JP2008252162A - 拡散信号受信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】受信した拡散信号にマルチパスが含まれている場合でも、擬似乱数コードの正確な位相を算出する。
【解決手段】基準相関値算出部150は、相関器130が測定した相関値に基づいて、基準相関値を算出する。相関値差分算出部160は、相関器130が測定した相関値と、基準相関値算出部150が算出した基準相関値との差分(相関値差分値)を算出する。マルチパス推定部170は、相関値差分算出部160が算出した相関値差分値に基づいて、マルチパスの位相や強度を推定する。弁別値目標値算出部180は、マルチパス推定部170の推定結果に基づいて、弁別値目標値を算出する。位相調整部190は、相関器130が測定した相関値から算出した弁別値が、弁別値目標値算出部180が算出した弁別値目標値と一致するよう、擬似乱数コード発生器120が生成する擬似乱数コードの位相を調整する。
【選択図】図1

Description

この発明は、擬似乱数コードにより拡散された信号を受信して復調する受信装置に関する。
GPS(Global Positioning System)信号など、擬似乱数コードにより拡散された信号を復調するには、擬似乱数コードの位相を求める必要がある。
特に、GPS信号においては、擬似乱数コードの位相に基づいて、GPS衛星との擬似距離を算出するので、擬似乱数コードの正確な位相を求めたい。
特開平8−338866号公報 特開2005−207815号公報
無線により伝送される信号は、障害物により反射した反射波など、いわゆるマルチパスが重畳する場合がある。
GPS信号などにマルチパスが含まれる場合、擬似乱数コードの正確な位相を求めることは難しい。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、擬似乱数コードにより拡散された信号を受信して復調する受信装置において、受信した信号にマルチパスが含まれている場合であっても、擬似乱数コードの位相を正確に求めることを目的とする。
この発明にかかる拡散信号受信装置は、
受信器と、擬似乱数コード発生器と、相関器と、基準相関値算出部と、相関値差分算出部と、マルチパス推定部と、弁別値目標値算出部と、位相調整部とを有し、
上記受信器は、
擬似乱数コードにより拡散された拡散信号を受信し、
上記擬似乱数コード発生器は、
上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードを発生して、第一擬似乱数コードとし、
上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより所定位相進んだ擬似乱数コードを発生して、第二擬似乱数コードとし、
上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより上記所定位相遅れた擬似乱数コードを発生して、第三擬似乱数コードとし、
上記相関器は、
上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第一擬似乱数コードとの相関値を測定して、第一相関値とし、
上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第二擬似乱数コードとの相関値を測定して、第二相関値とし、
上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第三擬似乱数コードとの相関値を測定して、第三相関値とし、
上記基準相関値算出部は、
上記相関器が測定した第一相関値と第二相関値と第三相関値との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号にマルチパスが含まれていない場合に上記相関器が測定するはずの相関値を算出して、基準相関値とし、
上記相関値差分算出部は、
上記相関器が測定した第一相関値及び第二相関値及び第三相関値の少なくともいずれかと、上記基準相関値算出部が算出した基準相関値との差分を算出して、相関値差分値とし、
上記マルチパス推定部は、
上記相関値差分算出部が算出した相関値差分値に基づいて、上記受信器が受信した拡散信号に含まれるマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかを推定し、
上記弁別値目標値算出部は、
上記マルチパス推定部が推定したマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号を拡散した擬似乱数コードの位相と上記擬似乱数コード発生器が発生した第一擬似乱数コードの位相とが一致する場合場合に第二相関値と第三相関値とに基づいて算出される弁別値を推定して、弁別値目標値とし、
上記位相調整部は、
上記相関器が測定した第二相関値と第三相関値とに基づいて弁別値を算出し、算出した弁別値と、上記弁別値目標値算出部が算出した弁別値目標値とが等しくなるよう、上記擬似乱数コード発生器が発生する第一擬似乱数コード及び第二擬似乱数コード及び第三擬似乱数コードの位相を調整することを特徴とする。
この発明にかかる拡散信号受信装置によれば、受信器が受信した拡散信号にマルチパスが含まれている場合であっても、拡散信号を拡散した擬似乱数コードの位相と、擬似乱数コード発生器が生成する第一擬似乱数コードの位相とを正確に一致させることができるので、拡散信号を拡散した擬似乱数コードの位相を正確に求めることができ、拡散信号を正しく復調できるという効果を奏する。
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図8を用いて説明する。
図1は、この実施の形態におけるGPS受信機800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
GPS受信機800は、拡散信号受信装置100、擬似距離演算部200などを有する。
拡散信号受信装置100は、GPS衛星が発信したGPS信号(拡散信号)を受信して、拡散符号(擬似乱数コード)の位相を判別し、GPS信号を復調(逆拡散)して、航法データを取得する。
擬似距離演算部200は、拡散信号受信装置100が判別した拡散符号の位相や、取得した航法データに基づいて、GPS衛星との擬似距離を算出する。
拡散信号受信装置100は、受信器110、擬似乱数コード発生器120、相関器130、相関値記憶部140、基準相関値算出部150、相関値差分算出部160、マルチパス推定部170、弁別値目標値算出部180、位相調整部190を有する。
受信器110は、GPS信号を受信する。
受信器110は、高周波受信回路111、周波数変換回路112、二値化回路113、キャリア発生器114、乗算器115、乗算器116を有する。
