JP2008259659A - キッチン設備制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】キッチン設備の配置状態を住人にとって好適に制御し、ひいては、キッチン設備を使用する際の利便性を大いに高める。
【解決手段】作業台31等の各キッチン設備は、無線通信部m1と、無線通信部m1を通じての受信情報に基づいて配置状態の自動調整制御を行う各制御部m2a〜m2dとを有する。また、携帯機K1〜K4は、無線通信部m3とメモリm4とを備えており、メモリm4には、それぞれの所有者(住人U1〜U4)ごとに異なる個別の識別情報と、所有者ごとにキッチン設備の配置状態に関して設定される設定情報を含むユーザ特有情報とが記憶されている。各キッチン設備は、所定の使用エリア内に携帯機が進入して当該携帯機と無線通信が行われる際に、識別情報とユーザ特有情報とを受信し、それらの受信情報に基づいて配置状態を自動調整する。
【選択図】図4

Description

本発明は、住宅におけるキッチン設備制御システムに関する。
従来から、ユーザの身体的特徴をセンサ等の計測手段により計測するとともに、同センサ等の計測結果に基づいて住宅内の各種機器を制御する技術が提案されている。例えば、特許文献1の「個人認証装置及び通行制御装置」では、玄関ドア等からなる通行ゲートに身長計測手段として距離センサを設け、その距離センサにより計測された被認証者(通行者)の身長に応じて、ビデオカメラ等からなる端末部の高さを上下方向に移動させる。
また、厨房機器の設置高さを自由に調節する技術(特許文献2参照)、コンロ台やシンク台を水平移動させてキッチンのレイアウト変更する技術(特許文献3参照)も従来から提案されている。
特開2003−308303号公報 特表2004−520564号公報 特開2006−288475号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、距離センサを用いて被認証者の身長を計測する構成であるため、身長計測時の状態(被認証者の姿勢など)に応じて計測結果にばらつきが生じ、それに起因して端末部の高さが適正に調整できないことがあると考えられる。距離センサを用いる場合に限らず、センサ等の計測手段を用いて、被認証者に対して都度計測を行う構成では、やはり計測時の被認証者の状態に応じて計測ばらつき等が生じ、それに起因して住宅内の各種機器の制御性低下が生じることが懸念される。
そして、端末部の高さを移動させる代わりに、厨房機器の高さを移動させたり、コンロ台やシンク台を水平移動させたりする構成を仮に考えたとしても、センサ等の計測手段により個人を認証する点ではなんら変わりはなく、上記懸念は同様に存在する。
本発明は、キッチン設備の配置状態をユーザにとって好適に制御し、ひいては、キッチン設備を使用する際の利便性を大いに高めることができるキッチン設備制御システムを提供することを主たる目的とする。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
本発明のキッチン設備制御システムでは、複数のユーザに共用されるキッチン設備に通信機能を付与し、携帯型通信装置との無線通信情報に基づいて、ユーザによる入力操作に無関係に前記キッチン設備の配置状態が自動調整される。また特に、ユーザごとに用意される各携帯型通信装置に、それを所持するユーザを個別に認識する識別情報とユーザごとに登録されるユーザ特有情報とを記憶しておき、前記キッチン設備は、所定の使用エリア内に前記携帯型通信装置が進入して当該携帯型通信装置と無線通信が行われる際に、前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信し、それらの受信情報に基づいて配置状態の自動調整を実施する。
上記構成によれば、ユーザ個別の識別情報に加えて、ユーザごとに登録されるユーザ特有情報に基づいてキッチン設備の配置状態が自動調整されるため、キッチン設備の配置状態を調整するための面倒な操作を不要としつつ、キッチン設備を、ユーザにとって適正な配置状態に調整することが可能となる。この場合、ユーザ特有情報はユーザごとに登録されるものであるため、個々のニーズに合わせてキッチン設備を任意に自動調整させることが容易に実現できる。また、計測ばらつきに起因して制御性低下が生じることが解消される。以上により、キッチン設備の配置状態をユーザにとって好適に制御し、ひいては、キッチン設備を使用する際の利便性を大いに高めることができる。
なお、携帯型通信装置は、ユーザが常備しやすい小型携帯装置であるのが好ましく、例えば、ユーザの人体に直接装着できる人体装着型装置やカード型装置としての具体化が考えられる。日常使用する携帯電話を、「携帯型通信装置」として使用したり、スマートキーを「携帯型通信装置」として使用したりすることも可能である。
前記携帯型通信装置に、前記ユーザ特有情報として、ユーザごとにキッチン設備の配置状態に関して設定される設定情報や各ユーザの身体に関する情報を登録しておくとよい。この場合、各ユーザの設定情報や身体情報に基づいてキッチン設備の配置状態が自動調整される。これにより、年齢や身長等の身体情報が異なる複数の住人が居住する住宅等においても、ユーザのニーズをより良く反映できる。また、身体情報や好みの相違により所望する配置状態が各住人間で異なっていても、ユーザのニーズをより良く反映できる。なお、設定情報と身体情報とのうち少なくともいずれかが登録されているとよい。
キッチン設備の配置状態が調整される際にどのユーザが優先されるかを示す優先基準を定めておき、同一のキッチン設備で複数の識別情報が受信された場合において、当該キッチン設備は、前記優先基準により選んだユーザのユーザ特有情報に基づいて配置状態の自動調整を実施するとよい。
つまり、複数のユーザ(住人)が住居する住宅では、複数のユーザがキッチン設備を使用する場合が想定される。かかる場合、所定の優先基準に基づいて当該キッチン設備の配置状態が調整されるようにすれば、優先基準がないためにキッチン設備の配置状態を調整するための制御が混乱するといった不都合を抑制できる。なお、ユーザ自身が優先順位を設定するか、又は定められた優先順位をユーザ側に通知しておけば、優先順位に基づいて配置状態の自動調整が行われる際に、ユーザ側で困惑が生じることが抑制される。
同一のキッチン設備で複数の識別情報が受信された場合の優先基準は以下のように定められているとよい。
