以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、無線通信方法を実現するためのシステム構成、装置構成、及び、フローチャート等について説明する。
図1は、本実施の形態における無線通信方法を説明するためのシステム構成について示したものである。
図1では、半導体装置から通信装置への無線信号の通信が障害物等の外的要因により難しい場合における、本実施の形態の無線通信方法の構成について、最も簡単なモデルを示し、説明する。図1は、通信装置101、半導体装置102、半導体装置103、及び障害物104の配置図について2次元的に示した模式図である。
図1において、通信装置101、半導体装置102、半導体装置103、及び障害物104の配置は、説明のため2次元的に示したが、実際には3次元的に配置されているものである。また、図1では、本実施の形態の複数の半導体装置について、半導体装置102及び半導体装置103を挙げて説明するが、実際には、更に複数に半導体装置を介した無線通信をおこなうものであってもよい。また、複数の半導体装置で無線信号が衝突しあう場合には、通信装置より各半導体装置の信号応答、非応答を制御して無線通信をおこなえばよい。
なお、本明細書での受信及び送信は、主体となる通信装置または半導体装置によって適宜表現されるものである。従って、第1の無線信号は、通信装置101より送信され、半導体装置102及び半導体装置103で受信されるものである。また第2の無線信号は、半導体装置102及び半導体装置103より送信され、通信装置101で受信するものである。また、通信装置101と、半導体装置102及び半導体装置103と、の間の第1の無線信号または第2の無線信号の送信及び受信に関しては、総称して、第1の無線信号の送受信及び第2の無線信号の送受信という。
次に本実施の形態の無線通信方法を説明するため、障害物がある際の、第1の無線信号及び第2の無線信号の送受信の模式図について図2乃至図4、及びフローチャートについて図5及び図6を用いて説明する。なお、図5及び図6のフローチャートでは、通信装置101について「R/W」、半導体装置102について「A」、半導体装置103について「B」と、それぞれ略記する。
まず、通信装置101から検出可能範囲にある半導体装置102及び半導体装置103に対して応答を呼びかけるための第1の無線信号を送信する(図2(A)、図5のステップ501)。なお、第1の無線信号では、半導体装置102及び半導体装置103に記憶された識別番号を通信装置101へ送信させて通信装置101で個体識別を行わせるための、第1の命令(コマンド1ともいう)のデータが、搬送される。そして、通信装置101から送信された第1の命令を有する第1の無線信号は、半導体装置102で受信される(図2(A)、図5のステップ502)。また、通信装置101から送信された第1の命令を有する第1の無線信号は、障害物104を介して、半導体装置103で受信される(図2(A)、図5のステップ503)。
なお、本実施の形態で説明する半導体装置102及び半導体装置103に記憶されている識別番号は、識別番号のデータに限定されない。半導体装置102及び半導体装置103の記憶素子に上書きされた他の半導体装置のデータや半導体装置に組み込まれたセンサ等のデータも含む場合もあり得る。そのため、本実施の形態においては、総称して、半導体装置に記憶されたデータという。
次に、半導体装置102及び半導体装置103は第1の命令に応答するため、半導体装置102及び半導体装置103に記憶されたデータを有する第2の無線信号を、通信装置101にそれぞれ送信する(図2(B)、図5のステップ504、ステップ505)。半導体装置102から通信装置101へ送信される第2の無線信号は、通信装置で受信される(図2(B)、図5のステップ506)。一方、半導体装置103から通信装置101へ送信される第2の無線信号は、障害物104が存在するため、通信装置101で受信されない(図2(B)、図5のステップ507)。なお、半導体装置103から通信装置101へ送信される第2の無線信号が、第1の無線信号とは異なり、障害物104が存在するため、通信装置101に受信されないのは、上述したように、第1の無線信号は、通信装置が外部電源に接続されており、無線信号の強度を大きくすることができるものの、第2の無線信号は、半導体装置が外部電源に接続されておらず、無線信号の強度を大きくすることが難しいためである。
次に、通信装置101は、検出可能範囲にある複数の半導体装置のうち、応答のあった半導体装置102に対して選択的に応答を呼びかけるための第1の無線信号を送信する(図3(A)、図6のステップ601)。なお、図6のステップ601での第1の無線信号では、選択された半導体装置が、通信装置101より送信される第1の無線信号を受信し、通信装置101に対して応答する第1の状態、または、他の半導体装置より送信される第2の無線信号を受信し、通信装置101に対して応答する第2の状態、を選択的に切り替えるための、第2の命令(コマンド2ともいう)のデータが搬送される。そして、通信装置101から送信された第2の命令を有する第1の無線信号は、半導体装置102で受信される(図3(A)、図6のステップ602)。また、通信装置101から送信された第2の命令を有する第1の無線信号は、障害物104を介して、半導体装置103で受信される(図3(A)、図6のステップ603)。
次に、半導体装置102は第2の命令を有する第1の無線信号を受信することにより、通信装置101より送信される第1の無線信号を受信する第1の状態から、他の半導体装置である半導体装置103より送信される第2の無線信号を受信可能な状態である第2の状態に切り替わる(図6のステップ604)。そして第2の状態に切り替わった半導体装置102は、第2の状態に切り替わったことを示す信号を第2の無線信号によって通信装置101に送信する(図3(B)、図6のステップ605)。通信装置101は半導体装置102からの第2の無線信号を受信し(図6のステップ606)、半導体装置102が他の半導体装置である半導体装置103より送信される第2の無線信号を受信可能な状態である第2の状態であることを確認する(図6のステップ607)。一方、半導体装置103は第2の命令を有する第1の無線信号を受信するものの、第2の命令が半導体装置102の状態を選択的に切り替えるものであるため、通信装置101に対して応答しない(図3(B)、図6のステップ608)。
なお、本実施形態で説明する複数の半導体装置は、初期状態において全て、第1の状態であるものとして説明している。初期状態として第2の状態でもよいが、この場合、一旦第1の無線信号により、第2の状態から第1の状態に切り替えることを行えばよい。
次に、再度、通信装置101から半導体装置102及び半導体装置103に対して、第1の命令を有する第1の無線信号を送信する(図4(A)、図6のステップ609)。通信装置101から送信された第1の命令を有する第1の無線信号は、半導体装置102で受信される(図4(A)、図6のステップ610)。また、通信装置101から送信された第1の命令を有する第1の無線信号は、障害物104を介して、半導体装置103で受信される(図4(A)、図6のステップ611)。半導体装置102は、ステップ604によって、第2の状態に切り替わっているため、第1の命令を有する第1の無線信号を受信するものの、通信装置101に対して応答しない(図4(B)、図6のステップ612)。一方、半導体装置103は、第1の状態であるため、半導体装置103に記憶された識別番号のデータを有する第2の無線信号が送信される。しかし、半導体装置103から通信装置101に送信される第2の無線信号は、上述のように、障害物104により通信装置101で受信されない。そこで半導体装置103から通信装置101に送信される第2の無線信号は、第2の無線信号が到達(送受信)可能な距離にあり、且つ第2の状態にある半導体装置102に送信される(図4(B)、図6のステップ613)。そして第2の状態にある半導体装置102は、障害物の位置によることなく、半導体装置103から通信装置101に送信される第2の無線信号を受信することができる(図4(B)、図6のステップ614)。半導体装置102は、第2の無線信号を受信すると、半導体装置102の近くに、通信装置101からの第1の無線信号に対して、第2の無線信号を送信することが出来なかった半導体装置の有無を知らせるための検知データを有する第2の無線信号を、通信装置101に送信する(図4(C)、図6のステップ615)。半導体装置102より送信された検知データを有する第2の無線信号は、通信装置101に受信される(図4(C)、図6のステップ616)。
