[0001]本発明の実施形態は、空間光変調器装置(spatial light modulator device)に関し、より詳細には、ディスプレイシステムのコントラスト比を改善するための、1つ以上の高速応答光源(例えば固体光源)と1つ以上の空間光変調器装置とを使用するディスプレイシステム及び方法に関する。
発明の背景
[0002]空間光変調器(SLM)装置は、光情報処理、プロジェクションディスプレイ、ビデオ・グラフィックモニター、立体視ディスプレイ、ホログラフィックストレージ、顕微鏡、分光器、医療用撮像、及び電子写真印刷の分野において膨大な用途を有する。マイクロミラーデバイス(MMD)は、空間光変調器装置の一例である。MMDディスプレイは、一般には、ミラーのアレイを備えており、それぞれのミラーを、2つのポジション(「オン」状態と「オフ」状態)をとるように電子的に制御することができる。オン状態であるミラーは、入射光を投影レンズに反射してスクリーンに画像を形成する。オフ状態であるミラーは、入射光をビームダンプに反射し、入射光を投影レンズには反射しない。MMDディスプレイにおける輝度又は強度は、画像フレーム中にミラーがオン状態及びオフ状態である時間を制御することによって、操作することができる。パルス幅変調(PWM)は、各フレームの時間中に各ミラーがオン状態である時間を制御する1つの手法である。
[0003]図1は、フレームを8つのバイナリ加重時間間隔(binary weighted time period)(B7〜B0)に分割することによってフレームの光強度を制御するバイナリ加重PWM方式の一例をビットブロックによって表している。各ブロックの長さは、空間光変調器においてビットがアサートされている時間長(例えば、MMDディスプレイのミラーがオン状態である時間長)を表している。ブロックB0(最下位ビット(LSB)とも称する)に対応する時間間隔の長さは、所定の値に設定されている。B1又は次の上位ビットに対応する時間間隔の持続時間は、最下位ビットに対応する時間間隔の長さの2倍である。B2に対応する時間間隔の長さは、B1に対応する時間間隔の長さの2倍であり、以下同様である。従って、B7(最上位ビット(MSB)とも称する)に対応する時間間隔の長さは、最下位ビットの時間間隔の128倍である。これにより、強度0又は完全に暗い状態(MMDディスプレイにおけるミラーがフレーム時間全体にわたりオフ状態のままである)から、最大強度又は完全に明るい状態(MMDディスプレイにおけるミラーがフレーム時間全体にわたりオン状態のままである)までの合計256の強度段階が得られる。米国特許第6,326,980号明細書及び米国特許第6,151,011号明細書には、別のPWM方式が開示されており、それぞれの特許文書の全体は本文書に参考とすることにより組み込まれている。
[0004]MMDディスプレイにおいては、光の漏れに起因して、良好な黒レベルを生成することが1つの課題となっている。従って、真の「黒」を生成することが難しく、黒の色調が灰に見える傾向にある。この課題を困難にしている1つの問題として、多くのMMDディスプレイでは、より明るい光源を設けることによって全体としての最大輝度を高めようとしている。結果として、ゼロ正規化したときの強度(zero normalized intensity)において、より多くの光エネルギがディスプレイから漏れる傾向にあり、「真の」黒を生成する能力が更に妨げられる。従って、これらのMMDディスプレイはコントラスト比が低く、且つ黒レベルが低い。
[0005]この問題を解決する1つの試みとして、光を減衰させるため光路にアイリス絞りを使用してコントラスト比を改善している。しかしながら、機械的なアイリス絞りが低速であるため、フレーム全体を単位として光を減衰させることができるにすぎない(フレーム内に原色フィールドのそれぞれが含まれる)。この手法における1つの問題として、原色のいずれかが高い光強度を必要とする場合、他のカラーフィールドについて光を減衰させることができない。
[0006]上記に説明したように、この技術分野には、ディスプレイシステムのコントラスト比を改善するための、改良された空間光変調器装置と、そのような空間光変調器装置を動作させる方法のニーズが存在している。
発明の概要
[0007]本発明の実施形態は、ディスプレイシステムのコントラスト比を改善するための、1つ以上の高速応答光源(例えば固体光源)と1つ以上の空間光変調器装置とを使用するディスプレイシステム及び方法、に関する。
[0008]マイクロミラーアレイを動作させる方法の一実施形態は、マイクロミラーアレイに光を導くようにされている高速応答光源を設けるステップを含んでいる。ある時間区間の間、マイクロミラーアレイのミラーのいずれもオン状態にならない場合、その時間区間において高速応答光源から低強度の光を供給することができる。
