JP2008257654A - 大振幅スロッシング挙動予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 予測に要する計算時間及びコストを低減できるようにする。
【解決手段】 タンク1内の液体2にスロッシングが生じて初期位置からの液面変位が大きくなると、基準液面を順次更新し、更新された新たな基準液面について、この基準液面と直交するz軸上に設けた新たな原点からの球座標を設定して、新たな基準液面の近くでの振動解析を行う。この基準液面の更新と、更新された基準液面近くでの振動解析とを順次繰り返すことで、大振幅スロッシング時の挙動解析を行わせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、宇宙機の推薬タンク等にて、重力方向の変化の影響によりタンク内部の液体がタンク内を広範囲に動くような大振幅のスロッシングを生じるときの挙動を予測するために用いる大振幅スロッシング挙動予測方法に関するものである。
宇宙機の推薬タンク内の推薬のような低重力環境のタンク内の液体がスロッシングを生じるときの挙動を予測する手法として、本発明者は、これまでに、図4に示す如きタンク1内の液体2の静的平衡時の液体形状が軸対称な場合に関して、静的平衡位置のまわりの線形振動を解析し(たとえば、非特許文献1、非特許文献2参照)、メカニカルモデル(スロッシングによってタンク1に働く力とモーメントをマスばね系でモデル化したもの)の作成を行う手法を提案している(たとえば、非特許文献3参照)。すなわち、具体的には、宇宙機における推薬タンク1の静的平衡時の液面3は、低重力宇宙で表面張力が重要になる場合を対象とするため、Z軸に垂直な平面ではなくZ軸に関して軸対称な曲面である。上記本発明者が従来提案している解析の特長は、図4に示したように、静的平衡時の液面3とタンク壁面との接触交線4でタンク壁面に接する円錐を考え、この円錐の頂点Oを原点として球座標を設定することである。この特長により、タンク形状が外側に凸の任意の軸対称な場合に対して、液体運動の特性関数(モード関数)が解析的に決定できるようになり、計算時間コストを著しく低減できるようにしてある。
又、宇宙機の推薬タンクにて推薬の大振幅のスロッシングの挙動を予測するための別の手法としては、CFDを用いた数値解析法に属する手法も提案されてきている(たとえば、非特許文献4参照)。
内海雅彦(Utsumi M.),「球座標を用いた低重力推薬スロッシング解析(Low-gravity Propellant Slosh Analysis Using Spherical Coordinates)」,ジャーナル オブ フリュイッド アンド ストラクチャーズ(Journal of Fluids and Structures),(米国),1998年,12巻,p.57−83 内海雅彦(Utsumi M.),「軸方向に加振される軸対称容器内の低重力スロッシング(Low-gravity Sloshing in an Axisymmetrical Container Excited in the Axial Direction)」,ジャーナル オブ アプライド メカニックス(Journal of Applied Mechanics),(米国),米国機械学会(ASME),2000年,67巻,p.344−354 内海雅彦(Utsumi M.),「軸対称タンク内の低重力スロッシングのメカニカルモデル(A Mechanical Model for Low-gravity Sloshing in an Axisymmetric Tank),ジャーナル オブ アプライド メカニックス(Journal of Applied Mechanics),(米国),米国機械学会(ASME),2004年,71巻,p.724−730 べリー、デムチャック、テガート、クライグ(R.L. Berry, L.J. Demchak, J.R. Tegart, and M.K. Craig)「大振幅の推薬スロッシングをシミュレートするための解析ツール(An Analytical Tool for Simulating Large Amplitude Propellant Slosh)」,エイアイエイエイペーパー(AIAA Paper),(米国),米国航空宇宙学会(AIAA),1981年,No.81−0500,p.55−61
