JP2008280898A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を流入させることができる内燃機関を提供する。
【解決手段】 傘部ubと、傘部ubと一端で連結されるステムstmとを有する吸気弁を一気筒につき複数備える内燃機関300であって、吸気弁として、ステムstmの中心軸線P1を含む平面によって2つに分割される吸気の通過領域のうち、燃焼室54外側に位置する外側通過領域otrが大きくなるように、且つステムstmの中心軸線P1が傘部ubの底面の中心点P2を含まないようにステムstmがオフセットしている吸気弁301aと、ステムstmの中心軸線P1を含む平面S1によって2つに分割される吸気の通過領域のうち、燃焼室54中心側に位置する内側通過領域inrが大きくなるように、且つステムstmの中心軸線P1が傘部ubの底面の中心点P2を含まないようにステムstmがオフセットしている吸気弁301bを備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は内燃機関に関し、特に筒内に旋回気流を生成するにあたって吸気を筒内に好適に流入させる内燃機関に関する。
従来、内燃機関においては筒内にタンブル(縦渦)やスワール(横渦)といった旋回気流を生成する技術が知られている。係る旋回気流を生成する内燃機関では、一般により強度の高い旋回気流を生成することで、内燃機関の希薄燃焼領域の拡大や出力性能の向上などを図ることができる。この点、強度の高い旋回気流を生成するにあたっては、筒内に流入する吸気の流入態様が重要な要素の一つとなっている。これに対して、筒内に流入する吸気の流入態様を改善するための技術が例えば特許文献1または2で提案されている。
特開平07−279751号公報 実開昭59−135335号公報
ところで、内燃機関の排気ガス中に含まれる未燃HC、COなどのエミッションは混合気の燃焼性を向上させることで低減でき、燃焼性を向上させるためには混合気のミキシング性を向上させることが有効である。この点、筒内にタンブル流を生成する内燃機関にあっては、タンブル流に対してさらにスワール成分を付与することが混合気のミキシング性向上に対して効果的である。ところが、特許文献1が提案する技術はスワール成分を実質的に有しない純タンブル流を生成する技術であるため、スワール成分を有するタンブル流を生成する場合と比較して、混合気のミキシング性が相対的に低くなる虞がある。このため特許文献1が提案する技術では、エミッションの低減といった観点からは必ずしも十分な、或いはより好ましい結果を得ることができない虞がある。
一方、スワール流を生成する技術としては、従来から例えば吸気2弁構造を有する内燃機関を例として、一気筒につき片方の吸気ポートから筒内に流入する吸気を絞りなどで制限し、筒内に流入する吸気に指向性を与えることによってスワール流を生成する技術が知られている。このため係る技術を利用することによって、スワール成分を有するタンブル流を生成し、混合気のミキシング性向上を図ることも考えられる。しかしながら係る技術を利用した場合には、吸入空気量を犠牲にしてスワール成分を付与することになるため、内燃機関の体積効率が低下してしまい、この結果、内燃機関の高負荷性能を高めることが困難になってしまう点が問題となる。
そこで本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は傘部と、該傘部と一端で連結されるステムとを有する吸気弁を一気筒につき複数備える内燃機関であって、前記吸気弁として、前記ステムの中心軸線を含む平面によって2つに分割される吸気の通過領域のうち、燃焼室外側に位置する外側通過領域が大きくなるように、且つ、前記ステムの中心軸線が前記傘部の底面の中心点を含まないように前記ステムがオフセットしている第1の特定吸気弁を備えていることを特徴とする。本発明によれば、外側通過領域を大きく確保することによって、スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。また上記のようにステムをオフセットさせた第1の特定吸気弁を備えることで筒内に吸気を好適に流入させる本発明によれば、内燃機関の体積効率の低下を特段招くことなく、混合気のミキシング性の向上を図ることができ、以ってエミッションの低減を好適に図ることができる。
なお、一般的な吸気弁では強度や加工容易性などの観点から、ステムの中心軸線が傘部の底面の中心点を含み、且つこの底面に対して垂直に延伸するようにステムが形成されているところ、第1の特定吸気弁では、ステムの中心軸線が傘部の底面の中心点を含まないようにステムがオフセットしており、この点で第1の特定吸気弁は一般的な吸気弁とは異なるものとなっている。
また本発明記載のステムの中心軸線を含む平面は、吸気の通過領域をステムよりも燃焼室内側と外側とに分割し得る平面であれば、必ずしも一つの平面に限定されないが、この平面はステムをオフセットさせた結果、筒内で旋回気流に生成されるように流通する吸気の主流がより多く外側通過領域に含まれるように、吸気の通過領域を内側と外側とに分割する平面であることが好ましい。この点、タンブル流にスワール成分を付与するといった観点から筒内に流入する吸気の流れを考慮すると、この平面をさらにシリンダ軸線と平行になる平面として本発明を実現すれば、ステムをオフセットさせた結果、吸気の主流をより多く、且つより確実に外側通過領域に含み得る点で好適である。
また本発明記載の外側通過領域が大きくなるように、とは第1の特定吸気弁に係るステムをオフセットさせない場合と比較して外側通過領域が大きくなるように、の意であるが、より大きなスワール成分を付与できるようにするといった観点から筒内に流入する吸気の通過領域を考慮すると、第1の特定吸気弁に係るステムは、さらに具体的には外側通過領域のほうが他方の内側通過領域よりも大きくなるようにオフセットしていることが好適である。
また本発明は前記吸気弁のうち、一気筒につき両端に位置する吸気弁の一方の吸気弁が前記第1の特定吸気弁となっており、さらに他方の吸気弁として、前記ステムの中心軸線を含む平面によって2つに分割される吸気の通過領域のうち、燃焼室中心側に位置する内側通過領域が大きくなるように、且つ前記ステムの中心軸線が前記傘部の底面の中心点を含まないように前記ステムがオフセットしている第2の特定吸気弁を備えてもよい。
本発明によれば、第2の特定吸気弁に係る内側通過領域を大きく確保できるため、第1の特定吸気弁をオフセットさせた結果、筒内に生成される旋回気流のタンブル成分が必要以上に大きく低下してしまうことを抑制できる。同時に本発明によれば、第2の特定吸気弁に係る他方の外側通過領域を小さくすることによって、第1の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量を、第2の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくすることもできることなどから、より大きなスワール成分の付与にも貢献できる。このため本発明によればこれらの点で、スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、より好適に筒内に吸気を流入させることができる。
なお、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々のオフセット度合いによっては、これらステム夫々をオフセットさせない場合よりも燃焼室中央に向かって流入する吸入空気の量が増大し、却って筒内で生成される旋回気流に十分な大きさのスワール成分を付与できなくなることも考えられる。この点、十分な大きさのスワール成分を付与できるようにするためには、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々の間を流通する吸入空気の量が、これらステム夫々をオフセットさせない場合と比較して同等、或いは小さくなるようにこれらステム夫々をオフセットさせることが好適である。