[0009]マイクロミラーアレイを動作させる方法の別の実施形態は、フレームのカラーフィールドの時間区間の間、マイクロミラーアレイに向けられている高速応答光源から高強度の光を供給するステップと、同じフレームの異なるカラーフィールドの異なる時間区間の間、高速応答光源から低強度の光を供給するステップとを含んでいる。
[0010]ディスプレイシステムの一実施形態は、1つ以上の空間光変調器装置を備えている。これら1つ以上の空間光変調器装置には、1つ以上の高速応答光源が向けられている。1つ以上の高速応答光源にコントローラが結合されており、高速応答光源のそれぞれを高強度の光モードと低強度光モードとにおいて動作させる。
[0011]本発明の上述した特徴を詳しく理解することができるように、以下では、上に簡潔に要約した本発明について、実施形態を参照しながら更に具体的に説明する。いくつかの実施形態は添付の図面に図解してある。しかしながら、添付の図面は本発明の代表的な実施形態を示しているにすぎず、従って、本発明の範囲を制限するものとはみなされず、本発明は、同等の効果を有する他の実施形態を含む。
詳細な説明
[0023]本発明の実施形態は、ディスプレイシステムのコントラスト比を改善するための、1つ以上の高速応答光源(例:高速応答光源)と1つ以上の空間光変調器装置とを使用するディスプレイシステム及び方法、に関する。例えば、特定の実施形態においては、いずれのミラーもオン状態ではない変調時間単位の間、迅速にオフにする、又は迅速に低強度に切り換えることのできる、1つ以上の高速応答光源を使用する。従って、コントラスト又は黒レベルが向上する。
[0024]使用している用語「高速応答光源」は、本文書においては、レーザー、発光ダイオード、超高性能ランプ、又は、光強度が変化するまでの応答時間が比較的速い(例えば約40マイクロ秒以下の応答時間)任意の他の光源を含んでいる。高速応答光源では、一般的には、光強度が変化するまでの応答時間が変調時間単位と比較して短いことが必要である。応答時間が速いほど、固体光源をオフにする、又は低強度に切り換えることのできる回数が増える。高強度から低強度まで変化することのできる任意の高速応答光源を、本発明の一部として有利に使用することができる。
[0025]使用している用語「低強度の光」は、本文書においては、減光状態にある高速応答光源から供給される光を意味し、高速応答光源がオフにされているときを含む。特定の実施形態においては、光源が減光状態にされるのみであることが好ましい。特定の実施形態においては、コントラスト比を最大限に改善するため、光源がオフにされることが好ましい。
[0026]使用している用語「高強度の光」は、本文書においては、高速応答光源から供給される、低強度の光よりも強度の高い光を意味する。
[0027]使用している用語「コントラスト比」は、本文書においては、カラーフィールドに対するフルオン時のディスプレイスクリーンの光出力と、カラーフィールドに対するフルオフ時のディスプレイスクリーンの光出力との比を意味する。「フルオフ」レベルの極めて小さな変化によって、測定されるコントラスト比を劇的に減少させることができる。例えば、フルオン時の測定値が750単位(ルーメン、ニトなど)であり、フルオフ時の測定値が0.5単位である場合、コントラスト比は1500:1である。フルオフ状態を0.4ユニットに低減させることができるならば、コントラスト比は1875:1に増大する。本文書において使用しているコントラスト比は、黒の方形パターンと白の方形パターンを交替させて測定されるANSIコントラスト(白の方形の平均光出力を黒の方形の平均光出力によって除算する)を意味するものではない。
[0028]図2は、本発明の一実施形態による、高速応答光源31と1つのマイクロミラーアレイ33とを含んでいるMMDディスプレイシステム30の概略図である。高速応答光源31は、自身からのビームが、1つ以上の赤セクション、緑セクション、及び青セクションを有する回転するカラーフィルタホイール32を通過するようにされている。カラーフィルタホイール32は、表示される白色光の量を増大させるため白又は透明のセクションを有することもできる。そして、赤色光、緑色光、青色光と、場合によっては白色光とを、マイクロミラーアレイ33に供給する。1つ以上のコントローラ34が、高速応答光源31と、カラーフィルタ32と、マイクロミラーアレイ33とに結合されており、高速応答光源31から発せられる光の強度を、回転カラーフィルタホイール32の速度(rate of speed)と、マイクロミラーアレイ33の状態とに同期させる。マイクロミラーアレイ33は、光のピクセル(pixels of light)の進路をそらせて投影レンズ35に入射しないようにする、又は投影レンズ35を通過してディスプレイスクリーン36に達するようにされている。
