JP2008248780A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】
イオン電流検出におけるS/N比向上のためのイオン電流検出電源電圧の高電圧化を、点火コイルの出力性能を低下させず、且つ内燃機関の点火時期の進角も防いで実現する点火装置の提供。
【解決手段】
1次電流遮断素子により1次電流がオンオフ制御される1次コイルと、前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイルと、2次コイル低圧側にイオン電流検出用電源回路とイオン電流増幅回路が配置されており、イオン電流増幅回路出力電圧と、プラグギャップ間放電期間中に1次コイルへ誘導される電圧波形による外部からの信号入力を必要としない自立制御によって2次コイル出力電流経路を切り替える手段を持ち、イオン電流検出用電源の充電動作による2次コイル出力エネルギの損失を抑制できる点火装置とする。
【選択図】図3
イオン電流検出におけるS/N比向上のためのイオン電流検出電源電圧の高電圧化を、点火コイルの出力性能を低下させず、且つ内燃機関の点火時期の進角も防いで実現する点火装置の提供。
【解決手段】
1次電流遮断素子により1次電流がオンオフ制御される1次コイルと、前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイルと、2次コイル低圧側にイオン電流検出用電源回路とイオン電流増幅回路が配置されており、イオン電流増幅回路出力電圧と、プラグギャップ間放電期間中に1次コイルへ誘導される電圧波形による外部からの信号入力を必要としない自立制御によって2次コイル出力電流経路を切り替える手段を持ち、イオン電流検出用電源の充電動作による2次コイル出力エネルギの損失を抑制できる点火装置とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関用点火装置に関し、特に点火コイルの出力エネルギ損失の低減手段をもつ内燃機関用イオン電流検出装置に関する。
自動車エンジンなどの内燃機関において、図8に開示されたイオン電流検出をもつ内燃機関用点火装置がある。図8において、1はバッテリ電源、2は点火プラグ、3は点火コイル、31は1次コイル、32は2次コイル、4は制御回路、5は1次電流遮断素子、6はイオン電流検出用電源回路、7はイオン電流増幅回路である。イオン電流検出用電源回路6において、61はイオン電流検出電源電圧作成用ZD、62はイオン電流検出電源用コンデンサ、63は2次放電電流経路用ダイオード、64はイオン電流検出用抵抗である。イオン電流増幅回路7において、71は入力保護ダイオード、72はイオン電流増幅回路である。
図8に開示されたイオン電流検出をもつ内燃機関用点火装置の動作波形を図9に示す。 点火信号aのHighレベルが入力されると、1次コイル31に電流bが通電開始され2次コイルに高電圧が誘導される。この時に発生する高電圧は2次コイルの低圧側がイオン電流検出用電源電圧eでバイアスされているため、前記高電圧はイオン電流検出用電源電圧eに重畳される。この時に発生する高電圧の自由振動によって、イオン電流検出電源用コンデンサが充放電されるためイオン電流増幅回路は自由振動に応じた電圧波形を出力する。点火信号aがLowレベルに切り替わると、1次コイル電流bが遮断され1次コイルに発生する逆起電圧の2次コイル巻数/1次コイル巻数倍の高電圧が2次コイル32に誘導される。この高電圧がプラグギャップ間の絶縁破壊電圧を超えるとプラグギャップ間放電が開始され、内燃機関のシリンダー内壁からプラグギャップのGND−電極間放電を経て2次コイル、2次コイル低圧側に接続されるZDをブレークさせて2次コイル放電電流経路用ダイオード63を経てGNDに至るループで2次コイル電流dが、通電される。2次コイル電流によってブレークダウンするイオン電流検出電源電圧作成用ZD61のブレークダウン電圧によってイオン電流検出電源用コンデンサ63が充電され、プラグギャップ間放電が終了し残留エネルギによる2次コイルの自由振動が収束した後、プラグギャップ間に燃焼による火炎を通してイオン電流検出電源用コンデンサ63は放電を開始し、放電電流波形をイオン電流増幅回路がイオン電流波形として電圧波形を出力する。
ここで点火コイルの出力特性上問題となるのが2次放電電流経路中に存在するZD61である。プラグギャップ間放電中、すなわち2次コイルのエネルギ出力期間の全期間においてZD61はブレークダウンの状態でありZD61において、Ed={(2次放電電流(I2)×ZD61ブレークダウン電圧(Vz))/2}×プラグギャップ間放電時間(T2)の損失が発生する。この為、2次コイル出力エネルギE2は、点火に使用できるエネルギからZD61で発生する損失Edが差し引かれ、E2−Edのエネルギしか利用できない。
