方法を提供する。
【解決手段】反応熱モニタリング部21は、反応管11内に堆積した半導体含有膜とガス導入管18から導入されたエッチングガス14との反応管11内の温度を取得する。熱量算出部22は、取得された温度から算出される温度上昇量とエッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量を算出する。エッチング量判定部23は、半導体含有膜の単位膜厚あたりの熱量と予め設定された規格値とを比較することにより、適正なエッチングが行われたか否かを判定する。また、半導体含有膜の単位膜厚あたりの熱量と予め設定された規格値とを比較することにより、エッチング終点を検出することも可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置およびそのクリーニング方法に関する。
半導体装置の成膜工程では、例えば、窒化膜、ポリシリコン膜、酸化膜等の半導体含有膜の成膜に、反応管内に複数枚の基板を収容し、同時に成膜処理を実施する減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)等が使用されている。この種の半導体製造装置では、基板等の被加工体への半導体含有膜の成膜にともなって、反応管内にも半導体含有膜が堆積する。反応管内に堆積した半導体含有膜(以下、付着物ともいう。)は、基板上に形成する半導体含有膜の膜厚均一性の悪化や、パーティクル(微細粒子)発生の要因となるため、通常、当該付着物を除去するクリーニング処理が、例えば、定期的に実施される。
従来、減圧CVD装置では、クリーニング処理は、付着物をエッチングするためのエッチングガスを反応管内に導入することで実施されている。クリーニング処理は、反応管にダメージを与えることなく完全に付着物を除去できる、必要最小限の時間で実施されることが好ましい。このため、種々の終点検出方法が提案されている。
例えば、後掲の特許文献1は、エッチングガスで反応管内をクリーニングする際に発生する反応熱をモニタリングし終点検出を行う手法を開示している。図9は、従来のクリーニング方法を示す説明図である。
図9(a)のCVD装置100は、複数枚の基板が同時に収容される反応管101と、反応管101を加熱するヒータ102を備える。反応管内の温度は熱電対等の温度検出手段103により計測される。成膜時には、温度検出手段103が検出した基板近傍の温度に基づいて、反応管内に均一な温度分布が形成されるようにヒータ102の発熱量が制御される。
反応管101内の付着物を除去する場合、ヒータ102により反応管101内の温度を所定の反応温度T0に維持した状態で、反応管101内にエッチングガス104が導入される。エッチングガス104を導入した時点より、付着物とエッチングガス104とが反応し、当該反応により付着物がエッチング除去される。半導体含有膜をエッチングする場合、当該反応により反応熱が発生する。CVD装置100では、当該反応熱を温度検出手段103によってモニタリングする。
図9(b)に示すように、時刻t0に反応管101内にエッチングガス104が導入されると、反応熱により、反応管101内の温度が反応温度T0から徐々に上昇する。そして、時刻tpでピーク温度Tpになった後、時刻teでエッチングガス104導入前の反応温度T0へ収束する。特許文献1では、反応管101内の複数点に温度検出手段103を配置し、各温度検出手段103により検出された温度と、反応温度との差をモニタリングすることにより、反応管101内でのエッチングの進行状況を管理するとともに、すべての温度検出手段103の検出温度が反応温度T0へ収束する時刻を、エッチング終点として検出している。
特開平8−306628号公報
しかしながら、近年の基板径の大口径化、およびパターン寸法の微細化にともなう少量多品種生産では、製品によって基板上に成膜すべき半導体含有膜の膜厚が異なっている。そのため、クリーニング処理開始時に反応管101内に堆積している半導体含有膜の膜厚は、クリーニング処理ごとに異なっていることも多い。
