JP2008256369A - 原子炉用制御棒 - Google Patents
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Abstract
【課題】沸騰水型原子炉に使用される原子炉用制御棒、特にハフニウムの所要量抑制および通水特性の向上等を図る。
【解決手段】中性子吸収要素を配置した挿入先端側から末端側までのうち、少なくとも挿入先端側から約半分の長さまでの領域に、タイロッド14から最も離れた中性子吸収要素17の端部側に中性子吸収材からなる端部側棒状スペーサ30を付加して内部に炉水流動空間を形成するとともに、端部側棒状スペーサの厚さを中性子吸収要素の外面位置よりもシース15側に向けて大きくすることにより、シースと中性子吸収要素との間にシース・吸収要素間通水間隙を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】中性子吸収要素を配置した挿入先端側から末端側までのうち、少なくとも挿入先端側から約半分の長さまでの領域に、タイロッド14から最も離れた中性子吸収要素17の端部側に中性子吸収材からなる端部側棒状スペーサ30を付加して内部に炉水流動空間を形成するとともに、端部側棒状スペーサの厚さを中性子吸収要素の外面位置よりもシース15側に向けて大きくすることにより、シースと中性子吸収要素との間にシース・吸収要素間通水間隙を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、沸騰水型原子炉に使用される原子炉用制御棒に係り、特にハフニウムの所要量抑制および通水特性の向上等を図った原子炉用制御棒に関するものである。
沸騰水型原子炉の原子炉用制御棒は原子炉を安全に停止する目的で使用される「停止用制御棒」と運転中の出力分布や原子炉の反応度を制御し、かつ原子炉停止に際しては停止に有効な反応度価値を有する多機能の「制御用制御棒」とに分類することができる。「停止用制御棒」に用いられている中性子吸収材は通常ボロンカーバイド(B4C)であり、通常は運転開始とともに炉心から引き抜かれ、運転終了時には炉心に挿入される。
一方、「制御用制御棒」に用いられる中性子吸収材は非常に大量の中性子照射を受けるため、中性子照射に伴う中性子吸収能力の減少割合が小さい長寿命型の中性子吸収材(核的に長寿命型の中性子吸収材)が用いられる。代表的な物質はハフニウム(Hf)金属である。制御用制御棒は運転中にも原子炉の中に挿入されている場合が多いため、前述のように非常に大量の中性子照射を受ける。このような条件下では中性子等の照射条件下で電気・水化学的にも非常に厳しい環境に晒される。ハフニウム自体、ステンレス鋼自体、ハフニウムとステンレス鋼との水化学的あるいは電気化学的な共存性、及び機械的な強度、地震時の健全性等多くの面で難問が待ち構えている。
沸騰水型原子炉の制御棒は断面が十字形をなしており、その中央に中央構造材(タイロッド)を有する構成のものと、制御棒挿抜方向(軸方向)に断片的にしか結合部材がない構成のものとがある。後者は中性子吸収材を収納するシースがない構造となっている。前者は深いU字状のシースがタイロッドに溶接され、内部に中性子吸収要素が収納される構造となっている。
「制御棒用制御棒」の中で中央構造材(タイロッド)を有する代表的な構成は、本願の発明者の開示になる[特許文献1、2、3、4]や、[非特許文献1、2]で詳細に説明されており、すでに実用化されている。この構成の制御棒は2枚のハフニウム板を通称「コマ」と呼ばれている支持材を用いて2枚のハフニウム板の間に水間隙を構成した構成の中性子吸収要素とされるとともに、厚さの薄いシースによって保持されている。中性子吸収要素は制御棒挿抜方向(軸方向)に多数(例えば4〜16)に分割され、多分割型制御棒と呼ばれており、一般に制御棒挿入先端側から末端側に向かってハフニウム板の厚さは薄くなるように設計されている。
図18、図19および図20はこのように構成された従来の代表的な制御棒の構成を示している。図18は、ハフニウム制御棒の要部構成図であり、図19は制御棒の一部を拡大して示す図であり、図20は図19のXIX断面図である。
これらの図に示すように、制御棒1は、ハンドル3を含む十字型の先端構造材4と、4枚の翼(ウイング)2と、末端構造材5とが、中央構造材(タイロッド)6に固着されて形成されている。下部構造材5には、結合部材異常分離時に制御棒が炉心から落下する際の速度を抑制する図示省略の速度制限部材(スピードリミッタ)が設けられている。
各ウイング2は、深いU字状の横断面を有するシース7の内部に2枚のハフニウム板8を保持部材(コマ)9で一体型とされた一体型中性子吸収要素が収納されて構成されている。シース7には規則的に通水孔が穿設されている。通常、通水孔は制御棒挿入方向(軸方向)と直角方向に2個ずつペアとなって軸方向に規則的に配列されている。なお、一部の通水孔はシース7とハフニウム板8とを貫通する「重複孔」となっている。
このように、従来の原子炉用制御棒ではハフニウムとステンレス鋼とは熱膨張係数が大幅に異なることに対応して、一体型中性子吸収要素は制御棒の挿抜方向に複数に分割され、コマ9の軸9aを通してシース7で保持されている。そして、コマ9のディスク9bによりハフニウム板8の位置決めがなされ、ハフニウム板8間に通水用のギャップ10が形成されている。