点火に利用できるエネルギは、ZD61のブレークダウン電圧に反比例の関係で低下していくが、イオン電流検出において検出するイオン電流はuAオーダの微少電流で、検出回路に重畳されるノイズとの分離は大きな問題であり、イオン電流検出装置の耐ノイズ性の向上にはイオン電流検出時におけるプラグギャップ間印加電圧を高電圧化し、検出対象であるイオン電流を高電流化することによるS/N比の向上が効果的である。しかし、イオン電流検出時におけるプラグギャップ間印加電圧を高電圧化することは、図8におけるZD61の高電圧化を意味し図9に示す特性の様に点火に利用できるエネルギが低下してしまう。イオン電流検出性の向上と点火性能の向上は相反する特性であり、両者の特性を同時に向上させるためには、あらかじめZD61で損失するエネルギを見越した点火コイル設計が必要であり、イオン電流検出性を向上すればするほどZD61での損失を賄う為の余剰エネルギを必要とし、効率的な点火コイル設計ができない。
また、イオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置において、2次コイル低圧側はイオン電流検出用電源回路によってプラグギャップ間印加電圧(Vion)でバイアスされていることから1次電流通電開始時に2次コイルに1次コイルと2次コイルの相互誘導によって誘起される高電圧はVionを基準にV2on=バッテリ電圧(V1)×1次/2次コイル巻数比(n1/n2)の電圧が発生し、プラグギャップ間にはV2on+Vionの電圧が印加される。この電圧が高すぎると内燃機関の点火時期の進角(過早点火)を引き起こす原因となる。
イオン電流検出機能をもつ内燃機関において、上述の問題を回避する手段として1次コイルと2次コイルの巻数比を低減する解決策があるが、1次電流通電時に2次コイルに誘導される高電圧はイオン電流検出用電源回路電圧に重畳されるので、イオン電流検出用電源電圧を高電圧化しS/N比を向上しようとすると、内燃機関における点火時期の進角(過早点火)の危険性が増すことになる。
内燃機関における点火時期の進角(過早点火)を回避するため、前記の解決策を用いると1次コイルと2次コイルの巻数比の低減により点火性能が低下することにより、イオン電流検出用電源電圧の高電圧化には限界が生じS/N比の向上は困難であった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、イオン電流検出におけるS/N比向上のためのイオン電流検出電源電圧の高電圧化を、点火コイルの出力性能を低下させず、且つ内燃機関の点火時期の進角(過早点火)も防いで実現できる、イオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明では次のような構成とする。すなわち、請求項1においては、電子制御される1次電流遮断素子により1次電流がオンオフ制御される1次コイルと、前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイルと、2次コイル低圧側にイオン電流検出用電源回路とイオン電流増幅回路が配置されており、イオン電流増幅回路出力電圧と、プラグギャップ間放電期間中に1次コイルへ誘導される電圧波形による外部からの信号入力を必要としない自立制御によって2次コイル出力電流経路を切り替える手段を持ち、イオン電流検出用電源の充電動作による2次コイル出力エネルギの損失を抑制できることを特徴とするイオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置とする。
請求項2では、2次コイル出力電流経路を切り替える手段としてコレクタ−エミッタ間もしくはドレイン−ソース間にZDをもつスイッチング素子を使用し、素子に内蔵するZDによってイオン電流検出電源電圧を作成することを特徴とするイオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置とする。請求項3では、1次電流通電開始時に2次コイル出力電流経路の切り替え手段によりイオン電流検出電源の充電電荷を放電し、2次コイル低圧側と基準電位との電位差をほぼ等電位とすることで1次電流通電開始時に2次コイルに発生する高電圧を抑制することができ、前記の2次コイル出力電流経路の切り替え動作とイオン電流検出電源の充電電荷の放電が、1次電流遮断素子の駆動回路に点火信号が入力されてから1次電流遮断素子が通電開始するまでの遅延時間内でなされることを特徴とするイオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置とする。