高周波受信回路111は、GPS信号を受信し、受信したGPS信号を出力する。
周波数変換回路112は、高周波受信回路111が出力したGPS信号を入力し、入力したGPS信号の周波数を中間周波数に変換してIF(Intermediate Frequency)信号を生成し、生成したIF信号を出力する。
二値化回路113は、周波数変換回路112が出力したIF信号を入力し、入力したIF信号を二値化(例えば「1」と「−1」)して二値化IF信号を生成し、生成した二値化IF信号を出力する。
キャリア発生器114は、IF信号とほぼ同じ周波数の同相キャリア信号を生成する。また、キャリア発生器114は、同相キャリア信号を90度移相した直交キャリア信号を生成する。キャリア発生器114は、生成した同相キャリア信号及び直交キャリア信号を出力する。
キャリア発生器114は、後述する相関器130が生成した相関値R及び相関値Rを入力し、入力した相関値R及び相関値Rに基づいて、相関値Rが大きく、相関値Rが小さくなるように、生成する同相キャリア信号及び直交キャリア信号の周波数及び位相を調整する。
なお、キャリア発生器114が生成する同相キャリア信号及び直交キャリア信号は、二値化回路113が生成する二値化IF信号と同様、二値化した信号である。
乗算器115は、二値化回路113が出力した二値化IF信号と、キャリア発生器114が出力した同相キャリア信号とを入力し、入力した二値化IF信号と入力した同相キャリア信号とを乗算し、乗算結果を出力する。
ローパスフィルタ(LPF)117は、乗算器115が出力した二値化IF信号と同相キャリア信号との乗算結果を入力し、高周波成分をカットして同相成分信号Iを生成し、生成した同相成分信号Iを出力する。
乗算器116は、二値化回路113が出力した二値化IF信号と、キャリア発生器114が出力した直交キャリア信号とを入力し、入力した二値化IF信号と入力した直交キャリア信号とを乗算し、乗算結果を出力する。
LPF118は、乗算器116が出力した二値化IF信号と直交キャリア信号との乗算結果を入力し、高周波成分をカットして直交成分信号Qを生成し、生成した直交成分信号Qを出力する。
擬似乱数コード発生器120は、Pコード、Eコード、Lコードを生成する。
Pコード、Eコード、Lコードはともに、GPS衛星が航法データを符号拡散変調する際に用いるPN(Pseudo Noise)コードと同一の擬似乱数コードである。
Eコード(第二擬似乱数コード)は、Pコード(第一擬似乱数コード)に対して、位相が進んでいる。
Lコード(第三擬似乱数コード)は、Pコードに対して、位相が遅れている。
LコードとPコードとの位相差は、PコードとEコードとの位相差と等しく、例えば0.5チップ(所定位相)である。
擬似乱数コード発生器120は、PNコード発生器121、シフトレジスタ122を有する。
PNコード発生器121は、PNコードを生成し、生成したPNコードを出力する。
PNコード発生器121は、後述する位相調整部190から生成するPNコードの位相を指示する信号を入力し、入力した信号にしたがった位相のPNコードを生成する。
シフトレジスタ122は、PNコード発生器121が出力したPNコードを入力し、入力したPNコードを移相してPコード、Eコード、Lコードを生成し、生成したPコード、Eコード、Lコードを出力する。
相関器130は、受信器110が出力した同相成分信号I、直交成分信号Qと、擬似乱数コード発生器120が生成したPコード、Eコード、Lコードとを入力し、相関値を算出する。
相関器130は、乗算器131、乗算器132、乗算器133、乗算器134、積算器136、積算器137、積算器138、積算器139を有する。
乗算器131は、受信器110が出力した同相成分信号Iと、擬似乱数コード発生器120が出力したPコードとを入力し、入力した同相成分信号IとPコードとを乗算して、乗算結果を出力する。
積算器136は、乗算器131が出力した同相成分信号IとPコードとの乗算結果を入力し、入力した乗算結果をPNコードの1周期分積算(加算)して相関値Rを生成し、生成した相関値Rを出力する。
同様に、乗算器132と積算器137とは、受信器110が出力した同相成分信号Iと擬似乱数コード発生器120が出力したEコードとに基づいて、相関値Rを生成する。乗算器133と積算器138とは、受信器110が出力した同相成分信号Iと擬似乱数コード発生器120が出力したLコードとに基づいて、相関値Rを生成する。また、乗算器134と積算器139とは、受信器110が出力した直交成分信号Qと擬似乱数コード発生器120が出力したPコードとに基づいて、相関値Rを生成する。
相関値記憶部140は、相関器130が出力した相関値R、相関値R、相関値Rを入力し、図示していないRAM(Ramdom Access Memory)などの記憶装置に記憶する。
基準相関値算出部150は、相関値記憶部140が記憶した相関値を入力し、入力した相関値に基づいて基準相関値を算出し、算出した基準相関値を出力する。
基準相関値とは、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれていない場合に、相関器130が出力する相関値である。したがって、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれていなければ、基準相関値算出部150が算出する基準相関値は、相関器130が出力した相関値と一致し、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれていれば、基準相関値算出部150が算出する基準相関値は、相関器130が出力した相関値と一致しない。
基準相関値算出部150が基準相関値を算出する方式としては、例えば、以下のような方式が考えられる。
第一の方式は、あらかじめ基準相関値の理論値を算出して、基準相関値算出部150が記憶しておき、記憶した理論値を参照することにより、基準相関値を算出する方式である。
第二の方式は、あらかじめマルチパスを含まないGPS信号を受信器110に受信させて、相関器130が出力する相関値を基準相関値算出部150が記憶しておき、記憶した測定値を参照することにより、基準相関値を算出する方式である。
第三の方式は、受信器110が何も受信していない状態で出力する同相成分信号I(のノイズ成分)と、擬似乱数コード発生器120が生成するPコードなどの擬似乱数コードとを合成して、マルチパスを含まないGPS信号を受信器110が受信した場合に出力する同相成分信号Iを擬似的に生成し、これを入力した相関器130が出力する相関値を参照することにより、基準相関値を算出する方式である。この場合、第二の方式と同様、あらかじめ測定して記憶しておいてもよいし、GPS信号の受信を一時中断して測定をしてもよい。
