JP2008256741A - 平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法 Download PDF

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秀和 大橋
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Abstract

【課題】紫外光、可視光あるいは赤外光を放射する固体レーザー又は半導体レーザー光を用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平板印刷版原版、特に、pH10未満の水溶液や印刷機上において現像可能な高耐刷かつ耐汚れ性良好な簡易処理型平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法を提供すること。
【解決手段】支持体上に、(1)(A-1)(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c
)ラジカル重合性基を有する化合物及び(B)(d)ラジカル重合促進基を有する化合物
を含有する層又は(A−2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d)ラジカル重合促進基を有する化合物を含有する層と、(2)(C)ラジカル
重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル重合開始剤及び(F)350〜
1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光層をこの順に有する平版印刷版原版並びにそれを用いた平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷版原版、特にアルカリ現像を必要としない簡易処理型の平版印刷版原版、並びにそれを用いた平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法に関する。
波長300nm〜1200nmの紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザー、半導体レーザー、ガスレーザーは高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっており、これらのレーザーはコンピューター等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、非常に有用である。これら各種レーザー光に感応する記録材料については種々研究されており、代表的なものとして、第一に、感光波長760nm以上の赤外線レーザーで記録可能な材料として米国特許4708925号(特許文献1)に記載のポジ型記録
材料、特開平8−276558号(特許文献2)に記載されている酸触媒架橋型のネガ型
記録材料等がある。第二に、300nm〜700nmの紫外光または可視光レーザー対応型の記録材料として米国特許2850445号(特許文献3)及び特公昭44−2018
9号(特許文献4)に記載されているラジカル重合型のネガ型記録材料等が多数ある。
また、従来の平版印刷版原版(以下、PS版ともいう)では、露光の後、非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠であり、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。更に湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更することが望ましい。
このような観点から、処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理が完了する方式である。
このような機上現像に適した平版印刷版原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な画像形成層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
従来のPS版では、このような要求を満足することは、実質的に不可能であった。
そこで、このような要求を満足するために、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた画像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献5参照)。その製版に際しては、赤外線レーザーで露光して、光熱変換により生じた熱で熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて画像形成した後、印刷機のシリンダー上に版を取り付け、湿し水及びインキの少なくともいずれかを供給することにより機上現像できる。この平版印刷版原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
しかし、熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて形成する画像は、強度が不
充分で、印刷版としての耐刷性に問題がある。
また、熱可塑性微粒子に代えて、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献6〜11参照)。このような提案にかかる原版では、重合性化合物の反応により形成されるポリマー画像が微粒子の融着により形成される画像よりも強度に優れているという利点がある。
また、重合性化合物は反応性が高いため、マイクロカプセルを用いて隔離しておく方法が多く提案されている。そして、マイクロカプセルのシェルには、熱分解性のポリマーを使用することが提案されている。
しかしながら、上記特許文献5〜11に記載の従来の平版印刷版原版では、レーザー露光により形成される画像の耐刷性が十分ではなく、更なる改良が求められている。即ち、これら簡易処理型の平版印刷版原版においては、pH10以下の水溶液や印刷機上の湿し水(通常はほぼ中性)による現像を可能にするため、親水性の高い表面を有する支持体を使用しており、その結果、印刷中の湿し水により画像部が支持体から剥離しやすく十分な耐刷が得られなかった。逆に、支持体表面を疎水性にすると、印刷中に非画像部にもインクが付着するようになり、印刷汚れが発生してしまう。このように、耐刷性と耐汚れ性の両立は極めて難しく、耐汚れ性が良好であり、且つ十分な耐刷性を有する簡易処理型の平版印刷版原版はこれまでに知られていない。
米国特許4708925号明細書 特開平8−276558号公報 米国特許2850445号明細書 特公昭44−20189号公報 特許2938397号公報 特開2000−211262号公報 特開2001−277740号公報 特開2002−29162号公報 特開2002−46361号公報 特開2002−137562号公報 特開2002−326470号公報
従って、本発明の目的は、紫外光、可視光あるいは赤外光を放射する固体レーザー又は半導体レーザー光を用いて記録することによりコンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平板印刷版原版、特に、pH10未満の水溶液や印刷機上において現像可能な高耐刷かつ耐汚れ性良好な簡易処理型平版印刷版原版並びにそれを用いる平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、支持体と感光層の間に、ラジカル重合促進基を有する特定の化合物を含有する層を設けることにより上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)支持体上に、(1)(A-1)(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジ
カル重合性基を有する化合物及び(B)(d)ラジカル重合促進基を有する化合物を含有
する層と(2)(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル
重合開始剤及び(F)350〜1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光
層をこの順に有する平版印刷版原版。
(2)支持体上に、(1)(A−2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカ
ル重合性基及び(d)ラジカル重合促進基を有する化合物を含有する層と(2)(C)ラ
ジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル重合開始剤及び(F)3
50〜1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光層をこの順に設けてなる平版印刷版原版。
(3)前記(d)ラジカル重合促進基が、3.8デバイ以上の双極子モーメントを有する官能基であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の平版印刷版原版。
(4)前記3.8デバイ以上の双極子モーメントを有する官能基が、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される官能基であることを特徴とする(3)に記載の平版印刷版原版。
式中、X及びYは各々−C(R)(R)−、−C(R)=、−O−、−S−、−N(R
)−又は−N=を表し、ZはO又はSを表し、ZはO又は孤立電子対を表し、Z
は−C(R)(R)−、−C(R)=、−O−、−S−、−N(R)−又は−N=を表す。R〜Rは、各々独立して水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる置換基を表すか、もしくは任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。但し、R〜Rの少なくとも一つは水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる、化合物母核に連結する2価の連結基を表す。
(5)前記(A-1)(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジカル重合性基を
有する化合物が、高分子化合物であることを特徴とする(1)、(3)及び(4)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(6)前記(A-2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び
(d)ラジカル重合促進基を有する化合物が、高分子化合物であることを特徴とする(2)〜(4)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(7)前記(D)バインダーポリマーが、0.3meq/g以下の酸価を有することを特
徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載の平版印刷版原版。
(8)前記感光層の上に、保護層を有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1
項に記載の平版印刷版原版。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、350〜1200nm
の波長域に発振波長を有するレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pH2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
(10)露光から現像までの間に、露光された平版印刷版原版を加熱処理することを特徴とする(9)に記載の平版印刷版の作製方法。
(11)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、3
50〜1200nmの波長域に発振波長を有するレーザーで画像露光した後、又は、350〜1200nmの波長域に発振波長を有するレーザーで画像露光し、印刷機に装着した後、平版印刷版原版に、印刷インキと湿し水とを供給して、感光層のレーザー未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
本発明によれば、コンピューター等のデジタル信号から各種レーザーを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な高い生産性を有する平版印刷用原版、特に耐刷性と耐汚れ性が良好な簡易現像型の平版印刷版原版並びにそれを用いる平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法が得られる。
以下、本発明の平版印刷版原版について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル重合開始剤及び(F)350〜1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光層を有し、支持体と感光層の間に、更に、(A-1)(a)親水性
基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジカル重合性基を有する化合物及び(B)(d)
ラジカル重合促進基を有する化合物を含有する層(以下、「下層A」ともいう)又は(A−2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d)ラジカル
重合促進基を有する化合物を含有する層(以下、「下層B」ともいう)を有することが特
徴である。
以下に、本発明の平版印刷版原版における下層A及び下層B(以下、下層A及び下層B
をまとめて単に「下層」ということもある)についてさらに詳細に説明する。
下層Aは(A-1)(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジカル重合性基を
有する化合物(以下、「親水性重合性化合物」ともいう)と(B)(d)ラジカル重合促進基を有する化合物(以下、「重合促進化合物」ともいう)を含有する。また、下層Bは(A
−2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d)ラジカル重合促進基を有する化合物(以下、「親水性重合促進化合物」ともいう)を含有する。
<親水性重合性化合物>
本発明の平版印刷版原版の下層Aに用いられる親水性重合性化合物は、(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジカル重合性基を有する化合物である。
(a)親水性基
親水性基(a)ととしては、一般に水との親和性が高いといわれる官能基であれば何れも好適に使用することができる。具体的には、以下の一般式(a1)〜(a8)で表される官能基が好ましく、一般式(a1)〜(a5)であらわされる官能基がより好ましい。
