JP2008260024A - 溶接構造物および構造物の溶接方法 - Google Patents

溶接構造物および構造物の溶接方法 Download PDF

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Rie Sumiya
利恵 角谷
Minoru Obata
稔 小畑
Tatsuya Kubo
達也 久保
Masayuki Asano
政之 淺野
Masao Itaya
雅雄 板谷
Shohei Kawano
昌平 川野
Mikiro Ito
幹郎 伊藤
Toshiyuki Saito
利之 斎藤
Masaaki Kikuchi
正明 菊池
Kiichi Ito
貴一 伊藤
Hajime Hirasawa
肇 平沢
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Abstract

【課題】溶接構造物を構成する材料と、溶接金属との線膨張係数の差を利用し、また複数の溶接金属を採用し、溶接部の引張残留応力を低減させ、または圧縮残留応力を導入させて、溶接部およびその近傍の残留応力分布を制御し、応力腐食割れに対して信頼性の高い溶接継手を構成する溶接構造物および構造物の溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接構造物1は、一対の母材2a、2bによりT継手が構成され、このT継手が溶接金属3によりすみ肉溶接されている。溶接金属3には、母材2の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、腐食環境に暴露される溶接構造物の溶接時の溶接熱影響による引張の残留応力を改善もしくは低減させた溶接構造物および構造物の溶接方法に関する。
一般に、腐食環境に暴露される溶接構造物の応力腐食割れ(SCC)の発生や進展、溶接構造物の疲労強度等の低下の原因のひとつに、溶接時の溶接熱影響による残留応力がある。
この溶接時の溶接熱影響による残留応力を低減する方法として、特許文献1から5では溶接材料のマルテンサイト変態等の変態膨張を利用して圧縮の残留応力を発生させる、または引張の残留応力を低減させる方法がある。
特開2003−251493号公報 特開2000−84670号公報 特開2000−33480号公報 特開2000−17380号公報 特公昭62−19953号公報
腐食環境に暴露される溶接構造物の溶接熱影響による引張残留応力に起因する応力腐食割れの対策として、溶接部表層部をショットピーニング等の手法により表面圧縮応力を形成して応力改善し、応力腐食割れの発生を防止する試みが行われている。
しかし、ショットピーニング等の手法では、応力改善される溶接部の深さは表層部に限定され、また製造工数の増加による製造コストの増大等の問題があり、応力腐食割れの防止に対して信頼性の高い溶接継手をより低コストで提供するための製造方法が求められている。
そこで、溶接熱影響による溶接部の板厚(深さ)方向および平面方向の残留応力の分布制御、あるいは溶接部へ積極的に圧縮残留応力を導入することにより、応力腐食割れに対して裕度の大きい溶接部を有する溶接構造物を提供することができる。
従来技術では、溶接金属のマルテンサイト変態による変態膨張を利用して、溶接部の板厚方向の内部まで引張残留応力を低減する方法が示されているが、原子力発電プラントにおける原子炉圧力容器内の炉内構造物のような腐食環境で使用される溶接構造物では、耐食性等の問題により適用には適さない。
本発明はこれらの課題を解決するために溶接構造物を構成する材料と、溶接金属との線膨張係数の差を利用し、また複数の溶接金属を採用し、もしくは溶接構造物の溶接後に溶接部を加熱し、冷却することで、溶接部およびその近傍の引張残留応力を低減させ、または圧縮残留応力を導入させて、溶接部近傍の残留応力分布を制御し、応力腐食割れに対して信頼性の高い溶接継手を構成する溶接構造物および構造物の溶接方法を提供する。
上述の課題を解決するため本発明では、腐食環境に暴露される溶接構造物において、線膨張係数が母材と異なる溶接金属を溶着して形成され、前記溶接構造物を使用する温度域で前記溶接部近傍の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう応力を制御する溶接部を有することを特徴とする溶接構造物を提供する。
また、本発明では、腐食環境に暴露される溶接構造物において、線膨張係数が母材と異なる溶接金属を溶着して形成され、前記溶接構造物を使用する温度域で前記溶接部近傍の前記母材の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう応力を制御する溶接部を有することを特徴とする溶接構造物を提供する。
さらに、本発明では、腐食環境に暴露される溶接部を有する構造物の溶接方法において、線膨張係数が母材と異なる溶接金属を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、前記構造物を使用する温度域で前記溶接部近傍の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう前記溶接部に使用される溶接金属によって応力を制御することを特徴とする構造物の溶接方法を提供する。
さらにまた、本発明では、腐食環境に暴露される溶接部を有する構造物の溶接方法において、線膨張係数が母材と異なる溶接金属を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、前記溶接構造を使用する温度域で前記溶接部近傍の前記母材の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう前記溶接部に使用される溶接金属によって応力を制御することを特徴とする構造物の溶接方法を提供する。
溶接構造物を構成する材料と、溶接金属との線膨張係数の差を利用し、また複数の溶接金属を採用し、もしくは溶接構造物の溶接後に溶接部を加熱し、冷却することで、溶接部およびその近傍の引張残留応力を低減させ、または圧縮残留応力を導入させて、溶接部近傍の残留応力分布を制御し、応力腐食割れに対して信頼性の高い溶接継手を構成する溶接構造物および構造物の溶接方法を提供できる。