なお第2の状態の半導体装置は、受信したデータを、通信装置からの第1の無線信号を受信することで得られる電力により、検知データを有する第2の無線信号に重畳させ、通信装置に送信することができる。そのため、第2の状態の半導体装置は、より確実に第2の無線信号の送受信を行うことができる。
以上、障害物がある際の、第1の無線信号及び第2の無線信号の送受信の模式図、及びフローチャートについて説明した。次に、本実施の形態における第1の無線信号及び第2の無線信号の信号強度について、通信装置、第1の無線信号及び第2の無線信号の伝搬空間、半導体装置、及び障害物を通過する際の変移について例示し、本実施の形態の無線通信方法の利点について詳述する。
図7(A)には、通信装置101、半導体装置102、半導体装置103、障害物104、及び伝搬空間700の位置関係について示す。また、図7(B)には、図7(A)で示した各位置関係で、通信装置101と半導体装置103との間の、障害物104を介した無線信号の送受信について示す。また、図7(C)には、図7(A)で示した各位置関係で、通信装置101と半導体装置103との間で、半導体装置102を介した無線信号の送受信について示す。
図7(B)で、通信装置101より半導体装置103に送信される第1の無線信号は、伝搬空間700、障害物104、及び伝搬空間700を通って、半導体装置103で受信される。この間の信号強度は、伝搬空間700及び障害物104で減少していく。なお、信号強度の低下の度合いは障害物104によるところが大きい。そのため、半導体装置103より通信装置101に送信される第2の無線信号が、再度、伝搬空間700、障害物104、及び伝搬空間700を通って、通信装置101で受信されるには、信号強度の低下が顕著であるため、無線信号の伝搬が難しい。
一方、本実施の形態の無線通信方法について説明する図7(C)で、通信装置101より半導体装置103に送信される第1の無線信号は、図7(B)と同様に、伝搬空間700、障害物104、及び伝搬空間700を通って、半導体装置103で受信される。この間の信号強度は、伝搬空間700及び障害物104で減少していく。なお信号強度の低下は、障害物104によるところが大きい。しかし、本実施形態で説明した無線通信方法によると、半導体装置103より通信装置101に送信される第2の無線信号は、第2の無線信号を、伝搬空間700、半導体装置102、伝搬空間700を通って伝搬させることができる。伝搬強度の減少は、障害物104を通る場合に比べ、伝搬空間700を通る場合の方が小さい。また、通信装置101から十分な電力が供給されている半導体装置102を介することで、通信装置101で第2の無線信号を受信させることができる。そして通信装置101は、障害物104によって無線信号の送受信が困難であった半導体装置の存在を認識することが出来る。
以上のような形態とすることで、半導体装置から通信装置への無線信号の通信が障害物等の外的要因により難しい場合に、他の半導体装置を経由して、半導体装置から通信装置への無線信号の通信を確保することができる。そのため、通信装置から半導体装置への無線信号の通信が確保出来た場合において、半導体装置から通信装置への無線信号の通信が障害物等の外的要因により難しい場合でも、中継器を用いることなく、無線信号の通信を確保することができる無線通信方法を提供することができる。
なお本実施の形態は、本明細書の他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1で示した構成では、通信装置より送信される第1の無線信号によって、通信装置より送信される第1の無線信号を受信し、通信装置に対して応答する第1の状態、または半導体装置より送信される第2の無線信号を受信し、通信装置に対して応答する第2の状態、を選択的に切り替えて動作させることにより、障害物により第2の無線信号を送信できなかった半導体装置からの第2の無線信号を、他の半導体装置を経由して、通信装置に送信する構成について示した。本実施の形態では、障害物により第2の無線信号を送信できなかった半導体装置からの第2の無線信号を、他の半導体装置内の記憶素子に一旦保持し、通信装置からの第1の無線信号によって、通信装置に記憶素子内のデータを読み出す構成について説明する。本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、第1の無線信号及び第2の無線信号の送受信の模式図、並びにフローチャートを用いて説明する。なお、本実施の形態では、第1の無線信号及び第2の無線信号の送受信の模式図、及びフローチャートの一部は、実施の形態1と同様であり、必要に応じて上記実施の形態1で述べた図を用いて説明する。なお、図8のフローチャートでは、図5及び図6のフローチャートと同様に、通信装置101について「R/W」、半導体装置102について「A」、半導体装置103について「B」と、それぞれ略記する。
なお、本実施の形態における無線通信方法の構成は、上記実施の形態1でのステップ614(図6、図4(B))と同様でよいため、上記説明を参照するものとする。ステップ614で第2の状態にある半導体装置102は、障害物の位置によることなく、第2の無線信号を受信することができ、半導体装置103に記憶された識別番号のデータを半導体装置102内の記憶素子に保持する(図9(A)、図8のステップ801)。半導体装置102は第2の無線信号を受信すると、通信装置101からの第1の無線信号に対して、第2の無線信号を送信することが出来なかった半導体装置103の識別番号のデータを保持したことを知らせるための検知データを有する第2の無線信号を、通信装置101に送信する(図9(A)、図8のステップ802)。半導体装置102より送信された検知データを有する第2の無線信号は、通信装置101に受信される(図9(A)、図8のステップ803)。通信装置101は、半導体装置102が他の半導体装置からの第2の無線信号により識別番号を記憶素子に保持していることを確認する(図8のステップ804)。
なお本実施の形態の第2の状態の半導体装置102は、第2の無線信号により受信した半導体装置103に記憶された識別番号のデータを、半導体装置102内の記憶素子に保持する。半導体装置103の識別番号のデータの、第2の半導体装置102の記憶素子への保持は、半導体装置102が通信装置からの第1の無線信号を受信することで得られる電力により行われる。
また、本実施の形態で説明する半導体装置102及び半導体装置103に記憶されている識別番号は、上記実施の形態1で説明したのと同様に、識別番号のデータに限定されない。半導体装置102及び半導体装置103の記憶素子に上書きされた他の半導体装置のデータや半導体装置に組み込まれたセンサ等のデータも含む場合もあり得る。そのため、本実施の形態においては、総称して、半導体装置に記憶されたデータという。
次に、通信装置101は、他の半導体装置からの第2の無線信号により識別番号を記憶素子に保持している半導体装置102に対して、選択的に応答を呼びかけるための第1の無線信号を送信する(図9(B)、図8のステップ805)。なお、図8のステップ805での第1の無線信号では、図8のステップ801で他の半導体装置からの第2の無線信号により入力され識別番号を記憶素子に保持している半導体装置より、当該保持されている識別番号を読み出すための、第3の命令(コマンド3ともいう)のデータが、搬送される。そして、通信装置101から送信された第3の命令を有する第1の無線信号は、半導体装置102で受信される(図9(B)、図8のステップ806)。また、通信装置101から送信された第3の命令を有する第1の無線信号は、障害物104を介して、半導体装置103で受信される(図9(B)、図8のステップ807)。
