JP2008275783A - 画像読取レンズ、画像読取装置および画像形成装置 - Google Patents

画像読取レンズ、画像読取装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で高い画像読取性能を持つ4群・4枚構成の画像読取レンズを実現する。
【解決手段】物体側から順に、凸面を物体側に向けた正メニスカスの第1レンズ1、両凹面の第2レンズ2、絞り、両凸面の第3レンズ3、物体側に凹面を向けた負メニスカスの第4レンズ4を配してなり、画像読取レンズ全系の焦点距離:f、画像読取レンズ全系の厚さ:Σd、第3レンズと第4レンズの光軸上の間隔:d7が、条件:(1)0.6f<Σd<0.8f (2)0.07<d7/Σd<0.15 を満足する。
【選択図】図1

Description

この発明は、画像読取レンズ、画像読取装置および画像形成装置に関する。
デジタル複写機やファクシミリ装置における画像読取部やイメージスキャナは、原稿の読取るべき画像情報を、画像読取レンズにより縮小してCCDのような撮像素子上に結像させ、画像情報を信号化する。また、カラー画像情報の読取りのために、例えば赤、緑、青のフィルタを各々持つラインセンサを1つの基板上に3列配列してなる所謂3ラインCCDを用い、カラー画像を3原色に色分解して信号化することが行われている。
このような画像読取に用いられる画像読取レンズは、一般的に、像面である撮像素子の受光面上において「高空間周波数領域での高いコントラスト」が要求されるとともに、開口効率が画角周辺部まで100%近くあることが要求される。
また、カラー画像を良好に読取るためには、像面上で、色分解に用いる複数の色、例えば赤・緑・青の各色光の結像位置を光軸方向において合致させる必要があり、各色の色収差を良好に補正する必要がある。
さらに、画像読取装置の小型化・低コスト化の要請に沿うためには「小型でレンズ構成枚数の少ない画像読取レンズ」が望まれる。
構成レンズ枚数が少なく、読取りに適した良好な性能を持つ画像読取レンズとして、物体側から順に、凸面を物体側に向けた正メニスカスの第1レンズ、両凹面の第2レンズ、両凸面の第3レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスの第4レンズを配してなる4群4枚構成のテレフォトタイプのものが知られている(特許文献1〜8等)。
これら特許文献に記載された画像読取レンズのうちで、特許文献1、2、3、6、7、8に記載されたものは、第3レンズと第4レンズの間を広く取ることにより良好に収差補正を行っているが、この構成の場合、第4レンズの径が大きくなり易く、画像読取レンズの小型化が困難である。
また、特許文献4、5に記載された画像読取レンズは「レンズ全長を短くするために、第3レンズと第4レンズの間隔を狭く設定」しており、各画角の結像位置を光軸方向で十分に合せることが難しい。上記特許文献4記載の画像読取レンズでは「第1レンズと第4レンズのアッベ数の差」が小さく、色収差を十分に補正することが困難である。
また、特許文献1〜8は「画像読取装置内の温度変化、例えば、照明光源の発熱等による温度上昇時の性能劣化の抑制」については何ら開示していない。
特開平3−240010号公報 特開平9−101452号公報 特開2000−249913 特開2001−100096 特開2004−294925 特公平2−38925号公報 特許第3856258号公報 特許第3507287号公報
この発明は、上述したところに鑑みてなされたものであって、小型で高い画像読取性能を持つ4群・4枚構成の画像読取レンズの実現を課題とする。また、各画角におけるサジタル光線とメリディオナル光線との「光軸方向における像面位置」を良好に合致させることができ、性能をより良好ならしめた画像読取レンズの実現を課題とする。
また、色収差を良好に補正してカラー画像に対する高い画像読取性能を実現できるとともに、広画角化にも対応可能な画像読取レンズの実現を課題とする。
さらに、温度変動による使用環境の変化による性能の劣化も低減できる画像読取レンズの実現を課題とする。
さらに、これら画像読取レンズを用いることにより性能良好な画像読取装置・画像形成装置の実現を課題とする。