具体的には例えば第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々を同方向に略等しい度合いでオフセットさせることが、より確実に十分な大きさのスワール成分を付与し得る点で好適である。また例えば、第2の特定吸気弁に係るステムのオフセット度合いを第1の特定吸気弁に係るステムのオフセット度合い以下にして、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々をオフセットさせることも、より確実に十分な大きさのスワール成分を付与し得る点で好適である。但しこれに限られず、例えば吸気ポートの形状などによってスワール成分が効果的に付与される場合などには、逆に筒内に生成される旋回気流のタンブル成分が小さくなり過ぎないようにするために、第2の特定吸気弁に係るステムのオフセット度合いを第1の特定吸気弁に係るステムのオフセット度合いよりも大きくして、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々をオフセットさせてもよい。
また本発明記載の一気筒につき両端に位置する吸気弁は、吸気2弁構造の内燃機関にあっては一気筒につき2つ備えられた吸気弁に相当し、以下に説明する発明についても同様である。この場合、一気筒につき2つ備えられた吸気弁のうち一方が第1の特定吸気弁に、他方が第2の特定吸気弁に夫々対応することになる。また本発明記載の第1の特定吸気弁は請求項1記載の第1の特定吸気弁であるが、例えば請求項4記載の第1の特定吸気弁とすることも可能である。また本発明記載のステムの中心軸線を含む平面は、吸気の通過領域をステムよりも燃焼室内側と外側とに分割し得る平面であれば必ずしも一つの平面に限定されないが、前述した第1の特定吸気弁と同様の観点から、吸気の主流がより多く内側通過領域に含まれるように吸気の通過領域を内側と外側とに分割する平面であることが好ましい。
この点、具体的には例えば前述した第1の特定吸気弁と同様にこの平面をさらにシリンダ軸線と平行になる平面として本発明を実現すれば、ステムをオフセットさせた結果、吸気の主流をより多く、且つより確実に内側通過領域に含み得る点で好適である。また本発明記載の内側通過領域が大きくなるように、とは第2の特定吸気弁に係るステムをオフセットさせない場合と比較して内側通過領域が大きくなるように、の意であるが、第2の特定吸気弁に係るステムは、前述した第1の特定吸気弁の場合と同様の観点から、さらに具体的には内側通過領域のほうが他方の外側通過領域よりも大きくなるようにオフセットしていることが好適である。
また本発明は前記特定吸気弁に係る前記ステムが、吸気の流れ方向について、前記特定吸気弁に係る前記中心点よりも上流側にオフセットしていてもよい。ここで、本発明記載の特定吸気弁とは、第1および/または第2の特定吸気弁を指すものであり、特定吸気弁というときには以下同様とする。したがって特定吸気弁というときには、例えば第1及び第2の特定吸気弁をともに備えている場合に第1または第2の特定吸気弁のうち、いずれか一方のみを指すことも含まれる。
特定吸気弁のステムをオフセットさせるにあたっては、具体的には水平投影視で吸気の流れ方向に対して垂直な方向にオフセットさせることと、これに加えてさらに吸気の流れ方向について特定吸気弁に係る中心点よりも下流側にオフセットさせること、或いは吸気の流れ方向について特定吸気弁に係る中心点よりも上流側にオフセットさせることができる。すなわち特定吸気弁のステムをオフセットさせるにあたっては、第1の特定吸気弁にあってはシリンダ中心軸線を含み、且つ吸気の流れと平行な平面に近づく側に、第2の特定吸気弁にあってはシリンダ中心軸線を含み、且つ吸気の流れと平行な平面から離れる側に夫々オフセットさせることができる。
この点、特定吸気弁のステムを吸気の流れ方向について、特定吸気弁に係る中心点よりも下流側にオフセットさせた場合には、特定吸気弁に係る傘部の直上、且つ後流側で吸気の流れがスムースに形成されなくなる虞がある。このため特定吸気弁に係るステムは具体的には本発明のようにオフセットしていることが好適である。本発明によれば、より大きなスワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
また本発明は傘部と、該傘部と一端で連結されるステムとを有する吸気弁を一気筒につき複数備える内燃機関であって、前記吸気弁として、閉じた状態において前記ステムの先端が、シリンダ中心軸線を含み、且つクランク軸線に直交する平面から、クランク軸線と略平行な方向で前記傘部の底面の中心点よりも離れるように前記ステムが傾斜している第1の特定吸気弁を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、上記のようにステムを傾斜させた第1の特定吸気弁の傾斜配置によって、第1の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量をより多く確保できることから、筒内に生成されるタンブル流に対してスワール成分を付与できるように、筒内に吸気を流入させることができる。すなわち本発明によれば、スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。また上記のようにステムを傾斜させて配置した第1の特定吸気弁を備えることで筒内に吸気を好適に流入させる本発明によれば、内燃機関の体積効率の低下を特段招くことなく、混合気のミキシング性の向上を図ることができ、以ってエミッションの低減を図ることができる。
なお、本発明記載の第1の特定吸気弁は請求項1記載の第1の特定吸気弁とは異なるものとなっているが、本発明記載の第1の特定吸気弁のステムをさらに請求項1記載の第1の特定吸気弁と同様にオフセットさせることも可能である。また本発明記載の閉じた状態においてとは、第1の特定吸気弁をある一つの状態で規定するために例示的に記載したものであり、この点は以下に示す発明についても同様となっている。
また本発明は前記吸気弁のうち、一気筒につき両端に位置する吸気弁の一方の吸気弁が前記第1の特定吸気弁となっており、さらに他方の吸気弁として、閉じた状態において前記ステムの先端が、前記平面にクランク軸線と略平行な方向で前記中心点よりも近づくように前記ステムが傾斜している第2の特定吸気弁を備えていてもよい。
本発明によれば、上記のようにステムを傾斜させた第2の特定吸気弁の傾斜配置によって、第2の特定吸気弁のステムよりも燃焼室中心側を流通する吸入空気の量を多く確保でき、この結果、第1の特定吸気弁の傾斜配置によって筒内に生成される旋回気流のタンブル成分が必要以上に大きく低下してしまうことを抑制できる。同時に本発明によれば、第2の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量を少なくでき、この結果、第1の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量を、第2の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくすることもできることから、より大きなスワール成分の付与にも貢献できる。このため本発明によればこれらの点で、スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、より好適に筒内に吸気を流入させることができる。
なお、本発明記載の第1の特定吸気弁は請求項4記載の第1の特定吸気弁であるが、例えば請求項1記載の第1の特定吸気弁とすることも可能である。また第1及び第2の特定吸気弁の傾斜配置に係るステム夫々の傾斜度合いによっては、これらステム夫々を傾斜させて配置しない場合よりも燃焼室中央に向かって流入する吸入空気の量が増大し、却って筒内で生成される旋回気流に十分な大きさのスワール成分を付与できなくなることも考えられる。この点、十分な大きさのスワール成分を付与できるようにするためには、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々の間を流通する吸入空気の量が、これらステム夫々を傾斜させて配置しない場合と比較して同等、或いは小さくなるようにこれらステム夫々を傾斜させて第1及び第2の特定吸気弁を配置することが好適である。
