JP2008249704A - 麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法及び泡持ち判定用マーカー - Google Patents

麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法及び泡持ち判定用マーカー Download PDF

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隆 飯牟礼
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一敏 伊藤
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Abstract

【課題】麦芽発酵飲料の泡持ちを直接測定することなく、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、麦芽、麦汁又は麦芽発酵飲料等に含まれる所定のタンパク質の濃度から泡持ちの良さを判定可能とすること。麦芽発酵飲料の泡持ち判定用マーカーを提供すること。
【解決手段】本発明は、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法であって、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又はその麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液に含まれるプロテインZ7の濃度(MZ7)を泡持ちに対する負の要因として、泡持ちの良さを判定する判定方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法及び泡持ち判定用マーカーに関する。
ビール等の麦芽発酵飲料の泡は、薄い液体の膜に包まれた炭酸ガスの気泡の集合体であり、気が抜けたり、香味が変化したりするのを防ぐ蓋の役目をするほか、香り立ちを向上させる働きがある。このため、麦芽発酵飲料の泡持ちは、麦芽発酵飲料の品質を判断する重要な要素の1つとされ、麦芽発酵飲料の泡持ちを良くするための研究がされている。
麦芽発酵飲料の泡持ちの良さは、20℃の麦芽発酵飲料を泡注ぎ出し機で標準グラスに注いで生じる泡の高さが30mm降下するのに要する時間(秒)を判定基準とし、この時間(秒)のことをNIBEM値と呼んでいる。
これまでに、大麦に含まれるLTP−1やホルデインが麦芽発酵飲料の泡持ちに関与するタンパク質として報告されている(非特許文献1及び2)。
最近では、ゲノム情報を基にタンパク質を網羅的に解析するプロテオミクスを利用した研究が行われており、麦芽発酵飲料の原料となる大麦においては、麦芽特性と二次元電気泳動パターンとを比較して、標的とする麦芽特性に関与するタンパク質を絞り込む試みがなされている(非特許文献3〜5)。
Bamforthら、2004年、J.Sci.Food Agric.、84巻、p.1001−1004 Van Nieropら、2004年、J.Agric.Food.Chem.、52巻、p.3120−3129 Ostergaardら、2004年、Proteomics、4巻、p.2437−2447 Sass Bak−Jensenら、2004年、Proteomics、4巻、p.728−742 FinnieとSvensson、2004年、Proc.9th International Barley Genetics Symposium、p.431−436
しかしながら、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定基準であるNIBEM値は、温度、天候、さらには人為的な要因が大きく影響するため、異なる条件で測定されたNIBEM値を相互に比較して泡持ちの良さを判定することは困難である。
また、大麦中のLTP−1やホルデインは、麦芽発酵飲料の泡持ちに関連することが報告されているが、NIBEM値との相関関係については明らかとされておらず、泡持ちを判定する汎用性のあるマーカーとして実用化されるには至っていない。
さらに、大麦においてもプロテオミクス研究は推進されているが、麦芽発酵飲料の泡持ちに関連する新たなタンパク質は見出されていない。
そこで、本発明の目的は、麦芽発酵飲料の泡持ちを直接測定することなく、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、麦芽、麦汁又は麦芽発酵飲料等に含まれる所定のタンパク質の濃度から泡持ちの良さを判定可能とすることにある。本発明の目的はまた、麦芽発酵飲料の泡持ち判定用マーカーを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法であって、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又はその麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液に含まれるプロテインZ7の濃度(MZ7)を泡持ちに対する負の要因として、泡持ちの良さを判定する判定方法を提供する。
