JP2008243991A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】スピン注入書き込みによるトンネルバリア層の破壊を防止する。
【解決手段】本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層11と、磁化方向が第1方向となる第1エリアA及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアBを有する第2強磁性層12と、第1及び第2強磁性層11,12の間に配置されるトンネルバリア層13とを備え、書き込みは、第1及び第2エリアA,Bの間にスピン注入電流を流すことにより、第1及び第2エリアA,Bの境界に生じる磁壁Wを、少なくとも第2強磁性層12のうち第1強磁性層11に対向する対向エリアCを跨ぐ範囲で移動させて行う。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層11と、磁化方向が第1方向となる第1エリアA及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアBを有する第2強磁性層12と、第1及び第2強磁性層11,12の間に配置されるトンネルバリア層13とを備え、書き込みは、第1及び第2エリアA,Bの間にスピン注入電流を流すことにより、第1及び第2エリアA,Bの境界に生じる磁壁Wを、少なくとも第2強磁性層12のうち第1強磁性層11に対向する対向エリアCを跨ぐ範囲で移動させて行う。
【選択図】図4
Description
本発明は、磁気抵抗効果素子(magnetoresistance device)に関する。
磁気抵抗効果素子は、磁気ヘッド、磁気センサなどのデバイスに利用される。また、強磁性トンネル接合(MTJ: magnetic tunnel junction)が提案されてからは、磁気抵抗効果素子をメモリセルとする磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM: magnetic random access memory)の開発が盛んである。
強磁性トンネル接合を有する磁気抵抗効果素子の基本構造は、2つの強磁性層とこれらの間に配置されるトンネルバリア層とから構成されるスタック構造である。但し、磁気抵抗効果素子のバリエーションは、強磁性トンネル接合の構造や数によって様々である。
磁気抵抗効果素子をメモリセルとする磁気ランダムアクセスメモリは、不揮発でありながら、書き込み/読み出し時間が10ナノ秒以下と短く、しかも、書き換え回数の上限が1015以上という特徴を有する。
磁気ランダムアクセスメモリの書き込み(磁化反転)方法については、スピン偏極された電子によるスピントルクを利用するスピン注入法が有力である。
この方法の最大の特徴は、磁化反転が臨界電流密度を超えたときに起こることから、磁気抵抗効果素子のサイズの縮小に応じて磁化反転に必要な書き込み電流の値を小さくすることができる、というスケーラビリティにある。
しかし、磁気ランダムアクセスメモリを実用化するためには、書き込み時におけるトンネルバリア層の破壊などの問題を防ぐために、臨界電流密度を5×105A/cm2以下の値にしなければならない。
臨界電流密度を下げる工夫の一つとしては、デュアルピン構造が知られているが、この構造を採用した場合には、磁気抵抗効果素子の構造が複雑になるため、製造コストの増加の原因となる。
また、磁気抵抗効果素子のサイズのばらつきによる書き込み不具合に対しては、強磁性層のエッジ(側面)に強磁性トンネル接合を形成する技術(以下、エッジMTJ技術)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
この技術によれば、磁気抵抗効果素子(強磁性トンネル接合)のサイズは、強磁性層の厚さで規定されるため、フォトリソグラフィによる強磁性層のパターンの平面的なばらつきに大きな影響を受けることがない。
しかし、エッジMTJ技術は、臨界電流密度そのものを低減するものではないため、臨界電流密度を5×105A/cm2以下の値にする、という課題の解決にはならない。
このように、磁気ランダムアクセスメモリにとってスピン注入法は非常に有効な技術であるが、磁気抵抗効果素子の構造の簡略化、臨界電流密度の低減などの問題が解決されていないため、実用化には至っていない。