具体的には例えば第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々を同方向に略等しい度合いで傾斜させて第1及び第2の特定吸気弁を配置することが、より確実に十分な大きさのスワール成分を付与し得る点で好適である。また例えば、第2の特定吸気弁に係るステムの傾斜度合いが第1の特定吸気弁に係るステムの傾斜度合い以下になるように、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々を傾斜させて第1及び第2の特定吸気弁を配置することも、より確実に十分な大きさのスワール成分を付与し得る点で好適である。但しこれに限られず、例えば吸気ポートの形状などによってスワール成分が効果的に付与される場合などには、逆に筒内に生成される旋回気流のタンブル成分が小さくなり過ぎないようにするために、第2の特定吸気弁に係るステムの傾斜度合いが第1の特定吸気弁に係るステムの傾斜度合いよりも大きくなるように、第1及び第2の特定吸気弁に係るステム夫々を傾斜させて第1及び第2の特定吸気弁を配置してもよい。
また本発明はさらに前記特定吸気弁が閉じた状態において、前記ステムの前記先端が、吸気の流れ方向について前記中心点よりも排気ポート側に位置するように、前記特定吸気弁に係る前記ステムが傾斜していてもよい。ここで、特定吸気弁のステムを傾斜させるにあたっては、特定吸気弁に係るステムをクランク軸線と平行な方向に沿って傾斜させることと、これに加えてさらに吸気の流れ方向について特定吸気弁に係る中心点よりも下流側、すなわち排気ポート側に位置させるようにして傾斜させること、或いは吸気の流れ方向について特定吸気弁に係る中心点よりも上流側に位置させるようにして傾斜させることができる。
この点、特定吸気弁のステムの先端を、吸気の流れ方向について特定吸気弁に係る中心点よりも上流側に位置させるようにしてステムを傾斜させた場合には、特定吸気弁に係る傘部の直上、且つ後流側で吸気の流れがスムースに形成されなくなる虞がある。このため特定吸気弁に係るステムは具体的には本発明のように傾斜していることが好適である。本発明によれば、より大きなスワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
また本発明は前記第1の特定吸気弁に係る前記傘部が、該傘部のうち、前記ステムよりも燃焼室外側を流通する吸気に対応する部分のほうが、前記ステムよりも燃焼室中心側を流通する吸気に対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されていてもよい。本発明によれば、第1の特定吸気弁に係るステムよりも燃焼室外側を流通する吸気の通過領域をさらに大きく確保できることから、さらに大きなスワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
また本発明は前記第2の特定吸気弁に係る前記傘部が、該傘部のうち、前記ステムよりも燃焼室中心側を流通する吸気に対応する部分のほうが、前記ステムよりも燃焼室外側を流通する吸気に対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されていてもよい。本発明によれば、第2の特定吸気弁に係るステムよりも燃焼室中心側を流通する吸気の通過領域をさらに大きく確保できることから、また同時にこれによって、第2の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量が相対的に減少し、この結果、第1の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量が、第2の特定吸気弁のステムよりも燃焼室外側を流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくなることなどから、さらに十分な大きさのタンブル成分とスワール成分とを有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
本発明によれば、スワール成分を有するタンブル流を生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は本実施例に係る内燃機関300の要部を一気筒につき、鉛直断面視で模式的に示す図である。内燃機関300は筒内燃料直接噴射式のガソリンエンジンであり、内燃機関300には吸気2弁構造が適用されている。但し内燃機関300は本発明を効果的に実施できる内燃機関であれば特に限定されず、例えば所謂リーンバーンエンジンなどであってもよく、また例えば吸気3弁構造が適用されてもよい。また内燃機関300は適宜の気筒数及び気筒配列構造を有していてよい。
内燃機関300はシリンダブロック51、シリンダヘッド52及びピストン53などを有して構成されている。シリンダブロック51には略円筒状のシリンダ51aが形成されており、シリンダ51a内にはピストン53が収容されている。シリンダブロック51にはシリンダヘッド52が固定されている。燃焼室54はシリンダブロック51、シリンダヘッド52及びピストン53によって囲われた空間として形成されている。シリンダヘッド52には吸気を燃焼室54内(以下、単に筒内とも称す)に導入するための吸気ポート10a及び10b(以下、総称するときには単に吸気ポート10と称し、他の部品についても同様とする)と、燃焼したガスを燃焼室54から排気するための排気ポート20とが夫々形成されており、さらに吸気ポート10を開閉するための吸気弁301と、排気ポート20を開閉するための排気弁55とが夫々配設されている。本実施例では吸気弁301aで請求項1に係る第1の特定吸気弁が、吸気弁301bで請求項2に係る第2の特定吸気弁が夫々実現されている。
点火プラグ56は上方から燃焼室54内に電極を突出させた状態でシリンダヘッド52に配設されている。燃料噴射弁(図示省略)は吸気ポート10内に噴射孔を突出させた状態でシリンダヘッド52に配設されており、この燃料噴射弁は吸気行程でシリンダ51a内に直接燃料を噴射できるようになっている。なお、燃料噴射弁はこれに限られず、例えば燃焼室54内に噴射孔を突出させた状態で吸気ポート10よりもシリンダブロック51側の位置や、燃焼室54の上方などでシリンダヘッド52に配設されてもよい。吸気ポート10から筒内に流入した吸気は、筒内で旋回気流に生成される。この旋回気流は本実施例では具体的には図1に示すようなスワール成分を有するタンブル流(以下、単に斜めタンブル流と称す)TSとなっている。
図2は内燃機関300の要部を一気筒につき、水平投影視で模式的に示す図である。また図3は図2に示すC−C断面で、吸気弁301を模式的に示す図である。図2に示すように、吸気ポート10は水平投影視で燃焼室54に向かって吸気を流通させるように延伸している。これにより、巨視的に見て吸気が吸気の流れ方向Fに沿って燃焼室54に向かって流通する吸気の主流を形成することから、本実施例ではこの吸気の流れ方向Fを吸気の流れ方向としている。
なお本実施例では、吸気の主流はさらに筒内に流入する際に図2に示す吸気の流れ方向Ftに沿って流通する流れに形成される。この点、吸気の流れ方向は、筒内で旋回気流に生成されるように流通する吸気の主流が流通する方向を示すものであり、例えば吸気弁301のステムstmや傘部ub付近の主流の流通方向に着目して、吸気の流れ方向Ftとすることもできる。この場合には、巨視的に見た吸気の流れ方向に基づく場合よりも好適に本発明(例えば請求項3記載の発明)を実施し得るが、本発明には設計容易性などの観点から巨視的に見た吸気の流れ方向に基づく場合も含まれる。また吸気の流れ方向は、吸気ポート10の形状などによっては図2に示すこれら吸気の流れ方向F或いはFtに限られない。例えばスワール成分をより効果的に付与すべく吸気ポート10をさらに湾曲させて形成した場合にあっては、吸気の流れ方向が巨視的に見た場合であっても吸気の流れ方向Ft同様の方向となる場合もある。