(1)複数のキッチン設備を制御対象とするキッチン設備制御システムにおいて、通信機能が付与されたすべてのキッチン設備に共通する優先順位を定めておき、各キッチン設備はその共通の優先順位に従って配置状態の自動調整を実施する。キッチン設備はすべてキッチン領域内に配置されているため、優先順位の共通化が可能となる。この場合、キッチン設備ごとに優先順位を定める処理が不要となり、システムを単純化できる。
(2)キッチン設備ごとに優先順位を定めておき、同一のキッチン設備で複数の識別情報が受信された場合に、当該キッチン設備は、キッチン設備ごとの優先順位に従い配置状態の自動調整を実施する。この場合、キッチン設備ごとに優先順位が定められることで、あるキッチン設備では優先下位のユーザを、他のキッチン設備では優先上位にすることができ、優先順位の偏りが抑制できる。
また、前記識別情報及び前記ユーザ特有情報の受信に応じてキッチン設備の配置状態がすでに調整された状態下で、それよりも優先上位のユーザの識別情報が同様に受信される場合も想定される。かかる場合、当該キッチン設備は、音声や表示等によって配置状態を変更する旨を報知した後、当該キッチン設備の配置状態の変更を行うとよい。これにより、不意にキッチン設備の配置状態が変更されることで、先にキッチン設備を使用していたユーザが気分を害するといった不都合が抑制できる。なお、キッチン設備の配置状態変更の可否をユーザ側に問い合わせる構成とすることも可能である。
同一のキッチン設備で同時に複数の識別情報が受信された場合に、同時受信された識別情報にそれぞれ付随するユーザ特有情報に基づく配置状態の差異が設定値内であれば当該キッチン設備を平均的な配置状態とし、設定値を超えていれば当該キッチン設備を優先基準に従った配置状態とするとよい。これにより、配置状態の差異が設定値以内であれば各ユーザのニーズを共に反映できるし、設定値を超えていれば、優先するユーザのニーズを尊重できるため、差異の大小に応じて好適な制御が可能となる。
同一の携帯型通信装置から同時に前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信し得る複数のキッチン設備に関して、配置状態の自動調整に関する互いの状況を監視する監視手段と、その監視結果に基づき予め設定された優先順位に従って各キッチン設備の配置状態が自動調整されるように、各キッチン設備の制御を統括する主制御手段とを備えるとよい。例えば、キッチン通路の通路幅はその通路に至る前に調整済みであることが望ましい。この場合、配置状態の自動調整に関する各キッチン設備の状況が監視され、その監視結果に基づき優先度が高められたフロアキャビネットの水平位置の自動調整が最初に実施される。これにより、キッチンをより使いやすくすることができる。
例えば、ユーザがキッチン設備の近くを通り過ぎる場合には、キッチン設備の配置状態が自動調整される必要はない。そこで、前記キッチン設備側で前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信した場合、それら各情報を受信したまま所定の待ち時間が経過した時点で配置状態の自動調整を開始するとよい。これにより、調整不要時におけるキッチン設備の自動調整開始をやめることができる。
前記キッチン設備側で前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信した後、その受信が途切れた場合は、キッチン設備の配置状態を初期状態に復帰させるとよい。再び認識される識別情報は優先最上位のユーザである可能性が高いことを考えると、優先最上位のユーザに合わせた配置状態を初期状態として設定しておけば、配置状態の調整が繰り返されることを抑制できる。なお、電話に出る等、短時間だけキッチンを離れる場合もあることからすれば、この場合、識別情報が途切れたまま所定の待ち時間が経過した時点で初期状態に復帰させることが好ましい。
前記キッチン設備は調理作業が行われる作業台であり、前記ユーザ特有情報に含まれる高さ情報に基づいてその作業台の高さを自動調整したり、水平位置情報に基づいて作業台の水平方向の設置位置を自動調整したりするとよい。なお、高さと水平位置との少なくともいずれかが調整可能となっていればよい。
この構成において、前記識別情報及び前記ユーザ特有情報の受信に応じて前記作業台の配置状態がすでに調整された状態下で、それよりも優先上位のユーザの識別情報が同様に受信された場合、前記作業台に設置された調理機器が運転されている間は、当該作業台の配置状態を変更しないようにするとよい。これにより、調理機器の運転中に作業台の高さが変更されて、調理機器を利用した作業が中断させられてしまうといった不都合を解消できる。なお、ここでの調理機器には、ガスコンロや電磁調理器、オーブン等の加熱調理機器の他、刃物が用いられた調理機器等も含まれるものとする。
前記キッチン設備は壁又は天井に設置される吊り戸棚であり、前記ユーザ特有情報に含まれる設置高さ情報に基づいて床面から当該吊り戸棚の下端までの設置高さ、つまり吊り戸棚の上下方向の設置位置を自動調整するとよい。
また、前記キッチン設備は周辺収納キャビネットであり、前記ユーザ特有情報に含まれる水平位置情報に基づいて当該周辺収納キャビネットの水平方向の設置位置を自動調整するとよい。
この構成において、キッチン領域に存在する人数を検出する検出手段を備え、前記周辺収納キャビンネットと同キャビネットと平行に設置された作業台との間のキッチン通路が検出人数に応じた通路幅となるように、前記周辺収納キャビネット及び前記作業台の少なくともいずれか一方について水平方向の設置位置を自動調整するとよい。これにより、キッチン通路を人数に応じた十分な通路幅に設定できるため、複数人がキッチン領域に入室した場合でも、快適に調理作業を行える。
また、前記キッチン設備はカウンタ部とその下方に設けられたキャビネット部とを有し、前記キャビネット部は前記カウンタ部に対し奥に向かって相対移動可能となるように構成され、前記カウンタ部に対する前記キャビネット部の相対位置に関する相対位置情報が前記ユーザ特有情報に含まれ、当該相対位置情報に基づいて前記キャビネット部の相対位置を自動調整するとよい。これにより、キャビネット部の前方には足入れ空間が形成されるため、この足入れ空間を利用すれば、カウンタ部上での作業を椅子に座った状態で行うことができる。特に、車椅子利用者にとっては大きなメリットとなる。
