JP2008257526A - 識別情報推定装置及び識別情報推定プログラム - Google Patents

識別情報推定装置及び識別情報推定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】時間経過の影響を考慮して、追跡された対象物に対応する識別情報を推定できる識別子推定装置を提供する。
【解決手段】識別子推定装置1は、仮識別子が各々の本識別子に対応する確率を示す確率分布を記憶する確率分布メモリ(確率分布情報記憶手段)11と、識別装置5の識別対象を選定する識別対象選定手段14と、識別装置5の識別結果に基づいて、この確率分布を補正する確率分布情報補正手段16と、各々の本識別子の対象物の出現確率を示す事前確率分布を予め記憶する事前確率分布メモリ(出現確率分布情報記憶手段)12と、時間経過に応じた比率で事前確率分布と確率分布メモリ11の確率分布とを混合する経時確率分布混合部(経時確率分布混合手段)133bと、確率分布メモリ11の確率分布に基づいて各々の仮識別子に対応する本識別子を推定する本識別子推定手段17とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動する対象物を追跡して識別する技術に係り、特に、追跡装置によって追跡された複数の移動する対象物を識別する識別情報推定装置及び識別情報推定プログラムに関する。
従来、対象物を撮像した映像情報に基づいて、移動する対象体を追跡・識別する手法として、追跡装置による追跡結果と、識別装置による識別結果とを組み合わせるものがある(特許文献1参照)。この手法は、追跡結果と識別結果との統合において、各対象物の追跡結果の軌道上において識別結果の頻度の統計を行うことで各対象物に識別子を設定するものである。
また、複数のセンサ情報を統合し、追跡と識別とを行うものがある(特許文献2参照)。この手法は、複数の手法によって識別し、2以上の手法によって同一の識別結果が下された場合に、その識別結果を採用するものである。
特開2004−110448号公報(段落番号0006〜0077) 特開平7−287781号公報(段落番号0005〜0026)
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、対象物同士の接近に起因する追跡結果の誤りを修正することは可能であるが、対象物間の位置関係や時間経過の影響を考慮していないため、確率・統計的な効率性に改善の余地がある。また、特許文献2に記載の手法では、識別結果や時間遷移に内在する確率・統計的な曖昧さの取り扱いができなかった。
本発明は、前記従来技術の課題を解決するために成されたもので、対象物間の位置関係や時間経過の影響を考慮して、追跡された対象物に対応する識別情報を確率・統計的に推定することができる識別情報推定装置及び識別情報推定プログラムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の識別情報推定装置は、移動する複数の対象物のそれぞれを追跡して、追跡された各々の前記対象物に、当該対象物同士を区別するための仮識別情報を設定して、各々の前記対象物の位置を解析する追跡装置から各々の前記対象物の位置を示す位置情報と前記仮識別情報とを入力するとともに、前記位置情報によって示される少なくともひとつの前記対象物を識別する識別装置から前記対象物を識別するために当該対象物に対して予め設定された本識別情報を入力して、各々の前記仮識別情報に対応する前記本識別情報を推定する識別情報推定装置であって、確率分布情報記憶手段と、識別対象選定手段と、確率分布情報補正手段と、出現確率分布情報記憶手段と、経時確率分布混合手段と、本識別情報推定手段とを備える構成とした。
かかる構成によれば、識別情報推定装置は、確率分布情報記憶手段に、仮識別情報の設定された対象物が、それぞれの本識別情報に対応する前記対象物である確率を示す確率分布情報を、すべての仮識別情報について記憶する。また、識別情報推定装置は、識別対象選定手段によって、識別装置によって識別される対象物を選定して、追跡装置から入力された当該対象物の位置情報を識別装置に出力する。なお、この識別対象となる対象物の選定は、例えば、仮識別情報に対して予め決められた順番で、順次選定することとしてもよいし、ランダムに選定することとしてもよいし、仮識別情報に対して対応付けられた情報、例えば、仮識別情報に対応付けられた位置情報や確率分布情報に基づいて選定することとしてもよい。
更に、識別情報推定装置は、確率分布情報補正手段によって、識別装置から入力された本識別情報と、識別対象選定手段によって選定された対象物の仮識別情報とに基づいて、当該仮識別情報の設定された対象物が各々の本識別情報に対応するとみなせる度合いを示す評価値を算出し、当該評価値に基づいて、前記確率分布情報記憶手段に記憶された当該仮識別情報に対応する前記確率分布情報の各々の本識別情報に対応する確率を補正して、確率分布情報記憶手段に記憶する。また、識別情報推定装置は、出現確率分布情報記憶手段に、各々の本識別情報に対応する対象物が出現する確率の確率分布を示す出現確率分布情報を予め記憶し、経時確率分布混合手段によって、時間経過に応じた比率で、出現確率分布情報記憶手段に記憶された出現確率分布情報によって示される確率分布と、確率分布情報記憶手段に記憶された各々の確率分布情報によって示される確率分布とを混合して、混合された確率分布を示す確率分布情報を確率分布情報記憶手段に記憶する。更に、識別情報推定装置は、本識別情報推定手段によって、確率分布情報記憶手段に記憶された確率分布情報に基づいて、各々の仮識別情報に対応する本識別情報を推定する。
これによって、識別情報推定装置は、追跡装置から入力された仮識別情報ごとの確率分布情報によって示される確率分布を、識別装置の識別結果に基づいて補正するとともに、時間経過に応じた比率で、出現確率分布情報によって示される確率分布と、各々の確率分布情報によって示される確率分布とを混合して、得られた確率分布に基づいて同一の対象物に設定された仮識別情報と本識別情報とを推定することができる。
また、請求項2に記載の識別情報推定装置は、請求項1に記載の識別情報推定装置において、前記識別対象選定手段が、前記追跡装置から入力された前記位置情報に基づいて、前記識別装置によって直前に識別された前記対象物から他の前記対象物までの距離を算出して、当該距離が相対的に小さいものを優先して、前記識別装置によって識別される前記対象物を選定する構成とした。
これによって、識別情報推定装置は、識別装置による直前の識別対象の対象物からの距離が近いものを優先して、識別装置による次の識別対象となる対象物を選定することができる。
更に、請求項3に記載の識別情報推定装置は、請求項1又は請求項2に記載の識別情報推定装置において、前記識別対象選定手段が、前記確率分布情報記憶手段に記憶された各々の前記確率分布情報によって示される確率分布における確率の偏りの度合いを算出し、この偏りの度合いが相対的に小さいものを優先して、前記識別装置によって識別される前記対象物を選定する構成とした。
これによって、識別情報推定装置は、確率分布情報によって示される確率分布における確率の偏りの度合いに小さいものを優先して、識別装置の識別対象となる対象物を選定することができる。
また、請求項4に記載の識別情報推定装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の識別情報推定装置において、前記確率分布情報補正手段が、前記識別装置から前記本識別情報とともに、当該識別装置における当該本識別情報に対する識別の信頼度を示す信頼度情報を入力して、当該信頼度情報に基づいて前記評価値を算出して、前記確率分布情報記憶手段に記憶された前記確率分布情報を補正する構成とした。
これによって、識別情報推定装置は、仮識別情報ごとの確率分布情報によって示される確率分布を、識別装置の識別結果とその信頼度とに基づいて補正することができる。
更に、請求項5に記載の識別情報推定装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の識別情報推定装置において、前記追跡装置から入力された位置情報に基づいて、2つの前記対象物間の距離を算出し、この距離が小さいほど高い比率で、前記確率分布情報記憶手段に記憶された当該2つの対象物の前記確率分布情報によって示される確率分布を混合して、混合された確率分布を示す確率分布情報を前記確率分布情報記憶手段に記憶する近接確率分布混合手段を更に備える構成とした。
これによって、識別情報推定装置は、対象物間の距離の近い対象物ほど大きな比率で互いの確率分布を混合することができる。
