JP2008267080A - 給水システム - Google Patents
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Abstract
【課題】受水槽の中で水流を形成して異物を排水口の近傍に集めることができ、既存設備を一部変更するだけで低コストで導入することができる給水システムを提供する。
【解決手段】受水槽1は、市水が導入される供給口11と水を使用場所に送出する給水口13と水を排出する排水口12とを備える。受水槽1に設けた給水口12から給水槽6への給水経路にポンプ2が設けられ、ポンプ2で加圧した水は給水槽6に蓄えられ、使用に供する給水管21と、受水槽1に環流する環流管22とに送られる。環流管22上には定圧力弁23が設けられ、受水槽1側の水圧よりもポンプ2側の水圧のほうが高いときに受水槽1に水を環流させる。排水口13は受水槽1の底面中央部に形成され、環流管22の一端は受水槽1に環流する水により受水槽1の内側面に沿って回転流Fが形成されるように受水槽1の側面下部に設けた環流口14に接続されている。
【選択図】図1
【解決手段】受水槽1は、市水が導入される供給口11と水を使用場所に送出する給水口13と水を排出する排水口12とを備える。受水槽1に設けた給水口12から給水槽6への給水経路にポンプ2が設けられ、ポンプ2で加圧した水は給水槽6に蓄えられ、使用に供する給水管21と、受水槽1に環流する環流管22とに送られる。環流管22上には定圧力弁23が設けられ、受水槽1側の水圧よりもポンプ2側の水圧のほうが高いときに受水槽1に水を環流させる。排水口13は受水槽1の底面中央部に形成され、環流管22の一端は受水槽1に環流する水により受水槽1の内側面に沿って回転流Fが形成されるように受水槽1の側面下部に設けた環流口14に接続されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、集合住宅、病院、商業ビルのような建物において、市水を水槽(受水槽)に導入した後に使用場所に給水する給水システムに関するものである。
一般に、ビルのような建物では市水を受水槽に導入した後に、建物内の各使用場所(水栓等)に水を供給している。受水槽に貯水した水を各使用場所に供給する技術には、3種類の技術が知られている。すなわち、受水槽の水を揚水ポンプを用いて高架水槽に揚水し高架水槽から重力による自然落下で各使用場所に供給する高架水槽式、受水槽の水を加圧給水ポンプで各使用場所に圧送するポンプ直送式、加圧給水ポンプと各使用場所との間に圧力水槽を設けた圧力水槽式の3種類の給水方式が知られている。高架水槽式では、高架水槽の水位を水位センサにより監視し、水位に応じて揚水ポンプの運転・停止を制御する。また、ポンプ直送式や圧力水槽式では、加圧した水の圧力を圧力センサで検出し、圧力に応じて加圧給水ポンプの運転・停止を制御する。
ところで、上述のような給水システムでは、市水を供給している上水道管から使用場所までの配管系の容積が大きいから、配管系に水が停滞することによる水質の悪化に配慮する必要があり、たとえば、配管系に水が停滞するのを防止するために、受水槽から高架水槽に揚水した水を受水槽に循環させることが考えられている(たとえば、特許文献1参照)。
また、水質の悪化を防止するために、受水槽の清掃は欠かすことができない。一般の集合住宅では、法令で定められた規定に基づいて、最低でも年1回は作業員が受水槽に入り清掃を行っている。ただし、容積が法定有効容量以下である受水槽については、清掃の頻度が十分とは言えないのが現状である。
ところで、受水槽には、清掃前に内部の水を廃棄したり、清掃後に汚れた水を廃棄したりするために排水口が設けられている。受水槽には、上水道管から市水が導入される供給口が設けられ、また作業員が入るための開口部が設けられているから、供給口や開口部を通して受水槽の内部にごみのような異物が入ることがある。そこで、清掃の頻度が少ない場合でも、受水槽内の異物が水の使用場所に流れ出すことがないように、図10に示すように、受水槽1に市水を導入するための供給口11と、受水槽1から各使用場所に供給する水を送出するための給水口13との間で、水の通る経路を迂回させる仕切り板19を受水槽1の内部に設けることが考えられる。この構成では、排水口12は受水槽1の底面であって給水口13の近傍に設けられている。
この受水槽1では給水口13から水を送出するときに水に生じる流れの方向に仕切り板19を延長し、かつ仕切り板19により供給口11と給水口13との間の距離を大きくしているから、図10(b)のように、平面視で半円状の流れGが生じる。したがって、受水槽1の内部で沈殿する異物は給水口13の近傍に集められることになる。給水口13の近傍で受水槽1の底面には排水口12を設けているから、受水槽1の内部の異物は排水口12の近傍に集められることになり、清掃時に排水口12を開くことによって受水槽1から排出することができる。