ところが、上記非特許文献1、2、3に記載したような解析的手法は、タンク内の液体が、液面の静的平衡位置近くで微小振幅や、有限振幅で振動する場合の挙動解析には有効であるが、重力方向が変って液体がタンク内を広範囲に動くような、大振幅のスロッシングが起こる場合には適用限界が生じてしまい、上記したような大振幅のスロッシングに対しては、初期のわずかな時間範囲での液面の挙動の予測はできるが、振幅が大きくなると予測が困難になるというのが実状である。
上記非特許文献4に記載された手法では、多くの計算時間を要すると共に、コストが嵩むという問題があり、しかも、CFDのプログラムがブラックボックス化されているため、或る想定された範囲内のスロッシングについてしか挙動予測を行うことができないという問題が生じる虞もある。
そこで、本発明者は、上記非特許文献1、2、3で提案した解析的手法を、重力急変によって液体が静的平衡位置から大きく移動する場合のような、大振幅スロッシングの挙動予測に発展させるための工夫、研究を重ねた結果、初期位置からの液面変位が大きくなると、液面基準位置を、初期の静的平衡位置から、その時点での液面近くに順次更新して解析すれば、大振幅のスロッシングの問題が、CFDを用いなくても、本発明者がこれまでに提案している静的平衡位置近くでの振動解析の繰り返しで解けるようになることを見出して本発明をなした。
したがって、本発明の目的とするところは、宇宙機の推薬タンク等のように、重力方向の変化に伴いタンク内部の液体がタンク内を広範囲に動くような大振幅のスロッシングの挙動を予測でき、しかも、計算時間及びコストを著しく低減できる大振幅スロッシング挙動予測方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、タンク内の液面の変位が大きくなるごとに、基準液面の位置を液面変位前の静的平衡位置より液面変位後の液面の近傍に更新することと、該更新された新たな基準液面の位置を基に求められる上記液面変位後の液面の球座標から上記新たな基準液面の位置近くでの振動解析を行うことと、を順次繰り返して、初期液面基準位置からの大振幅スロッシングの挙動を予測する大振幅スロッシング挙動予測方法とする。
又、上記において、基準液面の位置の更新を行った後、該更新された基準液面の慣性主軸を求め、このうちの上記更新された基準液面とほぼ直交するものを軸として、該軸まわりに所要の角度間隔で分割した各周方向角座標の分割区間ごとに、上記更新された基準液面とタンク壁面との接触交線における該タンク壁面の接線と、上記軸との交点を原点として上記液面変位後の液面の球座標を求めるようにする構成とする。
更に、基準液面の位置の更新を、タンク内の液面の変位が半径寸法の1/10に達するごとに行うようにする構成とする。
本発明の大振幅スロッシング挙動予測方法によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)タンク内の液面の変位が大きくなるごとに、基準液面の位置を液面変位前の静的平衡位置より液面変位後の液面の近傍に更新することと、該更新された新たな基準液面の位置を基に求められる上記液面変位後の液面の球座標から上記新たな基準液面の位置近くでの振動解析を行うことと、を順次繰り返して、初期液面基準位置からの大振幅スロッシングの挙動を予測する方法としてあるので、タンク内の液体にスロッシングが生じて初期位置からの液面変位が大きくなるとしても、液面基準位置を順次更新して、この更新された液面基準位置近くでの振動解析の繰り返しによって解くことが可能になる。
(2)具体的には、基準液面の位置の更新を行った後、該更新された基準液面の慣性主軸を求め、このうちの上記更新された基準液面とほぼ直交するものを軸として、該軸まわりに所要の角度間隔で分割した各周方向角座標の分割区間ごとに、上記更新された基準液面とタンク壁面との接触交線における該タンク壁面の接線と、上記軸との交点を原点として上記液面変位後の液面の球座標を求めるようにすることにより、更新された新たな基準液面について、振動の解析を行うのに適した球座標を容易に設定することができる。このため、この新たに設定された球座標を使って液体運動の特性関数を解析的に定め、モード解析により上記新しい基準液面からの変位が大きくなるまでの液体運動を解析することを繰り返すことで、従来、CFDでしか解けなかった大振幅のスロッシングの問題に、解析的手法の適用が可能になる。更に、このような解析的手法を適用することで、自由度を大幅に低減することができて、大振幅のスロッシングの挙動予測に要する計算時間及びコストを大幅に低減することが可能になる。
