JP2008278814A - アゴニスティック抗ヒトgitr抗体による免疫制御の解除とその応用 - Google Patents

アゴニスティック抗ヒトgitr抗体による免疫制御の解除とその応用 Download PDF

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Hironori Hasegawa
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Abstract

【課題】免疫応答の制御に有用な手段を提供すること。
【解決手段】ヒトGITR抗原を認識し、ヒトCD4+T細胞に対する増殖促進活性を発揮する、単離された抗体又は抗体断片が提供される。
【選択図】図7

Description

本発明は、ヒトGITR(glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor-family related gene:Glucocorticoid誘導TNFRファミリー遺伝子産物)に対する抗体及びその用途に関する。
CD4陽性CD25陽性(CD4+CD25+)のT細胞は、制御性T細胞(以下、「Treg細胞」とも表記する)と呼ばれており、免疫抑制活性を持ち、免疫寛容の維持において重要な役割を担うことが知られている(非特許文献1)。このTreg細胞は、活性化T細胞と相反する免疫応答を行うため、これらの細胞を区別して臨床的に応用することにより、一層効果的に免疫賦活や免疫抑制を図ることが可能になる(非特許文献2)。Treg細胞は自己免疫の発生を抑制しており、この細胞集団の機能的異常は、自己免疫疾患、アレルギーなどの直接原因となり得る。
近年、がんの局所において、免疫細胞の攻撃を弱める免疫抑制状態が生じ、それが病状の進行に大きく関与していることが認識され始めている。この免疫抑制の一因を担うと考えられているTreg細胞の性状や機能について、多くの研究機関によって精力的に研究されている(例えば特許文献1〜3を参照)。
マウスにおいてはTreg細胞にGITRが高率に発現していること、及びマウスGITRに対するモノクローナル抗体DTA-1抗体の投与によって組織特異的自己免疫疾患が引き起こされることが知られている(非特許文献3)。また、がん移植マウスにDTA-1抗体を投与すると高率に腫瘍の退縮を起こしたことが報告されている(非特許文献4)。
マウスTreg細胞については上記の通り様々な知見が蓄積されているものの、ヒトTreg細胞については、特異的に発現する有用な細胞表面分子が見出されていないこと等の理由により、その性状や機能等について十分に解明されていない。また、ヒトGITRの発現存在様式に関しても不明であり、今後の研究が待たれるところであった。
特開2004−208548号公報 特開2006−280307号公報 特開2006−304740号公報 Sakaguchi, S., et al., 1995, "Immunologic self-tolerance maintained by activated T cells expressing IL-2 receptor alpha-chains (CD25). Breakdown of a single mechanism of self-tolerance causes various autoimmune diseases." J. Immunol. 155, 1151-1164 Shimizu, J., et al., 1999, "Induction of tumor immunity by removing CD25+CD4+ T cells: a common basis between tumor immunity and autoimmunity.", J. Immunol. 163, 5211-5218 Shimizu, J., et al., 2002, "Stimulation of CD25(+)CD4(+) regulatory T cells through GITR breaks immunological self-tolerance.", Nat. Immunol. 3, 135-142 Kuibeom Ko, et al. 2005, "Treatment of advanced tumors with agonistic anti-GITR mAb and its effects on tumor-infiltrating Foxp3+CD25+CD4+ regulatory T cells.", J Exp Med. 2005;202(7):885-91.
本発明は以上の背景の下、免疫応答の制御に有用な手段及び当該手段の用途を提供することを主たる課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑みヒトGITRを標的とした研究を行った。その結果、ヒトGITRの発現様式及びその機能に関する興味深い知見を得るとともに、ヒトGITRを特異的に認識するモノクローナル抗体(抗ヒトGITRモノクローナル抗体、40-44抗体)の取得に成功し、その配列及びエピトープの同定にも成功した。また、当該抗体を用いた種々の実験によって、(1)当該抗体がヒトGITRに対してアゴニスティックに作用してヒトCD4+T細胞に対する増殖促進活性を示すこと、(2)特にヒトCD4+CD25-T細胞に対するヒトCD4+CD25+制御性T細胞の増殖抑制作用を解除することにより上記増殖促進活性を発揮することが判明し、当該抗体の有用性が確認された。
本発明は以上の成果に基づくものであり、以下の抗体又は抗体断片等を提供する。
[1]ヒトGITR抗原を認識し、ヒトCD4+T細胞に対する増殖促進活性を発揮する、単離された抗体又は抗体断片。
[2]前記ヒトCD4+T細胞がヒトCD4+CD25-T細胞であり、
ヒトCD4+CD25-T細胞に対するヒトCD4+CD25+制御性T細胞の増殖抑制作用を解除することにより前記増殖促進活性を発揮する、[1]に記載の単離された抗体又は抗体断片。
[3]前記ヒトCD4+T細胞がヒトCD4+CD25-T細胞であり、
該ヒトCD4+CD25-T細胞に発現するヒトGITR抗原を認識し、前記増殖促進活性を発揮する、[1]に記載の単離された抗体又は抗体断片。
[4]ヒトGITRのアミノ酸位置48〜60(配列番号19)にエピトープが存在する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片。
[5]重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域の各相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3)及び該軽鎖可変領域の各相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3)のアミノ酸配列が以下の通りである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片、
(1)VH CDR1:配列番号1に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
(2)VH CDR2:配列番号2に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
(3)VH CDR3:配列番号3に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
(4)VL CDR1:配列番号4に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
(5)VL CDR2:配列番号5に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
(6)VL CDR3:配列番号6に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列。
[6]前記重鎖可変領域が配列番号7に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなり、
前記軽鎖可変領域が配列番号8に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなる、[5]に記載の単離された単離された抗体又は抗体断片。
[7]前記抗体断片がFab、Fab'、F(ab')2、scFv又はdsFvである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片。
[8]前記抗体がヒト化抗体である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片。
[9][1]〜[8]のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片をコードする単離された核酸。
[10][6]に記載の重鎖可変領域をコードする単離された核酸。
[11]配列番号15又は17の塩基配列からなる、[10]に記載の単離された核酸。
[12][6]に記載の軽鎖可変領域をコードする単離された核酸。
[13]配列番号16又は18の塩基配列からなる、[12]に記載の単離された核酸。
[14][9]〜[13]のいずれか一項に記載の単離された核酸を発現可能に保持するベクター。
[15][14]に記載のベクターで宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体。
[16][15]に記載の形質転換体を培養するステップ、及び発現産物である抗体又は抗体断片を分離・精製するステップを含む、抗体又は抗体断片の製造方法。
[17]生体より分離されたヒトCD4+CD25-T細胞を用意するステップ、及び
用意したヒトCD4+CD25-T細胞を、抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が接触する条件下で培養するステップ、
を含む、ヒトCD4+CD25-T細胞の増殖法。
[18]前記抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片として、[1]〜[8]のいずれかに記載の単離された抗体又は抗体断片が用いられる、[17]に記載の増殖法。
[19]生体より分離されたヒトCD4+CD25+制御性T細胞を用意するステップ、
用意したヒトCD4+CD25+制御性T細胞を、抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が接触する条件下で培養するステップを含む、ヒトCD4+CD25+制御性T細胞の増殖法。
