JP2008262715A - 燃料電池用セル - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池用セルにおいて、セル出力電圧をより向上させることである。
【解決手段】電解質膜12と、電解質膜12のカソード側に積層されるカソード触媒層16と、電解質膜12のアノード側に積層され、保水材30を含有するアノード触媒層14と、を含む膜電極接合体26を備え、アノード触媒層14は、燃料ガスの供給側に積層されるガス供給側領域層32と、燃料ガスの排出側に積層されるガス排出側領域層34と、ガス供給側領域層32とガス排出側領域層34との間に積層される中間領域層36と、を有する燃料電池用セル10であって、ガス排出側領域層34と中間領域層36とは、ガス供給側領域層32より保水材30の含有率が大きい。
【選択図】図2
【解決手段】電解質膜12と、電解質膜12のカソード側に積層されるカソード触媒層16と、電解質膜12のアノード側に積層され、保水材30を含有するアノード触媒層14と、を含む膜電極接合体26を備え、アノード触媒層14は、燃料ガスの供給側に積層されるガス供給側領域層32と、燃料ガスの排出側に積層されるガス排出側領域層34と、ガス供給側領域層32とガス排出側領域層34との間に積層される中間領域層36と、を有する燃料電池用セル10であって、ガス排出側領域層34と中間領域層36とは、ガス供給側領域層32より保水材30の含有率が大きい。
【選択図】図2
Description
本発明は燃料電池用セルに係り、特に、電解質膜のアノード側に積層され、保水材を含有するアノード触媒層を含む膜電極接合体を備える燃料電池用セルに関する。
燃料電池は、高効率と優れた環境特性を有する電池として近年脚光を浴びている。燃料電池は、一般的に、燃料ガスである水素に、酸化剤ガスである空気中の酸素を電気化学反応させて、電気エネルギを作りだしている。そして、水素と酸素とが電気化学反応した結果、水が生成される。
燃料電池の種類には、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、アルカリ型、固体高分子型等がある。この中でも、常温で起動しかつ起動時間が速い等の利点を有する固体高分子型の燃料電池が注目されている。このような固体高分子型の燃料電池は、移動体、例えば、車両等の動力源として用いられている。
固体高分子型の燃料電池は、複数の単セル、集電板、エンドプレート等を積層して組み立てられる。そして、燃料電池用セルは、電解質膜と、触媒層と、ガス拡散層と、セパレータとを含んで構成される。
特許文献1には、固体高分子電解質膜、その両側に設けた燃料極及び酸化剤極ならびにその外側に設けた一対の集電体を有する固体高分子電解質型の燃料電池用セルにおいて、金属酸化物の繊維からなる保水材を燃料極に設けた燃料電池用セルが示されている。
ところで、アノード側電極では、生成した水素イオンが電解質膜中を水とともにカソード側電極へ移動することにより水分が消費される。そのため、アノード側電極には、上記のように、例えば、金属酸化物の繊維からなる保水材が添加される。
ここで、アノード側電極の中央部では、他の部分より発電量が多いため、水分消費量が多くなる場合がある。アノード側電極の燃料ガス排出側では、燃料ガス中に含まれる水分が結露することにより結露水がより多く生成し、燃料ガスの流れが抑制される場合がある。また、アノード側電極の燃料ガス供給側では、一般的に、発電量が他の部分より少ないので水分消費量も少なくなる。このような場合において、アノード側電極中に保水材を均一に添加すると、燃料電池用セルの出力特性が十分に得られない可能性がある。
そこで、本発明の目的は、セル出力特性をより向上させる燃料電池用セルを提供することである。
本発明に係る燃料電池用セルは、電解質膜と、電解質膜のカソード側に積層されるカソード触媒層と、電解質膜のアノード側に積層され、保水材を含有するアノード触媒層と、を含む膜電極接合体を備え、アノード触媒層は、燃料ガスの供給側に積層される第1領域層と、燃料ガスの排出側に積層される第2領域層と、第1領域層と第2領域層との間に積層される第3領域層と、を有する、燃料電池用セルであって、第2領域層と第3領域層とは、第1領域層より保水材の含有率が大きいことを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セルにおいて、第2領域層は、第3領域層より保水材の含有率が大きいことを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セルにおいて、第2領域層における保水材の含有率は、2質量%以上9質量%以下であり、第3領域層における保水材の含有率は、3質量%以上9質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セルにおいて、保水材は、多孔性親水性繊維であることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池用セルにおいて、多孔性親水性繊維は、金繊維、白金繊維、シリカ繊維またはカーボン繊維であることを特徴とする。
