JP2008281554A - 損傷未然検知システム、及び傾斜検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1無線通信ユニット13と3軸加速度センサ14と小型バッテリ15とを有する傾斜検出装置10を、地中に埋設される配管40から一定距離Aに埋設し、第2無線通信ユニット21を有する監視装置20を、第1無線通信ユニット13と第2無線通信ユニット21が通信可能な距離に設置し、傾斜検出装置10と監視装置20とが第1無線通信ユニット13及び第2無線通信ユニット21で通信し、3軸加速度センサ14が傾斜検出装置10の傾斜を検出した場合、又は監視装置20と傾斜検出装置10との通信が不能になった場合を、監視装置20が異常として検出し、監視装置20が情報局30に異常を通知する。
【選択図】図1
Description
このため、配管の周囲で工事を行う際には、工事業者と管理会社とで予め打合せを行い、工事区域の規制を行ったり、立ち会いを行って工事範囲を確認したりといった措置が採られている。
しかしながら、事前に打ち合わせを行っても工事の日程の都合で予定よりも早く配管の周囲が掘削されてしまったり、同じ現場でも複数の拠点を同時に工事されることで立ち会いにいった監視者が、全ての拠点をカバーできなかったりと、立ち会いでカバーできる範囲にも限界があるため、埋設配管を損傷してしまう事故を防ぐ手法が望まれている。
特許文献1には、地中構造物損傷防止のための検出装置に関する技術が開示されている。この技術によれば、ガス管等の地中構造物に沿って複数の振動センサを連続的に配設し、シールド掘削機や工事用機械等の振動特性を事前に記憶させたコンピュータに、振動センサからの信号を入力して、記憶データと比較することで振動の波形及び伝播パターンからシールド掘削機や工事用機械の位置を検出することが可能となる。
配管に振動センサを設けておけば、シールド掘削機や工事用機械が必要以上に近接してきた場合に、異常として検出し、管理会社に通知したり、周囲に警報を出したりするなどの手段を講じることが可能となる。
このため、塗覆管が損傷した場合には異常として通報され、直ちに応急処置等を施すことが可能となる。
特許文献1の方法では、振動センサを用いて振動の波形や伝播パターンを解析することで、シールド掘削機や工事用機械の位置を検出する方式であるため、コンピュータに記憶されていない振動を発生するシールド掘削機や工事用機械の接近検出は不可能である。また、これらの機械の運転状態、及び埋設配管の周囲の環境によっても振動が変化する可能性があり、シールド掘削機や工事用機械の近接を検出できない場合がある。
また、振動は複合波となってしまうと、ノイズの除去などが困難であるため、実際にシールド掘削機や工事用機械の近接を捉えることは困難であると考えられる。
しかしながら、特許文献2の方法では、塗覆管が損傷した場合にその損傷を検出することは可能であるが、損傷自体を未然に検出することは困難である。振動センサが振動を検出した段階では、既に塗覆管に直接工事用機械が接触しており、塗覆管を破損してしまっている虞が高いためである。
また、水道管や電気配線や光ファイバーを収める埋設管を傷つけた場合にも、同様の問題が発生し、復旧するまでの間、ユーザーに迷惑をかける虞がある。
(1)外部と無線通信する第1無線通信ユニットと、傾斜を検出可能な傾斜センサと、前記第1無線通信ユニットと前記傾斜センサに電源を供給する内部電源と、を有する傾斜検出装置と、前記第1無線通信ユニットと通信可能な第2無線通信ユニットを有する監視装置と、前記監視装置と通信可能に設置される情報局と、を備え、
前記傾斜検出装置を、地中に埋設される配管から一定の距離に埋設し、前記監視装置を、前記第1無線通信ユニットと通信可能な距離に設置し、前記監視装置が、前記傾斜センサが前記傾斜検出装置の傾斜を検出した場合、又は前記傾斜検出装置が通信不能になった場合に、前記傾斜検出装置の異常として検出し、前記情報局に前記異常を通知することを特徴とする。
前記傾斜検出装置のボディ部は長細い形状に形成され、前記ボディ部の一端に備える頭頂部はアンテナの一部として地表に露出させ、前記ボディ部は地中に埋没させて、前記傾斜検出装置が埋設されることを特徴とする。
前記傾斜検出装置は、前記配管が埋設される道路に、前記配管から一定の距離に空けられた縦穴に差し込まれることで埋設されることを特徴とする損傷未然検知システム。
