JP2008281612A - 有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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勝秀 内野
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Abstract

【課題】第1ノード初期化トランジスタと第2ノード初期化トランジスタに印加される電圧を共通化できる有機EL発光部の駆動回路、係る駆動回路を用いた駆動方法、及び、係る駆動回路を備えた有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置は、走査回路、映像信号出力回路、N×M個の有機EL素子、走査線、データ線、並びに、電流供給部を備え、各有機EL素子は、駆動回路及び発光部を備えており、駆動回路は、駆動トランジスタTDrv、映像信号書込みトランジスタTSig、コンデンサ部C1、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2から構成されており、駆動トランジスタTDrvはデプレッション型のトランジスタから成り、第1ノード初期化トランジスタTND1の一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタTND2の一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線PS_comに接続されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、有機EL素子と略称する)を発光素子として用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、有機EL表示装置と略称する)において、有機EL素子の輝度は、有機EL素子を流れる電流値によって制御される。そして、液晶表示装置と同様に、有機EL表示装置においても、駆動方式として、単純マトリクス方式、及び、アクティブマトリクス方式が周知である。アクティブマトリクス方式は、単純マトリクス方式に比べて構造が複雑となるといった欠点はあるが、画像の輝度を高いものとすることができる等、種々の利点を有する。
有機EL素子を構成する有機エレクトロルミネッセンス発光部(以下、単に、発光部と略称する)を駆動するための回路として、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部から構成された駆動回路(5Tr/1C駆動回路と呼ぶ)が、例えば、特開2006−215213号公報から周知である。この5Tr/1C駆動回路は、図18に示すように、映像信号書込みトランジスタTSig、駆動トランジスタTDrv、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2の5つのトランジスタから構成され、更には、1つのコンデンサ部C1から構成されている。ここで、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域は第2ノードND2を構成し、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は第1ノードND1を構成する。
発光部ELPのアノード電極は、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域に接続されている。一方、発光部ELPのカソード電極には、電圧VCat(例えば、0ボルト)が印加される。符号CELは発光部ELPの寄生容量を表す。
駆動のタイミングチャートを模式的に図19に示し、各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に図20の(A)〜(D)及び図21の(A)〜(E)に示す。図19に示すように、[期間−TP(5)1]において、閾値電圧キャンセル処理を行うための前処理が実行される。即ち、図20の(B)に示すように、第1ノード初期化トランジスタTND1及び第2ノード初期化トランジスタTND2をオン状態とすることで、第1ノードND1の電位は、VOfs(例えば、0ボルト)となる。一方、第2ノードND2の電位は、VSS(例えば、−10ボルト)となる。そして、これによって、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差が、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vth以上となる。駆動トランジスタTDrvはオン状態である。
次いで、図19に示すように、[期間−TP(5)2]において、閾値電圧キャンセル処理が行われる。図20の(D)に示すように、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とする。その結果、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位は変化する。即ち、浮遊状態の第2ノードND2の電位が上昇する。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差がVthに達すると、駆動トランジスタTDrvがオフ状態となる。この状態にあっては、第2ノードの電位は、概ね(VOfs−Vth)である。その後、[期間−TP(5)3]において、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタTEL_Cをオフ状態とする。次に、[期間−TP(5)4]において、第1ノード初期化トランジスタTND1をオフ状態とする。
次いで、図19に示すように、[期間−TP(5)5]において、駆動トランジスタTDrvに対する書込み処理を行う。具体的には、図21の(C)に示すように、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cのオフ状態を維持したまま、データ線DTLの電位を映像信号に相当する電圧[発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号(駆動信号、輝度信号)VSig]とし、次いで、走査線SCLをハイレベルとすることによって映像信号書込みトランジスタTSigをオン状態とする。その結果、第1ノードND1の電位は、VSigへと上昇する。第1ノードND1の電位の変化分に基づく電荷は、コンデンサ部C1、発光部ELPの寄生容量CEL、駆動トランジスタTDrvにおけるゲート電極と発光部ELP側のソース/ドレイン領域との間の寄生容量に振り分けられる。従って、第1ノードND1の電位が変化すると、第2ノードND2の電位も変化する。しかし、発光部ELPの寄生容量CELの容量値が大きな値である程、第2ノードND2の電位の変化は小さくなる。そして、一般に、発光部ELPの寄生容量CELの容量値は、コンデンサ部C1の容量値及び駆動トランジスタTDRVの寄生容量の値よりも大きい。そこで、第2ノードND2の電位は殆ど変化しないとすれば、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差Vgsは、以下の式(A)のとおりとなる。
gs≒VSig−(VOfs−Vth) (A)
その後、図19に示すように、[期間−TP(5)6]において、駆動トランジスタTDrvの特性(例えば、移動度μの大小等)に応じて駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域の電位(即ち、第2ノードND2の電位)を上昇させる移動度補正処理を行う。具体的には、図21の(D)に示すように、駆動トランジスタTDrvのオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とし、次いで、所定の時間(t0)が経過した後、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とする。その結果、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は大きくなり、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は小さくなる。ここで、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差Vgsは、式(A)から以下の式(B)のように変形される。尚、移動度補正処理を実行するための所定の時間([期間−TP(5)6]の全時間t0)は、有機EL表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。
gs≒VSig−(VOfs−Vth)−ΔV (B)
以上の操作によって、閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理が完了する。そして、その後の[期間−TP(5)7]において、映像信号書込みトランジスタTSigがオフ状態となり、第1ノードND1、即ち、図21の(E)に示すように、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は浮遊状態となる一方、発光制御トランジスタTEL_Cはオン状態を維持しており、発光制御トランジスタTEL_Cの一方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPの発光を制御するための電流供給部(電圧VCC、例えば20ボルト)に接続された状態にある。従って、以上の結果として、第2ノードND2の電位が上昇し、所謂ブートストラップ回路におけると同様の現象が駆動トランジスタTDrvのゲート電極に生じ、第1ノードND1の電位も上昇する。その結果、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差Vgsは、式(B)の値を保持する。また、発光部ELPを流れる電流は、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域からソース領域へと流れるドレイン電流Idsであるので、式(C)で表すことができる。
ds=k・μ・(Vgs−Vth2
=k・μ・(VSig−VOfs−ΔV)2 (C)
尚、以上に概要を説明した従来の5Tr/1C駆動回路の動作等の詳細については、後述する実施例1の説明において、実施例1と相違点を対比させつつ説明する。
特開2006−215213号公報
ところで、例えば図18に示す従来の5Tr/1C駆動回路を備えた有機EL素子においては、映像信号が送られるデータ線DTL、トランジスタを制御するための各種配線(図18に示す走査線SCL、発光制御トランジスタ制御線CLEL_C、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1、及び、第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2)の他、所定の電圧を供給する4種の配線(即ち、電圧VCC,VOfs,VSS,VCatの供給用の配線)が必要となる。第1ノード初期化トランジスタと第2ノード初期化トランジスタには、2種類の電圧、具体的には、電圧VOfsと電圧VSSという異なる値の電圧が印加されるので、これらの電圧を供給するための配線は、それぞれ別の配線として形成される必要がある。有機EL素子を備えた有機EL表示装置の製造の容易化、歩留まりの向上等を図る観点からは、有機EL素子を構成する駆動回路に印加する電圧の種類や配線の本数は少ないことが望ましい。
従って、本発明の目的は、第1ノード初期化トランジスタと第2ノード初期化トランジスタに印加される電圧を共通化でき、所定の電圧を供給する配線の本数を削減することができる構成、構造を有する有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、係る駆動回路を用いた有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、係る駆動回路を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、
(1)走査回路、
(2)映像信号出力回路、
(3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列された有機エレクトロルミネッセンス素子、
(4)走査回路に接続され、第1の方向に延びるM本の走査線、
(5)映像信号出力回路に接続され、第2の方向に延びるN本のデータ線、並びに、
(6)電流供給部、
を備え、
各有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレクトロルミネッセンス発光部、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路を備えている。
上記の目的を達成するための本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、及び、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置を構成する有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、並びに、本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法に用いられる駆動回路(以下、これらを単に、本発明の駆動回路と呼ぶ場合がある)は、
(A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた駆動トランジスタ、
(B)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタ、
(C)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、
(D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ、並びに、
(E)一対の電極を備えたコンデンサ部、
から構成されており、
駆動トランジスタにおいては、
(A−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部に接続されており、
(A−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部の一方の電極に接続されており、第2ノードを構成し、
(A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部の他方の電極に接続されており、第1ノードを構成し、
映像信号書込みトランジスタにおいては、
(B−1)一方のソース/ドレイン領域は、データ線に接続されており、
(B−2)ゲート電極は、走査線に接続されており、
第1ノード初期化トランジスタにおいては、
(C−1)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードに接続されており、
(C−2)ゲート電極は、第1ノード初期化トランジスタ制御線に接続されており、
第2ノード初期化トランジスタにおいては、
(D−1)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードに接続されており、
(D−2)ゲート電極は、第2ノード初期化トランジスタ制御線に接続されている。
