JP2008276914A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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貴弘 尾上
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チョー ブーン アン
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Abstract

【課題】磁気記録層の記録再生時のノイズを抑えつつ、適切な保磁力Hcを有するよう、補助記録層を改善し、さらに、補助記録層が、生産の再現性、量産性を得られるだけの十分な厚さを有する、垂直磁気記録媒体を提供。
【解決手段】少なくともコバルト(Co)を含有する結晶粒子の間に粒界部を形成する非磁性物質を含むグラニュラー構造の磁気記録層22と、磁気的に連続した薄膜からなる補助記録層24とを備える垂直磁気記録媒体100において、補助記録層24はコバルト、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)を含有する単層からなり、補助記録層24の膜厚は4〜12nmであり、当該垂直磁気記録媒体のS/N比は17〜25(dB)であり、当該垂直磁気記録媒体の保磁力は3500〜5000(Oe)であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関する。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径磁気ディスクにして、1枚あたり100GBを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり150Gビットを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気ディスクにおいて高記録密度を達成するためには、情報信号の記録を担う磁気記録層を構成する磁性結晶粒子を微細化すると共に、その層厚を低減していく必要があった。ところが、従来から商業化されている面内磁気記録方式(長手磁気記録方式、水平磁気記録方式とも呼称される)の磁気ディスクの場合、磁性結晶粒子の微細化が進展した結果、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象が発生するようになり、磁気ディスクの高記録密度化への阻害要因となっていた。この阻害要因を解決するために、近年、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが提案されている。
垂直磁気記録方式は、面内磁気記録方式の場合とは異なり、磁気記録層の磁化容易軸は基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は面内記録方式に比べて、熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
垂直磁気記録方式では、磁気記録層を、柱状に成長させた磁性粒(磁性グレイン)で形成し、その粒界に、非磁性物質を偏析させたグラニュラー構造が用いられている(特許文献1)。
従来はCoCrPt−SiOが広く用いられ、Coがhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶を形成し、CrおよびSiO2が偏析して粒界を形成する。かかる材料を用いることにより、SiOが強磁性のCoの周囲に偏析するため、物理的に独立した微細なCo粒子を形成しやすく、高記録密度を達成しやすい。
しかしながら、CoCrPt−SiO1層だけでは、十分な逆磁区核形成磁界(Hn)を得ることができない。これを解決するため、磁気記録層の上層または下層に、磁気的な交換相互作用および垂直磁気異方性が強い補助記録層(記録層の面方向に磁気的に連続した連続層)を設けることにより、Hnの改善を図ることが多い。補助記録層としては、例えばCoB/Pdの多層膜を用いた、いわゆるCGC(Coupled Granular Continuous)媒体がある(特許文献2)。
特開2006−176810号公報 特開2003−346315号公報
しかし、多層膜からなる補助記録層が厚すぎると、磁気記録層の記録再生時のノイズが大きくなってしまい、さらに、媒体の保磁力(保磁力Hc)も低下してしまう。そこで、通常、記録層膜厚の半分(数nm)程度の膜厚に制御することが多い。この場合、多層膜を構成する各層の膜厚は0.2〜1nm程度となる。
