実施の形態1.
<道路線形管理装置の概略説明>
図1は本発明の実施の形態1に係る道路線形管理装置1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施の形態1に係る道路線形管理装置1は、既存道路線形データ100及び新規道路線形データ101などの各種情報を記憶する記憶部2と、既存道路線形データ100が示す道路線形と、新規道路線形データ101が示す道路線形との間の差異を抽出する差異抽出部3とを備えている。差異抽出部3は、代表点設定部4と、データ処理部5と、検索部6と、差異量算出部7とを有している。
既存道路線形データ100は、ある地域での設計当初の道路形状や以前の測量にて得られた道路形状を表す道路線形(以後、「既存道路線形」と呼ぶ)を示すデータであって、新規道路線形データ101は、当該ある地域での新たな測量によって得られた道路形状を表す道路線形(以後、「新規道路線形」と呼ぶ)を示すデータである。
本実施の形態1では、既存道路線形及び新規道路線形のそれぞれは、道路の平面的な形状を示す道路平面線形である。したがって、差異抽出部3では、道路平面線形間の差異が抽出される。つまり、道路間の平面的な形状の差異が抽出される。この差異の抽出方法については後で詳細に説明する。
既存道路線形及び新規道路線形のそれぞれは、線分や円弧、あるいはクロノイド曲線などを表す複数の線形要素15が組み合わされて構成されている。線形要素15は道路の一部の形状を表している。既存道路線形データ100は、既存道路線形を構成する複数の線形要素15をそれぞれ示す複数の線形要素データ18を含んでおり、新規道路線形データ101は、新規道路線形を構成する複数の線形要素15をそれぞれ示す複数の線形要素データ18を含んでいる。以後、既存道路線形を構成する線形要素15とそれを示す線形要素データ18を「既存線形要素15」及び「既存線形要素データ18」とそれぞれ呼び、新規道路線形を構成する線形要素15とそれを示す線形要素データ18を「新規線形要素15」及び「新規線形要素データ18」とそれぞれ呼ぶことがある。
本実施の形態1では、線形要素15が表す図形上には代表点が設定される。そして、各線形要素データ18には、それが示す線形要素15が表す図形上に設定された代表点の座標を示す代表点データ17が含められる。
ここで、本例での座標系は、例えば、xy平面を水平面に、z軸を高さ方向にとった直角座標系とする。より具体的には、適宜設定した原点Oからx軸方向を東方向に、y軸方向を北方向にとり、z軸の座標を標高値とした右手系の座標系とする。なお、座標系として、例えば測量で用いられる平面直角座標系を使用しても良い。座標の単位は例えばメートルとする。
本実施の形態1では、線形要素15が表す図形上の点のうち、当該図形の始点及び終点が代表点に設定される。さらに、当該図形上の点のうち、各座標軸について最大値をとる点及び最小値をとる点が代表点に設定される。本例では、道路線形として道路平面線形が使用されるため、線形要素15が表す図形上の点のうち、x軸での最大値をとる点、x軸での最小値をとる点、y軸での最大値をとる点及びy軸での最小値をとる点が代表点に設定される。そして、線形要素15が表す図形の形状によっては、当該図形の始点と終点との間の点であって、各座標軸について最大値をとる点及び最小値をとる点以外の点が代表点に設定される。
なお、線形要素15が表す図形では、その始点あるいは終点と、ある座標軸での最大値あるいは最小値をとる点とが共通することがある。また、ある座標軸での最大値あるいは最小値をとる点と、他の座標軸での最大値あるいは最小値をとる点とが共通することがある。線形要素15が表す図形上に設定される代表点の数は、当該図形の形状に応じて変化する。
差異抽出部3は、代表点データ17を使用して、既存線形要素15及び新規線形要素15のそれぞれに対する最小外接矩形(MBR:Minimum Bounding Rectangle)19を求める。そして、差異抽出部3は、求めた最小外接矩形19を使用して、新規線形要素15の近傍に既存線形要素15が位置するかどうかを判定し、位置しない場合には、その新規線形要素15を既存道路線形の一部とは一致しないものとして、既存道路線形と新規道路線形との間の差異を大まかに抽出する。その後、差異抽出部3は、代表点データ17を用いて、新規線形要素15とその近傍の既存線形要素15とが一致するか否かを判定し、その判定結果に基づいて既存道路線形と新規道路線形との間の差異を詳細に抽出する。
このように、本実施の形態1では、代表点データ17を使用して、既存道路線形と新規道路線形との間の差異が抽出される。そして、抽出された既存道路線形と新規道路線形との差異に基づいて既存道路線形データ100が更新される。
<線形要素データの詳細説明>
図2は線分21を表す線形要素15を示す図であって、図3は当該線形要素15を示す線形要素データ18を示す図である。図2では線分21に対する最小外接矩形19も示している。図2,3に示されるように、線分21を表す線形要素15は、当該線分21における始点Psのxy座標(xs,ys)と終点Peのxy座標(xe,ye)とを用いて定義されており、当該線形要素15を示す線形要素データ18には、始点Psのxy座標(xs,ys)と終点Peのxy座標(xe,ye)とが含まれている。
線分21を表す線形要素15に対しては、当該線分21の始点Ps及び終点Peが代表点に設定される。ここで、代表点数、つまり、線形要素15が表す図形上に設定される代表点の個数をNとすると、本実施の形態1では、N個の代表点には、始点Psから終点Peに向かう順にQ1〜QNの連番が付与される。線分21を表す線形要素15については、当該線分21の始点Ps及び終点Peがそれぞれ代表点Q1,Q2となる。以下、n番目の代表点をQnで表し(n=1,2,・・・,N)、代表点Qnのxy座標を(xn,yn)とする。
代表点データ17には、代表点Q1のxy座標(x1,y1)と、代表点Q2のxy座標(x2,y2)とが含まれている。また代表点データ17には、代表点数Nが含まれている。線分21を表す線形要素15についてはN=2である。
図2に示されるように、代表点Q1は、線分21上において、x軸について最小値をとる点であるとともに、y軸について最小値をとる点である。一方で、代表点Q2は、線分21上において、x軸について最大値をとる点であるとともに、y軸について最大値をとる点である。したがって、線分21上に設定された代表点には、線分21上において、各座標軸について最大値をとる点及び最小値をとる点が含まれている。以後、線形要素15が表す図形上の点のうち、ある座標軸での最小値をとる点を「座標最小点Pmin」と呼び、ある座標軸での最大値をとる点を「座標最大点Pmax」と呼ぶことがある。
このように、本実施の形態1では、線分21の始点Ps及び終点Peが代表点Q1,Q2にそれぞれ設定される。また、代表点数Nが“2”であるため、線形要素15が表す図形が線分21であることが理解できる。したがって、代表点Q1,Q2の間を線分で接続することによって、線形要素15が表す線分21を正確に復元することができる。
図4は円弧22を表す線形要素15を示す図であって、図5は当該線形要素15を示す線形要素データ18を示す図である。また、図6は他の形状の円弧22を表す線形要素15を示す図であって、図7は当該線形要素15を示す線形要素データ18を示す図である。図4,6では円弧22に対する最小外接矩形19も示している。
図4〜7に示されるように、円弧22を表す線形要素15は、当該円弧22の中心Cのxy座標(xc,yc)と、半径Rと、中心Cから始点Psに向かうベクトルの角度θsと、中心Cから終点Peに向かうベクトルの角度θeとを用いて定義されている。円弧22を表す線形要素15を示す線形要素データ18には、中心Cのxy座標(xc,yc)と、半径Rと、角度θs,θeとが含まれている。なお、角度θs,θeのように、中心Cから円弧22上のある点に向かうベクトルの角度は、中心Cからx軸方向に沿って延びるベクトルから、対象のベクトルまでを反時計周りに計測した角度である。
