JP2008264100A - 使い捨てトイレマット - Google Patents

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保太郎 瀬戸
Shuichi Motonaka
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Abstract

【課題】本発明は、列車、バス、劇場、公園、駅等多くの人々が利用する公共のトイレにおいて、従来以上に消臭効果があり、マットの交換頻度が少なくてすむ使い捨てトイレマットを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物と、金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物と、多孔質物質とからなる消臭組成物を不織布に固着させ、トイレのサイズに合わせて裁断し、使い捨てトイレマットとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、使い捨てトイレマットに関するもので、列車、バス、劇場、公園、駅等利用者の多い公共のトイレの床面に使用するマットに関するものである。
公共のトイレでは、多くの人々が利用することから汚れやすく、清掃の頻度をあげたとしても、確実に清潔さを保つことは難しく、また臭気についても完全に取り除くことは困難でその対策が望まれている。
このような、公共のトイレの悪臭は、排泄時に便器以外の床に飛散する尿や水洗水が原因となることが多く、元々尿中に含まれるアンモニアや硫黄化合物の臭いや、便臭に含まれる窒素化合物の臭いであったり、これらに雑菌が繁殖して悪臭となっているものと考えられている。
特許文献1においては、吸湿性、吸水性の使い捨てマットをトイレ床に敷くことによって、飛散する汚水を効果的に吸収させ、汚れればその度に捨て、新しいマットと交換することが提案されている。特許文献2においては、トイレ内の便器付近に飛散する尿や水洗水を吸収し、尿あるいは雑菌により発生する悪臭を抑え、清潔で快適なトイレとするために、銅を含有するセルロース繊維を含むシート状のトイレマットが開示されている。しかしながらこれらの技術は、ただ単に汚れたら取り替えて清潔さを保つものであったり、銅の抗菌作用で雑菌の繁殖をある程度抑えつつ使用するものではあるが、利用頻度の多い公共のトイレにおいて使用でき、しかも従来のもの以上に大きな消臭効果があり、マットの交換頻度が少なくてすむような使い捨てのトイレマットは未だ開示されてはいない。
特開平7−213458号公報 特開平4−282115号公報
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、列車、バス、劇場、公園、駅等多くの人々が利用する公共のトイレにおいて、従来以上に消臭効果があり、マットの交換頻度が少なくてすむ使い捨てトイレマットを提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、以下の手段を講ずることにより前記目的を達成した。
[1]ポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物と、金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物と、多孔質物質とからなる消臭組成物を不織布に固着したことに特徴のある使い捨てトイレマット。
[2]前記消臭組成物を2〜50g/m(乾燥重量)不織布に固着したことに特徴のある前項1に記載の使い捨てトイレマット
[3]前記金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物が、銅、亜鉛、鉄、アルミニウム、チタン及びジルコニウムから選択された少なくとも1種類の化合物であることに特徴のある前項1又は2に記載の使い捨てトイレマット。
[4]前記多孔質物質が、多孔質シリカ、ゼオライトおよび活性炭から選択された少なくとも1種類であることに特徴のある前項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨てトイレマット。
[1]の発明によれば、ポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物と、金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物と、多孔質物質とからなる消臭組成物を不織布に固着した使い捨てトイレマットであるので、飛散した尿や水洗水から発生するとされるアンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガスや、硫化水素、メルカプタン類等の硫黄系ガスの悪臭を効率よく吸着し除去することができる。また、本使い捨てトイレマットは、不織布からなるので飛散した尿や水洗水を簡単に保持し、跳ね返って周辺に飛び散らないようにすることができる。