式中、Mは水素、金属カチオン、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ヨードニウム、ジアゾニウム又はアジニウムを表し、R11〜R13は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルケニル基を表し、任意の2つで環を形成しても良く、Lは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xはカウンターアニオンを表す。
親水性重合性化合物は、親水性基(a)を1種のみ有しても良いし、2種以上有しても良い。
(b)支持体密着性基
支持体密着性基(b)は、支持体表面と共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデアワールス相互作用、配位結合等の相互作用が可能な官能基が挙げられ、用いる支持体により種々選択することができる。中でも、平版印刷版原版の支持体として従来から用いられているアルミニウム支持体を例にとると、官能基を有する化合物の10質量%溶液にアルミニウム支持体を1分間浸した後、溶液に用いられている溶媒で十分に洗浄し、乾燥後に蛍光X線測定により化合物の吸着が確認できるような官能基であれば何れも好適に使用することができるが、以下の一般式(b1)〜(b14)で表される官能基が好ましく、一般式(b1)〜(b8)で表される官能基が特に好ましい。
式中、M、Mは水素原子、金属カチオン、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ヨードニウム、ジアゾニウム又はアジニウムを表し、R11〜R13は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルケニル基を表し、任意の2つで環を形成しても良く、Xはカウンターアニオンを表し、nは1〜5の整数を表す。
親水性重合性化合物は、支持体密着性基(b)を1種のみ有しても良いし、2種以上有しても良い。
(c)ラジカル重合性基
ラジカル重合性基(c)としては、ラジカルによって重合反応を起こす官能基であれば何れも好適に使用することができるが、下記一般式(c1)〜(c3)で表される官能基が特に好ましい。
上記一般式(c1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル
基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、−CHQ基がラジカル反応性の高いことから好ましい。Qとしては、ハロゲン原子、シアノ基、−OR14基、−OCOR14基、−OCONR1415基、−OCOOR14基、−OSO14基、−OPO(OR14)(OR15)基、−OPOR14(OR15)基、−NR1415基、−NR14COR15基、−NR14COOR15基、−NR14CONR1516基、−NR14SO155基、−N(SO14)(SO15)基、−N(COR14)(COR15)基、−SR14基、−SOR14基、−SO14基、−SO14基、−SONR1415基、−PO(OR14)(OR15)基が挙げられ、ハロゲン原子、シアノ基、−OR14基、−OCOR14基、−OCONR1415基、−OCOOR14基、−NR1415基、−NR14COR15基、−NR14COOR15基、−NR14CONR1516基、−SR14基が特に好ましい。ここで、R14〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキニル基、置換基を有していても良いアルケニル基を表す。
、Rとしては、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことからより好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、R12における1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。なかでもR12としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
上記一般式(c2)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表す。R〜Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。導入し得る置換基としては、一般式(c1)において記載のものと同様のものが例示される。
Yは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表す。R12は、一般式(c1)のR12と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(c3)において、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。Rとしては、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことから好ましい。R10、R11としては、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことからより好ましい。ここで、導入し得る置換基としては、一般式(c1)において記載のものと同様のものが例示される。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
親水性重合性化合物は、ラジカル重合性基(c)を1種のみ有しても良いし、2種以上有しても良い。
親水性重合性化合物は、低分子化合物であっても高分子化合物であっても良いが、高分子化合物であることが特に好ましい。高分子化合物であると、より良好な耐汚れ性と耐刷性が得られる。親水性重合性化合物が高分子化合物である場合、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ビニル樹脂、ビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アミド樹脂、エステル樹脂、カーボネート樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂から選ばれる高分子化合物が好ましく、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂がより好ましい。また、上記(a)〜(c)の官能基の割合は、全官能基数を100モル%とした場合、(a)5〜30モル%、(b)40〜90モル%、(c)5〜30モル%の範囲であることが好ましい。かかる範囲に官能基の割合を調整することでより良好な耐汚れ性と耐刷性が得られる。また、高分子化合物の質量平均分子量としては、5000以上が好ましく、1万以上がより好ましい。5000以上の質量平均分子量とすることで、より良好な耐汚れ性と耐刷性が得られる。
以下に本発明に用いられる親水性重合性化合物の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられる親水性重合性化合物は、1種類のみを用いても良いし、2種以上を混合して使用することもできる。
<重合促進化合物>
本発明の平版印刷版原版の下層Aに用いられる重合促進化合物は、(d)ラジカル重合促進基を有する化合物である。
(d)ラジカル重合促進基
ラジカル重合促進基(d)とは、この基が存在することによってラジカル重合速度・反応率が向上する官能基である。ラジカル重合促進基(d)としては、3.8デバイ以上の双極子モーメントを有する官能基が挙げられる。
ここで、本発明で用いる双極子モーメントについて説明する。
本発明における双極子モーメントは、分子軌道法を用いて、以下の方法で算出した値を採用している。双極子モーメントは、Hartree−Fock−Roothaan方程式FC=SCE(F;Hartree−Fock行列、C;AO係数行列、S;重なり積分、E;エネルギー固有値体格行列を示す)を解くことにより計算されるが、本発明では半経験的分子軌道法の計算プログラムである“MOPAC”を用いた。“MOPAC”とは、2電子積分の微分重なりを無視し、さらに原子やある典型的な分子実験値を積分計算の変わりにパラメータ(例えばAM1パラメータ)を用いることにより、計算量を大幅に減らす方法で、当業界では広く知られる計算方法であり、詳細は『第5版 実験化学講座
12 計算化学』(丸善)p48−59 日本化学会編に記載されている。これらの記載を参照し、本明細書における双極子モーメントを算出することができる。
ラジカル重合促進基(d)における双極子モーメントの値は、より大きいことがより好ましい。具体的には、4.5デバイ以上がより好ましく、5.0デバイ以上が更に好ましい。双極子モーメントの上限は、10以下が好ましく、8.5以下がより好ましく、7.0以下が更に好ましい。
本発明における官能基の双極子モーメント算出においては、重合促進化合物中に含まれる水酸基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基等の官能基や、それらが複合して形成された官能基から、重合促進化合物に連結する結合を水素に置換してできる化合物の双極子モーメントを求め、その価を官能基の双極子モーメントとして表示した。計算に用いられる化合物の分子量としては50以上300以下が好ましく、60以上280以下が更に好ましく、70以上250以下が特に好ましい。
双極子モーメントが3.8デバイ以上の官能基としては、以下の一般式(1)〜(5)で表される官能基であることが好ましい。
式中、X及びYは各々−C(R)(R)−、−C(R)=、−O−、−S−、−N(R
)−又は−N=を表し、ZはO又はSを表し、ZはO又は孤立電子対を表し、Z
は−C(R)(R)−、−C(R)=、−O−、−S−、−N(R)−又は−N=を表す。R〜Rは、各々独立して水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる置換基を表すか、もしくは任意の2つが
互いに結合して環を形成してもよい。但し、R〜Rの少なくとも一つは水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる、化合物母核に連結する2価の連結基を表す。
〜Rで表される水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、シリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる置換基とは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、>C<、=C<、≡C−、−O−、O=、−N<、−N=、≡N、−S−、S=、>S<、≡S≡、−P<、≡P<、>Si<、=Si<、≡Si−及びこれらを組み合わせて形成される1価又は2価の置換基である。1価の置換基としては、水素、アルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチ
ル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、
ベンゾイルオキシメチル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノ
プロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルファモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、
α-メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、シンナ
ミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基等〕、アリ
ール基〔例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル
基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等〕、ヘテロアリール基〔例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリ
ン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等のヘテロ環から誘導される基〕、アルケニル基〔例えばビニル基、1-プロペ
ニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、2-クロロ-1-エテニル基等〕、アルキニル基〔例えば、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等〕、
ハロゲン原子〔-F、-Br、-Cl、-I〕、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールア
ミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、ア
リールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N'-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキ
ル-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリ
ール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリ
ール-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-ア
ルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-ア
ルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルア
ミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、
ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-
アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アル
キル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル
基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジア
リールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(-PO3(aryl)2)、アルキルアリー
ルホスフォノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(-PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(-PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオ
キシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3H(alkyl))およびその共
役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(-OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基
と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が好ましい。
2価の置換基としては、例えば、−CX−、−CO−、−NX−、−O−、−S−、−PX−、−SiX−、−CX=N−、−SO−、−CS−、−SO−、−CX=CX−、−C≡C−、−POX−(X〜Xは、上述の1価の置換基を表す)及びこれらを組み合わせることにより形成される置換基が挙げられる。2価の置換基である場合、該官能基は環状構造を有することになるが、該環状構造が4〜8員環となる2価の置換基が特に好ましい。
例えば、一般式(1)において、X=−C(R)(R)−(ここでRは水素原子、Rは化合物母核との連結部位を表す)、Z=O、Y=−C(R)=(ここで、R及びRは一緒になって−(CH)−を表す)、R=Oである官能基は、2、3−ジオキソ−1−シクロヘキシル基である。
これら官能基の中でも好ましいのは、環状構造を有する官能基であり、特に好ましいのは環状構造を有し、且つ一般式(1)においてX=−O−、−S−又は−N(R)−、Y=−O−、−S−又は−N(R)−、Z=O又はSからなる官能基、一般式(2)においてX=−O−、−S−又は−N(R)−、Y=−O−、−S−又は−N(R)−、Z=O又は孤立電子対からなる官能基、一般式(3)においてX=−O−又は−C(R)(
)−、Y=−O−又は−C(R)(R)−、Z=−O−又は−C(R)(R)−か
らなる官能基である。
更に好ましいのは、環状構造を有し、且つ一般式(1)において(X、Y、Z)=(−O−、−O−、O)、(−O−、−N(R)−、O)、(−O−、−C(R)(R)−、O)、(−N(R)−、−N(R)−、O)、(−S−、−N(R)−、O)からなる官能基、一般式(2)において(X、Y、Z)=(−O−、−O−、O)、(−O−、−N(R)−、O)、(−O−、−C(R)(R)−、O)、(−N(R)−、−N(R
)−、O)からなる官能基、一般式(3)において(X、Y、Z)=(−O−、−O
−、O)、(−O−、−O−、−C(R)(R)−)からなる官能基である。
以下に本発明に用いられるラジカル重合促進基の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。


重合促進化合物は、ラジカル重合促進基を1種のみ有しても良く、2種以上有していても良い。重合促進化合物は、上記重合促進官能基の他に、(a)親水性基、(b)支持体密着性基あるいは(c)ラジカル重合性基を有していても良く、特に、(a)親水性基及び/又は(b)支持体密着性基を有することが好ましい。(a)親水性基を有することで耐汚れ性がより良好になり、(b)支持体密着性基を有することで耐刷性がより良好になる。重合促進化合物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、低分子化合物或いは、分子量10万以下の高分子化合物であることが好ましい。このような化合物を用いることで親水性重合性化合物との相溶性が良くなり、重合反応促進効果がさらに向上する。
本発明に用いられる重合促進化合物は、上記ラジカル重合促進基、好ましくは、式(1
)〜(5)で表される官能基から実質的に構成される低分子化合物であってもよいし、このような基を側鎖または主鎖に有する高分子化合物であってもよい。
以下に、本発明に用いられる重合促進化合物の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。











本発明に用いられる重合促進化合物は、1種類のみを用いても良いし、2種以上を混合して使用することもできる。
本発明に用いられる親水性重合性化合物と重合促進化合物は、本発明の効果を損ねない限り何れの比率でも使用することができる。具体的には、親水性重合性化合物中の(a)親水性基+(b)支持体密着性基+(c)ラジカル重合性基=100モルとした時、重合促進化合物中の(d)重合促進官能基は、3〜100モルが好ましく、5〜80モルがより好ましく、10〜60モルが特に好ましいので、このような割合になるよう使用することにが望ましい。
<親水性重合促進化合物>
本発明の平版印刷版原版の下層Bに用いられる親水性重合促進化合物は、上記(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d)ラジカル重合促進基を有する化合物であれば何れも好適に使用することができるが、質量平均分子量5000以上の高分子化合物であることが好ましく、10000以上の高分子化合物であることが特に好ましい。質量平均分子量5000以上の親水性重合促進化合物を用いることで、より良好な耐汚れ性と耐刷性が得られる。
親水性重合促進化合物が高分子化合物である場合、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ビニル樹脂、ビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アミド樹脂、エステル樹脂、カーボネート樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂から選ばれる高分子化合物が好ましく、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂がより好ましい。また、上記(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d)ラジカル重合促進基の導入比率は、全官能基数を100モル%としたとき、(a)=40〜70モル%、(b)=5〜20モル%、(c)=5〜20モル%、(d)=20〜50モル%の範囲とすることが好ましい。この範囲に官能基の割合を調整する
ことでより良好な耐汚れ性と耐刷性が得られる。
以下に本発明に用いられる親水性重合促進化合物の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。


親水性重合促進化合物は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
本発明に用いられる親水性重合促進化合物は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の平版印刷版原版の下層は、上記親水性重合性化合物、重合促進化合物及び親水性重合促進化合物の他に、必要により、他の成分、例えば、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、増感色素等を含有してもよい。下層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、下層の成分を適当な溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、アニソール、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、エチレンジクロリド、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、水等に溶解し、溶液を常法に従って支持体に塗布して下層を形成することができる。
本発明の平版印刷版原版においては、上記親水性重合性化合物及び重合促進化合物を含有する下層又は親水性重合促進化合物を含有する下層を設けることにより、画像露光時に感光層で生じたラジカル重合が、効率的に下層の化合物にも進行し、その結果、感光層と下層の間の密着力が強固になり良好な耐刷性が得られ、他方、非画像部においては、親水性重合性化合物又は親水性重合促進化合物の有する(a)親水性基により親水性が保持されているため耐汚れ性も良好になると考えられる。
[感光層]
本発明の平版印刷版原版は、(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル重合開始剤及び(F)350〜1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光層を、上記下層の上に有する。
<(C)ラジカル重合性化合物>
本発明における感光層に用いるラジカル重合性化合物(以下、単に重合性化合物ともいう)は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの共重合体ならびにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例とし
ては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
上記の重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
<(D)バインダーポリマー>
本発明の感光層に用いられるバインダーポリマーとしては、非水溶性ポリマーが好ましく用いられる。さらに、本発明に使用可能なバインダーポリマーは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を実質的に含有しないものが好ましく、バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、0.3meq/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1meq/g以下である。
すなわち、本発明に使用可能なバインダーポリマーは、水およびpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましく、バインダーポリマーの水およびpH10以上の水溶液に対する溶解度が、0.5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。このようなバインダーポリマーを用いることによって、感光層の膜強度、耐水性および着肉性が向上して、耐刷性の向上が得られる。
疎水性バインダーポリマーとしては、本発明の平版印刷版の性能を損なわない限り、好ましくは、上記特性範囲であれば、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、エステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルと(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基(−COOR)のRに−CH2CH2O−単位または−CH2CH2NH−単位を含む(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が特に好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましいアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。好ましい(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
さらに、バインダーポリマーには、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、架橋性官能基をポリマーの主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性官能基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性官能基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基が特に好ましい。
上記一般式(1)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基な
どが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことからより好ま
しい。R2、R3としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことからより好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子または1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げらる。R12としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
上記一般式(2)において、R4〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。R4〜R8としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。
Yは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表す。R12は、一般式(1)のR12と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(3)において、R9〜R11は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有
機基を表す。
1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げらる。Rとしては、水素原子、メチル基がラジカル反応性の高いことから好ましい。R10、R11としては、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(1)におけるものと同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性官能基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、疎水性バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、水溶液に対する現像性向上という観点からバインダーポリマーは親水的であることが好ましく、さらに耐刷性向上という観点からバインダーポリマーは感光層中に含まれる重合性化合物と相溶性が良いことが重要であり、すなわち親油的であることが好ましい。このような見地から本発明では、現像性と耐刷性を向上させるためバインダーポリマー中に親水性基と親油性基とを共重合させることも有効である。親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、エチレンオキシ基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、
10〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
<(E)ラジカル重合開始剤>
本発明の感光層に用いられるラジカル重合開始剤(以下、単に重合開始剤ということもある)は、光または熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。このようなラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから、適宜、選択して用いることができる。
上記のラジカル重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、「Bull.Chem.Soc.Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の公報、M.P.Hutt,"Journal of Heterocyclic Chemistry",1(No.3)(1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−
ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4'
−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパー
オキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書等に記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフ
ェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブ
ロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(
o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル
)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−
テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4'
,5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号の公報、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623
号公特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−3エステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。具体例としては、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−II
I)で表されるオニウム塩である。
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘ
オロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していても
よい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアル
キル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイ
オン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31 -は1価の陰イオンを表
す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、上記に限定されないが、特に反応性、安定性の面から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が好ましく、より好ましくはトリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩化合物である。
ラジカル重合開始剤は、感光層全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。
<(F)350〜1200nmに吸収極大を有する増感色素>
本発明の感光層に用いられる350〜1200nmに吸収極大を有する増感色素としては、使用する用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、赤外線吸収剤や、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素等が挙げられる。
[赤外線吸収剤]
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーに対する感度を高めるために用いられる成分である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料であるのが好ましい。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、上記赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(I)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(I)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1
〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、
リール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していても。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示
す。ただし、一般式(I)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオ
インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ロソ顔料、ニトロ顔料、天然料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の感光性組成物中での良好な安定性と均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤はマイクロカプセルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、感光層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.3〜1.3の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.4〜1.2の範囲である。この範囲で、感光層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と下層に対する密着性が得られる。
感光層の吸光度は、感光層に添加する赤外線吸収剤の量と感光層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版原版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
[350nm〜450nmの光を吸収する増感色素]
350nm〜450nmの光を吸収する増感色素としては、350nm〜450nmの波長域に吸収極大を有する増感色素、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で表される芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で表されるアントラセン類等を挙げることができる。
(式中、AはS原子もしくは、NR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接
するAおよび、隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、
X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、X1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。)
(式中、=Zは、オキソ基、チオキソ基、イミノ基または上記部分構造式(I')で表
されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(II)と同義であり、R7〜R12はそ
れぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。)
(式中Ar3は、置換基を有していてもよい芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、R13は一価の非金属原子団を表す。より好ましいR13は、芳香族基またはヘテロ芳香族基であって、Ar3とR13が互いに結合して環を形成してもよい。)
(式中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、1価の非金属原子団を表し、より好ま
しいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。)
一般式(I)から(IV)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金
属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメ
チル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチ
ルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、
N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノプロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリ
ルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-
(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバ
モイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-
エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルファモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオ
クチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベ
ンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、
2-ブテニル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ス
ルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等のヘテロアリール環から誘導される基)、アルケニル基(例えばビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、2-クロロ-1-エテニル基、等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、
ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールア
ミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、ア
リールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N'-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-
N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキ
ル-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリ
ール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリ
ール-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-ア
ルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-ア
ルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、
N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基
、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカル
バモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-
アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(-PO3(aryl)2)、
アルキルアリールホスフォノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(-PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノ
アリールホスフォノ基(-PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ
基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(-OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、以上の基のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
一般式(I)に於けるYが隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素あるいは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
含窒素複素環の例としては例えば、L.G.Brooker et al., J. Am. Chem. Soc.,73,5326-5358(1951).および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成す
るものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4-メチルチアゾール、4ーフェニルチアゾール、5-メチルチアゾール、5-フェニルチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール、4,5-ジフェ
ニルチアゾール、4,5-ジ(p-メトキシフェニルチアゾール)、4-(2-チエニル)チアゾール、等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4-クロロベンゾチ
アゾール、5-クロロベンゾチアゾール、6-クロロベンゾチアゾール、7-クロロベンゾ
チアゾール、4-メチルベンゾチアゾール、5-メチルベンゾチアゾール、6-メチルベン
ゾチアゾール、5-ブロモベンゾチアゾール、4-フェニルベンゾチアゾール、5-フェニ
ルベンゾチアゾール、4-メトキシベンゾチアゾール、5-メトキシベンゾチアゾール、6-メトキシベンゾチアゾール、5-ヨードベンゾチアゾール、6-ヨードベンゾチアゾール
、4-エトキシベンゾチアゾール、5-エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6-ジメトキシベンゾチアゾール、5,6-ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5-ヒドロキシベンゾチアゾール、
6-ヒドロキシベンゾチアゾール、6ージメチルアミノベンゾチアゾール、5-エトキシカルボニルベンゾチアゾール等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5-メトキシナフト[2,1]チアゾール、5-エトキシナフト[2,1]チアゾール、8-メトキシナフト[1,2]チアゾール、7-メトキシナフト[1,2]チアゾール等)、チアナフテノ-7’,6’,4,5-チアゾール類(例えば、4’-メトキシチアナフテノ-7’,6’,4,5-チアゾール等)、オキサゾー
ル類(例えば、4-メチルオキサゾール、5-メチルオキサゾール、4-フェニルオキサゾ
ール、4,5-ジフェニルオキサゾール、4-エチルオキサゾール、4,5-ジメチルオキ
サゾール、5-フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール
、5-クロロベンゾオキサゾール、5-メチルベンゾオキサゾール、5-フェニルベンゾオ
キサゾール、6-メチルベンゾオキサゾール、5,6-ジメチルベンゾオキサゾール、4,6-ジメチルベンゾオキサゾール、6-メトキシベンゾオキサゾール、5-メトキシベンゾ
オキサゾール、4-エトキシベンゾオキサゾール、5-クロロベンゾオキサゾール、6-メ
トキシベンゾオキサゾール、5-ヒドロキシベンゾオキサゾール、6-ヒドロキシベンゾオキサゾール等)、ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール等)、
セレナゾール類(例えば、4-メチルセレナゾール、4-フェニルセレナゾール等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5-クロロベンゾセレナゾール、5-メトキシベンゾセレナゾール、5-ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセ
レナゾール等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール等)、チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4-メチルチアゾ
リン等)、キノリン類(例えば、キノリン、3-メチルキノリン、5-メチルキノリン、7-メチルキノリン、8-メチルキノリン、6-クロロキノリン、8-クロロキノリン、6-メ
トキシキノリン、6-エトキシキノリン、6-ヒドロキシキノリン、8-ヒドロキシキノリ
ン等)、イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4-ジヒドロイソキノリン、等)
、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3-ジエチルベンズイミダゾール、1-エチル-3-フェニルベンズイミダゾール等)、3,3-ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3-ジメチルインドレニン、3,3,5,-トリメチルインドレニン、3,3,7,-トリメチルインドレニン等)、ピリジン類(例えば、ピリジン、5-メチルピリジン等)等を挙げ
ることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3-296759号公報記載の色素
類におけるジチオール部分構造をあげることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5-t-ブチルベンゾジチオール、5-メチルベンゾジチオール等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール等)、ジチオール類(例えば、4,5-ジメチルジチオール類、4-フェニルジチオール類、4-メトキシカルボニルジチオール
類、4,5-ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5-ジトリフルオロメチルジチオール、4,5-ジシアノジチオール、4-メトキシカルボニルメチルジチオール、4-カルボ
キシメチルジチオール等を挙げることができる。
以上、述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合、例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基形で導入される。
350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(V)で表される色素である。
(一般式(V)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、Xは酸素
原子、硫黄原子または=N(R3)をあらわす。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、AとR1あるいはR2とR3はそれぞれ互いに、脂肪族性また
は芳香族性の環を形成するため結合してもよい。)
一般式(V)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、
一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
1、R2およびR3の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例と
しては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シク
ロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基を挙げることができる。これらの
中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基
、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルス
ルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシ
ルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N′-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイ
ド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N′-アルキル-N-アリールウレイド基、
N',N'-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-
N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミ
ノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフ
ィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジ
アルキルホスフォノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(-PO3(aryl)2
、アルキルアリールホスフォノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基
(-PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、
モノアリールホスフォノ基(-PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホ
スフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以
後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)2
)、ジアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ
オキシ基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(-OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバ
モイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン
、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等のヘテロアリール環から誘導される基があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
アルケニル基の例としては、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、2-クロロ-1-エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基
、1-プロピニル基、1-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO-)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール
基を挙げることができる。これら置換基の内、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N-
アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、
ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
前記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2およびR3とし
て好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-ク
ロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエ
チル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノプロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、
N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホ
ナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルファモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-
N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォ
ナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニ
ル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベン
ゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール
基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N-フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N-メチルベンゾイルアミノフェニ
ル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N-メ
チルカルバモイルフェニル基、N,N-ジプロピルカルバモイルフェニル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N-メチル-N-スルホフェニル)カルバモイルフ
ェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N-
エチルスルファモイルフェニル基、N,N-ジプロピルスルファモイルフェニル基、N-トリルスルファモイルフェニル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイル
フェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、2-ブテニル基、2-メチルアリルフェニル基、2-メチルプロペニルフェニル基、2-プロピニルフェニル基、2-ブチニルフェニル基、3-ブチニ
ルフェニル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましい置換もしくは非置換のアルケニル基及び置換もしく
は非置換のヘテロアリール基の具体例としては、前述のアルケニル基及びヘテロアリール基に関して記載したものと同様のものを挙げることができる。
次に、一般式(V)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい芳香族環基及びヘテロ環基の具体例としては、一般式(V)中のR1、R2およびR3で記載したアリール基及びヘテロアリール
基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(V)で表される増感色素は、上に示したような酸性核や活性メチレン基を有する酸性核と、置換もしくは非置換の芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られる。具体的には、特公昭59-28329号公報の記載を参照して合成することがで
きる。