このような異なる膜厚の半導体含有膜を除去する場合、図9(b)に示した、クリーニング処理時の温度プロファイル(温度の経時変化)は、互いに異なることが確認されている。また、反応管101内がアンダーエッチング(膜残り)の状態にある場合でも、反応管101内の温度が反応温度T0に収束することがあることも確認されている。すなわち、単に反応熱を監視するだけでは、エッチング状態の管理や適切なエッチング終点の検出ができないのである。また、反応管101内がアンダーエッチングの状態であるにも関わらずエッチング終点として検出された場合、その後の成膜処理において反応管101の付着物に膜剥れが発生し、製造歩留りを低下させてしまう。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、常に最適なクリーニングを行うことができる半導体製造装置およびそのクリーニング方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置を前提としている。そして、本発明に係る半導体製造装置は、反応管内に堆積した半導体含有膜を除去するためのエッチングガス(クリーニングガス)を反応管に供給するガス供給部を備える。反応熱モニタリング部は、反応管内に堆積した半導体含有膜とエッチングガスとの反応熱に対応するデータを取得する。熱量算出部は、取得された反応熱に対応するデータとエッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量を算出する。なお、熱量は、例えば、エッチングによる温度上昇量を、エッチング時間にわたって積分することにより算出することができる。
以上の構成によれば、反応管内でエッチング処理中に発生した熱量に基づいて、反応管内のエッチング状態を、従来に比べて精度よく把握することができる。なお、エッチング対象の半導体含有膜の膜厚が異なる場合、上記半導体製造装置は、算出された熱量をエッチング開始時に反応管内に堆積していた半導体含有膜の膜厚で除することにより、単位膜厚あたりの熱量であるクリーニング指数を算出することが好ましい。
この半導体製造装置は、クリーニング指数と予め設定された規格値とを比較することにより、エッチング量が適正であるか否かを判定するエッチング量判定部をさらに備えてもよい。この場合、エッチング量判定手段が適正なエッチング量でないと判定した際に、追加エッチングを自動的に実施する構成を採用することもできる。
また、上記半導体製造装置は、クリーニング指数が予め設定された規格値に到達した時点をエッチング終点として検出する終点検出部をさらに備えでもよい。この場合、終点検出部がエッチング終点を検出した際に、エッチングガスの供給を自動的に停止する構成を採用することもできる。
クリーニング指数は、エッチング対象の半導体含有膜に応じて一定値を示す。このため、クリーニング指数に基づいて反応管内のエッチングを管理することにより、エッチング対象の半導体含有膜の膜厚が異なる場合であっても、常に最適なクリーニングを実施することができる。
一方、他の観点では、本発明は、被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置のクリーニング方法を提供することもできる。すなわち、本発明に係る半導体製造措置のクリーニング方法では、まず、反応管内に堆積した半導体含有膜を除去するためのエッチングガスが反応管に供給される。次いで、反応管内に堆積した半導体含有膜とエッチングガスとの反応熱に対応するデータと、エッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量が算出される。そして、算出された熱量と、エッチング開始時の反応管内の半導体含有膜とに基づいて、エッチング量が適正であるか否かが判定される。なお、エッチング量が適正でないと判定された場合は、追加のエッチングが自動的に実施されることが好ましい。
また、本発明に係る他の半導体製造装置のクリーニング方法では、まず、反応管内に堆積した半導体含有膜を除去するためのエッチングガスが反応管に供給される。次いで、反応管内に堆積した半導体含有膜とエッチングガスとの反応熱を示すデータと、エッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量が算出される。そして、算出された熱量と、エッチング開始時に反応管内に堆積していた半導体含有膜の膜厚とに基づいて、エッチング終点が検出される。エッチング終点が検出された際には、エッチングガスの供給が停止される。
本発明によれば、反応管内の付着物を除去するエッチングの際に、反応熱量を監視するため、従来に比べて精度よく反応管内のエッチング状態を把握することができる。また、反応熱量をエッチング開始時に反応管内に堆積していた半導体含有膜の膜厚で除することにより算出されるクリーニング指数を使用することで、異なる膜厚の半導体含有膜をエッチングする際でも、それぞれ最適なエッチングを行うことができる。