次に、半導体装置102は第3の命令を有する第1の無線信号を受信することにより、半導体装置102の記憶素子に記憶された他の半導体装置の識別番号、すなわち本実施の形態では半導体装置103の識別番号を第2の無線信号によって通信装置101に送信する(図9(C)、図8のステップ808)。一方、半導体装置103は第3の命令を有する第1の無線信号を受信するものの、第3の命令が半導体装置102の状態を確認して選択的に無線信号の送受信を行うためのものであるため、通信装置101に対して応答しない(図9(C)、ステップ809)。半導体装置102より送信された半導体装置103の識別番号を含む第2の無線信号は、通信装置101で受信される(図9(C)、図8のステップ810)。
以上のような形態とすることで、半導体装置から通信装置への無線信号の通信が障害物等の外的要因により難しい場合に、他の半導体装置を経由して、半導体装置から通信装置への無線信号の通信を確保することができる。そのため、通信装置から半導体装置への無線信号の通信が確保出来た場合において、半導体装置から通信装置への無線信号の通信が障害物等の外的要因により難しい場合でも、中継器を用いることなく、無線信号の通信を確保することができる無線通信方法を提供することができる。特に本実施の形態で述べた無線通信方法の構成によれば、障害物等による無線信号の送信が難しかった半導体装置の識別番号は、一旦通信装置との送受信が可能な半導体装置に保持することによって、通信装置との送受信を行うことができる。
なお本実施の形態は、本明細書の他の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態1及び実施の形態2で説明した無線通信方法における半導体装置の構成について説明する。
上記実施の形態1及び実施の形態2で説明した無線通信方法における半導体装置の構成について、図10を用いて説明する。図10は半導体装置内のブロック図である。半導体装置900は、アンテナ902及び半導体集積回路901を有する。そして、半導体集積回路901は、送受信回路903、電源回路904、制御回路905、記憶素子906を有する。
次に、半導体装置の動作について、図10及び図12を用いて説明する。図12に示すように、制御用端末922に通信装置920を介して接続されたアンテナユニット921から搬送波を変調した信号(第1の無線信号)が送信される。ここで、無線信号には通信装置920から半導体装置900への命令が含まれている。
図10において、半導体装置900が有するアンテナ902は当該第1の無線信号を受信する。そして、受信された当該第1の無線信号はアンテナ902に接続された送受信回路903を介して各回路ブロックに送られる。送受信回路903には電源回路904、制御回路905、及び記憶素子906が接続されている。
送受信回路903の整流機能により第1の高電源電位(VDD1)、電源回路904より第2の高電源電位(VDD2)が生成される。本実施の形態においては、生成された2つの高電源電位のうち、第2の高電源電位VDD2が半導体集積回路901の各回路ブロックに供給されるものとする。なお、本実施の形態において、低電源電位(VSS)は共通である。図10において、電源回路904は、定電圧回路で構成される。
送受信回路903の整流機能と電源回路904の動作について簡単に説明する。例えば、送受信回路903の整流機能として、一つの整流回路で構成し、電源回路904として、定電圧回路で構成した場合を考える。ここで、整流機能をはたす整流回路として、ダイオード及び容量素子を用いることができる。アンテナ902を介して送受信回路903に送られた当該無線信号は、整流回路に入力され、整流される。そして、整流回路の容量素子により平滑化され、第1の高電源電位(VDD1)が生成される。生成されたVDD1は、定電圧回路を通ることで、入力電位以下の安定した電位(第2の高電源電位、VDD2)になる。定電圧回路の出力電圧であるVDD2が電源として各回路ブロックに供給される。なお、生成されたVDD1を電源として各回路ブロックに供給してもよい。さらに、VDD1及びVDD2の両方を各回路ブロックに供給してもよい。各回路ブロックの動作条件及び用途によりVDD1またはVDD2の供給を使い分けることが望ましい。
図10に示す半導体装置で、定電圧回路は直流電圧をほぼ一定に保つ機能を有しており、電圧や電流または両方により直流電圧をほぼ一定に保つことができる回路であればどのような回路でもよい。
また、送受信回路903の復調機能より復調信号909が生成される。生成された復調信号909が各回路ブロックに供給される。送受信回路903と制御回路905は接続されており、送受信回路903で生成された復調信号909が制御回路905に供給される。
制御回路905は、リセット回路を有する。リセット回路ではリセット信号が生成される。リセット信号は、半導体装置900の初期化を行う信号である。
また、制御回路905は、クロック生成回路を有する。クロック生成回路では送受信回路903を介して送られてきた復調信号909を元に、基本クロック信号を生成している。クロック生成回路にて生成された基本クロック信号は、制御回路内の回路で用いられる。
さらに、制御回路905は、送受信回路903を介して送られてきた復調信号909から、前記通信装置920から半導体装置900へ送られた命令を抽出し、どのような命令が送られてきたのかを判別する。また制御回路905は、記憶素子906を制御する役割も有している。
こうして、制御回路905は、通信装置920からどのような命令が送られてきたのかを判別し、判別された命令により、記憶素子906を動作させる。そして、記憶素子906に記憶されたデータを含んだ信号、または、書き込まれた識別番号等の記憶データを含んだ信号を出力させる。または、記憶素子906に通信装置920から送られてきた情報を記憶させる。
ここで記憶素子906は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリを用いることができる。
さらに、制御回路905は記憶素子906に記憶または書き込まれた識別番号等の固有データを含んだ信号を、ISO等の規格に則った符号化方式で符号化した信号に変える役割も有する。そして、符号化された信号910にしたがって、送受信回路903により、アンテナ902に送られてきている信号に変調をかける。
変調をかけられた信号は、通信装置920に接続されたアンテナユニット921で受信される。そして、受信された信号は通信装置920で解析され、半導体装置900の識別番号等の固有データを認識することができる。
本実施の形態で、半導体装置900と通信装置920との通信は、搬送波を変調することで行われる例について示した。なお搬送波は、125kHz、13.56MHz、950MHzなど規格により様々である。また変調の方式も規格により振幅変調、周波数変調、位相変調など様々な方式があるが、規格に即した変調方式であればどの変調方式を用いても良い。
信号の伝送方式は、搬送波の波長によって電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式など様々な種類に分類することが出来る。なお、半導体装置と通信装置との無線信号の送受信を長距離間で行う場合には、マイクロ波方式を選択することが望ましい。
また、本実施の形態において、接続されているとは電気的に接続されていることと同義である。したがって、回路間に別の素子などが配置されていてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、絶縁基板上に形成された半導体膜によりトランジスタを作製し、半導体装置とする形態について説明する。
