JP2008266560A - インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)重合性化合物、(b)顔料、及び(c)一般式(1)の繰り返し単位をグラフト鎖に有するグラフト共重合体、を含むことを特徴とするインク組成物。
【化22】
(Rは水素原子及びメチル基のいずれかを表す。Xは単結合、−O−、−CO−、−COO−、−CONR1−、−OCO−、及びフェニレン基のいずれかを表す。Lは単結合及び2価連結基のいずれかを表す。Zは−NR2R3を表す。)
【選択図】なし
Description
インクジェット方式の一つとして、活性放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、印字後直ちに放射線照射し、インク液滴を硬化させることで鮮鋭な画像を形成することができる。
このような硬化性インク組成物は、発色性に優れた高精細画像を形成するため、高い顔料分散性とその経時的な安定性が求められる。インク組成物に鮮明な色調と高い着色力を付与するためには、顔料の微細化が必須である。特に、インクジェット記録用に用いられるインクでは、吐出されるインク液滴が画像の鮮鋭度に大きな影響を与えるため、吐出液滴も少量となり、且つ、該インクより形成されるインク硬化膜の膜厚よりも微細な粒子を用いることが必須となる。このように、高い着色力を得るために顔料粒子をより微細化していくと、微粒子の分散が困難になり、凝集体が発生しやすくなる。また、分散剤の添加により組成物の粘度が上昇するといった問題も生じる。顔料凝集体の発生やインク組成物の粘度上昇はいずれもインク吐出性に悪影響を与えるので、顔料の凝集や増粘などが生じたインク組成物をインクジェット記録用として用いるのは好ましくない。
従って、充分な流動性を有し、かつ微細化された顔料を安定に分散させ、さらに、顔料分散の経時安定性に優れるインク組成物が求められている。安定な顔料分散液を得るための分散剤については、種々の提案がなされている。
これらのインク組成物は該分散剤の機能により、確かに従来のものより顔料の分散安定性は向上しているものの、使用されている顔料の微細化は不十分であり、さらなる微小な顔料粒子における分散性向上効果にはなお改良の余地があった。さらに、長期間あるいは温度変化を繰り返した際の分散安定性が未だ不十分であるという問題があった。また、これらの分散剤を使用した光カチオン重合硬化型インク組成物では光硬化時の硬化性や保存安定性が不十分であるという課題も残っていた。
また、本発明は、活性放射線の照射により硬化性が良好であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた印刷物を提供することを目的とする。
前記課題を解決する手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (a)重合性化合物、(b)顔料、及び(c)一般式(1)の繰り返し単位をグラフト鎖に有するグラフト共重合体を含むことを特徴とするインク組成物である。
<2> (c)グラフト共重合体は一般式(2)で表される繰り返し単位を含む前記<1>に記載のインク組成物である。
<3> (c)グラフト共重合体が、アミノ基を有しないグラフト鎖をさらに含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のインク組成物である。
<4> さらに、(d)重合開始剤を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のインク組成物である。
<5> (a)重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、(d)重合開始剤が光酸発生剤である前記<4>に記載のインク組成物である。
<6> (a)重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、(d)重合開始剤が光ラジカル発生剤である前記<4>に記載のインク組成物である。
<7> インクジェット用である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインク組成物である。
<8> (b)顔料が酸化チタンである前記<1>から<7>のいずれかに記載のインク組成物である。
<9> (b)顔料がC.I.ピグメントイエロー120である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインク組成物である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載のインク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に吐出する吐出工程と、前記吐出されたインク組成物を活性放射線の照射により硬化する硬化工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<11> 前記<1>から<9>のいずれかに記載のインク組成物を硬化させてなることを特徴とする印刷物である。
また、本発明によれば、活性放射線の照射により硬化性が良好であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた、高品質な画像が形成される印刷物を提供することができる。
本発明のインク組成物は、(a)重合性化合物、(b)顔料、及び(c)一般式(1)の繰り返し単位をグラフト鎖に有する(グラフト鎖の繰り返し単位として少なくともアミノ基を含む)グラフト共重合体、を含み、更に必要に応じて、(d)重合開始剤、及びその他の成分を含む。
本発明のインク組成物は、(a)重合性化合物の機能により、何らかのエネルギーを付与することで硬化するが、(d)重合開始剤を含むことが好ましく、(d)重合開始剤を含むと、活性エネルギー線の照射により硬化する。ここで、活性エネルギー線とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線および電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なものが好ましい。紫外線の光源としては水銀灯、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、蛍光灯等が用いられる。本発明では、水銀灯、メタルハライドランプ、発光ダイオードを光源として用いることが好ましく、最大発光波長が350nm〜400nmの発光ダイオードを光源として用いることがより好ましい。
<(c)一般式(1)の繰り返し単位をグラフト鎖に有するグラフト共重合体>
一般式(1)におけるZは、−NR2R3を表し、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表し、互いに結合して環を形成してもよい。R2、R3としては、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。