請求項1記載の画像読取レンズは、物体側から順に、凸面を物体側に向けた正メニスカスの第1レンズ、両凹面の第2レンズ、絞り、両凸面の第3レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスの第4レンズを配してなり、以下の如き特徴を有する。
即ち、画像読取レンズ全系の焦点距離:f、画像読取レンズ全系の厚さ:Σd、第3レンズと第4レンズの光軸上の間隔:d7が、条件:
(1) 0.6f < Σd < 0.8f
(2) 0.07 < d7/Σd < 0.15
を満足する。
請求項1記載の画像読取レンズは、第3レンズのレンズ厚:d6、画像読取レンズ全系の厚さ:Σdが、条件:
(3) 0.3 < d6/Σd < 0.5
を満足することが好ましい(請求項2)。
請求項1または2記載の画像読取レンズは、画像読取レンズ全系の焦点距離:f、第3レンズの第2面の曲率半径:r6、第4レンズの第1面の曲率半径:r7が、条件:
(4) 3.2 < (1/r6-1/r7)f < 3.7
を満足することが好ましい(請求項3)。
請求項1〜3の任意の1に記載の画像読取レンズは、第1レンズのd線の屈折率:nd1、第4レンズのd線の屈折率:nd4、第1レンズのアッベ数:νd1、第4レンズのアッベ数:νd4が、条件:
(5) -0.4 < nd1-nd4 < -0.08
(6) 20 < νd1-νd4 < 60
を満足することが好ましい(請求項4)。
請求項1〜4の任意の1に記載の画像読取レンズは、第1レンズと第3レンズのd線の屈折率温度係数の和:Σdn/dt(凸)、第2レンズと第4レンズのd線の屈折率温度係数の和:Σdn/dt(凹)が、条件:
(7) -8 < Σdn/dt(凸)-Σdn/dt(凹) < 0
を満足することが好ましい(請求項5)。
請求項1〜5の任意の1に記載の画像読取レンズは、第1レンズ〜第4レンズが全てガラスレンズで、砒素、鉛等の有害物質を含有していないことが好ましい(請求項6)。
請求項1〜6の任意の1に記載の画像読取レンズは、少なくとも1枚のレンズが「非円形の外形形状」であることが好ましい(請求項7)。
請求項1〜7の任意の1に記載の画像読取レンズは「射出成形法により成形されるプラスチック鏡筒」を用いることが好ましい(請求項8)。
請求項9記載の画像読取装置は、原稿載置面に配置された原稿を照明する照明系と、この照明系により照明された原稿情報をライン状の撮像素子に結像させる画像読取レンズと用いて原稿情報を読取る画像読取装置であって、画像読取レンズとして、請求項1〜8の任意の1に記載の画像読取レンズを用いたことを特徴とする(請求項9)。
「ライン状の撮像素子」は微小な光電変換素子をライン状に配列した撮像素子である。
請求項9記載の画像読取装置は、原稿載置面から撮像素子に至る光路を折り曲げるための1以上のミラー、照明系、画像読取レンズ、撮像素子が画像読取ユニットとして一体に構成され、この画像読取ユニットの走査により、原稿載置面上の原稿の画像情報を読取る構成とすることができる(請求項10)。
請求項9、10記載の画像読取装置は、デジタル複写装置やファクシミリ装置等の画像読取部の構成として用いることができる。
請求項11記載の画像形成装置は、請求項9または10記載の画像読取装置を用いて画像読取を行うものであって、具体的には、上記デジタル複写装置やファクシミリ装置等、原稿の画像情報を読取って信号化し、画像形成に供する機能を持つ装置である。
説明を補足すると、請求項1における条件(1)、(2)のうちで、条件(1)は「画像読取レンズの全長」を規定するものである。条件(1)の下限値:0.6fを超えると、全長を短くするために「各レンズの屈折力が強くなり過ぎる」ため良好に像面の補正を行うことが難しくなる。また上限値:0.8fを超えると全長が大きくなり、画像読取レンズを小型化することが難しくなる。画像読取レンズの小型化と「高い画像読取性能」を得るには、条件(1)を満足することが必要である。
条件(2)は「第3レンズと第4レンズの間隔」を規定するものである。条件(2)の下限値:0.07を超えると、第3レンズと第4レンズのレンズ面間隔が狭くなりすぎ、第4レンズの第1面に入射する光線に「急な角度」を持たせる必要が生じ、マージナル光線を良好に補正することが困難になる。また、上限値:0.15を超えると「軸外の光線が第4レンズを通る高さ」が高くなり、第4レンズの大径化を招来しやすくなり、画像読取レンズの小型化が難しくなる。