以下、本発明のキッチン設備制御システムを具体化した一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。まず、二階建て住宅10における一階部分の間取り例を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、住宅10は、主な屋内スペースとして玄関11、廊下12、和室13、リビング14、ダイニング15、キッチン16、洗面室17、トイレ18及び浴室19を備えている。なお、リビング14、ダイニング15及びキッチン16は、連続した一体空間(LDK空間)として形成されている。
キッチン16には対面型の作業台31が設置されており、この作業台31により、ダイニング15とキッチン16とが区画されている。対面型の作業台31には、リビング15に向かって立ちながら調理作業できるように、ガスコンロや電磁調理器、オーブン等の加熱調理機器32、及びシンク33が設けられている。作業台31の上方には吊り戸棚34が設置されている。また、作業台31の向かい側である壁側には、周辺収納キャビネット35が壁に沿って設置されている。具体的には、カップボード36、フロアキャビネット37が設置されている。これらの周辺収納キャビネット35は前記作業台31と平行に設置され、その作業台31との間にキッチン通路38が形成されている。
なお、キッチン16における作業台31や周辺収納キャビネット35の配置構成は上記構成に限定されるものではなく、例えば、作業台31をアイランド型として設置したり、壁面に沿ったウォール型として設置したりしてもよい。
図2はキッチン16領域を横から見た場合の概略図であり、図3は周辺収納キャビネット35を横から見た場合の概略図である。なお、以下の説明、並びに図2及び図3では、周辺収納キャビネット35としてフロアキャビネット37を例としている。
図2に示すように、各キッチン設備(上記作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37等)は、当該設備に設けられた操作パネルの入力操作や設備ごとのリモコン装置(遠隔操作装置)の入力操作に基づいて、各設備の設置状態が手動で調整されるようになっている。つまり、作業台31はその高さHが調整可能となっている。吊り戸棚34は床面から同吊り戸棚34の下端までの設置高さSが調整可能となっている。また、フロアキャビネット37は水平方向の設置位置(以下、水平位置という。)が調整可能となっており、それが調整されることによりキッチン通路38の通路幅Lが変更される。
図3に示すように、前記フロアキャビネット37については、他のキッチン設備とは異なり、カウンタ部41に対するキャビネット部42の水平方向の相対位置が調整可能となっている。そして、カウンタ部41に対し、キャビネット部42をキッチン通路側から奥へ相対移動させることで、そのキャビネット部42の前方には足入れ空間43が形成される。この足入れ空間43を利用すれば、カウンタ部41上での作業を椅子に座った状態で行うことが可能となる。特に、車椅子利用者であればそのメリットは大きい。
上記各キッチン設備について、その設置状態を調整するための機械的な構成は、従来公知の技術を適宜利用できる。このため、それに関する具体的な説明は省略する。
なお、作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37等の各キッチン設備について、調整可能とされる配置状態は上記の場合に限定されるものではない。例えば、作業台31について水平方向の設置位置を調整可能とすれば、通路幅Lを変更できる範囲が広がる。また、作業台31については、カウンタ部の下方にキャビネット部が設けられた構成であれば、フロアキャビネット37と同様、キャビネット部の水平方向の相対位置を調整可能としてもよい。この他、吊り戸棚34についても水平方向の設置位置を調整可能としたり、フロアキャビネット37について高さを調整可能としたりしてもよい。
本実施形態のキッチン設備制御システムでは、各キッチン設備に通信機能が付与され、携帯型通信装置との無線通信情報に基づいて、各キッチン設備の設置状態が自動調整されるようになっている。つまり、各キッチン設備は、手動操作により設置状態が調整されることに加え、携帯型通信装置との無線通信情報に基づいて、住人による入力操作と無関係に自動調整されるようになっている。
図4は、本制御システムの概要を示すブロック図である。なお図4では、作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37を制御対象とする事例について説明する。
図4において、作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37の各キッチン設備は、外部装置との間で無線通信を行うための無線通信部m1と、無線通信部m1を通じての受信情報に基づいて各種設置状態を調整するための制御を行う制御部m2とを有している。具体的には、作業台31の高さ調整を制御する高さ制御部m2a、吊り戸棚34の設置高さ調整を制御する設置高さ制御部m2b、フロアキャビネット37の水平位置の調整を制御する水平位置制御部m2c、キャビネット部42について相対位置の調整を制御するキャビネット制御部m2dである。
また、作業台31、吊り戸棚34、フロアキャビネット37は共通の信号線51により接続されており、同信号線51はパソコン(パーソナルコンピュータ)52が接続されている。パソコン52にはメモリ52aが内蔵されている。作業台31等のキッチン設備の設置状態が自動調整される場合、その調整に関する情報が信号線51を通じてパソコン52に順次送信される。自動調整に関する情報とは、例えば、各キッチン設備について設置状態が調整される頻度、外部装置から送信される情報を認識している時間、それを認識した時間帯などである。そして、この自動調整情報がパソコン52にてメモリ52aに順次記憶される。
本実施形態では、住宅の住人として4人の住人U1,U2,U3,U4を想定しており、各住人U1〜U4によって携帯型通信装置としての携帯機K1〜K4がそれぞれ所持される。携帯機K1〜K4はいずれも小型携帯装置よりなり、携帯しても邪魔になりにくくかつ常備しやすいものとなっている。例えば、携帯機本体にリストバンドを取り付けた構成のブレスレット式携帯機や、同携帯機本体にネックチェーンを取り付けた構成のペンダント式携帯機、同携帯機本体にバネフックやバッジピンを取り付けた構成のバッジ式携帯機などとして具体化することが考えられる。また、スマートキーシステムで使用される電子キーを携帯機K1〜K4として用いたり、日常的に使用される携帯電話を携帯機K1〜K4として用いたり、通信機能を有するICカードを携帯機K1〜K4として用いたりすることも可能である。住人ごとに、形式・形態の異なる携帯機を使用することも可能である。