特開平5−156671号公報
上述のように、受水槽1の内部に仕切り板19を設けると、受水槽1の内部の異物を排水口12の近傍に集めることができると考えられるが、給水口13からの給水に伴って受水槽1に生じる圧力差は小さいから、受水槽1の水量が少ない場合や受水槽1の水の入れ替わりが多い場合でなければ、受水槽1の内部で異物を流す程度の水の流れGを作り出すことができず、仕切り板19を設けた上述の構成では、所期の目的を達成することが困難である。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、受水槽の中で水流を形成して異物を排水口の近傍に集めることを可能にし、しかも既存設備を一部変更するだけで低コストで導入することができる給水システムを提供することにある。
請求項1の発明は、市水が導入される供給口と水を使用場所に送出する給水口と水を排出する排水口とを備える水槽と、水槽に設けた給水口から水の使用場所への給水経路に配置され水を加圧するポンプと、ポンプで加圧した水を使用場所に供給する給水管と、ポンプで加圧した水を水槽に戻す環流管と、環流管上に設けられ水槽側の水圧よりもポンプ側の水圧のほうが高いときに水槽に水を環流させる定圧力弁とを有し、排水口は水槽の底面中央部に形成され、環流管の一端は水槽に環流する水により水槽の内側面に沿って排水口を中心として流れる回転流が形成されるように水槽の側面下部に設けた環流口に接続されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記排水口には、水槽内の水圧が所定値以上になる圧力範囲のときに開く排水弁が付設されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記ポンプと前記給水管および前記環流管との間に配置した給水槽と、環流管上に設けられ給水槽から受ける水圧がポンプの起動圧力よりも大きい期間に通水させる安全弁とが付加されていることを特徴とする。
請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明において、前記水槽は、前記排水口を中心とする凹部を水槽の内側に備えることを特徴とする。
請求項5の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記水槽は、内側面が断面円形状または断面多角形状に形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記水槽は、前記供給口から導入される水の水勢を緩和し水槽内の水の揺らぎを抑制する緩衝部材が付設されていることを特徴とする。
請求項7の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明において、前記水槽は、前記回転流の中心に回転軸を有し前記環流口から導入された水の流れにより回転する羽根車が付設されていることを特徴とする。
請求項1の発明の構成によれば、ポンプで加圧された水の一部を水槽に環流させることによって水槽の底面中央部に設けた排水口を中心とする回転流を発生させるから、水槽内にごみのような異物が存在していても、排水口の周囲に集めることができる。回転流は仕切り板などを設けることなく発生させることができ、しかもポンプで加圧した水圧を用いるから、水槽の底面中央部に設ける排水口の位置とは関係なく給水口を設けることができ、給水口と排水口との位置関係の制約が少なくなる。つまり、排水口の周囲に集めた異物が給水口から流れ出さないように、排水口と給水口との距離を大きくとることができる。しかも、水槽の内側面に沿った回転流を形成するから、水槽の内側面に異物が付着しにくく、水槽の清掃が容易になる。
さらに、水槽側の水圧よりもポンプ側の圧力のほうが高いときに水槽に水を環流させるために定圧力弁を用いているから、ポンプから環流管を通して水槽に環流させるために、水槽からポンプ側への逆流を防止するための弁の制御を電気的に行う必要がなく、既存の給水システムの流路を大幅に変更せずに少数の部材を付加することで目的を達成することができる。言い換えると、大幅なコスト増を伴うことなく水槽内の異物を排水口付近に集めることが可能になる。
請求項2の発明の構成によれば、水槽内の水圧が所定値以上である圧力範囲のときに排水弁が開くから、水槽内に十分な水量の水が溜まったときに排水弁が開くようにすることで、使用場所への給水を行うための十分な水量が水槽内に残っているときに、一部の水を排水口から排水し、この排水に伴ってごみのような異物を水槽外に排出することが可能になる。つまり、水槽内の異物を電気的な制御を伴うことなく自動的に排出することが可能になる。
