JP6850148B2 - 立軸ポンプ - Google Patents
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Description
そのため津波、高潮や局地豪雨等による河川氾濫等によりポンプ建屋に水が侵入してきても駆動機が冠水しないように高所設置が検討される。具体的手段としてはポンプと駆動機を設置するフロアレベルを高くしたり、ポンプの上方に駆動機用架台などで駆動機を高いレベルに配置できるようにポンプを設置するフロアの天井を高くしたり、ポンプを設置するフロアより上方に新たに駆動機設置のためのフロアを設けるなどで対応してきた。しかしそれらの手段は建屋が大きくなるため、建設コストが大きくなってしまっていた。
一方、特許文献2では、モータフレーム廻りを冷却液で囲み、内蔵の冷却水循環用羽根車により冷却液を循環させ、モータの下方に揚水で冷却水を冷却する熱交換器を設置した熱交換器付のモータをポンプの上方に直接取付けたポンプ技術が開示されている。しかし本開示技術では、耐水モータはポンプへ水密状態で取り付けられているため、熱交換器の下面(揚水の接水面)はポンプの主流路の上方にあり主流路から離れた位置にあるため、揚水が淀み、空気や水より比重の小さい異物等が付着しやすく熱交換器の性能が低下する問題があった。さらに、熱交換器の伝熱面積を増やすために熱交換器下面をコルゲート状にした場合、コルゲートの溝に溜まった空気や異物等は吐出口側へ排出されにくい上、たとえインペラに裏羽根を付けて熱交換器下方に周方向の流れを発生させても水よりも比重の小さい空気や異物は軸心に集まるため、うまく排出されない可能性が高い。本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は熱交換器の性能を向上させ、モータを十分に冷却できるポンプを提供することである。
前記第1フランジ上に配置されるモータハウジングと、モータハウジングから前記第1フランジを通って前記主軸に連結される出力軸と、前記モータハウジング内に設けられて前記主軸を回転させるモータと、を有するモータ部と、前記開口の近傍に設けられた熱交換器と、前記モータハウジング及び/または前記熱交換器に設けられ、第1フランジと締結される第2フランジと、を備え、前記第1フランジと前記第2フランジとの間から外部に水が流出可能である、立軸ポンプが提供される。
ここで、水、空気及び一般的な熱交換器に用いる銅の常温常圧における熱伝導率は、それぞれ0.61[W/(m・K)]、0.026[W/(m・K)]、370[W/(m・K)]程度と大きく異なる。さらに熱交換器下面に空気溜り(空気層)が介在すると、水と空気層との間の熱伝達、空気層の熱伝導及び空気と熱交換器との間の熱伝達と、熱抵抗要素が増え、かつ水と熱交換器間の熱伝達率に対し、空気と熱交換器間の熱伝達率は小さいので、熱交換器伝熱面での熱通過率が大きく低下する。結果、熱交換効率が大幅に低下してしまう。
また、特に熱交換器付近が水密構造である場合、揚水は淀んでしまい、吸込口から吐出口に向かう主流速に比べ熱交換器下方の流速は遅くなる。そのため熱交換器下面での熱伝達率は小さいため、熱交換器の熱通過率を低下させる要因となり、さらに熱交換効率を低下させてしまう。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、ポンプケーシングの第1フランジとモータ部の第2フランジとの間から、揚水の一部を外部に流出させることにより、熱交換器下面近傍で積極的に水流を生じさせ、空気や異物等を排除して熱通過率を向上させることにより熱交換器の熱交換性能を高め、熱交換器のモータ冷却性能を高めてモータを十分冷却することができる構造を備えた立軸ポンプを提供することを目的とする。本明細書において、揚水及び水とは、H2Oに限られず、ポンプが汲み上げる対象である液体を意味する。
揚水の一部が溝から外部に流出することにより、熱交換器下面近傍で積極的に水流を生じさせ、熱交換器による熱交換効率を上げることにより、熱交換器のモータ冷却性能を高めてモータを十分冷却することができる。溝は、1つまたは複数設けることができる。溝の形状は、適宜設定することができる。熱交換器下面に溜まった空気を排除しやすくするため、溝の上面は、熱交換器の下面と同レベルあるいは熱交換器の下面より高い位置にあることが好ましい。