携帯機K1〜K4は無線通信部m3を備えており、例えば、一つ部屋程度のエリアを通信範囲(送受信範囲)として、作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37の各無線通信部m1との間で無線通信が可能となっている。また、携帯機K1〜K4にはメモリm4が設けられており、そのメモリm4には、それぞれの所有者(住人U1〜U4)ごとに異なる個別の識別情報と、所有者ごとに登録されるユーザ特有情報が記憶されている。ユーザ特有情報には、各キッチン設備の配置状態に関して任意に設定される設定情報が含まれる。
識別情報は、少なくとも本制御システムで認証されるユーザであってかつ認証対象とされる複数のユーザ(例えば同居する家族)が個別に認識可能となる情報となっている。また、ユーザ特有情報に含まれる前記設定情報としては、例えば、「作業台31の高さ(高さ情報)、吊り戸棚34の設置高さ(設置高さ情報)、フロアキャビネット37の水平位置(水平位置情報)、カウンタ部41に対するキャビネット部42の相対位置(相対位置情報)」などの各種情報が含まれる。
上記ユーザ特有情報は、各住人U1〜U4の入力操作、すなわち直接入力によってメモリm4に登録され、必要に応じて更新される(書き換えられる)。具体的には、携帯機K1〜K4に多数の入力ボタン等からなる設定入力部を設けておき、その設定入力部の入力操作によってユーザ特有情報を登録及び更新する。このとき、携帯機K1〜K4にディスプレイ部を設けておくとその入力操作が容易となる。また、携帯機K1〜K4に直接入力する以外に、パソコン52等によりユーザ特有情報を入力し、その入力情報を無線又は優先により携帯機K1〜K4に送信する手法も適用できる。さらに、各キッチン設備を所望の配置状態に手動で調整し、その状態における各種情報(例えば高さ情報)を無線又は優先により携帯機K1〜K4に送信する手法も適用できる。
その他、メモリm4は、内蔵メモリである以外に、メモリカード等、出し入れ可能な記憶媒体であってもよい。メモリm4をメモリカードにて構成する場合、そのメモリカードをパソコン側に接続することで、ユーザ特有情報の登録や更新をパソコン側で簡易に行うことが可能となる。
住人間には優先順位が設定され、ユーザ特有情報に含まれる各種情報が重複して認識された場合は、優先住人の情報が優先される。優先順位は住人自身により設定されるか、又はパソコン52のメモリ52aに記憶された前記自動調整情報に基づいて自動的に設定される。後者の場合、例えば、設置状態が調整される頻度、キッチン16での総滞在時間(識別情報とユーザ特有情報とを認識している時間の合計)、当該時間帯(例えば、日中、夕方、夜間等)における滞在時間などに基づいて設定されるようにするとよい。なお、後者のように優先順位が自動設定された場合には、住人側での困惑を避けるため、設定された順位を各住人U1〜U2に通知しておくことが好ましい。
上記構成のキッチン設備制御システムでは、各キッチン設備(作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37)が定期的にリクエスト信号を送信するのに対し、携帯機K1〜K4は、リクエスト信号の受信エリアに進入した際において、リクエスト信号に応答して識別情報とユーザ特有情報とを送信する。そして、キッチン設備側では、携帯機K1〜K4から送信される識別情報とユーザ特有情報とを受信し、その受信情報に基づいて配置状態の自動調整を実施する。
各キッチン設備31,34,37における自動調整制御の流れを、図5のフローチャートに基づいて説明する。この制御処理は、各キッチン設備31,34,37の各制御部(高さ制御部m2a、設置高さ制御部m2b、水平位置制御部m2c、キャビネット制御部m2d)によって所定の時間周期で実行される。
図5において、ステップS11ではリクエスト信号の送信処理を実施し、続くステップS12では、リクエスト信号に応答して識別情報とユーザ特有情報とを受信したか否かを判定する。応答が無い場合、すなわち識別情報とユーザ特有情報とを受信していない場合、そのまま本処理を終了する。
また、応答が有る場合、すなわち識別情報とユーザ特有情報とを受信している場合、ステップS13に進み、受信した識別情報に基づいてユーザ認証を実施する。そして、認証OKであれば、ステップS14を肯定して後続のステップS15に進み、認証NGであれば、ステップS14を否定してそのまま本処理を終了する。なお、複数の携帯機から識別情報とユーザ特有情報とを受信している場合には、各携帯機からの受信情報のうち少なくともいずれかが認証OKであればステップS15に進む。
ステップS15では、ユーザ特有情報に基づいて各キッチン設備がその配置状態の自動調整を実行する。つまり、作業台31は高さ情報の高さHとなるようにその高さHを自動調整する。吊り戸棚34は設置高さ情報の設置高さSとなるようにその設置高さSを自動調整する。フロアキャビネット37は、水平位置情報の水平位置となるようにその水平位置を自動調整し、また相対位置情報の相対位置に配置されるようにカウンタ部41に対するキャビネット部42の相対位置を自動調整する。
なお、各キッチン設備31,34,37の自動運転の開始後、識別情報とユーザ特有情報とが受信されない状態になると(ステップS12が否定されると)、各キッチン設備31,34,37の配置状態は初期状態に復帰するようになっている。ここでの初期状態は、最も優先順位の高い住人の情報に合わせた配置状態となっている。ただし、フロアキャビネット37のキャビネット部42の相対位置については、非変更状態(足入れ空間43が形成されない状態)を初期状態とする。なお、初期状態は住人自身によって適宜設定されるようになっており、全住人U1〜U4の情報の平均値に合わせて配置された状態を初期状態としてもよい。
ここで本実施形態では、作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット37において、その自動運転を行う場合に制御パラメータとなるユーザ特有情報が異なる。例えば、作業台31では高さ情報、吊り戸棚34では設置高さ情報、フロアキャビネット37では水平位置情報及び相対位置情報がそれぞれ制御パラメータとなっている。つまり、キッチン設備ごとに、ユーザ特有情報に含まれる複数種類の情報のうちから自動運転の制御パラメータとなるユーザ特有情報がそれぞれ選別して定めてられている。そして、キッチン設備ごとに定められた制御パラメータに基づき、各キッチン設備31,34,37で自動運転が行われる。