前記傾斜検出装置の前記ボディ部の他端は円錐状に形成され、前記配管から一定の距離に前記頭頂部が地表に露出するように差し込まれることを特徴とする損傷未然検知システム。
前記第1無線通信ユニットと前記内部電源とが、前記傾斜検出装置のボディ部に内蔵され、前記ボディ部の一端に、通信線を介して前記傾斜センサが接続され、前記ボディ部の他端に備える頭頂部はアンテナの一部として地表に露出させ、前記ボディ部は地中に埋没させ、前記傾斜センサは、地中に埋設される前記配管付近に埋没させて、前記傾斜検出装置が埋設されていることを特徴とする。
(6)外部と無線通信する無線通信ユニットと、傾斜を検出可能な傾斜センサと、前記無線通信ユニットと前記傾斜センサに電源を供給する内部電源と、をボディ部に内蔵し、前記ボディ部の一端に備える頭頂部は地表に露出させ、前記ボディ部は地中に埋没されて設置されることを特徴とする。
まず、(1)に記載する発明は、外部と無線通信する第1無線通信ユニットと、傾斜を検出可能な傾斜センサと、第1無線通信ユニットと傾斜センサに電源を供給する内部電源と、を有する傾斜検出装置と、第1無線通信ユニットと通信可能な第2無線通信ユニットを有する監視装置と、監視装置と通信可能に設置される情報局と、を備え、傾斜検出装置を、地中に埋設される配管から一定の距離に埋設し、監視装置を、第1無線通信ユニットと通信可能な距離に設置し、監視装置が、傾斜センサが傾斜検出装置の傾斜を検出した場合、又は傾斜検出装置が通信不能になった場合に、傾斜検出装置の異常として検出し、情報局に異常を通知するので、工事用機械が配管の周辺を掘削したことを、傾斜検出装置に備える傾斜センサが傾斜検出装置の傾斜を検出し、監視装置を介して情報局に通知することが可能になる。
これによって、未然に配管の損傷を防止することが可能になる。
傾斜検出装置が、傾斜センサによって傾斜を検出することでのメリットは、誤検出が非常に少ないことにある。特許文献1や特許文献2に示すような振動センサを用いての検出の場合、工事現場の状況によっては非常に振動の多い場所や周囲の地盤の状況によっても振動の伝わり方が異なるが、傾斜を検出する場合は確実に傾斜検出装置が傾斜したことを確認しうる。
こうして、傾斜検出装置が傾斜を検出し、又は破損して通信不能になった場合には、監視装置がその異常を検出する。傾斜を検出した場合は、傾斜検出装置から第1無線ユニットを通じて監視装置に通知すればよい。また、傾斜検出装置が破損して機能しなくなった場合には、監視装置からの連絡に応答しないことを検出すれば判断しうる。このような監視装置から傾斜検出装置の応答を確認する交信は、数分間隔で行えば工事用機械が傾斜検出装置を破壊してから配管に至る前に、その異常を認識しうる。
異常を受け取った情報局は、直ちに工事関係者に工事区域以外を工事している旨を伝えることで、配管の損傷を回避することが可能となる。
配管の損傷を未然に回避することができれば、配管を修復するコストもかからない上、工期の遅れの要因を取り除くことが可能となる。
地面が柔らかければ杭のような形状の傾斜検出装置を地面に打ち込めば良いし、地面が固ければ、ドリルで穴を空けて円柱状の傾斜検出装置を埋め込むという方法で埋設可能である。
また、傾斜検出装置のボディは細長いため場所を取らず、さらに細長いために周囲が掘削されて支えがなくなれば確実に倒れるため、傾斜センサで異常を検出する確実性が増す。
さらに、地表に露出する頭頂部をアンテナの一部としているので、第1無線通信ユニットが第2無線通信ユニットと交信することが容易となる。
傾斜センサをボディ部に通信線を介して離して追加することで、地中に埋設される配管付近に近づけて配設することが可能となる。
その結果、道路が横に掘られた場合にも対応することが可能となる。傾斜センサの付近を工事車両が掘削した場合や、通信線を工事車両が引っかけた場合などには、傾斜センサで異常を検出することが可能となるためである。
工事の際には、地面に対して垂直方向だけではなく横方向にも掘削される可能性がある。このため、横方向に掘削された場合であっても、近くが掘削されたことを検出できることにはメリットがある。