請求項3の発明の構成によれば、ポンプと給水管および環流管との間に給水槽を配置し、給水槽から環流管に作用する水圧がポンプの起動圧力よりも高い期間に安全弁を開くことにより、加圧された水を環流管を通して給水槽から水槽に流すことで水槽内の水に回転流を発生させることができる。ここに、給水槽から環流管に作用する水圧がポンプの起動圧力よりも高い期間は、ポンプを運転していない期間であるから、水槽内において回転流が発生している期間に水槽から給水口を通して異物が流れ出すことがなく、水槽内で回転流に伴って移動している異物が、給水槽に送られて給水管を通して水の使用場所に排出されるのを防止することができる。つまり、回転流の発生中に給水槽に異物が送り出されるのを防止することができる。なお、ポンプの起動圧力は一定であるから、安全弁は給水槽から環流管に作用する圧力を一定圧と比較して開閉する構成であればよく、電気的制御を伴うことなく実現することができる。
請求項4の発明の構成によれば、水槽の内側であって底面中央部に排水口を中心とする凹部を備えるから、回転流により排水口の近傍に集められた異物は重力で凹部の内側に入り、一度集められた異物が水槽内で分散するのを防止することができる。
請求項5の発明の発明の構成によれば、水槽の内側面の断面形状が円形状あるいは多角形状に形成されているから、水槽内に形成される回転流が層流に近くなり、乱流が生じて異物が分散するのを抑制することができる。すなわち、異物を排水口の周囲に集めやすくなる
請求項6の発明の発明の構成によれば、緩衝部材を設けることによって、供給口から水槽に導入される水の水勢を緩和し水槽内の水の揺らぎを抑制しているから、水槽内の水の揺らぎによって異物が分散したり浮き上がったりするのを防止することができ、異物を排水口の周囲に集めることができる。
請求項6の発明の発明の構成によれば、緩衝部材を設けることによって、供給口から水槽に導入される水の水勢を緩和し水槽内の水の揺らぎを抑制しているから、水槽内の水の揺らぎによって異物が分散したり浮き上がったりするのを防止することができ、異物を排水口の周囲に集めることができる。
請求項7の発明の構成によれば、羽根車が回転流で回転することにより回転流が層流に近付き、回転流に乱流が生じて異物が分散されるのを防止することができる。羽根車を設けると回転流の流線が円形に近付き、異物を排水口附近に集める効果を一層高めることができる。
以下に説明する給水システムでは、集合住宅に給水する場合を想定し、図3に示すように、水槽としての受水槽1に市水を導入し、受水槽1に溜めた水をポンプ2で加圧することにより、集合住宅Bにおける水の使用場所(以下では、各住戸の給水栓3として説明する)に供給する場合を例示する。この種の給水システムにおいて、受水槽1から各住戸の給水栓3に給水する方法は3種類が知られている。
すなわち、図3(a)のように、受水槽1の水を集合住宅Bの屋上に設置した高架水槽4に揚水しておき、高架水槽4から重力による自然落下で各住戸の給水栓3に送水する高架水槽式、図3(b)のように、受水槽1の水をポンプ2で圧力水槽5に圧送し、圧力水槽5の内部の水圧を利用して各住戸の給水栓3に送水する圧力水槽式、図3(c)のように、受水槽1の水をポンプ2で加圧して各住戸の給水栓3に圧送するポンプ直送式が知られている。いずれの給水方式を採用する場合にも、各住戸別の流量を計測するメータを介して給水栓3に水を供給する。
高架水槽式にはポンプ2として揚水ポンプを用い、圧力水槽式あるいはポンプ直送式にはポンプ2として加圧給水ポンプを用いる。高架水槽式では、高架水槽4の内部の水位を複数本の電極棒からなる水位センサを用いて検出し、基本的には、高架水槽4の内部の水位が規定の下限値になるとポンプ2を運転し、水位が規定の上限値になるとポンプ2を停止するように制御する。また、圧力水槽式では、圧力水槽5の内部の圧力を圧力センサにより検出し、基本的には、圧力水槽5の内部の水圧が規定の下限値になるとポンプ2を運転し、圧力が規定の上限値になるとポンプ2を停止するように制御する。ポンプ直送式では、ポンプ2に設けた圧力センサにより給水管内の圧力を検出し、圧力センサで検出される圧力変動に応じてポンプ2の運転と停止とを制御する。これらの制御は図示しない制御装置が行う。
本発明はどの給水方式でも利用可能ではあるが、ポンプ直送式の構成に本発明の技術思想を適用すると、受水槽1の中の水に回転流を形成している期間にポンプ2を駆動することになり、受水槽1内の異物が回転流により撹拌されている状態で給水栓3への給水がなされる可能性があり、異物が給水栓3に送られるおそれがあるので、ここでは使用しない。したがって、以下では、高架水槽式または