また、本発明によれば、クリーニング指数を使用して、エッチング終点の検出や適正なエッチングが実施されたか否かの判定を、従来に比べて精度よく行うことができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の各実施形態では、縦型の減圧CVD装置に適用した事例として本発明を具体化している。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における減圧CVD装置を示す概略構成図である。減圧CVD装置10は、鉛直方向の軸心を有する円筒状の石英ガラス製の反応管11を備える。反応管11は、下端が開放端になっており、当該開放端から、複数枚のウェーハ(基板)を搭載したウェーハボート15が反応管11内に収容された状態で気密される。なお、ウェーハは、ウェーハボート15に水平を保った状態で鉛直方向に一定の間隔をおいて搭載される。
反応管11内では、ウェーハボート15は、鉛直方向に軸心を有する円筒状のインナーチューブ17内に収納されている。インナーチューブ17は上端が開放端になっている。インナーチューブ17内側の底面にはガス導入管18(ガス供給部)が接続されている。ガス導入管18によりインナーチューブ17内に導入された原料ガスやエッチングガス(クリーニングガス)は、インナーチューブ17内を下方から上方に向けて流れる。インナーチューブ17の上端に到達したガスは、反応管11とインナーチューブ17との間の空間を経由して、反応管11の下部側壁に接続されたガス排気管19を通じて反応管11の外部に排出される。
反応管11の外周には抵抗加熱ヒータ等からなるヒータ12が配設されている。ヒータ12の発熱量は、インナーチューブ17の内側で、ウェーハボート15に沿って配置された温度制御用熱電対16の検出温度が所定温度となる状態に制御される。
成膜処理を行う場合、ウェーハが載置されたウェーハボート15が反応管11内にセットされると、ガス排気管19に連結された図示しない真空ポンプにより反応管11内が減圧される。このとき、反応管11内はヒータ12の加熱により一定温度に保持される。その状態で反応管11内にガス導入管18から原料ガスを導入することにより、ウェーハ上に原料ガスに応じた膜が堆積される。ここでは、ウェーハ上に、窒化膜、ポリシリコン膜、または酸化膜等の半導体含有膜が形成される。
また、クリーニング処理を行う場合、ウェーハが載置されていないウェーハボート15が反応管11内にセットされると、ガス排気管19に連結された図示しない真空ポンプにより反応管11内が減圧される。このとき、反応管11内はヒータ12の加熱により一定温度に保持される。その状態で反応管11内にガス導入管18からエッチングガス14を導入することにより、成膜処理中に反応管11内に堆積した半導体含有膜(付着物)がエッチング除去される。
なお、ウェーハボート15の搬入出、原料ガスまたはクリーニングガスの供給、反応管11内の圧力制御、反応管11内の温度制御等、成膜処理およびクリーニング処理にともなう減圧CVD装置10の一連の動作は、装置制御部25により制御される。
さて、本実施形態の減圧CVD装置10は、反応管11の内部に、クリーニング処理の際に発生する反応熱をモニタリングするための、反応熱モニタリング用熱電対13がウェーハボート15に沿って設けられている。ここでは、反応熱モニタリング用熱電対13は、インナーチューブ17内の最下流側の温度を検出する位置に配置されている。反応熱モニタリング用熱電対13の出力値は、反応熱モニタリング部21に取得され、反応熱モニタリング部21が備えるHDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶部に格納される。
また、減圧CVD装置10は、反応熱モニタリング部21に格納された反応熱モニタリング用熱電対13の出力値に基づいて、クリーニング処理中に発生した熱量を算出する熱量算出部22を備えている。エッチング量判定部23は、熱量算出部22が算出した熱量と、膜厚管理部24から取得した、クリーニング処理開始時に反応管11内に堆積している半導体含有膜の膜厚とに基づいて、付着物のエッチングが適正に行われたか否かを判定する。ここでは、膜厚管理部24は、CIM(Computer Integrated Manufacturing)サーバにより構成されている。CIMサーバは、減圧CVD装置10での成膜処理を含む製造工程にて並行して生産される複数の処理ロットについて、各処理ロットの生産を管理している。すなわち、CIMサーバは、減圧CVD装置10において、先にクリーニング処理が実施されてからその時点までに成膜された、半導体含有膜の膜厚の情報を保持している。