まず、(6)に記載される発明は、外部と無線通信する無線通信ユニットと、傾斜を検出可能な傾斜センサと、無線通信ユニットと傾斜センサに電源を供給する内部電源と、をボディ部に内蔵し、ボディ部の一端に備える頭頂部は地表に露出させ、ボディ部は地中に埋没されて設置されることを特徴とするので、配管が埋設される付近に傾斜検出装置を埋設し、工事用機械が誤って傾斜検出装置を倒した場合に、傾斜検出装置は傾きを検出し、外部の監視装置と通信して、配管の付近を掘削していることを報知することが可能である。
したがって、地表部分は掘削されずに地中部分を横堀された場合にも、配管の付近を掘削していることを検出して、配管の損傷を未然に防ぐことができる。
まず本発明の第1の実施形態について説明する。
(第1実施例)
図1に、第1実施例の損傷未然検知システム70のシステムイメージを表す概略図を示す。また、図2に、傾斜検出装置10の構成を表した模式図を示す。
損傷未然検知システム70は、舗装された道路50に埋設された配管40の近傍に、傾斜検出装置10を埋設し、傾斜検出装置10の近傍に監視装置20を設置し、監視装置20が情報局30と通信できる状態とすることで構成されている。
配管40はガス管や水道管、あるいは電線や光ファイバーなどを収容する収容管等の埋設配管であり、地中に埋設されている。
傾斜検出装置10は、図2に示すように、頭頂アンテナ部12と、第1無線通信ユニット13と、3軸加速度センサ14と、小型バッテリ15を備えている。第1無線通信ユニット13、3軸加速度センサ14及び小型バッテリ15は、筒状のボディ部11の内部に収められている。そして、ボディ部11の頭頂部を頭頂アンテナ部12で蓋をするように備えている。
第1無線通信ユニット13は、監視装置20と通信するためのユニットであり、無線通信を行うことができる。無線は、例えば2.4GHz帯の電波を使用する第1無線通信ユニット13とすれば、見通し距離で10m程度は通信することが可能となる。
3軸加速度センサ14は、自身の傾きを検出することができるセンサであり、傾斜センサとして傾斜検出装置10に備えることで、傾斜検出装置10の傾きを知ることができる。傾斜検出装置10が一定以上の傾き以上になったことを3軸加速度センサ14は検出することが可能である。
3軸加速度センサ14の加速度を検出する方式は、ピエゾ抵抗式でも圧電型でもどちらでも良い。加速度センサは、入力軸方向に関して、運動加速度成分から重力加速度成分を差し引いた成分を測定可能な慣性センサであれば良く、この加速度センサによって傾斜検出装置10の傾きを検出する。
第1無線通信ユニット13、3軸加速度センサ14及び小型バッテリ15を収納できるボディ部11は、円筒状であり完全防水が施されている。ボディ部11は、直径は20mm程度、長さは200mm程度の長細い形状である。ボディ部11の材質は何でも構わないが、ステンレスパイプや強化プラスチックのパイプのように、一定の圧力に耐えうる材質で、かつ腐食しにくいものが望ましい。
監視装置20は、傾斜検出装置10と通信するための第2無線通信ユニット21を備えている。監視装置20は例えば電柱や既設の構造物などに取り付けられ、電源を供給される構成としても良いし、バッテリを内部に備えて駆動する構成としても良い。第1実施例では、電柱に取り付けられ、バッテリを内蔵しない構成であるものとして説明する。
また、監視装置20が内部にバッテリを備えて独立して設置される場合は、無線によって通信する方式でも良い。
なお、監視装置20についても、屋外に設置されるケースを考慮して完全防水にしておくことが望ましい。
そのため、新たに別の工事をするために工事車両45が、既に埋められている配管40の付近を工事するケースは多くなる。
配管40に平行して別の配管を埋設する場合には、図3に示すように工事区域51が決められ、工事進行方向52が決められる。したがって、傾斜検出装置10は、配管40からの一定距離Aだけ離れた位置に平行に埋設する。
一定距離Aは1m程度に設定されることが多い。このように傾斜検出装置10が埋設されることで、工事区域51からはみ出して工事車両45が地面を掘り返すことを検出することが可能となる。
道路50に、掘削機55を用いて縦穴53を形成する。そして、傾斜検出装置10を縦穴53に差し込んで、道路50に傾斜検出装置10を設置する。
このように傾斜検出装置10は単純に縦穴53に差し込まれて道路50に備えられるため、図3に示される工事区域51をはみ出して工事車両45が道路50を掘った場合に、傾斜検出装置10の付近を掘ることで傾斜検出装置10は倒れる。