上記の目的を達成するための本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法(以下、単に、本発明の駆動方法と呼ぶ場合がある)は、上述した本発明の駆動回路を用いて、
(a)第1ノードと第2ノードとの間の電位差が、駆動トランジスタの閾値電圧を越え、且つ、第2ノードと有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたカソード電極との間の電位差が、有機エレクトロルミネッセンス発光部の閾値電圧を越えないように、第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノードに第2ノード初期化電圧を印加する前処理を行い、次いで、
(b)第1ノードの電位を保った状態で、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードの電位よりも高く保つことにより第2ノードの電位を上昇させ、以て、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行い、その後、
(c)走査線からの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタを介して、データ線から映像信号を第1ノードに印加する書込み処理を行い、次いで、
(d)走査線からの信号により映像信号書込みトランジスタをオフ状態とすることにより第1ノードを浮遊状態とし、電流供給部から駆動トランジスタを介して、第1ノードと第2ノードとの間の電位差の値に応じた電流を有機エレクトロルミネッセンス発光部に流す、
ことにより、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動する駆動方法である。
そして、本発明の駆動回路、及び、本発明の駆動方法のための駆動回路にあっては、駆動トランジスタはデプレッション型のトランジスタから成り、第1ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の駆動方法にあっては、前記工程(a)において、第1ノード初期化トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタを介して、同一の初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノード初期化トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタを介して、同一の初期化電圧供給線から第2ノードに第1ノード初期化電圧と同じ値の第2ノード初期化電圧を印加することを特徴とする。
上述したように、本発明の駆動回路においては、駆動トランジスタはデプレッション型のトランジスタから成り、第1ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線に接続されている。後述するように、本発明の駆動方法にあっては、閾値電圧キャンセル処理を行うための前処理においては、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差(即ち、第1ノードと第2ノードとの間の電位差)をVth以上とし、駆動トランジスタTDrvをオン状態としなければならない。本発明の駆動回路においては、第1ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線に接続されているので、前処理において、第1ノードと第2ノードには同一の初期化電圧が印加される。しかし、駆動トランジスタをデプレッション型のトランジスタ(換言すれば、駆動トランジスタの閾値電圧の値は負である)とすることにより、前処理において、支障なく駆動トランジスタTDrvをオン状態とすることができる。これにより、閾値電圧キャンセル処理等に支障を与えることなく、所定の電圧を供給する配線の本数を削減することができる。
ここで、本発明の駆動回路において、駆動トランジスタのゲート電極は、チャネル形成領域の一方の面と、ゲート絶縁層を介して対向しており、駆動トランジスタは、更に、チャネル形成領域の他方の面と、絶縁層を介して対向した補助電極を有しており、補助電極には、所定の電圧が印加される構成とすることができる。あるいは又、本発明の駆動回路において、駆動トランジスタのゲート電極は、チャネル形成領域の一方の面と、ゲート絶縁層を介して対向しており、駆動トランジスタは、更に、チャネル形成領域の他方の面と、絶縁層を介して対向した補助電極を有しており、補助電極は駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に接続されている構成とすることができる。有機EL表示装置にあっては、量産性等の観点から、駆動回路を構成する各トランジスタをnチャネル型の薄膜トランジスタ等から成るものとし、共通のプロセスにより形成することが便宜である。また、アモルファスシリコン薄膜によってトランジスタを形成する場合、プロセスによりトランジスタをデプレッション型とすることは、製造上、容易ではない。これらの補助電極がチャネル形成領域に及ぼす電界に基づき、半導体製造プロセスに依らずに駆動トランジスタをデプレッション型とすることができるので、駆動回路を製造するプロセスの共通化を図ることができる。前者の構成において補助電極に印加する電圧の値、あるいは、前者及び後者の構成における補助電極の形状等は、駆動回路の設計に応じて、適宜設定すればよい。尚、補助電極が駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に接続されている構成にあっては、必ずしも補助電極に印加される電圧は一定ではなく、駆動回路の動作に応じて変化することがあり得る。従って、必ずしも駆動回路の動作全般に亘り駆動トランジスタがデプレッション型の挙動を示さないことがあり得る。しかし、本発明においては、少なくとも上述した前処理において駆動トランジスタがデプレッション型の挙動を示せば、前処理において駆動トランジスタTDrvをオン状態とすることができる。これにより、閾値電圧キャンセル処理等に支障を与えることなく、所定の電圧を供給する配線の本数を削減することができる。従って、本発明において「駆動トランジスタはデプレッション型のトランジスタから成る」とは、駆動回路の動作全般に亘り駆動トランジスタがデプレッション型の挙動を示す態様の他、少なくとも上述した前処理において駆動トランジスタがデプレッション型の挙動を示す態様のいずれもが含まれる。
上述した4つのトランジスタと1つのコンデンサ部から成る構成の他、以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の駆動回路は、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた発光制御トランジスタを更に備えており、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と電流供給部とは、発光制御トランジスタを介して接続されており、発光制御トランジスタのゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線に接続されている構成(即ち、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部から成る構成)とすることもできる。また、本発明の駆動方法において、前記工程(b)において、発光制御トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタを介して、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させ、以て、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードの電位よりも高く保つ構成とすることができる。
本発明の駆動方法にあっては、工程(b)において、第1ノードの電位を保った状態で、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードの電位よりも高く保つことにより第2ノードの電位を上昇させ、以て、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行なう。より具体的には、第1ノードの電位を保った状態で、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させるために、前記工程(a)における第2ノードの電位に駆動トランジスタの閾値電圧を加えた電圧を超える電圧を、電流供給部から駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に印加した状態を保つ。定性的には、閾値電圧キャンセル処理において、第1ノードと第2ノードとの間の電位差(換言すれば、駆動トランジスタのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差)が駆動トランジスタの閾値電圧に近づく程度は、閾値電圧キャンセル処理の時間により左右される。従って、例えば閾値電圧キャンセル処理の時間を充分長く確保した形態にあっては、第2ノードの電位は第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に達する。そして、第1ノードと第2ノードとの間の電位差は駆動トランジスタの閾値電圧に達し、駆動トランジスタはオフ状態となる。一方、例えば閾値電圧キャンセル処理の時間を短く設定せざるを得ない形態にあっては、第1ノードと第2ノードとの間の電位差が駆動トランジスタの閾値電圧より大きく、駆動トランジスタはオフ状態とはならない場合がある。本発明の駆動方法にあっては、閾値電圧キャンセル処理の結果として、必ずしも駆動トランジスタがオフ状態となることを要しない。
尚、以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の駆動方法においては、前記工程(c)と前記工程(d)の間において、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(c)における第2ノードの電位よりも高く保つと共に、走査線からの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタを介してデータ線から映像信号を第1ノードに印加し、以て、駆動トランジスタの特性に応じて第2ノードの電位を上昇させる移動度補正処理を行う構成とすることができる。あるいは又、前記工程(c)において、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(b)における第2ノードの電位よりも高く保つと共に、走査線からの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタを介してデータ線から映像信号を第1ノードに印加し、以て、書込み処理において実質的に移動度補正処理を併せて行う構成とすることもできる。
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、有機EL表示装置と略称する場合がある)、本発明の駆動回路、及び、本発明の駆動方法(以下、これらを単に、本発明と略称する場合がある)において、走査回路、映像信号出力回路等の各種の回路、走査線、データ線等の各種の配線、電流供給部、有機エレクトロルミネッセンス発光部(以下、単に、発光部と呼ぶ場合がある)の構成、構造は、周知の構成、構造とすることができる。具体的には、発光部は、例えば、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソード電極等から構成することができる。
駆動回路を構成するトランジスタとして、nチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)を挙げることができるが、場合によっては、例えば、発光制御トランジスタや映像信号書込みトランジスタ等にpチャネル型の薄膜トランジスタを用いることもできる。コンデンサ部は、一方の電極、他方の電極、及び、これらの電極に挟まれた誘電体層(絶縁層)から構成することができる。駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部は、或る平面内に形成され(例えば、支持体上に形成され)、発光部は、例えば、層間絶縁層を介して、駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部の上方に形成されている。また、駆動トランジスタの他方のソース/ドレイン領域は、発光部に備えられたアノード電極に、例えば、コンタクトホールを介して接続されている。尚、半導体基板等にトランジスタを形成した構成であってもよい。
有機EL表示装置は、(N/3)×M個の2次元マトリクス状に配列された画素から構成され、1つの画素は、3つの副画素(赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、青色を発光する青色発光副画素)から構成されている形態とすることができるが、本発明は、これに限るものではない。例えば、有機EL表示装置は、所謂モノクロ表示の態様とすることもできる。
各画素を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、有機EL素子と略称する場合がある)は、例えば、線順次駆動される。この場合の表示フレームレートをFR(回/秒)とする。即ち、第m行目(但し、m=1,2,3・・・M)に配列された(N/3)個の画素、より具体的には、N個の副画素のそれぞれを構成する有機EL素子を同時に駆動することができる。換言すれば、1つの行を構成する各有機EL素子にあっては、その発光/非発光のタイミングは、それらが属する行単位で制御される。但し、線順次駆動される態様に限定するものではなく、有機EL素子が点順次駆動される態様であってもよい。
尚、線順次駆動の際に1つの行を構成する各画素について映像信号を書き込む処理は、全ての画素について同時に映像信号を書き込む処理(以下、単に、同時書込み処理と呼ぶ場合がある)であってもよいし、各画素毎に順次映像信号を書き込む処理(以下、単に、順次書込み処理と呼ぶ場合がある)であってもよい。いずれの書込み処理とするかは、駆動回路の構成に応じて適宜選択すればよい。
原則として、第m行目、第n列(但し、n=1,2,3・・・N)に位置する有機EL素子に関する駆動、動作を説明するが、係る有機EL素子を、以下、第(n,m)番目の有機EL素子あるいは第(n,m)番目の副画素と呼ぶ。そして、第m行目に配列された各有機EL素子の水平走査期間(第m番目の水平走査期間)が終了するまでに、各種の処理(閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理)が行われる。尚、書込み処理や移動度補正処理は、第m番目の水平走査期間内に行われる必要がある。閾値電圧キャンセル処理やこれに伴う前処理は、第m番目の水平走査期間より先行して行うことができる。