ところで、ハフニウム金属を用いた前述の「制御用制御棒」は隣接する燃料集合体相互間の狭い水間隙(Water gap)で挿抜されるため、制御棒の翼(ウイング)の厚さは通常8mm程度に限定され、翼はその外周が1mm厚前後の深いU字状に成形されたステンレス鋼製のシースの中に内部に炉水流動空間を有するハフニウム製の中性子吸収要素が収納されて構成されている。ハフニウムは比重が非常に大きく(13g/cc)、かつ高価であり、その使用量を抑制することが極めて重要である。
このような背景から従来では、中性子吸収要素の内部に炉水流動空間が導入された。この水間隙は[非特許文献1、2]に開示されているように、広いほど制御棒の反応度価値が高まるため、ハフニウム材料の節約効果が大きい。一方、ハフニウムの板厚が薄すぎると反応度価値や核的な寿命が小さくなるため、過度に薄くすることはできない。制御用制御棒は通常上半分(挿入方向から有効吸収材全長のほぼ半分)までは中性子照射量が非常に高く、下半分では比較的低い。この特徴を詳細に考慮して対処したものが[特許文献1〜4]で示されている[多分割型制御棒]である。このような構成によりハフニウムの量は最適化又は準最適化されている。
制御棒挿入先端側では限られた厚さの範囲でハフニウム板の厚さと水間隙(以下「HH間隙」あるいは「トラップ」という。)を確保しなければならないため、シースの厚さは可能な限り薄くし、かつシースとハフニウム板との間隙(以下「SH間隙」という。)も狭くすることが望まれる。このような場合、シースの強度やSH間隙の電気・水化学的な面で問題が生じる可能性がある。
「多分割型制御棒」では基本的に、制御棒挿脱方向に多数に分割されたそれぞれの中性子吸収要素の荷重は[特許文献1〜4]で示されているようにシースで保持されている。この構成では、シースとハフニウム板との間のSH間隙における通水の一様性確保が容易でなく、水化学的な面で問題が生じがちであることが理解されるようになった。
特開昭62−235595号公報
特開昭62−254098号公報
特開昭63−221289号公報
特開平4−6493号公報
発明協会発行 1987年2月20日発行 公開技報87−2561号
日本原子力学会 「昭62秋の大会」 D46(P232)「フラックストラップ型BWR用Hf制御棒の臨界実験」
Trans.Am.Nucl.Soc.,vol.55,p.616(1987),American Nuclear Society Winter Meeting,1987,Los Angels,M.Ueda,et al.:"Critical Experiment on a Flux-Trap-Type Hafnium Control Blade for BWR"
ハフニウム金属を用いた制御用制御棒は原子炉内で大量の中性子照射を受け、中性子等の照射条件下で電気・水化学的に厳しい環境に晒されるため、電気化学的または水化学的な共存性、機械的な強度、地震時の健全性等の面で解決すべき課題がある。また、ハフニウム金属は比重が大きく、かつ高価であり、使用量を抑制することが重要課題である。
一方、制御棒挿入先端側では限られた範囲でハフニウム板の厚さとHH間隙とを確保しなければならず、シースの厚さを薄くすること、シースとハフニウム板とのSH間隙を狭くすること等が望まれるが、この場合にはシースの強度やSH間隙の電気・水化学的な面で問題が生じる可能性がある。
また、従来の多分割型制御棒では、制御棒挿脱方向に多数に分割された中性子吸収要素の荷重がシースにより保持されているが、この構成ではシースとハフニウム板との間のSH間隙における通水の一様性確保が容易でなく、この点からも水化学的な面で問題が生じる可能性もある。
本発明はこのような事情のもとで、制御用制御棒が受ける中性子照射量は挿入方向から有効吸収材全長のほぼ半分まで中性子照射量が非常に高い一方で、下半分では比較的低いことに着目してなされたものであり、第1の目的は多分割型制御棒においてシースに荷重をかけないでタイロッドで荷重支持を行い、かつコマを省略して良好な通水特性を確保することができる原子炉用制御棒を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、制御棒の翼先端側の反応度価値を確保しながらハフニウムの所要量を抑制することができる原子炉用制御棒を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、中性子照射を受けてハフニウムが伸延(照射成長)した場合にも制御棒の健全性を確保することができる原子炉用制御棒を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明では、先端構造材と、末端構造材と、これらを連結する中央構造材であるタイロッドと、このタイロッドから放射状に突出し、外殻部が断面U字形のシースによって構成されたウイングと、前記シース内に互いに対向する配置で1対ずつ配置され前記タイロッドの軸方向で複数に分割されたハフニウムもしくはハフニウム合金製の中性子吸収要素とを備え、前記中性子吸収要素の荷重を前記タイロッドに設けられた支持腕を用いて支持するタイロッド支持方式の原子炉用制御棒であって、前記中性子吸収要素を配置した挿入先端側から末端側までのうち、少なくとも挿入先端側から約半分の長さまでの領域に、前記タイロッドから最も離れた前記中性子吸収要素の端部側に中性子吸収材からなる端部側棒状スペーサを付加して内部に炉水流動空間を形成するとともに、前記端部側棒状スペーサの厚さを前記中性子吸収要素の外面位置よりも前記シース側に向けて大きくすることにより、前記シースと前記中性子吸収要素との間にシース・吸収要素間通水間隙を形成した原子炉用制御棒を提供する。
