JP2008259617A - 生体用接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化速度が速く、安全で高強度、かつ柔軟な生体分解性硬化物を形成し、血管などの種々組織における創傷の縫合、止血、密閉、皮膚表面の被覆などを目的に生体組織内または組織上に使用される血管接合剤として好適であり、特に血管などの吻合において、短時間で充分に硬化し、吻合抗張力を発揮するため、外科用生体内接着剤として好適な接着剤組成物の提供。
【解決手段】シアノアクリラートと、グリセリン脂肪酸エステルとを含む生体用接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、シアノアクリラート系生体用接着剤組成物に関する。
従来、創傷の縫合、ステープルなどの外科処置に代替しうるまたはその補助手段として接着剤の使用が提案され、臨床での使用例もある。接着剤は、裂傷、擦り傷、火傷、口内炎、爛れなどの被覆剤としても有用である。このように生体に適用しうるものとして、シアノアクリラート系、ウレタン系、エポキシ系、ゼラチン系、フィブリン系などの接着剤が知られている。なかでも、シアノアクリラート系接着剤は硬化速度が速く、医科用α−シアノアクリラートのアルキルエステルが種々提案され、手術用接着剤として市販されてているものもある。生体適合性接着剤用シアノアクリラートとして、エステル結合した側鎖アルキル部分に、エーテル結合、エステル結合を含ませたα−シアノアクリラート誘導体も知られている(特許文献1など参照)。
生体用接着剤用シアノアクリラートには、特に、硬化物の柔軟性が望まれる。シアノアクリラート硬化物に、柔軟性を付与するために可塑剤を添加することも提案されている。たとえば、アルキルエステルシアノアクリラート、アルキルエーテルシアノアクリラートなどのモノマーを含む生体適合性粘着剤組成物に含ませる可塑剤として、クエン酸トリブチル、ATBC、ポリジメチルシロキサン、ヘキサジメチルシラザンなどが示されている(特許文献2参照)。
また、硬化物の脆さを改善し、柔軟な硬化物を与えうるシアノアクリラート組成物として、低級および高級を組み合わせたシアノアクリラートに、可塑剤を添加した組成物が提案されている。ここでの可塑剤は、アルキレングリコールジエステルおよびヒドロキシカルボン酸エステルから選ばれるエステル基含有可塑剤であり、好ましい可塑剤として、O−アセチルクエン酸トリブチル(上記ATBCとも略称される)、O−アセチルクエン酸トリエチル、ジ安息香酸ジプロピレングリコールおよびジ安息香酸ジエチレングリコールなどが示されている(特許文献3参照)。
特開平8−252306号公報 特表2004−505121号公報 特表2004−522827号公報
本発明は、安全で生体適合性の生体用接着剤、特に、血管接着用接着剤として直接または針糸血管吻合のサポートなどとして使用可能な強度および柔軟性を有するシアノアクリラート系生体用接着剤組成物を提供することを目的としている。
本発明では、上記課題を解決するものとして、シアノアクリラートとの組合わせで新規な柔軟化剤としてグリセリン脂肪酸エステルを含む生体用接着剤を提供する。すなわち、本発明は、シアノアクリラートと、グリセリン脂肪酸エステルとを含む生体用接着剤組成物である。体内用途の接着剤に配合する柔軟剤は、毒性が低いものであることが好ましく、かつシアノアクリラートの安定性が損なわれないものが好ましい。毒性の点ではグリセリン骨格のものが有利であり、さらにはシアノアクリラートが不安定になる原因のひとつである水酸基が保護されているグリセリン誘導体が好ましい。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン縮合物すなわちポリグリセリンのエステルであってもよい。グリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは遊離水酸基をもたない。すなわち、グリセリントリエステルか、または遊離水酸基をもたないポリグリセリンエステルである。
上記グリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜22の脂肪酸誘導基を少なくとも1つ有するものが挙げられる。
また、上記グリセリン脂肪酸エステルとして、トリアセチルグリセリンも好ましく挙げられる。
本発明において、シアノアクリラートは、アルコキシアルキル=2-シアノアクリラートおよびアルキルエステル=2-シアノアクリラートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。
本発明の好ましい態様は、上記接着剤組成物からなる血管接合剤である。