条件(1)および(2)を満足することにより、画像読取レンズの小型化と、高い画像読取性能を実現することが可能になる。なお、第2レンズと第3レンズの間に配置される「絞り」によりディストーションの良好な補正を可能としている。
「より高い画像読取性能」を確保するためには、条件(2)のパラメータ:d7/Σdは、条件(2)よりもやや狭い、条件:
(2A) 0.09 < d7/Σd < 0.14
を満足することが好ましい。
請求項2における条件(3)は「画像読取レンズの全長に対する第3レンズの厚さ」を規定するものである。条件式の下限値:0.3を下回ると、第3レンズの厚さが小さくなって第3レンズの正の屈折力が小さくなり、メリディオナル像面の補正が不足して非点隔差が増大し易い。上限値:0.5を上回ると、第3レンズの厚さが大きくなって正の屈折力が大きくなり、メリディオナル像面の補正が過剰となって像面湾曲が増大し易い。条件(1)、(2)とともに条件(3)を満足することにより、光軸近傍と周辺部での光軸方向における結像位置を合致させることが容易となり、画像読取レンズの全像高で高い画像読取性能を実現できるようになる。
請求項3の条件(4)は「画像読取レンズの第3レンズの第2面の曲率半径と、第4レンズの第1面の曲率半径の関係」を規制するものである。第3レンズは両凸レンズ、第4レンズは凹面を物体側に向けた負メニスカスレンズであるから、第3レンズの第2面と第4レンズの第1面とはともに「像側に凸の面」であり、曲率半径はともに負である。
条件(4)が成り立つ範囲では、第3レンズの第2面の曲率半径:r6は、絶対値において、第4レンズの第1面の曲率半径:r7の絶対値よりも大きい。
条件(4)の下限値:3.2を下回ると、上記曲率半径:r6の絶対値に対して曲率半径:r7の絶対値が相対的に大きくなってコマ収差が補正不足となり易く、上限値:3.7を上回ると、上記曲率半径:r6の絶対値に対して曲率半径:r7の絶対値が相対的に小さくなってコマ収差の補正が過剰となりやすい。
条件(1)、(2)とともに、あるいは条件(1)〜(3)とともに条件(4)を満足することにより「周辺部での高い画像読取性能」を実現することが容易になる。
請求項4の条件(5)は「凸レンズである第1レンズの屈折率と凹レンズである第4レンズの屈折率の差」を規定する条件であり、下限値:−0.4を下回ると、ペッツバール和が大きくなり、光軸近傍と周辺部とで「光軸方向における結像位置」を合せるのが困難になる。また上限値:−0.08を上回るとペッツバール和が小さくなり、やはり「光軸方向における結像位置」を光軸近傍と周辺部とで合せるのが困難になる。
条件(1)、(2)あるいはこれらと条件(3)さらには条件(4)とともに条件(5)を満足することにより「画像読取レンズの全像高で高い画像読取性能」を得ることが可能になる。
条件(6)は「凸レンズである第1レンズのアッベ数と凹レンズである第4レンズのアッベ数の差」を規定するものであり、下限値:20を下回ると色収差が補正不足となりやすく、上限値:60を上回ると色収差が補正過剰となり易い。条件(6)を満足することにより、カラー画像の良好な読取りが可能となる。
請求項5の条件(7)は「凸レンズである第1レンズと第3レンズの屈折率温度係数の和と、凹レンズである第2レンズと第4レンズの屈折率温度係数の和との差」を規定するものである。
この条件(7)は、画像読取レンズにおける「結像位置の温度依存性」を規制するものである。条件(7)の下限値:−8を下回ると、画像読取レンズの焦点距離が「温度上昇時に伸び」すぎ、上限値:0を上回ると、画像読取レンズの焦点距離が「温度上昇時に短く」なりすぎる。
条件(7)を満足することにより「画像読取装置内の温度が上昇した時にも、画像読取レンズと撮像素子であるラインCCDを保持している部材が伸びるのに対して光軸方向の結像位置が大幅にずれる」ことがなく、使用環境の如何によらず、高い画像読取性能を得ることができる。なお、上記「屈折率温度係数」はd線で規定しているが「同じ波長の屈折率温度係数」を用いれば同等の効果が得られるので、例えば「e線の屈折率温度変化係数」を用いて表しても同等の効果が得られる。
なお、請求項1〜5の任意の1に記載の画像読取レンズは、画像読取レンズの全系の焦点距離:fに対する第iレンズ(i=1〜4)の焦点距離:f(i=1〜4)の比は、以下の条件:
(8) 0.6 < f1/f < 0.9