また、互いに対向する中性子吸収要素のタイロッド側縁部にタイロッド側間隙保持部材を設け、このタイロッド側間隔保持部材の厚さを中性子吸収要素の外面位置よりもシース側に向けて大きくすることにより、シースと中性子吸収要素との間にシース・吸収要素間通水間隙を形成した原子炉用制御棒を提供する。
また、支持腕をタイロッドから各中性子吸収要素の制御棒挿脱方向略中間位置に向って突設し、この支持腕を吸収要素間に挿入してタイロッド側間隔保持部材に係合させることにより、中性子吸収要素の荷重をタイロッドに支持させる中性子吸収要素荷重支持手段を構成した原子炉用制御棒を提供する。
また、支持腕を制御棒挿抜方向と直交する方向に向けるとともに、この支持腕の先端部からタイロッド側間隙保持部材の位置よりも長い支持腕延長部を設けることにより、中性子吸収要素内部の破片その他の異物の移動を阻止する異物移動阻止手段を構成した原子炉用制御棒を提供する。
また、中性子吸収要素として、幅方向に分割した分割型中性子吸収要素を備え、隣接する中性子吸収要素の少なくとも1ケ所の間隙に吸収要素間間隔保持部材を装着して、挿抜方向と直角方向の有効吸収要素幅を機械的及び電気・水化学的に許容可能な範囲で拡幅した原子炉用制御棒を提供する。
また、中性子吸収材の肉厚が制御棒挿入先端側から末端側に向って次第に小厚に設定されている原子炉用制御棒を提供する。
また、端部側棒状スペーサを制御棒挿脱方向に沿って複数本配置するとともに、端部側棒状スペーサとシースの先端部との間に通水空間を形成し、各端部側棒状スペーサ間に、シース先端部の通水空間と、互いに対向する中性子吸収要素間の間隙とを連通する通水開口を形成した原子炉用制御棒を提供する。
また、支持腕がタイロッドから中性子吸収要素の制御棒挿脱方向略中央部側に向って1本または制御棒挿脱方向に間隔をあけて複数本突出し、支持腕とタイロッド側間隔保持部材とは1箇所または複数箇所で係合する構成とされている原子炉用制御棒を提供する。
本発明によれば、タイロッドに設けた支持腕によりタイロッド側間隔保持部材を介して中性子吸収要素を支持する構成であるため、シースに荷重をかけないでタイロッドで荷重支持を行ことができるとともに、この構成により対向する中性子吸収要素間の間隙保持を行え、従来設けられていたコマが不要となることから、良好な通水特性を確保することができる。
また、制御棒における燃料集合体側に近い部位、すなわちタイロッドから最も離れた中性子吸収要素の翼端部側に中性子吸収材製の端部側棒状スペーサを設けたことにより、制御棒の反応度価値を確保しながら、中性子吸収要素であるハフニウムの所要量を抑制することができる。
さらに、タイロッドに設けた支持腕により中性子吸収要素を支持する構成としたので、中性子照射を受けてハフニウムが伸延(照射成長)した場合にも制御棒の健全性を確保することができ、また電気・水化学的な腐食の可能性を十分抑制することができる。したがって、反応度価値を確保しつつハフニウムの所要量を抑制し、長期間使用した場合に生じる照射成長に対しても十分な健全性を確保することができる長寿命型の原子炉用制御棒が得られる。
さらにまた、上記構成により挿入先端側から末端側までのうち、少なくとも挿入先端側から約半分の長さまでの領域に、効果的な制御棒翼端に多くのハフニウム材が配置されることになり、ハフニウムの所要量を抑制しながら効果的な反応度価値が達成されるのみでなく、ハフニウム板とシース内面との間に積極的に通水間隙が形成されていることから、電気・水化学的特性が向上し、この点からも制御棒の健全性向上が図れる。また、中性子吸収要素の荷重はシースではなく中央構造材で支持されるため、通水間隙を積極的に確保するだけでなく、十分な強度及び万一の破損時でも、破損部品の異常移動が抑制され、制御棒の健全性を向上することができる。
以下、本発明に係る原子炉用制御棒の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態(図1−図11)]
図1は本発明の第1実施形態による原子炉用制御棒の全体構成を概略的に示す説明図である。図1に示すように、原子炉用制御棒11は縦長棒状で全体が横断面十文字形をなしており、炉心への挿入先端側となる上端部に先端構造材12を有し、挿入末端側となる下端部に末端構造材13を有している。先端構造材12と末端構造材13との間には、これらを連結する中央構造材であるタイロッド14が連結されている。タイロッド14の軸直角方向に放射状に突出する各翼部には外殻部が横断面U字形をなすシース15がそれぞれ接合されており、これにより横断面十文字型のウイング16が構成されている。各シース15内にはハフニウムもしくはハフニウム合金からなる複数の中性子吸収要素(以下、「ハフニウム板」という。)17が収容されており、これらのハフニウム板17は互いに対向する配置で1対ずつ、タイロッド14の軸方向(図1の上下方向)に沿って複数組(例えば計8組)に分割配置されている。