[2]の発明によれば、前記消臭組成物を2〜50g/m(乾燥重量)不織布に固着しているので、十分な消臭効果があり、持続性のある使い捨てトイレマットとすることができる。
[3]の発明によれば、前記金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物が、銅、亜鉛、鉄、アルミニウム、チタン及びジルコニウムから選択された少なくとも1種類の化合物であるので、持続して消臭効果のある使い捨てトイレマットとすることができる。
[4]の発明によれば、前記多孔質物質が、多孔質シリカ、ゼオライトおよび活性炭から選択された少なくとも1種類の化合物であるであるので、アンモニアや雑菌の腐敗臭などの混合した複合臭を低減させる効果の有る使い捨てトイレマットとすることができる。
次に、この発明に係る一実施形態について説明する。この実施形態の使い捨てトイレマットは、不織布であることが好ましい。織物や編物の形態であっても効果はあるが、使い捨てなるが故に、高価なトイレマットとなってしまうことから相応しくはない。不織布を形成する繊維については特に限定されないが、そのまま使い捨てられて焼却されることが多くなることから、焼却しても有害ガスを発生させないポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等からなるものを好適に使用できる。また、該不織布の下面側には、飛散した尿等の水分がトイレマットの下側に抜けないように、合成樹脂フィルムからなる防水層を積層してもよい。
本発明において、消臭組成物を構成する多孔質物質は、多孔質故に表面積が大きく、悪臭の吸着能力の優れたものとなる。例えばこのような多孔質物質としては、多孔質シリカ、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、麦飯石等が挙げられる。中でも、アンモニアガスに対して優れた吸着能を有するゼオライトを用いるのが好ましい。ゼオライトは、ケイ素とアルミニウムが酸素を介して三次元的に結合した骨格構造をしている。この骨格中には分子レベルの穴(細孔)が開き、水や有機分子など様々な分子を骨格中に取り込むことから、吸着剤として非常に有用なものである。
本発明において、消臭組成物を構成する金属酸化物としては、例えばアルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物を挙げられるが、これら例示のものに特に限定されるものではない。これらの金属酸化物は、酢酸、メチルメルカプタン、硫化水素等の悪臭ガスを消臭する性質を有する。
また、本発明において、消臭組成物を構成するポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物としては、例えば多孔質二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム等にポリアミン化合物を担持したものが挙げられる。ポリアミン化合物は、分子内に第一級アミノ基を一個以上有している化合物であれば脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミンのいずれも使用でき、例えばジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。ポリアミン化合物を担持する方法としては、例えばポリアミン化合物の水溶液を作成し、この水溶液中に多孔質二酸化ケイ素を浸漬し、これを加熱焼成することによってポリアミン化合物を担持した二酸化ケイ素化合物を得ることが出来る。ポリアミン化合物は、多孔質物質や金属酸化物を併用することにより、様々な悪臭を効果的に消臭することができる。多孔質物質と金属酸化物とポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物の配合比率は特に限定しないが、酸化ジルコニウム等の金属酸化物の配合量が増えると、保管中に金属酸化物が不織布の繊維を劣化させてしまうことがある。また、ゼオライト等の多孔質物質の配合量が増えると、不織布が白化する。また、バインダー樹脂配合量が増えると、多孔質物質や金属酸化物の表面をバインダー樹脂が表面を覆ってしまうようになり、消臭性能が低下することから、多孔質物質と金属酸化物とポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物とバインダー樹脂の四者の配合バランスが大切である。多孔質物質と金属酸化物とポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物の配合比率としては、5:0.5:4.5〜6.5:1.5:2がよい。
前記消臭組成物の塗布量は2〜50g/m(乾燥重量)とするのが好ましい。2g/m未満では十分な除去性能が得られなくなるので好ましくない。また、50g/mを超えても大きな消臭性能の向上はなく、徒にコストを増大することになり好ましくない。