そして、上述した各種の処理が全て終了した後、第m行目に配列された各有機EL素子を構成する発光部を発光させる。尚、上述した各種の処理が全て終了した後、直ちに発光部を発光させてもよいし、所定の期間(例えば、所定の行数分の水平走査期間)が経過した後に発光部を発光させてもよい。この所定の期間は、有機EL表示装置の仕様や駆動回路の構成等に応じて、適宜設定することができる。尚、以下の説明においては、説明の便宜のため、各種の処理終了後、直ちに発光部を発光させるものとする。そして、第m行目に配列された各有機EL素子を構成する発光部の発光は、第(m+m’)行目に配列された各有機EL素子の水平走査期間の開始直前まで継続される。ここで、「m’」は、有機EL表示装置の設計仕様によって決定される。即ち、或る表示フレームの第m行目に配列された各有機EL素子を構成する発光部の発光は、第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続される。一方、第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、次の表示フレームにおける第m番目の水平走査期間内において、書込み処理や移動度補正処理が完了するまで、第m行目に配列された各有機EL素子を構成する発光部は、非発光状態を維持する。上述した非発光状態の期間(以下、単に、非発光期間と呼ぶ場合がある)を設けることにより、アクティブマトリクス駆動に伴う残像ボケが低減され、動画品位をより優れたものとすることができる。但し、各副画素(有機EL素子)の発光状態/非発光状態は、以上に説明した状態に限定するものではない。また、水平走査期間の時間長は、(1/FR)×(1/M)秒未満の時間長である。(m+m’)の値がMを越える場合、越えた分の水平走査期間は、次の表示フレームにおいて処理される。
1つのトランジスタの有する2つのソース/ドレイン領域において、「一方のソース/ドレイン領域」という用語を、電源部に接続された側のソース/ドレイン領域といった意味において使用する場合がある。また、トランジスタがオン状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されている状態を意味する。係るトランジスタの一方のソース/ドレイン領域から他方のソース/ドレイン領域に電流が流れているか否かは問わない。一方、トランジスタがオフ状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されていない状態を意味する。また、或るトランジスタのソース/ドレイン領域が他のトランジスタのソース/ドレイン領域に接続されているとは、或るトランジスタのソース/ドレイン領域と他のトランジスタのソース/ドレイン領域とが同じ領域を占めている形態を包含する。更には、ソース/ドレイン領域は、不純物を含有したポリシリコンやアモルファスシリコン等の導電性物質から構成することができるだけでなく、金属、合金、導電性粒子、これらの積層構造、有機材料(導電性高分子)から成る層から構成することができる。また、以下の説明において参照する各種のタイミングチャートにおいて、各期間を示す横軸の長さ(時間長)は模式的なものであり、各期間の時間長の割合を示すものではない。
本発明の発光部を駆動するための駆動回路にあっては、前処理において、第1ノードと第2ノードには同一の初期化電圧が印加される。しかし、駆動トランジスタがデプレッション型のトランジスタであるので、前処理において支障なく駆動トランジスタがオン状態となる。従って、閾値電圧キャンセル処理等に支障を与えることなく、第1ノード及び第2ノードの電位を初期化するための電圧を供給する配線の本数を削減することができる。本発明の駆動回路を用いた本発明の発光部の駆動方法にあっては、第1ノード初期化トランジスタと第2ノード初期化トランジスタに印加される電圧が共通化されても、支障なく閾値電圧キャンセル処理等を行うことができる。本発明の有機EL表示装置にあっては、駆動回路に印加する電圧の種類や配線の本数が削減されているので、有機EL表示装置の構造を簡単なものとすることができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の有機EL表示装置、本発明の発光部を駆動するための駆動回路、及び、本発明の発光部の駆動方法に関する。尚、上述した背景技術における駆動回路との対比の便宜上、先ず、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部から成る駆動回路を備えた実施例について説明する。
実施例1の駆動回路の等価回路図を図1に示し、実施例1の有機EL表示装置の概念図を図2に示す。有機EL素子10の一部分の模式的な一部断面図を図3に示す。駆動のタイミングチャートを模式的に図4に示し、各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に図5の(A)〜(D)及び図6の(A)〜(E)に示す。
先ず、実施例1の有機EL表示装置、及び、駆動回路について説明する。実施例1の有機EL表示装置は、図2に示すように、
(1)走査回路101、
(2)映像信号出力回路102、
(3)第1の方向(実施例1においては水平方向)にN個、第1の方向とは異なる第2の方向(具体的には、第1の方向に直交する方向、実施例1においては垂直方向)にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列された有機EL素子10、
(4)走査回路101に接続され、第1の方向に延びるM本の走査線SCL、
(5)映像信号出力回路102に接続され、第2の方向に延びるN本のデータ線DTL、並びに、
(6)電流供給部100、
を備えている。後述する他の実施例においても同様である。
尚、図2及び後述する図13においては、3×3個の有機EL素子10を図示しているが、これは、あくまでも例示に過ぎない。
そして、各有機EL素子10は、駆動回路、及び、発光部ELPを備えている。ここで、発光部ELPは、例えば、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソード電極等の周知の構成、構造を有する。走査回路101、映像信号出力回路102、走査線SCL、データ線DTL、電流供給部100の構成、構造は、周知の構成、構造とすることができる。また、後述する発光制御トランジスタ制御回路103、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104、第2ノード初期化トランジスタ制御回路105の構成、構造も、周知の構成、構造とすることができる。後述する他の実施例においても同様である。
図1に示す実施例1の駆動回路は、背景技術で説明した従来の駆動回路と同様に、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部C1から構成された駆動回路から構成されている。即ち、実施例1の駆動回路は、図1に示すように、(A)駆動トランジスタTDrv、(B)映像信号書込みトランジスタTSig、(C)第1ノード初期化トランジスタTND1、(D)第2ノード初期化トランジスタTND2、並びに、(E)一対の電極を備えたコンデンサ部C1から構成されており、更に、(F)発光制御トランジスタTEL_Cを備えている。後述する実施例2においても同様である。
駆動トランジスタTDrv、映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cは、それぞれ、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた、nチャネル型のTFTから成る。後述する他の実施例においても同様である。尚、映像信号書込みトランジスタTSig、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、及び、第2ノード初期化トランジスタTND2をpチャネル型のTFTから形成してもよい。
駆動トランジスタTDrvにおいては、
(A−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部100に接続されており、
(A−2)他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPに備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部C1の一方の電極に接続されており、第2ノードND2を構成し、
(A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタTSigの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部C1の他方の電極に接続されており、第1ノードND1を構成する。後述する他の実施例においても同様である。
駆動トランジスタTDrvは、有機EL素子10の発光状態においては、以下の式(1)に従ってドレイン電流Idsを流すように駆動される。有機EL素子10の発光状態においては、駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域はドレイン領域として働き、他方のソース/ドレイン領域はソース領域として働く。説明の便宜のため、以下の説明において、駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域を単にドレイン領域と呼び、他方のソース/ドレイン領域を単にソース領域と呼ぶ場合がある。尚、
μ :実効的な移動度
L :チャネル長
W :チャネル幅
gs:ゲート電極とソース領域との間の電位差
th:閾値電圧
ox:(ゲート絶縁層の比誘電率)×(真空の誘電率)/(ゲート絶縁層の厚さ)
k≡(1/2)・(W/L)・Cox
とする。
ds=k・μ・(Vgs−Vth2 (1)
このドレイン電流Idsが有機EL素子10の発光部ELPを流れることで、有機EL素子10の発光部ELPが発光する。更には、このドレイン電流Idsの値の大小によって、有機EL素子10の発光部ELPにおける発光状態(輝度)が制御される。
そして、映像信号書込みトランジスタTSigにおいては、
(B−1)一方のソース/ドレイン領域は、データ線DTLに接続されており、
(B−2)ゲート電極は、走査線SCLに接続されている。後述する他の実施例においても同様である。
映像信号書込みトランジスタTSigの一方のソース/ドレイン領域は、上述のとおり、データ線DTLに接続されている。そして、映像信号出力回路102からデータ線DTLを介して、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSigが、一方のソース/ドレイン領域に供給される。尚、データ線DTLを介して、VSig以外の種々の信号・電圧(プリチャージ駆動のための信号や各種の基準電圧等)が、一方のソース/ドレイン領域に供給されてもよい。また、映像信号書込みトランジスタTSigのオン/オフ動作は、映像信号書込みトランジスタTSigのゲート電極に接続された走査線SCLによって制御される。
また、第1ノード初期化トランジスタTND1においては、
(C−1)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードND1に接続されており、
(C−2)ゲート電極は、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1に接続されている。第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1は、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104に接続されている。後述する他の実施例においても同様である。
第1ノード初期化トランジスタTND1のオン/オフ動作は、第1ノード初期化トランジスタTND1のゲート電極に接続された第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1によって制御される。
そして、第2ノード初期化トランジスタTND2においては、
(D−1)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードND2に接続されており、
(D−2)ゲート電極は、第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2に接続されている。第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2は、第2ノード初期化トランジスタ制御回路105に接続されている。後述する他の実施例においても同様である。
第2ノード初期化トランジスタTND2のオン/オフ動作は、第2ノード初期化トランジスタTND2のゲート電極に接続された第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2によって制御される。
上述したように、駆動回路は、発光制御トランジスタTEL_Cを更に備えている。駆動トランジスタTDrvのドレイン領域と電流供給部100とは、発光制御トランジスタTEL_Cを介して接続されている。発光制御トランジスタTEL_Cのゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cに接続されている。発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cは、発光制御トランジスタ制御回路103に接続されている。後述する実施例2においても同様である。
より具体的には、発光制御トランジスタTEL_Cの一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部100(電圧VCC)に接続され、発光制御トランジスタTEL_Cの他方のソース/ドレイン領域は、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域に接続されている。また、発光制御トランジスタTEL_Cのオン/オフ動作は、発光制御トランジスタTEL_Cのゲート電極に接続された発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cによって制御される。尚、電流供給部100は、有機EL素子10の発光部ELPに電流を供給し、発光部ELPの発光を制御するために設けられている。
実施例1及び後述する他の実施例においては、駆動トランジスタTDrvはデプレッション型のトランジスタから成り、第1ノード初期化トランジスタTND1の一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタTND2の一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線PScomに接続されている。初期化電圧供給線PScomによって、後述する初期化用の電圧VOfs_comが供給される。尚、実施例1及び後述する他の実施例においては、駆動トランジスタTDrv以外の各トランジスタは、エンハンスメント型としたが、これに限るものではない。
発光部ELPのアノード電極は、上述のとおり、駆動トランジスタTDrvのソース領域に接続されている。一方、発光部ELPのカソード電極には、電圧VCatが印加される。発光部ELPの寄生容量を符号CELで表す。また、発光部ELPの発光に必要とされる閾値電圧をVth-ELとする。即ち、発光部ELPのアノード電極とカソード電極との間にVth-EL以上の電圧が印加されると、発光部ELPは発光する。