図1は本発明の第1実施形態による原子炉用制御棒の全体構成を概略的に示す説明図である。図1に示すように、原子炉用制御棒11は縦長棒状で全体が横断面十文字形をなしており、炉心への挿入先端側となる上端部に先端構造材12を有し、挿入末端側となる下端部に末端構造材13を有している。先端構造材12と末端構造材13との間には、これらを連結する中央構造材であるタイロッド14が連結されている。タイロッド14の軸直角方向に放射状に突出する各翼部には外殻部が横断面U字形をなすシース15がそれぞれ接合されており、これにより横断面十文字型のウイング16が構成されている。各シース15内にはハフニウムもしくはハフニウム合金からなる複数の中性子吸収要素(以下、「ハフニウム板」という。)17が収容されており、これらのハフニウム板17は互いに対向する配置で1対ずつ、タイロッド14の軸方向(図1の上下方向)に沿って複数組(例えば計8組)に分割配置されている。
この8組のハフニウム板17のうち、先端構造材12側から末端構造材13までの制御棒挿脱方向長さの範囲における挿入側(上側)の4組のハフニウム板17がタイロッド14に支持腕18およびタイロッド側間隔保持部材19を介して荷重支持されている。一方、先端構造材12側から末端構造材13までの制御棒挿脱方向長さの範囲における下側の4組のハフニウム板17、すなわち末端構造材13側の約半分の範囲に配置された各ハフニウム板17は、図18ないし図20に示した従来構造と同様に、シース15にコマ9を介して支持された構成となっている。なお、本実施形態では図7にのみ通水孔を図示し、それ以外の図では通水孔の図示を省略している。
図2は、図1に示した原子炉用制御棒11のうち、挿入側に配置されたハフニウム板17を拡大して示す説明図である。
図2に示すように、ハフニウム板17は縦長な長方形状をなしており、このハフニウム板17がタイロッド14の側縁側から突出する翼部先端縁側に対向配置されている。なお、図2においては対向する1対のハフニウム板17のうち、手前側に配置される一方のハフニウム板を省略している。ハフニウム板17には、これら1対のハフニウム板17の対向面間に炉水流動空間(HH間隙)を形成する手段として、複数のタイロッド側間隔保持部材20(20a〜20d)と端部側棒状スペーサ30(30a〜30d)とが設けられている。
タイロッド側間隔保持部材20はハフニウム金属からなる短寸の縦長棒状のものであり、ハフニウム板17のタイロッド側縁部17aに上下間隔をあけて複数配置されている。図示の例では、タイロッド側間隔保持部材20が4体配置されている。このうち、ハフニウム板17の上,下端部近傍にそれぞれ配置された上端側タイロッド側間隔保持部材20aおよび下端側タイロッド側間隔保持部材20bは、ハフニウム板17の上下端部からの離間距離がほぼ同等となる対称配置とされている。これら上端側タイロッド側間隔保持部材20aおよび下端側タイロッド側間隔保持部材20bは、同寸かつ同形のものとされ、縦方向長さおよび肉厚等が同等である。なお、これらの上端側タイロッド側間隔保持部材20aおよび下端側タイロッド側間隔保持部材20bの形状および取付け構成等については、図3−図9を参照して後に説明する。
また、ハフニウム板17の制御棒挿脱方向に沿う略中央位置には上下方向に一定の間隔をあけて上下1対のタイロッド側間隔保持部材、すなわち中央上部タイロッド側間隔保持部材20cと中央下部タイロッド側間隔保持部材20dとが配置されている。これらの中央上部タイロッド側間隔保持部材20cおよび中央下部タイロッド側間隔保持部材20dは、上述した上端側タイロッド側間隔保持部材20aおよび下端側タイロッド側間隔保持部材20bよりも横方向厚さが大きい構成となっている。また、これらの中央上部タイロッド側間隔保持部材20cおよび中央下部タイロッド側間隔保持部材20dは相互に、同寸かつ同形のものとされ、縦方向長さおよび肉厚等が同等である。なお、これらの中央上部タイロッド側間隔保持部材20cおよび中央下部タイロッド側間隔保持部材20dの形状および取付け構成等についても、図3−図9を参照して後に説明する。
一方、端部側棒状スペーサ30はハフニウム板17のタイロッド側から最も離れた端部側(ハフニウム板17の先端側縁部17b)に配置されている。端部側棒状スペーサ30はハフニウム金属製であり、上記のタイロッド側間隔保持部材20a〜20dに比べて長尺な縦長棒状のものとして構成されている。本実施形態では、1対のハフニウム板17に対して例えば4本の端部側棒状スペーサ30a,30b,30c,30dが縦方向に沿って相互に接近し、それぞれの端部間に狭い間隔を開けて上下1列に並んだ状態の配置構成とされている。これら端部側棒状スペーサ30a,30b,30c,30dの形状および取付け構成等についても、図3−図9を参照して後に説明する。
さらに、タイロッド14には、中性子吸収要素としてのハフニウム板17の荷重をこのタイロッド14により支持するための支持腕(ステイ)40が設けられている。この支持腕40はステンレス鋼により構成してあり、図2に示したように例えば縦長な柱状板部40aの一側縁部から3本の平行な横向きの腕部40b、40c、40dを上下に離間配置で一体に突設した、略E字形をなすものである。この支持腕40は図1にも示したように、ハフニウム板17を配置した挿入先端側から末端側までのうち、挿入先端側から約半分の長さまでの領域において、各ハフニウム板17の挿脱方向中央位置に対応する配置で1体ずつ設けられている。