揚水の一部が溝から外部に流出することにより、熱交換器下面近傍で積極的に水流を生じさせ、熱交換器による熱交換効率を上げることにより、熱交換器のモータ冷却性能を高め、モータを十分冷却することができる。溝は、1つまたは複数設けることができる。溝の形状は、適宜設定することができる。溝の上面は、熱交換器の下面と同レベルあるいは熱交換器の下面より高い位置にあることが好ましい。
溝の上面が、熱交換器下面と同レベルあるいは熱交換器の下面より高い位置にあることにより、浮力により熱交換器下面に蓄積している空気、揚水より比重の小さい異物等は熱交換器下面に生じる溝へ向かう流れと一緒に外部へ通じている溝へと移動しやすくなり、一旦溝に入れば浮力により溝の上面より低い位置にある熱交換器の下面へ戻ることなく溝から外部排出されるため、熱交換器下面付近に留まることを防止し、空気や異物等が熱交換器下面に留まることにより熱交換器の熱交換効率が下がることを防止することができる。溝は、大気開放されることが好ましい。
揚水の一部が溝及び排水管から外部に通過することにより、熱交換器下面近傍で積極的に水流を生じさせ、熱交換器による熱交換効率を高めることにより、熱交換器のモータ冷却性能を高め、モータを十分冷却することができる。排水管のもう一方の端は、吸込水槽内の液面より十分に上方に設けられることが好ましい。排水管のもう一方の端は、ポンプの運転可能内水位で最も高い水位よりも上方に位置していることが好ましい。また排水管の途中の曲り部は当該部で直線状の異物が引っ掛からないように極力大きな曲率であることが好ましい。
流量センサによって排水管内の流量を測定することにより、溝、排水管の詰まり及びポンプの運転状況を監視することができる。ポンプ据付床上の浸水により、流量センサが機能喪失することを防止するために、浸水が想定される水位以下に流量センサを設置する場合は、防水型を選択することが好ましい。
ポンプ機場のポンプ設置フロアは無人である場合が多く、ポンプ操作室や遠隔から操作または制御することによりバルブの開閉ができるように、バルブは電動式とすることが好ましい。また、ポンプ据付床上の浸水により電動バルブが機能喪失することを防止するために、浸水が想定される水位以下にバルブやフラッシング用ポンプを設置する場合は、防水型を選択することが好ましい。
また、第2バルブは、ポンプ運転時には常時異物等を含む揚水が通過するため、バルブ開時の弁開度断面が大きい弁、例えば、仕切弁、ボール弁、ロート弁などとすることが好ましい。
異物等によって排水管が詰まった場合には、第1バルブを閉め、第2バルブを開き、フラッシング用ポンプによって流路を通じて水を排水管側に送り出し、排水管から溝に水を逆流させる。この水流によって異物等をポンプケーシングに流し込むことによって、排水管、溝等の詰まりを解消する。立軸ポンプが運転中の場合でも逆流させることができるように、フラッシング用ポンプは、副流路管部までの管路損失を考慮の上、副流路管部の圧力より十分高い圧力を吐出しできるポンプを選定することが好ましい。排水管の内径は、溝を通過してきた異物等が排水管内で詰まらないように溝を通過し得る粒径よりも大であることが好ましい。多くのポンプ機場の場合、吸込水槽へ水が流入してくる前に除塵設備があり、除塵機で大きな異物は除去される。よってポンプで汲み上げる水に含まれる異物等の粒径は除塵機のスクリーン目幅を一つの基準にできる。
空気及び水より比重の小さい異物等は、浮力の作用も加わり、傾斜状となった熱交換器の下面に沿って高い位置にある溝の方向に進みやすくなることから、これらを揚水の一部と共に溝から排出しやすくなる。これによって、より効果的に空気や異物等が熱交換器下面に溜まることを防止することができる。
破砕カッターは主軸の回転に伴って回転し、破砕カッターの刃と固定刃とによって、溝付近の異物等を破砕、または除去し、溝及び排水管の詰まりを防止、解消する。破砕カッターの刃の先は上側から下側に向かって傾斜していることが望ましい。異物の破砕をすることができない場合であっても、溝から異物を除去できる。固定刃は溝近傍に設けられる。好ましくは、固定刃は溝の辺縁部に設けられる。好ましくは、固定刃は溝に密接する部分に設けられる。固定刃の形状は、適宜選択することができる。