前記ポリマー鎖部分は、公知の(メタ)アクリレート化合物、スチレンおよびその誘導体、アクリロニトリル、ビニルエステル類及びジエン類などのビニル重合性化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーからなる単独重合体又は共重合体、あるいはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリオール、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)などのポリエステル類であることが一般的である。
また、一般式(3)中の繰り返し単位は単一でなくてもよく、複数の繰り返し単位からなる共重合体であってもよい。
前記アミノ基を有しないグラフト鎖を得るために用いられる重合性オリゴマーは、前記式(3)で表される重合性オリゴマーだけでなく、下記一般式(4)で表される重合性オリゴマーであることも好ましく、これらは使用する(a)重合性化合物に応じて適宜選択することが特に好ましい。
前記一般式(4)で表される重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられ、これらは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
さらに、これらの特定重合体成分と共重合可能な他のモノマーを使用する場合、この他のモノマーの含有率は、(c)特定重合体の5〜30質量%の範囲であることが好ましい。また、他のモノマーとして前記共重合可能な窒素含有基を有するモノマーを用いる場合、この他のモノマーの含有量は、(c)特定重合体の0〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲であることが好ましい。
P−1) 前記例示化合物M−1で表される重合性オリゴマー/末端メタクリロイル化ポリ(n−ブチルアクリレート)共重合体
P−2) 前記例示化合物M−1で表される重合性オリゴマー/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート共重合体
P−3) 前記例示化合物M−1で表される重合性オリゴマー/末端メタクリロイル化ポリカプロラクトン共重合体
P−4) 前記例示化合物M−2で表される重合性オリゴマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
P−5) 前記例示化合物M−2で表される重合性オリゴマー/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート共重合体
P−6) 前記例示化合物M−3で表される重合性オリゴマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
P−7) 前記例示化合物M−4で表される重合性オリゴマー/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
P−8) 前記例示化合物M−1で表される重合性オリゴマー/3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
P−9) 前記例示化合物M−1で表される重合性オリゴマー/3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート共重合体
P−10) 前記例示化合物M−1で表される重合性オリゴマー/スチレン/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート共重合体
なお、本発明のインク組成物には、効果を損なわない限りにおいて、(c)特定重合体に加えて、公知の顔料分散剤を併用することができる。この添加量としては、(c)特定重合体の50質量%以下であることが好ましい。
本発明の硬化性インク組成物は(a)重合性化合物を含有する。この(a)重合性化合物は、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、所望により添加される(d)重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光カチオン重合性モノマー、光ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知の重合性のモノマーが好ましい。
重合性化合物は反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で1種または複数を混合して用いることができる。また、重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドがより好ましい。
上述した多官能ビニルエーテル化合物のうち、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物がより好ましい。
前記カチオン重合性モノマーとしてのオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニルメチル)(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
インク組成中の(a)重合性化合物の含量は、組成物の全固形分に対し50〜95質量%が適当であり、好ましくは60〜92質量%、さらに好ましくは70〜90質量%の範囲である。
本発明のインク組成物は顔料を必須成分として含む。粒径が小さい顔料粒子が、前記(c)特定重合体の機能によりインク組成物中に、均一、且つ、安定に分散されることにより、発色性に優れた鮮鋭な画像を形成することができる。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。また、着色剤として顔料を含むことから、本発明のインク組成物により得られる画像は耐候性に優れる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5の如きΒ-ナフトール顔料、C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントオレンジ61等の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等の如きピラゾロン顔料、が挙げられる。
茶色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。
白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。白色顔料に使用される無機粒子は単体でも良いし、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であっても良い。
顔料の分散を行う際には、前記(c)特定重合体を添加することが好ましい。
また、顔料を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物中における顔料の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。