また、請求項6に記載の識別情報推定プログラムは、移動する複数の対象物のそれぞれを追跡して、追跡された各々の前記対象物に、当該対象物同士を区別するための仮識別情報を設定して、各々の前記対象物の位置を解析する追跡装置から各々の前記対象物の位置を示す位置情報と前記仮識別情報とを入力するとともに、前記位置情報によって示される少なくともひとつの前記対象物を識別する識別装置から前記対象物を識別するために当該対象物に対して予め設定された本識別情報を入力し、前記仮識別情報の設定された前記対象物が、それぞれの前記本識別情報に対応する前記対象物である確率を示す確率分布情報を、すべての前記仮識別情報について記憶する確率分布情報記憶装置から当該確率分布情報を参照して、各々の前記仮識別情報に対応する前記本識別情報を推定するために、コンピュータを、識別対象選定手段、確率分布情報補正手段、経時確率分布混合手段、本識別情報推定手段として機能させることとした。
かかる構成によれば、識別情報推定プログラムは、識別対象選定手段によって、識別装置によって識別される対象物を選定して、追跡装置から入力された当該対象物の位置情報を識別装置に出力し、確率分布情報補正手段によって、識別装置から入力された本識別情報と、識別対象選定手段によって選定された対象物の仮識別情報とに基づいて、当該仮識別情報の設定された前記対象物が各々の本識別情報に対応するとみなせる度合いを示す評価値を算出し、当該評価値に基づいて、前記確率分布情報記憶装置に記憶された当該仮識別情報に対応する前記確率分布情報の各々の本識別情報に対応する前記確率を補正して、確率分布情報記憶装置に記憶する。また、識別情報推定プログラムは、経時確率分布混合手段によって、時間経過に応じた比率で、出現確率分布情報記憶装置に予め記憶された、各々の本識別情報に対応する対象物が出現する確率の確率分布を示す出現確率分布情報によって示される確率分布と、確率分布情報記憶手段に記憶された各々の確率分布情報によって示される確率分布とを混合して、混合された確率分布を示す確率分布情報を確率分布情報記憶手段に記憶する。更に、識別情報推定プログラムは、本識別情報推定手段によって、確率分布情報記憶装置に記憶された確率分布情報に基づいて、各々の仮識別情報に対応する本識別情報を推定する。
これによって、識別情報推定プログラムは、追跡装置から入力された仮識別情報ごとの確率分布情報によって示される確率分布を、識別装置の識別結果に基づいて補正するとともに、時間経過に応じた比率で、出現確率分布情報によって示される確率分布と、各々の確率分布情報によって示される確率分布とを混合して、得られた確率分布に基づいて同一の対象物に設定された仮識別情報と本識別情報とを推定することができる。
本発明に係る識別情報推定装置及び識別情報推定プログラムでは、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1又は請求項6に記載の発明によれば、識別結果に基づいて確率分布を補正するとともに、経過時間が大きいほど、出現確率を示す確率分布を高い比率で、各々の確率分布情報によって示される確率分布に対して混合することができる。そのため、過去の識別結果や確率分布情報の混合による影響を徐々に少なくする忘却効果を、確率分布に反映させることができる。これによって、各々の仮識別情報の設定された対象物に対応する本識別情報が時間的に変化しても、対象物に対応する本識別情報を高い精度で推定することができる。
請求項2に記載の発明によれば、識別装置によって直前に識別された対象物からの距離の近い対象物を優先して次の識別対象として選定することができる。そのため、識別装置が識別対象を切り替える際の視点の移動量を小さくすることができ、特に、予め設置位置が固定されていて、識別対象を検出する検出器の向きを当該識別対象の方向に変更する首振り機構を有するような識別装置においては、識別対象の切り替えにかかる動作の所要時間を短縮することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、確率分布情報によって示される確率分布における確率の偏りの度合いの小さい対象物、つまり、確率分布からはどの本識別情報に対応するかが明確でない仮識別情報の対象物を優先して識別装置の識別対象として選定することができる。これによって、追跡された対象物に対応する本識別情報の推定の精度を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、確率分布を、識別装置の識別結果とその信頼度とに基づいて補正することで、識別結果に内在する曖昧さを確率分布に反映させることができる。これによって、追跡された対象物に対応する本識別情報の推定の精度を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、近接する対象物の確率分布をより高い比率で混合することで、対象物同士が接近したために追跡装置によって取り違えて追跡されることも考慮した確率分布とするができる。これによって、追跡された対象物に対応する本識別情報を高い精度で推定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[識別情報推定装置の構成]
まず、図1を参照して、本発明における識別情報推定装置の構成について説明する。図1は、本発明における識別情報推定装置の構成を模式的に示した構成図である。
識別情報推定装置1は、追跡装置3によって追跡された複数の移動する移動対象物(対象物)の位置の情報である位置情報及び当該位置情報に対応付けられた仮識別子(仮識別情報)と、識別装置5によって識別された移動対象物の本識別子(本識別情報)と基づいて、同一の移動対象物に設定された仮識別子と本識別子との対を推定するものである。なお、識別情報推定装置1には、外部に追跡装置3と、識別装置5とが接続されている。
追跡装置3は、移動する複数の移動対象物を追跡するためのセンサデータ(以下、追跡用センサデータ)に基づいて、当該移動対象物を検出し、各々の位置を追跡するとともに、追跡された移動対象物の各々に仮識別子を設定し、位置情報と対応付けるものである。この位置情報と仮識別子とは識別情報推定装置1に出力される。
なお、仮識別子とは、各々の移動対象物を互いに区別するために割り当てるデータであり、例えば、整数値や自然数値を適当な順序で割り当てたものである。なお、この仮識別子は必ずしも移動対象物と1対1かつ恒常的に対応付けられる必要はなく、ある期間以上一貫性の保てるものであれば構わない。このある期間とは、例えば、外部に接続される識別装置5が、当該移動対象物を識別する時間間隔が目安となる。この時間間隔は、識別装置5の識別方法によっても異なるが、例えば、1秒乃至10分程度の時間間隔である。また、追跡用センサデータには、例えば、固定カメラ、有人カメラ、ロボットカメラなどにより撮影された動画像を用いることとしてもよいし、レーザ距離計やドップラレーダ、サーモグラフィなど、追跡装置3に応じたセンサデータを用いることができる。また、これらのセンサを複合的に利用しても構わない。
ここで、追跡装置3は、仮識別子idに対応付けた位置情報として、例えば、仮識別子idの移動対象物の位置x(id)を用いることができる。更に、例えば、追跡装置3には、特開2002−358526号公報に記載されるような装置を用いることができる。
識別装置5は、識別情報推定装置1から入力された位置情報によって指定される場所に存在する移動対象物を識別用センサデータに基づいて識別するものである。ここでの識別結果である本識別子は識別情報推定装置1に出力される。なお、本識別子とは、移動対象物を一意に指し示すためのデータであり、例えば、整数値、自然数値、文字列などの識別子により表現される。本識別子は、各々の移動対象物に対し、固有の値をとるものとする。また、識別用センサデータには、例えば、固定カメラ、有人カメラ、ロボットカメラなどにより撮影された動画像を用いることとしてもよいし、RFID(Radio Frequency IDentification)タグの受信機や、ビーコンの受信機など、識別装置5に応じたセンサデータを用いることができる。また、これらのセンサを複合的に利用しても構わない。識別装置5としては、例えば、移動対象物が人間である場合には顔画像認識装置(例えば、特開2005−149302号公報や特開2005−208850号公報参照)や生体認証装置、移動対象物がスポーツ選手である場合には背番号認識装置を用いることとしてもよいし、移動対象物にRFIDタグを予め付与することでRFIDの検出器を用いることもできるし、ビーコンの受信機などの装置を使用することとしてもよい。
更にここでは、識別装置5は、本識別子の出力に加えて、その識別結果の信頼度を数値として出力することとした。更に、識別装置5は、ひとつの移動対象物に対して複数の本識別子の候補を出力することとしても構わない。このとき、識別装置5は、識別結果の信頼度を、単一の数値にて出力する構成としてもよいし、本識別子の候補ごとに信頼度を出力する構成としてもよいし、信頼度をまったく出力しない構成としてもよい。