水が通過可能とする手段として、仕切部材に穴状または間隙状の通水部を設けることが好ましい。通水部は、1つまたは複数設けることができる。通水部の形状及びサイズは、適宜設計することができるが、揚水に含まれる異物等により閉塞しないよう設計することが好ましい。揚水の一部は、通水部を通じて熱交換器下面と仕切部材上面で形成される間隙に流れ込み、最終的に溝から外部に排出される。仕切部材と熱交換器との間の間隙を好適な寸法にすることにより、仕切部材が無い場合より熱交換器下面近傍の流れを増速させることができるため、より熱交換器下面に空気溜りや異物等が溜まりにくくなり、かつ熱交換器下面における熱伝達率が向上するため、熱交換器の熱交換効率を高めることにより、熱交換器のモータ冷却性能を高めることができる。仕切部材上面と熱交換器下面との間隙寸法は、好ましくは50、40、30、20、10、5センチメートル以内、最も好ましくは3センチメートル以内である。揚水に含まれる異物等が引っ掛からないように適宜設計することができる。好ましくは、仕切部材の、主軸に対して溝の反対側の半円内に、通水部を設ける。最も好ましくは、主軸に対して溝の反対側に通水部を設ける。揚水の一部は、熱交換器下面と仕切部材上面で形成される間隙を流れて溝から外部に排出される。熱交換器下方において、水が流れる距離を長くすることができ、熱交換器の伝熱面積を有効的に活用できるため、熱交換器の熱交換効率を高めることにより、熱交換器のモータ冷却性能を高めることができる。
熱交換器下方において、水が流れる距離を長くすることができ、熱交換器の伝熱面積を有効的に活用できるため、熱交換器の熱交換効率を高めることにより、熱交換器のモータ冷却性能を高めることができる。
図1Aは、本発明の第1実施形態に係るポンプを示す垂直断面図である。
モータハウジング8は、内部に出力軸9及びモータ10を収容する。モータハウジング8及び/または熱交換器12は、ポンプの副流路管部4aの上面の第1フランジ13に取り付けるための第2フランジ15を有する。
図1Aでは、第2フランジ15は、モータハウジング8に設けられているが、図1Bのように熱交換器12に設けられてもよい。また、図1Cのようにモータハウジング8及び熱交換器12の両方に設けられても良い。
ポンプケーシング3における開口4上に位置するよう、モータハウジング8が配置される。モータハウジング8の側面には円筒状のウォータージャケットなどの冷却部材が設けられてもよい。
上述した第1の実施形態は、ポンプケーシング3の副流路管部4aの第1フランジ13に溝14を設けるものであった。これに対し、次に説明する第2の実施形態は、モータ部11の下方の第2フランジ15に溝14を設けるものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
次に説明する第3の実施形態は、ポンプケーシング3の副流路管部4aの第1フランジ13及びモータハウジング8の第2フランジ15に跨る溝14を設けるものである。
次に説明する第4の実施形態は、熱交換器12の形状に関する。
熱交換器12の下面18が溝14に向かうにつれ鉛直方向に高くなる傾斜状となっている。このポンプは次のように動作する。モータ10の作動及びインペラ6の回転によって吸込口1から汲み上げられた水はポンプケーシング3内を上方に向かい、その一部はベンド管部4bから分岐した副流路管部4aへ流入し、熱交換器12の下面18に達する。熱交換器12の下面18が傾斜状に形成されていることによって、熱交換器12の下面18にぶつかった揚水の一部は、溝14に誘導される。また、揚水に含まれる気泡や水より比重の小さい異物等は、熱交換器12の下面18の下方に生じている溝14へ向かう水流の勢いに加え、浮力も加わって、熱交換器12の下面18の傾斜に沿って溝14に向かって移動しやすくなり、揚水と共に溝14からより排出されやすくなる。
次に説明する第5の実施形態は、熱交換器12の下方に仕切部材を設けるものである。
次に説明する第6の実施形態は、排水管17に流量センサを設けるものである。
次に説明する第7の実施形態は、フラッシング機能を設けたポンプに関する。
第1バルブ22は排水管17における流路24との分岐箇所より下流側に設けられる。第1バルブ22を閉じると、排水管17の流路が遮断される。
フラッシング用ポンプ25は流路24に設けられる。図16ではその吸込側は第3バルブ44を介し貯水タンク43に接続されている。
フラッシングはポンプ運転一定時間毎に間欠的に実施されるように第1バルブ22、第2バルブ23及びフラッシング用ポンプ25を自動制御するプログラムを組むことで実施しても良いし、第6の実施形態と合わせて流量センサによる流量値に閾値を設け、溝14付近での閉塞が疑われる場合や、予防措置として流量の傾向管理分析により今後閉塞が予想されると判断される場合に第1バルブ22、第2バルブ23及びフラッシング用ポンプ25を自動制御するプログラムを組むことで実施しても良い。