図2及び図3に示すように、吸気弁301のステムstmはステムstmの中心軸線P1が、傘部ubの底面の中心点P2を含まないようにオフセットしている。このステムstmは本実施例では具体的には、図2に示すように水平投影視で吸気の流れ方向Fに対して略垂直な方向に、換言すれば軸線P4と略平行な方向にオフセットしている。なお、この軸線P4は図示しないクランク軸線と略平行なものとなっている。また図2に示すように、吸気弁301のステムstmは吸気弁301aにあってはステムstmの中心軸線P1を含む平面S1によって2つに分割される吸気の通過領域inr、otrのうち、燃焼室54外側に位置する外側通過領域otrが大きくなるようにオフセットしている。これにより、吸気弁301aに係る外側通過領域otrを大きく確保できることから、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
また吸気弁301のステムstmは、吸気弁301bにあっては燃焼室54中心側に位置する内側通過領域inrが大きくなるようにオフセットしている。これにより、吸気弁301bに係る内側通過領域inrを大きく確保できることから、さらに斜めタンブル流TSのタンブル成分を十分な大きさに確保することができる。また同時に吸気弁301bに係る他方の外側通過領域otrを小さくできることから、吸気弁301aのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量を、吸気弁301bのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくすることもでき、以ってより大きなスワール成分の付与にも貢献できる。
また吸気弁301のステムstmはさらに具体的には吸気弁301aにあっては、外側通過領域otrが、他方の内側通過領域inrよりも大きくなるようにオフセットしており、吸気弁301bにあっては内側通過領域inrが、他方の外側通過領域otrよりも大きくなるようにオフセットしている。これにより、十分な大きさのスワール成分を付与できる。また本実施例では図3に示すように吸気弁301のステムstm夫々は同方向に略等しい度合いL2でオフセットしている。これにより、吸気弁301a、301bのステムstm夫々の間を流通する吸入空気の量が、これらステムstm夫々をオフセットさせない場合と比較して同等、或いは小さくなることから、筒内に生成される斜めタンブル流TSのタンブル成分が増大することによって、却って十分な大きさのスワール成分を付与できなくなってしまうことを防止できる。したがって、これに十分な大きさのスワール成分をより確実に付与できる。またこのようにステムstmをオフセットさせた吸気弁301を備えることによって筒内に流入する吸気の流動態様を改善したことで、内燃機関300の体積効率の低下を特段招くことなく、混合気のミキシング性の向上を図ることができ、以ってエミッションの低減を好適に図ることができる。
なお、図2では平面S1をさらにシリンダ中心軸線P3と略平行な平面と想定したため、図2ではこの平面S1が直線状に示されている。また図示しないステムガイドに収納されている状態を含めて、吸気弁301のステムstmが吸気ポート10に介在している位置において吸気ポート10の断面(例えば吸気ポート10に垂直な断面や吸気の流れ方向Fに垂直な断面など、吸気ポート10の延伸方向においてある位置の吸気ポート10の形状を示すために適当な断面。)をとったときには、この吸気ポート52の断面は平面S1によって2つの部分に分割されるが、このようにして二分割された部分夫々は、内側及び外側通過領域inr、otrの一部に相当する。
この点、吸気弁301aにあってはこのような吸気ポート10の断面すべてで外側通過領域otrに対応する部分のほうが、内側通過領域inrに対応する部分よりも大きくなっていることが、また吸気弁301bにあってはこのような吸気ポート10の断面すべてで内側通過領域inrに対応する部分のほうが、外側通過領域otrに対応する部分よりも大きくなっていることが好ましい。但し、吸気ポート10の形状次第では必ずしもこれに限られない。また上記のように内側及び外側通過領域inr、otrは、吸気弁301のステムstmが吸気ポート10に介在している位置における吸気の通過領域であるため、内側及び外側通過領域inr、otrには、吸気弁301のステムstmが吸気ポート10に介在しない位置で、平面S1によって分割される吸気の通過領域までは含まれない。
図4はスワール強度とバルブリフト量との関係を示す図である。図4では、吸気弁301の代わりにステムstmがオフセットしていない吸気弁を備えた内燃機関300Xと、内燃機関300とについて、スワール強度の比較を行った結果を示している。なお、内燃機関300Xは吸気弁が異なっている点以外、内燃機関300と実質的に同一のものとなっている。図4から、内燃機関300では内燃機関300Xよりもスワール強度が向上していることがわかる。またバルブリフト量が大きくなるほどスワール強度が大幅に向上していることがわかる。
次に吸気弁301のステムstmのオフセット量L2について詳述する。図5は図2で右側に配置される吸気弁301bを傘部ubの底面に対して垂直な方向からの視線で、且つ図2と同様の向きで模式的に示す図である。図5に示すように、オフセット量L2は中心点P2からステムstm(より具体的には傘部ubの底面とステムstmの中心軸線P1とが交わる点P5)までの距離を示すものとして設定されている。またバルブ外径D2は吸気弁301bの傘部ubの外径を示している。なお、オフセット量L2の正負の符号は、図5に示すようにステムstmがシリンダ中心軸線P4から吸気の流れ方向Fに略直交する方向で離れる方向を正としている。
オフセット量L2を0(ゼロ)よりも大きく設定すれば、スワール成分を付与すべく筒内に流入する吸気の流動態様を改善できる。このためオフセット量L2が次の数1で示す範囲内にあれば、スワール強度を向上させることができる。
(数1)
0<L2
一方、オフセット量L2がD2/4程度まで大きくなると、吸気弁301のバルブ強度の大幅な低下が懸念される。さらにオフセット量L2がD2/4よりも大きくなると、バルブ強度が大きく低下するとともに、空気流量も大きく低下し始める虞がある。これは吸気弁301aに係る内側通過領域inr、及び吸気弁301bに係る外側通過領域otrを通過しようとする吸気の量が極端に低下するためと考えられる(図6参照)。このためオフセット量L2は、次の数2に示す範囲を許容範囲として、この許容範囲内にあることが好ましい。
(数2)
0<L2≦D2/4
またオフセット量L2が0(ゼロ)からD2/12になるまでの間は、スワール強度が大きく向上する途中の段階に対応するので、オフセット量L2は次の数3に示す範囲を推奨範囲として、この推奨範囲内にあることがさらに好適である。
(数3)
D2/12≦L2≦D2/4
図7は燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。図7では基準流速Vとの速度差ΔVによってスワール成分の大小を表している。なお、図6では参考に図7に示す流速分布と同様の流速分布を重ね合わせて示している。オフセット量L2が次の数4に示す範囲内にある場合には、基準流速Vよりも大きく、且つ所定値V1未満の流速が得られる。
(数4)
0<L2<D2/12