圧力水槽式の給水方式を採用しているものとする。また、高架水槽4と圧力水槽5とをとくに区別する必要がない場合には、両者を給水槽6と呼ぶ。給水槽6にはポンプ2で加圧された水が供給されるから、給水槽6に蓄えられた水は、給水栓3に送水するためのエネルギ(位置エネルギまたは圧力による運動エネルギ)を蓄えている。
圧力水槽式の給水方式を採用しているものとする。また、高架水槽4と圧力水槽5とをとくに区別する必要がない場合には、両者を給水槽6と呼ぶ。給水槽6にはポンプ2で加圧された水が供給されるから、給水槽6に蓄えられた水は、給水栓3に送水するためのエネルギ(位置エネルギまたは圧力による運動エネルギ)を蓄えている。
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように、水槽としての受水槽1は、市水を導入する供給口11が上部に設けられ、底面中央部に水7を排出するための排水口12が設けられる。また、受水槽1の一側面の下部には各住戸の給水栓3に給水する水7を取り出すための給水口13が形成され、受水槽1の他側面の下部には給水口13から取り出した水7の一部を受水槽1に環流させるための環流口14が設けられる。
本実施形態は、図1に示すように、水槽としての受水槽1は、市水を導入する供給口11が上部に設けられ、底面中央部に水7を排出するための排水口12が設けられる。また、受水槽1の一側面の下部には各住戸の給水栓3に給水する水7を取り出すための給水口13が形成され、受水槽1の他側面の下部には給水口13から取り出した水7の一部を受水槽1に環流させるための環流口14が設けられる。
図2に示すように、受水槽1に市水を導入する給水経路には、主弁31aを連動して開閉させる副弁31bが設けられる。主弁31aには主管32が接続され、主弁31aが開くと主管32を通して受水槽1に市水が導入される。また、副弁31bには副管33が接続され、副弁31bが開くと副管33を介して受水槽1に市水が導入される。副管33は2分岐しており、各分岐路には、それぞれ電磁弁または電動弁からなる試験弁34a,34bが設けられる。試験弁34aを設けた一方の分岐路には、副弁31bを連動させるボールタップ31cが設けられる。
ボールタップ31cは、上下に移動可能なアームの一端部に浮きボールを設けたものであって、受水槽1の水位を浮きボールの位置で検出し、浮きボールが規定高さまで上昇すると副弁31bを閉じるように構成されている。また、副弁31bは主弁31aと連動しており、副弁31bが閉じると主弁31aも閉じる。受水槽1の水位が低下して浮きボールが下降すると、副弁31bが開き、主弁31aが連動して開く。
主弁31aと副弁31bとは1つの弁箱(図示せず)に収納されており、主弁31aは副弁31bを備える副管33の水圧を利用して開閉される。つまり、副弁31bが開いて副管33に水が流れ副管33の静圧が減少すると主弁31aが開き、逆に、副弁31bが閉じて副管33の水が停止し副管33の静圧が増加すると主弁31aが閉じるように構成される。すなわち、副管33の静圧を受けて移動する受圧部(図示せず)を設け、受圧部に主弁31aを連結することにより、主弁31aの開閉を副弁31bの開閉に連動させている。
上述のように、ボールタップ31cにより検出した水位に応じて主弁31aを開閉することで、受水槽1の水位をほぼ一定に保つことができる。なお、副弁31bにより主弁31aを連動させているのは、ボールタップ31cから受ける力だけで流量の多い主弁31aを開閉するのが困難であることによる。また、試験弁34a,34bは通常は開いてある。試験弁34a,34bを閉じれば副弁31bが閉じている状態と同様の状態になり、ボールタップ(浮きボール)31cの位置が下がっても主弁31aが開かないようにすることができる。つまり、ボールタップ31cの動作による給水を行うか否かを試験弁34a,34bの開閉により制御することができる。
主管32には流量計35が設けられ、主管32に通水されているか否かが流量計35により検出される。この流量計35は流量の計測を行う目的でなく、単に規定値以上の流量で通水されているか否かを検出する目的で設けられている。また、受水槽1の水位を検出するために複数本(3本または5本)の電極棒を備える水位センサ36が設けられる。水位センサ36の各電極棒は長さが異なっており、電極棒間のインピーダンスの変化により水位を検出する。水位センサ36では、満水と減水との検出(これは主としてボールタップ31cが担っている)に加えて、ポンプ2の空転を防止するための水位の検出なども行う。