以下に一般式(V)で表される化合物の好ましい具体例(D1)から(D41)を示す。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらかの異性体に限定されるものではない。
350nm〜450nmの光を吸収する増感色素は、感光層全固形分中1.0〜10.0質量%の範囲で使用されるのが好ましい。より好ましくは1.5〜5.0質量%の範囲である。
また、本発明の感光層には、その用途に応じ、その他の成分、例えば、共増感剤、重合禁止剤、マイクロカプセル、界面活性剤、親水性ポリマー、着色剤、焼き出し剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、微粒子、低分子親水性化合物等を含むこともできる。
(共増感剤)
ある種の添加剤を用いることで、感光層の感度をさらに向上させることができる。そのような化合物を、本発明では共増感剤という。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。すなわち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。共増感剤は、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、
N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、平版印刷版原版の感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量は重合性化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲である。
(マイクロカプセル)
本発明においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含
有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
(界面活性剤)
本発明において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
(親水性ポリマー)
本発明においては、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性の向上などのため、親水性ポリマーを感光層に含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カ
ルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水性ポリマーの感光層への含有量は、感光層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(着色剤)
本発明では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層の全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
(焼き出し剤)
本発明の感光層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド
、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、感光層固形分に対して0.01〜15質量%の割合である。
(重合禁止剤)
本発明の感光層には、感光層の製造中または保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
(高級脂肪酸誘導体)
本発明の感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
(可塑剤)
本発明の感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
(無機微粒子)
本発明の感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
(親水性低分子化合物)
本発明の感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニル
ホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(感光層の形成)
本発明の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
塗布、乾燥後に得られる感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と感光層の良好な皮膜特
性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
[支持体]
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
アルミニウム支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および感光層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変るので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れも方法も行うことができる。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、本発明の支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号公報に記載の、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。この範囲内で、感光層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲内で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day
)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低
い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましく
は1.5≦A≦12(mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(m
L/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過
性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることである。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層の材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための
、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては加水分解度が71〜100モル%、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものをあげることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。好ましい態様としてはポリビニルアルコールの保護層中の含有率が20〜95質量%、より好ましくは、30〜90質量%である。
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としてはポリビニルピロリドンまたはその変性物が酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有率が3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ防止性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。上記ポリビニルアルコール(PVA)等の高分子化合物の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものが適当である。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を高分子化合物に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を高分子化合物に対して数質量%添加することができる。
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明におけ
る保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライ
ト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi310
)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)Mg2 Li(Si4 10)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトラ
イト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在し
ている陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+ 、Na+ の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明で使用する無機質の層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明で使用する無機質層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる
保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計の量が上記の質量比であることが好ましい。
次に、保護層に用いる無機質層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
この保護層塗布液には、上記無機質層状化合物の他に、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた感光層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲
であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
〔バックコート層〕
必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
本発明の平版印刷版の作製方法を以下に説明する。本発明の平版印刷版の作成方法は、主に平版印刷版原版を画像様に露光し、必要に応じて版全面を加熱した後、以下の製版工程を施すことから成る。(1)湿し水とインクを用いた印刷機上にて通常どおり印刷を行い印刷機上にて現像する、(2)pH2〜10の現像液により現像する。
〔露光〕
本発明の平版印刷版原版は、350〜1200nmに発振波長を有するレーザーで画像露光することが好ましい。
(1)レーザー光源として、赤外線レーザーを用いることができる。用いられる赤外線レーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーあるいは半導体レーザーが好適に挙げられる。赤外線レーザーの出力は、100mW以上であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。1画素あたりの露光時間は、20μ秒以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2 であるのが好ましい。
(2)また、レーザー光源としては、405nmあるいは830nmの半導体レーザー、FD−YAGレーザーなどが用いられる。近年、システムコスト、取扱性の観点から、405nmの半導体レーザーを搭載したCTPシステムが普及している。例えば、350nm〜450nmの範囲に発振波長を有する光源を搭載したインナードラム露光装置〔光源の出射する光ビームの光ビームスポット形状が、光ビームを常光線と異常光線とに等光量で平行に分割し、その2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並んでいる〕に上述の平版印刷版原版を載置した後、前記光ビームスポット形状の露光により画像記録を行うことが可能である。
本発明に使用する露光装置は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。また、マルチビーム露光方式で同時に画像を記録することにより、高精度な画像を高速に記録することができる。
また、本発明の平版印刷版原版の露光時においては、FMスクリーンにて画像記録を行うことができる。
〔加熱〕
本発明においては、画像様に露光された平版印刷版原版は、必要に応じ、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。
また、感光層の上に保護層を有する場合は、現像処理前に水洗処理を行うことも好ましい。
〔製版〕
本発明の平版印刷版原版は、上述のように半導体レーザーや固体レーザーにより画像様に露光し、必要により前述のように全面加熱した後、なんらの現像処理工程を経ることなく油性インキと水性成分とを供給して通常どおり印刷することができる。具体的には、平版印刷版原版をレーザーで露光し、必要に応じて版全面をオーブンにて加熱した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に装着して印刷する方法、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上においてレーザーで露光し、必要に応じて印刷機上において版全面を加熱した後、現像処理工程を経ることなく印刷する方法等が挙げられる。
例えば、ネガ型の機上現像型平版印刷版原版の一態様では、平版印刷版原版を赤外線レーザーで画像様に露光した後、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経ることなく水性成分と油性インキとを供給して印刷すると、感光層の露光部においては、露光により硬化した感光層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。一方、未露光部において
は、供給された水性成分および/または油性インキによって、未硬化の感光層が溶解しまたは分散して除去され、その部分に支持体表面が露出する。その結果、水性成分は露出した支持体表面に付着し、油性インキは露光領域の感光層に着肉し、印刷が開始される。ここで、最初に版面に供給されるのは、水性成分でもよく、油性インキでもよいが、水性成分が未露光部の感光層により汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給することが好ましい。水性成分および油性インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