[20]前記抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片として、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片が用いられる、[19]に記載の増殖法。
(用語)
本明細書において用語「単離された抗体」には、天然であって且つ何ら外的操作(人為的操作)が施されていない抗体、即ちある個体の体内で産生され、そこに留まっている状態の抗体は含まれない。尚、単離された抗体は、典型的には、他の種類の抗体が混在していない状態、即ち単独で(同種の抗体の集合として)存在している。
アミノ酸配列に関して使用する用語「実質的に同一」とは、比較される二つのアミノ酸配列間で配列上の相違が比較的小さく且つ配列上の相違が抗原に対する特異的結合性に関して実質的な影響を与えないことを意味する。基準となるアミノ酸配列に対して、抗原に対する特異的結合性に実質的な影響を与えない範囲で一部の改変を含んでいるとみることができるアミノ酸配列は実質的に同一なアミノ酸配列である。ここでの「アミノ酸配列の一部の改変」とは、アミノ酸配列を構成する1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変化が生ずることをいう。アミノ酸配列の変異の位置は特に限定されず、複数の位置で変異を生じていてもよい。ここでの複数とはアミノ酸配列を構成する全アミノ酸の例えば10%以内に相当する数であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内に相当する数である。さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内に相当する数である。
二つのアミノ酸が実質的に同一であるか否かは、各アミノ酸配列を含む抗体(他の領域の配列は同一)の抗原に対する結合特異性(以下、特に記載のない限り「特異性」は「抗原に対する特異性」を意味する)を比較することによって判定できる。例えば、基準となる抗体の生理食塩水環境下での抗原に関する解離定数(Kd)をAとしたとき、比較対象の抗体のKdがA×10-1〜A×10の範囲であれば実質的な同一性を認定できる。
本明細書において用語「単離された核酸」とは、もともと天然に存在している核酸(例えばヒト生体内の核酸)の場合、典型的には、天然状態において共存するその他の核酸から分離された状態の核酸をいう。但し、天然状態において隣接する核酸配列など一部の他の核酸成分を含んでいてもよい。例えばゲノムDNAの場合の「単離された核酸」の好ましい形態では、天然状態において共存する他のDNA成分(天然状態において隣接するDNA配列を含む)を実質的に含まない。
例えばcDNA分子など遺伝子組み換え技術によって生産される核酸の場合の「単離された核酸」は好ましくは、細胞成分や培養液などを実質的に含まない状態の核酸をいう。同様に、化学合成によって生産される核酸の場合の「単離された核酸」は好ましくは、dNTPなどの前駆体(原材料)や合成過程で使用される化学物質等を実質的に含まない状態の核酸をいう。
ベクターや組成物の一部として核酸が存在していても、又は外来性分子として細胞内に核酸が存在していても、人為的操作の結果として存在している限り「単離された核酸」と言える。尚、特に言及しない限り、本明細書において単に「核酸」と記載した場合には「単離された状態の核酸」を意味する。
本明細書における用語「核酸」はDNA(cDNA及びゲノムDNAを含む)、RNA(mRNAを含む)、DNA類似体、及びRNA類似体を含む。本発明の核酸の形態は限定されず、即ち1本鎖及び2本鎖のいずれであってもよい。好ましくは2本鎖DNAである。またコドンの縮重も考慮される。即ちタンパク質をコードする核酸の場合には、その発現産物として当該タンパク質が得られる限り任意の塩基配列を有していてよい。本明細書において「あるタンパク質(例えば抗体)をコードする核酸」は、それを発現させた場合に当該タンパク質が得られる核酸のことをいい、当該タンパク質のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する核酸は勿論のこと、そのような核酸にアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなる核酸(例えば1又は複数個のイントロンを含むDNA)をも含む。
CD4+CD25-T細胞とは、CD4陽性且つCD25陰性のT細胞である。同様にCD4+CD25+制御性T細胞とはCD4及びCD25陽性のT細胞であり、Treg細胞とも呼称される。以下、特に言及のない限り、CD4+CD25-T細胞とはヒトCD4+CD25-T細胞を示し、CD4+CD25+制御性T細胞とはヒトCD4+CD25+制御性T細胞(以下、「ヒトTreg細胞」ともいう)を示す。
本明細書では必要に応じて、慣習に従い以下の略号(括弧内)を使用する。
重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、相補性決定領域(CDR)、第1相補性決定領域(CDR1)、第2相補性決定領域(CDR2)、第3相補性決定領域(CDR3)重鎖の第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖の第2相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖の第3相補性決定領域(VH CDR3)軽鎖の第1相補性決定領域(VL CDR1)、軽鎖の第2相補性決定領域(VL CDR2)、軽鎖の第3相補性決定領域(VL CDR3)
(抗ヒトGITR抗体)
本発明の第1の局面はヒトGITRを特異的に認識する単離された抗体又は抗体断片(以下、これらをまとめて「本発明の抗体」ともいう)に関する。本発明の抗体は、ヒトGITR抗原を認識してアゴニスト活性を発揮する。本発明の抗体が発揮するアゴニスト活性は、具体的には、ヒトCD4+T細胞に対する増殖促進活性である。「ヒトCD4+T細胞」とは、細胞表面にCD4分子を発現するヒトT細胞であり、ヒトCD4+CD25-T細胞サブセット及びヒトCD4+CD25+T細胞(ヒトTreg細胞)サブセットを含む。
ところで、ヒトGITR(glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor-family related gene)抗原とはTNFRSF18とも呼ばれ、TNF-NGF受容体スーパーファミリーに属する分子である。マウスではTreg細胞において高レベルの発現が認められる。ヒトT細胞(特にヒトTreg細胞)におけるGITRの発現状態及び機能についてはほとんど知られていなかったが、後述のように、本発明者らの検討によって興味深い知見が得られた。
本発明の抗体は、(1)ヒトCD4+CD25-T細胞に対するヒトCD4+CD25+制御性T細胞(ヒトTreg細胞)の増殖抑制作用を解除することによって、及び/又は(2)ヒトCD4+CD25-T細胞に発現するヒトGITR抗原を認識することによって、その増殖促進活性を発揮する。(1)の場合、増殖抑制作用が解除される結果としてヒトCD4+CD25-T細胞の増殖が促進される。一方で(2)の場合、抗体が直接作用することによってヒトCD4+CD25-T細胞の増殖が促進されることになる。このように本発明の抗体はGITRリガンド(GITRL)類似の作用を発揮する。尚、ここでの「増殖抑制作用の解除」とは、増殖抑制作用が部分的又は全体的に阻害される結果、増殖の回復ないし促進が認められるようになることをいう。
後述の実施例に示すように、本発明者等の検討の結果、抗ヒトGITR抗体として取得された抗体(40-44抗体)が認識するエピトープの位置を特定することに成功した。この成果に基づき、ヒトGITRのアミノ酸位置48〜60(配列番号19)にエピトープが存在するという特徴によって本発明の抗体を更に特徴づけることができる。この特徴は、ヒトGITRのアミノ酸位置48〜60の部分に交差性を示し、それ以外の部分には交差性を示さない、と言い換えることができる。
一方、40-44抗体のアミノ酸配列を解析し、重鎖可変領域の各相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)及び軽鎖可変領域の各相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)のアミノ酸配列、並びに重鎖可変領域全体(VH)及び軽鎖可変領域全体(VL)のアミノ酸配列を同定することに成功した(同定された各アミノ酸配列を以下に示す)。
(1)VH CDR1:配列番号1に示すアミノ酸配列
(2)VH CDR2:配列番号2に示すアミノ酸配列
(3)VH CDR3:配列番号3に示すアミノ酸配列
(4)VL CDR1:配列番号4に示すアミノ酸配列
(5)VL CDR2:配列番号5に示すアミノ酸配列
(6)VL CDR3:配列番号6に示すアミノ酸配列
(7)VH:配列番号7に示すアミノ酸配列
(8)VL:配列番号8に示すアミノ酸配列
以上の同定結果に基づいて本発明の抗体を更に特徴づけることができる。そこで本発明の抗体の一態様は各CDRの配列を用いて特定され、配列番号1に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVH CDR1、配列番号2に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVH CDR2、配列番号3に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVH CDR3、配列番号4に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVL CDR1、配列番号5に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVL CDR2、及び配列番号6に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVL CDR3を含むことになる。好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるVH CDR1、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるVH CDR2、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるVH CDR3、配列番号4に示すアミノ酸配列からなるVL CDR1、配列番号5に示すアミノ酸配列からなるVL CDR2、及び配列番号6に示すアミノ酸配列からなるVL CDR3を含む。
本発明の抗体の可変領域においてフレームワーク領域(FR領域)の配列は、ヒトGITR抗原に対する特異的結合性及びアゴニスト活性に実質的な影響のない限り、特に限定されない。例えば、本発明の抗体をヒト化抗体として構築する場合には、公知のヒト抗体のFR領域を用いることができる。