(9) -0.7 < f2/f < -0.4
(10) 0.3 < f3/f < 0.5
(11) -0.9 < f4/f < -0.6
を満足することが好ましい。
請求項6の画像読取レンズのように、第1レンズ〜第4レンズを全てガラスレンズとし、砒素、鉛等の有害物質を含有していない硝材を用いると、レンズのリサイクルを安全に行うことができる。また、レンズ加工時の「廃液による水質汚染等」を生じることもなく地球環境保全に大きく貢献できる。また、全てのレンズをガラス材料にすることによって「画像読取レンズの焦点距離の温度依存性」を有効に小さくできる。
この発明の画像読取レンズでは、高い画像品質を得るためにレンズ径が大きくなりやすく、特に第4レンズではこの傾向が顕著である。撮像素子として光電変換部(微小な受光素子)を1方向に配列したCCD等のラインセンサを用いる場合、光電変換部の配列方向にのみ「光線の通る幅」を確保すればよく、光電変換素子の配列と直交する方向については「画像読取レンズのレンズ径を小さくする」ことができる。従って、請求項7のように「少なくとも1枚のレンズ(第4レンズであることが好ましい)を非円形の外形形状」とするのが良い。
また、請求項8の画像読取レンズのように「射出成形法を用いたプラスチック鏡筒を用いる」と、射出成形法を用いたプラスチック成形は、任意の位置を精度よく位置出し出来、鏡筒内に挿入するレンズのガラス材料よりも軟質であるため、プラスチック鏡筒にレンズ(ガラスレンズ)を圧入保持することにより、レンズの偏心を良好に抑えることが可能となる。
一般に、各レンズと鏡筒とのクリアランスにより、各レンズの中心が光軸上からずれ、良好な画像が得られにくくなるが、画像読取レンズは通常「ある1ライン方向の性能」を確保すればよいため、画像読取レンズの生産工程においては通常、画像読取レンズ全体を回転させて性能良好な位置を探す工程を行っているが、プラスチック製の鏡筒を用いることにより、金属製の鏡筒よりもクリアランスが小さくても画像読取レンズを組むことが可能となり、更にレンズを圧入保持することで各レンズの偏心を良好に抑えることが可能となるため、特に、請求項7の「非円形の外形形状を持つレンズ」のように、画像読取レンズの回転調整が難しい場合に画像読取レンズ製造工程上の有効な手段となる。
請求項10の画像読取ユニットのように、一体で構成されたユニットを用いることにより、画像読取装置のより小型化が可能となるとともに、画像読取部がユニットとして一体で移動するために「画像読取ユニットの移動時の性能劣化」を小さく抑えることが可能となる。
以上に説明したように、この発明によれば、高い画像読取性能を持ちつつ、小型の画像読取レンズ(請求項1)を実現できる。また、請求項2記載の画像読取レンズでは、光軸近傍と周辺部での光軸方向における結像位置を合致させて「よる高い画像読取性能」を得ることが可能となり、請求項3記載の画像読取レンズではさらに、周辺部のコマ収差の良好な補正により高い画像読取性能が可能となる。
請求項4記載の画像読取りレンズでは、光軸近傍において高いコントラストを獲得しつつ光軸近傍と周辺部での光軸方向における結像位置を合致させ、さらに色収差を良好に補正することによりカラー画像に対する高い画像読取性能を実現できる。
また、請求項5記載の画像読取レンズでは、画像読取レンズの「温度上昇時の焦点距離の変動」を良好に補正でき、幅広い環境条件に対して高い画像読取性能を実現できる。
そして、この発明の画像読取レンズを用いることにより、画像読取特性に優れた小型の画像読取装置や画像形成装置を実現できる。
図1に、この発明の画像読取レンズの実施の1形態を示す。
図1において、図の左方が物体側であり、最も物体側に位置する平行平板CNは「原稿載置ガラス(コンタクトガラス)」を示す。第1レンズ1は「凸面を物体側に向けた正メニスカスレンズ」であり、これに続く第2レンズ2は「両凹面レンズ」、絞りを介して、設けられた第3レンズ3は「両凸面レンズ」、その像側に配置された第4レンズ4は「物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ」である。
図9は、請求項7記載の画像読取レンズの実施の1形態を示す図である。繁雑を避けるため、レンズについては図1におけると同一の符号を付した。