ところで、複数の磁壁(磁区構造)を有する基板に対して垂直方向に長い強磁性層にスピン注入電流を流し、複数の磁壁を同時にシフトさせるレーストラックメモリ(magnetic race-track memory)が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
このメモリは、読み出しに磁気抵抗効果を利用する。スピン注入電流は、データ(磁壁)のシフトにのみ使用し、書き込みは、ハードディスクのように、基板に対して垂直方向に長い強磁性層とは別個に設けられた磁界発生用電流配線により行う。
レーストラックメモリは、磁界発生用電流配線に流す書き込み電流が大きくなり、また、磁壁のシフトのためのスピン注入電流が大きくなるため、駆動回路が大きい。
また、ランダムアクセスができず、さらに、書き込み/読み出し動作とデータのシフト動作とを同時に行うことができないため、書き込み/読み出し時間が長くなり、高速動作には向いていない。
特開2006-148039号公報
米国特許第6,834,005号明細書
本発明の例では、書き込みにスピン注入法を採用してもトンネルバリア層が破壊されない磁気抵抗効果素子の構造を提案する。
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が第1方向となる第1エリア及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアを有する第2強磁性層と、第1及び第2強磁性層の間に配置されるトンネルバリア層とを備え、第1及び第2エリアの間にスピン注入電流を流すことにより、第1及び第2エリアの境界に生じる磁壁を、少なくとも第2強磁性層のうち第1強磁性層に対向する対向エリアを跨ぐ範囲で移動させる。
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が第1方向となる第1エリア及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアを有する第2強磁性層と、第1強磁性層の側面及び第2強磁性層の間に配置されるトンネルバリア層とを備え、第1及び第2エリアの間にスピン注入電流を流すことにより、第1及び第2エリアの境界に生じる磁壁を、少なくとも第2強磁性層のうち第1強磁性層の側面に対向する対向エリアを跨ぐ範囲で移動させる。
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第1磁区及び磁化方向が第1又は第2方向となる第2磁区を有する第2強磁性層と、第1強磁性層及び第2強磁性層の第2磁区の間に配置されるトンネルバリア層とを備え、第2磁区は、第1磁区よりも薄く、第1及び第2強磁性層の間にスピン注入電流を流すことにより、少なくとも第2磁区のうち第1強磁性層に対向するエリアの磁化を反転させる。
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第1磁区及び磁化方向が第1又は第2方向となる第2磁区を有する第2強磁性層と、第1強磁性層の側面及び第2強磁性層の第2磁区の間に配置されるトンネルバリア層とを備え、第2磁区は、第1磁区よりも薄く、第1及び第2強磁性層の間にスピン注入電流を流すことにより、少なくとも第2磁区のうち第1強磁性層の側面に対向するエリアの磁化を反転させる。
本発明の例によれば、書き込みにスピン注入法を採用してもトンネルバリア層が破壊されない。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
1. 概要
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層(ピンド層)と、磁化方向が第1方向となる第1エリア及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアを有する第2強磁性層(フリー層)と、ピンド層とフリー層の間に配置されるトンネルバリア層とを備える。
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子は、磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層(ピンド層)と、磁化方向が第1方向となる第1エリア及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアを有する第2強磁性層(フリー層)と、ピンド層とフリー層の間に配置されるトンネルバリア層とを備える。