この場合、各キッチン設備31,34,37では、ユーザ特有情報の全てを使って自動運転を行うのではなく、ユーザ特有情報の一部のみを使って自動運転を行っている。そのため、キッチン設備ごとに、必要情報のみを通信する構成としてもよい。具体的には、各キッチン設備31,34,37から送信されるリクエスト信号には、キッチン設備側で受信したい情報内容を特定するための情報特定信号が含まれているとよい。これにより、携帯機K1〜K4からキッチン設備に対して無駄な情報の送信が抑制される。
次に、キッチン設備がその配置状態を自動調整する場合の具体的な制御動作について、図6及び図7のタイムチャートを参照して説明する。なおここでは、上述した図4のシステム構成を前提とする。また、説明の便宜上、男性である「住人U1」と、その妻である「住人U2」とを想定し、住人U2は炊事その他のためにキッチン設備を普段から頻繁に利用しているとする。このため、キッチン16は住人U2の優先度が最も高く、優先度は「住人U2>住人U1」としている。
図6は、両住人U1,U2が同時にキッチン16に入室した場合の制御動作を示している。このうち、(a)は両住人U1,U2の各情報の差異が設定値以内である場合の制御操作を示し、(b)はその各情報の差異が設定値を超える場合の制御動作を示している。
タイミングt1で同時に両住人U1,U2がキッチン16に入室すると、各住人U1,U2の識別情報とユーザ特有情報とがキッチン設備側で受信される。そして、その情報受信を受けて、所定の待ち時間Ta(例えば、数5秒程度)が経過したタイミングt2にて各キッチン設備(作業台31、吊り戸棚34及びフロアキャビネット)の設置状態が変更される。
ここでは、図6の(a)に示すように、両住人U1,U2の各情報がX1,X2であり、その差異D1が設定値A(例えば、10cm)以内である。このため、情報ごとに両住人U1,U2の平均値をとって各キッチン設備の設置状態が自動調整される。
一方、図6の(b)に示すように、両住人U1,U2の各情報がX1,X2であり、その差D2が設定値Aを超えている。この場合、住人U2の方が優先度が高いため、住人U2の情報に基づいて各キッチン設備の配置状態が自動調整される。例えば、作業台31については、住人U2の高さ情報の方が住人U1の高さ情報よりも低く、その低い高さ情報の高さHに合わせた高さHとなるまで作業台31が下降する。
なお、両住人U1,U2が極短時間だけキッチン16に入室した場合(入室時間が待ち時間Ta以内の場合)には、各キッチン設備の配置状態の調整は行われない。ただし、待ち時間Taを設定せず、両住人U1,U2の識別情報等を受信すると直ちに各キッチン設備31,34,37の配置状態を自動調整する構成であってもよい。
次に、図7は「U1→U2」の順で各住人U1,U2がキッチン16に入室した場合の制御動作を示している。このうち、(a)は加熱調理機器32が非運転中の場合の制御動作を示し、(b)は住人U1が入室し加熱調理機器32を運転中に住人U2が入室した場合の作業台31に関する制御動作を示している。
図7の(a)において、タイミングt11で住人U1が先にキッチン16に入室すると、住人U1の識別情報とユーザ特有情報とが各キッチン設備側で受信される。そして、その情報受信を受けて、所定の待ち時間Ta(例えば数5秒程度)が経過したタイミングt12にて各キッチン設備31,34,37の配置状態が住人U1のユーザ特有情報に基づいて自動調整される。
なお、この場合も、住人U1が極短時間だけキッチン16に入室した場合(入室時間が待ち時間Ta以内の場合)には、各キッチン設備31,34,37の配置状態の調整は行われない。
その後、タイミングt13で住人U2がキッチン16に入室すると、住人U2の識別情報とユーザ特有情報とが各キッチン設備側で受信される。すなわちかかる場合には、キッチン16の各キッチン設備31,34,37において、二人の住人U1,U2の識別情報等が重複して受信されることとなる。そして、住人U2の方が優先度が高いため、住人U1の入室に伴って自動調整された配置状態が、住人U2のユーザ特有情報に基づいた配置状態に自動変更される。例えば、作業台31については、住人U2の高さ情報の方が住人U1の高さ情報よりも低いため、その低い高さ情報の高さHに合わせて作業台31の高さHが低くなる。
タイミングt14で住人U1がキッチン16から退室した後、タイミングt15で住人U2もキッチン16から退室すると、所定の待ち時間Tb(例えば数5秒程度)が経過したタイミングt16にて、各キッチン設備31,34,37の配置状態は初期状態に復帰する。なお、住人U2が極短時間だけキッチン16から退室した場合(退室時間が待ち時間Tb以内の場合)には、各キッチン設備31,34,37は初期状態に復帰されない。
一方、図7の(b)において、タイミングt21で住人U1が先にキッチン16に入室すると、住人U1の識別情報とユーザ特有情報とが各キッチン設備側で受信される。そして、図7の(a)と同様に、各キッチン設備31,34,37の配置状態が住人U1のユーザ特有情報に基づいて自動調整される。
その後、タイミングt23で加熱調理機器32が住人U1によって手動でON操作されると、加熱調理機器32は運転状態となる。さらにその後、タイミングt24にて住人U2がキッチン16に入室すると、住人U2の識別情報とユーザ特有情報とが各キッチン設備側で受信される。このとき、図7の(a)と同様、各キッチン設備31,34,37では、二人の住人U1,U2の識別情報等が重複して受信される。
ただ、この場合、住人U2の方が優先度が高いとしても、住人U2の入室に伴って作業台31の高さHが変更されない。これにより、加熱調理機器32の運転中に作業台31の高さHが変更されて、加熱調理機器32を利用した作業が中断させられてしまうといった不都合を解消できる。この場合、吊り戸棚34やフロアキャビネット37については、作業台31と同様に住人U1に合わせた配置状態を維持してもよいし、優先度の高い住人U2に合わせて配置状態を変更してもよい。
なお、この加熱調理機器32の他、刃物が用いられた調理機器等が運転状態にある場合も、作業台31の高さを変更しないようにしてもよい。