一方、オフセット量L2が数3に示す推奨範囲内にある場合には、所定値V1以上の流速が得られる。このことからもオフセット量L2は数3に示す推奨範囲内にあることがさらに好適であることがわかる。また数3や数4に示す範囲は吸気の流れ方向Fについて吸気弁301のステムstmの位置を変更した場合でも、相応の効果を得ることができる範囲になると考えられる。このため図5では、数4に示す範囲に対応させてさらに相応の効果を奏すると考えられるエリアをエリアAR21として示すとともに、数3に示す推奨範囲に対応させてさらに相応の効果を奏すると考えられるエリアをエリアAR22として示している。以上により、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関300を実現できる。
本実施例に係る内燃機関310は、吸気弁301が吸気弁311に変更されている点以外、実施例1に係る内燃機関300と基本的に同一のものとなっている。吸気弁311はステムstmが、さらに吸気の流れ方向Fについて中心点P2よりも上流側にオフセットしている点で、吸気弁301とは異なるものとなっている。本実施例では吸気弁311aで請求項1及び3に係る第1の特定吸気弁が、吸気弁311bで請求項2及び3に係る第2の特定吸気弁が夫々実現されている。
図8は図2で右側に配置される吸気弁301bと同様に右側に配置される吸気弁311bを、図5と同様に模式的に示す図である。図8に示すように、吸気の流れ方向Fに略直交するとともに中心点P2を含む直線P6と、中心点P2及びステムstmに係る点P5を含む直線P7とがなす角のうち、鋭角が設置角度θ4と設定されている。また設置角度θ4の正負の符号は、図8に示すようにステムstmが吸気の流れ方向Fについて、上流側にオフセットしているときに正としている。なお、図8においてオフセット量L2は図5と同様に設定されている。
実施例1で前述したように、オフセット量L2は数3に示す推奨範囲内にあることが好ましいといえる。この点、さらに設置角度θ4を設定した場合には、オフセット量LがD/4のときに設置角度θ4がおよそ70度よりも大きく、或いはおよそ−70度よりも小さくなると、ステムstmがエリアAR21に含まれることになる。このことから、設置角度θ4は次の数5に示す範囲を許容範囲として、この許容範囲内にあることが好ましい。
(数5)
−70°≦θ4≦70°
但し、エリアAR21はスワール強度が多少なりとも向上すると考えられるエリアであるため、設置角度θ4が−90°以上、且つ90°以下であれば相応の効果を奏すると考えられる。
一方、設置角度θ4を−90°に設定した上でステムstmを下流側にオフセットさせた場合には、スワール強度はオフセット量L2が大きくなるにしたがって低下する傾向が見られる。これは、ステムstmを下流側にオフセットさせた場合には、傘部ub直上で、後流側への吸気の流れをスムースに形成することが困難になるためと考えられる。このことから、設置角度θ4は次の数6に示す範囲を推奨範囲として、この推奨範囲内にあることがさらに好ましい。
(数6)
0°≦θ4≦70°
またこのように設置角度θ4を設定した場合でも、オフセット量L2がD/4よりも大きくなったときにはバルブ強度が低下する。このため、設置角度θ4を設定した場合には、数3及び数6をともに満たす範囲内でステムstmを形成することが好適である。オフセット量L2を数3に示す範囲内で設定するとともに、設置角度θ4を数6に示す範囲内で設定した場合に対応するエリアは、具体的にはエリアAR23として図8のように示される。このため、本実施例では吸気弁311bのステムstmは図8に示すようにエリアAR23内に含まれるようにオフセットしている。
図9は燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。図9では図7と同様に基準流速Vとの速度差ΔVによってスワール成分の大小を規定している。吸気弁311のステムstmがエリアAR23内にある場合には、所定値V2よりも大きい流速が得られる。またこの所定値V2は所定値V1よりも大きな値となっていることから、内燃機関310によれば、実施例1で前述した内燃機関300よりも高い流速が得られることがわかる。以上により、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関310を実現できる。
本実施例に係る内燃機関320は、吸気弁311が吸気弁321に変更されている点以外、実施例2に係る内燃機関310と実質的に同一のものとなっている。吸気弁321は、吸気弁321aにあってはさらに傘部ubのうち、外側通過領域otrに対応する部分のほうが、内側通過領域inrに対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されている点で、また吸気弁321bにあってはさらに傘部ubのうち、内側通過領域inrに対応する部分のほうが、外側通過領域otrに対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されている点で、吸気弁311とは異なるものとなっている。
ここで、体積が小さくなるようにとは、例えば内側通過領域inrに対応する部分のほうが、外側通過領域otrに対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されている場合にあっては、外側通過領域otrに対応する部分をステムstmの中心軸線P1中心に回転させて、内側通過領域inrに対応する部分に重ね合わせたときに、これらの部分が一致せず、且つ内側通過領域inrに対応する部分が、外側通過領域otrに対応する部分に少なくとも部分的に含まれることをいう。本実施例では吸気弁321aで請求項1、3及び7に係る第1の特定吸気弁が、吸気弁321bで請求項2、3及び7に係る第2の特定吸気弁が夫々実現されている。
図10は、図2に示すC−C断面と同様の断面で吸気弁321を模式的に示す図である。吸気弁321は具体的には傘部ubのうち、内側通過領域inrに対応する部分と、外側通過領域otrに対応する部分とがともに、中心軸線P1を含む平面による断面で断面円弧状に形成されている。また吸気弁321は、吸気弁321aにあっては外側通過領域otrに対応する部分のほうが、内側通過領域inrに対応する部分よりも曲率半径が小さくなるように形成されており、また吸気弁321bにあっては内側通過領域inrに対応する部分のほうが、外側通過領域otrに対応する部分よりも曲率半径が小さくなるように形成されている。
また吸気弁321aに係る外側通過領域otr、及び吸気弁321bに係る内側通過領域otrに対応する部分は曲率半径R12で、吸気弁321aに係る内側通過領域inr、及び吸気弁321bに係る外側通過領域otrに対応する部分は曲率半径R11でステムstmとスムースに繋がるように夫々形成されており、さらに曲率半径R12は曲率半径R11よりも小さく設定されている。本実施例ではこのように傘部ubを形成することで、吸気弁321aにあっては傘部ubのうち、外側通過領域otrに対応する部分のほうが、内側通過領域inrに対応する部分よりも体積が小さくなるようにしている。これにより、吸気弁321aに係る外側通過領域otrをさらに大きく確保できることから、さらに大きなスワール成分を有する斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
また本実施例ではこのように傘部ubを形成することで、吸気弁321bにあっては傘部ubのうち、内側通過領域inrに対応する部分のほうが、外側通過領域otrに対応する部分よりも体積が小さくなるようにしている。これにより、吸気弁321bに係る内側通過領域inrをさらに大きく確保できることから、斜めタンブル流TSのタンブル成分が必要以上に大きく低下してしまうことを抑制できる。また同時にこれによって、吸気弁321bに係る外側通過領域otrを流通する吸入空気の量が相対的に減少し、この結果、吸気弁321aに係る外側通過領域otrを流通する吸入空気の量が、吸気弁321bに係る外側通過領域otrを流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくなることから、さらに十分な大きさのタンブル成分とスワール成分とを有する斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。なお、吸気弁321の傘部ubは吸気の流れを阻害しないように全周に亘ってスムースに形成されており、この点に関しては前述した吸気弁301及び311も同様となっている。