図9において、図の左方が物体側であり、物体側から順に、第1レンズ1、第2レンズ2、第3レンズ3、第4レンズ4が配置されている。この図においては第2レンズ2と第3レンズ3との間に配置される「絞り」は図示を省略されている。
この実施の形態においては、第4レンズ4が「非円形の外形形状」を有する。即ち、第4レンズは、光電変換素子の配列方向に直交する両側で、レンズ周辺部が切除され、上記配列方向に長い短冊形(非円形の外形形状)」に形成されている。このように、レンズ外径の最も大きい第4レンズを「短冊形」に形成することにより、画像読取レンズを有効に小型化できる。
図10は、プラスチック製の鏡筒の1例を説明するための図である。プラスチック製の鏡筒21は射出成形で製造されている。
図10(a)は、鏡筒21を像面側から見た図であり、図9(b)は光軸直交方向から見た図である。図中の符号21a〜21iは「鏡筒内壁面に形成された突起部」を示す。図のように突起部21a〜21iを有する鏡筒21を射出成形法で製造することにより、突起部21a〜21iを正確に位置出しして成形することが可能である。また、これらの突起部に圧入するように各レンズを組付け保持することにより、各レンズの光軸位置を正確に揃えることが可能となる。
図11は、画像読取装置の実施の1形態を示している。
図11において、符号31は原稿載置ガラス、符号33は第1走行体、符号34は第2走行体、符号35は画像読取レンズ、符号36は撮像素子を示している。
画像を読取られるべき原稿32は原稿載置ガラス31の上面に平面的に定置される。
第1走行体33は、図面に直交する方向を長手方向とし、原稿載置ガラス31の原稿載置面に対して鏡面を45度傾けたミラー33cを保持し、図11において「符号33で示す位置」から「符号33’で示す位置(各符号に「ダッシュ」を付した位置)」まで一定速度:Vで移動する。
第1走行体33はまた、照明手段として、図面に直交する方向に長い蛍光ランプ33aおよび反射鏡33bを保持している。蛍光ランプ33aは、第1走行体33が図11の右方へ変位するときに発光し、原稿載置ガラス31上の原稿32を照明する。従って、第1走行体33が符号33’で示す位置まで変位する間に原稿32は照明走査される。
蛍光ランプとしては、ハロゲンランプやキセノンランプ、冷陰極管等の管灯を用いてもよいし「LED等の点光源を一列に配列したもの」もしくは「点光源を線光源に変換する導光体を用いた線状光源」を用いることも可能であり、さらには有機ELに代表される面発光光源を用いることも可能である。
第2走行体34は、図面に直交する方向に長く「鏡面を互いに直交的に傾けた1対のミラー34a,34b」を保持し、第1走行体33の変位に同期して符号34’で示す位置まで一定速度:V/2で変位する。
原稿32が照明走査されるとき、原稿32の被照明部からの反射光は第1走行体33のミラー33cにより反射され、第2走行体34のミラー34a、34bで順次反射され、結像光束として画像読取レンズ35に入射する。このとき、第1走行体33と第2走行体34の速度比が2:1となっているので「原稿被照明部から画像読取レンズ35に至る光路長」が一定に保たれる。
画像読取レンズ35に入射した結像光束は、画像読取レンズ35の結像作用により、撮像素子36の受光面に原稿32の縮小像を結像する。撮像素子36はCCDラインセンサであり、微小な光電変換部が図面に直交する方向へ密接して配列しており、原稿32の照明走査に伴い、原稿画像を画素単位の電気信号として出力する。この電気信号はA/D変換等の信号処理を受けて画像信号となり、必要に応じてメモリ(図示されず)に記憶される。
なお、撮像素子36は、結像画像を3色(赤,緑,青)に色分解して色情報を読取ることができ、各光電変換部で変換された電気信号を合成することでカラー原稿を読取ることができる。
図11に示した画像読取レンズ35として、この発明の画像読取レンズ(具体的には後述の実施例の何れかのもの)を用いることで小型化が可能となる。
図12は、画像読取装置の実施の別形態を示す。
符号41は原稿載置ガラス、符号43は画像読取ユニット、符号44は画像読取レンズ、符号45は撮像素子を示している。
画像を読取られるべき原稿42は、原稿載置ガラス41の上面に平面的に定置される。画像読取ユニット43は、図面に直交する方向を長手方向とし、原稿載置ガラス41の原稿載置面に対して鏡面を傾けて配置されたミラー43e、43f、43gを保持し、図12において「符号43で示す位置」から「符号43’で示す位置」まで、一定速度:Vで移動する。