本発明の他の態様はVH及びVLの配列を用いて特定され、配列番号7に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVH、及び配列番号8に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなるVLを含むことになる。好ましくは、配列番号7に示すアミノ酸配列からなるVH、及び配列番号8に示すアミノ酸配列からなるVLを含む。
本発明の抗体は一態様において、可変領域に加えて定常領域を含む(例えばIgG型抗体の場合など)。当該態様における定常領域の配列は特に限定されない。例えば、後述のように本発明の抗体をヒト化抗体として構築する場合には、公知のヒト抗体の定常領域を用いることができる。また、上記FR領域と同様に、ヒト以外の動物種(例えばマウスやラット)の定常領域を用いることもできる。
本発明の抗体の一形態はヒト化抗体である。ここでの「ヒト化抗体」とは、ヒトの抗体に構造を類似させた抗体のことをいい、抗体の定常領域のみをヒト抗体のものに置換したヒト型キメラ抗体、及び定常領域及び可変領域に存在するCDR(相補性決定領域)以外の部分をヒト抗体のものに置換したヒト型CDR移植(CDR-grafted)抗体(P.T.Johons et al., Nature 321,522(1986))を含む。ヒト型CDR移植抗体の抗原結合活性を高めるため、マウス抗体と相同性の高いヒト抗体FRを選択する方法、相同性の高いヒト型化抗体を作製する方法、ヒト抗体にマウスCDRを移植した後さらにFR領域のアミノ酸を置換する方法の改良技術もすでに開発され(米国特許第5585089号、米国特許第5693761号、米国特許第5693762号、米国特許第6180370号、欧州特許第451216号、欧州特許第682040号、特許第2828340号などを参照)、本発明のヒト型抗体の作製に利用することもできる。
ヒト型キメラ抗体は例えば、上記のH鎖可変領域の構造及び/又はL鎖可変領域の構造を有する抗体の定常領域をヒト抗体の定常領域に置換することにより作製することができる。ヒト抗体の定常領域としては公知のものを採用することができる。以下に、ヒト型キメラ抗体の作製方法の一例を示す。
まず、マウス抗ヒトGITR抗体を産生するハイブリドーマよりmRNAを抽出し、常法に従ってcDNAを合成する。合成したcDNAをベクターに組み込みcDNAライブラリーを構築する。このcDNAライブラリーから、H鎖遺伝子フラグメント及びL鎖遺伝子フラグメントをプローブとして用いることにより、H鎖遺伝子及びL鎖遺伝子を含有するベクターを選択する。選択されたベクターの挿入配列のシークエンシングを行うことにより、H鎖可変領域及びL鎖可変領域の遺伝子の配列が決定される。このようにして得られた配列データを基にH鎖可変領域をコードするDNAを化学合成、生化学的切断/再結合等により作製する。得られたH鎖可変領域をコードするDNAを、ヒトH鎖定常領域をコードするDNAとライゲーションして発現用ベクターに組込むことによりH鎖発現ベクターを作製する。発現ベクターとしては例えばSV40 virus basedベクター、EB virus basedベクター、BPV(パピローマウイルス)basedベクターなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。一方、同様の方法によりL鎖発現ベクターを作製する。これらH鎖発現ベクター及びL鎖発現ベクターにより宿主細胞を共形質転換する。宿主細胞としてはCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣)(A.Wright& S.L.Morrison, J.Immunol.160, 3393-3402 (1998))、SP2/0細胞(マウスミエローマ)(K.Motmans et al., Eur.J.Cancer Prev.5,512-519 (1996),R.P.Junghans et al.,Cancer Res.50,1495-1502 (1990))などが好適に用いられる。また、形質転換にはリポフェクチン法(R.W.Malone et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,6077 (1989), P.L.Felgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,7413 (1987)、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法(F.L.Graham & A.J.van der Eb,Virology 52,456-467(1973))、DEAE-Dextran法等が好適に用いられる。
形質転換体を培養した後、形質転換体の細胞内又は培養液よりヒト型キメラ抗体を分離する。抗体の分離、精製には、遠心分離、硫安分画、塩析、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせて利用することができる。
一方、ヒト型CDR移植抗体は例えば以下の方法により作製することができる。まず、上記キメラ抗体の製造方法の欄で述べた方法により、マウス抗ヒトGITR抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域のアミノ酸配列及びそれをコードする塩基配列を決定する。併せて各CDR領域のアミノ酸配列及び塩基配列を決定する。
具体的なCDRの塩基配列として例えば以下の塩基配列を用いることができる。
VH CDR1:配列番号9の塩基配列
VH CDR2:配列番号10の塩基配列
VH CDR3:配列番号11の塩基配列
VL CDR1:配列番号12の塩基配列
VL CDR2:配列番号13の塩基配列
VL CDR3:配列番号14の塩基配列
尚、以上のCDRの組合せは40-44抗体におけるCDRの組合せに相当する。
次に、CDR領域を挟んで存在するFR(フレームワーク領域)を選択する。FRの選択には、およそ三つの方法が採用できる。1つめの方法は、NEWM、REIなど既に三次元構造の明らかとなったヒト抗体フレームを用いる方法である(Riechmann L. et al., Nature 332, 323-3Z7 (1988); Tempst, PR. et al., Protein Engineering 7, 1501-1507 (1994); Ellis JH. etal., J. Immunol 155, 925-937 (1995))。2つめの方法は、目的のマウス抗体可変領域と最も高いホモロジーを持つヒト抗体可変領域をデータベースより選択し、そのFRを用いる方法である(Queen C. et al., Proc Natl Acad SciUSA 86, 10029-10033 (1989); Rozak MJ. et al., J Biol Chem 271, 22611-22618 (1996); Shearman CW. et al., J.Immunol 147, 4366-4373 (1991))。3つめの方法は、ヒト抗体のFRで最も共通に用いられるアミノ酸を選択する方法である(Sato K. et al., Mol Immunol 31, 371-381 (1994); Kobinger F. et al., Protein Engineering 6, 971-980 (1993); Kettleborough CA. et al., Protein Engineering 4, 773-783 (1991))。本発明ではこれらいずれの方法を用いることもできる。
尚、選択されたヒトFRのアミノ酸配列を改変したアミノ酸配列であっても、最終的に得られるヒト型CDR移植抗体がヒトGITRに対する特異的結合性を有する限り、FRのアミノ酸配列として利用することができる。特に、選択されたヒトFRのアミノ酸の一部をCDRの由来となった抗体のFRのアミノ酸に変更した場合、抗体の特性が維持される可能性が高い。改変されるアミノ酸の数は好ましくはFR全体の30%以下であり、更に好ましくはFR全体の20%以下であり、更に更に好ましくはFR全体の10%以下である。
次に、これらいずれかの方法により選択したFRと上記CDRとを組み合わせることによりH鎖可変領域及びL鎖可変領域をコードするDNAを設計する。この設計を基にH鎖可変領域をコードするDNAとL鎖可変領域をコードするDNAを化学合成、生化学的切断/再結合等によりそれぞれ作製する。そしてH鎖可変領域をコードするDNAを、ヒト免疫グロブリンH鎖定常領域をコードするDNAとともに発現ベクターに組み込みH鎖発現ベクターを構築する。同様に、L鎖可変領域をコードするDNAを、ヒト免疫グロブリンL鎖定常領域をコードするDNAとともに発現ベクターに組み込みL鎖発現ベクターを構築する。発現ベクターとしては例えばSV40 virus basedベクター、EB virus basedベクター、BPV(パピローマウイルス)basedベクターなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
以上の方法で作製されたH鎖発現ベクター及びL鎖発現ベクターにより宿主細胞を共形質転換する。宿主細胞としてはCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣)(A.Wright& S.L.Morrison, J.Immunol.160, 3393-3402 (1998))、SP2/0細胞(マウスミエローマ)(K.Motmans et al., Eur.J.Cancer Prev.5,512-519 (1996),R.P.Junghans et al.,Cancer Res.50,1495-1502 (1990))などが好適に用いられる。また、形質転換にはリポフェクチン法(R.W.Malone et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,6077 (1989), P.L.Felgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,7413 (1987)、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法(F.L.Graham & A.J.van der Eb,Virology 52,456-467(1973))、DEAE-Dextran法等が好適に用いられる。
形質転換体を培養した後、形質転換体の細胞内又は培養液よりヒト型CDR移植抗体を分離する。抗体の分離、精製には、遠心分離、硫安分画、塩析、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせて利用することができる。