このように、本発明の例に係る磁気抵抗効果素子の基本構造は、単純な3層構造である。
ここで、第1エリアと第2エリアとの境界を磁壁と定義する。
そして、本発明の例では、書き込みは、スピン注入電流を第1エリアと第2エリアとの間に流し、第2強磁性層内の磁壁を移動させることにより行う。
磁壁の移動は、少なくとも第2強磁性層のうち第1強磁性層に対向する対向エリアを跨ぐ範囲で往復して行われる。
具体的には、スピン注入電流を第1エリアから第2エリアに向かって流すと、第2方向にスピン偏極された電子が第1エリア内の電子にスピントルクを与えるため、磁壁が第2エリアを広げる方向に移動する。そして、対向エリアが第2エリア内に含まれると、磁気抵抗効果素子はアンチパラレル状態になる。
また、スピン注入電流を第2エリアから第1エリアに向かって流すと、第1方向にスピン偏極された電子が第2エリア内の電子にスピントルクを与えるため、磁壁が第1エリアを広げる方向に移動する。そして、対向エリアが第1エリア内に含まれると、磁気抵抗効果素子はパラレル状態になる。
磁壁の移動範囲は、第2強磁性層の厚さを部分的に変えることにより正確に規定できる。
ここで、磁壁を移動させるために必要なスピン注入電流の最小値を臨界電流と定義する。臨界電流は、フリー層としての第2強磁性層の臨界電流密度と第2強磁性層内の対向エリアの断面積の積となる。
例えば、第2強磁性層内の対向エリアを第2強磁性層内のその他のエリアよりも薄くすれば、臨界電流以上のスピン注入電流を第1エリアと第2エリアとの間に流すことにより、磁壁は、対向エリアの一端から他端まで移動する。
但し、スピン注入電流は、対向エリア以外のエリアの磁化が反転しない最大値以下であることが好ましい。
即ち、スピン注入電流の値を一定とすると、対向エリア内での電流密度は、対向エリア以外での電流密度よりも高くなる。
このため、対向エリア内での電流密度が臨界電流密度以上となり、対向エリア以外での電流密度が臨界電流密度未満となるように、第2強磁性層の厚さを設定すれば、磁壁を対向エリアの一端から他端まで移動させることができる。
また、本発明の例とエッジMTJ技術とを組み合わせれば、磁壁の移動範囲をセルフアラインで規定できる。つまり、第1強磁性層の側面が露出している状態で成膜を行うと、平坦部に比べて側面の法線方向の膜厚は薄くなる。
また、磁壁の移動範囲は、第2強磁性層内の第1エリアの一部の磁化方向を第1方向に固着し、第2強磁性層内の第2エリアの一部の磁化方向を第2方向に固着することによっても規定できる。
また、エッジMTJ構造を用いることにより第2強磁性層の長さを短くすることが出来る。そのため第2強磁性層にスピン注入電流が流れる経路が短くなるため、第2強磁性層の低抵抗化もしくは薄膜化が可能となり、低消費電力で書き込みができる。
この場合、磁化方向の固着は、第2強磁性層内の対向エリア内では当然に行われない。磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層を付与することにより行う。
このような構成によれば、書き込み(磁化反転)に必要なスピン注入電流は、第2強磁性層のみに流せばよく、第1及び第2強磁性層の間のトンネルバリア層にスピン注入電流を流す必要がなくなる。
従って、書き込み時におけるトンネルバリア層の破壊という問題が発生しない。
また、臨界電流の値は、第2強磁性層の厚さに大きな影響を受け、フォトリソグラフィによる第2強磁性層のパターンの平面的なばらつきにほとんど影響を受けない。従って、磁気抵抗効果素子のサイズのばらつきによる書き込み不具合の発生を抑えることができる。
しかも、第2強磁性層内の対向エリアを薄くすればするほど、臨界電流を小さくできるため、低消費電流化を実現できる。
さらに、第2強磁性層内の対向エリアとそれ以外のエリアとの断面積(厚さ)の差を大きくすることにより、臨界電流に関して、大きなマージンを持たせることができる。
このように、本発明の例に係る磁気抵抗効果素子によれば、書き込みにスピン注入法を採用しても、トンネルバリア層が破壊されることがないため、磁気ランダムアクセスメモリの実用化に貢献できる。