本発明者らは、プロテオミクスをツールとしてビール中のタンパク質を解析し、NIBEM値の高い泡持ちの良いビールでは、プロテインZ7の濃度が低いことを明らかにした。さらに、プロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係を統計的に解析した結果、プロテインZ7の濃度を麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定に利用できることを見出した。
上記判定方法では、大麦の種子、麦芽、麦汁、麦芽発酵飲料又は麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液に含まれるプロテインZ7の濃度を測定すれば、NIBEM値を測定することなく泡持ちの良さを判定することができる。また、プロテインZ7の濃度の測定は、温度、天候、さらには人為的な要因の影響を排除して行うことができるため、NIBEM値の測定と比べて汎用性があり、かつ、正確な泡持ちの良さの判定を実現できる。
上記判定方法は、上記濃度(MZ7)に負の係数を乗じた数値が大きい方の麦芽発酵飲料を泡持ちが良い麦芽発酵飲料であると判定することが好ましい。
この数値は、a−b×MZ7(但し、aは正の数、負の数又は0であり、bは正の数である。)として算出することが好ましく、NIBEM値と比例関係にある値として麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定に使用できる。
さらに上記a及びbは、MZ7を変数としたときの、麦芽発酵飲料のNIBEM値を予測する単回帰式の単回帰係数であることが好ましい。
この場合には、NIBEM値測定用の専用装置及び標準グラス等を使用してNIBEM値を直接測定することなく、プロテインZ7の濃度(MZ7)からNIBEM値を予測することが可能となる。また、この判定方法で測定した泡持ちの良さは、既に従来法で測定されたNIBEM値と比較することもできる。
また本発明は、プロテインZ7からなる、麦芽発酵飲料の泡持ち判定用マーカーを提供する。
プロテインZ7は、麦芽発酵飲料の泡持ちに対して負の要因として捉えることができ、麦芽発酵飲料又は麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液のプロテインZ7の濃度を高めると麦芽発酵飲料の泡持ちは悪くなるため、泡持ち判定用マーカーとして利用できる。
本発明によれば、NIBEM値を直接測定することなく泡持ちの良さの判定をすることができ、NIBEM値を予測することもできる。また、本発明の泡持ちの良さの判定方法は、温度、天候、さらには人為的な要因の影響を排除して行うことができるため、NIBEM値の測定と比べて汎用性があり、かつ、正確な泡持ちの良さの判定を実現できる。
以下に、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の判定方法は、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法であって、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又はその麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液に含まれるプロテインZ7の濃度(MZ7)を泡持ちに対する負の要因として、泡持ちの良さを判定することを特徴とする。
本明細書における「泡持ち」とは、麦芽発酵飲料をグラスに注いだときに生じる泡が消えるまでに要する時間のことをいい、「泡持ちが良い」とは、この時間が長いことを意味し、「泡持ちが悪い」とはこの時間が短いことを意味する。また、「泡持ちの良さ」とは、泡持ちが良い又は悪いといった泡持ちの程度のことであって、対象とする麦芽発酵飲料と泡持ちを比較するときの基準のことである。「泡持ちの良さの判定方法」とは、複数の麦芽発酵飲料の泡持ちを比較して泡持ちの良し悪しを判定することをいう。
「麦芽発酵飲料」とは、麦芽を原料に用いて醸造した飲料のことをいい、例えば、ビール、発泡酒又は原料に麦芽を含有する雑酒が挙げられる。ビールとは、麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの又は麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品(麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類、又は財務省で定める苦味料若しくは着色料)を原料として発酵させたものであって、麦芽使用率が2/3以上のものをいい、発泡酒とは、麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有する酒類であって、麦芽使用率が2/3未満のものをいう。