しかしながら、多層膜からなる補助記録層をそのように薄くすると均一に成膜することが難しく、膜切れをおこしやすい。このため生産時の再現性、量産性に問題を生じてしまうことがある。
そこで本発明は、磁気記録層の記録再生時のノイズを抑えつつ、適切な保磁力Hcを有するよう、補助記録層を改善し、さらに、補助記録層が、生産の再現性、量産性を得られるだけの十分な厚さを有する、垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者らが鋭意検討したところ、補助記録層として、単層のCoCrPt系の材料を用いれば、補助記録層の膜厚の増大に伴って保磁力Hcも増大し、さらに厚くすると、今度は保磁力Hcが低下するという傾向があることを突き止めた。
そして、この保磁力Hcが低下した領域で媒体を製造すれば、記録密度特性の向上を担保できるだけの、好適な保磁力Hcが得られる。その一方、保磁力Hcは高すぎることもないため、優れたオーバライト特性(OW特性)も併せて確保できる。さらにこのとき、磁気記録層の記録再生時のノイズも好適に低減される現象が生じる。
発明者らはこれらのことを見出し、さらに研究を重ねることにより、本発明を完成するに到った。
上述の課題を解決するため、本発明の代表的な構成では、少なくともコバルト(Co)を含有する結晶粒子の間に粒界部を形成する非磁性物質を含むグラニュラー構造の磁気記録層と、磁気的に連続した薄膜からなる補助記録層とを備える垂直磁気記録媒体において、補助記録層はコバルト、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)を含有する単層からなり、補助記録層の膜厚は4〜12nmであることを特徴とする。
上述の構成において、単層の補助記録層は、これを次第に厚くすると、媒体の保磁力Hcは一旦増大し、さらに補助記録層を厚くすると、今度は保磁力Hcが低下する。この保磁力Hcが低下した領域での膜厚が、上述の補助記録層の膜厚4〜12nmであり、垂直磁気記録媒体のS/N比は17〜25(dB)であり、垂直磁気記録媒体の保磁力は3500〜5000(Oe)である。このときの保磁力Hcは低すぎず、記録密度特性の向上を担保でき、一方、高すぎず、優れたオーバライト特性も併せて確保できる。
上記のS/N比および保磁力Hcは、補助記録層の膜厚のみによって定まるものではなく、磁気記録層自体の組成や膜厚等、他の条件に応じても変動するものである。しかし、4nm以上という補助記録層の膜厚は、従来と比較すると格段に厚いものであり、生産時の再現性、量産性にとって良好な厚さとなっている。したがって、上記のS/N比および保磁力Hcも、4nm以上の補助記録層の膜厚によって確保するのが好ましい。上記のS/N比および保磁力Hcを確保できるものであれば、磁気記録層の組成や膜厚等の他の条件は、いかなるものとしてもよい。
一方、記録密度特性の向上と優れたオーバライト特性とを両立させるには、上述のように、保磁力Hcは5000(Oe)を超えないことが望ましい。そこで、保磁力Hcが5000(Oe)以下になり始める補助記録層の膜厚を4nmとすると、採用可能な補助記録層の範囲を最も広くすることができる。膜厚を増大させるとき、ピークを過ぎた保磁力Hcの低下率は、磁気記録層の組成や膜厚等の他の条件がどのようなものであっても、ほとんど不変である。したがって、膜厚が12nmに増大するまでには、保磁力は3500(Oe)より確実に小さくなり、実用性が損なわれる域にまで達する。したがって、補助記録層の膜厚の上限として12nmを採用しておけば十分である。
上述の補助記録層は、さらにボロン(B)を含むコバルト・クロム・プラチナ・ボロン(CoCrPtB)の組成を有するとよい。ボロンはノイズを低減する効果を有し、ボロンを含まないで上述の膜厚にした場合と比較すれば、ノイズがより少なくなるからである。
ボロンは5at%以下であるとよい。それ以上ボロンの含有量を大きくすると、十分な逆磁区核形成磁界(Hn)が得られない。
補助記録層の膜厚は、膜厚を増加させたときに垂直磁気記録媒体の保磁力Hcが描くピークを通過し、保磁力Hcが3500〜5000(Oe)となったときの厚みであるとよい。
かかる保磁力Hcの値であれば、上述のように、低すぎず高すぎない適切な値となり、記録密度特性の向上と優れたオーバライト特性とを併せて確保できるからである。
補助記録層の膜厚は、膜厚を増加させたときに垂直磁気記録媒体のS/N比が描くピークを通過し、S/N比が17〜25(dB)となったときの厚みであるとよい。かかる範囲までノイズを低減させれば実用上、十分な記録再生が可能だからである。