本発明における「抗体断片」とは、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv等、抗体の機能的断片のことをいう。
Fabは、IgGをシステイン存在下パパイン消化することにより得られる、L鎖とH鎖可変領域、並びにCH1ドメイン及びヒンジ部の一部からなるH鎖フラグメントとから構成される分子量約5万の断片である。本発明では、上記抗体をパパイン消化することにより得ることができる。また、上記抗体のH鎖の一部及びL鎖をコードするDNAを適当なベクターに組み込み、当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりFabを調製することもできる。
Fab'は、後述のF(ab')2のH鎖間のジスルフィド結合を切断することにより得られる分子量が約5万の断片である。本発明では、上記抗体をペプシン消化し、還元剤を用いてジスルフィド結合を切断することにより得られる。また、Fab同様に、Fab'をコードするDNAを用いて遺伝子工学的に調製することもできる。
F(ab')2は、IgGをペプシン消化することにより得られる、L鎖とH鎖可変領域、並びにCH1ドメイン及びヒンジ部の一部からなるH鎖フラグメントとから構成される断片(Fab')がジスルフィド結合で結合した分子量約10万の断片である。本発明では、上記抗体をペプシン消化することにより得られる。また、Fab同様に、F(ab')2をコードするDNAを用いて遺伝子工学的に調製することもできる。
scFvは、H鎖可変領域とL鎖可変領域とからなるFvを、片方の鎖のC末端と他方のN末端とを適当なペプチドリンカーで連結し一本鎖化した抗体断片である。ペプチドリンカーとしては例えば柔軟性の高い(GGGGS)3などを用いることができる。例えば、上記抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域をコードするDNAとペプチドリンカーをコードするDNAを用いてscFv抗体をコードするDNAを構築し、これを適当なベクターに組み込み、当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりscFvを調製することができる。
dsFvは、H鎖可変領域及びL鎖可変領域の適切な位置にCys残基を導入し、H鎖可変領域とL鎖可変領域とをジスルフィド結合により安定化させたFv断片である。各鎖におけるCys残基の導入位置は分子モデリングにより予測される立体構造に基づき決定することができる。本発明では例えば上記抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域のアミノ酸配列から立体構造を予測し、かかる予測に基づき変異を導入したH鎖可変領域及びL鎖可変領域をそれぞれコードするDNAを構築し、これを適当なベクターに組み込み、そして当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりdsFvを調製することができる。
尚、適当なリンカーを用いてscFv抗体、dcFv抗体などを連結させたり、ストレプトアビジンを融合させたりして抗体断片を多量体化することもできる。
本発明の抗体(抗体断片を含む)に低分子化合物、タンパク質、標識物質などを融合又は結合させることにより、融合抗体又は標識化抗体を構成することができる。標識物質としては125I等の放射性物質、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(RITC)、アルカリホスファターゼ、ビオチンなどを用いることができる。
(抗ヒトGITR抗体又はその一部をコードする核酸分子)
本発明の第2の局面は本発明の抗体をコードする核酸分子に関する。本発明の抗体の重鎖可変領域(例えば配列番号7のアミノ酸配列)をコードする核酸、及び軽鎖可変領域(例えば配列番号8のアミノ酸配列)をコードする核酸も提供される。本発明の核酸の具体例を以下に列挙する。
重鎖可変領域(シグナル配列を含まない)をコードする核酸:配列番号15の塩基配列
軽鎖可変領域(シグナル配列を含まない)をコードする核酸:配列番号16の塩基配列
重鎖可変領域(シグナル配列を含む)をコードする核酸:配列番号17の塩基配列
軽鎖可変領域(シグナル配列を含む)をコードする核酸:配列番号18の塩基配列
本発明の核酸は化学合成、生化学的切断/再結合など常法で調製することができる。本発明の核酸は、これに限定されるものではないが、本発明の抗体の調製に利用される。
(ベクター)
本発明の核酸を適当なベクターに組み込むことによって、宿主細胞内で本発明の抗体を発現させるために使用される発現ベクターを得ることができる。本発明の核酸を発現可能な状態で保持することができ、且つ保持した当該核酸を宿主細胞内で発現させることができる限り、任意のベクターを使用することができる。本発明の核酸のベクターへの挿入は、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた方法(Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)等、常法で行うことができる。
使用するベクターの種類に応じて適切な宿主細胞が採用される。宿主細胞として例えばエッシュリヒア・コリ(Escherichia coli)等の細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞を用いることができる。
本発明の核酸を保持させたベクターで宿主細胞を形質転換することによって得られる形質転換体を培養することにより、形質転換体内又は培養液中に本発明の抗体を発現させることができる。そして、当該発現産物を分離・精製すれば本発明の抗体を取得できる。分離・精製には、遠心分離、硫安分画、塩析、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせればよい。
(免疫賦活剤及びその使用)
更なる局面として、本発明の抗体を有効成分とした免疫賦活剤及びそれを用いた治療方法が提供される。本発明の免疫賦活剤は、例えば腫瘍や感染症など、免疫応答の賦活(増強)が有効に作用する各種疾患の治療において有用である。本発明の免疫賦活剤の適応疾患の代表例は悪性腫瘍(がん)である。このように、本発明の免疫賦活剤の具体的な使用形態としてがん治療薬が想定される。ここでの悪性腫瘍の種類は特に限定されない。悪性腫瘍として、悪性黒色腫(メラノーマ)、甲状腺癌、乳癌、悪性リンパ腫、食道癌、口腔癌、上顎癌、喉頭癌、咽頭癌、胃癌、十二指腸癌、大腸癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、肺癌、前立腺癌、腎癌、膀胱乳頭癌、前立腺癌、尿道扁平上皮癌、骨肉腫、軟骨肉腫、滑液膜肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、多発性骨髄腫、扁平上皮癌、神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、乳房肉腫、子宮上皮内癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮腺癌、子宮肉腫、卵巣癌、甲状乳頭腺癌、甲状腺濾胞癌、急性骨髄性白血病、急性前髄性白血病、急性骨髄性単球白血病、急性単球性白血病、急性リンパ性白血病、急性未分化性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、及び成人型T細胞白血病を例示することができる。
本発明の免疫賦活剤の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、ジエチリン亜硫酸塩、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
製剤化する場合の剤型は特に限定されない。剤型の例は、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、及び座剤である。
本発明の免疫賦活剤の投与経路も特に限定されない。即ち、本発明の免疫賦活剤はその形態に応じて経口投与又は非経口投与(静脈内、動脈内、皮下、筋肉、腹腔内注射、標的細胞への直接導入など)によって対象(患者)に適用され得る。
本発明の免疫賦活剤の投与量は症状、患者の年齢、性別、及び体重などによって異なるが、当業者であれば適宜適当な投与量を設定することが可能である。例えば、成人(体重約60kg)を対象として一日当たりの有効成分量が約0.1mg〜約3,000mgとなるよう投与量を設定することができる。投与スケジュールとしては例えば一日一回〜数回、二日に一回、三日に一回、週間に1回、一月に1回などを採用できる。投与スケジュールの設定においては、患者の病状や薬剤の効果持続時間などを考慮することができる。
(ヒトCD4+T細胞の増殖法)
本発明の更なる局面は、抗ヒトGITR抗体である40-44抗体がヒトCD4+CD25-T細胞に対して増殖促進作用を発揮するとともにヒトCD4+CD25+制御性T細胞(ヒトTreg細胞)に対しても増殖促進作用を発揮した事実に基づき、ヒトCD4+CD25-T細胞の増殖法及びヒトTreg細胞の増殖法を提供する。本発明の増殖法によれば目的のT細胞(ヒトCD4+CD25-T細胞又はヒトTreg細胞)の細胞数が増大する。つまり、新たな細胞が生み出されることになる。従って、本発明の増殖法をT細胞の製造法と見なすことができる。以下、本発明の増殖法を詳述する。
まず、生体より分離された増殖目的の細胞(即ちヒトCD4+CD25-T細胞又はヒトTreg細胞。以下、「目的細胞」という)を用意する。当該細胞は末梢組織(末梢血液等)から分離することができる。以下、分離法の一例を示す。まず、被験者の末梢血液より単核球画分を調製する。単核球画分の調製は、例えば、Ficoll-Paque (GEヘルスケアバイオサイエンス社製)等を用いた密度勾配遠心や、アフェレーシス等により行われる。次に、細胞表面に特異的に発現する抗原(細胞表面抗原)を指標とし、セルソーターや磁性カラム等を利用して、目的細胞を分離・精製する(蛍光色素や磁気ビーズ等によって標識化された、各細胞表面抗原に特異的な抗体が用いられる)。尚、高い精製度を達成するため、好ましくは、セルソーターが用いられる。