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、応力は引張応力を正、圧縮応力を負として扱う。
[第1の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第1実施形態について、図1を参照して説明する。
図1(A)と(B)とは溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図である。
溶接構造物1は片側面または両側面(図1(A)中では溶接構造物1の上下面)のうち少なくとも一方の面は腐食環境に暴露される。
溶接構造物1は、一対の母材2a、2bによりT継手が構成され、このT継手が溶接金属3によりすみ肉溶接されている。なお、溶接構造物1では母材2の継手にT継手が使用されているが、突合せ継手、十字継手、角継手、当て金継手、重ね継手またはへり継手などの継手で構成しても良く、また継手の開先形状は、I型、V型、レ型、X型、U型、K型、J型またはH型などの開先を使用することができる。
溶接金属3には、溶接構造物1の母材2の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。本実施形態では、一例として溶接構造物1の母材2にはSUS316L1が使用され、溶接金属3にはインコネル82が使用されて溶接構造物1が構成される。
このように構成された本実施形態における溶接構造物1の室温における残留応力分布は、溶接線方向では図1(C)の線分5、溶接線の直角方向では図1(D)の線分9に示すように溶接線近傍で高い引張残留応力となる。
本実施形態における溶接構造物1の母材2と溶接金属3との20〜300℃におけるそれぞれの平均線膨張係数は、母材2のSUS316Lが1.7×10−5と、溶接金属3のインコネル82が1.5×10−5とであり、溶接構造物1を使用する環境(腐食環境)における温度(以下、単に「運転温度」という。)が約300℃の環境においては、溶接金属3の線膨張係数の方が母材2の線膨張係数よりも小さい。
溶接構造物1を使用する環境(腐食環境)における運転温度(本実施形態においては約300℃程度)は室温よりも高く、溶接金属3の線膨張係数が母材2の線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3は母材2に比べて温度上昇による長さの変化が小さく、溶接金属3は母材2を縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1の運転温度における応力分布は、溶接線方向では図1(C)の線分6、溶接線の直角方向では図1(D)の線分10に示すように溶接線近傍の引張残留応力が緩和される。
なお、溶接構造物1を使用する環境(腐食環境)における運転温度が室温よりも低い場合は、溶接金属3に母材2よりも大きい線膨張係数を有する材料を使用することで、溶接金属3は母材2に比べて温度降下による長さの変化が大きく、溶接金属3は母材2を縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1の運転温度における応力分布は、溶接線方向では図1(C)の線分6、溶接線の直角方向では図1(D)の線分10に示すように溶接線近傍の引張残留応力が緩和される。
本実施形態によれば、溶接構造物1の運転温度では溶接構造物1の溶接部近傍の引張残留応力は低下し、例えば高温水中などの腐食環境下で溶接構造物1を使用する場合には耐応力腐食割れ感受性が改善される。
[第2の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第2実施形態について、図2を参照して説明する。
この溶接構造物1Aにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図2(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図である。
溶接構造物1Aは配管形状に構成され、この内面は腐食環境に暴露される。
図2(A)に示された溶接構造物1Aは、配管形状の一対の母材2Aa、2Abにより突合せ継手が構成され、この突合せ継手が溶接金属3Aにより突合せ溶接されている。なお、溶接構造物1Aでは母材2Aの継手に突合せ継手が使用されているが、T継手、十字継手、角継手、当て金継手、重ね継手またはへり継手などの継手で構成しても良く、また継手の開先形状は、I型、V型、レ型、X型、U型、K型、J型またはH型などの開先を使用することができる。
溶接金属3Aには、溶接構造物1Aの母材2Aの線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する材料が使用される。本実施形態では、一例として溶接構造物1Aの母材2Aにはインコネル600が使用され、溶接金属3AにはY308Lが使用されて溶接構造物1Aが構成される。
このように構成された本実施形態における溶接構造物1Aの溶接部近傍では母材2Aは配管円周長を絞る方向へ溶接金属3Aにより拘束される。そうすると、溶接構造物1Aの内表面側溶接部近傍の室温における残留応力分布は、配管軸方向では図2(B)の線分13に示すように溶接線近傍で高い引張残留応力となる。
本実施形態における溶接構造物1Aの母材2Aと溶接金属3Aとの運転温度(約300℃)の環境における線膨張係数は、溶接金属3Aの線膨張係数の方が母材2Aの線膨張係数よりも大きい。
溶接構造物1Aを使用する環境(腐食環境)における運転温度(本実施形態においては約300℃程度)は室温よりも高く、溶接金属3Aの線膨張係数が母材2Aの線膨張係数に比べて大きいため、溶接金属3Aは母材2Aに比べて温度上昇による長さの変化が大きく、溶接構造物1Aの溶接線近傍では溶接金属3Aは母材2Aの配管円周長を絞る拘束を緩和する方向へ作用をする。そうすると、溶接構造物1Aの運転温度における応力分布は、配管軸方向では図2(B)の線分14に示すように溶接線近傍の引張残留応力が緩和される。
なお、溶接構造物1Aを使用する環境(腐食環境)における運転温度が室温よりも低い場合は、溶接金属3Aに母材2Aよりも小さい線膨張係数を有する材料を使用することで、溶接金属3Aは母材2Aに比べて温度降下による長さの変化が小さく、溶接構造物1Aの溶接線近傍では溶接金属3Aは母材2Aの配管円周長を絞る拘束を緩和する方向へ作用をする。そうすると、溶接構造物1Aの運転温度における応力分布は、配管軸方向では図2(B)の線分14に示すように溶接線近傍の引張残留応力が緩和される。