本発明の接着剤組成物は、硬化速度が速く、安全で高強度、かつ柔軟な生体分解性硬化物を形成する。したがって本発明の接着剤組成物は、たとえば血管などの種々組織における創傷の縫合、止血、密閉、皮膚表面の被覆などを目的に生体組織内または組織上に使用される血管接合剤として好適であり、特に血管などの吻合において、短時間で充分に硬化し、吻合抗張力を発揮するため、外科用生体内接着剤として好適である。
本発明において、接着組成物の主剤であるシアノアクリラート(シアノアクリル酸エステル)は、生体に適用可能なものであれば、下記一般式(I)で示される重合性α-または2-シアノアクリラート(単にシアノアクリラートと表記)を広く用いることができる。
Figure 2008259617

上記エステル結合部位Rとしては、分岐または直鎖の炭素数1〜8のアルキル基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチルなどが挙げられる。具体的に、アルキルシアノアクリラートとしては、メチルシアノアクリラート、エチルシアノアクリラート、プロピルシアノアクリラート、ブチルシアノアクリラート、オクチルシアノアクリラートなどが挙げられる。このようなアルキルシアノアクリラートは硬化速度が極めて速いことが知られている。
また、上記エステル結合部位R中に少なくとも1のエーテル結合および/またはエステル結合を含むシアノアクリラートは、加水分解性に優れる。
上記エステル結合部位Rがエーテル結合を含む場合には、Rは、−R1−(O−R2−O−R3(ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、通常、炭素数1〜4好ましくは2〜3のアルキレン基であり、Rは、通常、炭素数1〜8好ましくは1〜4のアルキル基であり、nは、通常、0〜3、好ましくは0または1である。)で表すことができる。このようなRを以下便宜的にアルキルエーテル基と称する。
また、エステル結合部位Rがエステル結合を含む場合には、Rは、−CH(R4)−C(=O)−OR5(ここで、R4は、Hまたはメチル基であり、R5は、炭素数1〜4のアルキル基である。)で表すことができ、このようなRを以下便宜的にアルキルエステル基と称する。
なお、上記エステル結合部位Rでのアルキレン基および末端アルキル基は、分岐または直鎖のいずれでもよく、特にことわりのない限り、いずれも含む意味で例示される。
上記のようなアルキルエーテルシアノアクリラートとしては、以下の例示に限定されるものではないが、たとえば,プロポキシメチル=シアノアクリラート、ブトキシメチル=シアノアクリラート、メトキシエチル=シアノアクリラート(略称EGM)、エトキシエチル=シアノアクリラート(略称EGE)、プロポキシエチル=シアノアクリラート、ブトキシエチル=シアノアクリラート(略称EGB)、ペントオキシエチル=シアノアクリラート(アミルオキシエチル=シアノアクリラート)、ヘキシルオキシエチル=シアノアクリラート(略称EGH)、メトキシプロピル=シアノアクリラート(略称PGM)、エトキシプロピル=シアノアクリラート(略称PGE)、プロポキシプロピル=シアノアクリラート(略称PGP)、ブトキシプロピル=シアノアクリラート(略称PGB)、メトキシブチル=シアノアクリラート、エトキシブチル=シアノアクリラート、ブトキシブチル=シアノアクリラート、2-(2'-メトキシ)エトキシエチル=シアノアクリラート(略称DEGM)、2-(2'-エトキシ)エトキシエチル=シアノアクリラート(略称DEGE)、2-(2'-プロピロキシ)エトキシエチル=シアノアクリラート(略称DEGiP)、2-(2'-ブチルオキシ)エトキシエチル=シアノアクリラート(略称DEGB)、2-(2'-ペンチルオキシ)エトキシエチル=シアノアクリラート、2-(2'-ヘキシルオキシ)エトキシエチル=シアノアクリラート、2-(3'-メトキシ)プロピロキシエチル=シアノアクリラート 、2-(3'-メトキシ)ブチルオキシエチル=シアノアクリラート、2-(2'-メトキシ)エトキシプロピル=シアノアクリラート、2-(2'-メトキシ)プロピロキシプロピル=シアノアクリラート(略称DPGM)、2-(2'-エトキシ)プロピロキシプロピル=シアノアクリラート、2-(2'-プロピロキシ)プロピロキシプロピル=シアノアクリラート(略称DPGP)、2-(2'-ブチルオキシ)プロルオキシプロピル=シアノアクリラート、2-(2'-ペンチルオキシ)プロピロキシプロピル=シアノアクリラート、2-(2'-ヘキシルオキシ)プロピロキシプロピル=シアノアクリラート、2-(3'-メトキシ)プロピロキシプロピル=シアノアクリラート、2-(3'-メトキシ)ブチルオキシプロピル=シアノアクリラート、2-(2'-メトキシ)エトキシブチル=シアノアクリラート、2-(2'-エトキシ)エトキシブチル=シアノアクリラート、