上記のように本発明に係る燃料電池用セルによれば、アノード触媒層の中央部では、より多くの水が供給され、アノード触媒層のガス排出側では、より多くの水が保持されるので、燃料電池用セルの出力特性をより向上させることができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は、燃料電池用セル10の断面を示す図である。燃料電池用セル10は、電解質膜12と、アノード触媒層14と、カソード触媒層16と、アノードガス拡散層18、カソードガス拡散層20と、アノードセパレータ22と、カソードセパレータ24と、を含んで構成される。このうち電解質膜12と、アノード触媒層14と、カソード触媒層16と、を一体化したものは、一般的に、膜電極接合体26(Membrane Electrode Assembly:MEA)と呼ばれている。
電解質膜12は、アノード極側で発生した水素イオンをカソード極側まで移動させる機能等を有している。電解質膜12の材料は、化学的に安定であるフッ素系樹脂、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸のイオン交換膜が使用される。また、電解質膜12には、フッ素系樹脂繊維等を上記のイオン交換膜に分散させてイオン交換膜を強化した補強膜、部分フッ素化膜、炭化水素系膜、有機無機複合膜等を用いてもよい。
アノード触媒層14は、電解質膜12のアノード側に積層され、カソード触媒層16は、電解質膜12のカソード側に積層される。アノード触媒層14とカソード触媒層16とは、アノード極側での水素の酸化反応やカソード極側での酸素の還元反応を促進する機能を有している。そして、アノード触媒層14とカソード触媒層16とは、触媒と触媒の担体とを含んで構成される。触媒は、反応させる電極面積を大きくするため、一般的に粒子状にして、触媒の担体に付着して使用される。触媒には、水素の酸化反応や酸素の還元反応について、小さい活性化過電圧を有する白金族元素である白金等が使用される。触媒の担体としては、カーボン材料、例えば、カーボンブラック等が使用される。また、アノード触媒層14及びカソード触媒層16には、高分子電解質溶液等が更に添加されてもよい。
アノード触媒層14には、更に、保水材30が含有される。アノード触媒層14に保水材30を含有させるのは、アノード触媒層14では、燃料ガスの電気化学反応で生成した水素イオンが電解質膜12中を水とともにカソード側の触媒層に移動することにより水分が消費されるので、保水材30を添加してアノード触媒層14の乾燥等を抑制するためである。
保水材30には、多孔性親水性繊維を用いることが好ましい。繊維が多孔性及び親水性であるのは、フィラー等の非多孔性繊維や疎水性繊維よりも、より多くの水分を保持できるからである。多孔性親水性繊維には、金繊維、白金繊維、または金メッキ、白金メッキ等された金属繊維等の金属多孔性親水性繊維、シリカ繊維等のセラミックス多孔性親水性繊維、またはカーボン多孔性親水性繊維等を用いることが好ましい。金属多孔性親水性繊維は、例えば、金属粉末を焼結することにより製造することができる。カーボン多孔性親水性繊維は、カーボン繊維を水蒸気中、空気中、または酸素雰囲気中で、例えば、500℃で酸化させて腑活させることにより製造することができる。勿論、他の条件次第では、保水材30は、上記多孔性親水性繊維に限定されることはない。
図2は、アノード触媒層14の構成を示す図である。ガス供給側領域層32は、燃料ガスの供給側に積層され、第1領域層としての機能を有している。ガス排出側領域層34は、燃料ガスの排出側に積層され、第2領域層としての機能を有している。中間領域層36は、ガス供給側領域層32とガス排出側領域層34との間に積層され、第3領域層としての機能を有している。ガス供給側領域層32と、ガス排出側領域層34と、中間領域層36とは、アノード触媒層14の全面積に対して、例えば、各々3分の1とすることができる。勿論、ガス供給側領域層32と、ガス排出側領域層34と、中間領域層36とは、同一面積に限定されることなく、各々異なる面積としてもよい。
中間領域層36とガス排出側領域層34とは、ガス供給側領域層32よりも保水材30の含有率が大きくなるように、保水材30が添加される。また、中間領域層36とガス排出側領域層34とにのみ保水材30を含有させてもよい。