(3)基準液面の位置の更新を、タンク内の液面の変位が半径寸法の1/10に達するごとに行うようにすることにより、基準液面が更新されるごとに、該更新された基準液面を基に、液面基準位置近くでの振動解析を、半径寸法の1/10程度の範囲内で行えばよいため、微小振幅の振動解析の繰り返しによって、大振幅スロッシングの挙動予測を行うことが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の大振幅スロッシング挙動予測方法の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
ここで、最初に、本発明において、上記非特許文献1、2、3で提案している解析法を、大振幅スロッシングの挙動の解析に拡張する手法について示す。
図1において、OXYZはタンク1に固定された座標系とし、且つ該タンク1は、Z軸に関して軸対称な形状とする。液体は初期に−Z方向の重力g(t)=−einit(t<0)(eはZ方向の単位ベクトル)の下で静的平衡状態にあり、重力がg(t)=e+e(t≧0)に変化したとき液体2が初期位置から大きく移動する大振幅のスロッシング問題を考える。
この初期位置の近くでの振動解析は、上記非特許文献1、2、3に記載された解析法で行うことができる。本発明では、この解析法を、大振幅のスロッシング問題に拡張、発展させるため、基準液面(液面変位を計る基点となる液面)を、液面変位が成長(増加)して或る値に達するごとに、その時刻での液面近くに更新し、基準液面の更新までの各時間区間t<t<tn+1の解析に、上記非特許文献1、2、3に記載されている解析法を適用することを考えた。
ところで、上記のようにして基準液面の更新を行うと、更新によって形成される新たな基準液面は、上記Z軸に対して軸対称ではなくなるため、この新たな基準液面とタンク壁面との接触交線でタンク壁面に接する円錐は存在しなくなってしまうという問題に直面する。しかし、上記非特許文献1、2、3に記載された解析法では、上述したように、基準液面とタンク壁面との接触交線でタンク壁面に接する円錐を用いることが、解析法のキーテクニックであった。
この問題を解決するために、本発明では、上記したように、液面変位が成長(増加)して或る値、たとえば、半径寸法の1/10程度に達するごとに、その時刻での液面近くに基準液面の更新を行うと、先ず、該更新された基準液面の慣性主軸を求め、このうち液面とほぼ直交するものをz軸とする(図1参照)。次に、上記z軸のタンク壁面との交点を原点として直交座標x,y,zをx軸がXZ平面内に含まれるように設定し、z軸まわりの周方向角座標ψの分割区間ψ≦ψ≦ψj+1(ψ=0.5Δψ+(j−1)Δψ,Δψ=2π/N,j=1,2,…,N)ごとに、基準液面のタンク壁面との接触交線と、平面ψ=ψの交点からタンク壁面に接線を引いて、この接線とz軸の交点を原点として球座標ORθψをとる。このような球座標ORθψを、図1に分割区間番号j=j,jについて例示している。この球座標ORθψを用いて基準液面M、基準液面から変位した液面F、タンク壁面Wを次のように表す。
Figure 2008257654
ここで、ζは液面の基準液面からの変位である。
上記においては、液面がz軸に関して軸対称でないため、ある周方向座標で原点のz座標が正から負に変化し、プラスR方向にとられた液面変位ζが不連続になり得ることが懸念される。この問題を回避するため、原点がタンクに対して+z側、−z側のどちらにあるかに応じて+1、−1に設定される定数εを導入し、ζではなく、外向きの液面変位−εζを特性関数で展開表示する配慮を施す(後述する式(27)参照)。
又、以下の解析の便利のため、運動座標系x≡(x,y,z)とタンク固定座標系X≡(X,Y,Z)の関係を次のように表しておく。
Figure 2008257654
よって、上記球座標ORθψと上記運動座標系x≡(x,y,z)との関係は次式によって与えられる。
Figure 2008257654
このような球座標ORθψによる解析は、外側に凸の任意のタンク壁面W形状に対して特性関数の解析的決定ができ、計算時間、コストが低減できる以外に、以下の利点を有する。