[0029]図3は、本発明の一実施形態による、3つの高速応答光源51a,51b,51cと1つのマイクロミラーアレイ52とを含んでいるMMDディスプレイシステム50の概略図である。高速応答光源51a,51b,51cは、それぞれ、赤光、緑光、青光をマイクロミラーアレイ52に供給する。1つ以上のコントローラ53が高速応答光源51とマイクロミラーアレイ52とに結合されており、高速応答光源51からの光の強度をマイクロミラーアレイ52の状態に同調させる。マイクロミラーアレイ52は、光のピクセルの進路をそらせて投影レンズ54に入射しないようにする、又は投影レンズ54を通過してディスプレイスクリーン55に達するようにされている。
[0030]図4は、本発明の一実施形態による、高速応答光源41(完全なRGBカラースペクトルを有する)と3つのマイクロミラーアレイ43a,43b,43cとを含んでいるMMDディスプレイシステム40の概略図である。高速応答光源41は、自身からのビームがプリズム42を通過するようにされている。別の実施形態においては、1つ以上のミラー若しくは別の光学系、又はその両方を、プリズムの代わりに、又はプリズムと連携して使用することができる。プリズム42は、図示したように、光を赤色光、緑色光、及び青色光に分け、それぞれの光が、対応するマイクロミラーアレイ43a,43b,43cに導かれる。1つ以上のコントローラ44が高速応答光源41とマイクロミラーアレイ43とに結合されており、高速応答光源41からの光の強度をマイクロミラーアレイ43の状態に同調させる。マイクロミラーアレイ43は、光のピクセルの進路をそらせて投影レンズ45に入射しないようにする、又は投影レンズ45を通過してディスプレイスクリーン46に達するようにされている。
[0031]図5は、本発明の一実施形態による、3つの高速応答光源61a,61b,61cと3つのマイクロミラーアレイ62a,62b,62cとを含んでいるMMDディスプレイシステム60の概略図である。高速応答光源61a,61b,61cは、それぞれ、マイクロミラーアレイ62a,62b,62cに赤色光、緑色光、青色光を供給する。1つ以上のコントローラ63が、高速応答光源61a,61b,61cとマイクロミラーアレイ62a,62b,62cとに結合されており、高速応答光源61a,61b,61cからの光の強度をマイクロミラーアレイ62a,62b,62cの状態に同調させる。マイクロミラーアレイ62a,62b,62cは、光のピクセルの進路をそらせて投影レンズ64に入射しないようにする、又は投影レンズ64を通過してディスプレイスクリーン65に達するようにされている。
[0032]図6は、本発明の一実施形態による、カラーフィルタホイールを備えているMMDディスプレイシステム(例えば図2のディスプレイシステム)においてフレーム70をカラーフィールド71a,71b,71cに分割する方法を概念的に示しているタイミング図である。フレームレートの2倍で回転する3セグメントのカラーフィルタホイールの場合、フレームを6つのカラーフィールドに分割する。言い換えれば、2つの赤色フィールド71aと、2つの緑色フィールド71bと、2つの青色フィールド71cである。カラーホイールのスポークのそれぞれが照射ビームを横切るときの色異常を防止するため、カラーフィールドのそれぞれの間にブランキング間隔(blanking interval)72を配置することができる。別の実施形態においては、カラーフィルタホイールのセグメントの数とカラーフィルタホイールの回転速度とに基づいて、フレームを任意の数又は任意の順序のカラーフィールドに分割することができる。
[0033]図7は、カラーフィルタホイールを備えていないMMDディスプレイ(例えば図3のディスプレイシステム)においてフレーム80をカラーフィールド81a,81b,81cに分割する方法を概念的に示しているタイミング図である。図示したように、フレームを6つのカラーフィールド、すなわち2つの赤色フィールド81aと、2つの緑色フィールド82bと、2つの青色フィールド83cとに分割することができる。この場合、カラーフィルタホイールを使用していないため、ブランキング間隔は存在しない。別の実施形態においては、フレームを任意の数又は任意の順序のカラーフィールドに分割することができ、また、カラーフィールドをインターリーブすることができる。