そして、支持腕40の縦長な柱状板部40aが、タイロッド14の翼端部に形成された縦長な溝49内に嵌合されて溶接固定してあり、3本の腕部40b,40c,40dのうち中央部の腕部40cが上下幅寸法の大きい支持腕部として、上述した中央上部タイロッド側間隔保持部材20cと中央下部タイロッド側間隔保持部材20dとの間に微小間隙をあけて挿入されている。また、中央部の腕部40cの上下に配置された腕部40b,40dは中央部の腕部40cよりも上下幅寸法が小さく設定してあり、これらの腕部40b,40dはそれぞれ中央上部タイロッド側間隔保持部材20cの上面と中央下部タイロッド側間隔保持部材20dの下面とに隙間をあけて対向する配置となっている。これらの隙間は、上述の中央上部タイロッド側間隔保持部材20cおよび中央下部タイロッド側間隔保持部材20dとの間の間隙よりも広く設定されている。そして、これらの腕部40b,40dの先端部には、それぞれ中央上部タイロッド側間隔保持部材20cおよび中央下部タイロッド側間隔保持部材20dの位置よりも長い支持腕延長部40e,40fが一体に設けられている。
次に、図3〜図9も参照して、上述した上端側タイロッド側間隔保持部材20a、下端側タイロッド側間隔保持部材20b、中央上部タイロッド側間隔保持部材20c、中央下部タイロッド側間隔保持部材20d、端部側棒状スペーサ30a,30b,30c,30dおよび支持腕40の形状および取付け構成等について詳細に説明する。
図3は図2のA−A線に沿う拡大断面であり、図4は図2のB−B線に沿う拡大断面図であり、図5は図2のC−C線に沿う拡大断面図であり、図6は図2のD−D線に沿う拡大断面図である。図7(a)〜(c)はハフニウム板17の切欠部等を含む輪郭形状を示す説明図であり、図8および図9は寸法等を示す説明図である。
まず、図3により、タイロッド14、シース15、1対のハフニウム板17、上端側タイロッド側間隔保持部材20aおよび最上部の端部側棒状スペーサ30aの断面形状を説明する。図3に示すように、タイロッド14の翼端部両側面には先細状の段部14aが形成されており、この段部14aの両外面にシース15の平行な基端部がそれぞれ被着され、これらシース15の基端部が溶接部21によりタイロッド14に固定されている。
シース15内には1対のハフニウム板17,17が対向配置してあり、これらハフニウム板17,17のタイロッド側縁部17aには、中性子吸収材であるハフニウム金属からなる上端側タイロッド側間隔保持部材20aの一部がハフニウム板17,17の間に挿入された状態で組立てられ、溶接部21bにより固定されている。すなわち、上端側タイロッド側間隔保持部材20aは図2および図3に示すように、厚肉部22aと薄肉部22bとを有する一体構成部材となっており、この薄肉部23aがハフニウム板17,17間に挿入されている。これによりタイロッド側縁部17aのハフニウム板17,17間に水間隙25が形成されている。
また、互いに対向するハフニウム板17,17間のタイロッド側縁部17a形成された切欠部23に、上端側タイロッド側間隔保持部材20aの厚肉部22aが当接状態で設けられている(なお、切欠部23の形状は図7(a)に示されている)。そして、この上端側タイロッド側間隔保持部材20aの厚肉部22aの厚さをハフニウム板17,17の外面位置よりもシース15側に向けて大きくすることにより、タイロッド側縁部17aにおけるシース15とハフニウム板17,17との間にシース・吸収要素間通水間隙24,24が形成されている。
一方、タイロッド14から最も離れたハフニウム板17,17の端部側(ハフニウム板17の先端側縁部17b)には、中性子吸収材であるハフニウム金属からなる端部側棒状スペーサ30aが付加されている。この端部側棒状スペーサ30aも図2および図3に示すように、厚肉部31aと薄肉部31bとを有する一体構成部材となっており、この薄肉部31bがハフニウム板17,17間に挿入されている。これによりハフニウム板17の先端側縁部17bにおけるハフニウム板17,17間に内部に炉水流動空間としての水間隙25が形成されている。
また、互いに対向するハフニウム板17,17間の先端側縁部17bに、端部側棒状スペーサ30aの厚肉部31aが当接状態で設けられている。そして、この端部側棒状スペーサ30aの厚肉部31aの厚さをハフニウム板17,17の外面位置よりもシース15側に向けて大きくすることにより、先端側縁部17bにおけるシース15とハフニウム板17,17との間にシース・吸収要素間通水間隙24,24が形成されている。さらに、端部側棒状スペーサとシース先端部との間に通水空間26が形成されている。
次に、図4は図2のC−C線に沿う拡大断面図であり、この図4には上から2番目の端部側棒状スペーサ30bおよび支持腕18の上部横断面形状が示されている。この図4に示すように、支持腕18の柱状板部40aは肉厚が大きい厚板状をなしており、この柱状板部40aがタイロッド14の49に挿入固定されている。柱状板部40aから一体に突出する上部の腕部40bは、図3に示した上端側タイロッド側間隔保持部材20aの薄肉部22bと同一肉厚であり、この腕部40bがハフニウム板17,17間に挿入されている。これによりタイロッド側縁部17aのハフニウム板17,17間に水間隙25が形成されている。
また、支持腕18の腕部40bの先端部からタイロッド側間隙保持部材20の位置よりも長い支持腕延長部40eが設けられている。この支持腕延長部40eはハフニウム板17,17間の間隙より薄肉に形成され、水間隙25を狭めた状態で配置されている。これにより、中性子吸収要素内部の破片その他の異物の移動を阻止する異物移動阻止手段が構成されている。