顔料はインク組成物中、前記顔料が有機顔料の場合、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。また、前記顔料が無機顔料の場合、固形分換算で、1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がより好ましい。
<(d)重合開始剤>
本発明のインク組成物は、ラジカル重合、若しくは、カチオン重合の重合開始剤を含有することが好ましく、光重合開始剤を含有することがより好ましい。
本発明における光重合開始剤は、光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、波長が400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
前記チタノセン化合物としては、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等が挙げられる。
インク組成物中の(d)重合開始剤としての光重合開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜7質量%が特に好ましい。
−増感色素−
本発明おいては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。増感色素としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものが好ましい。
増感色素としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)が挙げられる。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67及びR64と、R65及びR67とは、それぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
さらに、本発明のインク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
このような共増感剤としては、アミン類、例えば、M. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号に記載の化合物等が挙げられ、より具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
また他の共増感剤としては、例えば、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
また、本発明のインク組成物には、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。
また、本発明のインク組成物には、この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
次に、本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について、以下説明する。
このようなインク組成物における活性放射線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
前記好ましい射出条件によれば、本発明のインク組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、前記(c)特定重合体の機能により、このような温度条件下で保存された場合でも、顔料分散性の低下が抑制され、長期間にわたり優れた発色性が得られ、且つ、顔料の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等が挙げられる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
<一般式(1)の繰り返し単位を含む重合性オリゴマー(M−1)の合成>
脱水メトキシプロピレングリコール80質量部、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド62.4質量部(東京化成工業(株)製)、6−メルカプトヘキサノール(Aldrich社製)、を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して105℃まで昇温する。VA−086(2,2’-アゾビス[2-メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、和光純薬(株)製)0.288質量部を加えた後、2時間攪拌する。さらにVA−086を0.144質量部添加し、115℃にて4時間加熱攪拌を行った。反応溶液を50℃に冷却後、カレンズMOI(2−メタクリロイロキシエチルイソシアナート、昭和電工(株)製)6.39gを加え、5時間攪拌する。反応溶液をn−ヘキサン4000質量部に再沈殿させる。溶媒をデカンテーションにて取り除いた後、メチルエチルケトン120質量部を加えアミノ基を有する重合性オリゴマー溶液1(前記M−1に相当)を得た。(固形分濃度28%、重量平均分子量5,600)
−特定重合体1の合成−
メチルエチルケトン2質量部(和光純薬(株)製)を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して68℃まで昇温する。別に調製した、下記の原料溶液1を2時間かけて同時に滴下した。滴下が終了して2時間後、V−65(2,2’-アゾビス[2,4−ジメチルバレロニトリル]、和光純薬社製)を0.08質量部添加し、78℃にて3時間加熱攪拌を行った。得られた反応液をヘキサン1000質量部に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることでグラフト共重合体1(前記P−1に相当)を得た。グラフト共重合体1の重量平均分子量は27,000であった。
・重合性オリゴマー1(固形分濃度28%) 14.3質量部
・末端メタクリロイル化ポリ(n−ブチルアクリレート)
(数平均分子量6000、東亞合成(株)製AB−6) 16質量部
・V−65(2,2’−アゾビス[2,4−ジメチルバレロニトリル]、和光純薬(株)製) 0.2質量部
・メチルエチルケトン(和光純薬(株)製) 12質量部
合成例1の原料溶液1における「末端にメタクリロイル基を有するポリ(n−ブチルアクリレート)」をメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルM−230G)に変更した以外は、合成例1と同様にしてグラフト共重合体2(前記P−2に相当)を得た。グラフト共重合体2の重量平均分子量は12,000であった。
合成例1の原料溶液1を下記原料溶液2に変更した以外は、合成例1と同様にしてグラフト共重合体3(前記P−2に相当)を得た。グラフト共重合体3の重量平均分子量は32,000であった。
・重合性オリゴマー1(固形分濃度28%) 7.1質量部
・末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート
(数平均分子量6000、東亞合成(株)製、AA−6) 16質量部
・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
2質量部
・V−65(2,2’−アゾビス[2,4−ジメチルバレロニトリル]、和光純薬(株)製) 0.2質量部
・メチルエチルケトン(和光純薬(株)製) 19質量部
シクロヘキサノン29質量部を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温する。別に調製した、下記の原料溶液3を2時間かけて同時に滴下した。滴下が終了して2時間後、V−65(2,2’-アゾビス[2,4−ジメチルバレロニトリル]、和光純薬(株)製)を0.06質量部添加し、1時間加熱攪拌を行い固形分31%の重合体を得た。
窒素置換した三口フラスコに、ポリエチレンイミン(Aldrich社製)0.016質量部、シクロヘキサノン0.091質量部を導入し、攪拌機にて攪拌しながら得られた重合体溶液5.93質量部とシクロヘキサノン5.94質量部を30分かけて滴下した。更に1時間反応を継続することで固形分濃度15%のグラフト共重合体4溶液を得た。グラフト共重合体4の重量平均分子量は45,000であった。
・n−ブチルメタクリレート(東京化成工業(株)製) 14質量部
・メチルメタクリレート(和光純薬(株)製) 2.3質量部
・2−メタクリロイロキシエチルイソシアナート(カレンズMOI 昭和電工(株)製)
0.14質量部
・2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製) 0.32質量部
・シクロヘキサノン(和光純薬(株)製) 3.9質量部
下記に示す(c)特定重合体を(a)重合性化合物(ラジカル重合性化合物)に溶解させ、(b)顔料と共にモーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行い、活性エネルギー線硬化型インク原液を得た。ついで(d)重合開始剤をインク原液に加え、穏やかに混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例1の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
・(b)顔料(有機顔料:アセトロン系顔料PY120) 3.0質量部
・(c)特定重合体(合成例1で得たグラフト共重合体1) 0.9質量部
・(a)重合性化合物(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、FA-512A、日立化成工業(株)製) 40.0質量部
・(a)重合性化合物(フェノキシエチレングリコールアクリレート、AMP−10G、新中村化学工業(株)製) 27.5質量部
・(a)重合性化合物(ヘキサアクリレート、DPCA−60:日本化薬(株)製)
5.0質量部
・(d)重合開始剤(アシルフォスフィンオキサイド化合物、LucirinTPO−L:BASFジャパン(株)製) 5.0質量部
実施例1において用いた(c)特定顔重合体であるグラフト共重合体1を、それぞれ合成例2〜3で得たグラフト共重合体2〜3に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2〜3の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1において用いた(c)特定重合体であるグラフト共重合体1に代えて、塩基を主鎖に有する市販の顔料分散剤である「SOLSPERSE 28000」(日本リーブリゾール(株)製)を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
(比較例2)
実施例1において用いた(c)特定重合体であるグラフト共重合体1に代えて、塩基を主鎖に有する市販の顔料分散剤である「Disperbyk−168」(ビックケミー・ジャパン(株)製)を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1において用いた(c)特定重合体であるグラフト共重合体1に代えて、合成例4で合成したグラフト共重合体4を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
下記に示す(c)特定重合体を(a)重合性化合物(ラジカル重合性化合物)に溶解させ、(b)顔料と共にモーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行い、活性エネルギー線硬化型インク原液を得た。ついで(d)重合開始剤をインク原液に加え、穏やかに混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例4の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
・(b)顔料CR−60−2(無機顔料:酸化チタン 石原産業(株)製)
15.0質量部
・(c)特定重合体(合成例1で得たグラフト共重合体1) 1.5質量部
・(a)重合性化合物(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、FA-512A、日立化成工業(株)製) 40.0質量部
・(a)重合性化合物(フェノキシエチレングリコールアクリレート、AMP−10G、新中村化学工業(株)製) 27.5質量部
・(a)重合性化合物(ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、DPCA−60、日本化薬(株)製) 5.0質量部
・(d)重合開始剤(アシルフォスフィンオキサイド化合物、LucirinTPO−L、BASFジャパン(株)製) 5.0質量部
実施例4において用いた(c)特定重合体であるグラフト共重合体1に代えて、塩基を主鎖に有する市販の顔料分散剤である「SOLSPERSE 28000」(日本リーブリゾール(株)製)を用いた以外はすべて実施例4と同様にして比較例4の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1および比較例1における(a)重合性化合物および(d)重合開始剤を下記の(a)重合性化合物(光カチオン重合性化合物)および(d)重合開始剤に変更した以外はすべて同様にして実施例5、比較例5のインクジェットインクを得た。
(a)重合性化合物:オキセタン化合物 OXT−221(ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、東亞合成(株)製) 40.0質量部
(a)重合性化合物:エポキシ化合物 セロキサイド3000(リモネンジオキシド ダイセル化学(株)製) 32.5質量部
(d)重合開始剤:トリフェニルスルホニウム塩(UVI−6992、ダウケミカル(株)製) 5.0質量部