前記消臭組成物の塗布方法は、まず前記消臭組成物とバインダ−樹脂を水に分散させた水分散液からなる処理液を調合する。この時、これらの消臭組成物、バインダ−樹脂を可能な限り分散させることが好ましく、バインダ−樹脂については、水との間でエマルジョン状態を形成することがより好ましい。また、調合の際予め先に消臭組成物を水に分散させておいてから、バインダ−樹脂を分散するのが、消臭組成物とバインダ−樹脂をより均一に分散させるのに好ましい。
前記バインダ−樹脂は、どのような樹脂でも使用することができる。例えば、自己架橋型アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、グリオキザ−ル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル−シリコン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−スチレン−アクリレート−メタアクリレ−ト共重合体樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を2種類以上混合してバインダ−樹脂としてもよい。
また、前記消臭組成物には、分散剤や、増粘剤などの各種添加剤を、本発明の効果を妨げない範囲で各種特性向上のため配合してもよい。こうして得られる消臭組成物を不織布に塗布し乾燥し、トイレのサイズにあわせて裁断して使い捨てトイレマットとする。この塗布する手段としては、特に限定されるものではないが、例えばスプレ−法、浸漬法、コ−ティング法、パディング法等が挙げられる。
上記のように、処理液を付与した後に乾燥させるが、乾燥手段としては、加熱処理する方法が乾燥効率から好ましい。加熱処理温度は、100〜180℃とするのが好ましい。この温度での加熱処理によって、消臭組成物の固着性をより高め、悪臭除去性能の持続耐久性を一層向上させることができる。
一般に鉄道や船舶、航空機等に用いる布帛には、難燃性能を要求されることが多く、場合によってはその加工を加えることにより、消臭布帛表面のPH値が酸性側に振れたり、塩基性に振れたりして消臭効果の低下を招くことがある。消臭布帛表面のPH値が酸性側に振れた場合は、酸性ガスの悪臭除去率の低下がみられ、消臭布帛表面のPH値が塩基性に振れた場合は、塩基性ガスの悪臭除去率の低下となってしまう。本発明において、トイレの悪臭は、酸性及び塩基性のガスを含む臭いであることが多いので、消臭加工を施す前の不織布表面のPH値を6〜8に保つことが大切で、各種機能性を付与する加工によって不織布表面のPH値が酸性側に振れたり、塩基性に振れた場合には、中和処理したほうが消臭効果が大きい。不織布表面のPH値を6〜8に調整した後で消臭加工を施すことにより、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸等の酸性ガスや、アンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガスに効果的に作用し、消臭効率のよい使い捨てトイレマットとすることができる。
<実施例1>
次に、この発明の一例として、リン酸グアニジンによって難燃処理を施したポリエステル製のニードルパンチ不織布(目付435g/mPH5)を、リン酸ナトリウム水溶液で中和処理し乾燥した難燃性不織布(PH7)を用意した。次ぎに、平均粒径10μmの酸化亜鉛0.5質量部と、平均粒径5μmのゼオライト3.0質量部と、ジエチレントリアミンを担持した平均粒径10μmの二酸化ケイ素2.0質量部を84.5質量部の水に加えた後、攪拌機により攪拌を行ない、分散液を得た。この分散液にさらに10質量部のアクリルシリコン系バインダー樹脂(固形分25%)を加え、良く攪拌して均一な処理液を得た。次に、この処理液中に、前記難燃性不織布(PH7)を浸漬し、マングルで絞った後、130℃、15分間乾燥させ、難燃性消臭不織布を得た。酸化亜鉛の不織布への付着量は、0.5g/m、ゼオライトの不織布への付着量は3.0g/m、ジエチレントリアミンを担持した二酸化ケイ素の不織布への付着量は2.0g/mであった。こうして得られた難燃性消臭不織布について、下記の代表的な各種ガスの消臭試験をおこない悪臭の除去率を表1に記載した。また、実際の公衆トイレの男子用便器の周辺にマットの形態に裁断して敷いてみたが、それまで毎日一回交換をしていたものが、三日に一度の頻度でも清潔さを保つことができた。
<実施例2>
実施例1において、酸化亜鉛と、ゼオライトと、ジエチレントリアミンを担持した二酸化ケイ素からなる消臭組成物の難燃性不織布への担持量を2倍にした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載した。また、実施例1と同様に公衆トイレの男子用便器の周辺に敷いてみたが、五日に一度の交換頻度でも清潔さを保つことができた。
<実施例3>
実施例1において、酸化亜鉛に替えて酸化ジルコニウムとし、ゼオライトに替えて多孔質シリカとした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載した。
<実施例4>