図3に示すように、傾斜検出装置10が配管40に沿って埋められていれば、工事区域51の指標になると共に、万が一誤って工事区域51を逸れて道路50を掘ってしまった場合には、傾斜検出装置10の周囲の道路50も崩してしまうことになる。
この結果、縦穴53に差し込まれるように設けられる傾斜検出装置10は、周りの道路50が掘削されて支えが無くなると、図1に示すように倒れ込む結果となる。図1では、第1傾斜検出装置10aが設けられている周囲を誤って掘削してしまった結果、第1傾斜検出装置10aが倒れている。
傾斜検出装置10と監視装置20は定期的に交信しており、第1傾斜検出装置10aは自分が倒れていることを検出して、監視装置20に異常として報知する。この結果を監視装置20は情報局30に連絡し、情報局30ではオペレータが適宜、現場の工事車両45のオペレータ又はその監督者に連絡を取り、工事区域51を外れて工事していることを通達し、配管40の損傷を回避する。
情報局30を経由して工事車両45に警告するだけでは間に合わない可能性もあるため、監視装置20から何らかの異常を知らせるように工夫することで、より配管40の損傷を未然に防止する効果を高めることが出来る。
よって、工事車両45のオペレータの判断に任せるケースが多くなり、損傷してしまった場合でも、連絡がなければそのことに気がつけないという現状があった。
傾斜検出装置10の小型バッテリ15は、3ヶ月程度持つようにしてあるので、工事期間がその期間内で終われば問題ないし、工事期間が長引く場合でも小型バッテリ15の電圧低下に伴い小型バッテリ15を交換すれば良い。電圧低下情報についても第1無線通信ユニット13で監視装置20に通報し、情報局30がその情報を得れば、交換することが可能となる。
工事車両45によって傾斜検出装置10が掘り起こされてしまった場合には、傾斜検出装置10が細長く形成されていることにより倒れ、3軸加速度センサ14はその異常を検出することが可能である。また万が一、傾斜検出装置10を工事車両45が破損してしまった場合にも、監視装置20と連絡不能になった状態を異常と捉えて検出することが可能である。
傾斜検出装置10と監視装置20の通信は、数分間隔程度で行う。数分間隔で監視することで、工事車両45が配管40に到達してしまう前に検知することが可能である。もっとも、傾斜検出装置10が傾斜異常を捉えた場合には、監視装置20に即時通報するようにしておけば、即時対応が可能となる。
さらに、傾斜検出装置10に用いる第1無線通信ユニット13は、2.4GHz帯の周波数を使用する無線であるとしているが、この周波数帯の無線では、見通し距離が10m前後の通信距離しかカバーできない。このため、図3に示すような状態で傾斜検出装置10を設置し、その設置間隔を3m程度とした場合、1つの監視装置20あたり、3〜5個の傾斜検出装置10と通信可能だと考えられる。
しかし、傾斜検出装置10の第1無線通信ユニット13を相互に中継可能な機能を持たせてやれば、第1傾斜検出装置10aが監視装置20との通信可能範囲内にいなくとも、第2傾斜検出装置10bが監視装置20と通信可能範囲内にいることで、第1傾斜検出装置10aは第2傾斜検出装置10bを中継して監視装置20と通信が可能となり、広域をカバーするといった使用方法も実現可能である。
配管40は直線的に埋設されるため、このような中継機能を備えることも有効である。
まず第1に、3軸加速度センサ14で異常を検出するので、誤検出を少なくできるという点が挙げられる。
3軸加速度センサ14は、前述したように傾きを検出することのできるセンサである。例えばピエゾ抵抗式の加速度センサであれば、シリコンを母材にしてフレームとマス、ビームとからなる構造体のチップを搭載し、マスがセンサ自身の傾きに応じて傾き、ビームに歪みが生じることで、ビーム上に配置したピエゾ抵抗に応力が生じて傾きを検出する。
ピエゾ抵抗は結晶に機械的な外力が加えられると、結晶格子に歪みを生じて、半導体中のキャリア数や移動度が変化して抵抗値が変化する素子であり、抵抗値の変化を傾きとして判断することができる。
したがって、実際に傾きが生じれば正確にその傾きを検出することができる。
特許文献1や特許文献2のように振動センサを用いることも考えられるが、振動センサはそのセンサの特性上、振動を捉えた後、その振動が工事車両45によるものかどうかを分析する必要がある。振動は様々な要因で発生し、例えば近くを人が歩いただけでも振動は発生する。このような振動と工事車両45と区別するためには、事前に工事車両45の振動特性を例えば監視装置20や情報局30に記憶しておき、記憶データと検出データを比較分析した上で、工事車両45の接近による振動かどうかを判断する必要がある。