基板1601の一表面に剥離層1602を形成し、続けて下地となる絶縁膜1603および非晶質半導体膜1604(例えば非晶質珪素を含む膜)を形成する(図13(A))。剥離層1602、絶縁膜1603および非晶質半導体膜1604は、連続して形成することができる。連続して形成することにより、大気に曝されないため不純物の混入を防ぐことができる。
基板1601は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いるとよい。このような基板であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。従って、シリコン基板と比較して集積回路部やアンテナを大きく形成した場合であっても、低コスト化を実現することができる。
なお、本工程では、剥離層1602を基板1601の全面に設けているが、必要に応じて、基板1601の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法により剥離層1602を選択的に設けてもよい。また、基板1601に接するように剥離層1602を形成しているが、必要に応じて、基板1601に接するように酸化珪素(SiOx)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)膜、窒化珪素(SiNx)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)膜等の絶縁膜を形成し、当該絶縁膜に接するように剥離層1602を形成してもよい。
剥離層1602は、金属膜や金属膜と金属酸化膜の積層構造等を用いることができる。金属膜としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を単層又は積層して形成する。また、これらの材料は、スパッタリング法やプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。金属膜と金属酸化膜の積層構造としては、上述した金属膜を形成した後に、酸素雰囲気下またはN2O雰囲気下におけるプラズマ処理、酸素雰囲気下またはN2O雰囲気下における加熱処理を行うことによって、金属膜表面に当該金属膜の酸化物または酸化窒化物を設けることができる。また、金属膜を形成した後に、オゾン水等の酸化力の強い溶液で表面を処理することにより、金属膜表面に当該金属膜の酸化物又は酸化窒化物を設けることができる。
絶縁膜1603は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層で形成する。下地となる絶縁膜が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素膜を形成し、2層目として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。または、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜は、基板1601からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
半導体膜1604は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。半導体膜1604としては、例えば、非晶質珪素膜を形成すればよい。
次に、非晶質の半導体膜1604にレーザービームを照射して結晶化を行う。なお、レーザービームの照射と、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により非晶質の半導体膜1604の結晶化を行ってもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、半導体膜1604a〜1604dを形成し、当該半導体膜1604a〜1604dを覆うようにゲート絶縁膜1605を形成する(図13(B))。
半導体膜1604a〜1604dの作製工程の一例を以下に簡単に説明すると、まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚50〜60nmの非晶質半導体膜(例えば、非晶質珪素膜)を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、レーザー発振器からレーザービームを照射し、フォトリソグラフィ法を用いることよって半導体膜1604a〜1604dを形成する。なお、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化を行わずに、レーザービームの照射だけで非晶質半導体膜の結晶化を行ってもよい。
レーザー発振器としては、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザービームは、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザービームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのパワー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、またはTi:サファイアレーザーは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
次に、半導体膜1604a〜半導体膜1604dを覆うゲート絶縁膜1605を形成する。ゲート絶縁膜1605は、CVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜を、単層又は積層して形成する。
また、ゲート絶縁膜1605は、半導体膜1604a〜半導体膜1604dに対し高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒素(NO2)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
ゲート絶縁膜1605は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それに加えてプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体膜に対し、連続発振レーザービーム若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザービームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜1604a〜1604dは、そのレーザービームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記ゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い薄膜トランジスタ(TFT)を得ることができる。
次に、ゲート絶縁膜1605上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。ここでは、第1の導電膜は、プラズマCVD法やスパッタ法等により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート配線を形成するためのエッチング処理を行って、半導体膜1604a〜1604dの上方にゲート電極1607を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、半導体膜1604a〜1604dに、イオンドープ法またはイオン注入法により、n型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。n型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、ゲート絶縁膜1605とゲート電極1607を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタ法等により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、ゲート電極1607の側面に接する絶縁膜1608(サイドウォールともよばれる)を形成する。絶縁膜1608は、後にLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、ゲート電極1607および絶縁膜1608をマスクとして用いて、半導体膜1604a〜1604dにn型を付与する不純物元素を添加して、チャネル形成領域1606aと、第1の不純物領域1606bと、第2の不純物領域1606cを形成する(図13(C))。第1の不純物領域1606bは薄膜トランジスタのソース領域又はドレイン領域として機能し、第2の不純物領域1606cはLDD領域として機能する。第2の不純物領域1606cが含む不純物元素の濃度は、第1の不純物領域1606bが含む不純物元素の濃度よりも低い。