なお、上述した方式は一例であって、他の方式で基準相関値を算出してもよい。
相関値差分算出部160は、相関値記憶部140が記憶した相関値と、基準相関値算出部150が出力した基準相関値とを入力し、入力した相関値と基準相関値との差を算出して相関値差分値を生成し、生成した相関値差分値を出力する。
マルチパス推定部170は、相関値差分算出部160が出力した相関値差分値を入力し、入力した相関値差分値に基づいて、受信器110が受信したGPS信号に含まれるマルチパスの強度及び位相を算出し、算出したマルチパスの強度及び位相を出力する。
弁別値目標値算出部180は、マルチパス推定部170が出力したマルチパスの強度及び位相を入力し、入力したマルチパスの強度及び位相に基づいて、弁別値目標値を算出し、算出した弁別値目標値を出力する。
なお、弁別値目標値については、後述する。
位相調整部190は、相関値記憶部140が記憶した相関値を入力し、入力した相関値に基づいて、弁別値(コードディスクリミネータ)を算出する。
位相調整部190は、弁別値目標値算出部180が出力した弁別値目標値を入力し、入力した弁別値目標値と、算出した弁別値とが一致するよう、PNコード発生器121が生成するPNコードの位相を指示する信号を生成し、出力する。
図2は、受信器110が受信するGPS信号のPNコードの位相と擬似乱数コード発生器120が生成するPコード、Eコード、Lコードの位相との位相差と、相関値との関係の一例を示すグラフ図である。
受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれていない場合、相関値は、位相差が0のとき最大となり、位相差が1チップ以上または−1チップ以下のときほぼ0となる。
GPS信号のPNコードの位相とPコードの位相とが一致する場合(上のグラフ)、相関値Rと相関値Rとは等しくなる。したがって、相関値Rと相関値Rとが等しくなるように位相を制御すれば、GPS信号のPNコードと、Pコードの位相とが一致する。
GPS信号のPNコードの位相とPコードの位相とが一致しない場合(下のグラフ)、相関値Rと相関値Rとは等しくない。例えば、Pコードの位相のほうが遅れている場合、相関値Rのほうが相関値Rより大きい。逆に、Pコードの位相のほうが進んでいる場合、相関値Rのほうが相関値Rより大きい。また、相関値Rと相関値Rとの差は、GPS信号のPNコードの位相とPコードの位相との位相差が大きいほど大きくなる。
図3は、受信器110が受信するGPS信号のPNコードの位相と擬似乱数コード発生器120が生成するPコードの位相との位相差と、位相調整部190が算出する弁別値との関係の一例を示すグラフ図である。
この例において、位相調整部190は、相関値Rと相関値Rとに基づいて、相関値Rと相関値Rとの差を、相関値Rと相関値Rとの和で割った値(R−R)/(R+R)を算出して、弁別値とするものとする。また、EコードとPコードとの位相差(及びPコードとLコードとの位相差)は、0.5チップであるものとする。
受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれていない場合、GPS信号のPNコードの位相とPコードの位相との位相差がプラスマイナス0.5以内であれば、弁別値は、位相差のちょうど2倍になる。
したがって、位相調整部190は、PNコード発生器121が生成するPNコードの位相を、弁別値の2分の1だけ変化させるように指示することにより、GPS信号のPNコードの位相と、Pコードの位相とを一致させることができる。
次に、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合について説明する。
図4は、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合における位相差と相関値との関係の一例を示すグラフ図である。
受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合、相関器130が出力する相関値は、直接波のPNコードとの相関値と、マルチパスのPNコードとの相関値との合計である。
マルチパス信号は直接波より遅れて受信器110に到着するので、マルチパスのPNコードは、直接波のPNコードより位相が遅れている。
この場合において、直接波のPNコードの位相とPコードの位相とが一致しても、相関値Rと相関値Rとは等しくならない。また、相関値Rと相関値Rとが等しくなるようにPコードの位相を調整しても、直接波のPNコードの位相とPコードの位相とは一致しない。
そこで、弁別値目標値算出部180は、直接波のPNコードの位相とPコードの位相とが一致する場合における弁別値を算出して、弁別値目標値とする。位相調整部190は、算出した弁別値が弁別値目標値と一致するよう、PNコード発生器121が生成するPNコードの位相を指示する信号を生成する。
これにより、GPS信号にマルチパスが含まれている場合でも、マルチパスを除いた直接波のPNコードの位相と、Pコードの位相とを精密に一致させることができる。
次に、弁別値目標値算出部180が弁別値目標値を算出する方式について説明する。
弁別値目標値は、直接波に対する相関値の最大値とマルチパスに対する相関値の最大値との比率(マルチパスの強度)によって変わる。また、弁別値目標値は、直接波のPNコードとマルチパスのPNコードとの位相差(マルチパスの位相)によっても変わる。
したがって、マルチパスの強度とマルチパスの位相とがわかれば、弁別値目標値を算出することができる。
弁別値目標値算出部180は、マルチパス推定部170が出力したマルチパスの強度及び位相を入力し、入力したマルチパスの強度及び位相に基づいて、弁別値目標値を算出する。
例えば、弁別値目標値算出部180は、あらかじめマルチパスの強度及び位相から弁別値目標値を算出する理論計算式を記憶しておき、入力したマルチパスの強度及び位相を理論計算式に代入することにより、弁別値目標値を算出する。
あるいは、理論計算式にマルチパスの強度及び位相を代入した結果をあらかじめ計算しておき、弁別値目標値算出部180が記憶していてもよい。弁別値目標値算出部180は、入力したマルチパスの強度及び位相に基づいて、あらかじめ記憶した計算結果を参照し、弁別値目標値を求める。
あるいは、理論計算式に基づいて弁別値目標値を求めるのではなく、測定により求めてもよい。
例えば、あらかじめマルチパスを含むGPS信号をシミュレートした信号を、受信器110に受信させて、相関器130が出力する相関値を弁別値目標値算出部180が記憶しておき、記憶した測定値を参照することにより、弁別値目標値を算出する。