ところで、給水口13から給水栓3への給水経路には、受水槽1から取り出した水7を加圧するポンプ2と、ポンプ2で加圧された水が蓄えられる給水槽6とが設けられる。ポンプ2の運転は、図示しない制御装置により行われる。上述したように、給水槽6が高架水槽4である場合には水位を検出してポンプ2の運転を制御し、給水槽6が圧力水槽5である場合には内部圧力を監視してポンプ2の運転を制御する。したがって、高架水槽4の水位は所定範囲に保たれ、圧力水槽5の内部圧力は所定範囲に保たれる。
給水槽6には各住戸に給水する給水管21が接続され、また給水槽6から受水槽1に水を環流するための環流管22が接続される。環流管22上には、定圧力弁23が配置される。定圧力弁23は減圧弁を流用すれば容易に実現できる。定圧力弁23は、受水槽1の中の水から受ける圧力Pと、給水槽6の中の水から受ける圧力Ptとを比較し、給水槽6側の圧力Ptが受水槽1側の圧力Prよりも高いとき(Pt>Pr)に開になり、給水槽6から環流管22を通して受水槽1に水を環流させる。つまり、受水槽1において水位が低下すると、定圧力弁23が開になり、給水槽6から受水槽1に向かって水が流れ込む。
ここに、圧力の関係(Pt>Pr)により受水槽1から環流管22への逆流が防止されており、受水槽1の中の水7には環流管22から流れ込んだ水の水勢により流れが生じる。環流口14は受水槽1の側面において中央から偏った位置(図1(a)では上下の中央よりも下、図1(b)では前後の中央よりも手前)に設けてあり、環流口14から受水槽1に水が流れ込むと、受水槽1の内側面に沿って水が流れる。環流口14から受水槽1に導入される水量が適量であれば、水流は受水槽1の内側面に沿って排水口12を中心とする回転流Fを形成する。
定圧力弁23が開く条件では、受水槽1の水位は比較的低い上に給水槽6からの水圧が作用しているから、受水槽1の底部において回転流Fが発生し、受水槽1の内部にごみのような異物が存在していれば、回転流Fにより排水口12の周囲に異物が集められる。また、異物は回転流Fにより流されるから、受水槽1の内側面には付着しにくく、しかも従来構成のように市水の給水により形成する流れよりも速い流れを作り出すことができるから、受水槽1の内側面にすでに付着している異物があれば回転流Fにより洗い流される。
図示例では、環流管22上において給水槽6と定圧力弁23との間に安全弁24を設けている。安全弁24は、給水槽6から受ける水圧(給水槽6側の圧力)Ptを一定値Psと比較し、Pt≦Psである間は閉じるように構成されている。安全弁24において給水槽6から受ける水圧Ptと比較する一定値Psはポンプ2の起動圧力(ポンプ2が運転を開始する条件が成立するときの給水槽6の圧力)であり、給水槽6から受ける圧力が起動圧力Psよりも大きい期間、つまりポンプ2の停止時に安全弁24を開くことにより、定圧力弁23が開く期間もポンプ2が停止している期間内になる。
言い換えると、安全弁24を設けたことにより、回転流Fはポンプ2の停止中に発生することになる。したがって、受水槽1において回転流Fが発生してごみのような異物が流れている間に、ポンプ2を運転して受水槽1の水を給水槽6に送水することを防止でき、異物が給水槽6に流入するのを防止することができる。すなわち、受水槽1の異物が各住戸に流れ込むのを防止することができる。
ところで、定圧力弁23が開いているときには、受水槽1の水位は下がっているから、ボールタップ31cの動作に連動して主弁31aおよび副弁31bが開き、供給口11から市水が給水される。つまり、定圧力弁23が開いて回転流Fが発生する期間には、受水槽1に市水も供給される。一方、回転流Fが発生するときには給水槽6からも受水槽1に水が供給されて受水槽1の水位を上昇させる。したがって、ボールタップ31cに連動する主弁31aおよび副弁31bが閉じて市水からの給水が停止するときには、給水槽6からの水の供給も停止している必要がある。そこで、給水槽6から受水槽1への環流により圧力の関係(Pt>Pr)が満たされなくなって定圧力弁23が自動的に閉じるときの水位を、主弁31aおよび副弁31bが閉じて市水からの給水が停止する際の満水時の水位よりも低く設定してある。
以上のことから、回転流Fが発生する条件を以下のようにまとめることができる。つまり、安全弁24が開く条件は、給水槽6から受ける水圧Ptがポンプ2の起動圧力Psよりも大きい(Pt>Ps)ことであり、定圧力弁23が開く条件は、受水槽1への給水の完了時(つまり、受水槽1の満水時)の水圧よりも低い適宜の水圧Prである(Pt>Pr)ことであって、両条件が成立すると、給水槽6から受水槽1に水が流れ込み、受水槽1の水7に回転流Fを発生させるのである。なお、受水槽1の満水時には、定圧力弁23が受水槽1側から受ける圧力Prが給水槽6側から受ける圧力Ptより大きくなるように設定してあり、定圧力弁23が閉じて回転流Fが停止する。