以下、識別情報推定装置1の構成について詳細に説明する。識別情報推定装置1は、確率分布メモリ11と、事前確率分布メモリ12と、確率分布予測手段13と、識別対象選定手段14と、識別対象仮識別子メモリ15と、確率分布更新手段16と、本識別子推定手段17とを備える。
確率分布メモリ(確率分布情報記憶手段、確率分布情報記憶装置)11は、N個(Nは0以上の整数)の仮識別子idのそれぞれが設定された移動対象物が、それぞれの本識別子IDの移動対象物である確率分布を示すN個の本識別子確率分布(確率分布情報)P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)(以下、本識別子確率分布群P(ID|id)とする)を記憶するもので、半導体メモリ等の一般的な記憶手段である。ここで記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)は、確率分布予測手段13及び確率分布更新手段16によって参照され、かつ、更新される。また、本識別子確率分布群P(ID|id)は、本識別子推定手段17によって同一の移動対象物に設定された仮識別子と本識別子との対を推定する際に、参照されて用いられる。
なお、ここでは、確率分布メモリ11が、仮識別子idごとの本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を記憶することとしたが、特に仮識別子ごとに区別する必要がない場合には、本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)をひとつにまとめた情報として本識別子確率分布(確率分布情報、図示せず)を記憶することとしてもよい。
更に、本識別子確率分布の個数Nは、所定値としても構わないし、時々刻々変化するものとしてもよい。この個数Nを所定値とする場合には、個数Nは、例えば、追跡装置3によって割り当てられ得る仮識別子の最大値であってもよい。また、個数Nは、例えば、一定時間内に現れ得る移動対象物の総数の最大値を見積もった値であってもよい。このとき、例えば、本発明の識別情報推定装置1、追跡装置3及び識別装置5を、サッカーコート内に存在する最大22名の選手を識別する用途に適用する場合には、先発選手に加え、先発選手以外の選手や審判、ボールボーイ等が移動対象物となる可能性を鑑みて、個数Nをこれらの移動対象物の候補の総数より多い数、例えばN=40とすることができる。
一方、個数Nを時々刻々変化させるものとする場合には、例えば、追跡装置3が現在追跡している移動対象物の数、つまり、追跡装置3から入力される仮識別子の数に基づいて、個数Nの値を決定することができる。この場合、典型的には、例えば、追跡装置3が現在追跡している移動対象物の数そのものをNの値とすることができる。あるいは、過去のある時点から現在までの期間に存在した移動対象物の個数に基づいて、Nの値を決定することとしてもよい。この場合、例えば、現在までの一定期間に存在した移動対象物の総数を、Nの値とすることができる。なお、個数Nが0のときは、一時的に移動対象物が存在しない場合、個数Nが1のときは、移動対象物が一時的に単独になる場合に対応する。
ここで、図2を参照(適宜図1参照)して、本識別子確率分布群P(ID|id)の例について説明する。図2は、確率分布メモリに記憶される本識別子確率分布の例を説明するための説明図、(a)は、確率分布メモリに記憶される本識別子確率分布の例を示す表、(b)〜(e)は、それぞれ仮識別子が1〜4のときの(a)の本識別子確率分布を示すグラフである。
ここでは、確率分布メモリ11は、図2に示すように、仮識別子id=1〜4(N=4)に対してそれぞれ本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=4)を記憶することとした。更に、ここでは、本識別子をID=1〜6とした。例えば、仮識別子id=2に対する本識別子確率分布P(ID|id=2)に着目すると、本識別子ID=4のときに本識別子確率分布P(ID|id=2)が最大値0.75をとっている。このことは、仮識別子id=2の設定された移動対象物は本識別子ID=4である確率が最も高く、その確率は0.75であるということを表している。
図1に戻って説明を続ける。事前確率分布メモリ(出現確率分布情報記憶手段、出現確率分布情報記憶装置)12は、各々の本識別子IDによって示される移動対象物の出現確率を予め想定した事前確率の分布である事前確率分布(出現確率分布情報)を記憶するもので、半導体メモリ等の一般的な記憶手段である。ここで記憶された事前確率分布は、確率分布混合部133によって参照されて用いられる。
ここで、図3を参照(適宜図1参照)して、事前確率分布P(ID)の例について説明する。図3は、事前確率分布メモリに記憶される事前確率分布の例を説明するための説明図、(a)は、事前確率分布メモリに記憶される事前確率分布の例を示す表、(b)は、(a)の事前確率分布P(ID)を示すグラフである。
ここでは、図3に示すように、各々の本識別子ID=1〜6によって示される移動対象物の事前確率の分布を示す事前確率分布P(ID)を例に説明する。この事前確率分布P(ID)は、仮識別子idには依存せず、各本識別子IDによって示される移動対象物の出現がどの程度の確率で生起するかをモデル化したものである。ここで、例えば、移動対象物をサッカー等のチーム競技の選手とし、本識別子ID=1〜4に対応する選手が先発出場選手で、本識別子ID=5〜6に対応する選手が交代要員である場合に、図3に示すように、事前確率分布P(ID)において、先発出場選手に対応する本識別子ID=1〜4には高い事前確率を、交代要員に対応する本識別子にはID=5〜6には低い事前確率を予め与えることとしてもよい。
図1に戻って説明を続ける。確率分布予測手段13は、追跡装置3から入力された移動対象物の位置情報と仮識別子と、事前確率分布メモリ12に記憶された事前確率分布とに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)を、時刻の経過や移動対象物間の位置関係に応じて更新するものである。ここでは、確率分布予測手段13は、タイマ131と、距離評価部132と、確率分布混合部133とを備える。
タイマ131は、時間経過を計測するものである。このタイマ131は、確率分布混合部133の経時確率分布混合部133bが処理を行ってから次に処理を行うまでの時間間隔を計測し、この時間間隔を経時確率分布混合部133bに出力する。タイマ131は、例えば、経時確率分布混合部133bが後記する本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)の各々と事前確率分布とを混合する処理を行った時点から、次にこの処理を行う時点までの時間差を計測する。
距離評価部132は、追跡装置3から入力される移動対象物の仮識別子とそれらに対応する位置情報とから移動対象物間の距離を求めるものである。ここで求められた移動対象物間の距離を示す距離テーブルは、確率分布混合部133に出力される。
ここで、図4を参照(適宜図1参照)して、距離テーブルの例について説明する。図4は、距離評価部によって生成される距離テーブルの例を説明するための説明図、(a)は、距離評価部によって生成される距離テーブルの例を示す表、(b)は、移動対象物の配置を模式的に示す模式図である。
ここでは、距離評価部132は、図4(a)に示すような距離テーブルTを生成することとした。この例では、距離テーブルTは、仮識別子id=1〜3の3個の移動対象物O、O、O(図4(b)参照)が存在する場合における、各々の仮識別子の移動対象物(基点)から、他の仮識別子の移動対象物(対象)までの距離を表形式で示す。例えば、距離テーブルTは、仮識別子id=2の移動対象物Oと仮識別子id=3の移動対象物Oとの間の距離として「4.3m」を示す。
ここで、距離は、追跡用センサを基準にする座標系において定義されてもよいし、移動対象物の存在する実空間上における座標系で定義されてもよい。なお、追跡用センサを基準とする場合には、例えばカメラの画像平面上の直交2軸座標からなる画像座標系を定義することができる。このとき、例えば、画像上の見かけの距離を以って距離を定義することができる。一方、実空間上における座標系は、例えば、地面上の基準点を原点とする三次元座標を用いることができる。このとき、例えば、三次元空間での実距離によって距離を定義することができる。また、例えば、追跡用センサとしてカメラを用いる場合、このカメラによって撮像される画像平面上において距離を定義することとしてもよい。更に、例えば、実空間上における実際の距離をそのまま用いることとしてもよいし、あるいは実際の距離を線形変換又は非線形変換して用いることとしてもよい。また、距離測度も任意であり、例えば、ユークリッド距離、マハラノビス距離、市街地距離、チェス盤距離などが利用可能である。