なお、熱量算出部22およびエッチング量判定部23は、専用回路や、プロセッサとRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリとを備えたハードウエア、および当該メモリに格納され、プロセッサ上で動作するソフトウエア等により実現することができる。
以下、減圧CVD装置10が実施するクリーニング処理の手順を、シリコン窒化膜(Si34)からなる半導体含有膜を、フッ素(F2)とフッ化水素(HF)とを含むエッチングガス14を反応管11に導入してクリーニングする事例に基づいて説明する。
図2は、減圧CVD装置10のクリーニング処理の手順を示すフロー図である。減圧CVD装置10は、予め設定されたクリーニング終了条件(クリーニング時間の経過や従来技術で説明した温度T0への収束等)を満足した場合に、クリーニング処理を終了する構成であるものとする。また、図3は、クリーニング処理中に、反応熱モニタリング部21が取得した反応熱モニタリング用熱電対13の出力値(温度)と時間との関係を示す模式図である。図3において、横軸は時間に対応し、縦軸は反応熱モニタリング用熱電対13が検出した温度に対応する。
上述のように、クリーニング処理では、まず、装置制御部25が、反応管11内の温度が反応温度T0(図3参照)になる状態にヒータ12の発熱量を制御する(図2 ステップS21)。ここでは、反応温度T0は300℃である。なお、クリーニング処理中は、ヒータ12の発熱量は当該状態から変更されない。
反応管11内の温度が反応温度T0で安定すると、装置制御部25は、反応熱モニタリング部21にその旨を通知する。当該通知を受信した反応熱モニタリング部21は、反応熱モニタリング用熱電対13の出力値の取得を開始する(図2 ステップS22)。また、装置制御部25は、ガス導入管18を通じて、反応管11へのエッチングガス14の供給を開始する(図2 ステップS23)。図3では、時刻t0において、エッチングガス14の供給が開始されている。
反応管11内にエッチングガス14が導入されると、以下の式(1)に示す反応によりシリコン窒化膜が分解(エッチング)される。
Figure 2008288420
また、式(1)に示す反応の反応熱により、反応管11内の温度は、図3に示すように、反応温度T0から徐々に上昇する。そして、図3の例では、時刻t3でピーク温度Tpになった後、時刻teでエッチングガス14導入前の反応温度T0へ収束している。
反応管11へのエッチングガス14の導入は、予め設定されたクリーニング時間が経過する、あるいは反応管11内の温度が反応温度T0に収束する等によりクリーニング終了条件が満足されるまで継続される(図2 ステップS24No)。クリーニング終了条件が満足されると、装置制御部25は、エッチングガス14の供給を停止する(図2 ステップS24Yes→S25)。このとき、装置制御部25は、エッチング量判定部23にその旨を通知する。当該通知を受信したエッチング量判定部23は、熱量算出部22に熱量の算出を指示する。
当該指示を受信した熱量算出部22は、反応熱モニタリング部21が取得したクリーニング処理中の反応室11内の温度に基づいて、クリーニング処理中に発生した熱量を算出する。ここでは、熱量算出部22は、エッチングによる温度上昇量を、エッチング時間全体にわたって積分することにより熱量を算出する。例えば、反応熱モニタリングのサンプリング時間Δt、時刻t0+kΔt(k=1、2、・・・、n)における温度上昇量ΔT(=Tk−T0、Tkは時刻t0+kΔtにおいて反応熱モニタリング熱電対13に計測された温度)とすると、熱量Qは式(2)により算出することができる。この場合、積分の終点である時刻tは、t=t0+nΔtである。また、式(2)中のΔt×(Tk−T0)は、図2中に斜線を付した矩形の面積になる。
Figure 2008288420