図5は図2のC−C線に沿う拡大断面図であり、支持腕18の中央部の腕部40cを示している。この腕部40cは図4に示した上部の腕部40bと同一肉厚を有している。ただし、図2に示したように、この腕部40cは上下幅が広く、上下方向荷重に対する強度が大きい構成となっている。
また、この図5の右側部に示すシース15のよく端部においては、図2にも示したように、上下配置の端部側棒状スペーサ30の間隙部となっている。これにより、端部側棒状スペーサ30とシース15の先端部との間に通水開口27が形成されている。したがって、各端部側棒状スペーサ30間には、シース先端部の通水空間である水間隙26と、互いに対向するハフニウム板17間の間隙とを連通する通水開口27とが形成され、炉水流動が確保できる構成となっている。
図6は図2のD−D線に沿う拡大断面図であり、中央下部タイロッド側間隔保持部材20dの横断面形状が示されている。この中央下部タイロッド側間隔保持部材20dは図2にも示したように、上部側タイロッド側間隔保持部材20aよりも制御棒挿脱方向と直交する方向(シース15の長さ方向)に沿う肉厚が大きい。この点は中央上部タイロッド側間隔保持部材20cと同様である。すなわち、これら中央下部タイロッド側間隔保持部材20dと中央上部タイロッド側間隔保持部材20cとも、上下方向荷重に対する強度が大きい構成となっている。
図7(a),(b),(c)は、ハフニウム板17の形状および支持腕18の構成を具体的に示したものである。これらの図に示すように、ハフニウム板17には、タイロッド側間隔保持部材20a,20c,20d等が嵌合配置される部位に端部側から一段低い四角形状の切欠からなる複数の切欠部23が形成されている。これにより、各タイロッド側間隔保持部材20a,20c,20dはそれぞれ各切欠部23に嵌合状態で保持されることにより、上下方向への移動を阻止される。
図8には、支持腕18の腕部40b,40c,40dと、これらの間に配置される中央タイロッド側間隔保持部材20c,20dとの間隙寸法を示している。支持腕18の腕部40cとこれを上下方向から挟む中央タイロッド側間隔保持部材20c,20dとの間隙g1は僅少となっており、支持腕18の腕部40b,40dに対する中央タイロッド側間隔保持部材20c,20dとの間隙g2は、g1より大きくなっている。
したがって、原子炉運転時における中性子照射による膨張時には支持腕18の腕部40cとこれを上下方向から挟む中央タイロッド側間隔保持部材20c,20dとが接近することになる。すなわち、支持腕18をタイロッド14から各ハフニウム板17の制御棒挿脱方向略中間位置に向って突設していることにより、この支持腕18を吸収要素間である各ハフニウム板17に挿入してタイロッド側間隔保持部材に係合させることになる。そして、これによりハフニウム板17の荷重をタイロッド14に支持させることができる。
なお、吸収要素の翼端側には棒状の吸収材(棒状吸収材、外側角棒とも略称する)がその長さの中央付近においてハフニウム板に点溶接などで固着されている。棒状の吸収材の長さは制御棒の剛性、照射成長特性、通水特性などを考慮して決められるが、通常10cm程度の長さ、かつ制御棒挿脱方向の棒間間隙は10mm程度とする。棒状の吸収材の溶接位置は照射成長特性が棒状と板状で異なる点を配慮して決められて入る。棒状吸収材は水間隙(HH間隙)を保持し、更にシースとハフニウム板との間隙(SH間隙)を所定の値(0.2ないし0.6mm程度)に保持するように形成されている。この間隙が広いと反応度価値の低下が著しく、狭すぎると通水特性が悪化し、電気・水化学的に問題を生じる可能性が高いことから、このような値を設定する。
図9は照射膨張等に関する説明図である。図9では中性子吸収要素であるハフニウム板17の厚さを「W」で示し、SH間隙を 「δ」 で示している。翼端に塊となっている棒状吸収材を配置する理由は、後述の図3から分かるように、この場所が特に中性子束が高く、中性子照射量が高く、反応度価値が高い位置であり、最も効果的に中性子吸収材のハフニウムを活用するためである。ハフニウムは板と棒とで結晶の方向が異なるため中性子照射による「照射成長」の割合が異なる。したがって、棒状吸収材は例えば10cm程度に短尺化され、かつその一部分(例えば中央付近)に限定してハフニウム板に固着される。対向する2枚のハフニウム板は基本的に同様の条件で製作されるため、照射成長の割合は殆ど等しい。なお、d部には衝撃荷重はかからないため溶接点に特別の配慮は必要無い。
また、翼内部の水平方向に複数に分割された中性子吸収要素が配置された制御棒において、隣接する中性子吸収要素の少なくとも1ケ所の間隙に『吸収要素間間隔保持部材』を装着して、挿抜方向と直角方向の有効吸収要素幅を機械的及び電気・水化学的に許容可能な範囲で拡幅している。
この構成によれば、中性子吸収要素の挿抜方向と直角方向の有効幅が拡大されるので、制御棒の反応度価値がハフニウムの量を増加させること無く向上させることができる。即ち、反応度価値をハフニウム所要量を低減させても維持することができ、重量が大きく高価なハフニウムを節約することができる。この保持部材の翼厚さ方向寸法を中性子吸収要素の厚さより大きくすることによってシースと中性子吸収要素との間に通水間隙を確保するのは他の構成の場合と同様である。