続いて、ゲート電極1607、絶縁膜1608等を覆うように、絶縁膜を単層または積層で形成し、当該絶縁膜上に薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜1631を形成する。その結果、薄膜トランジスタ1630a〜1630dが得られる(図13(D))。
絶縁膜は、CVD法、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。ここでは、絶縁膜を2層で設けた例を示しており、1層目の絶縁膜1609として窒化酸化珪素膜で形成し、2層目の絶縁膜1610として酸化窒化珪素膜で形成することができる。
なお、絶縁膜1609、1610を形成する前、または絶縁膜1609、1610のうちの一方又は両方を形成した後に、半導体膜1604a〜1604dの結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザーアニール法またはRTA法などを適用するとよい。
導電膜1631は、フォトリソグラフィ法により絶縁膜1609、1610等をエッチングして、第1の不純物領域1606bを露出させるコンタクトホールを形成した後、コンタクトホールを充填するように導電膜を形成し、当該導電膜を選択的にエッチングして形成する。なお、導電膜を形成する前に、コンタクトホールにおいて露出した半導体膜1604a〜1604dの表面にシリサイドを形成してもよい。
また、導電膜1631は、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜1631は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜1631を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
次に、導電膜1631を覆うように、絶縁膜1611を形成する(図16(A))。絶縁膜1611は、CVD法、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法またはスクリーン印刷法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁膜1611は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
次に、絶縁膜1611の表面にアンテナとして機能する導電膜1612を選択的に形成する(図16(B))。
導電膜1612は、フォトリソグラフィ法により絶縁膜1611をエッチングして、導電膜1631を露出させるコンタクトホールを形成した後、コンタクトホールを充填するように導電膜を形成し、当該導電膜を選択的にエッチングして形成する。
また導電膜1612は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、メッキ処理等を用いて、導電性材料により形成すればよい。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電膜1612を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。スクリーン印刷法を用いて形成することにより、工程の簡略化が可能となり低コスト化を図ることができる。
次に、アンテナとして機能する導電膜1612を覆うように絶縁膜1613を形成する(図17(A))。
絶縁膜1613は、CVD法、スパッタリング法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等により、シリコンの酸化物やシリコンの窒化物等の無機材料(例えば、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜等)、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等により、単層または積層で形成する。
次に、薄膜トランジスタ1630a〜1630dやアンテナとして機能する導電膜1612を含む素子形成層を基板1601から剥離する。
まず、レーザービームを照射することにより開口部1618を形成する(図17(B))。続いて、素子形成層の一方の面(ここでは、絶縁膜1617の表面)を第1のシート材1620に貼り合わせた後、物理的な力を用いて基板1601から素子形成層を剥離する(図18(A))。第1のシート材1620としては、ホットメルトフィルム等を用いることができる。また、後に第1のシート材1620を剥離する場合には、熱を加えることにより粘着力が弱まる熱剥離テープを用いることができる。
なお、剥離する際に水やオゾン水等の水溶液で剥離する面を濡らしながら行うことによって、薄膜トランジスタ1630a〜薄膜トランジスタ1630d等の素子が静電気等によって破壊されることを防止できる。また、素子形成層が剥離された基板1601を再利用することによって、低コスト化を実現することができる。
次に、素子形成層の他方の面(基板1601から剥離により露出した面)に、第2のシート材1621を設ける(図18(B))。第2のシート材1621は、ホットメルトフィルム等を用い、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行うことにより素子形成層の他方の面に貼り合わせることができる。また、第1のシート材1620として熱剥離テープを用いた場合には、第2のシート材1621を貼り合わせる際に加えた熱を利用して剥離することができる。
次に、第2のシート材1621上に設けられた素子形成層をダイシング、スクライビング又はレーザーカット法等により選択的に分断することによって、複数の半導体装置を得ることができる。第2のシート材1621として、プラスチック等の可撓性を有する基板を用いることによって可撓性を有する半導体装置を作製することができる。
なお、本実施の形態では、基板1601上に薄膜トランジスタやアンテナ等の素子を形成した後、当該基板1601から剥離することによって可撓性を有する半導体装置を作製する場合について示したが、これに限られない。例えば、基板1601上に剥離層1602を設けずに図13(A)、13(B)、13(C)、13(D)、16(A)、16(B)、17(A)の工程を適用することにより、基板1601上に薄膜トランジスタやアンテナ等の素子が設けられた半導体装置を作製することができる。
なお本実施の形態では、アンテナを半導体素子と同じ基板上に形成する例について説明したが、この構成に限定されない。半導体素子を形成した後、別途形成したアンテナを、集積回路と電気的に接続するようにしても良い。この場合、アンテナと集積回路との電気的な接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))や異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))等で圧着させることにより電気的に接続することが出来る。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態4において、半導体装置のトランジスタの作製に用いられる絶縁基板上の半導体膜として単結晶半導体を用いた形態について説明する。