実施例1において、ジエチレントリアミンを担持した平均粒径10μmの二酸化ケイ素を、テトラエチレンペンタミンを担持した平均粒径10μmの二酸化ケイとした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載した。
<実施例5>
実施例1において、ゼオライトに替えて活性炭とした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載した。
<比較例1>
実施例1において、酸化亜鉛を0とした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載したが、硫化水素、メルカプタン、酢酸等の酸性ガスの消臭に劣るものでしかなかった。
<比較例2>
実施例1において、ゼオライトを0とした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載したが、インドール、スカトールの窒素化合物系ガスの消臭に劣るものでしかなかった。
<比較例3>
実施例1において、ジエチレントリアミンを担持した二酸化ケイ素を0とした以外は実施例1と同様にして難燃性消臭不織布を得た。悪臭の除去率を表1に記載したが、アンモニア、トリメチルアミンの塩基性ガスの消臭に劣るものでしかなかった。
Figure 2008264100
<消臭試験>
なお上記例における各種消臭性能の測定は次のように行った。
(アンモニア消臭性能)
試験片(10cm×10cm)を内容量500ミリリットルの袋内に入れた後、袋内において濃度が200ppmとなるようにアンモニアガスを注入し、1時間経過後にアンモニアガスの残存濃度を測定し、この測定値よりアンモニアガスを除去した総量を算出し、これよりアンモニアガスの除去率(%)を算出した。
(硫化水素消臭性能)
アンモニアガスに代えて硫化水素ガスを用いて袋内において濃度が20ppmとなるように注入した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にして硫化水素の除去率(%)を算出した。
(メチルメルカプタン消臭性能)
アンモニアガスに代えてメチルメルカプタンガスを用いて袋内において濃度が40ppmとなるように注入し、4時間経過後にメチルメルカプタンガスの残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてメチルメルカプタンガスの除去率(%)を算出した。
(酢酸消臭性能)
アンモニアガスに代えて酢酸ガスを用いて袋内において濃度が100ppmとなるように注入した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にして酢酸ガスの除去率(%)を算出した。
(インドール消臭性能)
アンモニアガスに代えてインドールガスを用いて袋内において濃度が30ppmとなるように注入し、2時間経過後にインドールガスの残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてインドールの除去率(%)を算出した。
(スカトール消臭性能)
アンモニアガスに代えてスカトールガスを用いて袋内において濃度が30ppmとなるように注入し、2時間経過後にスカトールガスの残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてスカトールの除去率(%)を算出した。
そして、除去率が95%以上であるものを「◎」、除去率が80%以上95%未満であるものを「○」、除去率が70%以上80%未満であるものを「△」、除去率が70%未満であるものを「×」と評価し表1のような結果を得た。

Claims (4)

  1. ポリアミン化合物を担持した無機ケイ素化合物と、金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物と、多孔質物質とからなる消臭組成物を不織布に固着したことに特徴のある使い捨てトイレマット。
  2. 前記消臭組成物を2〜50g/m(乾燥重量)不織布に固着したことに特徴のある請求項1に記載の使い捨てトイレマット
  3. 前記金属酸化物から選択された少なくとも1種類の化合物が、銅、亜鉛、鉄、アルミニウム、チタン及びジルコニウムから選択された少なくとも1種類の化合物であることに特徴のある請求項1又は2に記載の使い捨てトイレマット。
  4. 前記多孔質物質が、多孔質シリカ、ゼオライトおよび活性炭から選択された少なくとも1種類であることに特徴のある請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨てトイレマット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018143595A (ja) * 2017-03-07 2018-09-20 住江織物株式会社 消臭抗菌防水シート及び該消臭抗菌防水シートを用いた寝具用シート及びベッドパット

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