中心Cから円弧22上のある点に向かうベクトルの角度をθ(θs≦θ≦θe)とすると、中心Cのxy座標は、(xc+Rcosθ,yc+Rsinθ)と表現することができる。したがって、始点Psのxy座標は(xc+Rcosθs,yc+Rsinθs)と、終点Peのxy座標は(xc+Rcosθe,yc+Rsinθe)と表現することができる。
円弧22を表す線形要素15に対しては、円弧22の始点Ps及び終点Peが代表点に設定される。さらに、当該線形要素15に対しては、始点Ps及び終点Peを除く円弧22上の点のうち、各座標軸についての座標最大点Pmax及び座標最小点Pminが代表点に設定される。例えば、θs及びθeが0°ではなく、かつθの範囲が0°を含む場合には、θが0°となる円弧22上の点が、x軸についての座標最大点Pmaxとなり、当該点が代表点に設定される。また、θs及びθeが90°ではなく、θの範囲が90°を含む場合には、θが90°となる円弧22上の点が、y軸についての座標最大点Pmaxとなり、当該点が代表点に設定される。また、θs及びθeが180°ではなく、θの範囲が180°を含む場合には、θが180°となる円弧22上の点が、x軸についての座標最小点Pminとなり、当該点が代表点に設定される。また、θs及びθeが270°ではなく、θの範囲が270°を含む場合には、θが270°となる円弧22上の点が、y軸についての座標最小点Pminとなり、当該点が代表点に設定される。そして、N個の代表点には、始点Psから終点Peに向かう順にQ1〜QNの連番が付与される。
図4の例では、θの範囲は0°<θ<270°であるため、始点Psと、θが90°となる円弧22上の点(y軸についての座標最大点Pmax)と、θが180°となる円弧上の点(x軸についての座標最小点Pmin)と、終点Peとが、それぞれ代表点Q1〜Q4にそれぞれ設定される。なお図4の例では、始点Psはx軸についての座標最大点Pmaxであり、終点Peはy軸についての座標最小点Pminである。
また、図6に示されるように、θの範囲が0°、90°、180°及び270°のいずれも含まない場合には、始点Ps及び終点Pe以外の円弧22上の点において、各座標軸について最大値をとる点及び最小値をとる点が存在しないことから、当該円弧22に対しては始点Ps及び終点Peの2つの代表点しか設定されなくなる。後述のように、円弧22を正確に復元するためには、少なくとも3つの代表点が必要である。そこで、このような場合には、円弧22上において、始点Psと終点Peとの間の点(以後、「中間点Pm」と呼ぶ)を代表点に設定する。例えば、図6に示されるように、円弧22上において、始点Ps及び終点Peから等しい距離にある中間点Pmを代表点に設定する。したがって、図6の円弧22に対しては、始点Ps、中間点Pm及び終点Peが、代表点Q1〜Q3にそれぞれ設定される。
円弧22を表す線形要素15に対応する代表点データ17には、円弧22に設定された各代表点のxy座標と代表点数Nが含まれている。円弧22の場合には、代表点数Nは3〜6までの値となる。
円弧22を表す線形要素15については、代表点を用いて正確に復元することができる。図6に示されるように、N=3の場合には、連続する3つの代表点Q1〜Q3の間を結ぶ円弧を求めることによって、円弧22を正確に復元できる。またN≧4の場合には、連続する3つの代表点Qn,Qn+1,Qn+2の間を結ぶ円弧を求めて、当該円弧のうち代表点Qn,Qn+1間を結ぶ部分を、円弧22における代表点Qn,Qn+1間の領域の復元領域とする。この復元領域を、n=1,2,・・・,N−2のそれぞれについて求める。代表点QN−1,QN間の領域については、代表点QN−2,QN−1,QNの間を結ぶ円弧のQN−1,QN間を結ぶ部分を復元領域とする。このようにして得られた複数の復元領域を組み合わせることによって、円弧22を正確に復元することができる。
なお、連続する2つの代表点Qn,Qn+1の間を結ぶ線分を、n=1,2,・・・,N−1のそれぞれについて求めて、得られた複数の線分を組み合わせることによって、ある程度の精度で円弧22を復元することができる。
また、復元精度は大きく低下するものの、円弧22の始点Ps及び終点Peのみを代表点として設定し(N=2)、当該2つの代表点間を結ぶ線分を円弧22の復元図形としても良い。
図8はクロソイド曲線23を表す線形要素15を示す図であって、図9は当該線形要素15を示す線形要素データ18を示す図である。図8ではクロソイド曲線23に対する最小外接矩形19も示している。
図8,9に示されるように、クロソイド曲線23を表す線形要素15は、当該クロソイド曲線23の始点Psのxy座標(xs,ys)と、終点Peのxy座標(xe,ye)と、始点Psでの曲率半径rsと、終点Peでの曲率半径reと、クロソイドパラメータAと、曲がりの向きを示す方向パラメータDとを用いて定義されており、クロソイド曲線23を表す線形要素15を示す線形要素データ18には、これらの情報が含まれている。
方向パラメータDは、クロソイド曲線23がクロソイド原点から反時計回りに曲がっている場合には“0”を示し、時計回りに曲がっている場合には“1”を示す。また、クロソイドパラメータAは、以下の式(1)で表される。
ただし、Lはクロソイド曲線23上のある点でのクロソイド原点からの弧長を示し、rは当該ある点での曲率半径を示している。
クロソイド曲線23を表す線形要素15に対しては、クロソイド曲線23の始点Ps及び終点Peがそれぞれ代表点に設定される。さらに、当該線形要素15に対しては、始点Psと終点Peとの間の点が代表点に設定される。例えば、始点Ps及び終点Peでのクロソイド原点からの弧長をそれぞれ“Ls”及び“Le”とすると、Ls<Leの場合には、クロソイド曲線23上に、始点Psから終点Peに向かって一定間隔δで中間点Pmをとり、当該中間点Pmを代表点とする。これに対して、Le<Lsの場合には、クロソイド曲線23上に、終点Peから始点Psに向かって一定間隔δで中間点Pmをとり、当該中間点Pmを代表点とする。隣り合う2つの中間点Pmの間の弧長はδとなり、δは例えば1mに設定される。
さらに、クロソイド曲線23を表す線形要素15に対しては、始点Ps、終点Pe及び中間点Pmを除くクロソイド曲線23上の点のうち、各座標軸についての座標最大点Pmax及び座標最小点Pminが代表点に設定される。
このようにして、クロソイド曲線23を表す線形要素15に対しては、始点Ps及び終点Peを含む少なくとも3つの点を代表点として設定する。図8の例では、代表点数N=5であって、始点Ps、y軸についての座標最大点Pmax、2つの中間点Pm及び終点Peが代表点Q1〜Q5にそれぞれ設定される。なお、図8の例では、始点Psはx軸についての座標最大点Pmaxであり、終点Peはx軸及びy軸についての座標最小点Pminである。
クロソイド曲線23を表す線形要素15に対応する代表点データ17には、クロソイド曲線23に設定された各代表点のxy座標と代表点数Nが含まれている。中間点Pmのxy座標について以下のようにして求めることができる。
クロソイド曲線23の始点Psにおけるクロソイド原点からの弧長Lsと、クロソイド曲線23の終点Peにおけるクロソイド原点からの弧長Leとは、上記式(1)を用いて、以下の式(2),(3)でそれぞれ表すことができる。
中間点Pmでのクロソイド原点からの弧長Lmは、Ls<Leの場合には、
となり、Le<Lsの場合には、
となる。
ただし、h=1,2,・・・である。
上述の特許文献3に記載されている技術を利用すると、クロソイド原点を座標原点とするXY座標系において、クロソイド曲線23上での、クロソイド原点からの弧長L、曲率半径rである点のXY座標は以下の式(6),(7)で表される。
式(1)を用いて、式(6),(7)中のrを消去すると、以下の式(8),(9)となる。