また、上述のクロムは17〜20at%、好ましくは20at%であるとよい。クロムの量が上記範囲より多すぎると、記録再生特性において十分な出力が得られないからである。また,クロムの量が上記範囲より少なすぎると、補助記録層が薄い(<4nm)領域において,十分な保磁力Hcの向上が望めないためである。
上述の課題を解決するため、本発明の他の代表的な構成では、垂直磁気記録媒体の製造方法は、少なくともコバルトを含有し柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性物質からなる粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層を成膜する磁気記録層成膜工程と、コバルト、クロム、プラチナを含有する単層からなる補助記録層を成膜する補助記録層成膜工程とを含み、補助記録層成膜工程では、補助記録層の膜厚を4〜12nmにして、当該垂直磁気記録媒体のS/N比を17〜25(dB)とし、保磁力を3500〜5000(Oe)とすることを特徴とする。
上述した垂直磁気記録媒体における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該垂直磁気記録媒体の製造方法にも適用可能である。
本発明によれば、磁気記録層の記録再生時のノイズを抑えつつ、適切な保磁力Hcを有するよう、補助記録層を改善した垂直磁気記録媒体を提供できる。さらに、補助記録層は、生産の再現性、量産性を得られるだけの十分な厚さを有することとなる。
次に添付図面を参照して本発明による垂直磁気記録媒体の実施形態を詳細に説明する。図中、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、同様の要素は同一の参照符号によって表示する。なお、以下の実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
図1は、本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。
図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体10、付着層12、第一軟磁性層14a、スペーサ層14b、第二軟磁性層14c、配向制御層16、第一下地層18a、第二下地層18b、磁気記録層22、補助記録層24、カーボン保護層26、潤滑層28で構成されている。なお第一軟磁性層14a、スペーサ層14b、第二軟磁性層14cは、あわせて軟磁性層14を構成する。第一下地層18aと第二下地層18bはあわせて下地層18を構成する。
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円盤状に成型し、ガラスディスクを作成した。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体10を得た。
得られたディスク基体10上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、アルゴン(Ar)雰囲気中でDCマグネトロンスパッタリング法にて、付着層12から補助記録層24まで順次成膜を行い、カーボン保護層26はCVD法により成膜した。この後、潤滑層28をディップコート法により形成した。なお、大量生産が可能であるという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。
本実施形態の特徴は、補助記録層24の構成にあるが、それについては後述することとし、まず、各層の構成および製造方法について、以下に説明する。
付着層12は10nmのチタン(Ti)合金層となるように、Ti合金ターゲットを用いて成膜した。付着層12を形成することにより、ディスク基体10と軟磁性層14との間の付着性を向上させることができるので、軟磁性層14の剥離を防止することができる。付着層12の材料としては、例えばCrTi合金を用いることができる。実用上の観点からは付着層の膜厚は、1nm〜50nmとすることが好ましい。
軟磁性層14は、第一軟磁性層14aと第二軟磁性層14cの間に非磁性のスペーサ層14bを介在させることによって、AFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)を備えるように構成した。これにより軟磁性層14の磁化方向を高い精度で上下層の磁化が互いに反並行となるように整列させることができ、軟磁性層14から生じるノイズを低減することができる。具体的には、第一軟磁性層14a、第二軟磁性層14cの組成はFeCoCrBとし、スペーサ層14bの組成はRu(ルテニウム)とした。
配向制御層16は、軟磁性層14を防護する作用と、下地層18の結晶粒の配向の整列を促進する作用を備える。