上記の制御動作において、住人U1を基準とする設置状態から住人U2を基準とする設置状態に変更する際、その変更前に、これから設置状態の変更を行う旨を報知するようにしてもよい。例えば、キッチン16の壁面に設けられたディスプレイに『住人U2のニーズに合わせて配置状態を変更します』等のメッセージを表示する。また、配置状態の変更の可否を問うべく、ディスプレイに『配置状態の変更がOKなら携帯機の××ボタンを押して下さい』等のメッセージを表示する。これらのメッセージを音声にて報知することも可能である。また、このように設置状態の変更を行う旨を報知する場合であれば、図7の(b)に示すように、調理機器運転中に優先度の高い住人U2が入室したときでも、作業台31の高さHを住人U1に合わせたまま維持するのではなく、住人U2に合わせて変更してもよい。
なお、上記の如く所定の設定情報に合わせて各キッチン設備31,34,37の配置状態が自動調整されるが、住人U1,U2による手動操作が行われた場合には、自動調整よりも優先されて手動操作による配置状態の変更が行われる。例えば、吊り戸棚34の設置高さSを手動操作で低くすれば、収納物の出し入れが容易となるし、掃除もしやすくなる。また、フロアキャビネット37のカウンタ部41上で作業している最中に、キャビネット部42をキッチン通路側に移動させれば、そのキャビネット部42に収納されている物を取り出すやすくなる。この場合、複数のフロアキャビネット37が設置されている構成では、各キャビネット部42を個別に手動操作を可能としてもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
作業台31等のキッチン設備において、携帯機K1〜K4との通信により住人U1〜U4ごとの識別情報とユーザ特有情報とが受信され、その際、住人U1〜U4ごとの識別情報に加えて、住人U1〜U4ごとに各キッチン設備31,34,37の配置状態が設定された設定情報を含むユーザ特有情報に基づいて、配置状態が自動調整される。これにより、キッチン設備の配置状態を調整するための面倒な手動操作を不要としつつ、キッチン設備を、各住人U1〜U4にとって適正な配置状態に調整することが可能となる。特に、設定情報は住人ごとに設定されるため、各住人の身体的特徴をセンサ等により計測していた従来技術とは異なり、センサ等の計測ばらつきに起因して制御性低下が生じることが解消される。以上により、作業台31等のキッチン設備の配置状態を各住人にとって好適に制御し、ひいては、キッチン設備を使用する際の利便性を大いに高めることができる。
各キッチン設備31,34,37の配置状態が自動調整される際の優先基準を定めたため、同一のキッチン設備で複数の識別情報が受信された場合において、優先基準がないために各キッチン設備の制御が混乱する、といった不都合を抑制できる。優先基準について具体的には、通信機能が付与されたすべてのキッチン設備31,34,37に共通する優先順位を定めたため、キッチン設備ごとに優先順位を定める処理が不要となり、システムを単純化できる。
また、時間を前後して「優先下位の識別情報(住人U1の情報)の受信→優先上位の識別情報(住人U2の情報)の受信」が行われた場合に、音声や表示等により配置状態を変更する旨、報知する構成とした。このため、不意にキッチン設備の配置状態が変更されることで、先にキッチン設備を使用していた住人U1が気分を害するといった不都合が抑制できる。
住人U1,U2が同時にキッチン16に入室し、各キッチン設備31,34,37が両者の識別情報を同時に受信した場合、ユーザ特有情報に基づく配置状態の差異Dが、設定値A内であれば平均値をとり、設定値Aを超えていれば優先基準に従って各キッチン設備31,34,37の配置状態を調整している。これにより、差異Dが小さければ両住人U1,U2のニーズを共に反映できるし、差異Dが大きければ優先する住人U2のニーズを尊重できる。
住人U1〜U4の識別情報を受信したまま所定の待ち時間Taが経過した時点で、各キッチン設備31,34,37において配置状態の自動調整を開始させる構成とした。このため、不要なキッチン設備の配置状態調整をやめさせることができる。
優先最上位の住人に合わせた配置状態を初期状態とし、識別情報の受信が途切れた場合は各キッチン設備31,34,37の配置状態をその初期状態に復帰させるとようにした。このため、配置状態の調整が繰り返されることを抑制できる。また、識別情報の受信が途切れたまま所定の待ち時間Tbが経過した時点で初期状態に復帰させるようにしたため、不用意な復帰をやめさせることができる。
住人U1の識別情報の受信に応じて作業台31の高さHが調整された状態下で、それよりも優先上位の住人U2の識別情報が同様に受信された場合、加熱調理機器32が運転されている間は、作業台31の高さHを変更しないようにした。これにより、加熱調理機器32の運転中に作業台31の高さHが変更されて、加熱調理機器32を利用した作業が中断させられてしまうといった不都合を解消できる。
フロアキャビネット37については、キャビネット部42がカウンタ部41に対し奥に向かって相対移動可能となるように構成され、相対位置情報に基づいてキャビネット部42の相対位置が自動調整されるようにした。これにより、キャビネット部42の前方には足入れ空間43が形成されるため、この足入れ空間43を利用すれば、カウンタ部41上での作業を椅子に座った状態で行うことができる。特に、車椅子利用者のニーズに応えることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・ユーザ特有情報に基づいて、通信機能を付与されたすべてのキッチン設備の配置状態が同時に自動調整されるのではなく、各キッチン設備の配置状態が予め設定された優先順位に従って自動調整されるようにしてもよい。その場合、例えば次のような構成を採用することが考えられる。
この別実施形態の住宅では、キッチン16が入口エリア61と主エリア62というように複数に区画されている(図1参照)。主エリアの入口には通過センサが設置され、その通過センサはパソコン52に接続されている。パソコン52のメモリ52aには、予め設定された各キッチン設備31,34,37の優先順位が記憶されている。そして、このパソコン52により、各キッチン設備31,34,37がその配置状態を自動調整する状況が監視されるとともに、各キッチン設備31,34,37における配置状態の自動調整が統括制御される。