下記に示す(c)特定重合体を(a)重合性化合物(ラジカル重合性化合物)に溶解させ、(b)顔料と共にモーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行い、活性エネルギー線硬化型インク原液を得た。ついで(d)重合開始剤をインク原液に加え、穏やかに混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例6の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
・(b)顔料(有機顔料:キナクリドン系顔料PV−19) 4.0質量部
・(c)特定重合体(合成例1で得たグラフト共重合体1) 1.0質量部
・(a)重合性化合物(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、FA-512A、日立化成工業(株)製) 29.0質量部
・(a)重合性化合物(フェノキシエチレングリコールアクリレート、AMP−10G、新中村化学工業(株)製) 20.0質量部
・(a)重合性化合物(ジプロピレングリコールジアクリレート、DPGDA:ダイセルサイテック(株)製) 30.0質量部
・(d)重合開始剤(アシルフォスフィンオキサイド化合物、LucirinTPO−L:BASFジャパン(株)製) 6.0質量部
実施例6において用いた(c)特定顔重合体であるグラフト共重合体1を、それぞれ合成例2〜3で得たグラフト共重合体2〜3に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7、8の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例6において用いた(c)特定重合体であるグラフト共重合体1に代えて、市販の顔料分散剤である「SOLSPERSE 28000」(日本リーブリゾール(株)製)、市販の顔料分散剤である「Disperbyk−168」(ビックケミー・ジャパン(株)製)をそれぞれ用いた以外はすべて実施例6と同様にして比較例6及び7の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例6〜8、比較例6、7において用いた(b)顔料(有機顔料:キナクリドン系顔料PV−19)を顔料(有機顔料:アセトロン系顔料PO−36)に変更した以外はすべて同様にして、実施例9〜11及び比較例8、9の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例6〜8、比較例6、7において用いた(b)顔料(有機顔料:キナクリドン系顔料PV−19)を顔料(有機顔料:ジオキサンジン顔料PV−23)に変更した以外はすべて同様にして、実施例12〜14及び比較例10、11の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
得られたインクジェットインクを下記の方法に従って評価した。その結果を表1に記す。
各インクジェットインクの40℃における粘度をE型粘度計を用いて測定した。
A:30mPas未満
B:30mPas以上、100mPas未満
C:100mPas以上(吐出上問題のあるレベル)
各インクジェットインクを25℃で1ヶ月保存後、および70℃で24時間保存後の分散状態を目視および粘度変化により評価した。
◎:沈殿物の発生、粘度の増加がない
○:沈殿物の発生なし、粘度が若干増加するが吐出性に問題ないレベル
△:沈殿物の発生なはいが、粘度の増加により吐出性が低下し、実用上問題になるレベル
×:沈殿物の発生が認められる
各インクジェットインクについて、光散乱回折式の粒度分布測定装置(LA910、(株)堀場製作所製)を用いて体積基準平均粒径D50を測定し、評価した。
A:D50が100nm未満
B:D50が100nm以上、250nm未満
C:D50が250nm以上
得られたインク組成物をインクジェットプリンター(印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)でアート紙上に印字してから、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で1000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光し、印字サンプルを得た。
硬化皮膜を指で触れて、べたつきの有無を以下の基準で評価した。
A:べたつきがない
B:僅かにべたつきがある
C:著しくべたつく
得られたインク組成物を、25℃から60℃の昇温・降温サイクルを10回繰り返した後、前記インクジェットプリンターで印字を行いノズル欠の有無について観察し、以下の基準で評価を行った。
○:ノズル欠が発生せず高品質の画像が形成された
△:一部でサテライトが発生し、画像欠陥が観察された
×:ノズル欠が発生し、画像欠陥が著しい
一方、市販の高分子分散剤を用いた比較例は、当初の顔料分散性は良好であるが、特に高温条件下での保存性(安定性(70℃))が劣り、実用上問題となるレベルであった。また、(a)重合性化合物として光カチオン重合性化合物を用いた比較例5は、硬化性が劣り、実用上問題のあるレベルであった。
また、インクジェット記録方法を適用することで、非吸収性の被記録媒体上にも、高品質の画像をデジタルデータに基づき直接形成しうることから、本発明のインク組成物は大面積の印刷物の作製にも好適に使用される。
Claims (11)
- (a)重合性化合物、(b)顔料、及び(c)一般式(1)の繰り返し単位をグラフト鎖に有するグラフト共重合体を含むことを特徴とするインク組成物。
- (c)グラフト共重合体は一般式(2)で表される繰り返し単位を含む請求項1に記載のインク組成物。
- (c)グラフト共重合体が、アミノ基を有しないグラフト鎖をさらに含む請求項1から2のいずれかに記載のインク組成物。
- さらに、(d)重合開始剤を含む請求項1から3のいずれかに記載のインク組成物。
- (a)重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、(d)重合開始剤が光酸発生剤である請求項4に記載のインク組成物。
- (a)重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、(d)重合開始剤が光ラジカル発生剤である請求項4に記載のインク組成物。
- インクジェット用である請求項1から6のいずれかに記載のインク組成物。
- (b)顔料が酸化チタンである請求項1から7のいずれかに記載のインク組成物。
- (b)顔料がC.I.ピグメントイエロー120である請求項1から7のいずれかに記載のインク組成物。
- 請求項1から9のいずれかに記載のインク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に吐出する吐出工程と、前記吐出されたインク組成物を活性放射線の照射により硬化する硬化工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1から9のいずれかに記載のインク組成物を硬化させてなることを特徴とする印刷物。
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