しかし、複数の震動源からの振動が複合した波として到達し、ここからノイズを除去して必要なデータを自動で取り出すことは、まだまだ技術的困難性が伴う上に相当の設備を必要とする。
つまり、振動センサでの工事車両45近接検出、確実性においても、設備コスト面においても、課題が多い。
これに比べて、3軸加速度センサ14を用いた傾斜検出装置10は、原理が単純である上に、確実に傾斜を検出することが可能であるため、確実性においても、コスト面においてもメリットが高いと考えられる。
振動センサを用いたシステムと損傷未然検知システム70との比較については前述した通りであり、振動分析に用いる装置が不要な分だけコストダウンを図ることが可能である。
さらに、傾斜検出装置10を現場に埋設することで、監視員を派遣する労力を省きコストを削減できるほか、図3に示すように配管40より一定距離Aだけ離れた距離に傾斜検出装置10を埋設することで、未然に配管40の損傷を防ぐことが可能になる。
特に配管40が密集するような地点や、基幹の配管40のような重要な配管40の付近に傾斜検出装置10を設けておくことが望ましい。
このような重要拠点の配管40が損傷すると多大な損害を発生する必要がある。配管40がガス管であった場合には、内部を流通する可燃性気体が外部に漏れ出すと、引火によって爆発を起こす虞もあるため、二次災害を防ぐ意味でも第1実施例の損傷未然検知システム70は効果的である。
また、傾斜検出装置10の埋設方法は、図4に示すように道路50に掘削機55で縦穴53を空けて差し込むだけであるので、短時間で容易に傾斜検出装置10の埋設を行うことができる。
(1)外部と無線通信する第1無線通信ユニット13と、傾斜を検出可能な3軸加速度センサ14と、第1無線通信ユニット13と3軸加速度センサ14に電源を供給する小型バッテリ15と、を有する傾斜検出装置10と、第1無線通信ユニット13と通信可能な第2無線通信ユニット21を有する監視装置20と、監視装置20と通信可能に設置される情報局30と、を備え、傾斜検出装置10を、地中に埋設される配管40から一定の距離に埋設し、監視装置20を、第1無線通信ユニット13と通信可能な距離に設置し、監視装置20が、3軸加速度センサ14が傾斜検出装置10の傾斜を検出した場合、又は傾斜検出装置10が通信不能になった場合に、傾斜検出装置10の異常として検出し、情報局に異常を通知するので、傾斜検出装置10に備える3軸加速度センサ14が傾斜検出装置10の傾斜を検出することで、工事車両45が周辺を掘削したことを監視装置20に報告し、監視装置20から情報局30に、地中に埋設される配管40に工事車両45が近接していることを通知することが可能になる。
傾斜検出装置10の確認は、数分おき程度の比較的短い間隔で頻繁に通信を行っていれば、通信が途切れたり、傾きを検出したりした後、早い段階で監視装置20に異常を知らせることが可能となる。この際に、振動でなく加速度で異常を検出するので傾斜検出装置10からの信号が途切れたり、傾いたりすれば確実に異常として検出することが可能である。
傾斜検出装置10は、配管40から一定距離Aに埋設されているので、配管40が損傷する前にそのような異常を検出することが可能で、直ちに工事関係者に工事区域以外を工事している旨を伝え、配管40の損傷を回避することが可能となる。
配管40の損傷を未然に回避することができれば、配管40を修復するコストもかからない上、工期の遅れの要因を取り除くことが可能となる。
地面が固ければ、掘削機55で穴を空けて円柱状の傾斜検出装置10を埋め込むという方法で埋設可能である。
また、細長いため場所を取らず、さらに周囲が掘削されれば確実に倒れるため、3軸加速度センサ14で異常を検出する確実性が増す。
さらに、地表に露出する頭頂部に頭頂アンテナ部12を備えているので、第1無線通信ユニット13が第2無線通信ユニット21と交信することが容易となる。
(第2実施例)
第2実施例は、第1実施例の構成とほぼ同じであり、第1実施例の図3に示す工事形態と別の実施例を示すものである。
図5に、道路50の工事区域51に直交して配管40が埋設されている場合を表した概略平面図を示す。