以下本実施の形態では、単結晶半導体が形成される絶縁基板(以下、SOI(Silicon on Insulator)基板という)の製造方法について説明する。
まず、半導体基板2001を準備する(図20(A)、図22(A)参照)。半導体基板2001としては、市販の半導体基板を用いればよく、例えばシリコン基板やゲルマニウム基板、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体基板が挙げられる。市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)サイズのものが代表的であり、その形状は円形のものがほとんどである。また、厚さは1.5mm程度まで適宜選択できる。
次に、半導体基板2001の表面から電界で加速されたイオン2004を所定の深さに打ち込み、イオンドーピング層2003を形成する(図20(A)、図22(A)参照)。イオン2004の打ち込みは、後にベース基板に転置するSOI層の膜厚を考慮して行われる。好ましくは、SOI層の膜厚が5nm乃至500nm、より好ましくは10nm乃至200nmの厚さとなるようにする。イオンを打ち込む際の加速電圧及びイオンのドーズ量は、転置するSOI層の膜厚を考慮して適宜選択する。イオン2004は、水素、ヘリウム、又はフッ素等のハロゲンのイオンを用いることができる。なお、イオン2004としては、水素、ヘリウム、又はハロゲン元素から選ばれたソースガスをプラズマ励起して生成された一の原子又は複数の同一の原子からなるイオン種を用いることが好ましい。水素イオンを打ち込む場合には、H+、H2 +、H3 +イオンを含ませると共に、H3 +イオンの割合を高めておくとイオンの打ち込み効率を高めることができ、打ち込み時間を短縮することができるため好ましい。また、このような構成とすることで、半導体基板からSOI層の分離を容易に行うことができる。
なお、所定の深さにイオンドーピング層2003を形成するために、イオン2004を高ドーズ条件で打ち込むことが必要となる場合がある。このとき、条件によっては半導体基板2001の表面が粗くなってしまう。そのため、半導体基板のイオンが打ち込まれる表面に、保護層として窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層などを膜厚50nm乃至200nmの範囲で設けておいてもよい。
次に、半導体基板2001に接合層2022を形成する(図20(B)、図22(B)参照)。接合層2022は、半導体基板2001がベース基板と接合を形成する面に形成する。ここで形成する接合層2022としては、上述のように有機シランを原料ガスに用いた化学気相成長法により成膜される酸化シリコン層が好ましい。その他に、シランを原料ガスに用いた化学気相成長法により成膜される酸化シリコン層を適用することもできる。化学気相成長法による成膜では、半導体基板2001に形成したイオンドーピング層2003から脱ガスが起こらない程度の温度が適用される。例えば、350℃以下の成膜温度が適用される。なお、単結晶半導体基板または多結晶半導体基板などの半導体基板からSOI層を分離する加熱処理は、化学気相成長法による成膜温度よりも高い加熱処理温度が適用される。
次に、半導体基板2001を所望の大きさ、形状に加工する(図20(C)、図22(C)参照)。具体的には、所望のサイズとなるように加工する。図22(C)では、円形の半導体基板2001を分断して、矩形の半導体基板2002を形成する例を示している。この際、接合層2022及びイオンドーピング層2003も分断される。つまり、所望のサイズであり、所定の深さにイオンドーピング層2003が形成され、表面(ベース基板との接合面)に接合層2022が形成された半導体基板2002が得られる。
半導体基板2002は、予め分断し、所望の半導体装置のサイズとすることが好ましい。半導体基板2001の分断は、ダイサー或いはワイヤソー等の切断装置、レーザー切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の切断手段を用いることができる。
なお、半導体基板表面に接合層を形成するまでの工程順序は、適宜入れ替えることが可能である。図20及び図22では半導体基板にイオンドーピング層を形成し、半導体基板の表面に接合層を形成した後、半導体基板を所望のサイズに加工する例を示している。これに対し、例えば、半導体基板を所望のサイズに加工した後、所望のサイズの半導体基板にイオンドーピング層を形成し、所望のサイズの半導体基板の表面に接合層を形成することもできる。
次に、ベース基板2010と半導体基板2002を貼り合わせる。図21(A)には、ベース基板2010と半導体基板2002の接合層2022が形成された面とを密着させ、ベース基板2010と接合層2022を接合させて、ベース基板2010と半導体基板2002を貼り合わせる例を示す。なお、接合を形成する面(接合面)は十分に清浄化しておくことが好ましい。ベース基板2010と接合層2022を密着させることにより接合が形成される。この接合はファンデルワールス力が作用しており、ベース基板2010と半導体基板2002とを圧接することで、水素結合による強固な接合を形成することが可能である。
また、ベース基板2010と接合層2022との良好な接合を形成するために、接合面を活性化しておいてもよい。例えば、接合を形成する面の一方又は双方に原子ビーム若しくはイオンビームを照射する。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。その他に、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行うことで接合面を活性化することもできる。このような表面処理により、400℃以下の温度であっても異種材料間の接合を形成することが容易となる。
また、接合層2022を介してベース基板2010と半導体基板2002を貼り合わせた後は、加熱処理又は加圧処理を行うことが好ましい。加熱処理又は加圧処理を行うことで接合強度を向上させることが可能となる。加熱処理の温度は、ベース基板2010の耐熱温度以下であることが好ましい。加圧処理においては、接合面に垂直な方向に圧力が加わるように行い、ベース基板2010及び半導体基板2002の耐圧性を考慮して行う。
次に、加熱処理を行い、イオンドーピング層2003を劈開面として半導体基板2002の一部をベース基板2010から分離する(図21(B)参照)。加熱処理の温度は接合層2022の成膜温度以上、ベース基板2010の耐熱温度以下で行うことが好ましい。例えば、400℃乃至600℃の加熱処理を行うことにより、イオンドーピング層2003に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、イオンドーピング層2003に沿って分離することが可能となる。接合層2022はベース基板2010と接合しているので、ベース基板2010上には半導体基板2002と同じ結晶性のSOI層2030が残存することとなる。
以上で、ベース基板2010上に接合層2022を介してSOI層2030が設けられたSOI構造が形成される。なお、SOI基板は、1枚のベース基板上に接合層を介して複数のSOI層が設けられた構造である。
なお、分離により得られるSOI層は、その表面を平坦化するため、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を行うことが好ましい。また、CMP等の物理的研磨手段を用いず、SOI層の表面にレーザービームを照射して平坦化を行ってもよい。なお、レーザービームを照射する際は、酸素濃度が10ppm以下の窒素雰囲気下で行うことが好ましい。これは、酸素雰囲気下でレーザービームの照射を行うとSOI層表面が荒れる恐れがあるからである。また、得られたSOI層の薄膜化を目的として、CMP等を行ってもよい。