「麦芽発酵飲料の発酵前原料液」とは、麦芽から麦汁を得る途中の仕込み工程から麦汁を得るまでの間の原料液若しくは煮沸前の麦汁、又は、麦汁を煮沸し、引き続き冷却し、酵母を投入する前の冷麦汁ができるまでの間の麦汁若しくは冷麦汁のことをいう。「麦芽発酵飲料の発酵中原料液」とは、上記冷麦汁に酵母を投入した後、発酵工程を経て麦芽発酵飲料となるまでの全ての発酵液のことをいう。
「プロテインZ7」とは、大麦の種子又はビール中に存在するセリンプロテアーゼインヒビターであり、分子量が約43kDaのタンパク質である(NCBI Accession CAA64599)。大麦種子中には、プロテインZ7以外に、同じ大麦セリンプロテアーゼインヒビターのサブファミリーに属するプロテインZ4(NCBI Accession CAA66232)が存在し、そのアミノ酸配列は、プロテインZ7と約73%の相同性を有している。
麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又はその麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液のプロテインZ7の濃度(MZ7)は、例えば、ELISA法、ウエスタンブロッティング法、プロテインチップによる解析、アフィニティークロマトグラフィーによる定量分析等によって測定できる。
ELISA法又はウエスタンブロッティング法で使用する抗プロテインZ7抗体は、発酵に使用する大麦のプロテインZ7を特異的に認識できる抗体が好ましく、例えば、プロテインZ7のアミノ酸配列を基に合成したペプチドを抗原として使用し、ウサギやマウス等に免疫して作成できる。尚、これらの免疫学的手法については、当業者にとっては周知であるため本明細書では詳述しない。このような方法を記載する教本としては、例えば、「Antibodies:a laboratory manual」(Harlow and Lane、1988年、Cold Spring Harbor Laboratory)等を参照されたい。
上記判定方法は、上記濃度(MZ7)に負の係数を乗じた数値が大きい方の麦芽発酵飲料を泡持ちが良い麦芽発酵飲料であると判定することが好ましく、例えば、この数値を、a−b×MZ7(但し、aは正の数、負の数又は0であり、bは正の数である。)として算出できる。このa及びbは、MZ7を変数としたときの、麦芽発酵飲料のNIBEM値を予測する単回帰式の単回帰係数であれば、さらに好ましく使用できる。
麦芽発酵飲料のNIBEM値を予測する単回帰式の単回帰係数は、NIBEM値を測定した複数の麦芽発酵飲料について、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又は麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液のプロテインZ7の濃度(MZ7)を測定し、各麦芽発酵飲料のNIBEM値を目的変数とし、上記プロテインZ7の濃度(MZ7)を説明変数として単回帰分析をすれば求めることができる。
また、本発明の麦芽発酵飲料の泡持ち判定用マーカーは、プロテインZ7からなることを特徴とする。
プロテインZ7は、麦芽発酵飲料の泡持ちに対して負の要因として捉えることができ、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又は麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液のプロテインZ7の濃度が低いと麦芽発酵飲料の泡持ちは良くなるため、この知見を利用すれば泡持ち判定用マーカーとして使用できる。これまで、プロテインZ7が、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定に利用できることについては全く知られていなかった。
ここで、「泡持ち判定用マーカー」とは、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又は麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液中での濃度がNIBEM値と相関性を示すタンパク質のことをいい、麦芽発酵飲料の泡持ちの良さを判定又は予測するために指標とできるタンパク質のことをいう。
プロテインZ7は、麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、その種子から得た麦芽、その麦芽から得た麦汁、その麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又は麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液中に存在し、例えば、ELISA法、ウエスタンブロッティング法、プロテインチップによる解析、アフィニティークロマトグラフィーによる定量分析等によって測定できる。
本発明を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ビールの原料となる大麦の種子中のプロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係