図1に戻って説明を続ける。確率分布混合部133は、距離評価部132から入力された距離テーブルに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された複数の本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を混合し、また、タイマ131から入力された信号に基づいて、本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)に事前確率分布メモリ12に記憶された事前確率分布を混合するものである。ここでは、確率分布混合部133は、近接確率分布混合部133aと、経時確率分布混合部133bと、切替部133cとを備える。ここで、確率分布メモリ11から確率分布予測手段13に入力される本識別子確率分布をPin(ID|id)とし、確率分布予測手段13によって混合され、確率分布メモリ11に出力される本識別子確率分布をPout(ID|id)とする。
近接確率分布混合部133aは、距離評価部132から入力された距離テーブルに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された複数の本識別子確率分布Pin(ID|id)を混合するものである。ここで混合されて生成された本識別子確率分布Pout(ID|id)は、確率分布メモリ11に記憶される。なお、ここでは、近接確率分布混合部133aは、後記する切替部133cによって確率分布メモリ11と近接確率分布混合部133aとが接続されて本識別子確率分布群P(ID|id)を入出力できるようになった際に、混合の処理を行うこととした。
なお、距離テーブルに示される2つの移動対象物間の距離をd(idfrom,idto)とする。ここで、idfromは距離を測る基点となる移動対象物の仮識別子、idtoは距離を測る対象となる移動対象物の仮識別子とする。そして、仮識別子idfrom及び仮識別子idtoの移動対象物の位置をそれぞれx(idfrom)及びx(idto)とおくと、距離d(idfrom,idto)は、以下の式(1)のように表される。
d(idfrom,idto)=‖x(idto)−x(idfrom)‖ …(1)
そして、近接確率分布混合部133aは、距離評価部132から入力された距離テーブルに基づいて、ある仮識別子idの設定された移動対象物に距離d(id,idto)の近い移動対象物ほど大きな混合率で、本識別子確率分布Pin(ID|idto)を混合する。ここでは、近接確率分布混合部133aは、例えば、以下の式(2)に示すような演算によって混合することとした。近接確率分布混合部133aは、式(2)の演算を、すべての仮識別子idについて実行する。
Figure 2008257526
なお、式(2)におけるκ(d)は、距離dに対するスカラー値の関数によって表される混合率であり、その値は非負とする。この混合率κ(d)は、好ましくは、距離dに対して広義単調減少するものとする。これによって、近接確率分布混合部133aは、近接した移動対象物ほど大きな影響を与えるよう、本識別子確率分布Pin(ID|id)を混合することができる。混合率κ(d)としては、例えば、以下の式(3)に示すような指数関数や、以下の式(4)に示すような折線関数や、以下の式(5)に示すようなステップ関数を用いることができるが、式(3)〜式(5)以外の関数を混合率κ(d)として用いても構わない。ここで、式(3)〜式(5)のD、a、Eは正の定数である。
κ(d)=exp(−d/D) …(3)
κ(d)=max{1−ad,0} …(4)
Figure 2008257526
また、例えば、近接確率分布混合部133aは、以下の式(6)のように、近接確率分布混合部133aによる処理対象となる仮識別子idの本識別子確率分布Pin(ID|id)に対して、他の仮識別子idto(idto≠id)の本識別子確率分布P(ID|idto)を、距離d(id,idto)が小さいほど大きな混合率で混合するように演算することとしてもよい。ここで、sは非負の定数とする。
Figure 2008257526
ここで、2つの移動対象物の距離が近いほど、追跡装置3によってある時点でこの2つの移動対象物に設定された2つ仮識別子idが、次の時点ではそれぞれ取り違えられて設定される確率が高くなる。そのため、近接確率分布混合部133aは、距離d(id,idto)が小さいほど大きな混合率で本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を混合することで、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布Pin(ID|id)を、移動対象物間の距離が近いために追跡装置3によって取り違えられる可能性も反映させたものに更新することができる。なお、特許請求の範囲に記載の近接確率分布混合手段は、距離評価部132と近接確率分布混合部133aとに相当する。
なお、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布の個数Nが0及び1の場合には、距離評価部132は距離テーブルを生成せず、近接確率分布混合部133aも本識別子確率分布を混合しないこととする。
経時確率分布混合部(経時確率分布混合手段)133bは、タイマ131から時間間隔を入力し、この時間間隔に応じた混合比で、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布Pin(ID|id)に、事前確率分布メモリ12に記憶された事前確率分布を混合するものである。ここで混合されて生成された本識別子確率分布Pout(ID|id)は、確率分布メモリ11に記憶される。なお、ここでは、経時確率分布混合部133bは、後記する切替部133cによって確率分布メモリ11と経時確率分布混合部133bとが接続されて本識別子確率分布群P(ID|id)を入出力できるようになった際に、混合の処理を行うこととした。
ここで、タイマ131から入力される時間間隔をtとする。この時間間隔tは、前回に経時確率分布混合部133bが混合の処理を行った時点から、経時確率分布混合部133bがタイマ131から当該時間間隔tを入力するまでの時間差、つまり、経時確率分布混合部133bによる前回の処理から今回の処理までの時間差である。
そして、経時確率分布混合部133bは、タイマ131から時間間隔tを入力して、この時間間隔tが大きいほど、本識別子確率分布Pin(ID|id)の割合(混合率)を小さく、事前確率分布P(ID)の割合を大きくして、本識別子確率分布Pin(ID|id)と事前確率分布P(ID)とを混合する。ここでは、経時確率分布混合部133bは、以下の式(7)に示すような演算によって、本識別子確率分布Pin(ID|id)と事前確率分布P(ID)との混合を行う。経時確率分布混合部133bは、式(7)の演算を、すべての仮識別子idに対して実行する。
out(ID|id)=λ(t)・Pin(ID|id)+{1−λ(t)}・P(ID) …(7)
ここで、λ(t)は、時間間隔tに対するスカラー値の関数で表される混合率であり、その値は0以上かつ1以下であるものとする。この混合率λ(t)は、好ましくは、時間間隔tに対して広義単調減少するものとする。これによって、経時確率分布混合部133bは、時間間隔tが大きいほど事前確率分布P(ID)の影響が大きくなるように、本識別子確率分布Pin(ID|id)に事前確率分布P(ID)を混合することができる。混合率λ(t)としては、例えば、以下の式(8)に示すような関数を用いることができるが、式(8)以外の関数を混合率λ(t)として用いても構わない。ここで、式(8)のTは時定数(忘却係数)であり、正の値を与えるものとする。
λ(t)=exp(−t/T) …(8)
このように、経時確率分布混合部133bは、本識別子確率分布Pin(ID|id)に対して、各々の移動対象物の出現がどの程度の確率で生起するか示す事前確率分布P(ID)を、時間間隔tが大きいほど影響が大きくなるように混合することで、時間間隔tに応じた忘却効果{t→∞でPout(ID|id)→P(ID)}を表現することができる。ここで、時間間隔tが大きくなるほど、つまり、経時確率分布混合部133bによる前回の処理からの時間が経過するほど、この前回の処理の結果が信頼できないものとなる。そのため、経時確率分布混合部133bは、この忘却効果によって、時間間隔tが大きくなるほど事前確率分布P(ID)の影響を大きく前回の処理の影響を小さくし、前回の処理の結果が信頼できなくなる過程を適切に表現することができる。