ただし、方向パラメータDが“1”を示す場合、つまりクロソイド曲線23が時計回りに曲がっている場合には、Y座標の符号を反転する。
式(8),(9)を用いて、クロソイド曲線23の始点Ps及び終点PeについてのXY座標を求めて、これらのXY座標が、線形要素データ18に含まれている始点Ps及び終点Peのxy座標とそれぞれ一致するように、式(8),(9)で表される、弧長Lの点のXY座標に対して回転及び平行移動による一次等角変換を行う。これにより、弧長Lの点のxy座標を求める式が得られる。この式を用いて、弧長Lmの中間点Pmのxy座標を求めて、代表点データ17に含める。
クロソイド曲線23を表す線形要素15については、円弧22の場合と同様にして、代表点を用いて復元することができる。N=3の場合には、連続する3つの代表点Q1〜Q3の間を結ぶ円弧を求めて、これをクロソイド曲線23の復元曲線とする。またN≧4の場合には、連続する3つの代表点Qn,Qn+1,Qn+2の間を結ぶ円弧を求めて、当該円弧のうち代表点Qn,Qn+1間を結ぶ部分を、クロソイド曲線23における代表点Qn,Qn+1間の領域の復元領域とする。この復元領域を、n=1,2,・・・,N−2のそれぞれについて求めて、得られた複数の復元領域を組み合わせることによって、クロソイド曲線23をある程度の精度で復元することができる。
なお、円弧22の場合と同様に、連続する2つの代表点Qn,Qn+1の間を結ぶ線分を、n=1,2,・・・,N−1のそれぞれについて求めて、得られた複数の線分を組み合わせることによっても、精度は落ちるもののクロソイド曲線23を復元することができる。
また、復元精度は大きく低下するものの、クロソイド曲線23の始点Ps及び終点Peのみを代表点として設定し(N=2)、当該2つの代表点間を結ぶ線分をクロソイド曲線23の復元図形としても良い。
以上のように、代表点データ17には、少なくとも線形要素15の始点Ps及び終点Peの座標が含まれていることから、線形要素15の記述形式に関わらず、代表点データ17によって線形要素15をある程度の精度で特定することができる。また本実施の形態1のように、代表点データ17に、線形要素15の始点Ps及び終点Peの間の中間点Pmの座標をさらに含めることによって、線形要素15を特定する精度が向上する。
また、代表点データ17には、各座標軸についての座標最大点Pmax及び座標最小点Pminの座標が含まれているため、線形要素15を高精度で特定できるとともに、代表点データ17を用いて線形要素15に対する最小外接矩形19を簡単に求めることができる。
以上では、線形要素15が線分、円弧、クロソイド曲線を表す場合についての代表点の設定方法について説明したが、線形要素15がこれら以外の図形を表す場合は、当該図形の形状に合わせて代表点を設定すれば良い。例えば、線形要素15が放物線を表す場合には、y軸についての座標最大点Pmaxあるいは座標最小点Pminが容易に特定でき、この点と、始点Ps及び終点Peと、放物線上に一定間隔で設定された中間点Pmとを代表点に設定する。
線形要素データ18には、線形要素15を特定する識別番号や道路幅員などの属性情報を含めても良い。既存道路線形データ100及び新規道路線形データ101には、線形要素データ18以外の情報を含めても良い。例えば、道路の縦断面の形状を表す道路縦断線形を構成する線形要素を示す線形要素データや、道路の測量を行った測量事務所名などを含めても良い。
<道路線形管理装置の動作説明>
次に、本道路線形管理装置1での道路線形間の差異抽出処理について説明する。図10は当該差異抽出処理を示すフローチャートである。本道路線形管理装置1では、図11に示されるように、新規道路線形データ101が示す新規道路線形39のうち、既存道路線形データ100が示す既存道路線形38とは異なる領域を変化域25として抽出する。具体的には、新規道路線形39のうち、既存道路線形38から許容値ε内の領域40からはみ出た部分を変化域25として抽出する。許容値εは例えば1mに設定される。また、本道路線形管理装置1において、道路線形間の差異抽出処理の開始時点では、記憶部2には、代表点データ17を含む既存道路線形データ100と、代表点データ17を含まない新規道路線形データ101とが記憶されている。新規道路線形データ101については、道路線形間の差異抽出処理において代表点データ17が含められる。
まずステップST101において、代表点設定部4は、新規道路線形データ101に含まれる新規線形要素データ18のそれぞれに対応して代表点データ17を生成する。このとき、上述のように、新規線形要素15が表す図形に応じて代表点が設定される。そして代表点設定部4は、生成した代表点データ17を、対応する新規線形要素データ18に含めて記憶部2に記憶する。
次にステップST102において、データ処理部5は、新規線形要素15の番号を示す変数mを“1”に設定する。ここで、新規道路線形データ101には、M個の新規線形要素15をそれぞれ示すM個の新規線形要素データ18が含まれており、当該M個の新規線形要素15には1番からM番までの番号が付与されている。またデータ処理部5は、既存道路線形38の一部と一致しない新規線形要素15を示す新規線形要素データ18を格納するリストLTを初期化し、その中のデータを空にする。このリストLTは記憶部2内に設けられている。
次にステップST103において、データ処理部5は、記憶部2内の新規道路線形データ101から、m番目の新規線形要素15を示す新規線形要素データ18(以後、「m番目の新規線形要素データ18」と呼ぶ)を取り出して検索部6に出力する。そして、データ処理部5は、検索部6にステップST104を実行させる。
ステップST104では、検索部6は、既存道路線形データ100内の複数の既存線形要素データ18が示す複数の既存線形要素15から、m番目の新規線形要素15の近傍に位置する要素を検索する。このとき、m番目の新規線形要素15に対する最小外接矩形19と、複数の既存線形要素15のそれぞれに対する最小外接矩形19とを使用する。以下にステップST104での処理について詳細に説明する。
図12はステップST104での処理を説明するための図である。まず、検索部6は、m番目の新規線形要素15に対応する代表点データ17、特にそれに含まれる座標最大点Pmax及び座標最小点Pminの座標を用いて、m番目の新規線形要素15(以後、「新規線形要素15m」と呼ぶことがある)に対する最小外接矩形19を求める。図12に示すように、m番目の新規線形要素15mに対する最小外接矩形19は、点Rminと点Rmaxとで特定することができる。点Rminは、m番目の新規線形要素15mに設定されたすべての代表点のx座標において値が最も小さいx座標xmina、つまりx軸についての座標最小点Pminのx座標と、m番目の新規線形要素15mに設定されたすべての代表点のy座標において値が最も小さいy座標ymina、つまりy軸についての座標最小点Pminのy座標とで与えられる点である。したがって、点Rminのxy座標は(xmina,ymina)となる。また、点Rmaxは、m番目の新規線形要素15mに設定されたすべての代表点のx座標において値が最も大きいx座標xmaxa、つまりx軸について座標最大点Pmaxのx座標と、m番目の新規線形要素15mに設定されたすべての代表点のy座標において値が最も大きいy座標ymaxa、つまりy軸について座標最大点Pmaxのy座標とで与えられる点である。したがって、点Rmaxのxy座標は(xmaxa,ymaxa)となる。
次に検索部6は、求めた最小外接矩形19を許容値εだけ四方に広げた検索領域28を求める。検索領域28は、点RRminと点RRmaxとで特定することができる。点RRminのxy座標は(xminb,yminb)であって、点RRmaxのxy座標は(xmaxb,ymaxb)である。ここで、xminb=xmina−ε、yminb=ymina−ε、xmaxb=xmaxa+ε、ymaxb=ymaxa+εである。