本実施形態によれば、溶接構造物1Aの運転温度では溶接構造物1Aの溶接部近傍の引張残留応力は低下し、例えば高温水中などの腐食環境下で溶接構造物1Aを使用する場合には耐応力腐食割れ感受性が改善される。
[第3の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第3実施形態について、図3を参照して説明する。
この溶接構造物1Bにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す断面図である。
溶接構造物1Bは片側面または両側面(図3(A)中では溶接構造物1Bの上下面)のうち少なくとも一方の面は腐食環境に暴露される。
図3(A)に示された溶接構造物1Bは、一対の母材2Ba、2Bbにより突合せ継手が構成され、この突合せ継手が溶接金属3Bと溶接金属3Cとにより突合せ溶接されている。なお、溶接構造物1Bでは母材2Bの継手に突合せ継手が使用されているが、T継手、十字継手、角継手、当て金継手、重ね継手またはへり継手などの継手で構成しても良く、また継手の開先形状は、I型、V型、レ型、X型、U型、K型、J型またはH型などの開先を使用することができる。
溶接金属3Bには、溶接構造物1Bの母材2Bの線膨張係数と同等の線膨張係数を有する材料が使用される。溶接金属3Cには、母材2Bおよび溶接金属3Bの線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。
本実施形態では、一例として溶接構造物1Bの母材2BにはSUS316L1が使用され、溶接金属3BにはY308Lが使用され、溶接金属3Cにはインコネル82が使用されて溶接構造物1Bが構成される。
溶接構造物1Bの溶接部は、積層の初期と終期とに溶接金属3Bを使用し、積層の中期に溶接金属3Cを使用し溶接部が構成される。
このように構成された本実施形態における溶接構造物1Bの室温における溶接線の厚み方向の残留応力分布は、溶接線の直角方向では図3(B)に示すように溶接線外表面近傍で高い引張残留応力となる。
本実施形態における溶接構造物1Bの母材2Bと、溶接金属3Bと、溶接金属3Cとの運転温度(約300℃)の環境における線膨張係数は、溶接金属3Cの線膨張係数の方が母材2Bおよび溶接金属3Bの線膨張係数よりも小さい。
溶接構造物1Bを使用する環境(腐食環境)における運転温度(本実施形態においては約300℃程度)は室温よりも高く、溶接金属3Cの線膨張係数が母材2Bおよび溶接金属3Bの線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3Cは母材2Bおよび溶接金属3Bに比べて温度上昇による長さの変化が小さく、図3(C)に示すように溶接金属3Cは母材2Bおよび溶接金属3Bを縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Bの運転温度における溶接線の厚み方向の応力分布は、溶接線の直角方向では図3(D)に示すように腐食環境に暴露される溶接構造物1Bの表面近傍の引張残留応力が緩和される。
なお、溶接構造物1Bを使用する環境(腐食環境)における運転温度が室温よりも低い場合は、溶接金属3Cに母材2Bおよび溶接金属3Bよりも大きい線膨張係数を有する材料を使用することで、溶接金属3Cは母材2Bおよび溶接金属3Bに比べて温度降下による長さの変化が大きく、図3(C)に示すように溶接金属3Cは母材2Bおよび溶接金属3Bを縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Bの運転温度における溶接線の厚み方向の応力分布は、溶接線の直角方向では図3(D)に示すように腐食環境に暴露される溶接構造物1Bの表面近傍の引張残留応力が緩和される。
本実施形態によれば、溶接構造物1Bの運転温度では溶接構造物1Bの溶接部表面近傍の引張残留応力は低下し、例えば高温水中などの腐食環境下で溶接構造物1Bを使用する場合には耐応力腐食割れ感受性が改善される。
[第4の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第4実施形態について、図4を参照して説明する。
この溶接構造物1Cにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す断面図である。
溶接構造物1Cは片側面または両側面(図4(A)中では溶接構造物1Cの上下面)のうち少なくとも一方の面は腐食環境に暴露される。
図4(A)に示された溶接構造物1Cは、一対の母材2Ca、2Cbにより突合せ継手が構成され、この突合せ継手が溶接金属3Dと溶接金属3Eとにより突合せ溶接されている。なお、溶接構造物1Cでは母材2Cの継手に突合せ継手が使用されているが、T継手、十字継手、角継手、当て金継手、重ね継手またはへり継手などの継手で構成しても良く、また継手の開先形状は、I型、V型、レ型、X型、U型、K型、J型またはH型などの開先を使用することができる。
溶接金属3Dには、溶接構造物1Cの母材2Cおよび溶接金属3Eの線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。溶接金属3Eには、母材2Cの線膨張係数と同等の線膨張係数を有する材料が使用される。
本実施形態では、一例として溶接構造物1Cの母材2CにはSUS316L1が使用され、溶接金属3Dにはインコネル82が使用され、溶接金属3EにはY308Lが使用されて溶接構造物1Cが構成される。
溶接構造物1Cの溶接部は、積層の初期と終期とに溶接金属3Dを使用し、積層の中期に溶接金属3Eを使用し溶接部が構成される。
このように構成された本実施形態における溶接構造物1Cの室温における溶接線の厚み方向の残留応力分布は、母材2Cの板厚が数10mmの場合、溶接線の直角方向では図4(B)の線分18aに示すように溶接線外表面近傍で高い引張残留応力となる。
ここで、溶接構造物1Cの溶接部表面に表面改善処理を行う(表面改善処理層16)と溶接線外表面近傍に圧縮の残留応力が導入され、溶接線の厚み方向の残留応力分布は溶接線の直角方向では図4(C)の線分18bのように溶接線外表面近傍で圧縮残留応力となり、溶接部の板厚方向中央へ向かうにつれて引張残留応力となり、さらに溶接部の板厚方向中央付近では圧縮残留応力となる。