ガス供給側領域層32では、燃料ガスが最適反応温度に十分達していない等により発電量が他の領域層34、36より少ないので、水分消費量が他の領域層34、36より少なくなるからである。また、ガス供給側領域層32では、一般的に、乾燥した燃料ガスが供給されるため、結露水等は殆ど生成されないからである。
これに対して、中間領域層36は、他の領域層32、34より発電量が多いため、水分消費量が他の領域層32、34より多くなる。そのため、中間領域層36では、保水材30の含有率をガス供給側領域層32より大きくすることにより、保水材30で保持された水を供給して乾燥を抑えることができる。また、ガス排出側領域層34では、燃料ガスに含まれる水分の結露により結露水がより多く生成されるため、燃料ガスの流れが抑制される。そのため、ガス排出側領域層34では、保水材30の含有率をガス供給側領域層32より大きくすることで、結露水を保水材30で保持することができる。
このように、発電量が少ないガス供給側領域層32では保水材30の含有量をより少なくし、発電量がより多い中間領域層36や、結露水がより多く生成するガス排出側領域層34では保水材30の含有量をより大きくすることにより、中間領域層36での乾燥が抑えられ、ガス排出側領域層34での燃料ガスの流れの停滞を解消することができる。
ガス排出側領域層34は、中間領域層36よりも保水材30の含有率が大きくなるように、保水材30が添加されることが好ましい。
ガス排出側領域層34には、燃料ガスに含まれる水分の結露により結露水がより多く生成されるため、保水材30をより多く含有することにより、より多くの水分を保持できる。それにより、ガス排出側領域層34の水分量と、中間領域層36の水分量との差が大きくなるので、ガス排出側領域層34に含有された保水材30で保持された水分は、水分の消費量が多い中間領域層36へ、例えば、保水材30で搬送されて移動し、アノード触媒層14中の水分布をより均一にすることができる。
ガス排出側領域層34における保水材30の含有率は、2質量%以上9質量%以下であり、中間領域層36における保水材30の含有率は、3質量%以上9質量%以下であることが好ましい。
ガス排出側領域層34における保水材30の含有率が2質量%以上であるのは、保水材30の含有率が2質量%より小さいと、水を十分に保持することができない場合があるからである。また、保水材30の含有率が9質量%以下であるのは、保水材30の含有率が9質量%より大きいと、ガス排出側領域層34に含まれる触媒の含有率が小さくなり、セル出力電圧が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、ガス排出側領域層34における保水材30の含有率は、上記範囲に限定されることはない。
中間領域層36における保水材30の含有率が3質量%以上であるのは、保水材30の含有率が3質量%より小さいと、中間領域層36では水分の消費がガス排出側領域層34よりも多いため、水を十分に供給することができない場合があるからである。また、保水材30の含有率が9質量%以下であるのは、保水材30の含有率が9質量%より大きいと、中間領域層36に含まれる触媒の含有率が小さくなり、セル出力電圧が低下する場合があるからである。勿論、他の条件次第では、中間領域層36における保水材30の含有率は、上記範囲に限定されることはない。
アノード触媒層14は、白金等の触媒と、カーボン材等の触媒担体と、高分子電解質溶液(イオノマー)と、多孔性親水性繊維等の保水材30と、を混合して作製した触媒ペーストまたは触媒インク等を、塗布法等で電解質膜12のアノード側に塗布することにより形成することができる。
ここで、触媒ペーストとして、例えば、ガス供給側領域層32を形成するガス供給側領域層形成用触媒ペーストと、ガス排出側領域層34を形成するガス排出側領域層形成用触媒ペーストと、中間領域層36を形成する中間領域層形成用触媒ペーストとが準備される。ガス排出側領域層形成用触媒ペースト及び中間領域層形成用触媒ペーストにおける保水材30の含有率は、ガス供給側領域層形成用触媒ペーストにおける保水材30の含有率より大きくなるように、各々触媒ペーストが作製される。保水材30の含有率は、触媒と触媒担体と高分子電解質溶液と保水材30との合計質量に対する保水材30の質量の比で算出される。
そして、ガス供給側領域層形成用触媒ペーストを、電解質膜12のガス供給側領域に塗布し、ガス排出側領域層形成用触媒ペーストを、電解質膜12のガス排出側領域に塗布し、中間領域層形成用触媒ペーストを、電解質膜12の中間領域に塗布することにより、アノード触媒層14を形成することができる。勿論、アノード触媒層14の形成方法は、上記形成方法に限定されることなく、触媒インク等を用いてスクリーン印刷法等で行ってもよい。
カソード触媒層16は、白金等の触媒と、カーボン材等の触媒担体と、高分子電解質溶液(イオノマー)と、を混合して作製した触媒ペーストまたは触媒インク等を、塗布法やスクリーン印刷法等で電解質膜12のカソード側に塗布することにより形成される。