[0034]図8は、各カラーに対して個別のマイクロミラーアレイが存在するMMDディスプレイ(例えば図4及び図5のディスプレイシステム)においてフレームを制御する方法を概念的に示しているタイミング図である。各カラーごとに個別のマイクロミラーアレイが存在しているため、フレームを個別のカラーフィールドに分割する必要がない。カラーフィールドのそれぞれ(例:赤色フィールド86a、緑色フィールド86b、青色フィールド86c)を、フレームの持続時間と同じにすることができる。
[0035]説明のみを目的として、ディスプレイシステムを制御する1つの方法は、各マイクロミラーアレイ(例えば図2〜図5のマイクロミラーアレイ)を32個の領域に分割することである。例えば、領域のそれぞれが、512ピクセルの12ラインを含んでいることができる。別の装置構造として、各マイクロミラーアレイが任意の数のセクションに基づいて制御される装置構造が可能であり、この場合、セクションのそれぞれを任意の数の領域に更に分割することができ、領域のそれぞれが任意の数のラインを含んでいることができ、ラインのそれぞれが任意の数のピクセルを含んでいることができる。
[0036]図9は、本発明の一実施形態による、MMDディスプレイの中の高速応答光源とカラーフィールドとを制御するための変調シーケンス(modulation sequence)90を示している。カラーフィールドは、フレーム内の任意の時間区間(例えば図6〜図8におけるカラーフィールドのうちの1つ)とすることができる。これ以外の変調シーケンスも、本発明において有利に使用することができる。図示したように、カラーフィールドは8つのタイムスライスに分割されており、4個の領域の8つのグループにおいて32個の領域が制御される。別の実施形態においては、カラーフィールドを任意の数のタイムスライスに分割することができ、領域を任意の数のグループにおいて制御することができる。タイムスライスは、少なくとも1つのバイナリ加重時間区間93を含んでいることができ、更に、それぞれ持続時間が等しい複数のリニアビットセグメント(linear bit segment)94を含んでいることができる。バイナリ加重セグメント93は、領域のグループ間で任意の順序に編成することができる。この場合、バイナリ加重セグメントは、コントローラの帯域幅を低減することを目的として、領域のグループごとに位置がずれている。バイナリ加重セグメントの中のビットも、任意の順序に編成することができる。従って、ビット列は、いずれも同じものとする、又は、イメージャの領域(imager region)ごとに、又はイメージャの領域のグルーピングごとに異なるものとすることができる。
[0037]図10は、本発明の一実施形態による、イメージャの領域のグルーピングの1つのバイナリ加重セグメント(例えば、図9のイメージャの領域のグループの1つのバイナリ加重シーケンスの1つ)をビットブロックによって表している。図示したように、イメージャの領域のグループの最上位ビット(B5)は整列しているのに対し、他のビットは、コントローラの帯域幅を低減することを目的として互いにずれている。図には、1つ以上の領域のミラーの状態が更新されるミラー切換え期間102を示してある。
[0038]特定の実施形態においては、高速応答光源(例えば図2及び図3の高速応答光源のうちの1つ)は、カラーフィールドの時間区間の間、マイクロミラーアレイ全体のミラー状態がオフである場合、低強度の光を供給する。高速応答光源の応答時間が速いことと、特定のミラー切換えに対応するディスプレイの状態とが既知であることとにより、光源は、オン状態が存在しない変調時間単位の間、低強度の光を供給することができる。
[0039]説明を容易にするため、次の例について図9及び図10を参照しながら説明する。ある時間区間においてマイクロミラーアレイのミラーのいずれもオン状態ではない場合、高速応答光源は、その時間区間においては低強度の光を供給することができる。この時間区間は、1つ以上のバイナリビットの一部又は全体(one or more partial or full binary bits)、1つ以上のリニアビットの一部又は全体(one or more partial or full linear bits)、又はこれらの組合せである。