回転流Fは、排水口12の周囲に異物を集めるために発生させているから層流に近いほうが望ましい。直方体状の受水槽1では、角部において回転流Fに乱れが生じやすいから、図4(a)のように、受水槽1の角部に整流板15を配置することによって、受水槽1の内側面の形状を水平断面において多角形状に形成するのが望ましい。図示例では八角形状に形成しているが、この形状に限定されるものではなく、回転流Fを妨げる凹みが周部に形成されない多角形状であればよい。このように、回転流Fに乱れが生じにくくなるように受水槽1の内側面の形状を整えることによって、回転流Fに伴って移動する異物が発散しにくく、ごみのような異物を集めやすくなる。図4(a)では直方体状の受水槽1の内側に整流板15を配置して内側面を断面多角形状に形成しているが、図4(b)のように、内側面が断面円形状である受水槽1を用いてもよい。この構成では、回転流Fの乱れをより抑制して異物の発散を防止することができる。
ところで、供給口11は受水槽1の上部に設けられており、受水槽1に蓄えた水7の圧力の影響を受けず、また回転流Fに影響を与えないように、受水槽1の水面よりも上方から市水を吐出させる。したがって、市水を水面にそのまま落下させると、受水槽1の水に揺らぎが生じる。上述したように、回転流Fが発生する期間は、受水槽1に市水を導入している期間と重複しているから、供給口11からの給水によって揺らぎが生じると、回転流Fに乱れが生じるおそれがある。
そこで、図5(a)に示すように、供給口11から受水槽1に導入される水の水勢を緩和する緩衝部材16を付設している。緩衝部材16としては、たとえば、図5(b)のように、供給口11から供給された水を通過させる多数個の小穴16aを設けたシャワーヘッドのような構造のものを用いることができる。この構成の緩衝部材16を用いると、水勢が緩和されるとともに受水槽1の水面の広い範囲で水が落下するから、受水槽1に蓄えた水の揺らぎが少なく、市水の導入に伴う回転流Fの乱れを抑制することができる。つまり、受水槽1の中の異物が浮き上がったり分散したりするのを防止することができる。
緩衝部材16としては、図6に示すように、受水槽1の内側面とともに漏斗状の流路を形成するものを用いることも可能である。すなわち、図6に示す緩衝部材16は、下部が受水槽1の一つの内側面に対して離間して対向しており、上部において上方ほど受水槽1の当該内側面からの距離を広げる形状に形成されている。緩衝部材16の下部は受水槽1の水に浸漬されており、上部は水面の上方に露出している。
したがって、受水槽1の内側面と緩衝部材16との間から市水を導入すれば、市水は受水槽1と緩衝部材16との間の幅狭の流路を通って受水槽1の下部に案内され、水勢が抑制された状態で受水槽1に導入されることになる。つまり、図6に示す構成を採用した場合も、市水の導入による回転流Fの乱れを抑制することができる。
上述の構成において、受水槽1の底面の形状についてはとくに言及していないが、図7に示すように、排水口12を中心とする凹部17を受水槽1の下面に形成するのが望ましい。凹部17の形状には、とくに制限はないが、図7(a)のように、排水口12の周囲で受水槽1がもっとも深くなるようにし、受水槽1の底面周部に向かって受水槽1が次第に浅くなるように形成することができる。あるいは、図7(b)(c)のように、受水槽1において排水口12の周部の一部にのみ凹部17を形成してもよい。図17(b)は排水口12に向かって深さを増す円錐台状に形成され、図7(c)は排水口12に向かって深さを増す半球状に形成している。
図7(a)の形状を採用すれば、受水槽1の深さが滑らかに変化するから回転流Fに乱れが発生しにくく、図7(c)の形状を採用すれば、受水槽1の底面に作用する圧力に対して変形しにくい凹部17を形成することができる。そして、いずれの形状を採用した場合も、回転流Fによって受水槽1の中心付近に集められた異物は、排水口12の周囲に集まって凹部17の底付近に溜まるから、凹部17の底付近に溜まった異物は供給口11からの水の導入や回転流Fの乱れなどの影響を受けにくく、異物の発散を抑制することができる。
上述したように、回転流Fを用いて排水口12の近傍に異物を集めることができるから、排水口12を適宜のタイミングで開くことによって、受水槽1から異物を排出することが可能になる。図8に示すように、排水口12には排水弁8を設けてあり、受水槽1の水圧が所定値以上になる圧力範囲のときに排水弁8が開くようにしてある(したがって、排水弁8は圧力逃がし弁と同様の構成である)。排水弁8が開くときの水位を適宜に設定することにより、受水槽1に十分な水量があるときに排水弁8を開くことになり、使用場所への給水に必要な水量が受水槽1に蓄えられられている状態で水の一部を排水口12から排出し、これによって異物を水槽外に排出することが可能になる。つまり、受水槽1内の異物を電気的な制御を伴うことなく自動的に排出することが可能になる。なお、排水口12には自動的に開閉する排水弁8のほか手動で開閉する補助弁18も設けている。