次に検索部6は、複数の既存線形要素15のそれぞれに対して最小外接矩形19を求める。この最小外接矩形19は、点Tmaxと点Tminとで特定することができる。点Tminは、既存線形要素15に設定されたすべての代表点のx座標において値が最も小さいx座標xmincと、既存線形要素15に設定されたすべての代表点のy座標において値が最も小さいy座標ymincとで与えられる点である。したがって、点Tminのxy座標は(xminc,yminc)となる。また、点Tmaxは、既存線形要素15に設定されたすべての代表点のx座標において値が最も大きいx座標xmaxcと、既存線形要素15に設定されたすべての代表点のy座標において値が最も大きいy座標ymaxcとで与えられる点である。したがって、点Tmaxのxy座標は(xmaxc,ymaxc)となる。
次に検索部6は、複数の既存線形要素15のうち、その最小外接矩形19が検索領域28と重なるものを検索する。つまり、検索部6は、xminb≦xmaxc、かつyminb≦ymaxc、かつxminc≦xmaxb、かつyminc≦ymaxbとなる最小外接矩形19を有する既存線形要素15を検索する。
一般的に、最小外接矩形は図形の空間検索を行う際に有効な情報である。ある検索領域内に入る図形を検索する場合、その検索領域の最小外接矩形と、図形の最小外接矩形とを比較し、両最小外接矩形間に共通領域がない場合には、その検索領域と図形との間には交差及び接触がないため、その図形は検索領域内にはないと判定できる。このように、最小外接矩形を用いた検索では、図形と検索領域との詳細な比較を省略できるため、簡単に少ない演算量で検索を実行することができる。
上記のような検索を高速に行うために、既存道路線形データ100を多次元データで構成し、k−d木やR木を利用して記憶部2内で管理するようにしてもよい。この場合には、図形データたる既存道路線形データ100を木構造に階層化してグループ管理し、各ノードに、そのノードが管理する図形データが示す全図形を包含する最小外接矩形を持たせる。ノードに割り当てられた最小外接矩形を用いることにより、そのノード以下のノードが管理する図形データが示す全図形と検索領域との比較を一気に行うことができる。多次元データについては上記の非特許文献1に記載されている。
また、市販あるいは公開のデータベースソフトウェアの中には、最小外接矩形による空間検索を行うテスト関数を有しているものもあるため、そのテスト関数を利用して、上記検索を行っても良い。
次にステップST105において、データ処理部5は、ステップST104において、検索領域28内の既存線形要素15が検索されたかどうかを判定する。そして、データ処理部5は、ステップST105において既存線形要素15が検索されていれば、差異量算出部7にステップST106を実行させる。
一方で、ステップST105において既存線形要素15が検索されていなければ、m番目の新規線形要素15mの近傍には既存線形要素15が存在しないことになるため、この場合には、データ処理部5は、m番目の新規線形要素15mは、既存道路線形38を構成する複数の既存線形要素15のいずれとも一致しないと判定して、m番目の新規線形要素15mを変化域25の一部であると認定する。そして、データ処理部5は、ステップST108において、変化域25の一部であると認定したm番目の新規線形要素15mを示す新規線形要素データ18をリストLTに追加する。
ステップST106では、差異量算出部7は、m番目の新規線形要素15mと、ステップST104で検索された既存線形要素15、つまりm番目の新規線形要素15mの近傍に位置する既存線形要素15との間の差異の目安となる差異量eを算出する。以下に、ステップST106での処理について詳細に説明する。
図13はステップST106での処理を説明するための図である。まず、差異量算出部7は、ステップST104で検索された既存線形要素15のそれぞれを上述のように代表点データ17を用いて復元する。そして、差異量算出部7は、復元した全既存線形要素15で表される図形29と、m番目の新規線形要素15mに設定された各代表点との間の距離λを算出する。本例では、代表点Qnと図形29との間の距離をλnとする。
ここで、上述のように、線分を表す既存線形要素15は2つの代表点の間を結ぶ線分(以後、「復元線分」と呼ぶ)で復元される。また、円弧やクロソイド曲線などの曲線を表す既存線形要素15は、N=3のときには、連続する3つの代表点Qn,Qn+1,Qn+2の間を結ぶ円弧(以後、「復元円弧」と呼ぶ)で復元され、N≧4のときには、連続する3つの代表点Qn,Qn+1,Qn+2の間を結ぶ円弧のうち、代表点Qn,Qn+1間を結ぶ部分(以後、「復元部分円弧」と呼ぶ)が複数組み合わされて復元される。したがって、差異量算出部7で復元された全既存線形要素15で表される図形29は、復元線分、復元円弧及び復元部分円弧の少なくとも一つを含む図形となる。ここで、図形29を構成する復元線分、復元円弧及び復元部分円弧を総称して「復元要素図形24」と呼ぶ。したがって、図形29は一つあるいは複数の復元要素図形24で構成される。
差異量算出部7は、算出した距離λ1〜λNのうちの最大値を差異量eとする。つまり、差異量eは、m番目の新規線形要素15mに設定されたN個の代表点のうち、図形29よりも最も離れた点と、当該図形29との間の距離を示す。なお本実施の形態1では、ある点と図形29との間の距離とは、当該点から図形29におろした垂線の足と、当該点との距離である。
上記例では、m番目の新規線形要素15mに設定された代表点の座標(代表点データ17)と、復元された既存線形要素15である復元既存線形要素とを用いて差異量eを決定していたが、差異量eを精度良く求めるために、代表点の座標を用いてm番目の新規線形要素15mを復元し、復元されたm番目の新規線形要素15mである復元新規線形要素と、復元既存線形要素とを用いて差異量eを決定しても良い。
例えば、m番目の新規線形要素15mが線分を表す場合には、図14に示されるように、代表点データ17を用いて復元線分36(復元新規線形要素)を生成し、当該復元線分36上の複数の点において図形29との距離が最も大きい点31と、復元既存線形要素から構成される図形29との間の距離を求めて、これを差異量eとする。
また、m番目の新規線形要素15mが円弧やクロソイド曲線などの曲線を表す場合には、代表点データ17を用いて複数の復元部分円弧を生成する。そして、復元部分円弧上の複数の点において図形29との距離が最も大きくなる点と、図形29との間の距離を距離γi(i=1,2,・・・)とする。この距離γiを、生成した復元部分円弧ごとに求めて、得られた複数の距離γiのうちの最大値を差異量eとする。代表点データ17から復元されたm番目の新規線形要素15m上の点のうち、図形29と最も離れた点32は、図形29との間に距離γiの最大値(図15ではγ1)を与える点となる。
次に、ステップST107において、データ処理部5は、m番目の新規線形要素15mについての差異量eが許容値ε以下であるかどうかを判定する。データ処理部5は、差異量eが許容値ε以下であれば、m番目の新規線形要素15mが、ステップST104で検索された既存線形要素15、つまりm番目の新規線形要素15mの近傍に位置する既存線形要素15と一致すると判定し、ステップST109を実行する。
一方で、データ処理部5は、m番目の新規線形要素15mについての差異量eが許容値εよりも大きければ、当該m番目の新規線形要素15mは、ステップST104で検索された既存線形要素15と一致しないと判定して、当該m番目の新規線形要素15mが変化域25の一部であると認定する。そして、データ処理部5は上述のステップST108を実行する。