[0040]1つの側面においては、ある時間区間における高速応答光源からの低強度の光の供給は、ミラー切換え時において、又はミラー切換え時の後に実行し、なぜなら、ミラー切換え時には1つ以上のミラーグループが状態を変化させうるためである。例えば、図9のカラーフィールドの1つのタイムスライスの間(バイナリ加重時間区間は図10のように編成されている)、ミラー切り替えの後、カラーフィールドに対してマイクロミラーアレイ全体のミラーのいずれもオン状態にならない場合、高速応答光源は、次のミラー切り替えまで低強度の光を供給することができる。例えば、ミラー切り替え102m(図10)の後、カラーフィールドに対するバイナリ重みビット又はリニアビット(図9)において、ミラーアレイ全体のミラーのいずれもオン状態にならない場合、高速応答光源はミラー切換え102nまで低強度の光を供給することができる。従って、高速応答光源は、バイナリ変調セグメントの最上位ビット(B5)の間と、別の領域のリニアセグメントの一部の間、カラーフィールドに対してマイクロミラーアレイ全体に低強度の光を供給することができる。別の例においては、2つのミラー切換え時の間、例えば、ミラー切換え時102aと102bとの間(図10)、又は、バイナリビットの全体又は一部(図9)又はそれらの組合せと、リニアビット94の全体又は一部(図9)又はそれらの組合せに対応する2つのミラー切換え時の間、カラーフィールドに対してマイクロミラーアレイのミラーのいずれもオン状態ではない場合、高速応答光源は、それらのミラー切換え時の間、低強度の光を供給することができる。
[0041]従って、ある変調時間の間、マイクロミラーアレイが光エネルギを必要としない場合、高速応答光源は低強度の光を供給することができ、これにより、ディスプレイから漏れる光の量が低減する。結果として、ディスプレイシステムのコントラストが高まる、フルオン/フルオフコントラストが高まる、黒レベルが高まる、のうちの1つ以上を達成することができる。別の側面においては、あるカラーフィールドの時間区間の間、マイクロミラーアレイが光エネルギを必要としない場合、たとえフレーム内の別のカラーフィールドの時間区間の間にマイクロミラーアレイが高強度の光を必要としても、高速応答光源は依然として低強度の光を供給することができ、なぜなら、高速応答光源の応答時間が十分に速く、それらの時間区間の間に強度を変更できるためである。図9及び図10に示したように、原色の変調のそれぞれは独立しているため、光源は従来のアイリスシステムよりも長い時間にわたり低強度の光を維持することができる。なお、カラーフィールドの時間区間の間、高速応答光源から低強度の光を供給する本発明は、任意の変調方式において有利に使用できることを理解されたい。
[0042]特定の変調方式の場合、いくつかの変調ユニットが存在し、ミラー切換えが起こる前にアレイ全体が更新される。これらの状態の追跡は、コントローラから画像形成装置(imaging device)へのデータを走査することによって達成することができる。別の方法は、ディスプレイのアレイの内部状態を能動的に追跡して、次のミラー切換えの後にいずれか1つ以上のピクセルがオン状態になるかを判定することであり、これにより、低強度の光を更に長い時間にわたり供給することができる。一般的には、低強度の光を供給する時間が長いほど、光の漏れが少なく、コントラスト比が向上する。
[0043]特定の実施形態においては、高速応答光源(例えば図4の高速応答光源)は、すべてのマイクロミラーアレイのすべてのミラーのミラー状態がオフになる場合、その時間区間の間、低強度の光を供給する。説明を容易にするため、これらの実施形態について図4を参照しながら説明する。単一の高速応答光源41が存在しているため、3つのマイクロミラーアレイ43a,43b,43cには単一の光が導かれる。コントラスト又は黒レベルを高めるため、すべてのマイクロミラーアレイのミラーのいずれもオン状態ではない場合に低強度の光を供給することができる。
[0044]特定の実施形態においては、高速応答光源(例えば図5の高速応答光源)は、それぞれのマイクロミラーアレイのミラーのすべてがオフになる場合、その時間区間の間、低強度の光を供給する。説明を容易にするため、これらの実施形態について図5を参照しながら説明する。個々のマイクロミラーアレイ62に対して個別の高速応答光源が存在しているため、高速応答光源とそれに対応するマイクロミラーアレイとの組合せのそれぞれを、高速応答光源とそれに対応するマイクロミラーアレイとの別の組合せとは無関係に動作させることができる。例えば、マイクロミラーアレイ62aのミラーのいずれもオン状態ではない場合、マイクロミラーアレイ62b及び62cのミラーのいずれか1つ以上がオン状態になるか否かに関係なく、高速応答光源61aから低強度の光を供給することができる。
