JP2008255528A - スパンボンド不織布 - Google Patents

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JP2008255528A JP2007100360A JP2007100360A JP2008255528A JP 2008255528 A JP2008255528 A JP 2008255528A JP 2007100360 A JP2007100360 A JP 2007100360A JP 2007100360 A JP2007100360 A JP 2007100360A JP 2008255528 A JP2008255528 A JP 2008255528A
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Katsunori Suzuki
克昇 鈴木
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Abstract

【課題】不織布にて覆った場合であっても、内容物を確認できる程度の透明性を有するスパンボンド不織布を提供する。
【解決手段】 スパンボンド不織布において、構成繊維がエチレンテレフタレート系重合体によって構成されるスパンボンド不織布であり、エチレンテレフタレート系重合体は、酸化チタンを含有せず、タルクを含有している。前記スパンボンド不織布が、エチレンテレフタレート系重合体を紡糸口金より紡出し、紡出糸条をエアーサッカーにて高速で牽引・細化した後、開繊させることにより得たものである。
【選択図】 なし

Description

透け感を有するスパンボンド不織布に関するものである。
従来より、ポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布は、汎用的に様々な分野で用いられている。通常、スパンボンド不織布を構成するポリエチレンテレフタレートには、酸化チタンが添加されている。酸化チタンは、白色顔料としても一般的に知られており、他の顔料を含まずに酸化チタンを含むポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布は、白色を呈している。また、酸化チタンは、結晶核剤の役割も果たすことで知られており、ポリエチレンテレフタレートが酸化チタンを含むことにより、スパンボンド法にて不織布を製造する際に、高速紡糸性が良好となり、また、開繊性が良好となる。
白色を呈しているスパンボンド不織布では、不織布にて覆った場合に、覆われた部分は隠蔽されるため黙視にて確認しにくい。例えば、スパンボンド不織布は建築資材として使用され、そのひとつの用途としてハウスラップが挙げられる。ハウスラップとは、家の内装と外装との間に介在させて、家自体を包み込むようにラッピングするシートである。ハウスラップを設置する際には、壁材や柱の所定の位置に設置しタッカー等の留具で固定する。通常、留具にて固定する位置が明確となるように壁材や柱にマーキングされているが、白色等の色を呈するスパンボンド不織布では、覆うことによりマーキングされた位置が確認しにくいという問題がある。また、食品や植物等の包装材として、白色等の色を呈するスパンボンド不織布が用いられるが、包装材により覆うことで、内容物を確認し難いという問題がある。そして、いわゆる透明のフィルムにて代替しようとしても、スパンボンド不織布と同等の通気性や機械的強度をフィルムに具備させることは極めて困難であり、透明のフィルムを代替に用いることはできない。なお、不織布を構成する単糸繊度と圧着面積率を特定の範囲とすることによりスパンボンド不織布の透明性を向上させようという技術が特許文献1に開示されている。
特開2004−19033号
本発明の課題は、不織布にて覆った場合であっても、内容物を確認できる程度の透明性を有するスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するために検討した。ポリエチレンテレフタレートを用いてスパンボンド法にて溶融紡糸する際、ポリエチレンテレフタレートに酸化チタンを含有させずに行うことにより不織布は白色を呈しないようになるとは考えられるが、酸化チタンを含有しないポリエチレンテレフタレートにてスパンボンド法で高速で溶融紡糸すると、紡糸性が悪く、また紡出糸条が良好に開繊せず、安定して地合いの良好なスパンボンド不織布を得ることができない。高速紡糸にて一気に紡糸・延伸するのではなく、紡糸速度を1000m/分程度として紡糸し、後にローラーにて延伸するいわゆる二段延伸法にであれば、酸化チタンを含有しないポリエチレンテレフタレートによって不織布を得ることはできるが、生産性の観点から非常に劣ることとなる。
本発明者は、鋭意検討したところ、タルクをポリエチレンテレフタレートに含有させると、高速紡糸により一気に紡糸・延伸することができ、かつ、得られたスパンボンド不織布は、透け感を有することを見出し本発明に到達した。
本発明は、構成繊維がエチレンテレフタレート系重合体によって構成されるスパンボンド不織布であり、エチレンテレフタレート系重合体は、酸化チタンを含有せず、タルクを含有していることを特徴とするスパンボンド不織布を要旨とするものである。
本発明のスパンボンド不織布の構成繊維は、エチレンテレフタレート系重合体によって構成される。エチレンテレフタレート系重合体としては、ポリエチレンテレフタレートや、エチレンテレフタレート単位に、他の酸成分やジオール成分が共重合しているものが挙げられる。耐熱性等の観点より、エチレンテレフタレート単位は、80モル%以上であることが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレートを用いることであるが、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸を共重合してもよい。
本発明における繊維を構成するエチレンテレフタレート系重合体は、酸化チタンを含有しない。したがって、いわゆる白色顔料でもある酸化チタンを含有しない重合体によって構成されるため、本発明のスパンボンド不織布は透け感が向上する。
本発明に用いられるエチレンテレフタレート系重合体は、タルクを含有する。本発明に用いられるタルクの平均粒径(体積平均粒径)は、0.5〜3μm以下であることが好ましい。3μm以下とすることにより、スパンボンド法によって紡糸する際に糸切れ等のトラブルが発生しにくいためである。また、0.5μm以上とすることにより、光の乱反射により白色化することを抑え、適度な透け感を有するスパンボンド不織布を得ることができる。