排水弁8は、回転流Fの停止後の水圧によって開くように構成されており、実際には受水槽1の満水時の水圧により排水弁8が開くようにしてある。すなわち、供給口11から受水槽1に市水が導入され、ボールタップ31cが規定高さまで浮き上がって副弁31bが閉じると、副弁31bに連動して主弁31aが閉じる。ここで、主弁31aが閉じる直前の水圧に達すると、排水弁8が開いて排水口12からの排水を開始し、排水口12の周囲に集められている異物が排水口12から排出されるのである。
ここで、主弁31aを通して供給口11から給水される水量Winと、排水口12から排水弁8を通して排水される水量Woutとは、Win>Woutとなるように設定してある。つまり、給水量が排水量よりも多くなるように設計してある。したがって、排水弁8が開いても受水槽1の水量は次第に増加し、最終的には主弁31aが閉じて受水槽1への市水の導入が完了する。ただし、受水槽1が満水になっても排水口12からの排水が継続するから、受水槽1の水位は満水状態から低下する。排水弁8が閉じるときの水圧は、受水槽1の満水状態よりも水位がやや低下した程度に設定してあり、主弁31aが閉じてから遅れて排水弁8が閉じることになる。
なお、主弁31aが閉じた後にも排水口12から排水しているから、排水弁8が閉じるまでに受水槽1の水位の低下に伴ってボールタップ31cの位置も下がるが、主弁31aが閉じる水位と開く水位とには差があるから、主弁31aが再び開く水位まで低下するまでに排水弁8を閉じるように、排水弁8の動作を設定しておけば、排水弁8が閉じるまでに主弁31aが開いて市水の導入が再開されることはない。
以上説明した動作を簡単にまとめる。受水槽1の水量が少なくボールタップ31cが下がっている状態では、主弁31aが開いて市水が受水槽1に導入される。ここで、給水槽6に給水可能な水量が蓄えられていれば、安全弁24と定圧力弁23とが開いて、給水槽6から受水槽1に環流管22を通して水が流れ込む。このとき、受水槽1には回転流Fが発生する。受水槽1に供給口11および環流口14から給水されることにより、受水槽1の水位が上昇すると、まず定圧力弁23が閉じて回転流Fが停止し、さらに満水に近付くと排水弁8が開いて排水が開始される。その後、ボールタップ31cが満水の位置に達すると主弁31aが閉じて給水が停止する。ただし、排水弁8は開いた状態に保たれているから、受水槽1の水位が低下し、主弁31aが再び開く前に排水弁8が閉じて排水が停止する。その後、ポンプ2が運転されて給水槽6に送水されると、受水槽1の水位が低下するから、ボールタップ31cの位置が下がり、主弁31aが再び開いて市水による水の導入が開始される。
上述の動作を繰り返すことにより、受水槽1の中に異物が入っても、排水口12を通して自動的に排出することができ、異物が各住戸の給水栓3に送られるのを防止することができる。また、これらの動作を行うために用いる、排水弁8、定圧力弁23、安全弁24は、いずれも機械的に動作する弁であって、電気的制御を必要としないから、既存の給水システムに対して大幅な変更を伴うことなく、少数の部材を追加するだけで異物の排出を自動的に行うことが可能になる。つまり、大幅なコスト増を伴うことなく受水槽1から異物を自動的に排出することが可能になる。
(実施形態2)
実施形態1では、環流口14から受水槽1に流入した水の水勢のみによって回転流Fを形成しているから、回転流Fの流線は、受水槽1の内側面の形状に依存している。したがって、受水槽1の内側面の形状によっては回転流Fに乱れが生じやすくなる。そこで、本実施形態では、図9に示すように、排水口13を中心として回転する羽根車9を設け、環流口14から水を導入することで受水槽1に形成される水流により羽根車9を回転させる構成を採用している。
実施形態1では、環流口14から受水槽1に流入した水の水勢のみによって回転流Fを形成しているから、回転流Fの流線は、受水槽1の内側面の形状に依存している。したがって、受水槽1の内側面の形状によっては回転流Fに乱れが生じやすくなる。そこで、本実施形態では、図9に示すように、排水口13を中心として回転する羽根車9を設け、環流口14から水を導入することで受水槽1に形成される水流により羽根車9を回転させる構成を採用している。