上記構成により、1次電流遮断素子のゲート直列抵抗を上述の範囲で調整し、点火信号をスイッチング素子のON/OFF制御に用いることによって1次電流通電開始時に2次コイルへ誘導される高電圧を抑制し内燃機関の点火時期の進角(過早点火)を防ぐことができる。
また、2次コイル電流出力期間でのスイッチング素子をオンオフ制御するAND回路の出力と、上記点火信号波形処理後の矩形波をOR回路に入力する回路を構成することによって、点火信号入力から1次電流通電開始までの期間にもスイッチング素子を通電状態とすることができ、コンデンサの充電電荷を放電することができ、点火性能低下の抑制と1次電流通電開始時における2次コイルの高電圧発生の抑制を両立することができる。
また、本発明は組み合わされる1次及び2次コイルに依存することなく、外部からの独立した制御信号を必要とせずに2次コイル電流経路を切り替えてイオン電流検出用電源回路での点火コイルの出力エネルギ損失を抑制し、1次電流通電開始時に2次コイルに生じる高電圧を抑制することができるイオン電流検出機能付き内燃機関用点火装置を実現できる。
さらに、スイッチング素子に関し、IGBTもしくはMOS−FETでは同一半導体上にZD又はDを構成しコレクタ−エミッタ間もしくはドレイン−ソース間特性としてZD特性を持たせることは一般的である。つまりスイッチング素子に上記半導体スイッチング素子を用いることで、ZDはスイッチング素子に内蔵される素子となり部品点数の削減が可能である。
本発明の実施例は、1次電流遮断素子5による電子制御によって1次電流がオンオフされる1次コイル31と前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイル32と、前記1次コイルと前記2次コイルを内包するコイルケースを備える内燃機関用点火装置において、具体的には参考例として示す図6の様な回路によって、2次コイル低圧側にイオン電流検出用電源回路6とイオン電流増幅回路7を配置し、イオン電流検出用電源電圧作成用ZD61とスイッチング素子62及びコンデンサ63と並列に配置する。スイッチング素子62は2次コイル電流検出用抵抗64によって接地され、スイッチング素子62と電流検出用抵抗64の中間点はイオン電流増幅回路7へ入力される。イオン電流増幅回路7の出力はイオン電流波形が出力される経路と、T2‘における2次コイル出力電流値に対する出力電圧値として設定される敷居値81と比較する比較回路8に入力され比較回路8は矩形波電圧出力を行う。
一方、1次コイル31と1次電流遮断素子5が接続される中間点から分圧抵抗11を介して、任意の敷居値電圧91と比較する比較回路9に2次コイル電流出力期間において1次コイルに誘導される電圧波形が入力され、2次コイル電流出力期間に相当する矩形波電圧が比較回路9から出力される。比較回路8及び9から出力された矩形波電圧はAND回路10に入力され2次コイル電流出力開始からT2‘までの矩形波出力がAND回路10からなされる。AND回路10から出力される矩形波電圧がスイッチング素子62のゲートに入力され、AND回路10の矩形波出力期間、すなわち2次コイル電流出力開始からT2‘までの期間スイッチング素子62が通電状態となり2次コイル電流経路を構成する。
尚、2次コイル電流の出力開始時において、ZD61での損失発生を防ぐため1次電流遮断素子5の遮断時に1次コイル31に生じる逆起電圧を分圧抵抗11からなる起動回路によってスイッチング素子62のゲートを駆動し通電状態とする。この時の2次コイル電流経路は、プラグギャップ間を介してGND→プラグ高圧電極→2次コイル→スイッチング素子→GNDからなる経路を持ち点火コイル出力エネルギを低下させるイオン電流検出電源電圧作成用ZD61を含まない。よって、内燃機関の点火時期において点火コイルの出力エネルギを低下させることなくプラグギャップ間に供給することができる。2次コイル放電電流が低下し、イオン電流増幅回路7の出力電圧が比較回路8で設定される2次コイル出力電流値に対する敷居値電圧81を下回ると、スイッチング素子62は遮断状態となりイオン電流検出電源電圧作成用ZD61がブレークダウンし、ZD61のVzでコンデンサ63を充電すると共にプラグギャップ間放電の終了まで2次コイル出力電流の経路を作成する。
プラグギャップ間放電が終了し、内燃機関が燃焼状態にあればコンデンサ63の充電電荷は火炎を経路として放電し、コンデンサ63の放電電流はイオン電流増幅回路7によって任意の増幅率の出力電圧波形として得ることができる。この時の出力電圧によっても比較回路8より矩形波電圧出力がなされるが、AND回路10を設けることによって燃焼判定期間におけるスイッチング素子62の通電状態への移行を防いでいる。