図10は本実施形態において適用される中性子吸収材、すなわちハフニウム板17の厚さ変化を示す説明図である。すなわち、本実施形態では、ハフニウム板17の肉厚が制御棒挿入先端側から末端側に向って次第に小厚に設定されている。一例として、最も挿入先端側(上2段)に配置されるハフニウム板17a,17bの肉厚が最大とされ、以下2段ごとに末端側(下側)に向って2段ずつのハフニウム板17c,17d、ハフニウム板17e,17fおよびハフニウム板17g,17hの肉厚が、次第に小厚となっている。
これにより、挿入先端側では中性子吸収材厚さが大であることから、反動度価値(中性子吸収能力)が高く、末端側では中性子吸収材厚さが小であることから、反動度価値が次第に低くなっている。
このように、中性子吸収材の厚さは挿入末端側で薄くなっており、しなやかに曲がりやすくなっている。そして、中性子照射量が少なく、電気・水化学的にも特に問題を起こす可能性も低いことが次第に明らかになってきている。このため、本実施例では挿入末端側は従来通りとして示した。
図11、図12は、軽水型の臨界実験装置(NCA)を用いて得られた「制御棒挿抜方向と直角方向の翼表面の銅箔放射化率分布」を示している。 (a)は実験炉心の横断面における測定位置を説明した図、(b)は得られた結果である。
銅の放射化分布はほぼ低速中性子束(主として熱中性子束)の分布に比例し、反応度価値の分布にもおおよそ比例する。実験炉心は沸騰水型原子炉(BWR)の8×8型燃料集合体を模擬した4体の燃料集合体相互間の中心に、長さ方向を適切に切断した実機の十字型制御棒を装荷したもので、炉心が臨界になるように外周に燃料棒を対称に配置している。薄いアクリル板にテープ状の銅箔を張り付け、制御棒表面に密着するように設定して炉心を臨界にして中性子照射を行い、照射後炉心から取り出して短く切断し、誘導放射能のベータ線をプラスティックシンチレータを用いて測定した。この図から分かるように、制御棒翼の側端約15mmの範囲で急激な中性子束(従って反応度価値)の盛り上りがあり、タイロッド近傍でも若干の盛り上がりがあり、その他の場所では比較的平坦になっている。従って、第1実施例の場合のように、翼側端にハフニウムをまとめて配置すると効果的に反応度価値が高まり、そして核的寿命を大きくすることができることが理解できる。
本実施形態によれば、タイロッド14に設けた支持腕18によりタイロッド側間隔保持部材を介して中性子吸収要素を支持する構成であるため、シース13に荷重をかけないでタイロッド14で荷重支持を行ことができるとともに、この構成により対向する中性子吸収要素間の間隙保持を行え、従来設けられていたコマが不要となることから、良好な通水特性を確保することができる。
また、制御棒における燃料集合体側に近い部位、すなわちタイロッド14から最も離れた中性子吸収要素の翼端部側に中性子吸収材製の端部側棒状スペーサを設けたことにより、制御棒の反応度価値を確保しながら、中性子吸収要素であるハフニウムの所要量を抑制することができる。
さらに、タイロッド14に設けた支持腕18により中性子吸収要素を支持する構成としたので、中性子照射を受けてハフニウムが伸延(照射成長)した場合にも制御棒の健全性を確保することができ、また電気・水化学的な腐食の可能性を十分抑制することができる。したがって、反応度価値を確保しつつハフニウムの所要量を抑制し、長期間使用した場合に生じる照射成長に対しても十分な健全性を確保することができる長寿命型の原子炉用制御棒が得られる。
さらにまた、上記構成により挿入先端側から末端側までのうち、少なくとも挿入先端側から約半分の長さまでの領域に、効果的な制御棒翼端に多くのハフニウム材が配置されることになり、ハフニウムの所要量を抑制しながら効果的な反応度価値が達成されるのみでなく、ハフニウム板17とシース15内面との間に積極的に通水間隙が形成されていることから、電気・水化学的特性が向上し、この点からも制御棒の健全性向上が図れる。また、中性子吸収要素の荷重はシースではなく中央構造材で支持されるため、通水間隙を積極的に確保するだけでなく、十分な強度及び万一の破損時でも、破損部品の異常移動が抑制され、制御棒の健全性を向上することができる。
なお、本実施形態において、棒状の吸収材の長さは制御棒の剛性、照射成長特性、通水特性などを考慮して決められるが、通常10cm程度の長さ、かつ制御棒挿脱方向の棒間間隙は10mm程度として問題ない。棒状の吸収材の溶接位置は照射成長特性が棒状と板状で異なる点を配慮して決められて入る。棒状吸収材は水間隙(HH間隙)を保持し、更にシースとハフニウム板との間隙(SH間隙)を所定の値(0.2ないし0.6mm程度)に保持するように形成されている。この間隙が広いと反応度価値の低下が著しく、狭すぎると通水特性が悪化し、電気・水化学的に問題を生じる可能性が高いことから、このような値を設定する。
[第2実施形態(図13)]
図13(a),(b)は本発明の第2実施形態による原子炉用制御棒の全体構成を概略的に示す説明図である。
図13(a),(b)は本発明の第2実施形態による原子炉用制御棒の全体構成を概略的に示す説明図である。
この実施形態では、「中央構造材支持方式」を用いた本発明において、前記第1実施形態と異なる点は、中性子吸収要素であるハフニウム板が挿抜方向と直交方向(水平方向)に2分割されている(17a,17b).