再び、図1に戻り、アノードガス拡散層18は、アノード触媒層14に積層され、カソードガス拡散層20は、カソード触媒層16に積層される。アノードガス拡散層18とカソードガス拡散層20とは、水素等の燃料ガスや、空気等の酸化剤ガスをアノード触媒層14またはカソード触媒層16に各々拡散させる機能や、電子を移動させる機能等を有している。そして、アノードガス拡散層18とカソードガス拡散層20とには、導電性を有する材料である、例えば、カーボン繊維織布、カーボン紙等を使用することができる。
アノードセパレータ22は、アノードガス拡散層18に積層され、カソードセパレータ24は、カソードガス拡散層20に積層される。アノードセパレータ22とカソードセパレータ24とは、隣設する単セル(図示せず)における燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する機能を有している。また、アノードセパレータ22とカソードセパレータ24とは、隣設する単セル(図示せず)を電気的に接続する機能を有している。
アノードセパレータ22とカソードセパレータ24とには、燃料ガスや酸化剤ガスが流れるガス流路や、単セルを冷却するLLC(Long Life Coolant)や冷却水等の冷却媒体を流す冷却媒体流路等が、例えば、凹凸状に形成される。アノードセパレータ22とカソードセパレータ24とには、チタンやステンレス鋼等の金属材料やカーボン材料等が用いられる。アノードセパレータ22とカソードセパレータ24とを積層した後、外周を接着剤で接着等することにより、燃料電池用セル10が製造される。
上記構成によれば、中間領域層とガス排出側領域層とは、ガス供給側領域層よりも保水材の含有率が大きいので、発電量が多く水分がより多く消費される中間領域層では保水材で保持された水分がより多く供給され、結露水が多く生成されるガス排出側領域層では保水材で結露水を保持することにより、燃料ガスの流れの停滞が抑制される。これにより、燃料電池用セルのセル出力特性をより向上させることができる。
また、ガス供給側領域層における保水材の含有率は、中間領域層とガス排出側領域層とにおける保水材の含有率より小さいため、保水材をアノード触媒層に均一に添加する場合よりも、保水材の使用量を抑えることができ、燃料電池用セルの製造コストをより低減することができる。
上記構成によれば、ガス排出側領域層は、中間領域層よりも保水材の含有率が大きいので、ガス排出側領域層で生成した結露水を保水材でより多く保持することができる。また、ガス排出側領域層の水分量は、中間領域層の水分量より多くなるため、ガス排出側領域層に含有する保水材で保持された水が、発電量が多く水分消費量が多い中間領域層へ、例えば、多孔性親水繊維等の保水材で搬送されて移動することにより、乾燥しやすい中間領域層へより多くの水が供給される。これにより、燃料電池用セルのセル出力特性をより向上させることができる。
上記構成によれば、ガス排出側領域層における保水材の含有率は、2質量%以上9質量%以下であり、中間領域層における保水材の含有率は、3質量%以上9質量%以下であるので、保水材により十分に水を保持した状態で、触媒の含有量減少によるセル出力電圧低下を抑制することができ、燃料電池用セルのセル出力特性をより向上させることができる。
上記構成によれば、保水材に多孔性親水性繊維を用いることにより、より少ない含有量で、より多くの水分を保持することができる。また、多孔性親水性繊維に金繊維、白金繊維、シリカ繊維またはカーボン繊維等を用いることにより、保水材の耐食性を向上させることができる。
(実施例)
(実施例)
複数の燃料電池用セルを製造し、セルの出力特性を評価した。
まず、燃料電池用セルの製造方法について説明する。電解質膜には、高分子電解質膜であるNafion112(デュポン社製)を用いた。アノードガス拡散層とカソードガス拡散層には、カーボンペーパーを用いた。また、アノードセパレータとカソードセパレータには、チタン材で凹凸状に成形したチタンセパレータを用いた。電解質膜と、ガス拡散層と、セパレータとは、複数の燃料電池用セルでいずれも同一のものを使用した。
次に、カソード触媒層とアノード触媒層との形成方法について説明する。
カソード触媒層の形成は、触媒である白金と、白金を担持する炭素微粒子であるケチェンブラックEC(ケチェン・ブラック・インターナショナル社製)と、高分子電解質溶液であるSE20092(デュポン社製)とを混合して作製した触媒ペーストを用いて行った。触媒と、触媒担体と、高分子電解質溶液とは、複数の燃料電池用セルでいずれも同一のものを使用した。