尚、図18を用いて説明した従来の5Tr/1C駆動回路は、駆動トランジスタTDrvがエンハンスメント型であり、第1ノード初期化トランジスタTND1の一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタTND2の一方のソース/ドレイン領域とが、それぞれ異なる初期化電圧供給線に接続される点が相違する他、上記と同様の構成を有する。
図3に示すように、実施例1における駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部C1は支持体20上に形成され、発光部ELPは、例えば、層間絶縁層42を介して、駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部C1の上方に形成されている。また、駆動トランジスタTDrvのソース領域は、発光部ELPに備えられたアノード電極に、コンタクトホールを介して接続されている。尚、図3においては、駆動トランジスタTDrvのみを図示する。駆動トランジスタTDrv以外のトランジスタは隠れて見えない。
実施例1においては、駆動トランジスタTDrvは補助電極41を有する、デプレッション型のnチャネル型トランジスタから成る。駆動トランジスタTDrvは、ゲート電極31、ゲート絶縁層32、半導体層33、半導体層33に設けられたソース/ドレイン領域35、及び、ソース/ドレイン領域35の間の半導体層33の部分が該当するチャネル形成領域34、及び、補助電極41から構成されている。後述する他の実施例においても同様である。
駆動トランジスタTDrvのゲート電極31は、チャネル形成領域34の一方の面と、ゲート絶縁層32を介して対向している。駆動トランジスタTDrvは、更に、チャネル形成領域34の他方の面と、絶縁層40を介して対向した補助電極41を有している。後述する他の実施例においても同様である。
実施例1においては、補助電極41には、所定の電圧(実施例1においては、電圧VCC)が印加される。補助電極41がチャネル形成領域34に及ぼす電界に基づき、半導体製造プロセスに依らずに駆動トランジスタTDrvをデプレッション型とすることができる。尚、図3においては、補助電極41に電圧VCCを印加する配線部は隠れて見えない。
一方、コンデンサ部C1は、他方の電極36、ゲート絶縁層32の延在部から構成された誘電体層、及び、一方の電極37(第2ノードND2に相当する)から成る。ゲート電極31、ゲート絶縁層32の一部、及びコンデンサ部C1を構成する他方の電極36は、支持体20上に形成されている。駆動トランジスタTDrvのドレイン領域35は配線38に接続され、ソース領域35は一方の電極37に接続されている。駆動トランジスタTDrv及びコンデンサ部C1等は、層間絶縁層42で覆われており、層間絶縁層42上に、アノード電極51、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び、カソード電極53から成る発光部ELPが設けられている。尚、図面においては、正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層を1層52で表した。発光部ELPが設けられていない層間絶縁層42の部分の上には、第2層間絶縁層54が設けられ、第2層間絶縁層54及びカソード電極53上には透明な基板21が配置されており、発光層にて発光した光は、基板21を通過して、外部に出射される。尚、一方の電極37とアノード電極51とは、層間絶縁層42に設けられたコンタクトホールによって接続されている。また、カソード電極53は、第2層間絶縁層54、層間絶縁層42に設けられたコンタクトホール56,55を介して、ゲート絶縁層32の延在部上に設けられた配線39に接続されている。
尚、図18を用いて説明した従来の5Tr/1C駆動回路におけるトランジスタ及びコンデンサ部C1の構成については、駆動トランジスタTDrvが補助電極41を備えていない点が相違する他、上記で説明したと同様の構成を有する。
以上、実施例1の有機EL表示装置、及び、発光部ELPを駆動するための駆動回路の構成について説明し、併せて、従来の5Tr/1C駆動回路の構成を説明した。
次いで、上述した駆動回路を用いた発光部ELPの駆動方法の説明を行う。尚、上述したように、各種の処理(閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理)が全て完了した後、直ちに発光状態が始まるものとして説明するが、これに限るものではない。
後述する他の実施例も含め、以下の説明において、電圧あるいは電位の値を以下のとおりとするが、これは、あくまでも説明のための値であり、これらの値に限定されるものではない。
Sig :発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号
・・・0ボルト〜10ボルト
CC :発光部ELPの発光を制御するための電流供給部100の電圧
・・・20ボルト
Cat :発光部ELPのカソード電極に印加される電圧
・・・0ボルト
th-EL:発光部ELPの閾値電圧
・・・3ボルト
th :駆動トランジスタTDrvの閾値電圧
・・・−2ボルト
Ofs_com :駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位(即ち、第1ノードND1の電位)を初期化するための電圧、及び、駆動トランジスタTDrvのソース領域の電位(即ち、第2ノードND2の電位)を初期化するための電圧
・・・0ボルト
実施例1及び後述する他の実施例の駆動方法においては、(a)第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを越え、且つ、第2ノードND2と発光部ELPに備えられたカソード電極との間の電位差が、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELを越えないように、第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノードND2に第2ノード初期化電圧を印加する前処理を行う。
より具体的には、実施例1及び後述する実施例2の駆動方法にあっては、前記工程(a)において、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104の動作に基づき、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1からの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタTND1を介して、同一の初期化電圧供給線PS_comから第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加する。そして、その状態において、第2ノード初期化トランジスタ制御回路105の動作に基づき、第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2からの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタTND2を介して、同一の初期化電圧供給線PScomから第2ノードND2に第1ノード初期化電圧と同じ値の第2ノード初期化電圧を印加する。即ち、同一の初期化電圧供給線PScomから電圧VOfs_comを印加する。
実施例1及び後述する他の実施例の駆動方法においては、次いで、(b)第1ノードND1の電位を保った状態で、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードND2の電位よりも高く保つことにより第2ノードND2の電位を上昇させ、以て、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行う。
より具体的には、実施例1及び後述する実施例2の駆動方法にあっては、前記工程(b)において、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cからの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタTEL_Cを介して、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域を電流供給部100と導通させ、以て、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードND2の電位よりも高く保つ。
実施例1及び後述する他の実施例の駆動方法においては、その後、(c)走査線SCLからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介して、データ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加する書込み処理を行う。
より具体的には、実施例1及び後述する他の実施例の駆動方法にあっては、前記工程(c)において、走査回路101の動作に基づき、走査線SCLからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介して、映像信号出力回路102の動作に基づき、データ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加する。
実施例1及び後述する他の実施例の駆動方法においては、次いで、(d)走査線SCLからの信号により映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とすることにより第1ノードND1を浮遊状態とし、電流供給部100から駆動トランジスタTDrvを介して、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差の値に応じた電流を発光部ELPに流すことにより、発光部ELPを駆動する。
より具体的には、実施例1及び後述する実施例2の駆動方法にあっては、前記工程(d)において、走査回路101の動作に基づき、走査線SCLからの信号により映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とし、第1ノードND1を浮遊状態とする。そして、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cからの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタTEL_Cを介して、電流供給部100から第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差の値に応じた電流を発光部ELPに流すことにより、発光部ELPを駆動する。
尚、実施例1及び後述する実施例2においては、前記工程(c)と前記工程(d)の間において、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位を前記工程(c)における第2ノードND2の電位よりも高く保つと共に、走査線SCLからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介してデータ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加し、以て、駆動トランジスタの特性に応じて第2ノードの電位を上昇させる移動度補正処理を行う。
より具体的には、実施例1及び後述する実施例2においては、走査回路101の動作に基づき、走査線SCLからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介してデータ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加する。そして、その状態において、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cからの信号により発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態として駆動トランジスタTDrvのドレイン領域を電流供給部100と導通させ、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位を前記工程(b)における第2ノードND2の電位よりも高く保つ。これにより、駆動トランジスタTDrvの特性に応じて第2ノードND2の電位を上昇させる。
上記の工程(a)、工程(b)、工程(c)、工程(d)、及び、工程(c)と工程(d)の間において行う移動度補正処理を、図4、図5の(A)〜(D)、及び、図6の(A)〜(E)を参照して、以下、説明する。
尚、背景技術において、図18、図19、図20の(A)〜(D)、及び、図21の(A)〜(E)を参照して概略を説明した従来の5Tr/1C駆動回路における動作は、上記の工程(a)における動作の相違を除く他、実質的に実施例1と同様の動作となる。従来の5Tr/1C駆動回路におけるタイミングチャートである図19に示す各期間は、図4に示す各期間に対応する。これに対応して、図20の(A)〜(D)は図5の(A)〜(D)に対応し、図21の(A)〜(E)は図6の(A)〜(E)に対応する。
[期間−TP(5)-1](図4、及び、図5の(A)参照)
この[期間−TP(5)-1]は、例えば、前の表示フレームにおける動作であり、前回の各種の処理完了後に第(n,m)番目の有機EL素子10が発光状態にある期間である。即ち、第(n,m)番目の副画素を構成する有機EL素子10における発光部ELPには、後述する式(5)に基づくドレイン電流I’dsが流れており、第(n,m)番目の副画素を構成する有機EL素子10の輝度は、係るドレイン電流I’dsに対応した値である。ここで、映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1及び第2ノード初期化トランジスタTND2はオフ状態であり、発光制御トランジスタTEL_C及び駆動トランジスタTDrvはオン状態である。第(n,m)番目の有機EL素子10の発光状態は、第(m+m’)行目に配列された有機EL素子10の水平走査期間の開始直前まで継続される。後述する他の実施例においても同様である。
図4に示す[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)4]は、前回の各種の処理完了後の発光状態が終了した後から、次の書込み処理が行われる直前までの動作期間である。即ち、この[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)4]は、例えば、前の表示フレームにおける第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、現表示フレームにおける第(m−1)番目の水平走査期間の終期までの或る時間長さの期間である。後述する実施例2においても同様である。尚、[期間−TP(5)1]〜[期間−TP(5)4]を、現表示フレームにおける第m番目の水平走査期間内に含む構成とすることもできる。後述する実施例2においても同様である。
そして、この[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)4]において、第(n,m)番目の有機EL素子10は原則として非発光状態にある。即ち、[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)1]、[期間−TP(5)3]〜[期間−TP(5)4]においては、発光制御トランジスタTEL_Cはオフ状態であるので、有機EL素子10は発光しない。尚、[期間−TP(5)2]においては、発光制御トランジスタTEL_Cはオン状態となる。しかし、この期間においては後述する閾値電圧キャンセル処理が行われている。閾値電圧キャンセル処理の説明において詳しく述べるが、後述する式(2)を満たすことを前提とすれば、有機EL素子10が発光することはない。後述する実施例2においても同様である。