第2実施例の工事区域51は、配管40と直交している。このため、配管40から一定距離A離れた両側に、第1傾斜検出装置10a及び第2傾斜検出装置10bを埋設し、監視領域54を設定する。工事区域51の幅が増えれば、傾斜検出装置10の本数を適宜増やせばよい。
また、監視領域54に差し掛かったことを情報局30で察知して、工事車両45のオペレータやその監督に、特別に注意するように連絡するようにしても良い。
(第3実施例)
第3実施例は、第1実施例の構成とほぼ同じであり、第1実施例の図3に示す工事形態と別の実施例を示すものである。
ただし、第3実施例は未舗装地65での実施例を想定している。
図6に、第3実施例の損傷未然検知システム70のシステムイメージを表す概略図を示す。また、図7に表示杭型検出装置60の構成図を示す。
第3実施例の図6は、第1実施例の図1に対応し、未舗装地65での損傷未然検知システム70のイメージを示している。未舗装地65では掘削機55などで地面に穴を空ける必要がないため、表示杭型検出装置60のような形状の検出装置を用いる。
表示杭型検出装置60は、図7に示すように、杭型ボディ部61に頭頂アンテナ部12、第1無線通信ユニット13、3軸加速度センサ14及び小型バッテリ15が内蔵されている。そして、杭型ボディ部61の外形がくさび形になっており、杭型ボディ部61の頭頂部を、ハンマなどを用いて叩き、表示杭型検出装置60を未舗装地65に埋め込む。
なお、監視装置20への電源供給手段がなければ、監視装置20の内部に内蔵バッテリ22を備えておけばよい。
(1)第1無線通信ユニット13と3軸加速度センサ14と小型バッテリ15とを有する表示杭型検出装置60を、地中に埋設される配管40から一定距離Aに埋設し、第2無線通信ユニット21を有する監視装置20を、第1無線通信ユニット13と第2無線通信ユニット21が通信可能な距離に設置し、表示杭型検出装置60と監視装置20とが第1無線通信ユニット13及び第2無線通信ユニット21で通信し、3軸加速度センサ14が表示杭型検出装置60の傾斜を検出した場合、又は監視装置20と表示杭型検出装置60との通信が不能になった場合を、監視装置20が異常として検出し、監視装置20が情報局30に異常を通知するので、表示杭型検出装置60に備える3軸加速度センサ14が表示杭型検出装置60の傾斜を検出することで、工事車両45が周辺を掘削したことを監視装置20に報告し、監視装置20から情報局30に、地中に埋設される配管40に工事車両45が近接していることを通知することが可能になる。
表示杭型検出装置60の確認は、数分おき程度の比較的短い間隔で頻繁に通信を行っていれば、通信が途切れたり、傾きを検出したりした後、早い段階で監視装置20に異常を知らせることが可能となる。この際に、振動でなく加速度で異常を検出するので表示杭型検出装置60からの信号が途切れたり、傾いたりすれば確実に異常として検出することが可能である。
表示杭型検出装置60は、配管40から一定距離Aに埋設されているので、配管40が損傷する前にそのような異常を検出することが可能で、直ちに工事関係者に工事区域以外を工事している旨を伝え、配管40の損傷を回避することが可能となる。
配管40の損傷を未然に回避することができれば、配管40を修復するコストもかからない上、工期の遅れの要因を取り除くことが可能となる。
地面が柔らかければ、表示杭型検出装置60をハンマなどで打ち込んで埋め込むという方法で埋設可能である。
また、細長いため場所を取らず、さらに周囲が掘削されれば確実に倒れるため、3軸加速度センサ14で異常を検出する確実性が増す。
さらに、地表に露出する頭頂部に頭頂アンテナ部12を備えているので、第1無線通信ユニット13が第2無線通信ユニット21と交信することが容易となる。
(第4実施例)
第4実施例は、第1実施例の構成とほぼ同じであるが、傾斜検出装置10の構成が若干異なる。以下、構成の異なる部分について説明する。
図8に、第4実施例の傾斜検出装置80の概略構成図を示す。
傾斜検出装置80は、円筒形ボディ81の内部に無線通信ユニット13と小型バッテリ15とを備えている。円筒形ボディ81は円筒形状で、直径は60mm程度、長さは50mm程度である。