次に説明する第8の実施形態は、破砕手段を設けるものである。
次に説明する第9の実施形態は、温度センサを設けるものである。
次に説明する第10の実施形態は第9の実施形態の変形例であり、温度センサを用いて循環冷却液29の温度と揚水の温度とを比較するものである。
次に説明する第11の実施形態は、水位センサを設けるものである。
次に説明する第12の実施形態は、点検窓を設けるものである。
次に説明する第13の実施形態は、ハンドホールを設けるものである。
図23は、本発明の第13実施形態に係るポンプを示す垂直断面図である。本ポンプはポンプケーシング3に設けられ、開閉可能なハンドホール33を備えている。
以上説明した実施形態は任意に組み合わせてもよい。
2 吐出口
3 ポンプケーシング
4 開口
4a 副流路管部
4b ベンド管部
5 主軸
6 インペラ
8 モータハウジング
9 出力軸
10 モータ
11 モータ部
12 熱交換器
13 第1フランジ
14 溝
15 第2フランジ
16 吸込水槽
17 排水管
18 熱交換器の下面
19 仕切部材
20 通水部
21 流量センサ
22 第1バルブ
23 第2バルブ
24 流路
25 フラッシング用ポンプ
26 破砕カッター
27 固定刃
28 破砕手段
29 循環冷却液
30a、30b、30c 温度センサ
31 水位センサ
32 点検窓
33 ハンドホール
34 配管フランジ
40 水中軸継手
41 ゴムひも
42 Oリング
43 貯水タンク
44 第3バルブ
45 回転刃
46 ウォータージャケット
Claims (10)
- 下方を向いた吸込口から側方を向いた吐出口に水を導くポンプケーシングであって、前記吸込口の上方に開口を画定する第1フランジが設けられた副流路管部を有するポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内にほぼ鉛直方向に延びる主軸と、
前記ポンプケーシング内の下部において前記主軸に固定されたインペラと、
前記第1フランジ上に配置されるモータハウジングと、モータハウジングから前記第1フランジを通って前記主軸に連結される出力軸と、前記モータハウジング内に設けられて前記主軸を回転させるモータと、を有するモータ部と、
前記開口の近傍に設けられた熱交換器と、
前記モータハウジング及び/または前記熱交換器に設けられ、第1フランジと締結される第2フランジと、
前記副流路管部内において前記熱交換器の下方に設けられた仕切部材と、
を備え、
前記第1フランジと前記第2フランジとの間から外部に水が流出可能であり、かつ、前記仕切部材から前記熱交換器側に水が通過可能である、立軸ポンプ。 - 外部に水が流出可能な溝が前記第1フランジに設けられる、請求項1に記載の立軸ポンプ。
- 外部に水が流出可能な溝が前記第2フランジに設けられる、請求項1または2に記載の立軸ポンプ。
- 前記溝の上面は、前記熱交換器の下面と同レベルあるいは前記熱交換器の下面より高い位置にある、請求項2または3に記載の立軸ポンプ。
- 前記溝に接続されており、下方に向かって開放された排水管を備える、請求項2乃至4のいずれかに記載の立軸ポンプ。
- 前記排水管に流量センサが設けられる、請求項5に記載の立軸ポンプ。
- 前記排水管から分岐した流路と、
前記排水管における前記流路との分岐箇所より下流側に設けられた第1バルブと、
前記流路に設けられた第2バルブと、
前記流路に設けられたフラッシング用ポンプと、を有し、
前記排水管における前記溝の近傍に溜まった異物を前記ポンプケーシング内に流し込む、請求項5または6に記載の立軸ポンプ。 - 前記熱交換器の下面が、前記溝に向かうにつれ鉛直方向に高くなる傾斜状である、請求項2乃至7のいずれかに記載の立軸ポンプ。
- 前記主軸と共に回転する破砕カッターと、
溝近傍に設けられた固定刃と、を有する、請求項2乃至8のいずれかに記載の立軸ポンプ。 - 前記主軸に対して前記溝の反対側において前記仕切部材から前記熱交換器側に水が通過可能である、請求項1乃至9のいずれかに記載の立軸ポンプ。
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