すなわち、住人がキッチン16に入り、携帯機との無線通信によって、ユーザ特有情報に基づいて各キッチン設備31,34,37の配置状態が自動調整され得る状態になった場合、その時受信した識別情報と各設備のスタンバイ情報とがパソコン52に送信される。この場合、主制御手段であるパソコン52は、各キッチン設備31,34,37のうち優先順位の高いキッチン設備のみ配置状態の自動調整の開始を許可する。例えば、キッチン通路38の通路幅Lはその通路38に至る前に調整済みであることが望ましいため、配置状態の調整により通路幅Lが変更されるフロアキャビネット37を他のキッチン設備よりも優先度を高くする。この場合、住人がキッチン16に入ると、フロアキャビネット37の水平位置が最初に自動調整される。次いで、パソコン52は、主エリアへの通過センサからの人検出信号を受信すると、残りのキッチン設備について配置状態の自動調整の開始を許可する。先の例によれば、住人が主エリア62に入ると作業台31の高さHや吊り戸棚34の設置高さSが自動調整される。
・パソコン52が各キッチン設備の自動調整状況の監視を行う構成は他にも考えられる。すなわち、前述したように、識別情報及びスタンバイ情報がパソコン52に送信されると、それが誰の受信情報かに基づいて、各キッチン設備の自動調整を不許可とするようにしてもよい。例えば、メモリ52aに記憶された自動調整情報からみて、調整される頻度や総滞在時間が設定値以内である場合は、各キッチン設備の自動調整を不許可とする。これにより無駄な調整が行われなくなるため、時間とエネルギーの消費を節約できる。
・住人ごとに登録されるユーザ特有情報として、各住人の身体に関する情報や住人の生活パターン(スケジュールを含む)などが登録されるようにしてもよい。身体に関する情報としては、例えば、「年齢(又は年齢層)、性別、身長、身体障害の有無、車椅子利用の有無」などの各情報が含まれる。
この場合、身体に関する情報を利用して住人間の優先順位が設定されるようにしてもよい。例えば、大人と子供とでは大人を優先させるとか、男性と女性とでは女性を優先させるように設定できる。また、フロアキャビネット37についてそのキャビネット部42の相対位置を変更させる場合、高齢者を優先させるように設定したり、健常者よりも障害者や車椅子利用者を優先させるように設定したりすることも可能となる。
ユーザ特有情報に身体に関する情報が含まれる場合、識別情報とユーザ特有情報とを受信後、待ち時間なし(Ta=0)で各キッチン設備の配置状態が自動調整されるようにしてもよい。例えば、車椅子利用の情報が受信されると、フロアキャビネット37は直ちに水平位置を変更してキッチン通路38の通路幅Lを変更する。こうすれば、キッチン通路38の通路幅Lが変更されるまで、その通路38への入口側で待たされるといった不都合を解消できる。
また、身体に関する情報に身長情報が含まれる場合、この身長情報に基づいて、当該身長を有する者にとって最適な高さH及び設置高さSとなるように、作業台31及び吊り戸棚34の配置状態を自動調整するようにしてもよい。もっとも、この最適な高さH及び設置高さSはユーザの個性が考慮されずに決定されるため、ユーザ特有情報として設定情報が含まれている場合は、ユーザの個性を反映しているその設定情報が優先される。
・パソコン52に記憶されている自動調整情報を利用して、住人U1〜U4ごとにキッチン16への入室時期を予測し、その入室時期に合わせて自動調整の準備を行うとよい。つまり、住人の行動パターンに基づいて自動調整処理を実施する。具体的には、ある住人が決まった時間帯にキッチン16に入室することが予測される場合、毎日その時間帯に差しかかると各キッチン設備が同じ配置状態となるように自動調整する。これにより、住人にとってキッチン16の使い勝手が一層向上する。
・すべてのキッチン設備について共通した優先順位が設定されるのではなく、キッチン設備ごとに優先順位が設定されるようにしてもよい。また、すべての住人に対して絶対的な優先順位が設定されるのではなく、住人ごと相対的に優先順位が設定されるようにしてもよい。例えば、「住人U1>住人U2」、「住人U2>住人U3」、「住人U3>住人U1」というように優先順位を設定してもよい。これにより、住人間で優先順位の偏ることを抑制できる。
・キッチン16に複数人が入った場合、携帯機を有するか否かとは無関係に、人数に合わせたキッチン通路38の通路幅Lとなるように、フロアキャビネット37はその水平位置を自動調整するようにしてもよい。この場合、キッチン16の入口に通過センサが設けられ、その通過センサはパソコン52に接続される。パソコン52のメモリ52aには、キッチン16に入室した人数に応じ、最適となる通路幅情報が記憶されている。そして、パソコン52は、通過センサにより検出された通過人数に応じた通路幅情報を読み出し、その情報をフロアキャビネット37の水平位置制御部m2cに送信する。水平位置制御部m2cは、その情報に基づいてフロアキャビネット37の水平位置を自動調整する。
かかる制御動作により、キッチン通路38を人数に応じた十分な通路幅Lに設定できるため、ホームパーティ等の際に複数人がキッチン16に入った場合でも、快適に調理作業を行える。
・上記実施形態では、一つのキッチン16を備えた住宅を例示したが、二世帯住宅等、複数のキッチン16を備えた住宅であってもよい。この場合、各キッチン16において、個別に優先順位を設定できる。
・上記実施形態では、二階建て住宅について例示したが、もちろん二階建て住宅以外に、平屋建て住宅や三階建て住宅にも適用できる。また、戸建住宅以外に、複数の世帯が重合する集合住宅にも適用できる。
・本制御システムを使用するユーザは、住宅に同居する家族以外に、同住宅に頻繁に出入るする人であってもよい。又は、社員寮や学生寮で使用する場合を想定して、その住居人であってもよい。
住宅の一階部分の間取り例を示す図。 キッチン領域を横から見た場合の概略図。 周辺収納キャビネットを横から見た場合の概略図。 キッチン設備制御システムの概要を示すブロック図。 キッチン設備における自動調整制御の流れを示すフローチャート。 具体的な制御動作について示すタイムチャート。 具体的な制御動作について示すタイムチャート。
符号の説明
10…住宅、16…キッチン、31…作業台、32…加熱調理機器、34…吊り戸棚、35…周辺収納キャビネット、37…フロアキャビネット、38…キッチン通路、41…カウンタ部、42…キャビネット部、43…足入れ空間、52…パソコン、52a…メモリ、K1〜K4…携帯機、U1〜U4…住人。

Claims (17)

  1. 複数のユーザに共用されるキッチン設備に通信機能を付与し、携帯型通信装置との無線通信情報に基づいて、ユーザによる入力操作に無関係に前記キッチン設備の配置状態を自動調整するようにしたキッチン設備制御システムであって、
    ユーザごとに用意される各携帯型通信装置に、それを所持するユーザを個別に認識する識別情報とユーザごとに登録されるユーザ特有情報とを記憶しておき、