ステップST107,ST108のいずれかが実行されると、ステップST109において、データ処理部5は、変数mの値に1を加算する。そして、ステップST110において、データ処理部5は、変数mの値がM以下であるか判定する。データ処理部5は、変数mの値がM以下であれば、再度上述のステップST103を実行し、そうでなければ、ステップST111を実行する。ステップST111では、データ処理部5は、リストLTに登録されている新規線形要素データ18を、既存線形要素データ18として、記憶部2内の既存道路線形データ100に追加する。
以上のようにして、新規道路線形39のうち既存道路線形38とは異なる領域が変化域25として抽出され、その変化域25を構成する新規線形要素15を示す新規線形要素データ18が既存道路線形データ100に追加される。これにより、既存道路線形データ100に、新しい道路の形状を示す情報が追加されて、当該既存道路線形データ100が更新される。
なお、記憶部2にリレーショナルデータベースを構成し、既存道路線形データ100が当該リレーショナルデータベースに格納されている場合には、ステップST111において既存道路線形データ100に追加する各新規線形要素データ18はレコードとして新規に当該リレーショナルデータベースに格納される。
また、既存道路線形データ100及び新規道路線形データ101をリレーショナルデータベースで保持する場合は、線形要素15を記述するパラメータ(始点Psや終点Peの座標など)については、パラメータ個々に対して必要となるクエリが実行できるように、パラメータごとに個別のカラムに格納する。一方で、代表点データ17に含まれるN個の座標は、変化域25を抽出する際に同時に必要となるため、線形要素15を記述するパラメータとは別のカラムにまとめて格納する。例えば、MySQLデータベースの場合には、GEOMETRY型の要素間で双方の最小外接矩形の交差の有無を調べるテスト関数が用意されており、このテスト関数が使えるGEOMETRY型の一種であるLINESTRING型のカラムに、代表点データ17に含まれるN個の座標をまとめて格納する。そして、既存道路線形データ100及び新規道路線形データ101に含まれる複数の代表点データ17に同一のカラム名を付与しておけば、既存道路線形データ100あるいは新規道路線形データ101が複数のデータベースやテーブルに分かれて格納されている場合であっても、当該データベースあるいは当該テーブルが、その同一カラム名のカラムを有するかどうかで、そこに線形要素データ18が格納されているかどうかを判定することができる。図3,5,7,9に示されるように、線形要素データ18においては、線形要素15を記述するための座標と、代表点の座標とが重複することがある。
また上記例では、新規線形要素15が、変化域25の一部であるかどうか、つまり既存線形要素15と一致するかどうかを判定する際には、差異量eを判定基準に使用していたが、他の判定基準を使用しても良い。
また上記例では、円弧あるいはクロソイド曲線を、代表点データ17から得られる復元円弧で、あるいは復元部分円弧を組み合わせて復元していたが、上述のように、2つの代表点間を結ぶ線分を用いて復元しても良いし、他の方法で復元しても良い。
また上記例では、線形要素15を記述するパラメータにおける座標と代表点の座標とは直交座標系で表現されていたが、緯度経度で表現しても良い。この場合には、変化域25を抽出する際に、代表点データ17に含まれる代表点の座標を直交座標系での値に変換しても良いし、そのまま緯度経度で表現された状態で使用しても良い。緯度経度を用いた場合であっても、最小外接矩形19は上記と同じように求めることができる。ただし、検索領域28を規定する許容値εについては、メートル単位から緯度経度の単位に変換する必要があり、差異量eの算出は座標を直交座標系に変換して行う。
また上記例では、線形要素15に設定された複数の代表点の座標を単一のカラムに格納していたが、複数のカラムに分けて格納しても良い。例えば、検索部6で最小外接矩形19を求める際に使用される座標最大点Pmax及び座標最小点Pminの座標を代表点データ17から取り出して、これらを代表点データ17とは別のカラムに格納しても良い。この場合には、最小外接矩形19を求める際に、座標最大点Pmax及び座標最小点Pminの座標だけを簡単に取り出すことができる。
以上のように、本実施の形態1では、線形要素15が表す図形上に設定された代表点の座標を用いて、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を抽出しているため、線形要素15の記述形式に関わらず、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を簡単に抽出することができる。また、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を抽出する際には代表点データ17のみを使用するため、既存道路線形データ100及び新規道路線形データ101において、代表点データ17以外の情報をどのようなデータ形式で保持していても問題とならない。また、代表点データ17を生成する際には、そのときの線形要素15の記述形式だけを考慮すれば良く、その線形要素15の過去の記述形式や変更後の記述形式は考慮する必要は無い。
また、本実施の形態1では、線形要素15に設定される代表点には、当該線形要素15が表す図形の始点Ps及び終点Peが含まれているため、当該代表点の座標によって各種線形要素15をある程度の精度で特定することができる。よって、当該代表点の座標を使用して、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異をある程度の精度で抽出することができる。
また、本実施の形態1では、線形要素15に設定される代表点には、当該線形要素15が表す図形の始点Ps及び終点Peだけではなく、それらの間の点も含まれているため、当該代表点の座標によって各種線形要素15を精度良く特定することができる。よって、当該代表点の座標を使用して、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を精度良く抽出することができる。
また、本実施の形態1では、線形要素15に設定される代表点には、当該線形要素15が表す図形上において、各座標軸についての座標最大点Pmax及び座標最小点Pminが含まれているため、当該代表点の座標によって線形要素15を精度良く特定することができる。よって、当該代表点の座標を使用して、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を精度良く抽出することができる。さらに、各座標軸についての座標最大点Pmax及び座標最小点Pminの座標を用いて、線形要素15に対する最小外接矩形19を簡単に求めることができる。
また、本実施形態1では、上述のステップST104,ST105において、既存道路線形38の一部である既存線形要素15に対する最小外接矩形19と、新規道路線形39の一部である新規線形要素15に対する最小外接矩形19とを使用して、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を抽出するため、当該差異を抽出する処理を簡素化できる。
また、本実施の形態1では、線形要素15に設定された代表点の数が3個以上の場合には、3つの代表点間を結ぶ円弧を用いて線形要素15を復元しているため、円弧やクロソイド曲線等の曲線を表す線形要素15を精度良く復元することができる。よって、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を精度良く抽出することができる。
なお上述のように、円弧やクロソイド曲線などの曲線を表す線形要素15の場合であっても、当該線形要素15を、2つの代表点間を結ぶ線分を用いて復元することによって、当該線形要素15をある程度の精度を維持しつつ簡単に復元することができる。この場合には、既存道路線形38と新規道路線形39との間の差異を、ある程度の精度を維持しつつ簡単に抽出することができる。
実施の形態2.