ここで、表面改善処理とは、母材2Cおよび溶接金属3Dの表面に、例えばショットピーニングやレーザピーニングやウォータジェットピーニングを個々に施し、母材2Cおよび溶接金属3Dの表面の残留応力改善を行うことである。ショットピーニングは、母材2Cおよび溶接金属3Dの表面に小さな金属球(ショット)を高速度で当てて残留応力を改善し、また表面の疲労強度や耐磨耗性、耐応力腐食特性を向上させる。レーザピーニングは、母材2Cおよび溶接金属3Dの表面にエネルギの大きなパルスレーザを照射して、母材2Cおよび溶接金属3Dを構成する材料の原子のプラズマを表面に発生させ、このプラズマ発生の反力による衝撃波を母材2Cおよび溶接金属3Dの中を伝播させて、残留応力を改善させる。また、ウォータジェットピーニングは、母材2Cおよび溶接金属3Dの表面に水流を高速度で当てて残留応力を改善させる。
本実施形態における溶接構造物1Cの母材2Cと、溶接金属3Dと、溶接金属3Eとの運転温度(約300℃)の環境における線膨張係数は、溶接金属3Dの線膨張係数の方が母材2Cおよび溶接金属3Eの線膨張係数よりも小さい。
溶接構造物1Cを使用する環境(腐食環境)における運転温度(本実施形態においては約300℃程度)は室温よりも高く、溶接金属3Dの線膨張係数が母材2Cおよび溶接金属3Eの線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3Dは母材2Cおよび溶接金属3Eに比べて温度上昇による長さの変化が小さく、溶接金属3Dは溶接金属3Eに伸ばされるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Cの運転温度における溶接線の厚み方向の応力分布は、溶接線の直角方向では図4(C)の線分19に示すように腐食環境に暴露される溶接構造物1Cの表面近傍で圧縮残留応力を維持できる。
溶接線の厚み方向の残留応力は、応力腐食割れの亀裂進展に影響をおよぼす。
本実施形態によれば、溶接構造物1Cの運転温度では溶接構造物1Cの溶接部表面近傍は圧縮残留応力が導入され、かつ仮に溶接部近傍の表面に亀裂が発生した際には、厚み方向中央部の圧縮残留応力により亀裂の進展を防ぐことができ、例えば高温水中などの腐食環境下で溶接構造物1Cを使用する場合には耐応力腐食割れ感受性が改善される。
[第5の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第5実施形態について、図5を参照して説明する。
この溶接構造物1Dにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す断面図である。
溶接構造物1Dは片側面または両側面(図5(A)中では溶接構造物1Dの上下面)のうち少なくとも一方の面は腐食環境に暴露される。
図5(A)に示された溶接構造物1Dは、母材2に割れ21が発生し、この割れ21を覆うように溶接金属3が溶接されている。
溶接金属3には、溶接構造物1Dの母材2の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。本実施形態では、一例として母材2にはSUS316L1が使用され、溶接金属3にはインコネル82が使用されて溶接構造物1Dが構成される。
応力腐食割れは、一般に環境、応力、材料の3因子の重畳で発生に至るとされている。そこで、割れ21を周囲の環境から隔離することで割れ21の進展や新たな割れの発生を防ぐことができる。
溶接構造物1Dを使用する環境(腐食環境)における運転温度(本実施形態においては約300℃程度)は室温よりも高く、溶接金属3の線膨張係数が母材2の線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3は母材2に比べて温度上昇による長さの変化が小さく、溶接金属3は母材2を縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Dの運転温度における溶接構造物1Dの割れ21近傍の母材2の厚み方向の応力分布は、溶接線方向では図5(B)の線分22に示すように圧縮応力が導入される。溶接構造物1Dの室温における表面の引張残留応力が高い場合は、運転温度において割れ21近傍の母材2は圧縮応力状態とならないこともあるが、引張残留応力を低減させる効果はあり、割れ21の新たな進展を防ぎあるいは軽減することができる。
なお、溶接構造物1Dを使用する環境(腐食環境)における運転温度が室温よりも低い場合は、溶接金属3に母材2よりも大きい線膨張係数を有する材料を使用することで、溶接金属3は母材2に比べて温度降下による長さの変化が大きく、溶接金属3は母材2を縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Dの運転温度における溶接構造物1Dの割れ21近傍の母材2の厚み方向の応力分布は、溶接線方向では図5(B)の線分22に示すように圧縮応力が導入される。溶接構造物1Dの室温における表面の引張残留応力が高い場合は、運転温度において割れ21近傍の母材2は圧縮応力状態とならないこともあるが、引張残留応力を低減させる効果はあり、割れ21の新たな進展を防ぎあるいは軽減することができる。
本実施形態によれば、溶接構造物1Dの運転温度では溶接構造物1Dの割れ21近傍の母材2の引張残留応力は低下し、例えば高温水中などの腐食環境下で溶接構造物1Dを使用する場合には割れ21の進展を防ぎあるいは軽減して耐応力腐食割れ感受性が改善される。
[第6の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第6実施形態について、図6を参照して説明する。
この溶接構造物1Eにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図6(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す断面図である。
溶接構造物1Eは片側面または両側面(図6(A)中では溶接構造物1Eの上下面)のうち少なくとも一方の面は腐食環境に暴露される。
図6(A)に示された溶接構造物1Eは、母材2に割れ21が発生し、この割れ21を覆うように当て板24が母材2に当てられて、この当て金24の周囲が溶接金属3で溶接されている。