図11は、図2で右側に配置される吸気弁301bと同様に右側に配置される吸気弁321bを、図5或いは図8と同様に模式的に示す図である。なお、図11においてオフセット量L2は図5と同様に設定されており、設置角度θ4は図8と同様に設定されている。吸気弁321を備えた内燃機関320では、吸気弁321aに係る外側通過領域otr、及び吸気弁321bに係る内側通過領域inrを流通する吸気の流れをさらに多く形成できる。このため、内燃機関320では、内燃機関300または310よりもオフセット量L2を小さくした場合であっても、内燃機関300または310と同等の効果を得ることができる。このことから内燃機関320の場合には、数3に示す推奨範囲と比較して、次の数7に示すようにオフセット量L2の推奨範囲を拡大できる。
(数7)
D2/24≦L2≦D2/4
図11では、この数7に示す推奨範囲に対応させてさらに相応の効果を奏すると考えられるエリアをエリアAR24として示している。
一方、設置角度θ4を設定した場合には、オフセット量L2がD2/4のときに設置角度θ4がおよそ80度よりも大きく、或いはおよそ−80度よりも小さくなると、ステムstmがエリアAR24に含まれることになる。このことから内燃機関320の場合には、数5に示す許容範囲と比較して、次の数8に示すように設置角度θ4の許容範囲を拡大できる。
(数8)
−80°≦θ4≦80°
また吸気の流れ方向Fについて、ステムstmを中心点P2よりも上流側にオフセットさせたほうが好適である点は、内燃機関320でも内燃機関310の場合と同様となっている。このことから内燃機関320の場合には、数6に示す推奨範囲と比較して、次の数9に示すように設置角度θ4の推奨範囲を拡大できる。
(数9)
0°≦θ4≦80°
これにより、オフセット量L2及び設置角度θ4の範囲が拡大された分だけ、さらに吸気弁321の強度を維持することも可能になる。また内燃機関320の場合には、数7及び数9をともに満たす範囲内でステムstmが形成されることが好適である。オフセット量L2を数7に示す範囲内で設定するとともに、設置角度θ4を数9に示す範囲内で設定した場合に対応するエリアは、具体的にはエリアAR25として図11のように示される。以上により、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関320を実現できる。
本実施例に係る内燃機関350は吸気弁301の代わりに、以下に示すようにステムstmを傾斜させて配置した吸気弁351を備えている点以外、内燃機関300と実質的に同一のものとなっている。本実施例では吸気弁351aで請求項4に係る第1の特定吸気弁が、吸気弁351bで請求項5に係る第2の特定吸気弁が夫々実現されている。図12は内燃機関350の要部を一気筒につき、水平投影視で模式的に示す図である。また図13は図12に示すD−D断面で、吸気弁351を模式的に示す図である。なお、図12では参考に流速分布も重ね合わせて同時に示している。
図12及び図13に示すように吸気弁351のステムstmは、吸気弁351aにあっては吸気弁351aが閉じた状態において、ステムstmの先端P11がシリンダ中心軸線P3を含み、且つクランク軸線と略平行な軸線P4と略直交する(すなわちクランク軸線と略直交する)平面S2に、クランク軸線と略平行な方向で傘部ubの底面の中心点P2よりも離れるように傾斜している。内燃機関350では係る吸気弁351aの傾斜配置により、吸気弁351aのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量をより多く確保できる。このため内燃機関350では、筒内に生成される斜めタンブル流TSに対してスワール成分を付与できるように、筒内に吸気を流入させることができる。
また吸気弁351のステムstmは、吸気弁351bにあっては吸気弁351bが閉じた状態において、ステムstmの先端P11が平面S2に、クランク軸線と略平行な方向で傘部ubの底面の中心点P2よりも近づくように傾斜している。内燃機関350では吸気弁351bの係る傾斜配置により、吸気弁351bのステムstmよりも燃焼室54中心側を流通する吸入空気の量を多く確保でき、これにより、筒内に生成される斜めタンブル流TSのタンブル成分が必要以上に大きく低下してしまうことを抑制できる。
同時に内燃機関350では吸気弁351bの係る傾斜配置により、吸気弁351bのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量を少なくでき、この結果、吸気弁351aのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量を、吸気弁351bのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくすることもできることから、スワール成分の付与にも貢献できる。なお、吸気弁351のステムstmの先端P11及び傘部ubの底面の中心点P2はともにステムstmの中心軸線P1上に位置している。
また本実施例では図13に示すように、吸気弁351のステムstm夫々を同方向に略等しい度合いθ5で傾斜させて吸気弁351を配置している。これにより、吸気弁351a、351bのステムstm夫々の間を流通する吸入空気の量が、これらステムstm夫々を傾斜させて配置しない場合と比較して同等、或いは小さくなることから、筒内に生成される斜めタンブル流TSのタンブル成分が増大することによって、却って十分な大きさのスワール成分を付与できなくなってしまうことを防止できる。したがって、これにより十分な大きさのスワール成分をより確実に付与できる。
またこのようにステムstmを傾斜させて配置した吸気弁351を備えることによって筒内に流入する吸気の流動態様を改善したことで、内燃機関350の体積効率の低下を特段招くことなく、混合気のミキシング性の向上を図ることができ、以ってエミッションの低減を図ることができる。なお、吸気弁351の傾斜度合いは図13に示す傾斜角θ5の設定によって変更でき、この傾斜角θ5はステムstmの中心軸線P1と、中心点P2を含み、シリンダ中心軸線P3と略平行な軸線P21とがなす角のうち、鋭角となっている。
次に傾斜角θ5について詳述する。一般的な内燃機関にあっては、傾斜角θ5は0(ゼロ)°に設定されている。これに対して傾斜角θ5が次の数10で示す範囲内にあれば、スワール強度を向上させることが可能になる。
(数10)
0°<θ5
一方、傾斜角θ5を大きく設定するほど、吸気弁351を開閉するためのカム(図示省略)を適切に配置することが物理的に困難になってくる。したがってカムの配置を考慮すると、傾斜角θ5は次の数11に示す範囲を許容範囲として、この許容範囲内にあることが好ましい。
(数11)
0°<θ5≦10°
また、傾斜角θ5を大きく設定した場合には、燃焼室54の形状などによっては筒内に生成される斜めタンブル流TSのスワール成分が大きくなり過ぎて斜めタンブル流TSの強度が大幅に低下しまうといった事態が発生し得る。一方、傾斜角θ5を0(ゼロ)°から1°未満に設定した場合には、大きな効果を期待することができない。このため傾斜角θ5は次の数12に示す範囲を推奨範囲として、この推奨範囲内にあることがさらに好適である。
(数12)
1°≦θ5≦6°