図16は本発明の実施の形態2に係る道路線形管理システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態2に係る道路線形管理システムは、例えばクライアントサーバシステムである。図16に示されるように、本実施の形態2に係る道路線形管理システムは、サーバとして機能する道路線形管理装置201と、それぞれがクライアントして機能する複数の道路線形管理端末装置210とを備えており、道路線形管理装置201と、複数の道路線形管理端末装置210のそれぞれとは、通信ネットワーク220で接続されている。なお図16では、複数の道路線形管理端末装置210のうちの一つを示している。
本実施の形態2に係る道路線形管理装置201は、記憶部202と、差異抽出部203と、データ送受信部204とを備えている。記憶部202は、上述の既存道路線形データ100を記憶している。差異抽出部203は、上述の実施の形態1に係る差異抽出部3において代表点設定部4を備えていないものである。つまり、差異抽出部203は、上述のデータ処理部5、検索部6及び差異量算出部7を備えている。データ送受信部204は、通信ネットワーク220を通じて、各道路線形管理端末装置210との間でデータの送受信を行う。
道路線形管理端末装置210は、記憶部211と、データ送受信部212と、表示部213と、上述の代表点設定部4とを備えている。記憶部211は、上述の新規道路線形データ101を記憶している。データ送受信部212は、通信ネットワーク220を通じて、道路線形管理装置201との間でデータの送受信を行う。表示部213は各種情報を表示することが可能であって、例えば液晶ディスプレイ装置である。
本実施の形態2に係る道路線形管理システムでは、各道路線形管理端末装置210において、新規道路線形を構成する複数の新規線形要素15のそれぞれに対応して代表点データ17が生成されて、当該代表点データ17を含む新規道路線形データ101が通信ネットワーク220を通じて、道路線形管理装置201に入力される。道路線形管理装置201は、それ自身が記憶する既存道路線形データ100に含まれる代表点データ17と、入力された新規道路線形データ101に含まれる代表点データ17とを用いて、既存道路線形と新規道路線形との間の差異、具体的には上述の変化域25を抽出する。そして、道路線形管理装置201は、抽出した変化域25を構成する新規線形要素15を示す新規線形要素データ18を、通信ネットワーク220を通じて道路線形管理端末装置210に出力する。道路線形管理端末装置210は、道路線形管理装置201から受け取った新規線形要素データ18に基づいて変化域25を表示する。以下に、本道路線形管理システムの動作について詳細に説明する。
図17は道路線形管理端末装置210の動作を示すフローチャートである。図17に示されるように、ステップST1において、代表点設定部4は、実施の形態1と同様にして、記憶部211内の新規道路線形データ101に含まれる複数の新規線形要素データ18のそれぞれに対応して代表点データ17を生成する。そして、代表点設定部4は、生成した代表点データ17を、それに対応する新規線形要素データ18に含めて記憶部211に記憶する。
次にステップST2において、データ送受信部212は、代表点データ17を含む新規道路線形データ101を記憶部211内から読み出して、通信ネットワーク220を通じて道路線形管理装置201に出力する。このとき、新規道路線形データ101は、例えばXML(Extensible Markup Language)形式のデータで送信される。新規道路線形データ101中の複数の新規線形要素データ18にはデータごとに個別にXMLのタグが付与されており、新規道路線形データ101中の複数の代表点データ17に対しては、特定の文字列で示される共通のタグが付与されている。
次にステップST3において、データ送受信部212が、道路線形管理装置201で抽出された変化域25を構成する新規線形要素15を示す新規線形要素データ18を受信すると、ステップST4において、表示部213は、当該新規線形要素データ18に基づいて変化域25を例えば道路地図上に重ねて表示する。道路線形管理装置201から出力されるデータはXML形式のデータである。
図18は道路線形管理装置201の動作を示すフローチャートである。図18に示されるように、ステップST201において、データ送受信部204は、ある道路線形管理端末装置210から、代表点データ17を含む新規道路線形データ101を受信すると、当該新規道路線形データ101を記憶部202に記憶する。なお、記憶部202内の既存道路線形データ100には既に代表点データ17が含められている。
ステップST201が実行されると、データ処理部5は上述のステップST102,ST103を順次実行する。その後、実施の形態1と同様にして、上述のステップST104〜ST111が実行される。これにより、記憶部202内の既存道路線形データ100には、差異抽出部203で抽出された変化域25を構成する新規線形要素15を示す新規線形要素データ18が含められる。
次にステップST202において、データ送受信部204は、記憶部202内から、リストLTに登録されている新規線形要素データ18を読み出して、ステップST201で新規道路線形データ101を受信した道路線形管理端末装置210に送信する。
以上のようにして、道路線形管理端末装置210から新規道路線形データ101が道路線形管理装置201に送信され、道路線形管理装置201は、受け取った新規道路線形データ101が示す新規道路線形と、自身が記憶する既存道路線形データ100が示す既存道路線形との間の差異を抽出し、その差異に関する情報を道路線形管理端末装置210に送信する。そして、道路線形管理端末装置210は、道路線形管理装置201から受け取った情報を表示する。これにより、道路線形管理端末装置210を利用するユーザは、新たな測量によって得られた新規道路線形と、道路線形管理装置201で管理されている既存道路線形との間の差異を視覚的に確認することができる。
なお、代表点データ17に含まれる、線形要素15に設定された複数の代表点の座標については、実施の形態1と同様に、単一のカラムに格納しても良いし、複数のカラムに分けて格納しても良い。
また上記例では、XML形式のデータたる代表点データ17に対して単一のタグを付与していたが、代表点データ17に含まれる座標の一部を取り出して、それに当該代表点データとは異なるタグを付与しても良い。例えば、検索部6で最小外接矩形19を求める際に使用される座標最大点Pmax及び座標最小点Pminの座標を代表点データ17から取り出して、それらに当該代表点データ17とは別のタグを付与しても良い。
以上のように、本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、線形要素15が表す図形上に設定された代表点の座標を用いて、既存道路線形と新規道路線形との間の差異を抽出しているため、線形要素15の記述形式に関わらず、既存道路線形と新規道路線形との間の差異を簡単に抽出することができる。
また、本実施の形態2では、サーバである道路線形管理装置201にて既存道路線形を一括管理している。そして、道路線形管理装置201は、クライアントである道路線形管理端末装置210から送信される新規道路線形データ101が表す新規道路線形と、自身が管理する既存道路線形との差異を抽出し、その差異に基づいて既存道路線形データ100を更新している。したがって、複数のクライアントから、サーバ内の既存道路線形データ100に対する更新作業を実施することができる。また、各道路線形管理端末装置210は、道路線形管理装置201内の既存道路線形データ100を参照することによって、最新の道路線形データを利用することができる。
また、本実施の形態2では、新規線形要素15に対応する代表点データ17を生成する処理は、道路線形管理端末装置210において実行されるため、新規線形要素15の記述形式については道路線形管理端末装置210において把握されていればよく、その記述形式が変更になったとしても、サーバである道路線形管理装置201で実行される変化域25を抽出する処理は何ら影響を受けることはない。
実施の形態3.