そして、両ハフニウム板17a,17bの間に吸収要素間間隙保持部材が介在している。すなわち、中性子吸収要素として、幅方向に分割した分割型中性子吸収要素であるハフニウム板17a,17bを備え、隣接する中性子吸収要素の少なくとも1ケ所の間隙に吸収要素間間隔保持部材を装着して、挿抜方向と直角方向の有効吸収要素幅を機械的及び電気・水化学的に許容可能な範囲で拡幅した構成となっている。
そして、両ハフニウム板17a,17bの間に吸収要素間間隙保持部材が介在している。すなわち、中性子吸収要素として、幅方向に分割した分割型中性子吸収要素であるハフニウム板17a,17bを備え、隣接する中性子吸収要素の少なくとも1ケ所の間隙に吸収要素間間隔保持部材を装着して、挿抜方向と直角方向の有効吸収要素幅を機械的及び電気・水化学的に許容可能な範囲で拡幅した構成となっている。
2本の吸収要素の間には例えば2〜3mm程度の間隔を保持するため、吸収要素間間隙を保持する機能も供えた要素間間隙保持部材が少数個配置されている。これによって2本の吸収要素は機械的及び電気・水化学的に許容できる範囲で、2本の吸収要素の両端間(幅)を大きくされている。この事により図から理解できるように、中性子束、したがって反応度価値の低い場所の吸収材を実質的に反応度の高い場所へ移動させることができるとともに翼幅が広がるため、限られた吸収材の量で反応度価値を高めることができる。
[他の実施形態(図14−図17)]
図14には、他の実施形態として、支持腕18がステイ2本(40b、40d)、間隔保持部材20が1個の例を示している。
図14には、他の実施形態として、支持腕18がステイ2本(40b、40d)、間隔保持部材20が1個の例を示している。
図15には、ステイが1本(40c)、間隔保持部材20が2個の例を示している。
図16には、ステイが2本(40b、40d)、、間隔保持部材20が2個の例を示している。
図17には、ステイが1本(40c)、円形の間隔保持部材20が2個の例を示している。
このように、本実施形態では種々の変更が可能である。
11 原子炉用制御棒
12 先端構造材
13 末端構造材
14 タイロッド
15 シース
16 ウイング
17 中性子吸収要素(ハフニウム板)
18 支持腕
19タイロッド側間隔保持部材
20(20a〜20d) タイロッド側間隔保持部材
30(30a〜30d) 端部側棒状スペーサ
40b、40c、40d 腕部
12 先端構造材
13 末端構造材
14 タイロッド
15 シース
16 ウイング
17 中性子吸収要素(ハフニウム板)
18 支持腕
19タイロッド側間隔保持部材
20(20a〜20d) タイロッド側間隔保持部材
30(30a〜30d) 端部側棒状スペーサ
40b、40c、40d 腕部
Claims (8)
- 先端構造材と、末端構造材と、これらを連結する中央構造材であるタイロッドと、このタイロッドから放射状に突出し、外殻部が断面U字形のシースによって構成されたウイングと、前記シース内に互いに対向する配置で1対ずつ配置され前記タイロッドの軸方向で複数に分割されたハフニウムもしくはハフニウム合金製の中性子吸収要素とを備え、前記中性子吸収要素の荷重を前記タイロッドに設けられた支持腕を用いて支持するタイロッド支持方式の原子炉用制御棒であって、前記中性子吸収要素を配置した挿入先端側から末端側までのうち、少なくとも挿入先端側から約半分の長さまでの領域に、前記タイロッドから最も離れた前記中性子吸収要素の端部側に中性子吸収材からなる端部側棒状スペーサを付加して内部に炉水流動空間を形成するとともに、前記端部側棒状スペーサの厚さを前記中性子吸収要素の外面位置よりも前記シース側に向けて大きくすることにより、前記シースと前記中性子吸収要素との間にシース・吸収要素間通水間隙を形成したことを特徴とする原子炉用制御棒。
- 互いに対向する前記中性子吸収要素のタイロッド側縁部にタイロッド側間隙保持部材を設け、このタイロッド側間隔保持部材の厚さを前記中性子吸収要素の外面位置よりも前記シース側に向けて大きくすることにより、前記シースと前記中性子吸収要素との間にシース・吸収要素間通水間隙を形成した請求項1記載の原子炉用制御棒。
- 前記支持腕を前記タイロッドから前記各中性子吸収要素の制御棒挿脱方向略中間位置に向って突設し、この支持腕を前記吸収要素間に挿入して前記タイロッド側間隔保持部材に係合させることにより、前記中性子吸収要素の荷重を前記タイロッドに支持させる中性子吸収要素荷重支持手段を構成した請求項1記載の原子炉用制御棒。
- 前記支持腕を制御棒挿抜方向と直交する方向に向けるとともに、この支持腕の先端部から前記タイロッド側間隙保持部材の位置よりも長い支持腕延長部を設けることにより、前記中性子吸収要素内部の破片その他の異物の移動を阻止する異物移動阻止手段を構成した請求項1記載の原子炉用制御棒。
- 前記中性子吸収要素として、幅方向に分割した分割型中性子吸収要素を備え、隣接する中性子吸収要素の少なくとも1ケ所の間隙に吸収要素間間隔保持部材を装着して、挿抜方向と直角方向の有効吸収要素幅を機械的及び電気・水化学的に許容可能な範囲で拡幅した請求項1記載の原子炉用制御棒。
- 前記中性子吸収材の肉厚は制御棒挿入先端側から末端側に向って次第に小厚に設定されている請求項1記載の原子炉用制御棒。
- 前記端部側棒状スペーサを制御棒挿脱方向に沿って複数本配置するとともに、前記端部側棒状スペーサと前記シースの先端部との間に通水空間を形成し、前記各端部側棒状スペーサ間に、前記シース先端部の通水空間と、互いに対向する前記中性子吸収要素間の間隙とを連通する通水開口を形成した請求項1記載の原子炉用制御棒。
- 前記支持腕は前記タイロッドから前記中性子吸収要素の制御棒挿脱方向略中央部側に向って1本または制御棒挿脱方向に間隔をあけて複数本突出し、前記支持腕と前記タイロッド側間隔保持部材とは1箇所または複数箇所で係合する構成とされている請求項1記載の原子炉用制御棒。
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Cited By (2)
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JP2010243331A (ja) * | 2009-04-06 | 2010-10-28 | Toshiba Corp | 原子炉用制御棒 |
JP2010256094A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Toshiba Corp | 原子炉用制御棒 |
-
2007
- 2007-03-30 JP JP2007095379A patent/JP2008256369A/ja active Pending
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