あるいは、受信器110が何も受信していない状態で出力する同相成分信号I(のノイズ成分)と、擬似乱数コード発生器120が生成するPコードなどの擬似乱数コードとを合成して、マルチパスを含むGPS信号を受信器110が受信した場合に出力する同相成分信号Iを擬似的に生成し、これを入力した相関器130が出力する相関値を参照することにより、弁別値目標値を算出してもよい。この場合、あらかじめ測定して記憶しておいてもよいし、GPS信号の受信を一時中断して測定をしてもよい。
次に、マルチパス推定部170がマルチパスの強度及び位相を算出する方式について説明する。
図5は、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合に、相関器130が出力する相関値の一例を示すグラフ図である。
一回目の測定において、相関器130は、相関値R611、相関値R621、相関値R631を出力する。
この時点では、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれているかわからないので、マルチパス推定部170は、マルチパスがないと推定する。弁別値目標値算出部180は、マルチパスがない場合の弁別値目標値として「0」を出力する。位相調整部190は、弁別値が0になるように、PNコードの位相を制御する。
二回目の測定において、相関器130は、相関値R612、相関値R622、相関値R632を出力する。
受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれているので、位相調整部190の制御にもかかわらず、弁別値は0にならない。そこで、位相調整部190は、更にPNコードの位相を変化させて、弁別値が0になるように制御する。
三回目の測定において、相関器130は、相関値R613、相関値R623、相関値R633を出力する。
この時点で、相関値R623と相関値R633とがほぼ等しくなり、弁別値がほぼ0になる。しかし、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれているので、直接波のPNコードの位相とPコードの位相とは一致していない。
ここまでで三回の測定をしたので、相関値記憶部140は、合計9個の相関値を記憶している。
図6は、この実施の形態における基準相関値算出部150が出力する基準相関値の一例を示す図である。
受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれていないと仮定すると、相関値R623と相関値R633とが等しいので、GPS信号のPNコードの位相とPコードの位相とが一致しているはずである。したがって、相関値は、相関値R613を最大値とする山型710上に分布するはずである。
基準相関値算出部150は、相関値記憶部140が記憶している相関値611〜633に対応する基準相関値711〜719を算出する。
相関値差分算出部160は、相関値記憶部140が記憶した相関値611〜633と、基準相関値算出部150が出力した基準相関値711〜719との差を算出して、相関値差分値731〜739とする。
図7は、この実施の形態における相関値差分算出部160が算出した相関値差分値に基づいてマルチパス推定部170が算出するマルチパスの強度及び位相の一例を示す図である。
マルチパス推定部170は、相関値差分算出部160が算出した相関値差分値を入力する。
マルチパス推定部170は、入力した相関値差分値に基づいて、差分値変化率を算出する。
差分値変化率とは、位相差の変化に対する相関値差分値の変化の割合のことであり、位相差を横軸、相関値差分値を縦軸としたグラフにおいて、相関値差分値を結ぶ直線の傾きに等しい。
マルチパス推定部170は、算出した差分値変化率に基づいて、差分値変化率の符号が正から負に変化する位相を求める。
この例では、右上がり斜線でハッチングした領域741及び領域742において差分値変化率が正であり、右下がり斜線でハッチングした領域746及び領域747において差分値変化率が負であるから、矢印で示す位相751及び位相752において、差分値変化率が正から負に変化する。
マルチパスの位相は直接波の位相よりも遅れているので、位相751がマルチパスである可能性は低い。そこで、マルチパス推定部170は、位相752がマルチパスであると推定する。マルチパス推定部170は、位相差761をマルチパスの位相として出力する。
また、マルチパス推定部170は、位相752における相関値差分値738を、マルチパスの強度の絶対値であると推定する。
直接波の強度との比率を求めるには、直接波の強度の絶対値も必要である。
図8は、この実施の形態におけるマルチパス推定部170がマルチパスの強度を求める方式を説明する模式図である。
基準相関値算出部150は、相関値613が直接波の強度の絶対値であるとして、基準相関値を算出している。これは、マルチパスがないという前提でのことである。マルチパスがある場合、マルチパスの寄与分を差し引く必要がある。
マルチパス推定部170は、推定したマルチパスの位相761とマルチパスの強度の絶対値738とに基づいて、相関値613におけるマルチパスの寄与分762を算出し、相関値613と、算出した寄与分762との差763を、直接波の強度の絶対値と推定する。
マルチパス推定部170は、推定した直接波の強度の絶対値763で、推定したマルチパスの強度の絶対値738を割り、算出した商を、マルチパスの強度(直接波との比率)として出力する。
マルチパス推定部170がマルチパスの強度及び位相を推定したので、弁別値目標値算出部180は、マルチパス推定部170が出力したマルチパスの強度及び位相に基づいて、弁別値目標値を算出する。位相調整部190は、弁別値が、弁別値目標値算出部180が算出した弁別値目標値と等しくなるように、PNコード発生器121が生成するPNコードの位相を制御する。
次に、この実施の形態におけるマルチパス推定部170がマルチパスの位相を推定する原理について説明する。
図9は、この実施の形態におけるマルチパス推定部170がマルチパスの位相を推定する原理について説明するための模式図である。
上述したように、位相差を横軸、相関値を縦軸として相関器130が出力する相関値をプロットすると、いくつかの直線で構成されるグラフを描くことができる。
このうち、マルチパスに対する相関値が最大値になる位相773付近を見ると、位相773の左側の直線771と、位相773の右側の直線772とでは、傾きが異なる。
同じグラフに、基準相関値算出部150が算出する基準相関値をプロットすると、位相773付近では、直線774となる。
直線771と直線774とを比較すると、直線771のほうが傾きが緩やかである。また、直線772と直線774とを比較すると、直線772のほうが傾きが急である。