図7において、1次電流通電開始時にコンデンサ63のスイッチング素子62による放電動作は点火信号をAND回路10の出力と共にOR回路12に入力し、OR回路12の矩形波出力電圧をスイッチング素子62のゲートに入力するようにすれば、1次電流通電開始時にコンデンサ63の電荷を放電動作と、2次コイル電流出力期間におけるスイッチング素子62のオンオフ制御を両立することができる。
スイッチング素子62はZDを内蔵したIGBTもしくはMOS−FETを使用する。この場合、内蔵するZDをイオン電流検出電源電圧作成用ZD61として使用すれば、スイッチング素子62とZD61は同一半導体上に構成されるため、部品点数の削減ができ、小型、安価ではんだ等による接続加工箇所が削減出来ることによる信頼性の高い、イオン電流検出機能を持つ内燃機関用点火装置を実現できる。
以上のように、本発明の実施の形態について説明したが、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当該点火装置が必要なあらゆるエンジンに使用できるものである。この発明の精神に基づき当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
上記実施例におけるイオン電流検出電源用コンデンサ63に充電される電荷量は2.7uC〜8uC程度で、この電荷量の充電に必要なエネルギは、0.1mJ〜1.32mJ程度であり、コンデンサ63の充電で失われるエネルギは内燃機関により異なるが30mJ〜90mJ必要とされる点火コイルの出力エネルギに対しほとんど影響を及ぼさない。一方ZD61での損失は、Vz及びプラグギャップ間放電時間に比例し、図9の様に損失が発生する。つまり、2次コイルのエネルギ出力期間において、コンデンサ63の充電完了後もZD61のブレークダウンが継続され2次コイル出力電流経路が形成されることによる、ZD61での損失が点火コイル出力エネルギ損失の本質である。そこで、イオン電流検出電源用コンデンサ63の充電経路と、2次コイル出力電流経路をZD61を含まない様に切り替えるようにすれば、点火コイルの出力エネルギの損失は、コンデンサ63の充電エネルギのみであり、点火性能はほとんど低下しないイオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置を構成することができる。
前述の課題を解決するため本発明では図1に示す次の構成とする。すなわち、1次電流遮断素子5による電子制御によって1次電流がオンオフ制御される1次コイル31と、前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイル32を備え、2次コイル32の低圧側にイオン電流検出用電源回路6、イオン電流増幅回路7を持ち、イオン電流検出用電源回路6はZD61とスイッチング素子62とイオン電流検出電源用コンデンサ63と2次コイル放電電流検出抵抗64とコンデンサ63の充電経路用ダイオード65とスイッチング素子62(2次電流経路切り替え手段)の制御回路66で構成されている。
プラグギャップ間放電すなわち2次コイル電流が出力されている期間にスイッチング素子62を遮断すると、ZD61がブレークダウンすることにより2次コイル電流経路が作成される。このときコンデンサ63はZD61のブレークダウン電圧で充電される。コンデンサ63の充電時期について、コンデンサ63の充電がスイッチング素子62の通電状態移行前になされると、コンデンサ63が充電されてもスイッチング素子62が通電状態に移行した時にコンデンサ63の放電経路が作成されてしまい充電電荷が放電されてしまう。ZD61での点火コイル出力エネルギの損失を抑制しようとすると2次コイル出力電流が少ない期間にコンデンサ63の充電を行う必要があり点火コイルの出力エネルギ特性から、コンデンサ63の充電期間は2次コイル出力期間、すなわちプラグギャップ間放電の終了真際に行うことが望ましい。よって、スイッチング素子62の動作は、2次コイル電流の出力開始時期から通電状態となりコンデンサ63の充電に最小限必要なエネルギを点火コイルに残す時期で遮断状態に移行する動作とすることで点火コイル出力エネルギの損失を最も抑制したコンデンサ63の充電を行うことができる。
すなわち図2に示すように、点火コイルの出力エネルギをE2、スイッチング素子62の遮断時における点火コイルの残留エネルギ(E2‘)、コンデンサ63をイオン電流検出電源電圧で充電するエネルギをEionとすると、E2’=E2−Eionであり、点火コイルがE2‘のエネルギ出力をする時間T2’においてスイッチング素子62を遮断状態へ移行することが最も効率的にコンデンサ63を充電することができる。
E2‘のエネルギ出力を行うT2’における2次コイル出力電流は点火コイルの特性により決定される値であり、2次コイル出力電流値により判断することができる。T2‘における2次コイル出力電流は2次コイルの低圧側に配置されるイオン電流増幅回路出力より電圧値として得ることができる。