円筒形ボディ81の上面には、頭頂アンテナ部12が設けられている。円筒形ボディ81の下面には第2傾斜センサ83が接続されている。第2傾斜センサ83は第1実施例の3軸加速度センサ14に代替する機能を有する傾斜検出センサである。円筒形ボディ81の内部には第1傾斜センサ84を備えている。なお、第1傾斜センサ84は省略しても良い。
図9に、傾斜検出装置80を用いた損傷未然検知システム70のシステムイメージの概略を示す。
傾斜検出装置80は、道路50に埋設される配管40の上部、或いはその付近に埋設される。そして、傾斜検出装置80に備える第2傾斜センサ83は、配管40の付近に埋設される。
実際に傾斜検出装置80を埋設する際には、道路50にドリル等で穴をあける。そして、第2傾斜センサ83を配管40付近まで垂らし、円筒形ボディ81に備える頭頂アンテナ部12が地表に出るように配置される。
なお、図9では、配管40の真上に傾斜検出装置80を配置しているが、より安全性を高めるために、図3や図5に示されるような埋設方法を採っても良い。傾斜検出装置80をたくさん必要とするが、より検出の安全性を高めることに貢献する。また、図9では配管40の上部に第2傾斜センサ83を持ってきているが、図3や図5のような埋設位置に傾斜検出装置80を埋設するのであれば、配管40の側面にあたる部分に第2傾斜センサ83を配置しても良い。
配管40は地表から数m程度の位置に埋設されることが多いので、その分まで第2傾斜センサ83を近づける。配管40の埋設位置及び埋設深さは事前に把握されているので、この作業は配管40を傷つけずに行うことが可能である。
なお、配管40の埋設位置は道路50によって異なるので、円筒形ボディ81に接続される通信線82の長さは調節可能な機構を備えておくのが望ましい。
まず、第1の効果として、道路50の横堀にも対応することができる点が挙げられる。
損傷未然検知システム70に備えられる傾斜検出装置80のうち、第1無線通信ユニット13と小型バッテリ15とが、傾斜検出装置80の円筒形ボディ81に内蔵され、円筒形ボディ81の一端に、通信線82を介して第2傾斜センサ83が接続され、円筒形ボディ81の他端に備える頭頂アンテナ部12はアンテナの一部として地表に露出させ、円筒形ボディ81は地中に埋没させ、第2傾斜センサ83は、地中に埋設される配管40付近に埋没させて、傾斜検出装置80が埋設されているものである。
道路50の工事を行う際には、基本的には道路50の表面のアスファルトやコンクリートなどの既設物を剥がして工事を行う。しかしながら道路50上に設けられた構造物によっては剥離できない場合もあり、図9に示すように地面に対して水平方向に掘り進むこともある。
このような場合、道路50の地表は掘削されないために、第1実施例の傾斜検出装置10では配管40の損傷を未然に検出できない可能性がある。
工事は現場の作業者の裁量によって進められることが多く、実際には掘削してはいけない範囲を掘削するようなケースも考えられる。横堀りに関しても、工事の都合で行われる可能性があるので、このような場合にも対応できる構造であれば、メリットが高い。
当然ながら、第1実施例に示したようなケースの掘削にも対応することが可能である。
第4実施例の傾斜検出装置80には、円筒形ボディ81の内部にも第1傾斜センサ84が内蔵されているので、道路50の表面に舗装されている道路が剥離された際にも、異常を検出しうる。
円筒形ボディ81の長さが短いため、舗装面の剥離の際に円筒形ボディ81が傾斜するような位置の剥離が行われれば、第1傾斜センサ84がこの剥離を感知して異常を検出することが可能である。
すなわち、他工事業者が誤って道路50の舗装剥離を行った場合、傾斜検出装置80に備えられる第1傾斜センサ84で異常を検出することが可能である。この場合は、実際には地面が掘削されていない状況での検出であるので、早い段階で異常検出ができるためより確実に配管40の損傷を回避することが可能である。
配管40付近において、主に横堀りを警戒しなければならないような場合には、第2傾斜センサ83を備えるだけで足りると考えられる。
また、通信線82が細い導線であるため、通信線82を直接工事車両がひっかけたり、円筒形ボディ81に大きな外力が加わったりした場合には、通信線82が切断することも考えられるが、このような切断を検出することでも異常検出が可能となる。
(第5実施例)
図10に、第5実施例の傾斜検出装置80の概略構成図を示す。
第5実施例の傾斜検出装置80には、第2傾斜センサ83及び通信線82を備えていない点を除けば第4実施例の構成と同じである。