相関器130が出力する相関値と基準相関値算出部150が算出する基準相関値との差である相関値差分値について見ると、位相773より左側では、位相差が大きくなるほど相関値差分値が大きくなるのに対し、位相773より右側では、位相差が大きくなるほど相関値差分値が小さくなる。
すなわち、相関値差分値の変化率である差分値変化率を考えると、位相773より左側では、差分値変化率の符号が正であり、位相773より右側では、差分地変化率の符号が負である。
したがって、差分値変化率の符号が正から負に変化する位相に基づいて、マルチパスの位相を推定できる。
なお、この方法による推定は、基準相関値が必ずしもGPS信号に含まれる直接波に対する相関値と一致している必要はなく、おおよそ一致していれば、正しくマルチパスの位相を推定できる。
以上の処理を繰り返すことにより、マルチパス推定部170によるマルチパスの強度及び位相の推定精度が向上していくとともに、GPS信号に含まれる直接波のPNコードの位相と、Pコードの位相とが一致していく。
このようにして、受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合であっても、直接波のPNコードの位相を正確に求めることができるので、GPS衛星との擬似距離をより正確に算出できるとともに、航法データを正しく復調することができる。
この実施の形態における拡散信号受信装置100は、
受信器110と、擬似乱数コード発生器120と、相関器130と、基準相関値算出部150と、相関値差分算出部160と、マルチパス推定部170と、弁別値目標値算出部180と、位相調整部190とを有することを特徴とする。
上記受信器110は、
擬似乱数コード(PNコード)により拡散された拡散信号(GPS信号)を受信することを特徴とする。
上記擬似乱数コード発生器120は、
上記擬似乱数コード(PNコード)と同一の擬似乱数コードを発生して、第一擬似乱数コード(Pコード)とし、
上記擬似乱数コード(PNコード)と同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより所定位相(0.5チップ)進んだ擬似乱数コードを発生して、第二擬似乱数コード(Eコード)とし、
上記擬似乱数コード(PNコード)と同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより上記所定位相(0.5チップ)遅れた擬似乱数コードを発生して、第三擬似乱数コード(Lコード)とすることを特徴とする。
上記相関器130は、
上記受信器110が受信した拡散信号(同相成分信号I)と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第一擬似乱数コード(Pコード)との相関値を測定して、第一相関値Rとし、
上記受信器110が受信した拡散信号(同相成分信号I)と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第二擬似乱数コード(Eコード)との相関値を測定して、第二相関値Rとし、
上記受信器110が受信した拡散信号(同相成分信号I)と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第三擬似乱数コード(Lコード)との相関値を測定して、第三相関値Rとすることを特徴とする。
上記基準相関値算出部150は、
上記相関器130が測定した第一相関値Rと第二相関値Rと第三相関値Rとの少なくともいずれかに基づいて、上記受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)にマルチパスが含まれていない場合に上記相関器130が測定するはずの相関値を算出して、基準相関値とすることを特徴とする。
上記相関値差分算出部160は、
上記相関器130が測定した第一相関値R及び第二相関値R及び第三相関値Rの少なくともいずれかと、上記基準相関値算出部150が算出した基準相関値との差分を算出して、相関値差分値とすることを特徴とする。
上記マルチパス推定部170は、
上記相関値差分算出部160が算出した相関値差分値に基づいて、上記受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)に含まれるマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかを推定することを特徴とする。
上記弁別値目標値算出部180は、
上記マルチパス推定部170が推定したマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)を拡散した擬似乱数コード(PNコード)の位相と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とが一致する場合に第二相関値と第三相関値とに基づいて算出される弁別値を推定して、弁別値目標値とすることを特徴とする。
上記位相調整部190は、
上記相関器130が測定した第二相関値Rと第三相関値Rとに基づいて弁別値を算出し、算出した弁別値と、上記弁別値目標値算出部180が算出した弁別値目標値とが等しくなるよう、上記擬似乱数コード発生器120が発生する第一擬似乱数コード(Pコード)及び第二擬似乱数コード(Eコード)及び第三擬似乱数コード(Lコード)の位相を調整することを特徴とする。
この実施の形態における拡散信号受信装置100によれば、受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)にマルチパスが含まれている場合であっても、拡散信号(GPS信号)を拡散した擬似乱数コード(PNコード)の位相と、擬似乱数コード発生器120が生成する第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とを正確に一致させることができるので、拡散信号(GPS信号)を拡散した擬似乱数コード(PNコード)の位相を正確に求めることができ、拡散信号を正しく復調できるという効果を奏する。
この実施の形態におけるマルチパス推定部170は、上記相関値差分算出部160が算出した相関値差分値に基づいて、上記相関値差分値の変化率の符号が変化する位相を算出し、算出した位相を上記マルチパスの位相とすることを特徴とする。
この実施の形態における拡散信号受信装置100によれば、相関値差分値の変化率の符号に基づいてマルチパスの位相を推定するので、マルチパスの位相を正しく推定することができ、その結果、受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)に含まれる直接波のPNコードの位相と、擬似乱数コード発生器120が生成する第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とを正確に一致させることができるという効果を奏する。
実施の形態2.