アノード触媒層の形成は、白金と、白金を担持する炭素微粒子であるケチェンブラックEC(ケチェン・ブラック・インターナショナル社製)と、高分子電解質溶液であるSE20092(デュポン社製)と、保水材として多孔性親水性繊維であるシリカ多孔性親水性繊維とを混合して作製した触媒ペーストを用いて行った。ここで、シリカ多孔性親水性繊維には、繊維径が5μmの繊維を使用した。
ここで、実施例1から実施例12の燃料電池用セルにおいて、アノード触媒層における中間領域層と、ガス排出側領域層とで、シリカ多孔性親水性繊維の含有率を変化させた。シリカ多孔性親水性繊維の含有率は、白金と、ケチェンブラックと、高分子電解質液SE20092と、シリカ多孔性親水性繊維との合計質量に対するシリカ多孔性親水性繊維の質量の比で求めた。また、いずれの燃料電池用セルにおいても、ガス供給側領域層にはシリカ多孔性親水性繊維を添加しなかった。比較例1の燃料電池用セルでは、ガス供給側領域層、中間領域層及びガス排出側領域層のいずれの領域層にもシリカ多孔性親水性繊維を添加しないアノード触媒層を用いた。なお、アノード触媒層の目付けは、実施例1から実施例12、比較例1における燃料電池用セルにおいて、いずれも0.6mg/cm2とした。
実施例1の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を3質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とした。実施例2の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を5質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とした。実施例3の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を9質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とした。実施例4の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を3質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を5質量%とした。実施例5の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を3質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を9質量%とした。実施例6の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を9質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を9質量%とした。
実施例7の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とした。実施例8の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を5質量%とした。実施例9の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を3質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を10質量%とした。実施例10の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を5質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を10質量%とした。実施例11の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を10質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を2質量%とした。実施例12の燃料電池用セルでは、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を10質量%とし、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を10質量%とした。
高分子電解質膜Nafion112に、カソード触媒層と、ガス供給側領域層と中間領域層とガス排出側領域層とからなるアノード触媒層と、を熱プレスで形成させた後、カーボンペーパーを積層し、更に、チタンセパレータを積層して、複数の燃料電池用セルを製造した。
燃料電池用セルの出力特性評価を、露点温度80℃であるフル加湿条件と、露点温度50℃である低加湿条件とで行った。フル加湿条件では、セル温度80℃、1.5A/cm2における10分間の平均セル電圧を測定して評価した。低加湿条件では、セル温度80℃、1.0A/cm2における10分間の平均セル電圧を測定して評価した。また、燃料ガスには水素を使用し、酸化剤ガスには空気を使用した。