次に、以上のようにして用意した目的細胞を、抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が接触する条件下での培養に供する。「抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が接触する条件」とは、培養液中に目的細胞及び抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が共存することによって両者の接触が実現される条件のことをいう。例えば、抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が添加された培養液を使用することにより、或いは抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が表面にコートされた培養容器を使用することなどによって、当該条件を満たす培養を行うことができる。「その機能的断片」とは抗ヒトGITR抗体と同様にGITRを特異的に認識し且つアゴニスト活性を発揮する抗体断片のことをいい、例えばFab、Fab'、F(ab')2、scFv又はdsFvの形態である。抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片として、上記の本発明の抗体を用いることができる。
上記条件以外は、リンパ球培養技術において通常用いられている培養条件を採用すればよい。培養温度は通常約30〜40℃の範囲、好ましくは約37℃である。CO2濃度は通常約1〜10%の範囲、好ましくは約5%である。湿度は通常約70〜100%の範囲、好ましくは約95〜100%の範囲である。使用する培地も特に限定されない。即ち、リンパ球の培養において通常用いられる基本培地に必要に応じて各種の成分を添加したものを使用すれば良い。基本培地として、ダルベッコ変法イーグル培地(D-MEM)、RPMI-1640培地、α-MEM培地、ハムF12培地、ハムF10培地、M-199培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)等を例示することができる。また、リンパ球培養用等に改変された培地を用いてもよく、上記基本培地の混合物を用いてもよい。
培地への添加物としては、目的細胞の培養を妨げない限り特に限定されず(好ましくは良好な培養を促すように添加物が選択される)、有機酸(例えばピルビン酸ナトリウム等)、アミノ酸(例えばL-グルタミン等)、還元剤(例えば2-メルカプトエタノール等)、緩衝剤(例えばHEPES等)、抗生物質(例えばストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等)等を例示できる。
血清を添加した培地を使用してもよい。血清の由来は特に限定されず、ウシ胎仔血清、羊血清、ヒト血清等を用いることができる。血清代替物添加物(例えばKnockout Serum Replacement (KSR)(Invitrogen社製)等)を用いてもよい。血清の濃度は特に限定されないが、通常0.1〜30 (v/v) %の範囲である。
増殖率を上げること等を目的として、T細胞増殖因子の存在下で培養することにしてもよい。T細胞増殖因子として例えばIL-2、IFN-γ等を例示することができる。T細胞増殖因子の添加濃度は特に限定されないが、IL-2を用いる場合を例にとれば通常0.1〜10000 U/ml、好ましくは1〜5000 U/ml、更に好ましくは10〜2500 U/ml程度の濃度である。
目的細胞を特定の抗原存在下で培養することにしてもよい。抗原存在下で培養することにより、該抗原に特異的な目的細胞を得ることができる。ここでの「抗原」とは、目的細胞上の抗原受容体(例えばT細胞受容体)に認識され、該受容体を介して目的細胞を刺激し得る物質を包括的に意味する。抗原としては、例えばペプチド、タンパク質、脂質、糖脂質等の抗原分子のみならず、免疫学的非自己細胞、抗原受容体の構成分子(CD3、TCRβ、TCRα等)や補助刺激分子(CD28等)を認識する作動性抗体(例えば抗ヒトCD3抗体であるOKT-3等)やスーパー抗原などの抗原ミミックをも含む。ここで、免疫学的非自己細胞とは、同種同系(syngenic)細胞以外の細胞をいい、同種異系(allogenic)細胞及び異種(xenogenic)細胞が含まれる。免疫学的非自己細胞は、好ましくは、同種異系(allogenic)細胞である。
目的に応じて所望の抗原が選択される。例えば、ある特定の免疫学的非自己細胞に特異的な細胞を得ようとする場合は、抗原として免疫学的非自己細胞を採用することができる(この場合、目的細胞が免疫学的非自己細胞の存在下で培養されることになる)。例えば放射線(ガンマ線等)照射や抗癌剤(マイトマイシンC等)処理等で不活化された免疫学的非自己細胞を用いることが好ましい。免疫学的非自己細胞の種類は特に限定されず、所望の組織由来の細胞(例えば末梢血単核球細胞(PBMC)等)を使用することが可能である。例えば、目的細胞がヒトTreg細胞の場合であって、同種異系のドナーからの移植に先立ち、当該ドナー由来細胞に特異的なレシピエント制御性T細胞の製造が意図されているときには、レシピエント由来のナイーブ表現型を有する末梢ヒトTreg細胞をドナー由来細胞の存在下で培養するとよい。この場合、該ドナー由来の細胞は、移植対象の臓器・組織と同一臓器・組織由来の細胞であっても、異なる臓器・組織由来の細胞であってもよい。
また、目的細胞がヒトTreg細胞の場合であって、ある特定の抗原分子(ペプチド、タンパク質、脂質、糖脂質等)に特異的な制御性T細胞を製造しようとするときには、ナイーブ表現型を有する末梢ヒトTreg細胞を当該抗原分子の存在下で培養するとよい。抗原分子としては、例えば、組織適合抗原など細胞及び組織由来抗原、アレルギー疾患の原因抗原又は自己免疫疾患の原因抗原(食品由来抗原、抗原性を示すことが予想される薬剤若しくは製剤中に共存する物質、又は人工臓器関連物質、又はそれらの変性物(例えば熱変性物等))などが挙げられる。組織適合抗原としては主要組織適合抗原(MHC抗原)や非主要組織適合抗原が挙げられる。アレルギーの原因物質には環境・花粉抗原、真菌抗原、食物抗原、人工抗原等が含まれ、例えば、環境・花粉抗原としてはダニ、ハウスダスト、スギ花粉、ブタクサ等、真菌抗原としてはカンジダ、アルテルナリア、アスペルギルス、クラドスポリウム、ペニシリウム等、食物抗原としては卵白、牛乳、大豆、小麦粉、ソバ粉、サバ、イワシ、アジ、エビ、カニ、ブタ肉、牛肉、トリ肉等、人工抗原としては薬剤、人工臓器等が挙げられる。また、自己免疫疾患の原因物質としては、疾患の原因となる自己抗体の対応抗原等が挙げられる。
目的細胞に対する抗原提示を確実に達成するため、目的細胞を抗原提示細胞の存在下で培養することにしてもよい。抗原提示細胞としては、樹状細胞(DC)、末梢血単核球細胞(PBMC)が用いられる。例えば放射線(ガンマ線等)照射や抗癌剤(マイトマイシンC等)処理等で不活化された抗原提示細胞を用いることが好ましい。「樹状細胞」とは、生体内で抗原特異的T細胞を誘導するのに重要な役割を担う抗原提示細胞の一つである。樹状細胞は骨髄幹細胞に由来し、末梢組織では未成熟な状態で存在する。樹状細胞は、活性化によって成熟した状態へと分化すると強い抗原提示能を示す。活性化樹状細胞(成熟樹状細胞)はMHC class I、MHC class II、及びCD80、CD86などの共刺激分子を高発現し、またIL-12を産生することによってナイーブCD4+及びCD8+T細胞を活性化する。一般に、哺乳動物(好適にはヒトであり、治療目的で樹状細胞を使用する場合は通常、患者自身)の骨髄CD34陽性細胞から又は末梢血単球から樹状細胞は誘導されるが、回収率がよいこと及び採取が比較的容易且つ操作に伴う侵襲性も低い等の点から、末梢血単球より樹状細胞を誘導することが多い。例えば、アフェレーシス(成分献血)などによって末梢血単球を採取し、GM-CSF(顆粒球・マクロファージ−コロニー刺激因子)及びIL-4を添加した条件で1週間程度培養することによって樹状細胞を得ることができる。このようにして調製した未成熟樹状細胞に抗原を取り込ませる(ローディングする)ことによって、良好な抗原提示能を示す樹状細胞を得ることができる。抗原のローディングは、腫瘍抗原を使用する場合を例とすれば、樹状細胞に腫瘍細胞溶解液や腫瘍抗原(天然型又は組換え型)又は腫瘍抗原のHLA結合ペプチド(天然型又は組換え型)を接触させることによって達成される。ここでの接触操作は、ローディングに使用する物質を樹状細胞の培養液中に添加することによって行うことができる。以上の方法に限らず、腫瘍細胞から抽出・単離したtotal RNA、特定の腫瘍抗原又はそのHLA結合ペプチドをコードする核酸(mRNA、cDNA)をパッシブパルス法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ウイルスベクターを利用する方法(Jonuleit H, Schmitt E, Schuler G, et al. J. Exp Med, 192, 1213-22(2000))などによって細胞内に導入することによっても、腫瘍抗原のローディングを行うことが可能である。腫瘍抗原のローディングにmRNAを使用することについては、Saenz-Badillos J, Amin SP, Granstein RD, Exp Dermatol, 10, 143-54(2001)、Sullenger BA, Gilboa E, Nature, 418, 252-8(2002)、Ponsaerts P, Van Tendeloo VF, Berneman ZN, Clin Exp Immunol, 134, 378-84(2003)を参照することができる。尚、腫瘍細胞から抽出・単離したtotal RNAを使用した場合には、多種の腫瘍抗原(その中には未知のものが含まれると期待される)を取り込ませることが可能である(Nair SK, Morse M, Boczkowski D, et al. Ann Surg, 235, 540-9(2002)、Milazzo C, Reichardt VL, Muller MR, et al. Blood, 101, 977-82(2003)、Su Z, Dannull J, Heiser A, et al. Cancer Res, 63, 2127-33(2003))。
一方、培養に供される目的細胞(集団)が有している抗原受容体のレパートリーの多様性を保持し、当該多様性を反映した細胞手段を製造しようとする場合には、目的細胞を抗原受容体の構成分子(CD3、TCRβ、TCRα等)を認識する作動性抗体(例えば抗ヒトCD3抗体であるOKT-3等)、補助刺激分子(CD28等)を認識する作動性抗体(例えば抗ヒトCD28抗体)、スーパー抗原などの抗原ミミックによる刺激下で培養するとよい(Blood, 104, p. 895-903, 2004、Blood, 104, p. 453-61, 2004)。当該抗原ミミックは複数種類を組合せて用いることも可能であり、例えばCD3を認識する作動性抗体と、CD28を認識する作動性抗体との組み合わせ等が用いられ得る。当該抗原ミミックを使用することで、多様性を有する細胞集団を製造することができる。
複数種類の抗原を組合せて用いることも可能であり、例えば免疫学的非自己細胞と抗原受容体の構成分子を認識する作動性抗体との組み合わせ(同種異系細胞と抗CD3抗体との組み合わせ等)を用いることが可能である。