上述の実施の形態1,2では、既存道路線形及び新規道路線形を、線分や曲線を組み合わせて構成していたが、点列つまり複数の点で構成しても良い。つまり、本願発明における道路線形には、線で構成されたものだけではなく、点列で構成されたものも含む。
例えば、GPS受信機を搭載した車両が道路上を走行した場合、当該GPS受信機において車両の時系列の位置情報が離散的に得られる。この離散的な位置情報は道路の形状を表す。したがって、GPS受信機で得られた位置情報を用いて道路線形を表すと、当該道路線形は点列で構成されることになる。本実施の形態3では、新規道路線形が点列で構成された場合における変化域25の抽出方法について説明する。
図19は本実施の形態3に係る新規道路線形を示す図である。図19に示されるように、新規道路線形を構成する各新規線形要素15は点を表しており、新規道路線形はM個の新規線形要素15、つまりM個の点で構成されている。M個の点には1番〜M番までの番号が付与されており、m(1≦m≦M)番目の点を点Umとする。
図20はm番目の点Umを示す新規線形要素データ18を示す図である。図20に示されるように、点Umを示す新規線形要素データ18には、点Umのxy座標が含まれている。また点Umを表す新規線形要素15に対しては点Umが代表点Q1として設定される。代表点データ17には、代表点Q1のxy座標(x1,y1)と、代表点数N(=1)とが含まれている。
図21,22は本発明の実施の形態3に係る道路線形管理システムの動作を示すフローチャートである。本実施の形態3に係る道路線形管理システムの構成は、上述の実施の形態2に係る道路線形管理システムと同様である。図21,22は道路線形管理端末装置210及び道路線形管理装置201の動作をそれぞれ示している。
本実施の形態3に係る道路線形管理端末装置210では、図21に示されるように、ステップST31において、代表点設定部4が、新規道路線形を構成する複数の新規線形要素15のそれぞれに対応して、図20に示される代表点データ17を生成する。そして、代表点設定部4は、代表点データ17をそれに対応する新規線形要素データ18に含めて記憶部211に記憶する。次に、上述のステップST2が実行されて、代表点データ17を含む新規道路線形データ101が道路線形管理端末装置210から道路線形管理装置201に送信される。その後、道路線形管理端末装置210では、上述のステップST3,ST4が順次実行される。
本実施の形態3に係る道路線形管理装置201では、図22に示されるように、上述のステップST201,ST102,ST103が順次実行される。次にステップST304において、検索部6は、上述のステップST104と同様にして、m番目の新規線形要素15mの近傍に位置する既存線形要素15を検索する。このとき、新規線形要素15は点を表しているため、その最小外接矩形19を特定する点Rmin及び点Rmaxのxy座標は以下の式で表される。
また、このとき使用される上記の検索領域28を特定する点RRmin及び点RRmaxのxy座標は以下の式で表される。
式(10),(11)に示されるように、本願発明では、道路線形を構成する線形要素が点を表す場合には、それに対する最小外接矩形は点となる。
次に、上述のステップST105が実行される。ステップST105において、検索領域28内の既存線形要素15が検索されたと判定されるとステップST306が実行され、検索されていないと判定されると上述のステップST108が実行される。
ステップST306では、差異量算出部7によって、m番目の新規線形要素15に設定された代表点Q1と、ステップST304で検索された既存線形要素15を復元して得られる上述の図形29との間の距離が算出され、その距離が差異量eとなる。その後、ステップST306で算出された差異量eを用いて上述のステップST107が実行される。以後、実施の形態2と同様の処理が実行されて、変化域25を構成する新規線形要素15を示す新規線形要素データ18が道路線形管理端末装置210に送信される。
以上のようにして、新規道路線形データ101を点データとして扱う場合であっても、実施の形態2と同様にして、新規道路線形と既存道路線形との間の差異を抽出することができる。
なお、連続する2つの点Um,Um+1の間を結ぶ線分を求めて、この線分を新規線形要素15とすれば、複数の線分が組み合わされて構成される新規線形要素15が得られる。
また、本実施の形態3では、新規道路線形を点列で構成したが、既存道路線形を点列で構成しても良い。この場合には、新規道路線形を点列で構成した場合と同様にして既存道路線形に対応した代表点データ17が生成される。また、点を表す既存線形要素15に対する最小外接矩形19は、点を表す新規線形要素15に対する最小外接矩形19と同様にして特定することができる。また、上述のステップST306においては、m番目の新規線形要素15に設定された代表点Q1と、ステップST304で検索された各既存線形要素15に設定された代表点Q1との間の距離が算出されて、算出された距離のうちの最小値が差異量eとなる。
実施の形態4.
上述の実施の形態1〜3では、新規道路線形において既存道路線形と異なる領域を変化域25として抽出していたが、本実施の形態4では、図23に示されるように、既存道路線形38において新規道路線形39とは異なる領域を変化域35として抽出する。つまり、既存道路線形38において、使用されなくなった道路の形状を示す部分を抽出する。
図24は本発明の実施の形態4に係る道路線形管理システムが備える道路線形管理装置の動作を示すフローチャートである。本実施の形態4に係る道路線形管理システムの構成は、上述の実施の形態2に係る道路線形管理システムと同様である。
本実施の形態4では、図25に示されるように、各線形要素データ18は、パラメータtを含むデータ41を有している。ここで、パラメータtは、それを含む線形要素データ18が示す線形要素15の新しさを示している。本実施の形態4では、パラメータtを用いて変化域35を抽出する。
本実施の形態4に係る道路線形管理装置201では、図24に示されるように、上述のステップST201が実行される。次にステップST401において、データ処理部5は、変数Tに現在の時刻τを設定する。例えば、道路線形管理装置201がパーソナルコンピュータで構成されている場合には、変数Tには、当該パーソナルコンピュータが保持する現在の時刻を秒で表した整数値が設定される。なお変数Tに、現在の時刻τを表す文字列を設定しても良い。
ステップST401が実行されると、上述のステップST102〜ST107が実行される。ステップST107において、差異量eが許容値ε以下であると判定されると、ステップST402において、データ処理部5は、ステップST104で検索された各既存線形要素15に対応するパラメータtの値を、変数Tの値、つまり時刻τで更新する。ステップST104で検索された各既存線形要素15は、m番目の新規線形要素15mと一致すると判定されたものであり、当該既存線形要素15が示す道路は時刻τで存在していると考えられることから、当該既存線形要素15の新しさを示すパラメータtの値を時刻τで更新する。その後、上述のステップST109が実行される。
一方で、ステップST107において、差異量eが許容値ε以下でないと判定されると、上述のステップST108及びステップST109が順次実行される。
ステップST109が実行されると、上述のステップST110が実行される。ステップST110において、変数mの値がM以下であると判定されるとステップST103が再度実行され、そうでないと判定されるとステップST403が実行される。
ステップST403では、新規線形要素15が示す道路は時刻τにおいて存在していることから、データ処理部5は、リストLTに登録されている新規線形要素データ18内のパラメータtの値を、変数Tの値、つまり時刻τに設定する。そして、データ処理部5は、リストLT内の新規線形要素データ18を既存線形要素データ18として記憶部2内の既存道路線形データ100に追加する。このとき、例えば、記憶部2にリレーショナルデータベースが構築されている場合には、各新規線形要素データ18をレコードとして新規に当該リレーショナルデータベースに格納する。