2-(2'-メトキシ)ブチルオキシブチル=シアノアクリラート、2-(2'-エトキシ)ブチルオキシブチル=シアノアクリラート、2-(2'-ブチルオキシ)ブチルオキシブチル=シアノアクリラートなどが挙げられる。
アルキルエステルシアノアクリラートとしては、以下の例示に限定されるものではないが、エチルグリコロイル=シアノアクリラート、プロピルグリコロイル=シアノアクリラート、ブチルグリコロイル=シアノアクリラート、エチルラクトイル=シアノアクリラート、ブチルラクトイル=シアノアクリラートなどが挙げられる。
上記の中でも、アルキルシアノアクリラートがたとえばオクチル程度の長鎖アルキルエステルであれば柔軟性があり、止血と抗菌性を示し、また加水分解速度が遅く数年オーダーで安定であることが知られている。一方、手術時の止血目的などの場合には、適度な加水分解性が望まれ、その点で、アルキルエーテルシアノアクリラートおよびアルキルエステルシアノアクリラートが好ましい。具体的に、エーテル結合を含むアルキルエーテルシアノアクリラートの硬化物は、アルキルシアノアクリラートのそれよりもガラス転移点が低く、柔軟な組織となりやすいことから、硬化物組織内に水分子が進入しやすく、加水分解が起きやすい。また、アルキルエステルシアノアクリラートでは、エステル結合した側鎖中の酸が加水分解により切断されやすく、それに続きアクリラート本体のカルボン酸部位が加水分解を受ける。なお、シアノアクリラートの加水分解では、ホルムアルデヒドとシアノアセタートを生じやすく、青酸は生じないとされている。
本発明において、シアノアクリラートの硬化物の適度な加水分解性とは、3〜36ケ月程度、好ましくは3〜24ケ月程度で分解するものをいう。このようなアルキルエステルシアノアクリラートのうちでも、ブチルグリコイル=シアノアクリラート(一般式(I)におけるR:−CH2−CO2−C49)、ブチルラクトイル=シアノアクリラート(一般式(I)におけるR:−CH(CH3)−CO2−C49)が好ましく挙げられる。
また適度な加水分解性を有する硬化物を形成するシアノアクリラートのうちでも、エステル結合部位にエーテル結合を含むシアノアクリラートの硬化物は柔軟性があり、起炎性が低く、生体適合性が高い。とりわけ柔軟性の高いアルキルエーテルシアノアリラートは好ましく、特にゴム性硬化物を形成するEGE、DEGM、DEGE、DEGiP、DEGB、PGM、PGE、PGP、DPGMなどが好ましい。
本発明に係る接着剤組成物に含まれるシアノアクリラートは、1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。またシアノアクリラートは、それ自体が液体または溶媒中溶液などの硬化性の液体であって、最終的な接着剤組成物が生体に適用容易な形態を採りうるものであればよく、したがって必ずしも単量体のみに限定されるものではなく、ある程度のオリゴマーを含むものであってもよい。
上記のようなシアノアクリラートの製造方法は公知であり、たとえば、アルキルシアノアクリラートは米国特許第2721858号などに記載されている。この文献の記載を引用することにより、本明細書に記載されているものとすることができる。アルキルシアノアクリラートについては、たとえばアルキル炭素数C=2が商品名アロンアルファA(東亞合成)、C=4が商品名Indermil(タイコ社)、C=8がDreambond(エチコン社)などの市販品として入手可能である。
また、アルキルエーテルシアノアクリラートは、特開昭56−90871号および特開昭56−135455号などに記載された方法に準じて製造することができ、これら文献の記載は、引用することにより本明細書に記載されているものとすることができる。
アルキルエーテルシアノアクリラートのうちでも、EGM、EGEなどは、東亞合成、ロックタイト(LOCTITE)などから市販品として入手可能である。
アルキルエステルシアノアクリラートは、米国特許第3995641号などに記載された方法に準じて製造することができ、この文献の記載は、引用することにより本明細書に記載されているものとすることができる。また、たとえば、特表2004−505121(この文献の記載は、引用することにより本明細書に記載されているものとすることができる。)に記載の方法に準じて、アルキルシアノアセタートまたはアルキルエステルシアノアセタートを、パラホルムアルデヒドと共にクネーフェナーゲル縮合を行うことによって調製することができる。これをアルキルエステルシアノアクリラートオリゴマーへと導く。引き続いてそのオリゴマーを熱分解することにより、シアノアクリラートモノマーが形成される。更に蒸留した後に、高純度(95.0%以上、好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.8%以上)のアルキルエステルシアノアクリラートモノマーを得ることができる。