2. 実施の形態
次に、最良と思われるいくつかの実施の形態について説明する。
次に、最良と思われるいくつかの実施の形態について説明する。
(1) 第1実施の形態
A. 素子構造
図1は、第1実施の形態に係る磁気抵抗効果素子を示している。
上図は、平面図で、下図は、断面図である。
A. 素子構造
図1は、第1実施の形態に係る磁気抵抗効果素子を示している。
上図は、平面図で、下図は、断面図である。
ピンド層(第1強磁性層)11の磁化方向は、第1方向に固着される。ピンド層11の磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層により行う。フリー層(第2強磁性層)12は、磁化方向が第1方向となる第1エリアA及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアBを有する。
トンネルバリア層13は、ピンド層11とフリー層12との間に配置される。また、フリー層12内の第1エリアAは、ドライバ/シンカー21Aに接続され、フリー層12内の第2エリアBは、ドライバ/シンカー21Bに接続される。
このような構造を有する磁気抵抗効果素子において、書き込みは、ドライバ/シンカー21A,21Bを用いて、第1及び第2エリアA,Bの間にスピン注入電流を流し、第1及び第2エリアA,Bの境界に生じる磁壁Wを移動させることにより行う。
磁壁Wの移動範囲は、少なくともフリー層12のうちピンド層11に対向する対向エリアCを跨ぐ範囲にする。
例えば、フリー層12について、少なくとも対向エリアCをその他のエリアよりも薄くすれば、磁壁Wを対向エリアCの一端から他端までの範囲で移動させることができる。但し、スピン注入電流は、対向エリア内の磁化が反転し、かつ、その他のエリアの磁化が反転しない値とする。
また、フリー層12内の第1エリアAの一部の磁化方向を第1方向に固着し、第2エリアBの一部の磁化方向を第2方向に固着することによっても、磁壁Wを対向エリアCの一端から他端までの範囲で移動させることができる。
この場合、磁化方向の固着は、フリー層12内の対向エリア内では当然に行われない。磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層を付与することにより行う。
B. 動作
次に、図1の磁気抵抗効果素子の動作について説明する。
次に、図1の磁気抵抗効果素子の動作について説明する。
ここでは、磁気抵抗効果素子は、TMR(tunnel magneto-resistance)特性を有するものとし、パラレル状態を“0”(低抵抗)とし、アンチパラレル状態を“1”(高抵抗)と仮定する。
図2は、磁気抵抗効果素子の磁化状態をパラレルからアンチパラレルにする書き込み動作を示している。
磁気抵抗効果素子の初期状態は、パラレルであると仮定する。
この書き込み動作(“1”−書き込み)では、スピン注入電流Isは、フリー層12内の第1エリアAから第2エリアBに向かって流す。この時、電子の流れは、第2エリアBから第1エリアAに向かう方向になる。
従って、第2方向にスピン偏極された電子が第1エリアA内の電子にスピントルクを与えるため、第1エリアA内の磁化方向は、第2エリアBに接触する部分から順次反転する。
その結果、磁壁Wは、第2エリアBを広げる方向(紙面左方向)に移動する。そして、対向エリアCが第2エリアB内に含まれると、磁気抵抗効果素子は、アンチパラレル状態になる。
図3は、磁気抵抗効果素子の磁化状態をアンチパラレルからパラレルにする書き込み動作を示している。
磁気抵抗効果素子の初期状態は、アンチパラレルであると仮定する。
この書き込み動作(“0”−書き込み)では、スピン注入電流Isは、フリー層12内の第2エリアBから第1エリアAに向かって流す。この時、電子の流れは、第1エリアAから第2エリアBに向かう方向になる。
従って、第1方向にスピン偏極された電子が第2エリアB内の電子にスピントルクを与えるため、第2エリアB内の磁化方向は、第1エリアAに接触する部分から順次反転する。
その結果、磁壁Wは、第1エリアAを広げる方向(紙面右方向)に移動する。そして、対向エリアCが第1エリアA内に含まれると、磁気抵抗効果素子は、パラレル状態になる。
図2及び図3において、読み出し動作は、通常どおり、ピンド層11とフリー層12との間に読み出し電流を流し、TMR効果を利用して、磁気抵抗効果素子の抵抗値を検出することにより行う。