画像読取ユニット43はまた、照明手段として、図面に直交する方向に長い蛍光ランプ43a、43cおよび反射鏡43b、43dを保持している。蛍光ランプ43a及び43cは、画像読取ユニット43が図11の右方へ変位するときに発光し、原稿載置ガラス41上の原稿42を照明する。従って、画像読取ユニット43が符号43’で示す位置まで変位する間に原稿42は照明走査される。
原稿42が照明走査されるとき、原稿42の被照明部からの反射光は、ミラー43e、43f、43gで順次反射され、結像光束として画像読取レンズ44に入射する。このとき、全てのミラー43e、43f、43gは画像読取ユニット43に一体で保持されているため、原稿42の照明走査中において「原稿被照明部から画像読取レンズ44に至る光路長」は常に一定である。
画像読取レンズ44に入射した結像光束は画像読取レンズの結像作用により撮像素子45の受光面に原稿42の縮小結像する。そして、図10に示した実施の形態と同様の方式により電気信号に変換され原稿情報が読取られる。
図13は画像形成装置の実施の1形態を示している。
この画像形成装置は、装置上部に位置する画像読取装置200と、その下位に位置する画像形成部100とを有する。画像読取装置200の部分は、図11に即して説明したのと同様のものであり各部には図10と同じ符号を付してある。
原稿読取装置200における3ラインのCCDラインセンサであるラインセンサ(撮像素子)36から出力される画像信号は信号処理部120に送られ、信号処理部120において処理されて「書込み用の信号(イエロー・マゼンタ・シアン・黒の各色を書込むための信号)」に変換される。
画像形成部は、「潜像担持体」として円筒状に形成された光導電性の感光体110を有し、その周囲に、帯電手段としての帯電ローラ111、リボルバ式の現像装置113、転写ベルト114、クリーニング装置115が配設されている。帯電手段としては帯電ローラ111に代えて「コロナチャージャ」を用いることもできる。
信号処理部120から書込み用の信号を受けて光走査により感光体110に書込みを行う光走査装置117は、帯電ローラ111と現像装置113との間において感光体110の光走査を行うようになっている。
符号116は定着装置、符号118はカセット、符号119はレジストローラ対、符号122は給紙コロ、符号121はトレイ、符号Sは「記録媒体」としての転写紙を示している。
画像形成を行うときは、光導電性の感光体110が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ111により均一帯電され、光走査装置117のレーザビームの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。
「画像の書込み」は、感光体110の回転に従い、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像、黒画像の順に行われ、形成された静電潜像はリボルバ式の現像装置113の各現像ユニットY(イエロートナーによる現像を行う)、M(マゼンタトナーによる現像を行う)、C(シアントナーによる現像を行う)、K(黒トナーによる現像を行う)により順次反転現像されてポジ画像として可視化され、得られた各色トナー画像は転写ベルト114上に、転写電圧印加ローラ114Aにより順次転写され、上記各色トナー画像が転写ベルト114上で重ね合わせられてカラー画像となる。
転写紙Sを収納したカセット118は、画像形成装置本体に脱着可能であり、図のごとく装着された状態において、収納された転写紙Sの最上位の1枚が給紙コロ122により給紙され、給紙された転写紙Sはその先端部をレジストローラ対119に捕えられる。
レジストローラ対119は、転写ベルト114上の「トナーによるカラー画像」が転写位置へ移動するのにタイミングを合わせて転写紙Sを転写部へ送り込む。送り込まれた転写紙Sは転写部においてカラー画像と重ね合わせられ、転写ローラ114Bの作用によりカラー画像を静電転写される。転写ローラ114Bは、転写時に転写紙Sをカラー画像に押圧させる。