下地層18は、Ruからなる2層構造となっている。上層側の第二下地層18bを形成する際に、下層側の第一下地層18aを形成するときよりもArのガス圧を高くすることにより、結晶配向性と磁気記録層の磁性粒子の分離を改善することができる。
磁気記録層22は、少なくともコバルト(Co)を含有する結晶粒子の間に粒界部を形成する非磁性物質を含む。磁気記録層22は、非磁性物質の例としての酸化チタン(TiO)を含有するCoCrPtからなる硬磁性体のターゲットを用いて、8nmのCoCrPt−TiOのhcp結晶構造を形成した。磁性粒はグラニュラー構造を形成した。
補助記録層24は、CoCrPtBの組成を有し、記録層の面方向に磁気的に連続した薄膜(単層)からなり、グラニュラー磁性層の上に高い垂直磁気異方性を示す。図2は本実施形態における補助記録層を模式的に表す図である。従来の補助記録層23は、図2(a)のように薄膜の連続層の多層膜を用いることが多かったが、本実施形態における補助記録層24は、図2(b)に示すように単層であり、従来より格段に膜厚が高いことが特徴である。
補助記録層24の膜厚は4〜12nmである。単層の補助記録層24は、これを次第に厚くすると、媒体100の保磁力Hcは一旦増大し、さらに補助記録層24を厚くすると、今度は保磁力Hcが低下する。この保磁力Hcが低下した領域での膜厚が、上述の補助記録層24の膜厚4〜12nmである。
このときの磁気記録層22(グラニュラー層)の保磁力Hcは低すぎず、記録密度特性の向上を担保でき、一方、高すぎず、優れたオーバライト特性も併せて確保できる。また、従来の補助記録層でも得られていた高熱ゆらぎ耐性も維持されていることは言うまでもない。
また、補助記録層24の膜厚は、磁気記録層22のそれより大きく、従来と比較すると格段に厚いものであり、生産時の再現性、量産性にとって良好な厚さとなっている。
上述の補助記録層24は、ボロン(B)を含むコバルト・クロム・プラチナ・ボロン(CoCrPtB)の組成となっている。ボロンはノイズを低減する効果を有し、ボロンを含まないで上述の膜厚にした場合と比較すれば、ノイズがより少なくなるからである。
ただし、ボロンは5at%以下とする。それ以上ボロンの含有量を大きくすると、十分な逆磁区核形成磁界(Hn)が得られないためである。
補助記録層24の膜厚4〜12nmは、膜厚を増加させたときに垂直磁気記録媒体の保磁力Hcが描くピークを通過し、保磁力Hcが3500〜5000(Oe)となったときの厚みである。
補助記録層24の膜厚を増大させると、上述のように、当初は保磁力Hcが増加し、ピークを迎え、さらに膜厚を増大させると保磁力Hcは減少する。かかる減少中の保磁力Hcであれば、上述のように、低すぎず高すぎない適切な値となり、記録密度特性の向上と優れたオーバライト特性とを併せて確保できるからである。
補助記録層24の膜厚は、膜厚を増加させたときに垂直磁気記録媒体のS/N比が描くピークを通過し、S/N比が17〜25(dB)となったときの厚みである。補助記録層の厚みが増すと、最初はノイズは増加し、ピークを経て減少する。このノイズの減少中に、上記の範囲のS/N比が得られる。かかる範囲までノイズが低減すれば、実用上、問題のない記録再生が可能である。
また、上述のクロムは17〜20at%、好ましくは20at%であるとよい。クロムの量が上記範囲より多すぎると、記録再生特性において十分な出力が得られないからである。また,クロムの量が上記範囲より少なすぎると,補助記録層が薄い(<4nm)領域において,十分な保磁力Hcの向上が望めないためである。
カーボン保護層26は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成した。カーボン保護層26は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録層を防護するための保護層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録層を防護することができる。
潤滑層28は、PFPE(パーフルオロポリエーテル)をディップコート法により成膜した。潤滑層28の膜厚は約1nmである。
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体が得られた。以下に実施例と比較例を用いて、本発明の有効性について説明する。
(実施例)
図3は本実施例における単層の補助記録層の膜厚と保磁力Hcとの関係を示すグラフ(a)、および膜厚とノイズとの関係を示すグラフ(b)である。
図3(a)より、補助記録層24の膜厚を次第に厚くしてゆくと、本媒体の保磁力Hcは一旦増大し、ピークを迎え、さらに膜厚を厚くすると、保磁力Hcは低下する。この保磁力の増大はCr含量が大きいほど顕著である。