7種類の大麦品種(品種A:はるな二条、品種B:CDC Kendall、品種C:あまぎ二条、品種D:CDC Copeland、品種E:北育39号、品種F:りょうふう、品種G:Lofty Nijo)の種子からそれぞれ麦芽を製造し、ビールの醸造に必要な麦芽以外の原料については同一の原料を使用して7種類のビールを醸造した。ビールの原料として使用した7種類の大麦品種の種子中のプロテインZ7の濃度と7種類のビールのNIBEM値をそれぞれ測定し、各大麦品種の種子中のプロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係について調べた。
7種類の大麦品種の種子に含まれるプロテインZ7の濃度は、以下のようにして定量した。まず、粉砕した各大麦品種の種子(50mg)を、2mLのスクリューキャップ付きチューブに取り、ジチオトレイトール(和光株式会社)を0.28%含むPBS(Phosphate Buffer Saline)を1mL加えて懸濁し、4℃で一晩振とうすることによりプロテインZ7を抽出した。その後、この縣濁液を4℃で5分間、15,000回転で遠心分離し、得られた上清を適宜希釈して、抗プロテインZ7抗体でプロテインZ7濃度を定量した。抗プロテインZ7抗体は、オーストラリアタスマニア大学のEvans博士から分譲されたものであり、抗プロテインZ7抗体を用いたプロテインZ7の定量は、Evans博士らの論文(Amer.Soc.Brew.Chem.、2003年、61巻、p.55−62)に従って行った。
また、各大麦品種の種子を単独で用いたビールの醸造については、以下の方法で行った。まず、7種類の大麦品種(品種A〜G)の種子を浸麦槽で水に浸漬して水分含量を約43%とし、発芽室で6日間発芽させ、熱風で焙燥することにより7種類の大麦品種の麦芽をそれぞれ製造した。
その後、各麦芽に副原料であるコーンスターチ、コーングリッツ及び米と水を加え、50〜60℃で20分、65℃で40分、73℃で3分間の糖化処理を行い(糖化工程)、こうして得られた麦汁にホップを加えて90分間煮沸し、10℃まで冷却した後に酵母を加え、10〜15℃で7〜10日間アルコール発酵させた(発酵工程)。発酵終了後は、−1〜2℃で2〜3週間熟成させ、得られた発酵物をビールとしてNIBEM値の測定に供した。
NIBEM値の測定は、HAFFMANS社のNIBEM−T装置、INPACK2000及びNIBEM値測定用の標準グラスを用いて行った。具体的には、上記の麦芽発酵飲料をそれぞれ20℃の状態にし、泡注ぎ出し機により炭酸ガスを用いて標準グラスに注ぎ出し、生じた泡の高さの降下をNIBEM−T装置で追尾し、泡の高さが30mm降下するのに要した時間(秒)をNIBEM値として測定した。
表1は、7種類の大麦品種(品種A〜G)の種子に含まれるプロテインZ7の濃度と、7種類の大麦品種の種子をそれぞれ原料として醸造した7種類のビールのNIBEM値とを示す表である。
Figure 2008249704
図1は、NIBEM値を目的変数とし、大麦の種子中のプロテインZ7の濃度を説明変数として単回帰分析を行った結果を示すグラフである。図中の*は、危険率5%で有意であることを示す。
その結果、NIBEM値と大麦の種子中のプロテインZ7の濃度との間には統計的に有意な相関関係が認められた。単回帰式は、NIBEM値=273.31+(−0.126×プロテインZ7の濃度)となった(r=0.848)。
以上の結果より、大麦の種子中のプロテインZ7の濃度は、当該大麦の種子を原料とする麦芽発酵飲料の泡持ちに対する負の要因として麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定に利用でき、当該麦芽発酵飲料のNIBEM値を算出できることが明らかとなった。
(実施例2)コングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係
7種類の大麦品種(品種A:はるな二条、品種B:CDC Kendall、品種C:あまぎ二条、品種D:CDC Copeland、品種E:北育39号、品種F:りょうふう、品種G:Lofty Nijo)の種子からそれぞれ麦汁を製造し、ビールの醸造に必要な麦芽以外の原料については同一の原料を使用して7種類のビールを醸造した。ビールの原料として使用した7種類の大麦品種の種子から製造したコングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度と7種類のビールのNIBEM値をそれぞれ測定し、各コングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係について調べた。
コングレス麦汁の製造は以下の方法で行った。実施例1に記載した手順に従って製造した各大麦品種の麦芽を粉砕し、粉砕した麦芽(50g)に200mLの水を加え、45℃で30分間保持した後、1分間に1℃の割合で70℃まで加熱昇温し、70℃に達した時点で100mLの水を加えて1時間保持した。その後、そこに水を加えて全量を450gになるようにし、ろ過して得られた麦汁をコングレス麦汁とした。