図示例の受水槽1は、底板よりも上方に内底板25を有しており、環流口14を通して受水槽1に導入された水は導水管26を通して受水槽1の底板と内底板25との間に導入される。一方、羽根車9は、受水槽1に対して上下方向の軸周りで回転するパイプ状の回転軸9cを有し、回転軸9cの周面であって底板と内底板25との間に対応する部位には、環流口14を通して受水槽1に導入された水の圧力を受けて回転する複数枚の駆動羽根9bが取り付けられ、回転軸9cにおいて内底板25の上方には複数枚の撹拌羽根9aが取り付けられている。回転軸9cは中空であって排水口12に連通している。
したがって、環流口14から受水槽1に導入された水により駆動羽根9bに水圧が作用して回転軸9cが回転し、回転軸9cの回転に伴って撹拌羽根9aが回転する。すなわち、撹拌羽根9aの回転に伴って受水槽1には回転流Fが生じる。
駆動羽根9bおよび撹拌羽根9aの形状は、回転流Fに伴って羽根車9が回転したときに、受水槽1内の水7に層流が形成される形としておくのが望ましい。あるいはまた、排水口12に異物が集まるように渦巻き状の流れを形成するように撹拌羽根9aを形成することも可能である。羽根車9を回転させることにより回転流Fの流線の乱れが抑制され、受水槽1の内側面の形状によらず、排水口12の周囲で異物を回転流Fに乗せて流すことができ、結果的に異物を排水口12の回りに集めることが可能になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
1 受水槽(水槽)
2 ポンプ
3 給水栓(使用場所)
4 高架水槽(給水槽)
5 圧力水槽(給水槽)
6 給水槽
7 水
8 排水弁
9 羽根車
11 供給口
12 排水口
13 給水口
14 環流口
15 整流板
16 緩衝部材
17 凹部
21 給水管
22 環流管
23 定圧力弁
24 安全弁
2 ポンプ
3 給水栓(使用場所)
4 高架水槽(給水槽)
5 圧力水槽(給水槽)
6 給水槽
7 水
8 排水弁
9 羽根車
11 供給口
12 排水口
13 給水口
14 環流口
15 整流板
16 緩衝部材
17 凹部
21 給水管
22 環流管
23 定圧力弁
24 安全弁
Claims (7)
- 市水が導入される供給口と水を使用場所に送出する給水口と水を排出する排水口とを備える水槽と、水槽に設けた給水口から水の使用場所への給水経路に配置され水を加圧するポンプと、ポンプで加圧した水を使用場所に供給する給水管と、ポンプで加圧した水を水槽に戻す環流管と、環流管上に設けられ水槽側の水圧よりもポンプ側の水圧のほうが高いときに水槽に水を環流させる定圧力弁とを有し、排水口は水槽の底面中央部に形成され、環流管の一端は水槽に環流する水により水槽の内側面に沿って排水口を中心として流れる回転流が形成されるように水槽の側面下部に設けた環流口に接続されていることを特徴とする給水システム。
- 前記排水口には、水槽内の水圧が所定値以上になる圧力範囲のときに開く排水弁が付設されていることを特徴とする請求項1記載の給水システム。
- 前記ポンプと前記給水管および前記環流管との間に配置した給水槽と、環流管上に設けられ給水槽から受ける水圧がポンプの起動圧力よりも大きい期間に通水させる安全弁とが付加されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の給水システム。
- 前記水槽は、前記排水口を中心とする凹部を水槽の内側に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の給水システム。
- 前記水槽は、内側面が断面円形状または断面多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の給水システム。
- 前記水槽は、前記供給口から導入される水の水勢を緩和し水槽内の水の揺らぎを抑制する緩衝部材が付設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の給水システム。
- 前記水槽は、前記回転流の中心に回転軸を有し前記環流口から導入された水の流れにより回転する羽根車が付設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の給水システム。
Priority Applications (1)
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JP2007114689A JP2008267080A (ja) | 2007-04-24 | 2007-04-24 | 給水システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2007
- 2007-04-24 JP JP2007114689A patent/JP2008267080A/ja not_active Withdrawn
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