以上の培養によって目的細胞(ヒトCD4+CD25-T細胞又はヒトTreg細胞)が増殖する。本発明の増殖法によって得られるヒトCD4+CD25-T細胞は、免疫応答の賦活(増強)が奏功する様々な疾病(代表は悪性腫瘍)に対する治療又は予防用の細胞として有用である。一方、本発明の増殖法によって得られるヒトTreg細胞は、臓器移植における拒絶反応、アレルギー疾患、自己免疫疾患等の治療又は予防用の細胞として有用である。勿論、本発明の増殖法によって得られるヒトCD4+CD25-T細胞又はヒトTreg細胞を、これらの細胞が関与する免疫応答の研究、これらの細胞が発現するマーカー分子や受容体の研究等における実験材料として利用することもできる。
培養後の細胞が目的細胞であることを確認することにしてもよい。換言すれば、培養によって得られた細胞が、ヒトCD4+CD25-T細胞としての適格を有するものであるか否か(目的細胞がヒトCD4+CD25-T細胞の場合)又はヒトTreg細胞としての適格を有するものであるか否か(目的細胞がヒトTreg細胞の場合)を判定することにしてもよい。ヒトCD4+CD25-T細胞の活性化が促される条件(例えば、抗ヒトCD3抗体などの作動性抗体と抗原提示細胞の存在下)の下で培養した場合に細胞の活性化が認められれば、得られた細胞がヒトCD4+CD25-T細胞であると判定できる。ここでの活性化の指標としては細胞増殖(例えば3H-チミジンの取込み)やサイトカイン(IL-2、IL-4、IFNγ等)の産生が用いられる。一方、反応性T細胞(例えば全ヒトCD4+T細胞又はヒトCD4+CD25-T細胞)の活性化が促される条件の下、培養によって得られた細胞と反応性T細胞を共培養した場合に反応性T細胞の活性化の抑制が認められれば、得られた細胞がヒトTreg細胞であると判定できる。
1.ヒトGITR及びヒトGITRLのcDNA取得
HUVEC(正常ヒト臍帯静脈内皮細胞)又はヒトリンパ球から市販のQuickPrep Micro mRNA Purification Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いてmRNAを調製した。ヒトリンパ球は、正常ヒト末梢血からFicoll-Paque PLUS(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を用いて分離した。ヒトGITRLのcDNA配列(GenBankデータベース Accession No.: NM_005092.2)21〜554番目にコードされる領域に基づき、5'末端側の6つのコドンにEcoRI認識配列およびKozak配列を付加したプライマー(5'-GAATTCGCCGCC-ATGTGTTTGAGCCACTTG-3':配列番号20)及び3'末端側の6つのコドンにXbaI認識部位を付加したプライマー(5'-TCTAGATGG-CTAGGAGATGAATTGGGG-3':配列番号21)を用いて、HUVECから単離したmRNAに対してRT-PCRを行い、ヒトGITRLのcDNA(付加配列を含めて約550bp、翻訳領域534bp(配列番号22):NP_005083.1相当部分)を増幅し、精製した。PCR産物をpGEM-Tクローニングベクター(クロンテック)にクローニングし塩基配列を確認した。GenBankデータベースに登録された塩基配列と一致する塩基配列のクローンをEcoRIおよびXbaIで切断・単離し、pBluescript II SK(+)(ストラタジーン)のEcoRI部位−XbaI部位に挿入した。
同様に、ヒトGITRのcDNA配列(GenBankデータベース Accession No.: NM_004195.2)に基づき、5'末端非翻訳領域の配列にXhoI認識部位を付加したプライマー(5'-CCG CTC GAG TGT CTA CAC CCC CTC CTC ACA CGC ACT TCA-3':配列番号23)と3'末端非翻訳領域を含む配列にNotI配列を付加したプライマー(5'-A TAA GAA TGC GGC CGC AGC CTC CCG TCC TAA GAC CCC ACC CCA TCA-3':配列番号24)を用いて、リンパ球から単離したmRNAに対してRT-PCR法を行い、ヒトGITRのcDNA(付加配列含めて全長1154bp(配列番号25)、翻訳領域726bp(配列番号26):NP_004186.1相当部分)を増幅し、精製した。クローニングベクターpGEM-T(クロンテック)にサブクローニングし塩基配列を確認した後、XhoIとNotIでヒトGITR断片を切り出し精製した。塩基配列の確認は、オートシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)又は蛍光式オートシークエンサーを用いた。
奈良先端大学院大学石田博士から提供されたpIRES-EGFP-BGHpAベクターから、IRES-EGFP-BGHpA領域をNotIおよびPstIで切り出し精製した。切り出したIRES-EGFP-BGHpA断片と、XhoIおよびNotIで切り出したヒトGITRL又はヒトGITR断片とを、東京医科歯科大学丸山博士から提供されたpMKITNeo発現ベクターのXhoI部位−PstI部位に挿入し、発現ベクターpMKITNeo/GITRLおよびpMKITNeo/GITRを得た。
2.ヒトGITR又はヒトGITRLを発現するL細胞の構築
FuGene6(ロッシュ社)を用いて、発現ベクターpMKIT-Neo/GITRL又はpMKIT-Neo/GITRを京都大学医学研究科から提供されたL細胞(ATCC.No.CCL-1.3 L-M(tk-)類似株)に導入した。遺伝子導入したL細胞を、0.5 mg/mLのG418 Sulfate(プロメガ社)を含む培養液で選択圧をかけて7日〜14日間培養し、限界希釈法により、蛍光顕微鏡を用い励起484nm蛍光510nm観察下にて、GFP陽性細胞を選択しクローニングして安定なトランスフェクタントを得た。それぞれ市販のヒトGITRLに対する抗体(モノクローナル抗体109114 R&D Systems MAB6942および109101 R&D Systems (MAB6941) )又は市販のヒトGITRに対する抗体(モノクローナル抗体110416,R&D Systems MAB689)を用いたフローサイトメトリーを行ない、細胞表面にGITRLまたはGITRが発現していることを確認しヒトGITRL発現L細胞及びGITR発現L細胞とした。10%FCS添加DMEMを用いて継代培養して各細胞を維持した。尚、ヒトGITRL遺伝子及びヒトGITR遺伝子のいずれも含まないベクターで形質転換したL細胞(コントロールL細胞)を同様の手順で調製した。
3.抗ヒトGITR抗体(40-44抗体)の取得
ヒトGITR発現細胞293T/GITR(ヒトGITRを一過的に発現)5x105個と、同量のコンプリートアジュバント(Sigma)とのエマルジョンを免疫原(1回分)とし、マウス(Balb/c)の腹腔に1週間おきに数回免疫した。最後の2回は、PBSに懸濁した細胞を免疫した。
4回免疫後の翌週にマウスの眼底より採血し抗体価を調べた。免疫したマウスのうち抗体価の高いマウスの脾臓を摘出し、以下の手順で細胞融合を行った。
4.細胞融合、及びモノクローナル抗体産生細胞の選択と取得
摘出したマウスの脾臓細胞と、同系マウスの骨髄腫細胞P3U1とを約10:1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコール4000を融合促進剤として細胞融合し、ハイブリドーマを得た。融合後の細胞を1×106 cells/mlの細胞濃度となるように15%ウシ血清を含むHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含む培地)に懸濁し、96ウェルのマイクロプレート(イワキ社製3860-096、以下同じ)に1ウェルあたり150μLずつ分注した。
融合細胞をCO2インキュベータ(5%CO2、37℃)中で培養し、HAT培地で培地交換を行い増殖させて、脾臓細胞と骨髄腫細胞からなる融合細胞のスクリーニングを行った。
HATセレクションの後、生存しているハイブリドーマの培養上清をサンプルとして、免疫に用いた293T/GITRを播種した96穴プレートに対して細胞ELISAを行なった。反応性は吸光光度計で確認した。その後、細胞ELISA陽性クローンの293T/GITRへの反応性をフローサイトメトリーで確認した。陽性を示したハイブリドーマクローンを限界希釈法により単クローン化した。このようにして、抗ヒトGITR抗体(40-44抗体)を産生するハイブリドーマクローンを得た。ヒトGITR発現L細胞に対する40-44抗体の反応性を図1に示す。
5.CD4+CD25+制御性T細胞(Treg細胞)及びCD4+CD25-T細胞の調製
健常ボランティア(0〜69歳)から採取された静脈血より、Ficoll-Paque (GEヘルスケアバイオサイエンス社製)密度勾配遠心によって末梢血単核球細胞(PBMC)を単離した。単離したPBMCより、機能アッセイに使用する細胞群を以下の手順(1)〜(3)で調製した。
(1)非標識ヘルパーT細胞を分離する間接磁気標識システムCD4+ T CellアイソレーションキットII(Miltenyi 130-091-155)を利用したマイクロビーズにて非CD4+T細胞を除去し(ネガティブセレクション)、CD4+T細胞を得た。詳細な手順はMiltenyi社の操作手順書(130-091-155prot)に従った。即ち、ビオチン標識抗体カクテル(CD8, CD14, CD16, CD19, CD36, CD56, CD123, TCRγ/δ, Glycophorin A)を細胞に作用させた後、抗ビオチンμビーズ(Anti-Biotin MicroBeads)カラムに通すことで非CD4+T細胞を吸着させ、CD4+T細胞を含む通過画分を回収した。
(2)上記(1)で回収した細胞群からCD25マイクロビーズ(Miltenyi 130-092-983)を用いてCD25+T細胞を分離・精製した。このように、CD25分子のエピトープAを認識する抗CD25モノクローナル抗体マイクロビーズに結合する細胞を回収することによってCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)を単離した。
(3)CD4+T細胞からCD4+CD25+T細胞を分離した後、残った細胞群をCD4+CD25-T細胞とした。
以上のようにして得られた各細胞群の純度を検証するため、FITC標識CD4モノクローナル抗体およびPE-標識抗CD25モノクローナル抗体(Beckman Coulter社)を用いた細胞染色を行った。PE-標識抗CD25モノクローナル抗体によるFACSの結果を図2に示す。
6.T細胞の培養
1ウェルあたり130μlの増殖培地(10% FBS又はヒトAB型血清、HEPES、ピルビン酸ナトリウム、L−グルタミン、2-ME及び抗生物質・抗真菌薬を添加したRPMI 1640)を入れた96穴丸底プレート(Corning)を使用して、上述の方法で調製したTreg細胞及びCD4+CD25-T細胞(1 x 105細胞/ウェル)をそれぞれ培養した。