溶接金属3と当て金24とは、溶接構造物1Eの母材2の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。本実施形態では、一例として溶接構造物1Eの母材2にはSUS316L1が使用され、溶接金属3にはインコネル82が使用され、当て金24にはインコネル600が使用されて溶接構造物1Eが構成される。
応力腐食割れは、一般に環境、応力、材料の3因子の重畳で発生に至るとされている。そこで、割れ21を周囲の環境から隔離することで割れ21の進展や新たな割れの発生を防ぐことができる。
溶接構造物1Eを使用する環境(腐食環境)における運転温度(本実施形態においては約300℃程度)は室温よりも高く、溶接金属3および当て金24の線膨張係数が母材2の線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3および当て金24は母材2に比べて温度上昇による長さの変化が小さく、溶接金属3および当て金24は母材2を縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Eの運転温度における溶接構造物1Eの割れ21近傍の母材2の厚み方向の応力分布は、溶接線方向では図6(B)の線分25に示すように圧縮応力が導入される。溶接構造物1Eの室温における表面の引張残留応力が高い場合は、運転温度において割れ21近傍の母材2は圧縮応力状態とならないこともあるが、引張残留応力を低減させる効果はあり、割れ21の新たな進展を防ぎあるいは軽減することができる。
なお、溶接構造物1Eを使用する環境(腐食環境)における運転温度が室温よりも低い場合は、溶接金属3および当て金24に母材2よりも大きい線膨張係数を有する材料を使用することで、溶接金属3および当て金24は母材2に比べて温度降下による長さの変化が大きく、溶接金属3および当て金24は母材2を縮ませるような作用をする。そうすると、溶接構造物1Eの運転温度における溶接構造物1Eの割れ21近傍の母材2の厚み方向の応力分布は、溶接線方向では図5(B)の線分22に示すように圧縮応力が導入される。溶接構造物1Eの室温における表面の引張残留応力が高い場合は、運転温度において割れ21近傍の母材2は圧縮応力状態とならないこともあるが、引張残留応力を低減させる効果はあり、割れ21の新たな進展を防ぎあるいは軽減することができる。
本実施形態によれば、溶接構造物1Eの運転温度では溶接構造物1Eの割れ21近傍の母材2の引張残留応力は低下し、例えば高温水中などの腐食環境下で溶接構造物1Eを使用する場合には割れ21の進展を防ぎあるいは軽減して耐応力腐食割れ感受性が改善される。
[第7の実施形態]
本発明に係る溶接構造物および構造物の溶接方法の第7実施形態について、図7を参照して説明する。
この溶接構造物1Fにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図7(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す断面図である。
図7(A)に示された溶接構造物1Fは、一対の母材2a、2bにより突合せ継手が構成され、この突合せ継手が溶接金属3Fと溶接金属3Gとにより突合せ溶接されている。なお、溶接構造物1Fでは母材2の継手に突合せ継手が使用されているが、T継手、十字継手、角継手、当て金継手、重ね継手またはへり継手などの継手で構成しても良く、また継手の開先形状は、I型、V型、レ型、X型、U型、K型、J型またはH型などの開先を使用することができる。
溶接構造物1Fは溶接金属3F側の面(図7(A)中では溶接構造物1Fの上面)は腐食環境に暴露される。
溶接構造物1Fの溶接金属3Fには、溶接金属3Gの線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。本実施形態では、一例として溶接構造物1Fの溶接金属3GにはY308Lが使用され、溶接金属3Fにはインコネル82が使用されて溶接構造物1Fが構成される。
このように構成された本実施形態における溶接構造物1Fの室温における溶接線の厚み方向の残留応力分布は、溶接線の直角方向では図7(B)の線分27に示すように溶接金属3F表面近傍で高い引張残留応力となる。溶接構造物1Fの溶接部を一様に加熱すると、溶接金属3Fの線膨張係数が溶接金属3Gの線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3Fは溶接金属3Gに比べて温度上昇による長さの変化が小さく、溶接金属3Fと溶接金属3Gとはそれぞれの材料特性(降伏強度、圧縮降伏強度)と断面積比との関係により、図7(C)の線分28に示すように熱応力が生じて溶接金属3F側が引張降伏するか、溶接金属3G側が圧縮降伏する。この後、溶接構造物1Fを冷却すると腐食環境に暴露される溶接金属3F側の面における残留応力は、溶接線の直角方向では図7(D)線分29に示すように引張残留応力が緩和され、または圧縮残留応力が導入される。
溶接部の加熱方法としては、高周波加熱や赤外線などの輻射加熱などの温度制御性の良い方法が望ましい。また、加熱温度は使用温度以上でも、使用温度以下でも良く、選択する溶接金属の種類により選定する必要がある。
本実施形態によれば、溶接構造物1Fの運転温度では溶接構造物1Fが腐食環境に暴露される面に存在する溶接部近傍の引張残留応力は低下または圧縮残留応力が導入され、例えば水中などの腐食環境下で溶接構造物1Fを使用する場合には耐応力腐食割れ感受性が改善される。
また、溶接構造物1Fは、溶接金属3Gの線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する材料を、腐食環境に暴露される溶接金属3Fに使用して構成してもよい。溶接部を冷却して溶接金属3F側が引張降伏するか、溶接金属3G側が圧縮降伏することでも同様の効果を得る。
[第8の実施形態]
本発明に係る構造物の溶接方法の第8実施形態について、図8を参照して説明する。
この溶接構造物1Gにおいて第1実施形態の溶接構造物1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図8(A)は溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す断面図である。