    前記キッチン設備は、所定の使用エリア内に前記携帯型通信装置が進入して当該携帯型通信装置と無線通信が行われる際に、前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信し、それらの受信情報に基づいて配置状態の自動調整を実施することを特徴とするキッチン設備制御システム。
  2. 前記携帯型通信装置に、前記ユーザ特有情報として、ユーザごとにキッチン設備の配置状態に関して設定される設定情報や各ユーザの身体に関する情報を登録しておく請求項1に記載のキッチン設備制御システム。
  3. 前記キッチン設備の配置状態が調整される際にどのユーザが優先されるかを示す優先基準を定めておき、同一のキッチン設備で複数の識別情報が受信された場合に、当該キッチン設備は、前記優先基準により選んだユーザのユーザ特有情報に基づいて配置状態の自動調整を実施する請求項1又は2に記載のキッチン設備制御システム。
  4. 複数のキッチン設備を制御対象とするキッチン設備制御システムにおいて、
    通信機能が付与されたすべてのキッチン設備に共通する優先順位を定めておき、各キッチン設備はその共通の優先順位に従って配置状態の自動調整を実施する請求項3に記載のキッチン設備制御システム。
  5. キッチン設備ごとに使用者の優先順位を定めておき、同一のキッチン設備で複数の識別情報が受信された場合に、当該キッチン設備は、キッチン設備ごとの優先順位に従い配置状態の自動調整を実施する請求項3に記載のキッチン設備制御システム。
  6. 前記識別情報及び前記ユーザ特有情報の受信に応じて前記キッチン設備の配置状態がすでに調整された状態下で、それよりも優先上位のユーザの識別情報が同様に受信された場合、当該キッチン設備は、配置状態を変更する旨を報知した後、当該キッチン設備の配置状態の変更を行う請求項3乃至5のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  7. 同一のキッチン設備で同時に複数の識別情報が受信された場合に、同時受信された識別情報にそれぞれ付随するユーザ特有情報に基づく配置状態の差異が設定値内であれば当該キッチン設備を平均的な配置状態とし、設定値を超えていれば当該キッチン設備を優先基準に従った配置状態とする請求項3乃至6のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  8. 同一の携帯型通信装置から同時に前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信し得る複数のキッチン設備に関して、配置状態の自動調整に関する互いの状況を監視する監視手段と、その監視結果に基づき予め設定された優先順位に従って各キッチン設備の配置状態が自動調整されるように、各キッチン設備の制御を統括する主制御手段とを備えた請求項1乃至7のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  9. 前記キッチン設備側で前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信した場合に、それら各情報を受信したまま所定の待ち時間が経過した時点で配置状態の自動調整を開始する請求項1乃至8のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  10. 前記キッチン設備側で前記識別情報と前記ユーザ特有情報とを受信した後、その受信が途切れた場合、キッチン設備の配置状態を初期状態に復帰させる請求項1乃至9のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  11. 前記キッチン設備は調理作業が行われる作業台であり、前記ユーザ特有情報に含まれる高さ情報に基づいてその作業台の高さを自動調整する請求項1乃至10のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  12. 前記キッチン設備は調理作業が行われる作業台であり、前記ユーザ特有情報に含まれる水平位置情報に基づいてその作業台の水平方向の設置位置を自動調整する請求項1乃至10のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  13. 前記識別情報及び前記ユーザ特有情報の受信に応じて前記作業台の配置状態がすでに調整された状態下で、それよりも優先上位のユーザの識別情報が同様に受信された場合、前記作業台に設置された調理機器が運転されている間は、当該作業台の配置状態を変更しないようにした請求項11又は12のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  14. 前記キッチン設備は壁又は天井に設置される吊り戸棚であり、前記ユーザ特有情報に含まれる設置高さ情報に基づいて床面から当該吊り戸棚の下端までの設置高さを自動調整する請求項1乃至13のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  15. 前記キッチン設備は周辺収納キャビネットであり、前記ユーザ特有情報に含まれる水平位置情報に基づいて当該周辺収納キャビネットの水平方向の設置位置を自動調整する請求項1乃至14のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
  16. キッチン領域に存在する人数を検出する検出手段を備え、前記周辺収納キャビンネットと同キャビネットと平行に設置された作業台との間のキッチン通路が検出人数に応じた通路幅となるように、前記周辺収納キャビネット及び前記作業台の少なくともいずれか一方について水平方向の設置位置を自動調整する請求項15に記載のキッチン設備制御システム。
  17. 前記キッチン設備はカウンタ部とその下方に設けられたキャビネット部とを有し、前記キャビネット部が前記カウンタ部に対し奥に向かって相対移動可能となるように構成され、前記カウンタ部に対する前記キャビネット部の相対位置に関する相対位置情報が前記ユーザ特有情報に含まれ、当該相対位置情報に基づいて前記キャビネット部の相対位置を自動調整する請求項1乃至16のいずれかに記載のキッチン設備制御システム。
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