次に、ステップST404において、検索部6は、既存道路線形データ100の中から、パラメータtの値がτよりも古い既存線形要素データ18を検索する。ここで検索される既存線形要素データ18が示す既存線形要素15は、新規道路線形39の一部とは一致しない線形要素であり、コースの変更などで使用されなくなった道路の形状を示している。つまり、ステップST404において検索される既存線形要素データ18は変化域35を示している。
このように、ステップST404では、パラメータtの値が所定の基準値よりも時間的に前を示す既存線形要素15が、新規道路線形39の一部とは一致しない要素として抽出される。
次に、ステップST405において、データ送受信部204は、ステップST404で検索された既存線形要素データ18を道路線形管理端末装置210に送信する。
以上のように、本実施の形態4では、新規道路線形39を構成する複数の新規線形要素15のそれぞれについて、当該新規線形要素15が、既存道路線形38を構成する複数の既存線形要素15のいずれかと一致するか否かを判定し、一致する場合には、その既存線形要素15の新しさを示すパラメータtの値を更新している。そして、既存道路線形38を構成する複数の既存線形要素15のうち、パラメータtの値が所定の基準値よりも時間的に前を示すものを、新規道路線形39の一部とは一致しない要素として抽出している。したがって、既存道路線形38のうち、使用されなくなった道路の形状を示す部分を変化域35として抽出することができる。
なお、本実施の形態4では、変数Tには、道路線形管理装置201が道路線形管理端末装置210から新規道路線形データ101を受け取った時刻τを設定したが、新規道路線形データ101の相対的な新しさが理解できる値であれば、どのような値を設定しても良い。例えば、道路線形管理装置201は、新規道路線形データ101に対してそれを受信した順に通し番号を付与し、受信した新規道路線形データ101に対応した通し番号を変数Tに設定しても良い。また変数Tに対して、道路線形管理装置201が受信した新規道路線形データ101が測量によって生成された時刻を設定しても良い。
また、本実施の形態4では、道路線形管理装置201において、リストLTに登録された新規線形要素データ18のパラメータtの値を設定したが、道路線形管理端末装置210において、各新規線形要素データ18のパラメータtの値を予め設定しておいても良い。
また、上述のステップST404では、パラメータtの値がτより時間的に前を示す既存線形要素データ18をすべて検索したが、検索範囲を限定しても良い。例えば、新規道路線形39に対する最小外接矩形内の既存線形要素15のうち、新規道路線形39の一部とは異なる既存線形要素15を示す既存線形要素データ18を検索しても良い。また、線形要素15ごとに、国道番号などの道路を識別する道路識別番号を付与し、新規道路線形39を構成する新規線形要素15に付与されている道路識別番号と同じ番号が付与されている既存線形要素15のうち、新規道路線形39の一部とは異なる要素を示す既存線形要素データ18を検索しても良い。
また、τよりも前の時刻を基準時刻として、当該基準時刻よりもパラメータtの値が時間的に前を示す既存線形要素データ18を検索するようにしても良い。
実施の形態5.
上述の実施の形態1〜4では、既存道路線形及び新規道路線形を道路平面線形で構成したが、三次元形状で構成しても良い。本実施の形態5では、既存道路線形及び新規道路線形を三次元形状で構成した場合においての、既存道路線形と新規道路線形との間の差異の抽出方法について説明する。
図26は本発明の本実施の形態5に係る道路線形管理システムが備える道路線形管理装置の動作を示すフローチャートである。本実施の形態5に係る道路線形管理システムの構成は、上述の実施の形態2に係る道路線形管理システムと同様である。
本実施の形態5では、線形要素データ18に含まれる、線形要素15を記述するパラメータでの座標には、xy座標だけではなく、高さ方向の位置を示すz座標も含まれている。また、代表点データ17には、図27に示されるように、各代表点のxy座標だけではなくz座標も含まれている。そして、線形要素15が表す図形上の点のうち、z軸についての座標最大点Pmax及び座標最小点Pminも代表点として設定される。なお、上述のように、線形要素15が表す図形の始点Psあるいは終点Peが、z軸についての座標最大点Pmaxあるいは座標最小点Pminとなることがある。
本実施の形態5に係る道路線形管理端末装置210では、上述のステップST1において、代表点設定部4が、新規道路線形を構成する複数の新規線形要素15のそれぞれに対応して、図27に示される代表点データ17を生成する。そして、代表点設定部4は、生成した代表点データ17のそれぞれを、それに対応する新規線形要素データ18に追加する。その後、上述のステップST2〜ST4が順次実行されて、三次元座標を含む代表点データ17を有する新規道路線形データ101が道路線形管理端末装置210から道路線形管理装置201に送信される。
本実施の形態5に係る道路線形管理装置201では、図26に示されるように、上述のステップST201,ST102,ST103が順次実行される。次にステップST501において、検索部6は、上述のステップST104と同様にして、m番目の新規線形要素15の近傍に位置する既存線形要素15を検索する。このとき、新規線形要素15は三次元形状を表しているため、その最小外接矩形19を特定する点Rmin及び点Rmaxの座標はそれぞれ(xmina,ymina,zmina)及び(xmaxa,ymaxa,zmaxa)となる。z座標zminaは、m番目の新規線形要素15mに設定されたすべての代表点のz座標において値が最も小さいものであって、z座標zmaxaは、m番目の新規線形要素15mに設定されたすべての代表点のz座標において値が最も大きいものである。
また、このとき使用される上記の検索領域28を特定する点RRmin及び点RRmaxの座標はそれぞれ(xminb,yminb,zminb)及び(xmaxb,ymaxb,zmaxb)となる。ただし、zminb=zmina−ε、zmaxb=zmaxa+εである。
また、既存線形要素15に対する最小外接矩形19を特定する点Tmin及び点Tmaxの座標はそれぞれ(xminc,yminc,zminc)及び(xmaxc,ymaxc,zmaxc)となる。z座標zmincは、既存線形要素15に設定されたすべての代表点のz座標において値が最も小さいものであって、z座標zmaxcは、既存線形要素15に設定されたすべての代表点のz座標において値が最も大きいものである。
ステップST501では、検索部6は、xminb≦xmaxc、かつyminb≦ymaxc、かつzminb≦zmaxc、かつxminc≦xmaxb、かつyminc≦ymaxb、かつzminc≦zmaxbとなる最小外接矩形19を有する既存線形要素15を検索する。
次に、上述のステップST105が実行される。ステップST105において、検索領域28内の既存線形要素15が検索されたと判定されるとステップST502が実行され、検索されていないと判定されると上述のステップST108が実行される。
ステップST502では、差異量算出部7によって、m番目の新規線形要素15mと、検索された既存線形要素15との間の差異量eが算出される。ステップST502では、上述のステップST108と同様に、m番目の新規線形要素15mと、検索された既存線形要素15を復元して得られる図形29との間の距離が求められて、この距離に基づいて差異量eが決定される。ただし、ステップST502で算出される距離は、平面的な距離ではなく、三次元的な距離となる。なお、三次元空間においても、実施の形態1と同様にして線形要素15を復元できる。
ステップST502が実行されると、ステップST502で算出された差異量eを用いて上述のステップST107が実行される。以後、実施の形態2と同様の処理が実行されて、変化域25を構成する新規線形要素15を示す新規線形要素データ18が道路線形管理端末装置210に送信される。
以上のようにして、三次元形状の既存道路線形及び新規道路線形の間の差異を抽出することによって、例えば、地震災害等においては、それによる地盤の隆起や沈下が生じている被災域を抽出することができ、被災情報の収集及び管理が的確にできるようになる。
1,201 道路線形管理装置、3,203 差異抽出部、15 線形要素、15m 新規線形要素、19 最小外接矩形、36 復元線分、38 既存道路線形、39 新規道路線形、210 道路線形管理端末装置、Pe 終点、Pm 中間点、Pmax 座標最大点、Pmin 座標最小点、Ps 始点、Q1〜QN 代表点。