切替部133cは、本識別子確率分布群P(ID|id)の入出力を連動して同時に、近接確率分布混合部133a及び確率分布メモリ11間、あるいは、経時確率分布混合部133b及び確率分布メモリ11間に切り替えるスイッチである。ここで、切替部133cは、本識別子確率分布群P(ID|id)の入出力をともに経時確率分布混合部133bに接続する状態と、本識別子確率分布群P(ID|id)の入出力をともに近接確率分布混合部133aに接続する状態との2つの状態を有し、この2つの状態を切り替えることで、近接確率分布混合部133aによる距離テーブルに基づく本識別子確率分布群P(ID|id)を混合と、経時確率分布混合部133bによる事前確率分布と本識別子確率分布群P(ID|id)との混合とを切り替える。
この切替部133cの切り替えは、手動により操作を行うこととしてもよいし、一定間隔あるいは可変の間隔で自動的に切り替えることとしてもよい。例えば、追跡装置3から位置情報と仮識別子とが入力されるたびに、切替部133cを2度切り替え、近接確率分布混合部133aと経時確率分布混合部133bとにそれぞれ1回ずつ接続するようにすることができる。
なお、ここでは、確率分布混合部133が、近接確率分布混合部133a及び経時確率分布混合部133bを備え、複数の本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を混合するとともに、事前確率分布と各々の本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)とを混合する場合について説明したが、確率分布混合部133が、近接確率分布混合部133aのみを備え、複数の本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)のみを混合することとしてもよい。このとき、識別情報推定装置1は事前確率分布メモリ12を備えず、更に、確率分布予測手段13はタイマ131を備えないこととしてもよい。また、確率分布混合部133が、経時確率分布混合部133bのみを備え、各々の本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)に事前確率分布のみを混合することとしてもよい。このとき、確率分布予測手段13は、距離評価部132を備えないこととしてもよい。
識別対象選定手段14は、確率分布更新手段16から切替トリガが入力された時点において、外部の識別装置5による識別対象となる移動対象物を選定するものである。ここで、識別対象選定手段14は、追跡装置3から入力された位置情報と仮識別子id、識別対象仮識別子メモリ15に記憶された仮識別子id、及び、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)に基づいて、識別対象となる移動対象物を選定する。ここで選定された移動対象物の仮識別子は識別対象仮識別子メモリ15に記憶され、この移動対象物の位置情報は識別装置5に出力される。
ここでは、識別対象選定手段14は、追跡装置3から入力された仮識別子idに対応する複数の移動対象物の各々について、識別装置5の識別対象とすべきか否かを定量化した数値であるスコアを算出することとした。そして、このスコアが大きい移動対象物ほど、識別対象選定手段14によって識別対象として選択されにくくならない(すなわち、選択されやすくなる、もしくは、選択されやすさが変化しない)こととした。以下、識別対象選定手段14がスコアを算出して、識別対象となる移動対象物を選定する方法の一例について説明する。
ここで、識別対象選定手段14は、外部の追跡装置3から入力された各々の仮識別子idに対応する位置情報に基づいてスコアJpos(id)を算出し、また、本識別子確率分布群P(ID|id)の各分布形状に基づいてスコアJprob(id)を算出して、これらのスコアJpos(id)及びスコアJprob(id)に基づいて最終的なスコア(総合スコア)J(id)を算出することとした。そして、識別対象選定手段14は、総合スコアJ(id)が最大となる仮識別子idtargetの設定された移動対象物を、識別装置5による識別対象とすることとした。
識別対象選定手段14は、例えば、以下の式(9)に示すような関数μ(Jpos,Jprob)によって総合スコアJ(id)を算出する。
J(id)=μ(Jpos(id),Jprob(id)) …(9)
この関数μ(Jpos,Jprob)は、好ましくは、スコアJposに対して広義単調増加となり、かつ、スコアJprobに対しても広義単調増加となる関数とする。識別対象選定手段14は、このような関数μ(Jpos,Jprob)として、例えば、以下の式(10)のように、スコアJposとスコアJprobとを線形結合する関数を用いることができる。
μ(Jpos(id),Jprob(id))=p・Jpos(id)+q・Jprob(id) …(10)
なお、式(10)において、p及びqは、いずれも非負の定数であり、かつ、同時に零となることはないものとする。なお、p=0のときには、識別対象選定手段14は、スコアJpos(id)の算出を省略することができる。一方、q=0のときには、識別対象選定手段14は、スコアJprob(id)の算出を省略することができる。
また、識別対象選定手段14は、仮識別子idごとの位置情報に基づくスコアJpos(id)を、例えば、識別装置5によって直前に識別された移動対象物の位置からの距離に応じて設定することができる。このようにすることで、例えば、識別装置5が識別対象を切り替える際の視点の移動量を小さくすることができるため、特に首振り機構を有する識別装置5においては首振り動作の所要時間を短縮することが可能となる。ここでは、識別対象選定手段14は、識別装置5によって直前に識別された移動対象物の位置からの距離が近いほど、高いスコアJpos(id)を設定することとした。
ここで、識別対象選定手段14は、識別装置5によって直前に識別された移動対象物の仮識別子idprevを識別対象仮識別子メモリ15から取得する。そして、識別対象選定手段14は、識別対象仮識別子メモリ15から取得した仮識別子idprevの移動対象物の位置と、追跡装置3から入力された各々の仮識別子idの移動対象物の位置との距離d(idprev,id)を求める。なお、識別対象選定手段14は、距離d(idprev,id)を、前記の式(1)によって算出することができる。そして、識別対象選定手段14は、以下の式(11)によって、d(idprev,id)に基づいてスコアJposを計算する。
pos(id)=ρ(d(idprev,id)) …(11)
なお、式(11)において、ρ(d(idprev,id))は距離d(idprev,id)に対するスカラー値の関数である。この関数ρ(d(idprev,id))は、好ましくは、d(idprev,id)>0に対して広義単調減少の関数である。例えば、関数ρ(d(idprev,id))として、以下の式(12)に示すような指数関数を用いることができる。なお、Fは正の定数である。
ρ(d(idprev,id))=exp(−d(idprev,id)/F) …(12)
また、例えばd(idprev,id)=0のとき、すなわち仮識別子idprevの移動対象物の位置と完全に一致する仮識別子idの移動対象物を特別視して、d(idprev,id)>0の場合には関数ρ(d(idprev,id))を式(12)とし、d(idprev,id)=0の場合にはρ(0)=r(rは0以上の定数)として、識別対象選定手段14がスコアJpos(id)を算出することとしてもよい。このとき、定数rを0以上1未満の実数値とすることがより好ましく、これによって、仮識別子idprevの移動対象物の位置と完全に一致する仮識別子idが選ばれにくくなるようにすることができる。典型的には、定数r=0とすることが更に好ましい。
更に、識別対象選定手段14は、仮識別子idごとの本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)に基づくスコアJprob(id)を、例えば、それらの形状の良し悪しを評価し、この評価結果に応じて設定することができる。ここで、良い形状とは、ひとつの本識別子IDに対してのみ高い確率値をとり、他の本識別子IDに対してはいずれも低い確率値となる場合である。よって、仮識別子idの本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)のそれぞれについて、すべての本識別子IDに対して確率値を計算し、その偏り具合を評価すればよい。ここでは、識別対象選定手段14は、本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)の形状の良いと評価される仮識別子に対して高いスコアJprob(id)を設定することとした。
ここで、例えば、ある仮識別子idの本識別子確率分布において、最大確率値をP(id)、次点の確率値をP(id)とおく。そして、まず、識別対象選定手段14は、最大確率値をとる本識別子IDがひとつ存在する場合には、以下の式(13)によって最大確率値P(id)及び次点の確率値P(id)を求める。