このように構成することで、第5実施例の傾斜検出装置80は、道路50の表層剥がしに特化することが可能となる。
第1実施例のように、ボディ部11を長くすると、道路50の舗装を剥がしただけでは倒れない深さまで埋まってしまい、感知できなくなる虞もある。したがって、円筒形ボディ81のようなショートサイズのボディの方が、道路50の塗装剥がしの時点では検出し易いという利点がある。
例えば、傾斜検出装置10又は杭型ボディ部61の形状を変更することを妨げないし、傾斜検出装置10の寸法を例示しているが、これに限定されるものではない。
また、図3及び図5に示される傾斜検出装置10及び表示杭型検出装置60の配置は、あくまで一例であって、配管40の埋設状況と工事区域51の位置によって、傾斜検出装置10及び表示杭型検出装置60の埋設位置を変更することを妨げない。
また、第1実施例乃至第3実施例において、傾斜検出装置10と監視装置20が通信し、異常を情報局30に通知することとしているが、情報局30を例えば工事監督者として、工事監督者に無線通信端末を持たせ、直接通知しても良い。
また、第1実施例乃至第3実施例において、傾斜検出装置10及び監視装置20には、例えば2.4GHz帯の電波を用いて通信するとしているが、特にこれに限定されるものではなく、通信距離も10mに限定されるものではない。したがって、他の周波数帯を用いても良いし、出力を変えるなどの手段で通信距離を伸ばすことも妨げない。
10a 第1検出装置
10b 第2検出装置
10c 第3検出装置
11 ボディ部
12 頭頂アンテナ部
13 第1無線通信ユニット
14 3軸加速度センサ
15 小型バッテリ
20 監視装置
21 第2無線通信ユニット
22 内蔵バッテリ
30 情報局
40 配管
45 工事車両
50 道路
51 工事区域
52 工事進行方向
53 縦穴
54 監視領域
55 掘削機
60 表示杭型検出装置
61 杭型ボディ部
65 未舗装地
70 損傷未然検知システム
Claims (5)
- 外部と無線通信する第1無線通信ユニットと、
傾斜を検出可能な傾斜センサと、
前記第1無線通信ユニットと前記傾斜センサに電源を供給する内部電源と、
を有する傾斜検出装置と、
前記第1無線通信ユニットと通信可能な第2無線通信ユニットを有する監視装置と、
前記監視装置と通信可能に設置される情報局と、
を備え、
前記傾斜検出装置を、地中に埋設される配管から一定の距離に埋設し、
前記監視装置を、前記第1無線通信ユニットと通信可能な距離に設置し、
前記監視装置が、
前記傾斜センサが前記傾斜検出装置の傾斜を検出した場合、
又は前記傾斜検出装置が通信不能になった場合に、
前記傾斜検出装置の異常として検出し、前記情報局に前記異常を通知することを特徴とする損傷未然検知システム。 - 請求項1に記載の損傷未然検知システムにおいて、
前記傾斜検出装置のボディ部は長細い形状に形成され、
前記ボディ部の一端に備える頭頂部はアンテナの一部として地表に露出させ、前記ボディ部は地中に埋没させて、前記傾斜検出装置が埋設されることを特徴とする損傷未然検知システム。 - 請求項1に記載の損傷未然検出システムにおいて、
前記第1無線通信ユニットと前記内部電源とが、前記傾斜検出装置のボディ部に内蔵され、
前記ボディ部の一端に、通信線を介して前記傾斜センサが接続され、
前記ボディ部の他端に備える頭頂部はアンテナの一部として地表に露出させ、前記ボディ部は地中に埋没させ、
前記傾斜センサは、地中に埋設される前記配管付近に埋没させて、前記傾斜検出装置が埋設されていることを特徴とする損傷未然検知システム。 - 外部と無線通信する無線通信ユニットと、
傾斜を検出可能な傾斜センサと、
前記無線通信ユニットと前記傾斜センサに電源を供給する内部電源と、
をボディ部に内蔵し、
前記ボディ部の一端に備える頭頂部は地表に露出させ、前記ボディ部は地中に埋没されて設置されることを特徴とする傾斜検出装置。 - 外部と無線通信する無線通信ユニットと、
前記無線通信ユニットに電源を供給する内部電源と、
をボディ部に内蔵し、
傾斜を検出可能な傾斜センサを、前記ボディ部の一端に通信線を介して接続され、
前記ボディ部の他端にアンテナの一部として地表に露出させる頭頂部を備えることを特徴とする傾斜検出装置。
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