本実施の形態で述べたSOI基板の製造方法は、ガラス基板等の耐熱温度が600℃以下のベース基板2010であっても接合部の接着力が強固なSOI層2030を得ることができる。また、600℃以下の温度プロセスを適用すればよいため、ベース基板2010として、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスの如き無アルカリガラスと呼ばれる電子工業用に使われる各種ガラス基板を適用することが可能となる。もちろん、セラミック基板、サファイヤ基板、石英基板等を適用することも可能である。
本実施の形態で説明したSOI基板は、単結晶半導体膜をガラス基板等の絶縁基板上に直接作製することができるため、半導体特性を高めるための半導体膜のレーザー結晶化等の結晶化工程の必要がない。そのため、SOI基板を作製し、上記実施の形態4で述べた方法を用いてトランジスタ等を作製することで、トランジスタ特性のばらつきの少ない素子を用いて半導体装置を構成することができるため、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、単結晶シリコンにより半導体装置を構成するトランジスタを作製する形態について図14、図19を用いて説明する。
まず、図14(A)を用いて、トランジスタの作製工程について説明する。単結晶シリコンからなるシリコン基板1901を用意する。そして、n型の導電性が付与されたシリコン基板の主面(素子形成面または回路形成面)の素子形成領域に素子形成領域にp型ウェル1902を選択的に形成する。また、シリコン基板の裏面を研磨する等の手法によって薄くすることも可能である。予め、シリコン基板を薄膜化することによって、半導体装置を軽量で薄型な半導体装置を作製することができる。
次いで、第1の素子形成領域と第2の素子形成領域とを区画するための素子分離領域となるフィールド酸化膜1903を形成する。フィールド酸化膜1903は厚い熱酸化膜であり、公知のLOCOS法を用いて形成すればよい。なお、素子分離法は、LOCOS法に限定されず、例えば素子分離領域はトレンチ分離法を用いてトレンチ構造を有していてもよいし、LOCOS構造とトレンチ構造の組み合わせであってもよい。
次いで、シリコン基板の表面を、例えば熱酸化させることによってゲート絶縁膜1904を形成する。ゲート絶縁膜1904は、CVD法を用いて形成してもよく、酸化窒化珪素膜や酸化珪素膜や窒化珪素膜やそれらの積層膜を用いることができる。
次いで、ポリシリコン層1905aとシリサイド層1905bとの積層膜を全面に形成し、リソグラフィ技術およびドライエッチング技術に基づき積層膜を形成することによってゲート絶縁膜上にポリサイド構造を有するゲート電極1905を形成する。ポリシリコン層1905aは低抵抗化するために予め、1021/cm3程度の濃度でリン(P)をドープしておいても良いし、ポリシリコン膜を形成した後で濃いn型不純物を拡散させても良い。また、シリサイド層1905bを形成する材料はモリブデンシリサイド(MoSix)、タングステンシリサイド(WSix)、タンタルシリサイド(TaSix)、チタンシリサイド(TiSix)などを適用することが可能であり、公知の方法に従い形成すれば良い。
なおゲート電極の側壁にサイドウォールを形成してもよい。例えば、酸化珪素からなる絶縁材料層を全面にCVD法にて堆積させ、かかる絶縁材料層をエッチバックすることによってサイドウォールを形成すればよい。エッチバックの際に自己整合的にゲート絶縁膜を選択的に除去してもよい。
次いで、ソース領域およびドレイン領域を形成するために、露出したシリコン基板にイオン注入を行う。pチャネル型FETを形成すべき第1の素子形成領域をレジスト材料で被覆し、n型不純物であるヒ素(As)やリン(P)をシリコン基板に注入してソース領域1913及びドレイン領域1914を形成する。また、nチャネル型FETを形成すべき第2の素子形成領域をレジスト材料で被覆し、p型不純物であるボロン(B)をシリコン基板に注入してソース領域1915及びドレイン領域1916を形成する。
次いで、イオン注入された不純物の活性化および、イオン注入によって発生したシリコン基板における結晶欠陥を回復するために、活性化処理を行う。
そして、活性化後に層間絶縁膜やソース電極またはドレイン電極となるメタル配線等を形成する。層間絶縁膜1917は、プラズマCVD法や減圧CVD法を用いて酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを形成する。なお、さらにその上にリンガラス(PSG)、あるいはボロンガラス(BSG)、もしくはリンボロンガラス(PBSG)の層間絶縁膜を形成してもよい。
メタル電極1919、メタル電極1921、メタル電極1920、メタル電極1922は、層間絶縁膜1917及びゲート絶縁膜1904にそれぞれのFETのソース領域及びドレイン領域に達するコンタクトホールを形成した後に形成するもので、低抵抗材料として通常良く用いられるアルミニウム(Al)を用いると良い。また、Alとチタン(Ti)の積層構造としても良い。
なお、コンタクトホールは、電子線直接描画技術によって形成してもよい。電子線直接描画は、ポジ型の電子線描画用レジストを層間絶縁膜1917上の全面に形成し、電子線が照射された部分を現像液によって溶解させる。そして、コンタクトホールが形成される箇所のレジストに穴が空き、レジストをマスクとしてドライエッチングを行なうことにより、所定の位置の層間絶縁膜1917およびゲート絶縁膜1904がエッチングされてコンタクトホールを形成することができる。以上のようにして、pチャネル型トランジスタ1951、nチャネル型トランジスタ1952を単結晶基板を用いて作製することが出来る(図14(A))。
次に図14(B)に示すように層間膜1924を形成する。そして層間膜1924をエッチングしコンタクトホールを形成し、メタル電極1922の一部を露出させる。層間膜1924は樹脂には限定せず、CVD酸化膜など他の膜であっても良いが、平坦性の観点から樹脂であることが望ましい。また、感光性樹脂を用いて、エッチングを用いずにコンタクトホールを形成しても良い。次に層間膜1924上に、コンタクトホールを介して導電膜1922と接する配線1925を形成する。
次にアンテナとして機能する導電膜1926を、配線1925と接するように形成する。導電膜1926は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)などの金属を用いて形成することが出来る。導電膜1926は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。導電膜1926は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用いても良い。
導電膜1926は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、めっき法、フォトリソグラフィ法、蒸着法等を用いて形成することが出来る。
なお本実施の形態では、アンテナを半導体素子と同じ基板上に形成する例について説明したが、この構成に限定されない。半導体素子を形成した後、別途形成したアンテナを、集積回路と電気的に接続するようにしても良い。この場合、アンテナと集積回路との電気的な接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))や異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))等で圧着させることにより電気的に接続することが出来る。また、他にも、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