以下、[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)4]の各期間について、先ず、説明する。尚、[期間−TP(5)1]の始期や、[期間−TP(5)1]〜[期間−TP(5)4]の各期間の長さは、有機EL表示装置の設計に応じて適宜設定すればよい。後述する実施例2においても同様である。
[期間−TP(5)0
上述したように、この[期間−TP(5)0]において、第(n,m)番目の有機EL素子10は、非発光状態にある。映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2はオフ状態である。また、[期間−TP(5)-1]から[期間−TP(5)0]に移る時点で、発光制御トランジスタTEL_Cがオフ状態となるが故に、第2ノードND2の電位は、(Vth-EL+VCat)まで低下し、発光部ELPは非発光状態となる。また、第2ノードND2の電位低下に倣うように、浮遊状態の第1ノードND1の電位も低下する。後述する実施例2においても同様である。
[期間−TP(5)1](図4、図5の(B)及び(C)参照)
この期間内に、上記の工程(a)、即ち、上述した前処理を行う。
即ち、[期間−TP(5)1]の開始時、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104及び第2ノード初期化トランジスタ制御回路105の動作に基づき、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1及び第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2をハイレベルとし、第1ノード初期化トランジスタTND1及び第2ノード初期化トランジスタTND2をオン状態とする。尚、第1ノード初期化トランジスタTND1及び第2ノード初期化トランジスタTND2を同時にオン状態としてもよいし、第1ノード初期化トランジスタTND1を先にオン状態としてもよいし、第2ノード初期化トランジスタTND2を先にオン状態としてもよい。そして、実施例1の駆動方法にあっては、オン状態とされた第1ノード初期化トランジスタTND1を介して、同一の初期化電圧供給線PScomから第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加し、オン状態とされた第2ノード初期化トランジスタTND2を介して、同一の初期化電圧供給線PScomから第2ノードND2に第1ノード初期化電圧と同じ値の第2ノード初期化電圧を印加する。より具体的には、同一の初期化電圧供給線PScomから電圧VOfs_comを印加する。後述する実施例2においても同様である。
その結果、第1ノードND1の電位はVOfs_com(0ボルト)となる。一方、第2ノードND2の電位もVOfs_com(0ボルト)となる。第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差は0ボルトであり、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthは−2ボルトであるので、駆動トランジスタTDrvはオン状態となる。尚、第2ノードND2と発光部ELPに備えられたカソード電極との間の電位差は0ボルトであり、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELを越えない。
以上の処理により、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差がVth以上となる。駆動トランジスタTDrvはオン状態である。
この[期間−TP(5)1]の完了以前において、第2ノード初期化トランジスタ制御回路105の動作に基づき、第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2をローレベルとすることによって、第2ノード初期化トランジスタTND2をオフ状態とする。
尚、図18を用いて説明した従来の5Tr/1C駆動回路にあっては、駆動トランジスタTDrvがエンハンスメント型である。従って、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧が正の値となる。例えば、図18に示す駆動トランジスタの閾値電圧が3ボルトであるとすると、図20の(B)に示す状態で駆動トランジスタTDrvがオン状態であるためには、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が3ボルトを越えるように、電圧を印加する必要がある。このため、従来の5Tr/1C駆動回路にあっては、第1ノード初期化トランジスタTND1の一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタTND2の一方のソース/ドレイン領域とが、それぞれ異なる初期化電圧供給線に接続され、第1ノード初期化トランジスタTND1の一方のソース/ドレイン領域に電圧VOfs(例えば、0ボルト)、第2ノード初期化トランジスタTND2の一方のソース/ドレイン領域に電圧VSS(例えば、−10ボルト)を印加する必要があった。このため、これらの電圧を供給するための配線は、それぞれ別の配線として形成される必要があった。
一方、実施例1及び後述する他の実施例の駆動回路においては、駆動トランジスタTDrvがデプレッション型であるので、第1ノード初期化トランジスタTND1と第2ノード初期化トランジスタTND2に印加する電圧を共通化しても、図5の(B)に示す状態で、駆動トランジスタTDrvをオン状態とすることができる。従って、従来の5Tr/1C駆動回路に対して、実施例1においては、上述した前処理に支障を生ずることなく、駆動回路に印加する電圧の種類や電圧を供給するための配線を削減することができる。
上述したように、図18、図19、図20の(A)〜(D)、及び、図21の(A)〜(E)を参照して概略を説明した従来の5Tr/1C駆動回路における動作は、以上説明した点が相違する他、実施例1の駆動回路と実質的に同様の動作となる。
引き続き、実施例1の駆動回路につき、[期間−TP(5)2]以降の動作について説明する。
[期間−TP(5)2](図4、及び、図5の(D)参照)
この期間内に、上記の工程(b)、即ち、上述した閾値電圧キャンセル処理を行う。
即ち、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cからの信号により発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とする。駆動トランジスタTDrvのドレイン領域は電流供給部100と導通し、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位は、前記工程(a)における第2ノードND2の電位(具体的には、[期間−TP(5)1]で初期化された電位VOfs_com)よりも高く保たれる。その結果、第1ノードND1の電位は変化しないが(VOfs_com=0ボルトを維持)、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位は変化する。即ち、浮遊状態の第2ノードND2の電位が上昇する。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差がVthに達すると、駆動トランジスタTDrvがオフ状態となる。具体的には、浮遊状態の第2ノードND2の電位が(VOfs_com−Vth)に近づき、最終的に(VOfs_com−Vth)となる。ここで、以下の式(2)が保証されていれば、云い換えれば、式(2)を満足するように電位を選択、決定しておけば、発光部ELPが発光することはない。後述する実施例2においても同様である。
(VOfs_com−Vth)<(Vth-EL+VCat) (2)
この[期間−TP(5)2]にあっては、第2ノードND2の電位は、最終的に、(VOfs_com−Vth)となる。即ち、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vth、及び、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を初期化するための電圧VOfs_comのみに依存して、第2ノードND2の電位は決定される。そして、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELとは無関係である。後述する実施例2においても同様である。
[期間−TP(5)3](図4、及び、図6の(A)参照)
その後、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cをローレベルとすることによって、発光制御トランジスタTEL_Cをオフ状態とする。その結果、第1ノードND1の電位は変化せず(VOfs_com=0ボルトを維持)、浮遊状態の第2ノードND2の電位も変化せず、(VOfs_com−Vth=2ボルト)を保持する。後述する実施例2においても同様である。
[期間−TP(5)4](図4、及び、図6の(B)参照)
次いで、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104の動作に基づき第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1をローレベルとすることによって、第1ノード初期化トランジスタTND1をオフ状態とする。第1ノードND1及び第2ノードND2の電位は、実質上、変化しない。実際には、寄生容量等の静電結合により電位変化が生じ得るが、通常、これらは無視することができる。後述する実施例2においても同様である。
次いで、図4に示す[期間−TP(5)5]〜[期間−TP(5)7]の各期間について説明する。尚、後述するように、[期間−TP(5)5]において書込み処理が行われ、[期間−TP(5)6]において移動度補正処理が行われる。上述したように、これらの処理は、第m番目の水平走査期間内に行われる必要がある。説明の便宜のため、[期間−TP(5)5]の始期と[期間−TP(5)6]の終期とは、それぞれ、第m番目の水平走査期間の始期と終期とに一致するものとして説明する。後述する実施例2においても同様である。
[期間−TP(5)5](図4、及び、図6の(C)参照)
この期間内に、上記の工程(c)、即ち、上述した書込み処理を行う。
即ち、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cのオフ状態を維持したまま、映像信号出力回路102の動作に基づき、データ線DTLの電位を、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSigとし、次いで、走査回路101の動作に基づき、走査線SCLをハイレベルとすることによって、映像信号書込みトランジスタTSigをオン状態とする。その結果、第1ノードND1の電位は、VSigへと上昇する。後述する実施例2においても同様である。
ここで、コンデンサ部C1の容量は値c1であり、発光部ELPの寄生容量CELの容量は値cELである。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の寄生容量の値をcgsとする。駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位がVOfs_comからVSig(>VOfs_com)に変化したとき、コンデンサ部C1の両端の電位(第1ノードND1及び第2ノードND2の電位)は、原則として、変化する。即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位(=第1ノードND1の電位)の変化分(VSig−VOfs_com)に基づく電荷が、コンデンサ部C1、発光部ELPの寄生容量CEL、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の寄生容量に振り分けられる。然るに、値cELが、値c1及び値cgsと比較して十分に大きな値であれば、駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位の変化分(VSig−VOfs_com)に基づく駆動トランジスタTDrvのソース領域(第2ノードND2)の電位の変化は小さい。そして、一般に、発光部ELPの寄生容量CELの容量値cELは、コンデンサ部C1の容量値c1及び駆動トランジスタTDRVの寄生容量の値cgsよりも大きい。そこで、説明の便宜のため、特段の必要がある場合を除き、第1ノードND1の電位変化により生ずる第2ノードND2の電位変化は考慮せずに説明を行う。他の実施例においても同様である。尚、図4に示した駆動のタイミングチャートも、第1ノードND1の電位変化により生ずる第2ノードND2の電位変化を考慮せずに示した。駆動トランジスタTDrvのゲート電極(第1ノードND1)の電位をVg、駆動トランジスタTDrvのソース領域(第2ノードND2)の電位をVsとしたとき、Vgの値、Vsの値は以下のとおりとなる。それ故、第1ノードND1と第2ノードND2の電位差、即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、以下の式(3)で表すことができる。後述する実施例2においても同様である。
g =VSig
s ≒VOfs_com−Vth
gs≒VSig−(VOfs_com−Vth) (3)
即ち、駆動トランジスタTDrvに対する書込み処理において得られたVgsは、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSig、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vth、及び、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を初期化するための電圧VOfs_comのみに依存している。そして、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELとは無関係である。後述する実施例2においても同様である。
[期間−TP(5)6](図4、及び、図6の(D)参照)
その後、この期間内に、上述した移動度補正処理を行う。
例えば、駆動トランジスタTDrvをポリシリコン薄膜トランジスタ等から作製した場合、トランジスタ間で移動度μにばらつきが生じることは避け難い。従って、移動度μに差異がある複数の駆動トランジスタTDrvのゲート電極に同じ値の映像信号VSigを印加したとしても、移動度μの大きい駆動トランジスタTDrvを流れるドレイン電流Idsと、移動度μの小さい駆動トランジスタTDrvを流れるドレイン電流Idsとの間に、差異が生じてしまう。そして、このような差異が生じると、有機EL表示装置の画面の均一性(ユニフォーミティ)が損なわれてしまう。