熱量算出部22は、算出した熱量Qをエッチング量判定部23に送信する。熱量Qを受信したエッチング量判定部23は、膜厚管理部24からクリーニング処理開始時に反応管11内に堆積していた半導体含有膜の膜厚Xを取得し、クリーニング指数αを算出する(図2 ステップS26)。ここで、クリーニング指数αは、α=Q/Xで演算される、半導体含有膜の単位膜厚あたりの熱量である。
ここで、クリーニング指数αについて説明する。図4は、クリーニング指数αおよび温度上昇量ΔTと、時間との関係を示す図である。図4では、エッチングガス14であるフッ素ガスおよびフッ化水素ガスの流量をいずれも2slm(standard liter per minute)とし、反応管11内を50kPaに維持した状態でクリーニング処理を行っている。反応温度T0は、300℃である。図4において、横軸は、図3の時刻t0をゼロとした経過時間に対応する。また、図4において左縦軸は温度上昇量ΔTに対応し、右縦軸はクリーニング指数αに対応する。図4では、クリーニング処理開始時に反応管11に堆積していたシリコン窒化膜の膜厚が約0.4μmである場合(以下、サンプルAという。)の温度上昇量ΔTを点線41で示し、この場合のクリーニング指数αを点線43で示している。また、クリーニング処理開始時に反応管11に堆積していた付着物の膜厚が約1.5μmである場合(以下、サンプルBという。)の温度上昇量ΔTを実線42で示し、この場合のクリーニング指数αを実線44で示している。
図3で説明したように、エッチングガス14の供給が開始されると式(1)に示した反応により、反応管11内壁やウェーハボート15等に付着しているシリコン窒化膜がエッチング除去される。このとき、温度上昇量ΔTは、点線41および実線42に示すように、当該エッチングの過程で発生する反応熱により上昇し、ピーク温度を過ぎた後、ΔT=0(反応温度T0)に収束する。
また、クリーニング指数αは、点線43および実線44に示すように、エッチングの進行にともなって上昇する。図4から、膜厚が異なる場合であっても、クリーニング指数αは、ともに40近傍に収束していることが理解できる。これは、クリーニング処理時に、エッチング対象の半導体含有膜の単位体積あたりに発生する反応熱の量が一定であるためである。すなわち、クリーニング処理時に、エッチング対象の半導体含有膜の単位膜厚あたりに発生する反応熱の量も一定になる。したがって、同材質の半導体含有膜であれば、クリーニング指数αは膜厚に関わらず一定値になる。
以上のようなクリーニング指数αを算出したエッチング量判定部23は、算出したクリーニング指数αと、予め設定されている規格値とを比較する(図2 ステップS27)。ここでは、エッチング対象の半導体含有膜がシリコン窒化膜であるため、図4のデータに基づいて規格値を35から45までの範囲として設定している。エッチング量判定部23は、算出したクリーニング指数αが規格内である場合、エッチング量は適正であると判定し、クリーニング処理を完了する(図2 ステップS27Yes)。また、算出したクリーニング指数αが規格外である場合、エッチング量は適正でないと判定する。なお、ヒータ12による温度制御が正常であり、反応熱モニタリング用熱電対13が正常である場合、クリーニング指数αは、規格値よりも小さい側で規格外となる。これは、反応管11内に堆積していた半導体含有膜の量を超える熱量は発生し得ないためである。このため、本実施形態では、エッチング量は適正でないと判定した場合、エッチング量判定部23が装置制御部25に、追加クリーニングの実施を指示するようにしている(図2 ステップS27No)。
図5は、図4と異なる膜厚の付着物が堆積した反応管11に対してクリーニング処理を実施した場合のクリーニング指数αおよび温度上昇量ΔTと、時間との関係を示す図である。図4と同様に、図5では、エッチングガス14であるフッ素ガスおよびフッ化水素ガスの流量をいずれも2slmとし、反応管11内を50kPaに維持した状態でクリーニング処理を行っている。反応温度T0は、300℃である。図5において、横軸は、図3の時刻t0をゼロとした経過時間に対応する。また、図5において左縦軸は温度上昇量ΔTに対応し、右縦軸はクリーニング指数αに対応する。図5では、クリーニング処理開始時に反応管11に堆積していたシリコン窒化膜の膜厚が約1.0μmである場合(以下、サンプルCという。)の温度上昇量ΔTを点線51で示し、この場合のクリーニング指数αを点線53で示している。また、クリーニング処理開始時に反応管11に堆積していた付着物の膜厚が約0.1μmである場合(以下、サンプルDという。)の温度上昇量ΔTを実線52で示し、この場合のクリーニング指数αを実線54で示している。