図8(A)に示された溶接構造物1Gは、一対の母材2a、2bにより突合せ継手が構成され、この突合せ継手が溶接金属3Fと溶接金属3Gとにより突合せ溶接されている。この溶接金属3Fと溶接金属3Gとの溶接部は、溶接金属3Fが溶接構造物1Gの溶接部の表面側の層を構成し、溶接金属3Gが溶接構造物1Gの溶接部の中央部の層を構成するよう多層に溶接されている。なお、溶接構造物1Gでは母材2の継手に突合せ継手が使用されているが、T継手、十字継手、角継手、当て金継手、重ね継手またはへり継手などの継手で構成しても良く、また継手の開先形状は、I型、V型、レ型、X型、U型、K型、J型またはH型などの開先を使用することができる。
溶接構造物1Gの溶接金属3Fの面(図8(A)中では溶接構造物1Gの上下面)は腐食環境に暴露される。
溶接構造物1Gの溶接金属3Fには、溶接金属3Gの線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料が使用される。本実施形態では、一例として溶接構造物1Gの溶接金属3GにはY308Lが使用され、溶接金属3Fにはインコネル82が使用されて溶接構造物1Gが構成される。
このように構成された本実施形態における溶接構造物1Gの室温における溶接線の厚み方向の残留応力分布は、溶接線の直角方向では図8(B)の線分31に示すように溶接金属3F表面近傍で高い引張残留応力となる。溶接構造物1Gの溶接部を一様に加熱すると、溶接金属3Fの線膨張係数が溶接金属3Gの線膨張係数に比べて小さいため、溶接金属3Fは溶接金属3Gに比べて温度上昇による長さの変化が小さく、溶接金属3Fと溶接金属3Gとはそれぞれの材料特性(降伏強度、圧縮降伏強度)と断面積比との関係により、図8(C)の線分32に示すように熱応力が生じて溶接金属3F側が引張降伏するか、溶接金属3G側が圧縮降伏する。この後、溶接構造物1Fを冷却すると腐食環境に暴露される溶接金属3F側の面における応力は、溶接線の直角方向では図8(D)の線分33に示すように引張残留応力が緩和され、または圧縮残留応力が導入される。
溶接部の加熱方法としては、高周波加熱や赤外線などの輻射加熱などの温度制御性の良い方法が望ましい。また、加熱温度は使用温度以上でも、使用温度以下でも良く、選択する溶接金属の種類により選定する必要がある。
本実施形態によれば、溶接構造物1Gの運転温度では溶接構造物1Gが腐食環境に暴露される面に存在する溶接部近傍の引張残留応力は低下または圧縮残留応力が導入され、例えば水中などの腐食環境下で溶接構造物1Gを使用する場合には耐応力腐食割れ感受性が改善される。
また、溶接構造物1Gは、溶接金属3Gの線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する材料を、腐食環境に暴露される溶接金属3Fに使用して構成してもよい。溶接部を冷却して溶接金属3F側が引張降伏するか、溶接金属3G側が圧縮降伏することでも同様の効果を得る。
(A)、(B)は本発明に係る溶接構造物の第1実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(C)は本発明に係る溶接構造物の第1実施形態における溶接部近傍の溶接線方向の応力分布を示す図、(D)は本発明に係る溶接構造物の第1実施形態における溶接部近傍の溶接線に直角な方向の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第2実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)は本発明に係る溶接構造物の第2実施形態における配管内面の表面近傍の配管長手軸方向の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第3実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)、(C)および(D)は本発明に係る溶接構造物の第3実施形態における溶接部の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第4実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)および(C)は本発明に係る溶接構造物の第4実施形態における溶接部の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第5実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)は本発明に係る溶接構造物の第5実施形態における溶接部の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第6実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)は本発明に係る溶接構造物の第6実施形態における溶接部の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第7実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)、(C)および(D)は本発明に係る溶接構造物の第7実施形態における溶接部の応力分布を示す図。 (A)は本発明に係る溶接構造物の第8実施形態であり、溶接構造物材料の母材と線膨張係数が異なる溶接金属とを使用して構成された溶接構造物の一例を示す図、(B)、(C)および(D)は本発明に係る溶接構造物の第8実施形態における溶接部の応力分布を示す図。
符号の説明
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G 溶接構造物
2、2a、2b、2Aa、2Ab、2Ba、2Bb、2Ca、2Cb 母材
3、3A、3Ba、3Bb、3C、3Da、3Db、3E、3F、3G 溶接金属
5、6、9、10、13、14、15a、15b、15c、18a、18b、19、22、25、27、28、29、31、32、33 線分
16 表面改善処理層
21 割れ
24 当て板

Claims (40)

  1. 腐食環境に暴露される溶接構造物において、
    線膨張係数が母材と異なる溶接金属を溶着して形成され、