また、本発明の平版印刷版の製版方法における別の態様では、上述のようにレーザーで画像様に露光し必要に応じて版全面を加熱した後に、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、非露光部の感光層を除去して平版印刷版を得ることもできる。
本発明において用いられる現像液は、例えば、水単独または水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知の湿し水と同様な組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。現像液のpHは、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜7である。
本発明に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アル
コールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
本発明においては、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、本発明の現像液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile
Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明の現像液に使用する界面活性剤としては、抑泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤が特に好適である。
界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。界面活性剤の現像液液中の含量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
また、本発明の現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量
%である。
また、本発明の現像液には、有機溶剤を含有しても良い。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)、ガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸
プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明の現像液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版原版の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
本発明におけるpH2〜10の水溶液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−22006
1号、特開昭60−59351号各公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することがで、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感光層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
上記現像液は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
なお、本発明においては、上記のように処理した平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜10及び比較例1〜3〕
<平版印刷版原版(1)〜(13)の作製>
(アルミニウム支持体1の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗し、20質量%硝酸水溶液で中和洗浄後、再び水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後、30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
このように処理されたアルミニウム板の裏面に、下記のバックコート塗布液をバーコーターで塗布し100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバックコート
層を設けた。
<バックコート塗布液>
・テトラエチルシリケート 50質量部
・水 20質量部
・メタノール 15質量部
・リン酸 0.05質量部
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(分子量2000) 4質量部
・ジメチルフタレート 5質量部
・フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/
ポリオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
・メタノールシリカゾル 50質量部
(日産化学工業(株)製、メタノール30質量%)
・メタノール 800質量部
(下層の形成)
上記のようにバックコート層を設けたアルミニウム支持体1の表面に、以下の組成を有する下層塗布液を乾燥塗布量が10mg/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて下層を形成した。
<下層塗布液>
・表1記載の親水性重合性化合物 1g
・表1記載の重合促進化合物 0.1g
・メタノール 1000g
(感光層の形成)
上記下層上に、下記組成の感光層塗布液(1)を乾燥塗布量が1.3g/mとなるように塗布し、100℃で1分乾燥させ感光層を形成した。
<感光層塗布液(1)>
・ラジカル重合性化合物 0.40g
イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
(東亜合成(株)製、アロニックスM−315)
・ラジカル重合性化合物 0.13g
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート
(日本化薬(株)製、SR9035、EO付加モル数15)
・下記バインダーポリマー(1) 0.54g
・下記重合開始剤(1) 0.18g
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記連鎖移動剤(1) 0.07g
・下記ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
<ε―フタロシアニン顔料の分散物>
顔料:15質量部、メタクリル酸/メタクリル酸アリル(20モル%/80モル%)共重合体:10質量部、シクロヘキサノン:15質量部、メトキシプロピルアセテート:2
0質量部、1−メトキシ−2−プロパノール:40質量部を混合後、ガラスビーズを添加してペイントシェーカーにより1時間分散して調製。
(保護層の形成)
上記感光層上に以下の組成を有する保護層塗布液(1)を乾燥塗布質量が0.5g/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して保護層を設けた。
<保護層塗布液(1)>
・下記雲母分散液(1) 13.00g
・ポリビニルアルコール(ケン化度:98モル%、重合度:500)
1.30g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル=1/1)(分子量:7万) 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133.00g
<雲母分散液(1)>
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散して調製。
(1)露光、現像および印刷
上記平版印刷版原版(1)〜(13)各々について、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、エネルギー密度を変えて画像様露光を行った。
その後、下記組成の現像液(1)を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し平版印刷版(加熱なし)を作成した。現像液のpHは4.6であった。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有し、1本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールで、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールで、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
現像液(1)
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル
(オキシエチレン平均数n=13) 1.00g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・アラビアガム 1.00g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
一方、レーザー画像様露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。その後、30
秒以内に、上記と同様の現像処理を実施し平版印刷版(加熱あり)を作成した。
次いで、平版印刷版(加熱なし)、平版印刷版(加熱あり)を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
(2)評価
現像性、感度、耐刷性、耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表1に示す。
<現像性>
上記現像条件において、平版印刷版原版の非画像部を完全に除去するために必要な搬送速度により現像性を相対評価した。即ち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは現像性が高いことを表している。
現像性=(対象平版印刷版原版の搬送速度)/(基準平版印刷版原版の搬送速度)×100
<感度>
上記のようにして100枚印刷を行って、非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られたことを確認した後、続けて500枚の印刷を行った。合計600枚目の印刷物において、画像部のインキ濃度にムラがない露光量を感度として相対評価した。即ち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは感度が高いことを表している。
感度=(基準平版印刷版原版の露光量)/(対象平版印刷版原版の露光量)×100
<耐刷性>
上述のようにして印刷枚数を増やしていくと、徐々に感光層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を相対評価した。即ち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版原版の印刷枚数)/(基準平版印刷版原版の印刷枚数)×100
<耐汚れ性>
印刷開始後500枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を相対評価した。即ち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、即ち耐汚れ性が良好であることを表す。
耐汚れ性=(基準平版印刷版原版の非画像部インキ濃度)/(対象平版印刷版原版の非画像部インキ濃度)×100
〔実施例11〜16〕
<平版印刷版原版(14)〜(19)の作製>
(下層の形成)
上記のようにバックコート層を設けたアルミニウム支持体1の表面に、以下の組成を有
する下層塗布液を乾燥塗布量が10mg/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて下層を形成した。
<下層塗布液>
・表2記載の親水性重合促進化合物 1g
・メタノール 1000g
(感光層の形成)
上記下層上に、上記感光層塗布液(1)を乾燥塗布量が1.3g/mとなるように塗布し、100℃で1分乾燥させ感光層を形成した。
(保護層の形成)
上記感光層上に上記保護層塗布液(1)を乾燥塗布質量が0.5g/m2となるように
塗布し、100℃で1分間乾燥して保護層を設けた。
得られた平版印刷版原版(14)〜(19)を実施例1と同様にして評価した。なお、評価の基準平版印刷版原版には、比較例1の平版印刷版原版を使用した。結果を表2に示す。
〔実施例17〜22及び比較例4〜5〕
<平版印刷版原版(20)〜(27)の作製>
(アルミニウム支持体2の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(JIS A1050)を、下記に示す工程(a)〜(k)をこの順序で実施して表面処理した。
(a)機械的粗面化処理
研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液(比重1.12)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
得られたアルミニウム板に温度70℃のカセイソーダ水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2 溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマットに用いた硝酸水溶液は、下記工程(d)における電解液の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8ms、DUTY比1:1、台形の矩形波を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%水溶液でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、工程(d)において生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分
を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。エッチング量は、3.5g/m2 であった。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。
デスマットに用いた硝酸水溶液は、工程(d)における電解液の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、井水を用いてス
プレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%水溶液でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、工程(g)において生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分
を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液として硫酸濃度170g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)を用い、温度43℃で陽極酸化処理を行った。電流密度は約30A/dm2 であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2 であった。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
アルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行うことにより、アルミニウム支持体を作製した。シリケート付着量はも3.6mg/m2 であった。
(下層の形成)
上記のように作製したアルミ支持体2の表面に、以下の組成を有する下層塗布液を乾燥塗布量が10mg/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて下層を形成した。
<下層塗布液>
・表3記載の親水性重合性化合物 1g
・表3記載の重合促進化合物 0.1g
・メタノール 1000g
(感光層の形成−1)
上記下層上に、下記組成の感光層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の感光層を形成し、平版印刷版原版(20)〜
(23)を得た。
<感光層塗布液(2)>
・下記バインダーポリマー(2) 0.50g
・重合性化合物 1.18g
イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
(新中村化学工業(株)製、NKエステルM−315)
・下記重合開始剤(2) 0.20g
・下記赤外線吸収剤(1) 0.05g
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.05g
・1−メトキシ−2−プロパノール 18.00g
(感光層の形成−2)
上記下層上に、下記組成の感光層塗布液(3)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成して平版印刷版用原版(24)
〜(27)を得た。
<感光層塗布液(3)>
・上記バインダーポリマー(2) 0.50g
・重合性化合物 1.15g
イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
(新中村化学工業(株)製、NKエステルM−315)
・上記重合開始剤(2) 0.20g
・上記赤外線吸収剤(1) 0.05g
・下記マイクロカプセル液(1) 2.00g
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.05g
・1−メトキシ−2−プロパノール 18.00g
(マイクロカプセル液(1))
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、下記の赤外線吸収剤(2)0.3
5g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。マイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
(1)露光および印刷
上記各平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。得られた露光済み平版印刷版原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
(2)評価
現像性、感度、耐刷性、耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表3に示す。
<現像性>
感光層の未露光部の印刷機上での現像が完了し、印刷用紙にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測し、比較例4を基準(100)として下記の式に基づき相対評価した。数値が大きい方が高現像性であり、性能が良好であることを示す。
現像性=(基準平版印刷版原版の機上現像枚数)/(対象平版印刷版原版の機上現像枚数)×100
<感度>
上記のようにして100枚印刷を行って、非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られたことを確認した後、続けて500枚の印刷を行った。合計600枚目の印刷物において、画像部のインキ濃度にムラがない露光量を感度として計測し、比較例4を基準(100)とし下記の式に基づき相対感度評価した。数値が大きい方が高感度であり、性能が良好であることを表す。
感度=(基準平版印刷版原版の感度/対象平版印刷版原版の感度)×100
<耐刷性>
上述のようにして、印刷枚数を増やしていくと、徐々に感光層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を相対評価した。即ち、比較例4を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版原版の印刷枚数)/(基準平版印刷版原版の印刷枚数)×100
<耐汚れ性>
印刷開始後500枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を相対評価した。即ち。比較例4を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、即ち耐汚れ性が良好であることを表す。
耐汚れ性=(基準平版印刷版原版の非画像部インキ濃度)/(対象平版印刷版原版の非画像部インキ濃度)×100
〔実施例23〜28(及び比較例6〜7〕
<平版印刷版原版(28)〜(35)の作製>
(下層の形成)
上記アルミ支持体2の表面に、以下の組成を有する下層塗布液を乾燥塗布量が10mg/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて下層を形成した。
<下層塗布液>
・表4記載の親水性重合促進化合物又は親水性重合性化合物 1g
・メタノール 1000g
(感光層の形成)
上記下層上に、下記感光層塗布液(4)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成した。感光層塗布液(4)は、下記感光液(1)およびマイクロカプセル液(2)を塗布直前に混合し攪拌することにより作成した。
<感光液(1)>
・上記バインダーポリマー(2) 0.162g
・上記重合開始剤(2) 0.160g
・下記重合開始剤(3) 0.180g
・下記赤外線吸収剤(3) 0.020g
・重合性化合物 0.385g
アロニックスM−215(東亜合成(株)製)
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.210g
マイクロカプセル液(2)
・下記の通り作成したマイクロカプセル(2) 2.640g
・水 2.425g
マイクロカプセル(2)の作成
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスSR−399(東亞合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油
脂(株)製) 0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−
205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモ
ジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。マイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
上記の感光層上に下記保護層塗布液(2)をバー塗布し、125℃75秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成して平版印刷版原版(28)〜(33
)を作製した。
保護層塗布液(2)
・ポリビニルアルコール(6質量%水溶液) 2.24g
((株)クラレ製PVA105、ケン化度:98.5モル%、重合度:500)
・ポリビニルピロリドン(K30) 0.0053g
・界面活性剤(1質量%水溶液)(花王(株)製エマレックス710)
2.15g
・鱗状合成雲母(3.4質量%水分散物) 3.75g
(UNICOO(株)製MEB3L、平均粒径1〜5μmΦ)
・蒸留水 10.60g
上記のように得られた各平版印刷版原版に対し、実施例17と同様にして評価を実施した。結果を表4に示す。
以上の結果から明らかなように、本発明の平版印刷版原版は高感度であり、簡易現像によっても現像性が良好で、高耐刷で耐汚れ性に優れた平版印刷版を提供することができる。
自動現像処理機の構造を示す説明図である。
符号の説明
61 回転ブラシロール
62 受けロール
63 搬送ロール
64 搬送ガイド板
65 スプレーパイプ
66 管路
67 フィルター
68 給版台
69 排版台
70 現像液タンク
71 循環ポンプ
72 版

Claims (11)

  1. 支持体上に、(1)(A-1)(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジカル
    重合性基を有する化合物及び(B)(d)ラジカル重合促進基を有する化合物を含有する
    層と(2)(C)ラジカル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル重合
    開始剤及び(F)350〜1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光層を
    この順に有する平版印刷版原版。
  2. 支持体上に、(1)(A−2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d)ラジカル重合促進基を有する化合物を含有する層と(2)(C)ラジカ
    ル重合性化合物、(D)バインダーポリマー、(E)ラジカル重合開始剤及び(F)350
    〜1200nmに吸収極大を有する増感色素を含有する感光層をこの順に設けてなる平版印刷版原版。
  3. 前記(d)ラジカル重合促進基が、3.8デバイ以上の双極子モーメントを有する官能基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記3.8デバイ以上の双極子モーメントを有する官能基が、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される官能基であることを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版原版。

    式中、X及びYは各々−C(R)(R)−、−C(R)=、−O−、−S−、−N(R
    )−又は−N=を表し、ZはO又はSを表し、ZはO又は孤立電子対を表し、Z
    は−C(R)(R)−、−C(R)=、−O−、−S−、−N(R)−又は−N=を表す。R〜Rは、各々独立して水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる置換基を表すか、もしくは任意の2つが互いに結合して環を形成してもよい。但し、R〜Rの少なくとも一つは水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる、化合物母核に連結する2価の連結基を表す。
  5. 前記(A-1)(a)親水性基、(b)支持体密着性基及び(c)ラジカル重合性基を有す
    る化合物が、高分子化合物であることを特徴とする請求項1、3及び4のいずれか1項に
    記載の平版印刷版原版。
  6. 前記(A-2)(a)親水性基、(b)支持体密着性基、(c)ラジカル重合性基及び(d
    )ラジカル重合促進基を有する化合物が、高分子化合物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記(D)バインダーポリマーが、0.3meq/g以下の酸価を有することを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項記載の平版印刷版原版。
  8. 前記感光層の上に、保護層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の平版印刷版原版。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、350〜1200nmの波長
    域に発振波長を有するレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pH2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
  10. 露光から現像までの間に、露光された平版印刷版原版を加熱処理することを特徴とする請求項9に記載の平版印刷版の作製方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、350〜1
    200nmの波長域に発振波長を有するレーザーで画像露光した後、又は、350〜1200nmの波長域に発振波長を有するレーザーで画像露光し、印刷機に装着した後、平版印刷版原版に、印刷インキと湿し水とを供給して、感光層のレーザー未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009094170A1 (en) * 2008-01-25 2009-07-30 Eastman Kodak Company Method of making images using fresh processing solution
EP2174979A1 (en) 2008-10-01 2010-04-14 Sony Corporation Resin composition and resin molded product
JP2011164434A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Jsr Corp 感放射線性樹脂組成物
JP2014041301A (ja) * 2012-08-23 2014-03-06 Fujifilm Corp 着色感放射線性組成物、これを用いたカラーフィルタ
CN105418509A (zh) * 2014-09-18 2016-03-23 中国石油天然气股份有限公司 咪唑基硫脲衍生物、缓蚀剂及其制备方法

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