図4と同様に、エッチングガス14の供給が開始されると式(1)に示した反応により、反応管11内のシリコン窒化膜がエッチング除去される。また、温度上昇量ΔTは、点線51および実線52に示すように、当該エッチングの過程で発生する反応熱により上昇し、ピーク温度を過ぎた後、ΔT=0(反応温度T0)に収束する。クリーニング指数αは、点線53および実線54に示すように、エッチングの進行にともなって上昇する。しかしながら、点線53(サンプルC)では、クリーニング指数αは、20程度の値になっている。
図6は、図4および図5で示したサンプルA〜Dのクリーニング処理を実行した直後の反応管11内でシリコン窒化膜を成膜したときの、パーティクル増加数を示す図である。ここで、パーティクル増加数とは、成膜後にウェーハ上に存在するパーティクル(0.16μm径以上)の計数値から、成膜前にウェーハ上に存在したパーティクルの計数値を差し引いた値である。
図6から、クリーニング指数αが20程度を示したサンプルCのクリーニング後のみパーティクル増加数が著しく多いことが理解できる。これは、クリーニング処理が正常に行われなかったため、反応管11およびウェーハボート15の付着物が完全に除去されず、後の成膜処理時に反応管11およびウェーハボート15に対し、シリコン窒化膜が密着できずに膜剥れが発生し、パーティクルが増加したと推測される。本実施形態では、サンプルCの場合のみクリーニング指数αが低いことから、このようなクリーニング処理の異常を確実に検出することができる。また、当該異常が検出されたときに、自動的に追加のクリーニング処理が実施される。
ところで、図5に示すように、サンプルCの温度プロファイルは、ピーク温度に到達した後、反応温度T0に収束している。したがって、従来技術では、サンプルCにおいて発生したクリーニング処理の異常を検出することはできない。
このように、本実施形態では、クリーニング指数を用いることで、適正なクリーニングが行われたか否かを従来に比べて精度よく判定することができる。また、膜剥れに起因する反応管内のパーティクル増加を確実に防止でき、製造歩留まりの低下を抑制することができる。
なお、上記では、クリーニング指数αが規格外であった場合に、自動的に追加エッチングを行う構成を説明したが、クリーニング指数αが規格外であった場合に、その旨をアラーム等の任意の手法により作業者に通知する構成であっても、同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、クリーニング指数αにより、適正なエッチングが実施されたか否かを判定する構成を説明したが、クリーニング指数αを使用することによりクリーニング処理のエッチング終点を検出することもできる。そこで、第2の実施形態では、クリーニング指数αによりエッチング終点を検出する減圧CVD装置について説明する。
図7は、本実施形態における減圧CVD装置を示す概略構成図である。減圧CVD装置20は、エッチング量判定部23に代えて、終点検出部26を備える点が第1の実施形態で説明した減圧CVD装置10と異なっている。他の構成は、第1の実施形態の減圧CVD装置10と同一であるため、ここでの説明は省略する。なお、終点検出部26は、専用回路や、プロセッサとRAMやROM等のメモリとを備えたハードウエア、および当該メモリに格納され、プロセッサ上で動作するソフトウエア等により実現することができる。
図8は、減圧CVD装置20のクリーニング処理の手順を示すフロー図である。クリーニング処理が開始されると、まず、装置制御部25が、反応管11内の温度が反応温度T0(図3参照)になる状態にヒータ12の発熱量を制御する(図8 ステップS81)。ここでは、反応温度T0は300℃であり、クリーニング処理中は、ヒータ12の発熱量は当該状態から変更されない。
反応管11内の温度が反応温度T0で安定すると、装置制御部25は、反応熱モニタリング部21にその旨を通知する。当該通知を受信した反応熱モニタリング部21は、反応熱モニタリング用熱電対13の出力値の取得を開始する(図8 ステップS82)。また、装置制御部25は、ガス導入管18を通じて、反応管11へのエッチングガス14の供給を開始する(図8 ステップS83)。反応管11内にエッチングガス14が導入されると、上述の式(1)に示す反応によりシリコン窒化膜が分解(エッチング)される。