カラー画像を転写された転写紙Sは定着装置116へ送られ、定着装置116においてカラー画像を定着され、図示されないガイド手段による搬送路を通り、図示されない排紙ローラ対によりトレイ121上に排出される。各色トナー画像が転写されるたびに感光体110の表面はクリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。勿論、画像形成装置を「モノクロームの画像形成を行うように構成」できることは言うまでもない。
以下、画像読取レンズの具体的な実施例を7例挙げる。
実施例1〜6の画像読取レンズは、図1に示したように、4群4枚で、第2、第3レンズ間に絞りを有するテレフォトタイプのレンズ系である。
各実施例における記号は、以下の通りである。
f :全系の合成焦点距離
FNo :Fナンバ
m :縮率
ω :半画角(度)
Y :物体高
r :レンズ面の曲率半径
d :面間隔
nd :レンズ材料の屈折率
νd :レンズ材料のアッベ数
dn/dt :d線の屈折率温度変化係数
Σdn/dt(凸) :正の屈折力を有するレンズのd線の屈折率温度変化係数
Σdn/dt(凹) :負の屈折力を有するレンズのd線の屈折率温度変化係数
「実施例1」
f:38.6,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=17.1度
実施例1のデータを表1に示す。
Figure 2008275783
表1において、j=C1、C2は、原稿載置ガラス(コンタクトガラス)の物体側面および像側面、j=C4、C5は、撮像素子のカバーガラスの物体側面および像側面である。また、j=5は「絞り」の面を示す。従って、レンズ面:rに関して、j=6が第3レンズの物体側面、j=7が第3レンズの像側面、j=8が第4レンズの物体側面、j=9が第4レンズの像側面であり、条件(4)におけるrはj=7の面、rはj=8の面である。以下の実施例2〜6においても同様である。
実施例1に関する収差図を図2に示す。球面収差の図における破線は正弦条件を示す。また、非点収差の図では、実線がサジタル光線、破線がメリディオナル光線を示す。実施例2以下の収差図でも同様である。
「実施例2」
f:23.9,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=26.5度
実施例2のデータを表2に示す。
Figure 2008275783
実施例2に関する収差図を図3に示す。
「実施例3」
f:17.2,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=34.7度
実施例3のデータを表3に示す。
Figure 2008275783
実施例3に関する収差図を図4に示す。
「実施例4」
f:38.7,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=17.1度
実施例4のデータを表4に示す。
Figure 2008275783
実施例4に関する収差図を図5に示す。
「実施例5」
f:23.9,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=26.6度
実施例5のデータを表5に示す。
Figure 2008275783
実施例5に関する収差図を図6に示す。
「実施例6」
f:17.2,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=34.7度
実施例6のデータを表6に示す。
Figure 2008275783
実施例6に関する収差図を図7に示す。
「実施例7」
f:17.4,FNo=6.0,m=0.124,Y=108,ω=34.5度
実施例7のデータを表7に示す。
Figure 2008275783
実施例7の収差図を図8に示す。
各実施例の条件(1)〜(7)の値を表8に示す。
Figure 2008275783
各実施例における第1レンズから第4レンズまでの焦点距離:f〜fの、全系の焦点距離:fに対する比を表9に示す。
Figure 2008275783
上記の如く、実施例1〜7の画像読取レンズとも条件(1)〜(9)を満足している。そして、各実施例とも収差図に示すように性能良好である。