実施の形態2について、図10〜図11を用いて説明する。
図10は、この実施の形態におけるGPS受信機800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
なお、実施の形態1で説明したブロックと共通する部分については、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
拡散信号受信装置100は、基準相関値傾斜算出部155、相関値傾斜算出部165を有する。
基準相関値傾斜算出部155は、相関値記憶部140が記憶した相関値を入力し、入力した相関値に基づいて、基準相関値の傾斜(基準相関値傾斜値)を算出し、算出した基準相関値の傾斜を出力する。
相関値傾斜算出部165は、相関値記憶部140が記憶した相関値を入力し、入力した相関値に基づいて、相関値の傾斜(相関値傾斜値)を算出し、算出した相関値の傾斜を出力する。
マルチパス推定部170は、基準相関値傾斜算出部155が出力した基準相関値の傾斜と、相関値傾斜算出部165が出力した相関値の傾斜とを入力し、入力した基準相関値の傾斜及び相関値の傾斜に基づいて、マルチパスの強度及び位相を算出する。
図9で説明したように、マルチパスに対する相関値が最大となる位相773の左側と右側とでは、相関器130が出力する相関値をプロットした直線の傾きが異なる。
この実施の形態におけるマルチパス推定部170は、この直線の傾きに基づいて、マルチパスの位相を推定する。
図11は、この実施の形態における基準相関値傾斜算出部155及び相関値傾斜算出部165が算出する基準相関値及び相関値の傾斜の一例を示すグラフ図である。
基準相関値傾斜算出部155は、相関値記憶部140が記憶した相関値613を入力し、入力した相関値613に基づいて、基準相関値を示す線710の傾斜781(図では破線で示す)を算出する。
相関値傾斜算出部165は、相関値記憶部140が記憶した相関値611〜633を入力し、入力した相関値611〜633に基づいて、隣り合う相関値を結ぶ線分の傾斜782(図では実線で示す)を算出する。
マルチパス推定部170は、基準相関値傾斜算出部155が算出した傾斜781と相関値傾斜算出部165が算出した傾斜782とに基づいて、傾斜782と傾斜781との差(図ではハッチングで示す)が、正(図では右上がり斜線で示す)から負(図では右下がり斜線で示す)に変化する位相751及び位相752を算出する。これは、実施の形態1において差分値変化率に基づいて算出したものと一致する。
このように、相関値の傾斜に基づいてマルチパスの位相を推定しても、実施の形態1と同様に、正しいマルチパスの位相を推定することができる。
この実施の形態における拡散信号受信装置100は、
受信器110と、擬似乱数コード発生器120と、相関器130と、基準相関値傾斜算出部155と、相関値傾斜算出部165と、マルチパス推定部170と、弁別値目標値算出部180と、位相調整部190とを有することを特徴とする。
上記受信器110は、
擬似乱数コード(PNコード)により拡散された拡散信号(GPS信号)を受信することを特徴とする。
上記擬似乱数コード発生器120は、
上記擬似乱数コード(PNコード)と同一の擬似乱数コードを発生して、第一擬似乱数コード(Pコード)とし、
上記擬似乱数コード(PNコード)と同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより所定位相(0.5チップ)進んだ擬似乱数コードを発生して、第二擬似乱数コード(Eコード)とすることを特徴とする。
上記擬似乱数コード(PNコード)と同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより上記所定位相(0.5チップ)遅れた擬似乱数コードを発生して、第三擬似乱数コード(Lコード)とすることを特徴とする。
上記相関器130は、
上記受信器110が受信した拡散信号(同相成分信号I)と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第一擬似乱数コード(Pコード)との相関値を測定して、第一相関値Rとし、
上記受信器110が受信した拡散信号(同相成分信号I)と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第二擬似乱数コード(Eコード)との相関値を測定して、第二相関値Rとし、
上記受信器110が受信した拡散信号(同相成分信号I)と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第三擬似乱数コード(Lコード)との相関値を測定して、第三相関値Rとすることを特徴とする。
上記基準相関値傾斜算出部155は、
上記相関器130が測定した第一相関値Rと第二相関値Rと第三相関値Rとの少なくともいずれかに基づいて、上記受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)にマルチパスが含まれていない場合に上記相関器130が測定するはずの相関値を示す直線の傾斜を算出して基準相関値傾斜値とすることを特徴とする。
上記相関値傾斜算出部165は、
上記相関器130が測定した第一相関値R及び第二相関値R及び第三相関値Rの少なくともいずれかを結ぶ線分の傾斜を算出して相関値傾斜値とすることを特徴とする。
上記マルチパス推定部170は、
上記基準相関値傾斜算出部155が算出した基準相関値傾斜値と、上記相関値傾斜算出部165が算出した相関値傾斜値とに基づいて、上記受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)に含まれるマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかを推定することを特徴とする。
上記弁別値目標値算出部180は、
上記マルチパス推定部170が推定したマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)を拡散した擬似乱数コード(PNコード)の位相と上記擬似乱数コード発生器120が発生した第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とが一致する場合に第二相関値Rと第三相関値Rとに基づいて算出される弁別値を推定して、弁別値目標値とすることを特徴とする。
上記位相調整部190は、
上記相関器130が測定した第二相関値Rと第三相関値Rとに基づいて弁別値を算出し、算出した弁別値と、上記弁別値目標値算出部180が算出した弁別値目標値とが等しくなるよう、上記擬似乱数コード発生器120が発生する第一擬似乱数コード(Pコード)及び第二擬似乱数コード(Eコード)及び第三擬似乱数コード(Lコード)の位相を調整することを特徴とする。
この実施の形態における拡散信号受信装置100によれば、受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)にマルチパスが含まれている場合であっても、拡散信号(GPS信号)を拡散した擬似乱数コード(PNコード)の位相と、擬似乱数コード発生器120が生成する第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とを正確に一致させることができるので、拡散信号(GPS信号)を拡散した擬似乱数コード(PNコード)の位相を正確に求めることができ、拡散信号を正しく復調できるという効果を奏する。
上記マルチパス推定部170は、上記基準相関値傾斜算出部155が算出した基準相関値傾斜値と、上記相関値傾斜算出部165が算出した相関値傾斜値とに基づいて、上記相関値傾斜値と上記基準相関値傾斜値との差を算出し、算出した差の符号が変化する位相を算出し、算出した位相を上記マルチパスの位相とすることを特徴とする。
この実施の形態における拡散信号受信装置100によれば、相関値傾斜値と基準相関値傾斜値との差の符号に基づいてマルチパスの位相を推定するので、マルチパスの位相を正しく推定することができ、その結果、受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)に含まれる直接波のPNコードの位相と、擬似乱数コード発生器120が生成する第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とを正確に一致させることができるという効果を奏する。
実施の形態3.