本実施形態では、装置制御部25は、エッチングガス14の供給を開始するときに、熱量算出部22にその旨を通知する。当該通知を受信した熱量算出部22は、所定の時間間隔で上述の式(2)により、熱量Qを算出する。したがって、本実施形態では、熱量算出部22が算出する熱量Qは、エッチングガス14の供給が開始された時点から、熱量を算出する時点までに、反応管11内で発生した熱量になる。
熱量算出部22は、熱量Qを算出する都度、算出した熱量Qを終点検出部26に入力する。終点検出部26は、熱量Qが入力される都度、入力された熱量Qと膜厚管理部24から取得したクリーニング処理開始時に反応管11内に堆積していた半導体含有膜の膜厚Xとにより、クリーニング指数α=Q/Xを算出する(図8 ステップS84)。
クリーニング指数αを算出した終点検出部26は、算出したクリーニング指数αと、予め設定されている規格値とを比較する(図8 ステップS85)。ここでは、エッチング対象の半導体含有膜がシリコン窒化膜であるため、図4のデータに基づいて規格値を35として設定している。終点検出部26は、算出したクリーニング指数αが規格外(規格値未満)である場合、未だエッチング終点ではないと判定し、クリーニング処理を継続する(図8 ステップS85No→S84)。クリーニング指数αの算出および規格値との比較とを繰り返し実行する過程で、算出したクリーニング指数αが規格内(規格値以上)になった場合、終点検出部26は、エッチング終点に到達したと判定する(図8 ステップS85Yes)。エッチング終点に到達したと判定した場合、終点検出部26は装置制御部25にその旨を通知する。当該通知を受信した装置制御部25は、エッチングガス14の供給を停止する(図8 ステップS86)。
本実施形態によれば、クリーニング指数を用いてクリーニング処理のエッチング終点を検出しているため、第1の実施形態と同様に、クリーニング処理中の反応管内のエッチング状態を従来に比べて精度よく把握することができる。これにより、エッチング終点を精度よく判定することができ、アンダーエッチングやオーバーエッチングを防止することができる。この結果、膜剥れに起因する反応管内のパーティクル増加を確実に防止でき、製造歩留まりの低下を抑制することができる。
なお、上記各実施形態では、反応熱モニタリング用熱電対を設けた構成を説明したが、上述のように、クリーニング処理中は、ヒータの発熱量は変更されない。したがって、反応熱モニタリング専用の熱電対を設けることなく、温度制御用熱電対を反応熱モニタリング用熱電対として使用する構成であってもよい。
以上説明したように、本発明によれば、反応管内の付着物を除去するエッチングの際に、反応熱量を監視するため、従来に比べて精度よく反応管内のエッチング状態を把握することができる。また、クリーニング指数を使用することで、異なる膜厚の半導体含有膜をエッチングする際でも、それぞれ最適なエッチングを行うことができる。また、クリーニング指数を使用して、エッチング終点の検出や適正なエッチングが実施されたか否かの判定を、従来に比べて精度よく行うことができる。
なお、本発明は、以上で説明した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変形および応用が可能である。例えば、半導体含有膜の膜種や、設定温度、エッチングガス種等のエッチング条件は、上記各実施形態に限定されるものではない。また、反応熱モニタリングに使用する物理量は、温度に限らず、反応熱を示す他の物理量を使用することもできる。さらに、本発明は、減圧CVD装置に限らず、反応管内に収容された被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置に対して適用可能である。加えて、付着物の膜厚が所定膜厚になったときに、常にクリーニング処理を実施する半導体製造装置では、クリーニング指数αを算出することなく、エッチング終点の検出や適正なエッチングが実施されたか否かの判定を、熱量Qの値を直接使用して行うことも可能である。
本発明は、常に適正なクリーニング処理を実施できるという効果を有し、半導体製造装置および半導体製造装置のクリーニング方法として有用である。