本発明の接着剤組成物中に含まれるグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン骨格が2分子以上のグリセリン縮合物であるポリグリセライドであってもよい。この場合、グリセリンの縮合分子数は特に限定されるものではないが、縮合度が高いほど粘度が高くなり、これを含むシアノアクリラート接着剤組成物の粘度も高くなるため、接着剤組成物の使用に適した粘度の観点から、通常、10分子程度以下が好ましい。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくは遊離水酸基をもたない。つまりモノグリセライド骨格の場合にはグリセリントリエステル、またはポリグリセライド骨格の場合には遊離水酸基をもたないポリグリセリン全エステル化物が好ましい。グリセリントリエステルは、具体的に、R1−O−CH2−CH(OR2)−CH2−O−R3(ここでのR1,R2およびR3は、互いに独立に、通常、炭素数1〜18の脂肪酸誘導基である。)で示すことができる。ポリグリセリンエステルにおける脂肪酸誘導基は、上記と同様、通常、炭素数1〜18の脂肪酸誘導基である。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステルは、本質的に、アセチルエステルが好ましく挙げられる。また、炭素数6以上の脂肪酸誘導基を少なくとも1つ有するグリセリン脂肪酸エステルも好ましい例として挙げられる。この場合、残余は、アセチル基が好ましく挙げられる。炭素数6以上の脂肪酸としては、ヘプタン酸、オクタン酸(通称カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イコサン酸、ドコサン酸(ベヘン酸)などの直鎖脂肪酸が好ましく挙げられる。これらのうちでも、好ましくは6〜22、より好ましくは8〜18の脂肪酸が好ましい。
上記式で示されるグリセリントリエステルの場合、好ましい一例は、トリアセチルグリセリンである。また、上記式中、R1,R2およびR3のうちの少なくとも1つが、上記炭素数6以上の脂肪酸誘導基であるモノグリセライド型のグリセリントリエステルとしては、たとえば、グリセリンジアセトモノオクタノアート、グリセリンジアセトモノラウラートおよびグリセリンジアセトモノオレアートなどが挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルがポリグリセライド型骨格をもつ場合には、グリセリンの2分子、4分子および10分子縮合物、すなわちジグリセリン、テトラグリセリンおよびデカグリセンなどの骨格をもつ化合物が挙げられる。なおここでの縮合分子数は、通常、平均重合度を意味する。これらのエステルとして、たとえばジグリセリンラウラート、ジグリセリンステアラート、ジグリセリンオレアート、テトラグリセリンステアラート、テトラグリセリンオクタノアート、デカグリセリンラウラート、デカグリセリンステアラートおよびデカグリセリンオレアートなどが好ましく挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルは、その製造方法については公知であり、たとえば特開2006−213698号公報には、ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法が各種記載されている。また、グリセリン脂肪酸エステルは、市販品としても入手可能である。たとえば、グリセリンジアセトモノラウラートはポエムG−002、グリセリンジアセトモノオレアートはポエムG−038、テトラグリセリンステアラートはポエムJ−4081、デカグリセリンラウラートはポエムJ−0021、デカグリセリンオレアートはJ−0381などの商品名(いずれも理研ビタミン(株)製)の市販品として入手可能である。
本発明において、グリセリン脂肪酸エステルの量は、その種類によっても異なるが、シアノアクリラートに対し、通常、0.5〜10wt%好ましくは1〜5wt%である。このような量であれば、接着力を低下させずに柔軟化効果を充分に付与することができる。 遊離水酸基をもたない上記グリセリン脂肪酸エステルは、シアノアクリラートと一液型接着剤組成物を形成することができる。
上記のようなグリセリン脂肪酸エステルを、シアノアクリラート、特にアルキルエーテルシアノアクリラートおよび/またはアルキルエステルシアノアクリラートとの組み合わせで含む本発明に係る接着剤組成物は、シアノアクリラートが本来有する速硬性に悪影響を及ぼすことなく、安全、高強度で、とりわけ柔軟性に優れた生体分解性硬化物を得ることができる。このように短時間で充分に硬化し、吻合抗張力を発揮する接着剤組成物は、特に、外科用生体内接着剤、とりわけ血管接合剤として好適である。