実施の形態3について、説明する。
この実施の形態におけるGPS受信機800の全体構成は、実施の形態1あるいは実施の形態2で説明したものと同様なので、ここでは説明を省略する。
実施の形態1及び実施の形態2では、マルチパスの位相を正しく推定する方式について述べたが、弁別値目標値算出部180が弁別値目標値を算出するために必要な情報は、マルチパスと直接波との位相差であり、マルチパス推定部170が出力するマルチパスの位相は、直接波との位相差という形で出力する。
したがって、マルチパス推定部170が直接波の位相を正しく推定する必要がある。
この実施の形態では、マルチパス推定部170が直接波の位相を推定するいくつかの方式について説明する。
第一の方式は、差分値変化率あるいは相関値の傾斜に基づいて、マルチパスだけでなく直接波の位相も算出する方式である。
図7あるいは図11において、マルチパス推定部170は、2つの位相751,752を算出し、位相752をマルチパスと推定する。
実施の形態1あるいは実施の形態2では、位相751を無視したが、この実施の形態におけるマルチパス推定部170は、位相751を直接波と推定する。
マルチパス推定部170は、位相752と位相751との差を、マルチパスの位相として出力する。
図9で説明した位相推定の原理によれば、直接波に対する相関値が最大となる位相でも、相関器130が出力する相関値をプロットした直線の傾きが変化するので、直接波の位相を推定することができる。
第二の方式は、連立方程式を解く方式である。
マルチパス推定部170は、直接波の強度の絶対値と位相、マルチパスの強度の絶対値と位相を変数として、相関値を求める関数を、あらかじめ記憶しておく。
マルチパス推定部170は、最新の測定値である3つの相関値R,R,Rに基づいて、連立方程式を立てる。
式の数は3つなので、変数が3つならこの連立方程式を解くことが可能である。
マルチパス推定部170は、差分値変化率あるいは相関値の傾斜に基づいて推定したマルチパスの位相を連立方程式に代入することにより、変数を3つに減らし、変数が3つになった連立方程式を解くことにより、直接波の位相や直接波及びマルチパスの強度を算出する。
このように、マルチパス推定部170は、差分値変化率あるいは相関値の傾斜に基づいて算出したマルチパスの位相を用いて、直接波の位相などを算出することができる。
なお、ここで説明した方式は一例であり、他の方式により直接波の位相などを算出してもよい。
この実施の形態における拡散信号受信装置100によれば、直接波の位相などを正確に推定することができるので、受信器110が受信した拡散信号(GPS信号)に含まれる直接波のPNコードの位相と、擬似乱数コード発生器120が生成する第一擬似乱数コード(Pコード)の位相とを正確に一致させることができるという効果を奏する。
実施の形態1におけるGPS受信機800の全体構成の一例を示すシステム構成図。 受信器110が受信するGPS信号のPNコードの位相と擬似乱数コード発生器120が生成するPコード、Eコード、Lコードの位相との位相差と、相関値との関係の一例を示すグラフ図。 受信器110が受信するGPS信号のPNコードの位相と擬似乱数コード発生器120が生成するPコードの位相との位相差と、位相調整部190が算出する弁別値との関係の一例を示すグラフ図。 受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合における位相差と相関値との関係の一例を示すグラフ図。 受信器110が受信したGPS信号にマルチパスが含まれている場合に、相関器130が出力する相関値の一例を示すグラフ図。 実施の形態1における基準相関値算出部150が出力する基準相関値の一例を示す図。 実施の形態1における相関値差分算出部160が算出した相関値差分値に基づいてマルチパス推定部170が算出するマルチパスの強度及び位相の一例を示す図。 実施の形態1におけるマルチパス推定部170がマルチパスの強度を求める方式を説明する模式図。 実施の形態1におけるマルチパス推定部170がマルチパスの位相を推定する原理について説明するための模式図。 実施の形態2におけるGPS受信機800の全体構成の一例を示すシステム構成図。 実施の形態2における基準相関値傾斜算出部155及び相関値傾斜算出部165が算出する基準相関値及び相関値の傾斜の一例を示すグラフ図。
符号の説明
100 拡散信号受信装置、110 受信器、111 高周波受信回路、112 周波数変換回路、113 二値化回路、114 キャリア発生器、115,116,131〜134 乗算器、117,118 LPF、120 擬似乱数コード発生器、121 PNコード発生器、122 シフトレジスタ、130 相関器、136〜139 積算器、140 相関値記憶部、150 基準相関値算出部、155 基準相関値傾斜算出部、160 相関値差分算出部、165 相関値傾斜算出部、170 マルチパス推定部、180 弁別値目標値算出部、190 位相調整部、200 擬似距離演算部、800 GPS受信機。

Claims (4)

  1. 受信器と、擬似乱数コード発生器と、相関器と、基準相関値算出部と、相関値差分算出部と、マルチパス推定部と、弁別値目標値算出部と、位相調整部とを有し、
    上記受信器は、
    擬似乱数コードにより拡散された拡散信号を受信し、
    上記擬似乱数コード発生器は、
    上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードを発生して、第一擬似乱数コードとし、
    上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより所定位相進んだ擬似乱数コードを発生して、第二擬似乱数コードとし、
    上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより上記所定位相遅れた擬似乱数コードを発生して、第三擬似乱数コードとし、
    上記相関器は、
    上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第一擬似乱数コードとの相関値を測定して、第一相関値とし、