画像読取レンズの実施の形態としてレンズ構成を示す図である。 実施例1に関する収差図である。 実施例2に関する収差図である。 実施例3に関する収差図である。 実施例4に関する収差図である。 実施例5に関する収差図である。 実施例6に関する収差図である。 実施例7に関する収差図である。 請求項7の画像読取レンズの実施の形態例を説明するための図である。 射出成形で製造されたプラスチック製の鏡筒を説明するための図である。 画像読取装置の実施の1形態を説明するための図である。 画像読取装置の実施の別形態を説明するための図である。 画像読取装置の実施の1形態を説明するための図である。
符号の説明
1 第1レンズ
2 第2レンズ
3 第3レンズ
4 第4レンズ

Claims (11)

  1. 物体側から順に、凸面を物体側に向けた正メニスカスの第1レンズ、両凹面の第2レンズ、絞り、両凸面の第3レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスの第4レンズを配してなる画像読取レンズであって、
    画像読取レンズ全系の焦点距離:f、画像読取レンズ全系の厚さ:Σd、第3レンズと第4レンズの光軸上の間隔:d7が、条件:
    (1) 0.6f < Σd < 0.8f
    (2) 0.07 < d7/Σd < 0.15
    を満足することを特徴とする画像読取レンズ。
  2. 請求項1記載の画像読取レンズにおいて、
    第3レンズのレンズ厚:d6、画像読取レンズ全系の厚さ:Σdが、条件:
    (3) 0.3 < d6/Σd < 0.5
    を満足することを特徴とする画像読取レンズ。
  3. 請求項1または2記載の画像読取レンズにおいて、
    画像読取レンズ全系の焦点距離:f、第3レンズの第2面の曲率半径:r6、第4レンズの第1面の曲率半径:r7が、条件:
    (4) 3.2 < (1/r6-1/r7)f < 3.7
    を満足することを特徴とする画像読取レンズ。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の画像読取レンズにおいて、
    第1レンズのd線の屈折率:nd1、第4レンズのd線の屈折率:nd4、第1レンズのアッベ数:νd1、第4レンズのアッベ数:νd4が、条件:
    (5) -0.4 < nd1-nd4 < -0.08
    (6) 20 < νd1-νd4 < 60
    を満足することを特徴とする画像読取レンズ。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の画像読取レンズにおいて、
    第1レンズと第3レンズのd線の屈折率温度係数の和:Σdn/dt(凸)、第2レンズと第4レンズのd線の屈折率温度係数の和:Σdn/dt(凹)が、条件:
    (7) -8 < Σdn/dt(凸)-Σdn/dt(凹) < 0
    を満足することを特徴とする画像読取レンズ。
  6. 請求項1〜5の任意の1に記載の画像読取レンズにおいて、
    第1レンズ〜第4レンズが全てガラスレンズであり、砒素、鉛等の有害物質を含有していないことを特徴とする画像読取レンズ。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載の画像読取レンズにおいて、
    少なくとも1枚のレンズは非円形の外形形状であることを特徴とする画像読取レンズ。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の画像読取レンズにおいて、
    射出成形法により成形されるプラスチック鏡筒を用いることを特徴とする画像読取レンズ。
  9. 原稿載置面に配置された原稿を照明する照明系と、この照明系により照明された原稿情報をライン状の撮像素子に結像させる画像読取レンズとを用いて、原稿の画像情報を読取る画像読取装置であって、
    画像読取レンズとして、請求項1〜8の任意の1に記載の画像読取レンズを用いたことを特徴とする画像読取装置。
  10. 請求項9記載の画像読取装置において、
    原稿載置面から撮像素子に至る光路を折り曲げるための1以上のミラー、照明系、画像読取レンズ、撮像素子が画像読取ユニットとして一体に構成され、この画像読取ユニットの走査により、上記原稿載置面上の原稿の画像情報を読取ることを特徴とする画像読取装置。
  11. 請求項9または10記載の画像読取装置を用いて画像読取を行うことを特徴とする画像形成装置。
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