図3(b)より、補助記録層24の膜厚を増大させると最初はS/N比の若干の低下が認められるが,ある一定以上の膜厚を超えるとS/N比が増加、すなわちノイズが低減し、ピークを経て減少する。
本実施例で理想的としている保磁力Hcは3500〜5000(Oe)である。図3(a)によれば、補助記録層24の膜厚がまだ薄い当初は、保磁力Hcは上記の3500〜5000(Oe)の範囲にあるが、S/N比が十分な値ではない。そして膜厚が増加して保磁力Hcがピークにあるときは、保磁力Hcは理想値より高すぎ、所望のオーバライト特性が得られないし、S/N比は依然として十分な値でない。
しかし、さらに補助記録層24の膜厚を増加させると、図3(a)(b)に示すように、保磁力Hcはピークを通過して適切な値まで低下し、S/N比も向上する。そして、補助記録層24の膜厚が4〜12nmであるとき、所望のオーバライト特性が得られる理想的な保磁力Hc:3500〜5000(Oe)という理想的な値となる。すなわち、記録密度特性の向上を担保しつつ、適切なオーバライト特性も得られる、理想的な値の保磁力Hcを達成するとともに、磁気記録層22の記録再生時のノイズを、実用上十分な程度まで低減できる。
この現象について本発明の発明者らが鋭意検討した。図5は磁気記録層および補助記録層の模式的な断面図であり、図5(a)から図5(b)に向かって、次第に補助記録層の膜厚が増大する様子を示している。補助記録層24は、CoCrPtBの含量比が一定の単一の組成からなる単層である。図5(a)では、補助記録層24の膜厚は薄く、4nm未満である。図5(b)では、補助記録層24の膜厚は4nmより大きい。
図5(a)に示すように、補助記録層24の下部(磁気記録層22に近い部分)は、磁気記録層22のグラニュラー構造を引き継いでCoが柱状にエピタキシャル成長し、Crが粒界に偏析しているとの考察がなされた。このように、補助記録層24の膜厚が4nm未満という比較的薄いうちは、上述のように、補助記録層24の膜厚を厚くしていくと、厚くした分だけグラニュラー構造も引き継がれると考えられるため、保磁力Hcは一旦増大する。
さらに補助記録層24の膜厚が増大して、図5(b)のようになると、補助記録層24の上部32ではグラニュラー構造はもはや引き継がれず、膜面方向の結晶成長が優位となり、本来の補助記録層24の性質に移行するとの考察もなされた。すなわち、補助記録層24の膜厚が4nm以上となると、それ以上グラニュラー構造が引き継がれなくなると考えられるため、保磁力Hcは、補助記録層24の膜厚を増大させていくと、却って低下する。
S/N比および保磁力Hcは、補助記録層の膜厚のみによって定まるものではなく、磁気記録層自体の組成や膜厚等、他の条件に応じても変動するものである。しかし、4nm以上という補助記録層の膜厚は、従来と比較すると格段に厚いものであり、生産時の再現性、量産性にとって良好な厚さとなっている。したがって、上記のS/N比:17〜25(dB)および保磁力Hc:3500〜5000(Oe)も、4nm以上の補助記録層の膜厚によって確保するのが好ましい。これらのS/N比および保磁力Hcを確保できるものであれば、磁気記録層の組成や膜厚等の他の条件は、いかなるものとしてもよい。
一方、記録密度特性の向上と優れたオーバライト特性とを両立させるには、上述のように、保磁力Hcは5000(Oe)を超えないことが望ましい。そこで、保磁力Hcが5000(Oe)以下になり始める補助記録層の膜厚を4nmとすると、採用可能な補助記録層の範囲を最も広くすることができる。膜厚を増大させるとき、ピークを過ぎた保磁力Hcの低下率は、磁気記録層の組成や膜厚等の他の条件がどのようなものであっても、図3(a)に示すように、ほとんど不変である。したがって、膜厚が12nmに増大するまでには、保磁力は3500(Oe)より確実に小さくなり、実用性が損なわれる域にまで達する。したがって、補助記録層の膜厚の上限として12nmを採用しておけば十分である。
図4は、補助記録層に含まれる元素の量を変化させたときの再生出力の強さを示すグラフであり、(a)には、Cr含量の異なる補助記録層のデータを示す。同図より、再生出力は補助記録層のCrの量が増加するほど低減する傾向を示す。これは、補助記録層中のCoの含量が相対的に減少し、飽和磁化Msが減少したためである。再生出力が減少すると、十分な記録特性が得られないので、Cr含量は20at%以下であることが望ましい。また、図3(a)から、補助記録層のCr含有量が17at%より高いサンプルにおいて、補助記録層の膜厚が4nm以下の領域における保磁力Hcの増大がより顕著となることがわかる。これらより、補助記録層のクロム含有量は、17〜20at%、好ましくは20at%とすることが好適であることがわかる。