Figure 2008257526
一方、最大確率値をとる本識別子IDが複数存在する場合には、識別対象選定手段14は、以下の式(14)によって最大確率値P(id)(P(id))を求める。
Figure 2008257526
続いて、識別対象選定手段14は、式(13)又は式(14)によって求められた最大確率値P(id)と次点の確率値P(id)とに基づいて、以下の式(15)によって、スコアJprob(id)を算出する。
prob(id)=ζ(P(id),P(id)) …(15)
なお、式(15)において、ζ(P(id),P(id))は、最大確率値P(id)と次点の確率値P(id)とに対するスカラー値の関数である。この関数ζ(P,P)は、好ましくは、最大確率値P(id)に対して広義単調増加、次点の確率値P(id)に対して広義単調減少の関数である。例えば、関数ζ(P,P)として、以下の式(16)に示すような関数を用いることができる。
Figure 2008257526
続いて、識別対象選定手段14は、前記の式(9)によって、総合スコアJ(id)を求め、以下の式(17)によって、J(id)が最大となる仮識別子idtargetを求め、当該仮識別子idtargetの移動対象物を、識別装置5の識別対象として選定する。
Figure 2008257526
なお、式(17)において、総合スコアJ(id)が最大となる仮識別子が複数存在する場合には、識別対象選定手段14は、それらのうちのいずれかひとつを選定する。この選定の方法としては、例えば、識別対象選定手段14が、J(id)を最大化する仮識別子のうちで最もその仮識別子の値が小さいもの(又は大きいもの)をひとつ選ぶこととしてもよい。そして、識別対象選定手段14は、以上により選定された仮識別子idtargetを識別対象仮識別子メモリ15に記憶し、更に、選定された仮識別子idtargetの位置x(idtarget)を求めて、外部に接続される識別装置5に出力する。
識別対象仮識別子メモリ15は、識別対象選定手段14から入力された仮識別子id(idtarget)を記憶するもので、半導体メモリ等の一般的な記憶手段である。ここで、識別対象仮識別子メモリ15に記憶された仮識別子idは、識別対象選定手段14及び確率分布更新手段16によって取得されるとともに、識別対象選定手段14によって新たな仮識別子が入力された場合には、その新たな仮識別子に書き換えられる。この識別対象仮識別子メモリ15は、以前に記憶された仮識別子を常に出力するものであってもよいし、識別対象選定手段14もしくは確率分布更新手段16からの要求があったときに、その応答として以前に記憶された仮識別子を出力するものであってもよい。
確率分布更新手段(確率分布情報補正手段)16は、識別対象仮識別子メモリ15に記憶された仮識別子idと、外部に接続された識別装置5から入力された本識別子IDとに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された当該仮識別子idに対応する本識別子確率分布(P(ID|id=1)〜P(ID|id=N))を更新するものである。ここで、確率分布更新手段16は、本識別子確率分布(P(ID|id=1)〜P(ID|id=N))の形状の更新が終了した際に、切替トリガを識別対象選定手段14に出力する。
ここでは、確率分布更新手段16は、識別装置5から識別結果である本識別子IDとともに、当該識別結果の信頼度(信頼度情報)を入力し、この本識別子IDと、信頼度と、識別対象仮識別子メモリ15に記憶された仮識別子idとに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)を更新することとした。以下、確率分布更新手段16が、仮識別子idと識別装置5から入力された本識別子IDとに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)を更新する方法の一例について説明する。なお、ここでは、確率分布更新手段16が、識別対象仮識別子メモリ15から仮識別子idprevを読み出し、また、識別装置5から本識別子IDrecogを入力して、本識別子確率分布P(ID|id=idprev)を補正した本識別子確率分布P(ID|id=idprev,IDrecog)を生成して更新することとする。
まず、確率分布更新手段16は、識別装置5から入力された本識別子IDrecogに基づいて、仮識別子idprevの設定された移動対象物が、各々の本識別子IDに対応するとみなせる度合いを示す評価値を算出する。この評価値は、例えば、仮識別子idprevの設定された移動対象物が、各々の本識別子IDに対応するとみなせる場合に、より大きい又は等しい値をとるように定義された値であり、ここでは尤度を用いることとした。そして、確率分布更新手段16は、識別装置5から入力された本識別子IDrecogに基づいて、仮識別子idprevの設定された移動対象物に対する各々の本識別子IDの尤度を示す尤度関数を生成する。この尤度関数は、好ましくは、本識別子IDrecogにおいて最大値をとる関数であり、例えば、以下の式(18)に示すような尤度関数L(ID)とする。
Figure 2008257526
ここで、Mは、全本識別子の数を示す。また、αは正の定数としてもよいし、識別装置5から入力される信頼度に応じて変化することとしてもよい。そして、確率分布更新手段16が、αを識別装置5から入力された信頼度に応じて決定する場合には、例えば、以下の式(19)のような信頼度sの関数γ(s)としてもよい。この関数γ(s)は、信頼度sが大きいほど信頼できることを示す場合には、sに対して広義単調増加とすることが好ましい。
α=γ(s) …(19)
更に、例えば、信頼度sが0以上1以下の実数値で、かつ信頼度sが大きいほど信頼できることを示す場合に、確率分布更新手段16は、以下の式(20)に示すような関数γ(s)によってαを算出することとしてもよい。
Figure 2008257526
また、識別装置5が、識別結果として複数の本識別子の候補IDrecog (k)を出力する場合には、確率分布更新手段16は、以下の式(21)によって、尤度関数L(ID)を算出することとしてもよい。ここで、IDrecog (k)は本識別子の第k番目の候補を表し、k∈{1,2,……,K}とする。また、Kは本識別子の候補の数であり、0以上の整数とする。また、βは正の定数としてもよいし、Kに応じて変化する数としてもよいし、識別装置5から入力される信頼度sに応じて変化する数としてもよい。
Figure 2008257526
更に、識別装置5が、識別結果として複数の本識別子の候補IDrecog (k)を各々の信頼度s(k)とともに出力する場合には、以下の式(22)、あるいは、式(23)に示すような関数δ(s(k))を用いて、尤度関数L(ID)を定めてもよい。ここで、s(k)は第k番目の本識別子の候補IDrecog (k)の信頼度を表し、k∈{1,2,……,K}とする。ここで、信頼度s(k)が大きいほど信頼できることを示す場合には、関数δ(s(k))は、信頼度s(k)に対して広義単調増加とすることが好ましい。
Figure 2008257526
Figure 2008257526
そして、確率分布更新手段16は、このようにして求められた尤度関数L(ID)と、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)のうち仮識別子idprevに対応する本識別子確率分布P(ID|id=idprev)とに基づいて、以下の式(24)によって、本識別子確率分布P(ID|id=idprev,IDrecog)を算出する。
Figure 2008257526
こうして得られた新たな本識別子確率分布P(ID|id=idprev,IDrecog)を、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)のうち仮識別子idprevに対応する本識別子確率分布P(ID|id=idprev)に上書きして更新する。
このように、確率分布更新手段16は、識別装置5による識別結果から、当該識別装置5によって識別された移動対象物の仮識別子idprevに対応する本識別子確率分布P(ID|id=idprev)を更新することで、識別装置5による識別結果に応じて本識別子確率分布群P(ID|id)を逐次修正することができる。更に、確率分布更新手段16は、識別装置5による識別結果の信頼度から、当該識別装置5によって識別された移動対象物が各々の本識別子に対応する移動対象物である尤度を算出して、この尤度に基づいて本識別子確率分布P(ID|id=idprev)を更新することで、識別装置5による識別結果の信頼度に応じて本識別子確率分布群P(ID|id)を、より厳密に修正することができる。