ビールの醸造及びNIBEM値の測定は、実施例1で記載した方法と同じ手順で行った。コングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度の定量は、それぞれの液を適宜希釈し、抗プロテインZ7抗体によるELISA法により定量した。
表2は、7種類の大麦品種(品種A〜G)の種子から製造したコングレス麦汁に含まれるプロテインZ7の濃度と、7種類の大麦種子をそれぞれ原料として醸造した7種類のビールのNIBEM値とを示す表である。
Figure 2008249704
図2は、NIBEM値を目的変数とし、コングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度を説
明変数として単回帰分析を行った結果を示すグラフである。図中の*は、危険率5%で有意であることを示す。
その結果、NIBEM値とコングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度との間には統計的に有意な相関関係が認められた。単回帰式は、NIBEM値=273.05+(−0.9006×プロテインZ7の濃度)となった(r=0.852)。
以上の結果より、麦汁中のプロテインZ7の濃度は、当該麦汁を原料とする麦芽発酵飲料の泡持ちに対する負の要因として麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定に利用でき、麦汁中のプロテインZ7の濃度を測定することにより、当該麦芽発酵飲料のNIBEM値を算出できることが明らかとなった。
(実施例3)ビール中のプロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係
7種類の大麦品種(品種A:はるな二条、品種B:CDC Kendall、品種C:あまぎ二条、品種D:CDC Copeland、品種E:北育39号、品種F:りょうふう、品種G:Lofty Nijo)の種子からそれぞれ麦芽を製造し、ビールの醸造に必要な麦芽以外の原料については同一の原料を使用して7種類のビールを醸造した。7種類のビールに含まれるプロテインZ7の濃度と7種類のビールのNIBEM値をそれぞれ測定し、ビール中のプロテインZ7の濃度とNIBEM値との相関関係について調べた。
ビールの醸造及びNIBEM値の測定は、実施例1で記載した方法と同じ手順で行った。ビール中のプロテインZ7の濃度の定量は、それぞれの液を適宜希釈し、抗プロテインZ7抗体によるELISA法により定量した。
表3は、7種類の大麦品種(品種A〜G)の種子を原料として醸造した7種類のビールに含まれるプロテインZ7の濃度と、7種類のビールのNIBEM値とを示す表である。
Figure 2008249704
図3は、NIBEM値を目的変数とし、ビール中のプロテインZ7の濃度を説明変数として単回帰分析を行った結果を示すグラフである。図中の**は、危険率1%で有意であることを示す。
その結果、NIBEM値とビール中のプロテインZ7の濃度との間には統計的に有意な相関関係が認められた。単回帰式は、NIBEM値=266.50+(−2.8089×プロテインZ7の濃度)となった(r=0.920)。
以上の結果より、ビール中のプロテインZ7の濃度は、当該ビールの泡持ちに対する負の要因として麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定に利用でき、ビール中のプロテインZ7の濃度を測定することにより、当該麦芽発酵飲料のNIBEM値を算出できることが明らかとなった。
NIBEM値を目的変数とし、大麦の種子中のプロテインZ7の濃度を説明変数として単回帰分析を行った結果を示すグラフである。 NIBEM値を目的変数とし、コングレス麦汁中のプロテインZ7の濃度を説明変数として単回帰分析を行った結果を示すグラフである。 NIBEM値を目的変数とし、ビール中のプロテインZ7の濃度を説明変数として単回帰分析を行った結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 麦芽発酵飲料の泡持ちの良さの判定方法であって、
    前記麦芽発酵飲料に使用する大麦の種子、前記種子から得た麦芽、前記麦芽から得た麦汁、前記麦汁を発酵させて得た麦芽発酵飲料又は前記麦芽発酵飲料の発酵前原料液若しくは発酵中原料液に含まれるプロテインZ7の濃度(MZ7)を前記泡持ちに対する負の要因として、前記泡持ちの良さを判定する判定方法。
  2. 前記濃度(MZ7)に負の係数を乗じた数値が大きい方の麦芽発酵飲料を泡持ちが良い麦芽発酵飲料であると判定する、請求項1記載の判定方法。
  3. 前記数値を、
    a−b×MZ7
    (但し、aは正の数、負の数又は0であり、bは正の数である。)
    として算出する、請求項2記載の判定方法。
  4. 前記a及びbは、前記MZ7を変数としたときの、麦芽発酵飲料のNIBEM値を予測する単回帰式の単回帰係数である、請求項3記載の判定方法。
  5. プロテインZ7からなる、麦芽発酵飲料の泡持ち判定用マーカー。
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