7.マイトマイシンC処理L細胞の作製
ヒトGITRL発現L細胞及びコントロールL細胞をそれぞれ、以下の手順に従い、マイトマイシンCで処理した。
(1)10%FCS添加DMEMを用い、L細胞を6穴培養皿で培養した。
(2)500μg/mlに調整したマイトマイシンCを100μlずつ分注し、-30℃で保存した。使用直前に解凍した後、RPMI1640又は10%FCS添加RPMI 1640で10倍希釈し、最終濃度を50μg/mlに調整した。
(3)L細胞の培養液を50μg/mlマイトマイシンC含有のRPMI 1640に置換した後、37℃、30〜45分、遮光下で培養した。
(4)PBSで3〜4回洗浄した。
(5)2mM EDTAで5分間(37℃)処理し、細胞を培養皿から剥離した。このようにして得られた、マイトマイシンC処理ヒトGITRL発現L細胞及びマイトマイシンC処理コントロールL細胞をT細胞との共培養実験に使用した。
8.CD4+CD25-T細胞とTreg細胞の共培養系におけるGITRLの影響
抗CD3モノクローナル抗体マイクロビーズを用いたMACS(magnetic cell sorting)によるネガティブセレクションでCD3陽性細胞を除いた後、T細胞の増殖を促す刺激(20 Gyで放射線照射した2x104個の同系のPBMC(抗原提示細胞)及び20 ng/mlの抗CD3抗体(HIT3a, Pharmingen)の共存及び所定量(0個〜103個)のマイトマイシンC処理GITRL発現L細胞の存在下、1x104個のCD4+CD25-T細胞の培養、1x104個のTreg細胞の培養、及びこれら二種の細胞の共培養(細胞数は各5x103個とした)をそれぞれ行った。培養開始から72時間後にウェルあたり1μCiの3H-チミジン(DuPont/NEN)を添加し、更に一晩培養した。培養終了後、3H-thymidinの取り込み量を測定した(図3)。マイトマイシンC処理GITRL発現L細胞の代わりにマイトマイシンC処理コントロールL細胞を使用した場合を比較対照(コントロール群)とした。
図3AはCD4+CD25-T細胞についての結果、同BはTreg細胞についての結果、同Cは共培養系についての結果である。各グラフにおいて、試験群(マイトマイシンC処理GITRL発現L細胞の存在下で培養)の検出結果を黒丸(●)で示し、コントロール群(マイトマイシンC処理コントロールL細胞の存在下で培養)の検出結果を白丸(○)で示した。図3CではCD4+CD25-T細胞ついての結果(▼)も併せて掲載した。各グラフの横軸は使用したL細胞の数、縦軸は放射物質量(Cpm:Count per minute)である。
図3より、GITRL発現細胞を共存させるとT細胞の増殖が促進されることがわかる(図3A、B)。また、Treg細胞によるCD4+CD25-T細胞の増殖抑制(図3Cのコントロール群)が、GITRL発現細胞を共存させることによって解除されることがわかる(図3C)。
9.GITRLによるT細胞の活性化
8.の方法で培養した各細胞の培養上清を、培養開始から72時間後に回収し、-20℃で保存しておいた。各培養上清を解凍し、ELISA法によってTNF-α及びIFN-γを検出した。OptEIAキット(Becton Dickinson)を用いてELISA法を実施した。操作手順はキットに添付の説明書に従った。
図4に示すように、CD4+CD25-T細胞とTreg細胞の共存系(1:1)においてGITRL発現L細胞を共存させると、増殖抑制の解除と同時にIFN−γやTNFなどのサイトカインの産生が促進されることがわかる。
10.CD4+CD25-T細胞とTreg細胞の共培養系における40-44抗体の影響
抗CD3モノクローナル抗体マイクロビーズを用いたMACS(magnetic cell sorting)によるネガティブセレクションでCD3陽性細胞を除いた後、T細胞の増殖を促す刺激(20 Gyで放射線照射した4x104個の同系のPBMC(抗原提示細胞)及び20 ng/mlの抗CD3抗体(HIT3a, Pharmingen)の共存及び所定量(0μg/ml〜50μ/ml)の40-44抗体の存在下、1x104個のCD4+CD25-T細胞の培養、1x104個のTreg細胞の培養、及びこれら二種の細胞の共培養(細胞数は各5x103個とした)をそれぞれ行った。培養開始から72時間後にウェルあたり1μCiの3H-チミジン(DuPont/NEN)を添加し、更に一晩培養した。培養終了後、3H-thymidinの取り込み量を測定した(図5)。40-44抗体の代わりにマウスIgG抗体(R&D Systems MAB003 mouse IgG2A)を使用した場合を比較対照(コントロール)とした。
図5AはCD4+CD25-T細胞ついての結果、同BはTreg細胞についての結果、同Cは共培養系についての結果である。各グラフにおいて、試験群(40-44抗体の存在下で培養)の検出結果を黒丸(●)で示し、コントロール群(マウスIgG抗体の存在下で培養)の検出結果を白丸(○)で示した。図5CではCD4+CD25-T細胞ついての結果(▼)も併せて掲載した。各グラフの横軸は抗体の添加濃度、縦軸は放射物質量(Cpm:Count per minute)である。
抗CD3抗体と自己の抗原提示細胞で刺激したCD4+CD25-T細胞の増殖を40-44抗体が促進した(図5A)。抗CD3抗体と自己の抗原提示細胞で刺激したTreg細胞とCD4+CD25-T細胞の共培養系においは、CD4+CD25-T細胞の増殖がTreg細胞によって抑制されるが(図5Cの○)、40-44抗体が添加されることによってCD4+CD25-T細胞の増殖抑制が抑えられた(図5Cの●)。この結果は、Treg細胞による抑制活性を40-44抗体が解除すること、及び40-44抗体がGITRLと同様にGITRに対しアゴニスティックに作用することを示唆する。
11.40-44抗体のTreg細胞への影響
2μMのCFSE(カルボキシフルオレセイン・ジアセテート、サクシニミジルエステル:Invitrogen)で標識したTreg細胞を、T細胞の増殖を促す刺激及び5μg/mlの抗体(40-44抗体又はアイソタイプコントロール抗体)の存在下で96時間培養した後、細胞を回収し、抗CD4抗体FITC (clone IMO448 Beckman coulter)と抗FOXP3抗体(eBioscience 236A/E7)を用いたフローサイトメトリーを行なった(図6)。
いずれの条件(40-44抗体を添加する条件、又はアイソタイプコントロール抗体を添加する条件)においても細胞が増殖したが、40-44抗体を添加した場合の方に強い増殖反応を認めた(図6A)。一方、コントロールでは増殖した細胞の多くがFoxp3lowであったのに対し(図6D)、40-44抗体を添加した条件では増殖した細胞において当初のFoxp3high/low比が保たれていた(図6C)。この結果は、GITRからの刺激によりFoxp3+T細胞の増殖が促されたことを示す。
12.40-44抗体のVH及びVL遺伝子の単離、並びにCDRの同定
選択された陽性ハイブリドーマを培養し、常法によりcDNAを取得した。次に、得られたcDNAをテンプレートとし、マウスVHプライマー(200pmol/μl)とCH1プライマー200pmol/μl)をそれぞれ20μl用いてLA Taq(TAKARA)でMgCl2、dNTPmix存在下でPCR(サイクル94℃、1分、65℃、2分、72℃、1分を30サイクル)を実施した。これによってVH遺伝子(cDNA)を単離した。一方、VLマウス配列5’末端のプライマーと、Ck(κconstant領域)又はCλ(λconstant領域)配列から作製したプライマーを用い、上記同様にPCRを実施してVL遺伝子(cDNA)を単離した。
VH遺伝子及びVL遺伝子をそれぞれpBluescript II SK(+)ベクターにサブクローンした後、オートシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)又は蛍光式オートシークエンサーを用いて配列を解析した。その結果得られたVHの塩基配列及びVLの塩基配列がコードするアミノ酸、及び各CDRの配列を決定した(図7、8)。
以下、同定された各配列を記す。
(アミノ酸配列)
VH CDR1:配列番号1に示すアミノ酸配列
VH CDR2:配列番号2に示すアミノ酸配列
VH CDR3:配列番号3に示すアミノ酸配列
VL CDR1:配列番号4に示すアミノ酸配列
VL CDR2:配列番号5に示すアミノ酸配列
VL CDR3:配列番号6に示すアミノ酸配列
VH:配列番号7に示すアミノ酸配列
VL:配列番号8に示すアミノ酸配列
(塩基配列)
VH CDR1:配列番号9の塩基配列
VH CDR2:配列番号10の塩基配列
VH CDR3:配列番号11の塩基配列
VL CDR1:配列番号12の塩基配列
VL CDR2:配列番号13の塩基配列
VL CDR3:配列番号14の塩基配列
VH:配列番号15の塩基配列
VL:配列番号16の塩基配列
VH(シグナル配列を含む):配列番号17の塩基配列
VL(シグナル配列を含む):配列番号18の塩基配列
13.40-44抗体のエピトープの同定
長さの異なるGITR断片、即ち、(1)GITRの1-216塩基長(NM_004195.2の139-354塩基(配列番号27):アミノ酸翻訳部分N末端1-72番目(配列番号28))、(2)GITRの1-195塩基長(NM_004195.2の139-333塩基(配列番号29):アミノ酸翻訳部分N末端1-65番目(配列番号30))、(3)GITRの1-180塩基長(NM_004195.2の139-318塩基(配列番号31):アミノ酸翻訳部分N末端1-60番目(配列番号32))、(4)GITRの1-141塩基長(NM_004195.2の139-279塩基(配列番号33):アミノ酸翻訳部分N末端1-47番目(配列番号34))をそれぞれPCRで増幅した。次に、調製したGITR断片ごとに、「GITR断片−HIDE1の膜貫通領域−mycタグ」を発現するプラスミドベクターを作製し、293T細胞に導入した。このようにして作製した各GITR断片発現細胞と40-44抗体を用いて免疫沈降実験を行うことにより、40-44抗体がどのGITR断片と交差反応を示すか調べた。ポジティブコントロールとして抗myc抗体を、ネガティブコントロールとしてマウスIgG1を用いた。また、免疫沈降に際して細胞を溶解バッファに懸濁した状態で超音波処理にて破砕した。抗体との反応後のサンプルをSDS-PAGEに供し、HRP標識抗myc抗体を用いたウエスタンブロットで検出した。陽性であった場合に免疫沈降した(交差反応を示した)と判断した。