すなわち、第1に、低重力場で表面張力によって液面が強く湾曲しても、液面を1価関数で表すことができる。第2に、任意のタンク壁面形状に対して、液面変位がタンク壁面Wで壁面に接するという適合条件が満たされるようになる。
次に、上記のように球座標ORθψを設定した条件の下で、各時間区間についての液体運動解析について示す。
ここで、先ず、上記支配方程式系と等価な変分原理を導く。表面張力がない場合のラグランジュアン密度は液圧に等しく、低重力下で表面張力が重要となった場合には、気圧と気液界面、固液界面、固気界面での表面エネルギによるポテンシャルエネルギを引かなくてはならないので、変分原理は次のようになる。
Figure 2008257654
上記液圧pは、非定常流れに関する圧力方程式より、タンクに対して相対的な液体運動を表す速度ポテンシャルφを用いて次のように表される。
Figure 2008257654
式(7)を式(6)に代入し、φ,ζ,Gに関して変分をとると次のようになる(詳細な導出方法は非特許文献1、非特許文献2を参照)。
Figure 2008257654
ここで支配方程式系を表す部分を次のようにおいている。
Figure 2008257654
上記φ,ζ,Gの変分の任意独立性より、E=0(i=1,2,…,5)が成り立つべき支配方程式となる。これらの物理的意味は次のとおりである。
=0は、液体領域内での連続条件を表し、渦なし流れの仮定によりラプラス方程式となる。
=0は、剛体と仮定されたタンク壁面Wでその法線方向の流速成分が0となる境界条件を表す。
=0は、液面と流体粒子の液面法線方向の速度成分が等しいという境界条件を表す。
=0は、気圧、液圧、表面張力の間の力のつりあい条件を表し、低重力宇宙で表面張力が重要となった場合、気液界面圧力差が生じることを示している。
=0は、接触角が液面運動時に3つの界面張力に応じた一定値をとることを表す条件である。
=0は、液体の非圧縮性の仮定に基づく体積一定条件である。
体積一定条件は他の運動学的条件E=E=E=0から導くことができるので、E=0(1,2,…,5)を基礎式と見なすことができる。
次に、変分原理の球座標表示について示す。
上記式(8)中のN,N,dF,dW,dC,cosθ´を、式(2),(3)より微分幾何に基づいて球座標ORθψで表し、液面境界条件の項では液面の動径座標(式(2))を代入して液面変位ζについてテーラ展開して線形化すると、次のようになる。
Figure 2008257654
ここで
Figure 2008257654
上記式(19)で、S (0)等は液面の基準位置Rの関数である。
液面の基準位置近くでの運動解析を、基準液面Mとタンク壁面Wに囲まれた液体の固有モードを用いて行う。このとき、基底となる固有モードが重力急変によって激しく変化することを抑制するため、与えられた重力場を乱さないように、固有値の決定に用いる−z方向の重力geiz>0を導入して液面における力学的境界条件の残差^Eを修正する(なお、本明細書では、便宜上、式中のハット(^)を上に付した文字を文中に記載する場合、ハット(^)を文字の前に記すこととする。以下同様。)。すなわち、与えられた重力を
Figure 2008257654
と表し、^g及び^gを、式(21)の両辺のX,Z成分が等しい条件より
Figure 2008257654
と定めて、与えられた重力場を乱さないための外乱として扱う。又、上記式(21)の変換に応じて、式(19)の重力項を次のように変換する。
Figure 2008257654
上記式(23)中の直交座標の液面上での値は、式(2)の式(5)への代入と、式(4)での変換によって、
Figure 2008257654
の形に基準液面位置の関数S (i)(i=10−15)と液面変位によって表される。したがって、力学的境界条件の残差式(19)は次のように修正される。
Figure 2008257654
次いで、ガレルキン法による離散化について示す。
上記のようにして導いた変分原理に、ガレルキン法による離散化手法を用いることによって、各時間区間での液面挙動を支配する、時間に関する常微分方程式を導出する。この離散化手法は、解を特性関数で展開した形に表して変分原理に代入することにより、展開係数(未知の時間関数で一般化座標という)に関する常微分方程式を導出する方法である。解の展開式は、次の形に表せる。