図4(b)には、B含量の異なる補助記録層のデータを示す。同図より、逆磁区核形成磁界HnはBの量が増加するほど増加(より正になる)傾向を示す。Hnが増加すると、十分な耐熱揺らぎ特性が得られないので、B含量は5at%以下であることが望ましい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体として利用することができる。
本実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 本実施形態における補助記録層を模式的に表す図である。 単層の補助記録層の膜厚と保磁力Hcとの関係を示すグラフ(a)、および膜厚とノイズとの関係を示すグラフ(b)である。 単層の補助記録層に含まれるCr含量と再生出力の強さとの関係を示すグラフ(a)、および、B含量と再生出力の強さとの関係を示すグラフ(b)である。 磁気記録層および補助記録層の模式的な断面図である。
符号の説明
10 …ディスク基体
12 …付着層
14 …軟磁性層
14a …第一軟磁性層
14b …スペーサ層
14c …第二軟磁性層
16 …配向制御層
18 …下地層
18a …第一下地層
18b …第二下地層
22 …磁気記録層
22a …第一磁気記録層
22b …第二磁気記録層
24 …補助記録層
26 …カーボン保護層
28 …潤滑層

Claims (7)

  1. 少なくともコバルト(Co)を含有し柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性物質からなる粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層と、面方向に磁気的に連続した薄膜からなる補助記録層とを備える垂直磁気記録媒体において、
    前記補助記録層はコバルト、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)を含有する単層からなり、
    前記補助記録層の膜厚は4〜12nmであり、
    当該垂直磁気記録媒体のS/N比は17〜25(dB)であり、
    当該垂直磁気記録媒体の保磁力は3500〜5000(Oe)であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記補助記録層は、さらにボロン(B)を含むコバルト・クロム・プラチナ・ボロン(CoCrPtB)の組成を有することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記ボロンは5at%以下であることを特徴とする請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記補助記録層の膜厚は、該膜厚を増加させたときに該垂直磁気記録媒体の保磁力が描くピークを通過し、該保磁力が3500〜5000(Oe)となったときの厚みであることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記補助記録層の膜厚は、該膜厚を増加させたときに該垂直磁気記録媒体のS/N比が描くピークを通過し、該S/N比が17〜25(dB)となったときの厚みであることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 前記クロムは17〜20at%であることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 少なくともコバルトを含有し柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性物質からなる粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層を成膜する磁気記録層成膜工程と、
    コバルト、クロム、プラチナを含有する単層からなる補助記録層を成膜する補助記録層成膜工程とを含み、
    前記補助記録層成膜工程では、補助記録層の膜厚を4〜12nmにして、当該垂直磁気記録媒体のS/N比を17〜25(dB)とし、保磁力を3500〜5000(Oe)とすることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
JP2008088126A 2007-03-30 2008-03-28 垂直磁気記録媒体 Pending JP2008276914A (ja)

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