そこで、駆動トランジスタTDrvのオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cをハイレベルとすることによって、発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とし、次いで、所定の時間(t0)が経過した後、走査回路101の動作に基づき走査線SCLをローレベルとすることによって、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とし、第1ノードND1を浮遊状態とする。そして、以上の結果、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位(即ち、第2ノードND2の電位)の上昇量ΔV(電位補正値)は大きくなり、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は小さくなる。ここで、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、式(3)から以下の式(4)のように変形される。後述する実施例2においても同様である。
gs≒VSig−(VOfs_com−Vth)−ΔV (4)
尚、移動度補正処理を実行するための所定の時間([期間−TP(5)6]の全時間t0)は、有機EL表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。また、このときの駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位(VOfs_com−Vth+ΔV)が以下の式(2’)を満足するように、[期間−TP(5)6]の全時間t0は決定されている。そして、これによって、[期間−TP(5)6]において、発光部ELPが発光することはない。更には、この移動度補正処理によって、係数k(≡(1/2)・(W/L)・Cox)のばらつきの補正も同時に行われる。後述する実施例2においても同様である。
(VOfs_com−Vth+ΔV)<(Vth-EL+VCat) (2’)
[期間−TP(5)7](図4、及び、図6の(E)参照)
以上の操作によって、閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理が完了する。その後、この期間内に、上記の工程(d)を以下のように行う。即ち、走査回路101の動作に基づき走査線SCLをローレベルとし、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とし、第1ノードND1、即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を浮遊状態とする。そして、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cをハイレベルに保ち、発光制御トランジスタTEL_Cのオン状態を維持し、発光制御トランジスタTEL_Cのドレイン領域が、発光部ELPの発光を制御するための電流供給部100(電圧VCC、例えば20ボルト)に接続された状態に保つ。従って、以上の結果として、第2ノードND2の電位は上昇する。後述する実施例2においても同様である。
ここで、上述したとおり、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は浮遊状態にあり、しかも、コンデンサ部C1が存在するが故に、所謂ブートストラップ回路におけると同様の現象が駆動トランジスタTDrvのゲート電極に生じ、第1ノードND1の電位も上昇する。その結果、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、式(4)の値を保持する。後述する他の実施例においても同様である。
また、第2ノードND2の電位が上昇し、(Vth-EL+VCat)を越えるので、発光部ELPは発光を開始する。このとき、発光部ELPを流れる電流は、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域からソース領域へと流れるドレイン電流Idsであるので、式(1)で表すことができる。ここで、式(1)と式(4)から、式(1)は、以下の式(5)にように変形することができる。後述する他の実施例においても同様である。
ds=k・μ・(VSig−VOfs_com−ΔV)2 (5)
従って、発光部ELPを流れる電流Idsは、例えば、VOfs_comを0ボルトに設定したとした場合、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSigの値から、駆動トランジスタTDrvの移動度μに起因した第2ノードND2(駆動トランジスタTDrvのソース領域)における電位補正値ΔVの値を減じた値の2乗に比例する。云い換えれば、発光部ELPを流れる電流Idsは、発光部ELPの閾値電圧Vth-EL、及び、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthには依存しない。即ち、発光部ELPの発光量(輝度)は、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELの影響、及び、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthの影響を受けない。そして、第(n,m)番目の有機EL素子10の輝度は、係る電流Idsに対応した値である。後述する他の実施例においても同様である。
しかも、移動度μの大きな駆動トランジスタTDrvほど、電位補正値ΔVが大きくなるので、式(4)の左辺のVgsの値が小さくなる。従って、式(5)において、移動度μの値が大きくとも、(VSig−VOfs_com−ΔV)2の値が小さくなる結果、ドレイン電流Idsを補正することができる。即ち、移動度μの異なる駆動トランジスタTDrvにおいても、映像信号VSigの値が同じであれば、ドレイン電流Idsが略同じとなる結果、発光部ELPを流れ、発光部ELPの輝度を制御する電流Idsが均一化される。即ち、移動度μのばらつき(更には、kのばらつき)に起因する発光部の輝度のばらつきを補正することができる。後述する他の実施例においても同様である。
発光部ELPの発光状態を第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続する。この時点は、[期間−TP(5)-1]の終わりに相当する。後述する実施例2においても同様である。
以上によって、有機EL素子10[第(n,m)番目の副画素(有機EL素子10)]の発光の動作が完了する。
以上、実施例1の有機EL表示装置、発光部ELPを駆動するための駆動回路、この駆動回路を用いた発光部ELPの駆動方法を説明した。併せて、従来の5Tr/1C駆動回路の構成、従来の5Tr/1C駆動回路を用いた発光部ELPの駆動方法を説明した。尚、従来の5Tr/1C駆動回路にあっては、上述した「VOfs_com」を、適宜「VOfs」あるいは「VSS」と読み替えればよい。
上述したように、実施例1の駆動回路においては、第1ノード初期化トランジスタTND1と第2ノード初期化トランジスタTND2に印加する、第1ノードND1及び第2ノードND2の電位を初期化するための電圧が共通化され、電圧を供給するための配線を削減することができる。また、駆動トランジスタTDrvをデプレッション型のトランジスタとしたので、実施例1の駆動回路を用いた駆動方法において上述した前処理に支障を生ずることがない。従って、支障なく閾値電圧キャンセル処理等を行うことができる。実施例1の有機EL表示装置にあっては、駆動回路に印加する電圧の種類や配線の本数が削減されるので、有機EL表示装置の構造を簡単なものとすることができる。
実施例2も、本発明の有機EL表示装置、本発明の発光部を駆動するための駆動回路、及び、本発明の発光部の駆動方法に関する。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2は実施例1に対し、駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrvの補助電極の構造が相違する。
実施例2の有機EL表示装置の概念図は上述した図2と同様である。実施例2の駆動回路の等価回路図を図7に示し、有機EL素子10の一部分の模式的な一部断面図を図8に示す。駆動のタイミングチャートを図9に示す。初期化を行う[期間−TP(5)1’]において補助電極41がチャネル形成領域34に電界を及ぼして駆動トランジスタTDrvをデプレッション型にするために、[期間−TP(5)1’]の始期から発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とする点と、[期間−TP(5)1’]の終期で第2ノード初期化トランジスタTND2をオフ状態とする点が相違する他、基本的には実施例1と同様の動作となる。各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に図10の(A)〜(D)及び図11の(A)〜(E)に示す。図10の(A)〜(D)は上述した図5の(A)〜(D)に対応し、図11の(A)〜(E)は上述した図6の(A)〜(E)に対応する。
実施例2においても、実施例1と同様に、駆動トランジスタTDrvは補助電極41を有するnチャネル型トランジスタから成る。但し、実施例1とは異なり、図7及び図8に示すように、補助電極41は駆動トランジスタTDrvのドレイン領域、即ち、一方のソース/ドレイン領域35に接続されている点が相違する。補助電極41がチャネル形成領域34に及ぼす電界に基づき、半導体製造プロセスに依らずに駆動トランジスタTDrvをデプレッション型とすることができる。
上述した駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrvの補助電極41の構造の相違を除く他、実施例2の有機EL表示装置、及び、駆動回路の構造、構成は実施例1で説明したと同様である。また、実施例2の駆動回路の動作、実施例2の駆動方法は、実施例1において説明したと同様であるので、説明を省略する。
実施例3も、本発明の有機EL表示装置、本発明の発光部を駆動するための駆動回路、及び、本発明の発光部の駆動方法に関する。
実施例3の駆動回路の等価回路図を図12に示し、実施例3の有機EL表示装置の概念図を図13に示す。実施例3における有機EL素子10の一部分の模式的な一部断面図は、実施例1において参照した図3と同様である。
実施例3は実施例1の変形例である。実施例3の駆動回路の構成は、基本的には、図1に示す実施例1の駆動回路から発光制御トランジスタTEL_Cを省略した構成に相当する。即ち、実施例3の駆動回路は、4つのトランジスタと1つのコンデンサ部C1から構成された駆動回路から構成されている。実施例3の駆動回路は、図12に示すように、(A)駆動トランジスタTDrv、(B)映像信号書込みトランジスタTSig、(C)第1ノード初期化トランジスタTND1、(D)第2ノード初期化トランジスタTND2、並びに、(E)一対の電極を備えたコンデンサ部C1から構成されている。
図12及び図13に示すように、実施例3の有機EL表示装置においては、発光制御トランジスタTEL_Cの省略に伴い、発光制御トランジスタ制御回路103、及び、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cも省略されている。
上述した実施例1及び実施例2においては、発光制御トランジスタTEL_Cにより発光部ELPの発光、非発光を制御した。一方、実施例3においては、主に、第1ノード初期化トランジスタTND1により発光部ELPの発光、非発光等を制御する点が相違する。
実施例3の駆動回路における駆動の模式的なタイミングチャートを図14に示す。実施例3の駆動回路の各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に図15の(A)〜(D)及び図16の(A)〜(C)に示す。図14に示す[期間−TP(4)-1]〜[期間−TP(4)1]の各期間は、実施例1において参照した図4に示す[期間−TP(5)-1]〜[期間−TP(5)1]の各期間に、それぞれ、対応する。
上述した実施例1及び実施例2に対し、実施例3にあっては、発光制御トランジスタTEL_Cが省略されている点、及び、[期間−TP(4)0]において第1ノード初期化トランジスタTND1をオン状態とする点が、主に相違する。尚、実施例1において説明した図4に示す第2ノードND2の電位と、図14に示す第2ノードND2の電位との対比の便宜を図るため、実施例3にあっては、[期間−TP(4)2]の始期において第2ノード初期化トランジスタTND2をオフ状態とするとして説明する。
図14に示す[期間−TP(4)0]〜[期間−TP(4)3]は、前回の各種の処理完了後の発光状態が終了した後から、次の書込み処理が行われる直前までの動作期間である。即ち、この[期間−TP(4)0]〜[期間−TP(4)3]は、例えば、前の表示フレームにおける第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、現表示フレームにおける第(m−1)番目の水平走査期間の終期までの或る時間長さの期間である。後述する実施例4においても同様である。尚、[期間−TP(4)1]〜[期間−TP(4)3]を、現表示フレームにおける第m番目の水平走査期間内に含む構成とすることもできる。後述する実施例4においても同様である。
以下、実施例3の駆動方法について説明する。
[期間−TP(4)-1](図14、及び、図15の(A)参照)
この[期間−TP(4)-1]は、例えば、前の表示フレームにおける動作であり、実施例1の駆動回路において説明した[期間−TP(5)-1]と同じ動作である。
[期間−TP(4)0](図14、及び、図15の(B)参照)
この[期間−TP(4)0]の開始時、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104の動作に基づき、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1をハイレベルとし、第1ノード初期化トランジスタTND1をオン状態とする。これにより、第1ノードND1は浮遊状態ではなくなる。第1ノードND1の電位(即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位)はVOfs_comに低下する。これは、強制的に黒レベルの映像信号を描き込んだと同様の状態であるので、発光部ELPは消灯する。第2ノードND2の電位は、(Vth-EL+VCat)まで低下する。
[期間−TP(4)1](図14、及び、図15の(C)参照)
この期間内に、上記の工程(a)、即ち、上述した前処理を行う。
具体的な動作は、[期間−TP(4)0]において予め第1ノード初期化トランジスタTND1がオン状態であること、及び、[期間−TP(4)2]の始期において第2ノード初期化トランジスタTND2をオフ状態とする点が相違する他、実施例1の[期間−TP(5)1]において説明したと同様であるので、説明を省略する。
[期間−TP(4)2](図14、及び、図15の(D)参照)
この期間内に、上記の工程(b)、即ち、上述した閾値電圧キャンセル処理を行う。