[0045]図11は、改善されたコントラスト比を提供するため、アレイのミラーの状態を能動的に追跡することによってカラーフィールドの高速応答光源を制御する、本発明の一実施形態による方法のステップ群の流れ図である。ステップ110において、コントローラ(例えば図2〜図5のコントローラ)が、次の時間区間においてマイクロミラーアレイのミラーのいずれか1つ以上がオン状態になるかを判定又は監視する。ステップ120においては、次の時間区間においてマイクロミラーアレイのミラーのいずれか1つ以上がオン状態になるかに応じて、コントローラはステップ130又はステップ140に進む。次の時間区間においてマイクロミラーアレイのミラーのいずれか1つ以上がオン状態になる場合、ステップ130において、高速応答光源が、その時間区間においてマイクロミラーアレイに高強度の光を供給する。次の時間区間においてマイクロミラーアレイのミラーのいずれもオン状態にならない場合、ステップ140において、高速応答光源が、その時間区間においてマイクロミラーアレイに低強度の光を供給する。以降の時間区間について、ステップ110を繰り返すことができる。コントローラは、本方法を実行するためにミラーの状態のすべてを格納する必要がない。時間区間の間、マイクロミラーアレイのミラーの1つがオン状態である限りは、その時間区間の間、高速応答光源は高強度の光を供給する。特定の側面においては、図11の方法は、整列型の変調方式(aligned modulation scheme)(例えば、図9及び図10の整列型の変調方式)において有利に実行することができ、なぜなら、ミラー切換え時が揃っているためである。
[0046]コントラスト比を改善するため高速応答光源から低強度の光を供給する、別の実施形態を考案することができる。例えば、ミラーをオン状態とオフ状態との間で切り換えるのにかかる時間の間、高速応答光源は低強度の光を供給することができる。従って、状態を切り換えるためのこれらの時間中に供給される余分な光を低減することができる。
[0047]上記の説明は、本発明の実施形態を対象としたものであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明のそれ以外の更なる実施形態を案出することができる。例えば、本明細書においては、本発明の実施形態について、図9及び図10の整列型の変調方式の1つに関連して説明してある。本発明の実施形態は、別の変調方式においても有利に使用することができる。例えば、米国特許第5,777,589号(Texas Instruments社に譲渡)明細書に記載されているビット分割方法と組み合わせて、本発明の実施形態を使用することができる。どのような変調方式であっても、ある時間区間においてマイクロミラーアレイが光を必要としない場合、高速応答光源は低強度の光を供給することができ、これにより、コントラスト比を下げる「漏れる」光の量が減少する。本明細書においては、マイクロミラーアレイを備えている空間光変調器に関連して本発明の実施形態を説明してある。本発明の実施形態は、デジタル変調方式の任意のディスプレイ(例えばLCD装置)においても有利に使用することができる。従って、本発明の範囲は、請求項によって定義されている。
バイナリ加重PWM方式の一例をビットブロックによって表している。
本発明の一実施形態による、高速応答光源と1つのマイクロミラーアレイとを含んでいるMMDディスプレイシステムの概略図である。
本発明の一実施形態による、3つの高速応答光源と1つのマイクロミラーアレイとを含んでいるMMDディスプレイシステムの概略図である。
本発明の一実施形態による、高速応答光源と3つのマイクロミラーアレイとを含んでいるMMDディスプレイシステムの概略図である。
本発明の一実施形態による、3つの高速応答光源と3つのマイクロミラーアレイとを含んでいるMMDディスプレイシステムの概略図である。
本発明の一実施形態による、カラーフィルタホイールを備えているMMDディスプレイシステムにおいてフレームをカラーフィールドに分割する方法を概念的に示しているタイミング図である。
本発明の一実施形態による、カラーフィルタホイールを備えていないMMDディスプレイにおいてフレームをカラーフィールドに分割する方法を概念的に示しているタイミング図である。
本発明の一実施形態による、各カラーに対して個別のマイクロミラーアレイが存在するMMDディスプレイにおいてフレームを制御する方法を概念的に示しているタイミング図である。
本発明の一実施形態による、カラーフィールド及び高速応答光源を制御するための変調シーケンスを示している。
本発明の一実施形態による、イメージャの領域のグルーピングの1つのバイナリ加重セグメント(例えば、図9のイメージャの領域のグループの1つのバイナリ加重シーケンスの1つ)をビットブロックによって表している。
コントラスト比を改善するため、本発明の一実施形態による、カラーフィールドの高速応答光源を制御する方法のステップ群の流れ図である。