Figure 2008257654
上記において、特性関数Xmkl、Θmk等の導出法は非特許文献1及び非特許文献2に記してあるので、ここでは省略する。ここで、特に注意すべきことは、緯角の範囲が0≦θ≦πである通常の球座標では、Θmk(θ)は陪ルジャンドル多項式であるが、ここで用いる球座標は0≦θ≦θmax<π/2であるため(図1参照)、Θmk(θ)が無限級数となることである。従ってΘmk(θ)を新たに導く必要がある。
式(26)、式(27)を変分原理の式(15)に代入し、一般化座標amklq,cmkqについて変分をとると、次のようなマトリックス方程式が導かれる。
Figure 2008257654
ここでa,cは、それぞれ一般化座標amklq,cmkqを並べた列ベクトルである。上記式(28)のa,cに関する方程式からaを消去すると次のようになる。
Figure 2008257654
ここで
Figure 2008257654
各列がマトリックスM−122の固有ベクトルであるマトリックスTを用いて、モード座標qへの変換c=Tqを行うと、
Figure 2008257654
となる。
上記式(31)の左辺のqの係数は、固有振動数の2乗を対角要素とする対角行列である。上記式(31)を解くことによって、着目しているn番目の時間区間の終わりの時刻での液面位置R=RF,n(θ,ψ,tn+1)が決定する。
本解析法の特長は、以上の時間区間内の解析が、下記の2点により、CFD等の従来の数値的方法に比較して高速、低コストで行えることである。
すなわち、第1に、球座標ORθψの導入により特性関数が解析的に定められるようになる。第2に、モード変換のための固有値問題の次元が小さくてすむ。
以上により、時間区間終端時刻での液面の慣性主軸のうち液面とほぼ直交するものが次の時間区間でのz軸、すなわちzn+1となる。したがって、zn+1軸とタンク壁面Wの交点を原点とし、yn+1をXZ平面内にとって直交座標系(xn+1,yn+1,zn+1)を定義し、次のように球座標(Rn+1,θn+1,ψn+1)を設定する。
Figure 2008257654
この新しい球座標(Rn+1,θn+1,ψn+1)に、前の時間区間の終わりの時刻での液面位置R=RFn(θ,ψ,tn+1)を変換したものRn+1=RF,n+1(θn+1,ψn+1,tn+1)を新しい時間区間の初期液面として求める。液面変位の初期値を求めるため、先ず、新しい時間区間での基準液面を、次の楕円体面として設定する。
Figure 2008257654
ここで、Hは初期液面のzn+1軸との交点のzn+1座標であり、A,Bはこの楕円体面が初期液面の接触線でタンク壁面と接触角θ´で交わる条件により周方向各分割区間に対して定める。
上記式(32)を式(33)に代入し、Rn+1に関して解くことにより、基準液面Rn+1=RM,n+1(θn+1,ψn+1)を決定する。このようにして定められる基準液面からの初期液面の外向き変位−ε(RF,n+1−RM,n+1)を、液面変位の許容関数を表す式(27)の基底で次式のようにフーリエ展開すると、一般化座標の初期値cmkq(tn+1)に関する連立1次方程式となり、これを解くことによって初期値cmkq(tn+1)が定められる。
Figure 2008257654
したがって、以上の構成としてある本発明の大振幅スロッシング挙動予測方法によれば、タンク内の液体にスロッシングが生じて初期位置からの液面変位が大きくなるとしても、上記式(31)を解くことによって、現在、着目しているn番目の時間区間の終わりの時刻での液面位置R=RF,n(θ,ψ,tn+1)が決定することから、液面基準位置を、初期の静的平衡位置から現在の液面近くに順次更新して、この更新された液面基準位置を、静的平衡位置と置いてその振動についての解析を行うことができるため、大振幅のスロッシングの問題が、静的平衡位置近くでの振動解析の繰り返しによって解くことが可能になる。