次に、燃料電池用セルの出力特性評価結果について説明する。表1は、燃料電池用セルの出力特性評価結果を示す表である。
フル加湿条件では、実施例1から実施例11における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.35Vから0.58Vであり、比較例1における燃料電池用セルの平均セル電圧0.32Vより高い平均セル電圧が得られた。また、低加湿条件では、実施例1から実施例12における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.52Vから0.67Vであり、比較例1における燃料電池用セルの平均セル電圧0.51Vより高い平均セル電圧が得られた。このように、中間領域層とガス排出側領域層とにシリカ多孔性親水性繊維を添加して、ガス供給側領域層よりもシリカ多孔性親水性繊維の含有率を大きくすることにより、燃料電池用セルの平均セル電圧が高くなり、セル出力特性が向上した。
発電量が大きい中間領域層では、水素の電気化学反応により生成した水素イオン(プロトン)が高分子電解質膜中を水とともにカソード側へ移動(電気浸透)するため水分消費量が大きくなる。実施例1から実施例12における燃料電池用セルの中間領域層には、シリカ多孔性親水性繊維が含有されているので、発電中にシリカ多孔性親水性繊維で保持された水が中間層領域に供給される等により乾燥が抑制される。
また、結露水が多いガス排出側領域層では、結露水により燃料ガスである水素の流れが抑えられる。実施例1から実施例12における燃料電池用セルのガス排出側領域層には、シリカ多孔性親水性繊維が含有されているので、シリカ多孔性親水性繊維で結露水を保持することができ、水素の流れの停滞が解消される。上記理由等により、実施例1から実施例12における燃料電池用セルでは、比較例1における燃料電池用セルよりも平均セル電圧が高くなり出力特性が向上した。
フル加湿条件では、実施例1から実施例6における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.54Vから0.58Vであり、実施例7から実施例12における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.30Vから0.45Vであった。また、低加湿条件では、実施例1から実施例6における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.58Vから0.67Vであり、実施例7から実施例12における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.52Vから0.54Vであった。このように、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を、2質量%以上9質量%以下とし、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を、3質量%以上9質量%以下とすることにより、燃料電池用セルの平均セル電圧が高くなり、セル出力特性が向上した。
実施例1から実施例6における燃料電池用セルの中間領域層では、シリカ多孔性親水性繊維の含有量が3質量%以上であり、実施例7及び実施例8におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有量である2質量%より大きいので、実施例1から実施例6における燃料電池用セルの中間領域層では、シリカ多孔性親水性繊維からより多くの水が供給された。また、実施例1から実施例6における燃料電池用セルの中間領域層では、シリカ多孔性親水性繊維の含有量が9質量%以下であり、実施例11及び実施例12におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有量である10質量%より小さいので、実施例1から実施例6における燃料電池用セルの中間領域層では、実施例11及び実施例12よりも触媒である白金の含有量が多くなり、水素イオン(プロトン)の生成量が増加した。
また、実施例1から実施例6における燃料電池用セルのガス排出側領域層では、シリカ多孔性親水性繊維の含有量が9質量%以下であり、実施例9、実施例10及び実施例12におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有量である10質量%より小さいので、実施例1から実施例6における燃料電池用セルのガス排出側領域層では、実施例9、実施例10及び実施例12よりも触媒である白金の含有量が多くなり、水素イオン(プロトン)の生成量が増加した。上記理由等により、実施例1から実施例6における燃料電池用セルでは、実施例7から実施例12における燃料電池用セルよりも平均セル電圧が高くなり、セル出力特性が向上した。