図14は燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。図14では、図7などと同様に基準流速Vとの速度差ΔVによってスワール成分の大小を表している。図14に示すように、傾斜角θ5が数11に示す範囲内にある場合には所定値V11よりも大きな流速が得られる。またこの所定値V11は基準流速Vよりも大きなものとなっている。さらに傾斜角θ5が数12に示す範囲内にある場合には所定値V12以上の流速が得られる。この所定値V12は所定値V11よりも大きな流速となっている。このように内燃機関350にあっては、傾斜角θ5を詳細に規定することにより、さらに大きなスワール成分を付与することも可能になる。以上により、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関350を実現できる。
本実施例に係る内燃機関360は、さらに吸気弁351が閉じた状態において、吸気弁351に係るステムstmが、ステムstmの先端P11が、吸気の流れ方向Fについて中心点P2よりも排気ポート55側に位置するように傾斜している点以外、内燃機関350と実質的に同一のものとなっている。なお、さらにこのように傾斜した吸気弁351を以下、吸気弁361と称する。本実施例では吸気弁361aで請求項4及び6に係る第1の特定吸気弁が、吸気弁361bで請求項5及び6に係る第2の特定吸気弁が夫々実現されている。図15は内燃機関360の要部を図2と同様に一気筒につき水平投影視で模式的に示す図である。また図16は図15で右側に配置される吸気弁361bを単体で、且つ図15と同様の向きで模式的に示す図である。
図15及び図16に示すように水平投影視で吸気の流れ方向Fに略直交するとともに中心点P2を含む直線P6と、ステムstmの中心軸線P1とがなす角のうち、鋭角を設置角度θ6とする。この設置角度θ6を設定することで、吸気の流れ方向Fについてもステムstmを傾斜させることができる。なお、設置角度θ6の正負の符号は、図16に示すようにステムstmの先端P11が吸気の流れ方向Fについて、中心点P2よりも排気ポート55側に位置しているときに正としている。
設置角度θ6が90°である場合にはスワール成分を付与できるように吸気弁361を傾斜させることが困難となり、また設置角度θ6を90°から減少させた場合でも、その度合いが小さければ大きな効果を期待できない。一方、設置角度θ6が0(ゼロ)°よりも小さい場合には、傘部ub直上で、後流側への吸気の流れをスムースに形成することが困難になる場合があると考えられる。このことから、設置角度θ6は次の数13に示す範囲を許容範囲として、この許容範囲内にあることが好ましい。
(数13)
0°≦θ6≦70°
一方、設置角度θ6の大きさ次第では、数13に示す範囲内で傘部ubに沿って筒内に流入する吸気の流動態様を斜めタンブル流TSの生成にとってより好ましいものにすることもでき、これによってさらにスワール成分を大きくすることもできる。この点、スワール強度をより向上させたい場合には、設置角度θ6は次の数14に示す範囲を推奨範囲として、この推奨範囲内にあることがさらに好ましい。
(数14)
10°≦θ6≦60°
図17は燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。図17では図7などと同様に基準流速Vとの速度差ΔVによってスワール成分の大小を表している。図17に示すように、設置角度θ6が数13に示す範囲内にある場合には、所定値V21よりも大きな流速が得られ、この所定値V21は基準流速Vよりも大きなものとなっている。さらに設置角度θ6が数14に示す範囲内にある場合には、所定値V22よりも大きな流速が得られ、この所定値V22は所定値V21よりも大きな流速となっている。また内燃機関360において、流速が所定値V21以上になる場合に対応する設置角度θ6のエリアは具体的にはエリアAR26として図16のように示される。また流速が所定値V22以上になる場合に対応する設置角度θ6のエリアは具体的にはエリアAR27として図16のように示される。このため本実施例では吸気弁361の設置角度θ6はAR27内に含まれるように設定されている。以上により、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関360を実現できる。
本実施例に係る内燃機関370は、吸気弁361が吸気弁371に変更されている点以外、実施例5に係る内燃機関360と実質的に同一のものとなっている。吸気弁371は、吸気弁371aにあってはさらに傘部ubのうち、ステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸気に対応する部分のほうが、燃焼室54中心側を流通する吸気に対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されている点で、また吸気弁371bにあってはさらに傘部ubのうち、ステムstmよりも燃焼室54中心側を流通する吸気に対応する部分のほうが、燃焼室54外側を流通する吸気に対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されている点で、吸気弁361とは異なるものとなっている。本実施例では吸気弁371aで請求項4、6及び8に係る第1の特定吸気弁が、吸気弁371bで請求項5、6及び8に係る第2の特定吸気弁が夫々実現されている。
図18は、内燃機関370の要部を図2と同様に一気筒につき水平投影視で模式的に示す図である。また図19は図18に示すE−E断面及びF−F断面で吸気弁371を模式的に示す図である。吸気弁371は具体的には傘部ubのうち、ステムstmよりも燃焼室54中心側を流通する吸気に対応する部分(以下、単に内側部分と称す)と、燃焼室54外側を流通する吸気に対応する部分(以下、単に外側部分と称す)とがともに、中心軸線P1を含むE−E断面で断面円弧状に形成されている。さらに吸気弁371は、吸気弁371aにあっては外側部分のほうが、内側部分よりも曲率半径が小さくなるように形成されており、また吸気弁371bにあっては内側部分のほうが、外側部分よりも曲率半径が小さくなるように形成されている。
また吸気弁371aに係る外側部分、及び吸気弁371bに係る内側部分は曲率半径R22で、吸気弁371aに係る内側部分、及び吸気弁371bに係る外側部分は曲率半径R21でステムstmとスムースに繋がるように夫々形成されており、さらに曲率半径R22は曲率半径R21よりも小さく設定されている。本実施例ではこのように傘部ubを形成することで、吸気弁371aにあっては傘部ubのうち、外側部分のほうが内側部分よりも体積が小さくなるようにしている。これにより、吸気弁371aのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸気の通過領域をさらに大きく確保できることから、さらに大きなスワール成分を有する斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。
また本実施例ではこのように傘部ubを形成することで、吸気弁371bにあっては傘部ubのうち、内側部分のほうが外側部分よりも体積が小さくなるようにしている。これにより、吸気弁371bのステムstmよりも燃焼室54中心側を流通する吸気の通過領域をさらに大きく確保できることから、斜めタンブル流TSのタンブル成分が大きく低下してしまうことを抑制できる。また同時にこれによって、吸気弁371bのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量が相対的に減少し、この結果、吸気弁371aのステムstmよりも燃焼室54外側を流通する吸入空気の量が、吸気弁371bのステムstmよりも燃焼室54中心側を流通する吸入空気の量よりもさらに相対的に大きくなることから、さらに十分な大きさのタンブル成分とスワール成分とを有する斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。なお、吸気弁371の傘部ubは吸気の流れを阻害しないように全周に亘ってスムースに形成されていることが好ましい。