本発明の第1の実施形態における減圧CVD装置を示す概略構成図 本発明の第1の実施形態におけるクリーニング処理の手順を示すフロー図 クリーニング処理中の反応管内温度と時間との関係を示す模式図 クリーニング指数および温度上昇量と、時間との関係を示す図 クリーニング指数および温度上昇量と、時間との関係を示す図 クリーニング後のパーティクル増加数を示す図 本発明の第2の実施形態における減圧CVD装置を示す概略構成図 本発明の第2の実施形態におけるクリーニング処理の手順を示すフロー図 従来の半導体製造装置のクリーニング方法を示す説明図
符号の説明
10、20 減圧CVD装置
11 反応管
12 ヒータ
13 反応熱モニタリング用熱電対
14 エッチングガス
16 温度制御用の熱電対
18 ガス導入管(ガス供給部)
19 ガス排気管
21 反応熱モニタリング部
22 熱量算出部
23 エッチング量判定部
24 膜厚管理部(CIMサーバ)
25 装置制御部
26 終点検出部

Claims (9)

  1. 被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置において、
    反応管内に堆積した半導体含有膜を除去するためのエッチングガスを前記反応管に供給する手段と、
    前記反応管内に堆積した半導体含有膜とエッチングガスとの反応熱をモニタリングする手段と、
    前記モニタリングした反応熱とエッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量を算出する手段と、
    を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
  2. 前記熱量が、エッチングによる温度上昇量を、エッチング時間にわたって積分することにより算出される請求項1記載の半導体製造装置。
  3. 算出された熱量を、エッチング開始時に反応管内に堆積していた半導体含有膜の膜厚で除することにより、単位膜厚あたりの熱量を算出する手段をさらに備えた請求項1または2記載の半導体製造装置。
  4. 前記単位膜厚あたりの熱量と予め設定された規格値とを比較することにより、エッチング量が適正であるか否かを判定する手段をさらに備えた請求項3記載の半導体製造装置。
  5. 前記エッチング量が適正でない場合、追加のエッチングを実施する請求項4記載の半導体製造装置。
  6. 前記単位膜厚あたりの熱量が予め設定された規格値に到達した時点をエッチング終点として検出する手段をさらに備え、
    前記エッチング終点を検出した際に、前記エッチングガスの供給を停止する請求項3記載の半導体製造装置。
  7. 被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置のクリーニング方法であって、
    反応管内に堆積した半導体含有膜を除去するためのエッチングガスを前記反応管に供給するステップと、
    前記反応管内に堆積した半導体含有膜とエッチングガスとの反応熱と、エッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量を算出するステップと、
    前記算出された熱量と、エッチング開始時に反応管内に堆積していた半導体含有膜の膜厚とに基づいて、エッチング量が適正であるか否かを判定するステップと、
    を有することを特徴とする半導体製造装置のクリーニング方法。
  8. 前記エッチング量が適正でないと判定された場合、追加のエッチングを実施するステップをさらに有する請求項7記載の半導体製造装置のクリーニング方法。
  9. 被加工体上に、半導体含有膜を成膜する半導体製造装置のクリーニング方法であって、
    反応管内に堆積した半導体含有膜を除去するためのエッチングガスを前記反応管に供給するステップと、
    前記反応管内に堆積した半導体含有膜とエッチングガスとの反応熱と、エッチング時間とに基づいて、エッチング中に発生した熱量を算出するステップと、
    前記算出された熱量と、エッチング開始時に反応管内に堆積していた半導体含有膜の膜厚とに基づいて、エッチング終点を検出するステップと、
    エッチング終点が検出された際に、前記エッチングガスの供給を停止するステップと、
    を有することを特徴とする半導体製造装置のクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109585483A (zh) * 2018-12-04 2019-04-05 上海华力微电子有限公司 一种处理半导体晶圆的方法

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