本識別子推定手段(本識別情報推定手段)17は、各々の仮識別子idについて、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)において確率が最大となる本識別子IDを求めることで、仮識別子idに対応する移動対象物に設定された本識別子IDを推定するものである。ここで、本識別子推定手段17は、例えば、追跡装置3から位置情報と仮識別子とが入力されるたびに、すべての仮識別子についての仮識別子idと本識別子IDとの対を推定して、外部に出力する。
ここでは、仮識別子idに対応する本識別子をIDout(id)とする。この場合、本識別子推定手段17は、本識別子IDout(id)は、以下の式(25)によって算出することができる。
Figure 2008257526
なお、式(25)において、P(ID|id)を最大化する本識別子IDが複数存在する場合には、本識別子推定手段17は、それらのすべてを同時もしくは逐次的に出力するようにしてもよいし、それらのうち、例えば、本識別子の数値が最小のものや、最大のもののような代表的な本識別子を1つ以上出力してもよいし、本識別子IDout(id)の演算結果が無効であるとして1つも出力しないようにしてもよい。
以上のようにして、識別情報推定装置1は、仮識別子idごとの本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を、移動対象物間の距離や、時間推移や、識別装置5による識別結果に応じて修正し、この本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)に基づいて、同一の移動対象物に設定された仮識別子と本識別子との対を推定することができる。また、識別情報推定装置1は、仮識別子idごとの本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を、識別装置5による識別結果に応じて確率・統計的に修正する際に、識別装置5による識別結果の信頼度に応じて修正することで、識別結果に内在する曖昧さを反映させて同一の移動対象物に設定された仮識別子と本識別子との対を推定することができる。
更に、識別情報推定装置1は、識別装置5によって直前に識別された移動対象物の位置からの距離に応じて、次に識別装置5によって識別する移動対象物を設定することで、識別装置5が識別対象を切り替える際の視点の移動量を小さくでき、切り替えの所要時間を短縮することができる。また、識別情報推定装置1は、仮識別子idごとの本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)の形状が、ひとつの本識別子IDに対してのみ高い確率値をとり、他の本識別子IDに対してはいずれも低い確率値となるものより、それぞれの本識別子IDで確率値にあまり偏りのないものを優先して、識別装置5によって識別する移動対象物とすることで、本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)からはどの本識別子IDと対になるかが明確でない仮識別子idの移動対象物を優先して識別装置5によって識別させ、この識別結果に基づいて本識別子確率分布P(ID|id=1)〜P(ID|id=N)を修正して、より正確に仮識別子と本識別子との対を推定することができる。
なお、識別情報推定装置1は、コンピュータにおいて各手段を各機能プログラムとして実現することも可能であり、各機能プログラムを結合して、識別情報推定プログラムとして動作させることも可能である。
[識別情報推定装置の動作]
次に、図5及び図6を参照して、識別情報推定装置1の動作について説明する。図5は、本発明の識別情報推定装置が、識別装置の識別対象を選定して、識別装置の識別結果に基づいて本識別子確率分布群を更新する動作を示したフローチャートである。図6は、本発明の識別情報推定装置が、移動対象物の位置と事前確率とに基づいて本識別子確率分布群を更新して、仮識別子と本識別子との対を推定する動作を示したフローチャートである。
まず、図5を参照(適宜図1参照)して、識別情報推定装置1が、識別装置5の識別対象を選定して、識別装置5の識別結果に基づいて本識別子確率分布群を更新する動作について説明する。なお、ここでは、識別情報推定装置1の識別対象選定手段14及び確率分布更新手段16のみの動作について説明する。
識別情報推定装置1は、識別対象選定手段14によって、追跡装置3から位置情報と仮識別子とを入力する(ステップS11)。続いて、識別情報推定装置1は、確率分布更新手段16によって、識別装置5から識別結果である本識別子IDとその信頼度を入力したかを判断する(ステップS12)。そして、入力していない場合(ステップS12でNo)には、ステップS11に戻って、識別情報推定装置1が、識別対象選定手段14によって、追跡装置3から位置情報と仮識別子とを入力する動作以降の動作を行う。
また、入力した場合(ステップS12でYes)には、識別情報推定装置1は、確率分布更新手段16によって、ステップS12において識別装置5から入力された本識別子IDと、識別対象仮識別子メモリ15に記憶された仮識別子idとに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)のうち当該仮識別子idに対応する本識別子確率分布(P(ID|id=1)〜P(ID|id=N))を更新して、確率分布メモリ11に記憶する(ステップS13)。そして、識別情報推定装置1は、識別対象選定手段14によって、ステップS11において入力された位置情報と仮識別情報とに基づいて識別対象となる移動対象物を選定し、選定された移動対象物の仮識別子を識別対象仮識別子メモリ15に記憶するとともに、当該仮識別子に対応する位置情報を識別装置5に出力し(ステップS14)、ステップS11に戻って、識別情報推定装置1は、識別対象選定手段14によって、追跡装置3から次の位置情報と仮識別子とを入力する動作以降の動作を行う。なお、ステップS13及びステップS14において、確率分布更新手段16及び識別対象選定手段14によって識別対象仮識別子メモリ15から読み出される仮識別子idは、ステップS12において入力された識別結果に対応する、ひとつ前の識別対象を識別対象選定手段14によって選定した際(ステップS14)において記憶されたものである。
以上の動作によって、識別情報推定装置1は、本識別子推定手段17によって、識別装置5で識別された仮識別子idの本識別子確率分布(P(ID|id=1)〜P(ID|id=N))を識別結果に応じて修正し、識別対象選定手段14によって、識別装置5の次の識別対象を選定することができる。
次に、図6を参照(適宜図1参照)して、識別情報推定装置1が、移動対象物の位置と事前確率とに基づいて本識別子確率分布群を更新して、仮識別子と本識別子との対を推定する動作について説明する。なお、ここでは、識別情報推定装置1の確率分布予測手段13及び本識別子推定手段17のみの動作について説明する。更に、ここでは、追跡装置3から位置情報と仮識別子とが入力されるたびに切替部133cを2度切り替え、近接確率分布混合部133aと経時確率分布混合部133bとにそれぞれ1回ずつ接続する場合について説明する。
識別情報推定装置1は、確率分布予測手段13の距離評価部132によって、追跡装置3から位置情報と仮識別子とを入力する(ステップS21)。続いて、識別情報推定装置1は、確率分布予測手段13の距離評価部132によって、ステップS21に入力された位置情報と仮識別子とに基づいて、それぞれの移動対象物間の距離を算出し、当該距離を示す距離テーブルを生成する(ステップS22)。
更に、識別情報推定装置1は、確率分布予測手段13の切替部133cによって、本識別子確率分布群P(ID|id)の入出力を、近接確率分布混合部133a及び確率分布メモリ11間に切り替え、近接確率分布混合部133aによって、ステップS22において生成された距離テーブルに基づいて、確率分布メモリ11に記憶された複数の本識別子確率分布Pin(ID|id)を混合して、確率分布メモリ11に記憶する(ステップS23)。
続いて、識別情報推定装置1は、確率分布予測手段13の切替部133cによって、本識別子確率分布群P(ID|id)の入出力を、経時確率分布混合部133b及び確率分布メモリ11間に切り替え、経時確率分布混合部133bによって、タイマ131からの時間間隔に応じた混合比で、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布Pin(ID|id)と、事前確率分布メモリ12に記憶された事前確率分布とを混合して、確率分布メモリ11に記憶する(ステップS24)。