    前記溶接構造物を使用する温度域で前記溶接部近傍の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう応力を制御する溶接部を有することを特徴とする溶接構造物。
  2. 腐食環境に暴露される溶接構造物において、
    線膨張係数が母材と異なる溶接金属を溶着して形成され、
    前記溶接構造物を使用する温度域で前記溶接部近傍の前記母材の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう応力を制御する溶接部を有することを特徴とする溶接構造物。
  3. 前記溶接構造物は、
    前記母材の線膨張係数よりも、前記溶接金属の線膨張係数のほうが大きい材料により構成され、
    室温よりも高い温度環境で使用されることを特徴とする請求項2に記載された溶接構造物。
  4. 前記溶接構造物は、
    前記母材の線膨張係数よりも、前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料により構成され、
    室温よりも低い温度環境で使用されることを特徴とする請求項2に記載された溶接構造物。
  5. 前記溶接部は、
    線膨張係数が異なる複数の溶接金属を使用して複数回の溶接パスで多層に積層されて溶接されたことを特徴とする請求項1に記載された溶接構造物。
  6. 前記溶接部は、
    前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料により構成され、
    室温よりも高い温度環境で使用されることを特徴とする請求項5に記載された溶接構造物。
  7. 室温環境下で前記溶接部の表面層に引張残留応力と、内部に圧縮残留応力とが保持された前記溶接構造物において、
    前記溶接部は、前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料により構成され、
    室温よりも高い温度環境で使用されることを特徴とする請求項5に記載された溶接構造物。
  8. 室温環境下で前記溶接部の表面層に引張残留応力と、内部に圧縮残留応力とが保持された前記溶接構造物において、
    前記溶接部は、前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが大きい材料により構成され、
    室温よりも低い温度環境で使用されることを特徴とする請求項5に記載された溶接構造物。
  9. 前記溶接部の表面に残留応力改善処理を行うことを特徴とする請求項7または8に記載された溶接構造物。
  10. 前記溶接構造物は、
    前記母材に発生した欠陥を、線膨張係数が前記母材と異なる前記溶接金属を溶着してなる溶接部で覆い、
    前記溶接構造を使用する温度域で前記母材に発生した前記欠陥近傍の応力を制御することを特徴とする請求項1に記載された溶接構造物。
  11. 前記溶接構造物は、
    母材に発生した欠陥を、線膨張係数が前記母材と異なる当て板と前記溶接金属とを溶着してなる溶接部で覆い、
    前記溶接構造を使用する温度域で前記母材に発生した前記欠陥近傍の応力を制御することを特徴とする請求項1に記載された溶接構造物。
  12. 前記溶接部は、
    前記欠陥の発生した前記母材の線膨張係数よりも、前記溶接金属もしくは前記当て板の線膨張係数のほうが小さい材料により構成され、
    室温よりも高い温度環境で使用されることを特徴とする請求項10または11に記載された溶接構造物。
  13. 前記溶接部は、
    前記欠陥の発生した母材の線膨張係数よりも、前記溶接金属もしくは前記当て板の線膨張係数のほうが大きい材料により構成され、
    室温よりも低い温度環境で使用されることを特徴とする請求項10または11に記載された溶接構造物。
  14. 前記溶接部は、
    線膨張係数が異なる複数の前記溶接金属を使用して複数回の溶接パスで多層に積層されて溶接され、室温以上の温度に一定時間加熱された後に冷却され、
    室温よりも高い温度環境で使用されることを特徴とする請求項1に記載された溶接構造物。
  15. 前記溶接部は、
    線膨張係数が異なる複数の前記溶接金属を使用して複数回の溶接パスで多層に積層されて溶接され、室温以上の温度に一定時間冷却された後に加熱され、
    室温よりも低い温度環境で使用されることを特徴とする請求項1に記載された溶接構造物。
  16. 前記溶接部は、
    前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料により構成されたことを特徴とする請求項14に記載された溶接構造物。
  17. 前記溶接部は、
    前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが大きい材料により構成されたことを特徴とする請求項15に記載された溶接構造物。
  18. 前記溶接部を加熱する手段が、
    高周波加熱、赤外線などの輻射加熱であることを特徴とする請求項14に記載された溶接構造物。
  19. 前記溶接部は、
    前記溶接構造物の使用温度以上の温度に一定時間加熱された後に冷却されたことを特徴とする請求項14に記載された溶接構造物。
  20. 前記溶接構造物は、
    前記母材に使用される材料がオーステナイト系ステンレス鋼であり、前記溶接金属に使用される材料がニッケル基合金を含むことを特徴とする請求項5に記載された溶接構造物。
  21. 腐食環境に暴露される溶接部を有する構造物の溶接方法において、
    線膨張係数が母材と異なる溶接金属を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    前記構造物を使用する温度域で前記溶接部近傍の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう前記溶接部に使用される溶接金属によって応力を制御することを特徴とする構造物の溶接方法。
  22. 腐食環境に暴露される溶接部を有する構造物の溶接方法において、
    線膨張係数が母材と異なる溶接金属を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    前記溶接構造を使用する温度域で前記溶接部近傍の前記母材の残留引張応力を緩和もしくは圧縮応力となるよう前記溶接部に使用される溶接金属によって応力を制御することを特徴とする構造物の溶接方法。