図2に示すように、T2‘における2次コイル出力電流値に対する出力電圧値を敷居値として設定しイオン電流増幅回路から出力される電圧波形と比較することにより、2次コイル電流の出力開始からT2’までの幅をもつ矩形電圧波形を得ることができる。この電圧波形をスイッチング素子62のゲートへ入力すれば、スイッチング素子62はZD61での損失を抑制して、コンデンサ63を効率的に充電することができる。しかしプラグギャップ間放電後すなわち2次コイル電流出力期間後での内燃機関の燃焼判定期間において、イオン電流増幅回路7はイオン電流に対応した電圧出力を出力するため、この出力波形がスイッチング素子62のゲートに入力されるとコンデンサ63の電荷が放電されてしまう。よって、イオン電流増幅回路の出力時期に対してスイッチング素子62のゲート入力電圧は入力禁止期間を設ける必要がある。
スイッチング素子62を通電状態としたい期間は基本的に2次コイル電流出力期間であり、この期間だけ電圧波形として得られるものは、2次コイル出力電流によって1次コイルへ誘導される電圧波形である。この電圧波形と任意の敷居電圧を比較することによって、2次コイルが電流を出力する時間の幅を持つ矩形波電圧波形を得ることができる。しかし、この矩形波電圧波形では2次コイル出力電流通電開始時においてスイッチング素子62はOFF状態であり、2次コイル電流出力開始時においてZD61での損失が発生してしまう。この問題を解決するためには、2次コイル電流出力開始前にスイッチング素子62をON状態へ移行させておく必用があり、スイッチング素子の起動回路を必用とする。この起動回路は1次コイルで発生する逆起電圧を用い、2次コイル電流出力期間に1次コイルに誘導される電圧によってスイッチング素子が通電状態へ移行しない程度の電圧となるように調整された分圧抵抗からなる。2次コイル電流出力時間の幅を持つ矩形波波形と2次コイル電流の出力開始からT2’までの幅をもつ矩形電圧波形をAND回路10(電圧演算手段)に入力することによって、スイッチング素子62の通電期間幅を定義することができ、2次コイル電流出力前にスイッチング素子62を通電状態にしておくことで図3のようにスイッチング素子62の駆動波形を定義することができる。
又、1次電流通電開始時までに、スイッチング素子62を通電状態にしておくことで2次コイル低圧側に配置されるイオン電流検出電源用コンデンサ63の充電電荷を放電することができ、1次電流通電開始時に2次コイルに誘導される高電圧V2onはV2on=バッテリ電圧(V1)×1次/2次コイル巻数比(n1/n2)の電圧のみとなるため、1次電流通電開始時に2次コイルへ誘導される高電圧を抑制することができる。
2次コイル低圧側にイオン電流検出電源回路6とイオン電流増幅回路7をもつ内燃機関用点火装置において、1次電流通電開始時の2次コイルへの誘導される高電圧を最小とするためには、2次コイル低圧側とGND間の電位差を無くしておく必要がある。つまり1次電流通電開始時にはコンデンサ63の放電がなされていなければならない。すなわちコンデンサ63の放電動作は、点火信号の入力から1次電流遮断素子制御回路の遅延時間と1次電流遮断素子の動作遅延時間を合わせた時間内で終了しなければならない。
点火信号入力から1次電流遮断素子制御回路の遅延時間をタイマ回路によって遅延時間を制御してもよいが、1次電流遮断素子のゲートエミッタ間容量の充電による遅延時間を制御したほうが回路を簡素化でき望ましい。
図4においてコンデンサ63の放電動作を示す。点火信号の入力から1次電流遮断素子制御回路の遅延時間をTd1、1次電流遮断素子の遅延時間をTd2、1次電流遮断素子のゲート−エミッタ間容量をCies、ゲートの直列抵抗をRg、1次電流遮断素子のゲートスレッシュ電圧をVgth、1次電流遮断素子5のゲート駆動電圧をVgd、コンデンサ63の放電時間をTf、コンデンサ63の容量をCion,コンデンサ63が放電する経路の直流抵抗をResr、ZD61により充電されるコンデンサ63の充電電圧をVion、スイッチング素子62のオン電圧をVsatとすると、点火信号入力から1次電流通電開始までの遅延時間とコンデンサ63の放電時間は(Td1+Td2)>Tfの関係になければならない。すなわち、{Td1−Cies×Rg×ln(1−Vgth/Vgd)}>−Cion×Resr×ln(Vsat/Vion)の関係式を満たす必要があり、1次電流遮断素子5のゲート直流抵抗RgはRg>{(Cion×Resr)/Cies}×{ln(Vsat/Vion)/ln(1−Vgth/Vgd)}となる必要がある。