フル加湿条件では、実施例1から実施例3における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.54Vから0.55Vであり、実施例4及び実施例5における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.58Vであった。また、低加湿条件では、実施例1から実施例3における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.59Vから0.62Vであり、実施例4及び実施例5における燃料電池用セルの平均セル電圧は、0.66Vから0.67Vであった。このように、ガス排出側領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率を、中間領域層におけるシリカ多孔性親水性繊維の含有率より大きくすることにより、燃料電池用セルの平均セル電圧が高くなり、出力特性が向上した。
実施例4及び実施例5における燃料電池用セルにおいて、中間領域層ではシリカ多孔性親水性繊維含有率は3質量%であり、ガス排出側領域層ではシリカ多孔性親水性繊維含有率は5質量%から9質量%であるので、ガス排出側領域層は、中間領域層よりシリカ多孔性親水性繊維の含有率が大きい。これに対して、実施例1から実施例3における燃料電池用セルにおいて、中間領域層ではシリカ多孔性親水性繊維含有率は3質量%から9質量%であり、ガス排出側領域層ではシリカ多孔性親水性繊維含有率は2質量%であるので、ガス排出側領域層は、中間領域層よりシリカ多孔性親水性繊維の含有率が小さい。
実施例4及び実施例5における燃料電池用セルでは、ガス排出側領域層は、中間領域層よりシリカ多孔性親水性繊維含有率が大きいので、ガス排出領域層で保持される水分量は、中間領域層で保持される水分量よりもより多くなる。そのため、ガス排出側領域層と中間領域層との水分量の差等により、ガス排出領域層のシリカ多孔性親水性繊維で保持された水が、水分消費量が多く乾燥しやすい中間領域層へより多く移動する。ガス排出領域層のシリカ多孔性親水性繊維で保持された水は、例えば、ランダムに分散されて含有された各々シリカ多孔性親水性繊維の接触部を介して、シリカ多孔性親水性繊維中を移動し、中間領域層まで搬送される。上記理由等により、実施例4及び実施例5における燃料電池用セルでは、実施例1から実施例3における燃料電池用セルよりも平均セル電圧が高くなりセル出力特性が向上した。
10 燃料電池用セル、12 電解質膜、14 アノード触媒層、16 カソード触媒層、18 アノードガス拡散層、20 カソードガス拡散層、22 アノードセパレータ、24 カソードセパレータ、26 膜電極接合体、30 保水材、32 ガス供給側領域層、34 ガス排出側領域層、36 中間領域層。
Claims (5)
- 電解質膜と、
電解質膜のカソード側に積層されるカソード触媒層と、
電解質膜のアノード側に積層され、保水材を含有するアノード触媒層と、
を含む膜電極接合体を備え、
アノード触媒層は、
燃料ガスの供給側に積層される第1領域層と、
燃料ガスの排出側に積層される第2領域層と、
第1領域層と第2領域層との間に積層される第3領域層と、を有する、
燃料電池用セルであって、
第2領域層と第3領域層とは、第1領域層より保水材の含有率が大きいことを特徴とする燃料電池用セル。 - 請求項1に記載の燃料電池用セルであって、
第2領域層は、第3領域層より保水材の含有率が大きいことを特徴とする燃料電池用セル。 - 請求項1または2に記載の燃料電池用セルであって、
第2領域層における保水材の含有率は、2質量%以上9質量%以下であり、第3領域層における保水材の含有率は、3質量%以上9質量%以下であることを特徴とする燃料電池用セル。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の燃料電池用セルであって、
保水材は、多孔性親水性繊維であることを特徴とする燃料電池用セル。 - 請求項4に記載の燃料電池用セルであって、
多孔性親水性繊維は、金繊維、白金繊維、シリカ繊維またはカーボン繊維であることを特徴とする燃料電池用セル。
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-
2007
- 2007-04-10 JP JP2007102316A patent/JP2008262715A/ja active Pending
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