上述した実施例1及び実施例2の駆動方法にあっては、閾値電圧キャンセル処理において、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cからの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタTEL_Cを介して、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域を電流供給部100と導通させ、以て、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードND2の電位よりも高く保つ構成とした。
一方、実施例3及び後述する実施例4にあっては、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域には電圧VCCが印加される。従って、[期間−TP(4)1]の終期において、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位は、前記工程(a)における第2ノードND2の電位(具体的には、[期間−TP(4)1]で初期化された電位VOfs_com)よりも高く保たれた状態にある。また、第1ノードND1には、第1ノード初期化トランジスタTND1を介して電圧VOfs_comが印加されている。即ち、第1ノードND1の電位は保たれた状態にある。
[期間−TP(4)2]の始期において、第2ノード初期化トランジスタ制御回路105の動作に基づき、第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2をローレベルとし、第2ノード初期化トランジスタTND2をオフ状態とすると、第2ノードND2は浮遊状態となる。その結果、第1ノードND1の電位は変化しないが(VOfs_com=0ボルトを維持)、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位は変化する。即ち、浮遊状態の第2ノードND2の電位が上昇する。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差がVthに達すると、駆動トランジスタTDrvがオフ状態となる。具体的には、浮遊状態の第2ノードND2の電位が(VOfs_com−Vth)に近づき、最終的に(VOfs_com−Vth)となる。ここで、上述した式(2)が保証されていれば、云い換えれば、式(2)を満足するように電位を選択、決定しておけば、発光部ELPが発光することはない。後述する実施例4においても同様である。
[期間−TP(4)3](図14、及び、図16の(A)参照)
その後、第2ノード初期化トランジスタTND2のオフ状態を維持したまま、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104の動作に基づき、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1をローレベルとし、第1ノード初期化トランジスタTND1をオフ状態とする。その結果、第1ノードND1の電位は変化せず(VOfs_com=0ボルトを維持)、浮遊状態の第2ノードND2の電位も変化せず、(VOfs_com−Vth=2ボルト)を保持する。後述する実施例4においても同様である。
次いで、図14に示す[期間−TP(4)4]について説明する。尚、後述するように、[期間−TP(4)4]において書込み処理を行う。より具体的には、実施例3においては、書込み処理において実質的に移動度補正処理を併せて行う。これらの処理は、第m番目の水平走査期間内に行われる必要がある。説明の便宜のため、[期間−TP(4)4]の始期と終期とは、それぞれ、第m番目の水平走査期間の始期と終期とに一致するものとして説明する。後述する実施例4においても同様である。
[期間−TP(4)4](図14、及び、図16の(B)参照)
この期間内に、上記の工程(c)、即ち、上述した書込み処理を行う。
即ち、第1ノード初期化トランジスタTND1、及び、第2ノード初期化トランジスタTND2のオフ状態を維持したまま、映像信号出力回路102の動作に基づき、データ線DTLの電位を、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSigとし、次いで、走査回路101の動作に基づき、走査線SCLをハイレベルとすることによって、映像信号書込みトランジスタTSigをオン状態とする。その結果、第1ノードND1の電位は、VSigへと上昇する。また、上述したように、実施例3にあっては、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域には電圧VCCが印加される。従って、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位(即ち、第2ノードND2の電位)の上昇量ΔV(電位補正値)は大きくなり、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は小さくなる。即ち、書込み処理と移動度補正処理とが併せて行われる。ここで、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、実施例1及び実施例2と同様に、上述した式(4)で示される。後述する実施例4においても同様である。
尚、書込み処理を実行するための所定の時間([期間−TP(4)4]の全時間t1)は、有機EL表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。また、このときの駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位(VOfs_com−Vth+ΔV)が上記の式(2’)を満足するように、[期間−TP(4)4]の全時間t1は決定されている。そして、これによって、[期間−TP(4)4]において、発光部ELPが発光することはない。更には、この移動度補正処理によって、係数k(≡(1/2)・(W/L)・Cox)のばらつきの補正も同時に行われる。後述する実施例4においても同様である。
[期間−TP(4)5](図14、及び、図16の(C)参照)
以上の操作によって、閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、書込み処理と併せて行われる移動度補正処理が、完了する。その後、この期間内に、上記の工程(d)を以下のように行う。即ち、走査回路101の動作に基づき走査線SCLをローレベルとし、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とし、第1ノードND1、即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を浮遊状態とする。一方、発光制御トランジスタTEL_Cのドレイン領域は、発光部ELPの発光を制御するための電流供給部100(電圧VCC、例えば20ボルト)に接続された状態にある。従って、以上の結果として、第2ノードND2の電位は上昇する。後述する実施例4においても同様である。
そして、5Tr/1C駆動回路において[期間−TP(5)7]で説明したと同様に、第2ノードND2の電位が上昇し、(Vth-EL+VCat)を越えるので、発光部ELPは発光を開始する。このとき、発光部ELPを流れる電流は、前述した式(5)にて得ることができるので、発光部ELPを流れる電流Idsは、発光部ELPの閾値電圧Vth-EL、及び、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthには依存しない。即ち、発光部ELPの発光量(輝度)は、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELの影響、及び、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthの影響を受けない。加えて、駆動トランジスタTDrvにおける移動度μのばらつきに起因したドレイン電流Idsのばらつき発生を抑制することができる。
そして、発光部ELPの発光状態を第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続する。この時点は、[期間−TP(4)-1]の終わりに相当する。後述する実施例4においても同様である。
以上によって、有機EL素子[第(n,m)番目の副画素(有機EL素子)]の発光の動作が完了する。
以上、実施例3の駆動回路及び駆動方法について説明した。実施例3の駆動回路においては、実施例1における利点に加えて、発光制御トランジスタやこれに伴う配線を省略することができる利点を有する。
実施例4も、本発明の有機EL表示装置、本発明の発光部を駆動するための駆動回路、及び、本発明の発光部の駆動方法に関する。
実施例4は、実施例3の変形である。実施例4は実施例3に対し、駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrvの補助電極の構造が相違する。実施例4の有機EL表示装置の概念図も上述した図13と同様である。実施例4の駆動回路の等価回路図を図17に示す。
実施例4の駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrvの構造は、実施例2の駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrvにおいて説明したと同様であり、有機EL素子10の一部分の模式的な一部断面図も、実施例2において参照した図8と同様である。
実施例4においても、駆動トランジスタTDrvは補助電極41を有するnチャネル型トランジスタから成る。但し、実施例2において説明したと同様に、補助電極41は駆動トランジスタTDrvのドレイン領域、即ち、一方のソース/ドレイン領域35に接続されている点が相違する。補助電極41がチャネル形成領域に及ぼす電界に基づき、半導体製造プロセスに依らずに駆動トランジスタTDrvをデプレッション型とすることができる。
上述した駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrvの補助電極41の構造の相違を除く他、実施例4の有機EL表示装置、及び、駆動回路の構造、構成は実施例3で説明したと同様である。また、実施例4の駆動回路の動作、実施例4の駆動方法は、実施例3において説明したと同様であるので、説明を省略する。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した有機EL表示装置、有機EL素子、駆動回路を構成する各種の構成要素の構成、構造、発光部の駆動方法における工程は例示であり、適宜、変更することができる。
上述した実施例1及び実施例2においては、工程(c)と工程(d)の間において、駆動トランジスタTDrvの特性に応じて第2ノードND2の電位を上昇させる移動度補正処理を行ったが、これに限るものではない。例えば、工程(c)において、走査線SCLからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介して、データ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加した状態で、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域の電位を前記工程(b)における第2ノードND2の電位よりも高くすることにより、書込み処理において実質的に移動度補正処理を併せて行う構成とすることもできる。あるいは又、工程(b)と工程(c)の間において、移動度補正処理を行う構成とすることもできる。
図1は、駆動回路の等価回路図である。 図2は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の概念図である。 図3は、有機エレクトロルミネッセンス素子の一部分の模式的な一部断面図である。 図4は、駆動回路における駆動のタイミングチャートを模式的に示す図である。 図5の(A)〜(D)は、駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図6の(A)〜(E)は、図5の(D)に引き続き、駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図7は、駆動回路の等価回路図である。 図8の(A)〜(D)は、駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図9は、駆動回路における駆動のタイミングチャートを模式的に示す図である。 図10の(A)〜(E)は、図8の(D)に引き続き、駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図11は、有機エレクトロルミネッセンス素子の一部分の模式的な一部断面図である。 図12は、駆動回路の等価回路図である。 図13は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の概念図である。 図14は、駆動回路における駆動のタイミングチャートを模式的に示す図である。 図15の(A)〜(D)は、駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図16の(A)〜(E)は、図15の(D)に引き続き、駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図17は、駆動回路の等価回路図である。 図18は、従来の5Tr/1C駆動回路の等価回路図である。 図19は、従来の5Tr/1C駆動回路における駆動のタイミングチャートを模式的に示す図である。 図20の(A)〜(D)は、従来の5Tr/1C駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図21の(A)〜(E)は、図20の(D)に引き続き、従来の5Tr/1C駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。
符号の説明
Sig・・・映像信号書込みトランジスタ、TDrv・・・駆動トランジスタ、TEL_C・・・発光制御トランジスタ、TND1・・・第1ノード初期化トランジスタ、TND2・・・第2ノード初期化トランジスタ、C1・・・コンデンサ部、ELP・・・有機エレクトロルミネッセンス発光部(発光部)、CEL・・・発光部ELPの寄生容量、ND1・・・第1ノード、ND2・・・第2ノード、SCL・・・走査線、DTL・・・データ線、CLEL_C・・・発光制御トランジスタ制御線、AZND1・・・第1ノード初期化トランジスタ制御線、AZND2・・・第2ノード初期化トランジスタ制御線、PS_com・・・初期化電圧供給線、10・・・有機エレクトロルミネッセンス素子、20・・・支持体、21・・・基板、31・・・ゲート電極、32・・・ゲート絶縁層、33・・・半導体層、34・・・チャネル形成領域、35・・・ソース/ドレイン領域、36・・・他方の電極、37・・・一方の電極、38,39・・・配線、40・・・絶縁層、41・・・補助電極、42・・・層間絶縁層、51・・・アノード電極、52・・・正孔輸送層、発光層及び電子輸送層、53・・・カソード電極、54・・・第2層間絶縁層、55,56・・・コンタクトホール、100・・・電流供給部、101・・・走査回路、102・・・映像信号出力回路、103・・・発光制御トランジスタ制御回路、104・・・第1ノード初期化トランジスタ制御回路、105・・・第2ノード初期化トランジスタ制御回路

Claims (11)

  1. (A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた駆動トランジスタ、