エチレンテレフタレート系重合体に含有させるタルクの量は、多くとも1質量%が好ましい。多くとも1質量%含有させることにより、スパンボンド法にて不織布を製造する際、すなわち、エチレンテレフタレート系重合体を紡糸口金より紡出し、紡出糸条をエアーサッカーにて高速で牽引・細化する際の紡糸性を向上させることができる。また、牽引・細化した後の開繊工程において、繊維同士が良好に開繊することができる。また、得られたスパンボンド不織布は、剛性が向上し、寸法安定性の良好なものとなる。なお、好ましい含有量は、0.5質量%以下であり、さらには0.2質量%以下が好ましい。また、上記効果を奏するためには、タルクの含有量の下限は0.01質量%がよい。なお、エアーサッカーにて牽引する際の速度は、4000m/分以上であることが好ましい。
エチレンテレフタレート系重合体にタルクを含有させる方法としては、タルクを含有させたマスターチップを用いることが好ましい。マスターチップが含有するタルクの量は、0.5〜50質量%がよい。タルクは、粉末状であるため、製造工程において、エチレンテレフタレート系重合体に粉末状のタルクを添加する方法では、タルクの添加量が少量であるため、エチレンテレフタレート系重合体とタルクとが良好に混ざり合うことが困難となり、重合体中にタルクが一様に分散して存在しにくい。マスターチップを用いる際には、マスターチップ:エチレンテレフタレート系重合体のチップとの比が1:30〜1:200程度であることが、重合体中にタルクを一様に分散して存在することができるため好ましい。
なお、本発明の効果を奏する範囲内において、スパンボンド不織布の用途に応じた要求性能によって、艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加してもよい。
本発明のスパンボンド不織布によれば、エチレンテレフタレート系重合体によって構成され、該重合体は、酸化チタンを含有せず、タルクを含有している。したがって、適度の透け感を有していることから、スパンボンド不織布で覆った際に、覆ったものを確認したいような用途(包装材、ハウスラップ等)に好適に用いることができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、実施例における各特性値は、以下のようにして求めたものである。
(1)ポリエチレンテレフタレートの相対粘度(ηrel):フェノールと四塩化エタンとの当質量混合溶媒100ccに試料0.5gを溶解し、温度20℃の条件で測定した。
(2)融点(℃):パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
実施例1
重合触媒に三酸化アンチモンを用い、融点255℃、相対粘度1.41のポリエチレンテレフタレートにタルク(日本タルク社製「SG−2000」 平均粒径(レーザー回析法)1.0μm)が5質量%含有しているマスターチップを用意した。前記マスターチップとポリエチレンテレフタレート(重合触媒が三酸化アンチモン、融点255℃、相対粘度1.41)のバージンチップとを、1:99の割合に混錬し、ポリエチレンテレフタレートにタルクが0.05質量%含有するようにして、溶融紡糸した。すなわち、前記混練した重合体をエクストルーダー型溶融押出し機によって、繊維断面が楕円形(長軸と短軸との比が約3:1)となる紡糸口金を通して長繊維を溶融紡出した。溶融紡糸に際して、溶融温度を285℃、単孔吐出量を2.4g/分に設定した。溶融紡出された糸状は、エアーサッカーにて5700m/分にて牽引・細化し、公知の開繊器を用いて開繊させ、移動する捕集面上に堆積させて長繊維不織ウェブとした。次いで、彫刻ロール(圧着面積率37%、圧着部の面積0.4mm2、圧着部密度64個/mm2、織目柄)と平滑ロールからなるエンボス装置に通し、熱圧着部を形成させて目付50g/m2のスパンボンド不織布を得た。スパンボンド不織布を構成する単糸繊度は、4.2デシテックスであった。
製造工程において、紡出糸条が捲縮等を発現することなく、また、構成繊維同士が集束することなく、開繊性も良好であり、操業性は良好であった。
比較例1
実施例1において、マスターチップを用いなかったこと(重合体にタルクを含有させなかったこと)以外は、実施例1と同様にして、溶融紡糸しようとしたが、紡出糸条は、捲縮が発現し、良好に開繊できなかった。
比較例2
マスターチップを用いなかったこと(重合体にタルクを含有させなかったこと)、ポリエチレンテレフタレートとして、重合触媒が三酸化アンチモンとトリエチルホスフェートと酢酸コバルトであり、融点255℃、相対粘度1.385、酸化チタンが0.4質量%含有してなるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布を得た。
[透け性の評価(1)]
文字(明朝体、4ポイント)が印刷されてなるOA紙に、実施例1のスパンボンド不織布で覆ったところ、不織布で覆ってもOA紙に印刷されてなる文字をはっきりと読み取ることができ透け性に優れたものであった。一方、比較例2のスパンボンド不織布で覆ったところ、OA紙に印刷された文字を容易に読み取ることができなかった。
[透け性の評価(2)]
透光率によって、透け性を評価した。すなわち、JIS L 1906 透光性に準じて測定した(照度は2000lx)ところ、実施例1のスパンボンド不織布では透光率が60%、比較例2のスパンボンド不織布では、透光率が45%であった。本発明のスパンボンド不織布が透光率の値が大きく透け性に優れたものであった。

Claims (3)

  1. 構成繊維がエチレンテレフタレート系重合体によって構成されるスパンボンド不織布であり、エチレンテレフタレート系重合体は、酸化チタンを含有せず、タルクを含有していることを特徴とするスパンボンド不織布。
  2. タルクの平均粒径が0.5〜3μm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布。
  3. スパンボンド不織布が、エチレンテレフタレート系重合体を紡糸口金より紡出し、紡出糸条をエアーサッカーにて高速で牽引・細化した後、開繊させることにより得たものであることを特徴とする請求項1または2記載のスパンボンド不織布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017093424A (ja) * 2015-11-18 2017-06-01 ユニチカ株式会社 農業用ハウスのカーテン用不織布

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