シアノアクリラート接着剤組成物の硬化物が体内に長期埋植された場合、組成物中に配合された柔軟剤が徐々にブリードする。そのブリード速度が遅いほど、硬化物は柔軟性を維持することができ有利である。また、ブリード速度が遅い、すなわち、柔軟剤の局所濃度が低いほど細胞毒性のリスクが低くなる。グリセリン脂肪酸エステルは、クエン酸誘導体などの公知の柔軟剤に比べ、硬化物からのブリード速度が遅いため、柔軟性や安全性の面で有利である。
本発明に係る接着剤組成物は、生体適用時に、適用した場所でただちに硬化し、被接着体上にまたは被接着体同士を強固に接着した硬化膜を形成することができる。また、加水分解性で好ましくは柔軟なシアノアクリラートを含む場合には、適用した創傷部位に柔軟な硬化物を形成し、かつ治癒後には適宜分解して最終的に消失することができる。このような接着剤組成物は、皮膚、血管、心筋、肺胞、骨、管腔臓器、実質臓器などの生体組織に広く適用することができる。また、生体組織と、人工血管、止血材、ステープルピン、縫合糸などの人工補綴物との接合材または接合補助として、さらにはこれら人工補綴物の代替として使用することができる。本発明の接着剤組成物は、とりわけ、血管結合剤として有用である。
本発明では、上記シアノアクリラートおよびグリセリン脂肪酸エステルとともに、本発明の目的に適いかつ効果を損なわない範囲であれば、他の成分を接着剤組成物中に含むことができる。
他の成分としては、たとえば、硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤としては、たとえば、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化アセチルなどの四級アミン;非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性または両イオン界面活性剤、分子内塩などの界面活性剤;イミダゾール、トリプタミン、尿素、アルギニン、ポビドンなどのアミン、イミンおよびアミド;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイトなどのホスフィン、ホスファイトおよびホスフォニウム塩;エチレングリコール、没食子酸メチル(メチルガレート)、アスコルビン酸、タンニン、タンニン酸などのアルコール類;亜硫酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カルシウム、珪酸ナトリウムなどの無機塩基類および塩類;チオ尿素、ポリスルフィドなどの硫黄化合物;モネンシン、ノナクチン、クラウンエーテル、カリックスアレーン、重合化したエポキシドなどの重合化した環状エーテル類;ジエチルカルボネートなどの環式および非環式炭酸塩;アリコート336TMなどの相転移触媒;コバルトナフテネート、マンガンアセチルアセトネートなどの有機金属類;ジ-t-ブチルパーオキシド、アゾビ水素ブチロニトリルなどのラジカル開始剤または促進剤などが挙げられる。
また、他の成分として、抗菌剤、pH調整剤、重合禁止剤などの安定剤、粘度調整剤、可塑剤、着色剤、保存剤、熱放散剤などが挙げられる。
上記他の成分は、一種または二種以上を含むことができ、上記のシアノアクリラートと一液型を形成することができる。
また接着剤組成物は、医用であることを考慮すれば、滅菌した製品であることは好ましい態様である。滅菌は、電子線滅菌法、γ線滅菌法、ろ過滅菌法、乾熱滅菌法などが挙げられるが、活性の高いシアノアクリラートを含むことを考慮すれば、滅菌後の保管安定性の点から、ろ過滅菌法、乾熱滅菌法などが好ましく採択される。

Claims (6)

  1. シアノアクリラートと、グリセリン脂肪酸エステルとを含む生体用接着剤組成物。
  2. 前記グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリントリエステルまたは遊離水酸基をもたないポリグリセリンエステルである請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記グリセリン脂肪酸エステルが、炭素数6〜22の脂肪酸誘導基を少なくとも1つ有する請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記グリセリン脂肪酸エステルが、トリアセチルグリセリンである請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  5. 前記シアノアクリラートが、アルコキシアルキル=2-シアノアクリラートおよびアルキルエステル=2-シアノアクリラートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物からなる血管接合剤。
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