    (B)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタ、
    (C)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、
    (D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ、並びに、
    (E)一対の電極を備えたコンデンサ部、
    から構成されており、
    駆動トランジスタにおいては、
    (A−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部に接続されており、
    (A−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部の一方の電極に接続されており、第2ノードを構成し、
    (A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部の他方の電極に接続されており、第1ノードを構成し、
    映像信号書込みトランジスタにおいては、
    (B−1)一方のソース/ドレイン領域は、データ線に接続されており、
    (B−2)ゲート電極は、走査線に接続されており、
    第1ノード初期化トランジスタにおいては、
    (C−1)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードに接続されており、
    (C−2)ゲート電極は、第1ノード初期化トランジスタ制御線に接続されており、
    第2ノード初期化トランジスタにおいては、
    (D−1)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードに接続されており、
    (D−2)ゲート電極は、第2ノード初期化トランジスタ制御線に接続されている、
    有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路であって、
    駆動トランジスタはデプレッション型のトランジスタから成り、
    第1ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線に接続されていることを特徴とする駆動回路。
  2. 駆動トランジスタのゲート電極は、チャネル形成領域の一方の面と、ゲート絶縁層を介して対向しており、
    駆動トランジスタは、更に、チャネル形成領域の他方の面と、絶縁層を介して対向した補助電極を有しており、
    補助電極には、所定の電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
  3. 駆動トランジスタのゲート電極は、チャネル形成領域の一方の面と、ゲート絶縁層を介して対向しており、
    駆動トランジスタは、更に、チャネル形成領域の他方の面と、絶縁層を介して対向した補助電極を有しており、
    補助電極は駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
  4. 駆動回路は、
    (F)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた発光制御トランジスタ、
    を更に備えており、
    駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と電流供給部とは、発光制御トランジスタを介して接続されており、
    発光制御トランジスタのゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
  5. (A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた駆動トランジスタ、
    (B)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタ、
    (C)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、
    (D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ、並びに、
    (E)一対の電極を備えたコンデンサ部、
    から構成されており、
    駆動トランジスタにおいては、
    (A−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部に接続されており、
    (A−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部の一方の電極に接続されており、第2ノードを構成し、
    (A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部の他方の電極に接続されており、第1ノードを構成し、
    映像信号書込みトランジスタにおいては、
    (B−1)一方のソース/ドレイン領域は、データ線に接続されており、
    (B−2)ゲート電極は、走査線に接続されており、
    第1ノード初期化トランジスタにおいては、
    (C−1)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードに接続されており、
    (C−2)ゲート電極は、第1ノード初期化トランジスタ制御線に接続されており、
    第2ノード初期化トランジスタにおいては、
    (D−1)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードに接続されており、
    (D−2)ゲート電極は、第2ノード初期化トランジスタ制御線に接続されている、
    有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路を用いて、
    (a)第1ノードと第2ノードとの間の電位差が、駆動トランジスタの閾値電圧を越え、且つ、第2ノードと有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたカソード電極との間の電位差が、有機エレクトロルミネッセンス発光部の閾値電圧を越えないように、第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノードに第2ノード初期化電圧を印加する前処理を行い、次いで、
    (b)第1ノードの電位を保った状態で、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードの電位よりも高く保つことにより第2ノードの電位を上昇させ、以て、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行い、その後、
    (c)走査線からの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタを介して、データ線から映像信号を第1ノードに印加する書込み処理を行い、次いで、
    (d)走査線からの信号により映像信号書込みトランジスタをオフ状態とすることにより第1ノードを浮遊状態とし、電流供給部から駆動トランジスタを介して、第1ノードと第2ノードとの間の電位差の値に応じた電流を有機エレクトロルミネッセンス発光部に流す、
    ことにより、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動する駆動方法であって、
    駆動トランジスタはデプレッション型のトランジスタから成り、
    第1ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線に接続されており、 前記工程(a)において、第1ノード初期化トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタを介して、同一の初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加し、第2ノード初期化トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタを介して、同一の初期化電圧供給線から第2ノードに第1ノード初期化電圧と同じ値の第2ノード初期化電圧を印加することを特徴とする駆動方法。
  6. 駆動回路は、
    (F)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた発光制御トランジスタ、
    を更に備えており、
    駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と電流供給部とは、発光制御トランジスタを介して接続されており、
    発光制御トランジスタのゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の駆動方法。
  7. 前記工程(b)において、発光制御トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタを介して、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させ、以て、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域の電位を前記工程(a)における第2ノードの電位よりも高く保つことを特徴とする請求項6に記載の駆動方法。
  8. (1)走査回路、
    (2)映像信号出力回路、
    (3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列された有機エレクトロルミネッセンス素子、
    (4)走査回路に接続され、第1の方向に延びるM本の走査線、
    (5)映像信号出力回路に接続され、第2の方向に延びるN本のデータ線、並びに、
    (6)電流供給部、
    を備え、
    各有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレクトロルミネッセンス発光部、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路を備えており、
    駆動回路は、
    (A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた駆動トランジスタ、
    (B)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタ、
    (C)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、
    (D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ、並びに、
    (E)一対の電極を備えたコンデンサ部、
    から構成されており、
    駆動トランジスタにおいては、
    (A−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部に接続されており、
    (A−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部の一方の電極に接続されており、第2ノードを構成し、
    (A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部の他方の電極に接続されており、第1ノードを構成し、
    映像信号書込みトランジスタにおいては、
    (B−1)一方のソース/ドレイン領域は、データ線に接続されており、
    (B−2)ゲート電極は、走査線に接続されており、
    第1ノード初期化トランジスタにおいては、
    (C−1)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードに接続されており、
    (C−2)ゲート電極は、第1ノード初期化トランジスタ制御線に接続されており、
    第2ノード初期化トランジスタにおいては、
    (D−1)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードに接続されており、
    (D−2)ゲート電極は、第2ノード初期化トランジスタ制御線に接続されている、
    有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
    駆動トランジスタはデプレッション型のトランジスタから成り、
    第1ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第2ノード初期化トランジスタの一方のソース/ドレイン領域とが同一の初期化電圧供給線に接続されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  9. 駆動トランジスタのゲート電極は、チャネル形成領域の一方の面と、ゲート絶縁層を介して対向しており、
    駆動トランジスタは、更に、チャネル形成領域の他方の面と、絶縁層を介して対向した補助電極を有しており、
    補助電極には、所定の電圧が印加されることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  10. 駆動トランジスタのゲート電極は、チャネル形成領域の一方の面と、ゲート絶縁層を介して対向しており、
    駆動トランジスタは、更に、チャネル形成領域の他方の面と、絶縁層を介して対向した補助電極を有しており、
    補助電極は駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  11. 駆動回路は、
    (F)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた発光制御トランジスタ、
    を更に備えており、
    駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と電流供給部とは、発光制御トランジスタを介して接続されており、
    発光制御トランジスタのゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
JP2007123299A 2007-05-08 2007-05-08 有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路、有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Pending JP2008281612A (ja)

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JP2012068597A (ja) * 2010-09-27 2012-04-05 Toshiba Corp アクティブマトリクス型有機el表示装置およびその駆動方法
KR101484951B1 (ko) 2008-12-17 2015-01-21 엘지디스플레이 주식회사 유기전계 발광 디스플레이 장치

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