    上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第二擬似乱数コードとの相関値を測定して、第二相関値とし、
    上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第三擬似乱数コードとの相関値を測定して、第三相関値とし、
    上記基準相関値算出部は、
    上記相関器が測定した第一相関値と第二相関値と第三相関値との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号にマルチパスが含まれていない場合に上記相関器が測定するはずの相関値を算出して、基準相関値とし、
    上記相関値差分算出部は、
    上記相関器が測定した第一相関値及び第二相関値及び第三相関値の少なくともいずれかと、上記基準相関値算出部が算出した基準相関値との差分を算出して、相関値差分値とし、
    上記マルチパス推定部は、
    上記相関値差分算出部が算出した相関値差分値に基づいて、上記受信器が受信した拡散信号に含まれるマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかを推定し、
    上記弁別値目標値算出部は、
    上記マルチパス推定部が推定したマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号を拡散した擬似乱数コードの位相と上記擬似乱数コード発生器が発生した第一擬似乱数コードの位相とが一致する場合に第二相関値と第三相関値とに基づいて算出される弁別値を推定して、弁別値目標値とし、
    上記位相調整部は、
    上記相関器が測定した第二相関値と第三相関値とに基づいて弁別値を算出し、算出した弁別値と、上記弁別値目標値算出部が算出した弁別値目標値とが等しくなるよう、上記擬似乱数コード発生器が発生する第一擬似乱数コード及び第二擬似乱数コード及び第三擬似乱数コードの位相を調整する
    ことを特徴とする拡散信号受信装置。
  2. 上記マルチパス推定部は、上記相関値差分算出部が算出した相関値差分値に基づいて、上記相関値差分値の変化率の符号が変化する位相を算出し、算出した位相を上記マルチパスの位相とすることを特徴とする請求項1に記載の拡散信号受信装置。
  3. 受信器と、擬似乱数コード発生器と、相関器と、基準相関値傾斜算出部と、相関値傾斜算出部と、マルチパス推定部と、弁別値目標値算出部と、位相調整部とを有し、
    上記受信器は、
    擬似乱数コードにより拡散された拡散信号を受信し、
    上記擬似乱数コード発生器は、
    上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードを発生して、第一擬似乱数コードとし、
    上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより所定位相進んだ擬似乱数コードを発生して、第二擬似乱数コードとし、
    上記擬似乱数コードと同一の擬似乱数コードであって、位相が上記第一擬似乱数コードより上記所定位相遅れた擬似乱数コードを発生して、第三擬似乱数コードとし、
    上記相関器は、
    上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第一擬似乱数コードとの相関値を測定して、第一相関値とし、
    上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第二擬似乱数コードとの相関値を測定して、第二相関値とし、
    上記受信器が受信した拡散信号と上記擬似乱数コード発生器が発生した第三擬似乱数コードとの相関値を測定して、第三相関値とし、
    上記基準相関値傾斜算出部は、
    上記相関器が測定した第一相関値と第二相関値と第三相関値との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号にマルチパスが含まれていない場合に上記相関器が測定するはずの相関値を示す直線の傾斜を算出して基準相関値傾斜値とし、
    上記相関値傾斜算出部は、
    上記相関器が測定した第一相関値及び第二相関値及び第三相関値の少なくともいずれかを結ぶ線分の傾斜を算出して相関値傾斜値とし、
    上記マルチパス推定部は、
    上記基準相関値傾斜算出部が算出した基準相関値傾斜値と、上記相関値傾斜算出部が算出した相関値傾斜値とに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号に含まれるマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかを推定し、
    上記弁別値目標値算出部は、
    上記マルチパス推定部が推定したマルチパスの強度と位相との少なくともいずれかに基づいて、上記受信器が受信した拡散信号を拡散した擬似乱数コードの位相と上記擬似乱数コード発生器が発生した第一擬似乱数コードの位相とが一致する場合に第二相関値と第三相関値とに基づいて算出される弁別値を推定して、弁別値目標値とし、
    上記位相調整部は、
    上記相関器が測定した第二相関値と第三相関値とに基づいて弁別値を算出し、算出した弁別値と、上記弁別値目標値算出部が算出した弁別値目標値とが等しくなるよう、上記擬似乱数コード発生器が発生する第一擬似乱数コード及び第二擬似乱数コード及び第三擬似乱数コードの位相を調整する
    ことを特徴とする拡散信号受信装置。
  4. 上記マルチパス推定部は、上記基準相関値傾斜算出部が算出した基準相関値傾斜値と、上記相関値傾斜算出部が算出した相関値傾斜値とに基づいて、上記相関値傾斜値と上記基準相関値傾斜値との差を算出し、算出した差の符号が変化する位相を算出し、算出した位相を上記マルチパスの位相とすることを特徴とする請求項3に記載の拡散信号受信装置。
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