そして、識別情報推定装置1は、本識別子推定手段17によって、ステップS24又はステップS13(図5参照)において確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)に基づいて、同一の移動対象物に設定された仮識別子idと本識別子IDとの対を推定し(ステップS25)、ステップS21に戻って、確率分布予測手段13の距離評価部132によって、追跡装置3から次の位置情報と仮識別子とを入力する動作以降の動作を行う。
以上の動作によって、識別情報推定装置1は、確率分布予測手段13によって、確率分布メモリ11に記憶された本識別子確率分布群P(ID|id)を、移動対象物間の距離と時間推移とに基づいて修正し、本識別子推定手段17によって、確率分布予測手段13もしくは図5に示す動作によって確率分布更新手段16によって修正された本識別子確率分布群P(ID|id)に基づいて、同一の移動対象物に設定された仮識別子と本識別子との対を推定することができる。
本発明における識別情報推定装置の構成を模式的に示した構成図である。 本発明における識別情報推定装置の確率分布メモリに記憶される本識別子確率分布の例を説明するための説明図、(a)は、確率分布メモリに記憶される本識別子確率分布の例を示す表、(b)〜(e)は、それぞれ仮識別子が1〜4のときの(a)の本識別子確率分布を示すグラフである。 本発明における識別情報推定装置の事前確率分布メモリに記憶される事前確率分布の例を説明するための説明図、(a)は、事前確率分布メモリに記憶される事前確率分布の例を示す表、(b)は、(a)の事前確率分布P(ID)を示すグラフである。 本発明における識別情報推定装置の距離評価部によって生成される距離テーブルの例を説明するための説明図、(a)は、距離評価部によって生成される距離テーブルの例を示す表、(b)は、移動対象物の配置を模式的に示す模式図である。 本発明の識別情報推定装置が、識別装置の識別対象を選定して、識別装置の識別結果に基づいて本識別子確率分布群を更新する動作を示したフローチャートである。 本発明の識別情報推定装置が、移動対象物の位置と事前確率とに基づいて本識別子確率分布群を更新して、仮識別子と本識別子との対を推定する動作を示したフローチャートである。
符号の説明
1 識別情報推定装置
3 追跡装置
5 識別装置
11 確率分布メモリ(確率分布情報記憶手段、確率分布情報記憶装置)
12 事前確率分布メモリ(出現確率分布情報記憶手段、出現確率分布情報記憶装置)
13 確率分布予測手段
131 タイマ
132 距離評価部
133 確率分布混合部
133a 近接確率分布混合部
133b 経時確率分布混合部(経時確率分布混合手段)
133c 切替部
14 識別対象選定手段
15 識別対象仮識別子メモリ
16 確率分布更新手段(確率分布情報補正手段)
17 本識別子推定手段

Claims (6)

  1. 移動する複数の対象物のそれぞれを追跡して、追跡された各々の前記対象物に、当該対象物同士を区別するための仮識別情報を設定して、各々の前記対象物の位置を解析する追跡装置から各々の前記対象物の位置を示す位置情報と前記仮識別情報とを入力するとともに、前記位置情報によって示される少なくともひとつの前記対象物を識別する識別装置から前記対象物を識別するために当該対象物に対して予め設定された本識別情報を入力して、各々の前記仮識別情報に対応する前記本識別情報を推定する識別情報推定装置であって、
    前記仮識別情報の設定された前記対象物が、それぞれの前記本識別情報に対応する前記対象物である確率を示す確率分布情報を、すべての前記仮識別情報について記憶する確率分布情報記憶手段と、
    前記識別装置によって識別される前記対象物を選定して、前記追跡装置から入力された当該対象物の前記位置情報を前記識別装置に出力する識別対象選定手段と、
    前記識別装置から入力された本識別情報と、前記識別対象選定手段によって選定された対象物の前記仮識別情報とに基づいて、当該仮識別情報の設定された前記対象物が各々の本識別情報に対応するとみなせる度合いを示す評価値を算出し、当該評価値に基づいて、前記確率分布情報記憶手段に記憶された当該仮識別情報に対応する前記確率分布情報の各々の本識別情報に対応する前記確率を補正して、前記確率分布情報記憶手段に記憶する確率分布情報補正手段と、
    各々の本識別情報に対応する前記対象物が出現する確率の確率分布を示す出現確率分布情報を予め記憶する出現確率分布情報記憶手段と、
    時間経過に応じた比率で、前記出現確率分布情報記憶手段に記憶された出現確率分布情報によって示される確率分布と、前記確率分布情報記憶手段に記憶された各々の前記確率分布情報によって示される確率分布とを混合して、混合された確率分布を示す確率分布情報を前記確率分布情報記憶手段に記憶する経時確率分布混合手段と、
    前記確率分布情報記憶手段に記憶された確率分布情報に基づいて、各々の前記仮識別情報に対応する前記本識別情報を推定する本識別情報推定手段と、
    を備えることを特徴とする識別情報推定装置。
  2. 前記識別対象選定手段が、前記追跡装置から入力された前記位置情報に基づいて、前記識別装置によって直前に識別された前記対象物から他の前記対象物までの距離を算出して、当該距離が相対的に小さいものを優先して、前記識別装置によって識別される前記対象物を選定することを特徴とする請求項1に記載の識別情報推定装置。
  3. 前記識別対象選定手段が、前記確率分布情報記憶手段に記憶された各々の前記確率分布情報によって示される確率分布における確率の偏りの度合いを算出し、この偏りの度合いが相対的に小さいものを優先して、前記識別装置によって識別される前記対象物を選定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の識別情報推定装置。
  4. 前記確率分布情報補正手段が、前記識別装置から前記本識別情報とともに、当該識別装置における当該本識別情報に対する識別の信頼度を示す信頼度情報を入力して、当該信頼度情報に基づいて前記評価値を算出して、前記確率分布情報記憶手段に記憶された前記確率分布情報を補正することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の識別情報推定装置。
  5. 前記追跡装置から入力された位置情報に基づいて、2つの前記対象物間の距離を算出し、この距離が小さいほど高い比率で、前記確率分布情報記憶手段に記憶された当該2つの対象物の前記確率分布情報によって示される確率分布を混合して、混合された確率分布を示す確率分布情報を前記確率分布情報記憶手段に記憶する近接確率分布混合手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の識別情報推定装置。
  6. 移動する複数の対象物のそれぞれを追跡して、追跡された各々の前記対象物に、当該対象物同士を区別するための仮識別情報を設定して、各々の前記対象物の位置を解析する追跡装置から各々の前記対象物の位置を示す位置情報と前記仮識別情報とを入力するとともに、前記位置情報によって示される少なくともひとつの前記対象物を識別する識別装置から前記対象物を識別するために当該対象物に対して予め設定された本識別情報を入力し、前記仮識別情報の設定された前記対象物が、それぞれの前記本識別情報に対応する前記対象物である確率を示す確率分布情報を、すべての前記仮識別情報について記憶する確率分布情報記憶装置から当該確率分布情報を参照して、各々の前記仮識別情報に対応する前記本識別情報を推定するために、コンピュータを、
    前記識別装置によって識別される前記対象物を選定して、前記追跡装置から入力された当該対象物の前記位置情報を前記識別装置に出力する識別対象選定手段、
    前記識別装置から入力された本識別情報と、前記識別対象選定手段によって選定された対象物の前記仮識別情報とに基づいて、当該仮識別情報の設定された前記対象物が各々の本識別情報に対応するとみなせる度合いを示す評価値を算出し、当該評価値に基づいて、前記確率分布情報記憶装置に記憶された当該仮識別情報に対応する前記確率分布情報の各々の本識別情報に対応する前記確率を補正して、前記確率分布情報記憶装置に記憶する確率分布情報補正手段、
    時間経過に応じた比率で、出現確率分布情報記憶装置に予め記憶された、各々の本識別情報に対応する前記対象物が出現する確率の確率分布を示す出現確率分布情報によって示される確率分布と、前記確率分布情報記憶手段に記憶された各々の前記確率分布情報によって示される確率分布とを混合して、混合された確率分布を示す確率分布情報を前記確率分布情報記憶手段に記憶する経時確率分布混合手段、
    前記確率分布情報記憶装置に記憶された確率分布情報に基づいて、各々の前記仮識別情報に対応する前記本識別情報を推定する本識別情報推定手段、
    として機能させることを特徴とする識別情報推定プログラム。
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