40-44抗体は、N末端1-72番目(1-216塩基長)のGITR断片を発現する細胞、N末端1-65番目(1-195塩基長)のGITR断片を発現する細胞、及びN末端1-60番目(1-180塩基長)のGITR断片を発現する細胞に反応したが、N末端1-47番目(1-141塩基長)のGITR断片を発現する細胞には反応しなかった。即ち、40-44抗体はGITRのアミノ酸位置1番〜73番の領域、アミノ酸位置1番〜65番の領域、及びGITRのアミノ酸位置1番〜60番の領域には交差性を示す一方、GITRのアミノ酸位置1番〜47番の領域には交差性を示さなかった(図9)。この結果から、40-44抗体のエピトープは、GITRのアミノ酸位置48番〜60番の領域(配列番号19)に存在することが示唆された。
本発明の抗体又は抗体断片はヒトGITRに結合してアゴニスト活性を発揮し、CD4+T細胞に対する増殖促進活性を発揮する。本発明の抗体によれば免疫応答の制御が可能である。従って、悪性腫瘍、自己免疫疾患又はアレルギーなど、免疫応答の異状に起因する疾病の治療に本発明の抗体を利用・応用することが大いに期待される。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
40-44抗体のGITR発現L細胞に対する反応性。左:40-44抗体とコントロールL細胞との反応。中央:市販のGITR抗体とGITR発現L細胞との反応。右:40-44抗体とGITR発現L細胞との反応。 末梢血単核球細胞(PBMC)から単離したCD4+CD25-T細胞及びCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)の純度。A:CD4+CD25-T細胞についてのFACSの結果(PE-標識抗CD25モノクローナル抗体を使用)。B:CD4+CD25+T細胞(Treg細胞)についてのFACSの結果(PE-標識抗CD25モノクローナル抗体を使用)。 GITRLのT細胞増殖活性。A:CD4+CD25-T細胞を単独培養した場合の増殖活性を示すグラフ。B:CD4+CD25+T細胞(Treg細胞)を単独培養した場合の増殖活性を示すグラフ。C:CD4+CD25-T細胞とCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)を共培養(細胞数は1:1)した場合の増殖活性を示すグラフ。各グラフの横軸は使用したL細胞の数、縦軸は放射物質量(Cpm:Count per minute)である。黒丸(●)は試験群(マイトマイシンC処理GITRL発現L細胞の存在下で培養)の検出結果であり、白丸(○)はコントロール群(マイトマイシンC処理コントロールL細胞の存在下で培養)の検出結果である。 GITRLによるT細胞活性化。左:TNFの測定値を示すグラフ。右:INF-γの測定値を示すグラフ。図中の「CD25-」はCD4+CD25-T細胞の単独培養、「CD25+」はCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)の単独培養、「1:1」はCD4+CD25-T細胞とCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)の共培養、「刺激なし」は、同系PBMC及び抗CD3抗体による刺激がない条件をそれぞれ表す。 40-44抗体のT細胞増殖活性。A:CD4+CD25-T細胞を単独培養した場合の増殖活性を示すグラフ。B:CD4+CD25+T細胞(Treg細胞)を単独培養した場合の増殖活性を示すグラフ。C:CD4+CD25-T細胞とCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)を共培養(細胞数は1:1)した場合の増殖活性を示すグラフ。各グラフの横軸は抗体の添加濃度、縦軸は放射物質量(Cpm:Count per minute)である。黒丸(●)は試験群(40-44抗体の存在下で培養)の検出結果であり、白丸(○)はコントロール群(マウスIgG抗体の存在下で培養)の検出結果である。 40-44抗体のFOX3発現への影響。A:CFSE標識したCD4+CD25+T細胞(Treg細胞)のフローサイトメトリー。B:コントロール(刺激なし)。C:刺激あり、40-44抗体添加。D:刺激あり、アイソタイプコントロール抗体を添加。 40-44抗体の重鎖(可変領域及び定常領域の一部)のアミノ酸配列(配列番号35)及び塩基配列(配列番号36)。四角で囲った領域は上から順にシグナル配列(配列番号37)、CDR1(配列番号1)、CDR2(配列番号2)、CDR3(配列番号3)である。矢印はCH1を示す。 40-44抗体の軽鎖(可変領域及び定常領域の一部)のアミノ酸配列(配列番号38)及び塩基配列(配列番号39)。四角で囲った領域は上から順にシグナル配列(配列番号40)、CDR1(配列番号4)、CDR2(配列番号5)、CDR3(配列番号6)である。矢印はCL1を示す。 40-44抗体のエピトープの同定実験。A:抗myc-tag抗体を用いた免疫沈降物のウエスタンブロット。B:40-44抗体を用いた免疫沈降物。C:アイソタイプコントロール抗体を用いた免疫沈降物。レーン1; GITRの1-216塩基長(アミノ酸翻訳部分N末端1-72番目)発現細胞、レーン2; GITR 1-195塩基長(アミノ酸翻訳部分N末端1-65番目)発現細胞、レーン3; GITR 1-180塩基長(アミノ酸翻訳部分N末端1-65番目)発現細胞レーン4; GITR 1-141塩基長(アミノ酸翻訳部分N末端1-47番目)発現細胞。検出にはHRP標識抗myc-tag抗体を使用した。

Claims (20)

  1. ヒトGITR抗原を認識し、ヒトCD4+T細胞に対する増殖促進活性を発揮する、単離された抗体又は抗体断片。
  2. 前記ヒトCD4+T細胞がヒトCD4+CD25-T細胞であり、
    ヒトCD4+CD25-T細胞に対するヒトCD4+CD25+制御性T細胞の増殖抑制作用を解除することにより前記増殖促進活性を発揮する、請求項1に記載の単離された抗体又は抗体断片。
  3. 前記ヒトCD4+T細胞がヒトCD4+CD25-T細胞であり、
    該ヒトCD4+CD25-T細胞に発現するヒトGITR抗原を認識し、前記増殖促進活性を発揮する、請求項1に記載の単離された抗体又は抗体断片。
  4. ヒトGITRのアミノ酸位置48〜60(配列番号19)にエピトープが存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片。
  5. 重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域の各相補性決定領域(VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3)及び該軽鎖可変領域の各相補性決定領域(VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3)のアミノ酸配列が以下の通りである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片、
    (1)VH CDR1:配列番号1に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
    (2)VH CDR2:配列番号2に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
    (3)VH CDR3:配列番号3に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
    (4)VL CDR1:配列番号4に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
    (5)VL CDR2:配列番号5に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列、
    (6)VL CDR3:配列番号6に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列。
  6. 前記重鎖可変領域が配列番号7に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなり、
    前記軽鎖可変領域が配列番号8に示すアミノ酸配列又はそれと実質的に同一のアミノ酸配列からなる、請求項5に記載の単離された単離された抗体又は抗体断片。
  7. 前記抗体断片がFab、Fab'、F(ab')2、scFv又はdsFvである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片。
  8. 前記抗体がヒト化抗体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片をコードする単離された核酸。
  10. 請求項6に記載の重鎖可変領域をコードする単離された核酸。
  11. 配列番号15又は17の塩基配列からなる、請求項10に記載の単離された核酸。
  12. 請求項6に記載の軽鎖可変領域をコードする単離された核酸。
  13. 配列番号16又は18の塩基配列からなる、請求項12に記載の単離された核酸。
  14. 請求項9〜13のいずれか一項に記載の単離された核酸を発現可能に保持するベクター。
  15. 請求項14に記載のベクターで宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体。
  16. 請求項15に記載の形質転換体を培養するステップ、及び発現産物である抗体又は抗体断片を分離・精製するステップを含む、抗体又は抗体断片の製造方法。
  17. 生体より分離されたヒトCD4+CD25-T細胞を用意するステップ、及び
    用意したヒトCD4+CD25-T細胞を、抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が接触する条件下で培養するステップ、
    を含む、ヒトCD4+CD25-T細胞の増殖法。
  18. 前記抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片として、請求項1〜8のいずれかに記載の単離された抗体又は抗体断片が用いられる、請求項17に記載の増殖法。
  19. 生体より分離されたヒトCD4+CD25+制御性T細胞を用意するステップ、
    用意したヒトCD4+CD25+制御性T細胞を、抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片が接触する条件下で培養するステップを含む、ヒトCD4+CD25+制御性T細胞の増殖法。
  20. 前記抗ヒトGITR抗体又はその機能的断片として、請求項1〜8のいずれか一項に記載の単離された抗体又は抗体断片が用いられる、請求項19に記載の増殖法。
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