  23. 前記溶接部は、
    前記母材の線膨張係数よりも前記溶接金属の線膨張係数のほうが大きい材料を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも高い温度環境で使用されることを特徴とする請求項22に記載された構造物の溶接方法。
  24. 前記溶接部は、
    前記母材の線膨張係数よりも前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも低い温度環境で使用されることを特徴とする請求項22に記載された構造物の溶接方法。
  25. 前記溶接部は、
    線膨張係数が異なる複数の溶接金属を使用して複数回の溶接パスで多層に積層して、前記母材と前記溶接金属とを溶着することを特徴とする請求項21に記載された構造物の溶接方法。
  26. 前記溶接部は、
    前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料を使用して、前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも高い温度環境で使用することを特徴とする請求項25に記載された構造物の溶接方法。
  27. 室温環境下で前記溶接部の表面層に引張残留応力と、内部に圧縮残留応力とが保持された前記溶接構造物において、
    前記溶接部は、前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料を使用して前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも高い温度環境で使用することを特徴とする請求項25に記載された構造物の溶接方法。
  28. 室温環境下で前記溶接部の表面層に引張残留応力と、内部に圧縮残留応力とが保持された前記溶接構造物において、
    前記溶接部は、前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが大きい材料を使用して、前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも低い温度環境で使用することを特徴とする請求項25に記載された構造物の溶接方法。
  29. 前記溶接部の表面に残留応力改善処理を行うことを特徴とする請求項27または28に記載された構造物の溶接方法。
  30. 前記溶接部は、
    前記母材に発生した欠陥を、線膨張係数が前記母材と異なる前記溶接金属を使用して、前記欠陥を覆うように前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    前記溶接構造を使用する温度域で前記母材に発生した前記欠陥近傍の応力を制御することを特徴とする請求項21に記載された構造物の溶接方法。
  31. 前記溶接部は、
    前記母材に発生した欠陥を、線膨張係数が母材と異なる当て板と前記溶接金属とを使用して、前記欠陥を覆うように前記母材と前記当て板と前記溶接金属とを溶着し、
    前記溶接構造を使用する温度域で前記母材に発生した欠陥近傍の応力を制御することを特徴とする請求項21に記載された構造物の溶接方法。
  32. 前記溶接部は、
    前記欠陥の発生した前記母材の線膨張係数よりも、前記溶接金属もしくは前記当て板の線膨張係数のほうが小さい材料を使用して、前記欠陥を覆うように前記母材と前記当て板と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも高い温度環境で使用することを特徴とする請求項30または31に記載された構造物の溶接方法。
  33. 前記溶接部は、
    前記欠陥の発生した前記母材の線膨張係数よりも、前記溶接金属もしくは前記当て板の線膨張係数のほうが大きい材料を使用して、前記欠陥を覆うように前記母材と前記当て板と前記溶接金属とを溶着し、
    室温よりも低い温度環境で使用することを特徴とする請求項30または31に記載された構造物の溶接方法。
  34. 前記溶接部は、
    線膨張係数が異なる複数の前記溶接金属を使用して複数回の溶接パスで多層に積層して、前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温以上の温度に一定時間加熱し、この後に冷却して、
    室温よりも高い温度環境で使用することを特徴とする請求項21に記載された構造物の溶接方法。
  35. 前記溶接部は、
    線膨張係数が異なる複数の前記溶接金属を使用して複数回の溶接パスで多層に積層して、前記母材と前記溶接金属とを溶着し、
    室温以上の温度に一定時間冷却し、この後に加熱して、
    室温よりも低い温度環境で使用することを特徴とする請求項21に記載された構造物の溶接方法。
  36. 前記溶接部は、
    前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが小さい材料を使用して、前記母材と前記溶接金属とを溶着することを特徴とする請求項34に記載された構造物の溶接方法。
  37. 前記溶接部は、
    前記溶接部の領域内に構成される層の前記溶接金属の線膨張係数よりも、前記腐食環境に暴露される面の前記溶接金属の線膨張係数のほうが大きい材料を使用して、前記母材と前記溶接金属とを溶着することを特徴とする請求項35に記載された構造物の溶接方法。
  38. 前記溶接部の加熱方法は、
    高周波加熱、赤外線などによる輻射加熱であることを特徴とする請求項34に記載された構造物の溶接方法。
  39. 前記溶接部は、
    前記溶接構造物の使用温度以上の温度に一定時間加熱し、この後に冷却することを特徴とする請求項34に記載された構造物の溶接方法。
  40. 前記溶接部は、
    前記母材に使用される材料がオーステナイト系ステンレス鋼であり、前記溶接金属に使用される材料がニッケル基合金を含むことを特徴とする請求項25に記載された構造物の溶接方法。
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