コンデンサ63にはスイッチング素子62が並列に配置されており、コンデンサ63の放電動作を行うことが可能である。1次電流遮断素子5のゲート直列抵抗を上述の範囲で調整し、点火信号をスイッチング素子62のON/OFF制御に用いることによって1次電流通電開始時に2次コイルへ誘導される高電圧を抑制し内燃機関の点火時期の進角(過早点火)を防ぐことができる。
図5において示すように、2次コイル電流出力期間でのスイッチング素子62をオンオフ制御するAND回路の出力と、上記点火信号波形処理後の矩形波をOR回路に入力する回路を構成することによって、点火信号入力から1次電流通電開始までの期間にもスイッチング素子62を通電状態とすることができ、コンデンサ63の充電電荷を放電することができ、点火性能低下の抑制と1次電流通電開始時における2次コイルの高電圧発生の抑制を両立することができる。
本発明は組み合わされる1次及び2次コイルに依存することなく、外部からの独立した制御信号を必要とせずに2次コイル電流経路を切り替えてイオン電流検出用電源回路での点火コイルの出力エネルギ損失を抑制し、1次電流通電開始時に2次コイルに生じる高電圧を抑制することができるイオン電流検出機能付き内燃機関用点火装置を実現できる。
スイッチング素子62に関し、IGBTもしくはMOS−FETでは同一半導体上にZD又はDを構成しコレクタ−エミッタ間もしくはドレイン−ソース間特性としてZD特性を持たせることは一般的である。つまりスイッチング素子62に上記半導体スイッチング素子を用いることで、ZD61はスイッチング素子62に内蔵される素子となり部品点数の削減が可能である。
1 バッテリ
2 点火プラグ
3 点火コイル
4 制御回路
5 1次電流遮断素子
6 イオン電流検出電源回路
7 イオン電流増幅回路
2 点火プラグ
3 点火コイル
4 制御回路
5 1次電流遮断素子
6 イオン電流検出電源回路
7 イオン電流増幅回路
Claims (4)
- 電子制御される1次電流遮断素子により1次電流がオンオフ制御される1次コイルと、前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイルと、2次コイル低圧側にイオン電流検出用電源回路とイオン電流増幅回路が配置されており、イオン電流増幅回路出力電圧と、プラグギャップ間放電期間中に1次コイルへ誘導される電圧波形による外部からの信号入力を必要としない自立制御によって2次コイル出力電流経路を切り替える手段を持ち、イオン電流検出用電源の充電動作による2次コイル出力エネルギの損失を抑制できることを特徴とするイオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置。
- 2次コイル出力電流経路を切り替える手段としてコレクタ−エミッタ間もしくはドレイン−ソース間にZDをもつスイッチング素子を使用し、素子に内蔵するZDによってイオン電流検出電源電圧を作成することを特徴とするイオン電流検出機能をもつ内燃機関用点火装置。
- 電子制御される1次電流遮断素子により1次電流がオンオフ制御される1次コイルと、前記1次コイルに電磁結合されて点火プラグに高電圧を供給する2次コイルと、2次コイル低圧側にイオン電流検出用電源回路とイオン電流増幅回路が配置され外部からの信号入力を必要としない自立制御によって2次コイル出力電流経路を切り替える2次電流経路切り替え手段とを備えた内燃機関用点火装置において、前記2次電流経路切り替え手段は2次コイル電流出力期間に1次コイルに誘導される電圧の検出回路によって出力される2次電流出力期間を幅とする矩形波を出力するものであり、当該矩形波出力とイオン電流増幅回路出力電圧とを比較する電圧演算手段を備えると共に、当該電圧比較手段は前記2次電流経路切り替え手段を導通−遮断制御していることを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 2次電流経路切り替え手段からの制御電圧波形と点火信号をOR処理する回路を備え、当該OR回路出力によって2次電流経路切り替え素子を制御することによってイオン電流検出電源の充電電荷を1次電流遮断素子の駆動回路に点火信号が入力されてから1次電流遮断素子が通電開始するまでの遅延時間内で放電し、1次電流通電開始時に2次コイルに発生する高電圧を抑制することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関用点火装置。
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JP2007090673A JP2008248780A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | 内燃機関用点火装置 |
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