図20は、図18で右側に配置される吸気弁371bを単体で、且つ図18と同様の向きで模式的に示す図である。なお、図20において設置角度θ6は図16と同様に設定されている。吸気弁371を備えた内燃機関370では、吸気弁321aのステムstmよりも燃焼室54外側、及び吸気弁321bのステムstmよりも燃焼室54中心側を流通する吸気の流れをさらに多く形成できる。このため内燃機関370では、内燃機関360よりも設置角度θ6を小さくした場合であっても、内燃機関360と同等の効果を得ることができる。このことから内燃機関370の場合には、数13に示す許容範囲と比較して、次の数15に示すように設置角度θ6の許容範囲を拡大できる。
(数15)
0°≦θ6≦80°
図20では、この数15に示す許容範囲に対応するエリアをエリアAR28として示している。
一方、設置角度θ6の大きさ次第では、数15に示す範囲内で傘部ubに沿って筒内に流入する吸気の流動態様を斜めタンブル流TSの生成にとってより好ましいものにすることもできる点は、内燃機関370でも内燃機関360の場合と同様となっている。この点、内燃機関370の場合には、スワール強度をより向上させたい場合に数14に示す推奨範囲と比較して、次の数16に示すように設置角度θ6の推奨範囲を拡大できる。
(数16)
10°≦θ6≦70°
図20では、この数16に示す推奨範囲に対応するエリアをエリアAR29として示している。これにより、さらに十分な大きさのタンブル成分とスワール成分とを有する斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる。以上により、斜めタンブル流TSを生成すべく、筒内に吸気を好適に流入させることができる内燃機関370を実現できる。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば上述した実施例においては、吸気2弁構造を有する内燃機関が第1の特定吸気弁とともに第2の特定吸気弁を備える場合について詳述してきたが、内燃機関は第1の特定吸気弁とともに、ステムがオフセット或いは傾斜配置されていない一般的な吸気弁を備えてもよい。また例えば吸気ポートが筒内に生成される旋回気流に対してタンブル成分だけでなく、所定の度合いでスワール成分も付与できるように形成されている内燃機関などにあっては、タンブル成分を十分な大きさに確保すべく、第2の特定吸気弁の代わりに、第2の特定吸気弁とは反対の方向にステムをオフセット或いは傾斜配置させた吸気弁を備えてもよい。
内燃機関300の要部を一気筒につき、鉛直断面視で模式的に示す図である。 内燃機関300の要部を一気筒につき、水平投影視で模式的に示す図である。 図2に示すC−C断面で、吸気弁301を模式的に示す図である。 スワール強度とバルブリフト量との関係を示す図である。 図2で右側に配置される吸気弁301bを傘部ubの底面に対して垂直な方向からの視線で、且つ図2と同様の向きで模式的に示す図である。 図2に示す内燃機関300の要部図と同様の図を用いて、オフセット量LをD2/4よりも大きくしたときの様子を模式的に示す図である。 燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。 図2で右側に配置される吸気弁301bと同様に右側に配置される吸気弁311bを、図5と同様に模式的に示す図である。 燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。 燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。 図2に示すC−C断面と同様の断面で吸気弁321を模式的に示す図である。 内燃機関350の要部を一気筒につき水平投影視で模式的に示す図である。 図12に示すD−D断面で、吸気弁351を模式的に示す図である。 燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。 内燃機関360の要部を一気筒につき水平投影視で模式的に示す図である。 吸気弁361bを単体で、且つ図15と同様の向きで模式的に示す図である。 燃焼室54中央での流速分布を模式的に示す図である。 内燃機関370の要部を図2と同様に一気筒につき水平投影視で模式的に示す図である。 図18に示すE−E断面及びF−F断面で吸気弁371を模式的に示す図である。 吸気弁371bを単体で、且つ図18と同様の向きで模式的に示す図である。
符号の説明
10 吸気ポート
51 シリンダブロック
52 シリンダヘッド
54 燃焼室
300、310、320、350、360、370 内燃機関
301、311、321、351、361、371 吸気弁

Claims (8)

  1. 傘部と、該傘部と一端で連結されるステムとを有する吸気弁を一気筒につき複数備える内燃機関であって、
    前記吸気弁として、前記ステムの中心軸線を含む平面によって2つに分割される吸気の通過領域のうち、燃焼室外側に位置する外側通過領域が大きくなるように、且つ前記ステムの中心軸線が前記傘部の底面の中心点を含まないように前記ステムがオフセットしている第1の特定吸気弁を備えていることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記吸気弁のうち、一気筒につき両端に位置する吸気弁の一方の吸気弁が前記第1の特定吸気弁となっており、さらに他方の吸気弁として、前記ステムの中心軸線を含む平面によって2つに分割される吸気の通過領域のうち、燃焼室中心側に位置する内側通過領域が大きくなるように、且つ前記ステムの中心軸線が前記傘部の底面の中心点を含まないように前記ステムがオフセットしている第2の特定吸気弁を備えていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
  3. 前記特定吸気弁に係る前記ステムが、吸気の流れ方向について、前記特定吸気弁に係る前記中心点よりも上流側にオフセットしていることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関。
  4. 傘部と、該傘部と一端で連結されるステムとを有する吸気弁を一気筒につき複数備える内燃機関であって、
    前記吸気弁として、閉じた状態において前記ステムの先端が、シリンダ中心軸線を含み、且つクランク軸線に直交する平面から、クランク軸線と略平行な方向で前記傘部の底面の中心点よりも離れるように前記ステムが傾斜している第1の特定吸気弁を備えていることを特徴とする内燃機関。
  5. 前記吸気弁のうち、一気筒につき両端に位置する吸気弁の一方の吸気弁が前記第1の特定吸気弁となっており、さらに他方の吸気弁として、閉じた状態において前記ステムの先端が、前記平面にクランク軸線と略平行な方向で前記中心点よりも近づくように前記ステムが傾斜している第2の特定吸気弁を備えていることを特徴とする請求項4記載の内燃機関。
  6. さらに前記特定吸気弁が閉じた状態において、前記ステムの前記先端が、吸気の流れ方向について前記中心点よりも排気ポート側に位置するように、前記特定吸気弁に係る前記ステムが傾斜していることを特徴とする請求項5記載の内燃機関。
  7. 前記第1の特定吸気弁に係る前記傘部が、該傘部のうち、前記ステムよりも燃焼室外側を流通する吸気に対応する部分のほうが、前記ステムよりも燃焼室中心側を流通する吸気に対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の内燃機関。
  8. 前記第2の特定吸気弁に係る前記傘部が、該傘部のうち、前記ステムよりも燃焼室中心側を流通する吸気に対応する部分のほうが、前記ステムよりも燃焼室外側を流通する吸気に対応する部分よりも体積が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項2、3、5、6または7いずれか1項記載の内燃機関。
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