具体的には、新しい基準液面の慣性主軸のうち、液面とほぼ直交するものを新たなz軸として、該z軸のまわりに周方向角座標ψを取り、この周方向角座標ψを等分割し、各分割区間で上記新しい基準液面のタンク壁面との接触交線からタンク壁面に接線を引き、該接線と上記z軸との交点を新たな原点として球座標を設定することができるため、この球座標を使って液体運動の特性関数を解析的に定め、モード解析により上記新しい基準液面からの変位が大きくなるまでの液体運動を解析する。これを繰り返すことで、従来、CFDでしか解けなかった大振幅のスロッシングの問題に、解析的手法の適用が可能になる。更には、このような解析的手法を適用することで、自由度を低減することができて、CFDでは、マトリクスの次元が数百〜千であったのに対し、本発明の大振幅スロッシング挙動予測方法によれば、マトリクスを5次元程度にまで大幅に低減することができる。したがって、大振幅のスロッシングの挙動予測に要する計算時間及びコストを大幅に低減することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、タンク1内部の液体2がタンク1内を広範囲に動くような大振幅のスロッシングを生じるときに更新される基準液面とタンク壁面との接触交線部分にて、タンク壁面との接線を引くことで、該接線と、上記更新された基準液面にほぼ直交する新たなz軸との交点を決定できるような形状であれば、いかなるタンク形状のタンクにおける大振幅スロッシングの挙動予測にも適用できる。その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
以下、本発明者が実施した本発明の有効性の検証の結果について説明する。
図1の構成において、タンクを半径b=0.3mの球形として、以下の条件の下で計算を行った。
Figure 2008257654
又、重力の大きさは無次元のボンド数で与えている。重力方向は初期において−Z方向で、初期時刻にX軸から−20度の方向に変化した場合を計算した。液体量は、初期において上に指定したボンド数と接触角の下で、接触線のZ座標が0.39mとなる液体量としてある。
図2(イ)(ロ)に、ψ=15度−225度の面での液体の断面図を示す。図中の破線は、初期における液体の静的平衡位置を示すものである。
図2(イ)に示すように、液体は、途中の時刻(t=70sec)で最終位置を行き過ぎるオーバーシュートを生じた後、図2(ロ)に示す如く、最終位置に達することが判明した。最終位置は、変動後の重力方向に平行でタンク中心を通る直線について対称である。図3は、液面とタンク壁面との接触線上のψ=15度の点のX,Z座標の時間推移を示す。この点はタンク壁面のZ軸との交点付近に収束し、この付近でタンク壁面はほとんどZ軸に垂直であるため、この点のZ座標の最終値まわりの振動は非常に小さくなることが判明した。
本発明の大振幅スロッシング挙動解析方法の実施の一形態を示す概要図である。 本発明者が実施した本発明の有効性の検証の結果を示すもので、(イ)はタンク内の液体が初期の静的平衡位置より最も変位した状態を、(ロ)は、タンク内の液体の最終位置をそれぞれ示す液体の断面図である。 図2の検証結果として、液面とタンク壁面との接触線上における所要位置の点のX座標及びZ座標の時間推移を示す図である。 本発明者が提案している静的平衡時の液体形状が軸対称となる場合におけるスロッシングの解析のための手法を示す概要図である。
符号の説明
1 タンク
2 液体
3 静的平衡液面
4 接触交線

Claims (3)

  1. タンク内の液面の変位が大きくなるごとに、基準液面の位置を液面変位前の静的平衡位置より液面変位後の液面の近傍に更新することと、該更新された新たな基準液面の位置を基に求められる上記液面変位後の液面の球座標から上記新たな基準液面の位置近くでの振動解析を行うことと、を順次繰り返して、初期液面基準位置からの大振幅スロッシングの挙動を予測することを特徴とする大振幅スロッシング挙動予測方法。
  2. 基準液面の位置の更新を行った後、該更新された基準液面の慣性主軸を求め、このうちの上記更新された基準液面とほぼ直交するものを軸として、該軸まわりに所要の角度間隔で分割した各周方向角座標の分割区間ごとに、上記更新された基準液面とタンク壁面との接触交線における該タンク壁面の接線と、上記軸との交点を原点として上記液面変位後の液面の球座標を求めるようにする請求項1記載の大振幅スロッシング挙動予測方法。
  3. 基準液面の位置の更新を、タンク内の液面の変位が半径寸法の1/10に達するごとに行うようにする請求項1又は2記載の大振幅スロッシング挙動予測方法。
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