次に図19に示すように、アンテナとして機能する導電膜1926を覆うように保護膜1927を形成する。保護膜1927は、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜、あるいは窒化酸化シリコン膜で形成されている。また、窒化シリコン膜等の代わりに有機樹脂膜、若しくは保護膜の上に有機樹脂膜を積層してもよい。有機樹脂材料として、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、ベンゾシクロブテン(BCB)などを用いることができる。有機樹脂膜を用いる利点は、膜の形成方法が簡単である点や、比誘電率が低いので寄生容量を低減できる点、平坦化するのに適している点などがある。勿論、上述した以外の有機樹脂膜を用いても良い。
そして、図19に示すように、フィルム1928によって覆い、半導体装置を完成させることができる。フィルム1928の表面には、水分や酸素等の侵入を防ぐために、保護膜を形成しても良い。保護膜は、珪素を有する酸化物、又は珪素を有する窒化物によって形成することができる。また、フィルムには半導体装置のブースターアンテナとなるパターンが形成されていてもよい。
このように単結晶基板上に形成された半導体装置は、軽量でより小型化された製品を提供することができる。またこのような半導体装置は小型化された半導体装置を作成することができ、トランジスタ特性のばらつきも小さいため、好適である。
なお、本実施の形態は、本明細書の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態7)
本実施形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置を構成するアンテナの具体例について説明する。アンテナは、電波法に定められた範囲内で目的に合った大きさ、形状であればよい。送受信される信号は、125kHz、13.56MHz、915MHz、2.45GHzなどがあり、それぞれISO規格などが設定される。具体的なアンテナとしては、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、八木アンテナなどを用いればよい。本実施の形態では、半導体装置に接続されるアンテナ形状について説明する。
図15(A)に、半導体装置1501に接続されるアンテナ1502を示す。図15(A)において、半導体装置1501が中心部に設けられ、アンテナ1502は半導体装置1501の接続端子に接続されている。アンテナの長さを確保するため、アンテナ1502は矩形状に折れ曲がっている。
図15(B)には、半導体装置1501が一端側に設けられ、アンテナ1503は半導体装置1501の接続端子に接続されている。アンテナの長さを確保するため、アンテナ1503は矩形状に折れ曲がっている。
図15(C)には、半導体装置1501の両端にメアンダ状に折れ曲がったアンテナ1504が設けられている。
図15(D)には、半導体装置1501の両端に直線上のアンテナ1505が設けられている。
このようにアンテナの形状は半導体装置の構造若しくは偏波、又は用途に見合ったものを選択すればよい。そのため、ダイポールアンテナであれば折り返しダイポールアンテナであってもよい。ループアンテナであれば、円形ループアンテナ、方形ループアンテナであってもよい。パッチアンテナであれば円形パッチアンテナ、方形パッチアンテナであってもよい。
パッチアンテナの場合、セラミック等の誘電材料を用いたアンテナを用いればよい。パッチアンテナの基板として用いる誘電材料の誘電率を高くすることによってアンテナを小型化することができる。また、パッチアンテナの場合、機械強度が高いため、繰り返し使用することが可能である。
パッチアンテナの誘電材料は、セラミック、有機樹脂、又はセラミックと有機樹脂の混合物等で形成することができる。セラミックの代表例としては、アルミナ、ガラス、フォルステライト等が挙げられる。さらには、複数のセラミックを混合して用いてもよい。また、高い誘電率を得るためには、誘電体層を、強誘電体材料で形成することが好ましい。強誘電体材料の代表例としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等が挙げられる。さらには、複数の強誘電体材料を混合して用いてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、半導体装置を物品の情報を記憶するRFタグとして利用し、通信装置よりRFタグの情報を送受信する具体例について示し説明する。RFタグは、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの具体例に関して図11を用いて説明する。本実施の形態で説明する無線通信方法は、上記実施の形態で説明したように、半導体装置であるRFタグから通信装置への無線信号の送信が障害物により難しい状況でも、他の半導体装置を経由して送信可能ですることができる。このため、図11に示すように、通信装置に対して、障害物の裏に位置する物品に添付されたRFタグの情報を読み取ることが可能となる。また、半導体装置であるRFタグは上記実施の形態で示したように薄膜トランジスタを用いることで薄型化できるため、物品のデザイン性の低下を防ぐことができる。
図11に本実施の形態の無線通信方法の構成の一態様を示す。図11に示すRFタグ1701は、非接触で通信装置1703とデータの送受信を行う非接触型である。電波圏内1702に存在するRFタグ1701は、通信装置1703からの第1の無線信号を受信することができる。
図11において、通信装置1703は包装用容器類1705、記憶媒体1706、書籍類1707が電波圏内1702に存在し、通信装置1703はコンピュータ1704と電気的に接続され、商品の管理または商品の情報の読み取り等をおこなう。なお、包装用容器類1705とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指すものとする。また、書籍類1707とは、書物、本等を指すものとする。また、記憶媒体1706とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指すものとする。図11において、電波圏内1702に存在するRFタグ1701を有する包装用容器類1705、記憶媒体1706、書籍類1707は、通信装置1703により第1の無線信号が送信され、それぞれのRFタグ内の情報を読み出される。しかし、記憶媒体1706に貼付されたRFタグ1701は、障害物1700によってRFタグ1701から通信装置1703への第2の無線信号の送信が、困難な場合があり得る。その際に、上記実施の形態で説明した無線通信方法を用いることによって、別の商品、ここでは包装用容器類1705に貼付されたRFタグ1701または書籍類1707に貼付されたRFタグ1701を経由することで、通信装置1703は障害物1700の裏に位置する記憶媒体1706に貼付されたRFタグ1701の存在を確認することができる。
包装用容器類1705、記憶媒体1706、書籍類1707等にRFタグ1701を設け、上記実施の形態で説明した無線通信方法を用いることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどでの、無線信号の障害物となりうる位置にあるRFタグの個体情報の検出漏れを防ぐことが出来る。RFタグ1701の設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。このようにして、包装用容器類1705、記憶媒体1706、書籍類1707等にRFタグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。
以上のように、本実施の形態で説明した、無線通信方法に用いる半導体装置は物品であればどのようなものにでも設けて使用してもよく、ほかにも紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に使用することができる。本実施の形態は、上述した他の実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
なお、本実施の形態は、本明細書の実施の形態の技術的要素と組み合わせて行うことができる。