C. まとめ
第1実施の形態によれば、書き込み(磁化反転)に必要なスピン注入電流は、フリー層のみに流せばよく、トンネルバリア層にスピン注入電流を流す必要がない。このため、トンネルバリア層が破壊されるという問題も解消される。
第1実施の形態によれば、書き込み(磁化反転)に必要なスピン注入電流は、フリー層のみに流せばよく、トンネルバリア層にスピン注入電流を流す必要がない。このため、トンネルバリア層が破壊されるという問題も解消される。
また、臨界電流は、フリー層内の対向エリアの厚さで規定できるため、磁気抵抗効果素子の特性に影響されることがない。
さらに、フリー層内の対向エリアを薄くすればするほど、臨界電流を小さくすることができるため、低電流書き込みを実現できる。
(2) 第2実施の形態
A. 素子構造
図4は、第2実施の形態に係る磁気抵抗効果素子を示している。
半導体基板10の上部に磁気抵抗効果素子が配置される。
A. 素子構造
図4は、第2実施の形態に係る磁気抵抗効果素子を示している。
半導体基板10の上部に磁気抵抗効果素子が配置される。
この磁気抵抗効果素子は、エッジMTJ技術が適用されたエッジMTJ素子であり、ピンド層(第1強磁性層)、フリー層(第2強磁性層)、及び、ピンド層とフリー層の間に配置されるトンネルバリア層13から構成される。
具体的には、ピンド層11上には、絶縁層14が配置される。また、ピンド層11の側面には、トンネルバリア層13が配置され、トンネルバリア層13上には、フリー層12が配置される。
強磁性トンネル接合は、ピンド層11の側面に形成される。
そして、ピンド層11の磁化方向は、第1方向に固着される。ピンド層11の磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層により行う。フリー層12は、磁化方向が第1方向となる第1エリアA及び磁化方向が第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアBを有する。
フリー層12内の第1エリアAは、端子T1に接続され、フリー層12内の第2エリアBは、端子T2に接続される。また、ピンド層11は、端子T3に接続される。
書き込みは、第1及び第2端子T1,T2の間、即ち、第1エリアA及び第2エリアBの間にスピン注入電流を流し、第1エリアA及び第2エリアBの境界に生じる磁壁Wを、少なくともフリー層12のうちピンド層11に対向する対向エリアCを跨ぐ範囲で移動させることにより行う。
このように、エッジMTJ素子に本発明の例を適用すると、磁壁の移動範囲をセルフアラインで規定できる利点がある。
即ち、図4では、説明を簡略化するため、フリー層12の厚さを均一に記載しているが、実際は、強磁性材料のカバレージに起因して、ピンド層11の側面に対向していてピンド層11の側面の法線方向のフリー層の厚さは、基板に平行な部分の厚さよりも薄くなる。また、ピンド層11の側面に対向するフリー層の上部及び下部にそれぞれくびれが形成される。
従って、例えば、ピンド層11の側面上に存在するフリー層の2つのくびれの間で磁壁を往復移動させることができる。
但し、補助的に、フリー層12内の第1エリアAの一部の磁化方向を第1方向に固着する反強磁性層、及び、第2エリアBの一部の磁化方向を第2方向に固着する反強磁性層を付加してもよい。
また、スピン注入電流については、対向エリアC内の磁化が反転し、かつ、端子T1もしくは端子T2まで磁化が反転しない値とする。
B. 磁区構造
図5は、ピンド層及びフリー層の磁区構造を示している。
図5は、ピンド層及びフリー層の磁区構造を示している。
ピンド層11は、1つの磁区を有し、その磁化方向は、第1方向に固着される。また、フリー層12は、3つの磁区S1,S2,S3を有する。磁区S1の磁化は、第1方向を向き、磁区S2の磁化は、第2方向を向く。磁区S3の磁化は、第1及び第2方向のうちの一方を選択的に向く。
図6は、磁気抵抗効果素子の断面構造の例を示している。
ピンド層11の磁化方向は、紙面を表から裏に突き抜ける第1方向に固着される。また、フリー層12内の磁区S1の磁化は、第1方向を向き、フリー層12内の磁区S2の磁化は、紙面を裏から表に突き抜ける第2方向を向く。フリー層12内の磁区S3の磁化は、第1及び第2方向のうちの一方を選択的に向く。
磁区S3の磁化方向がピンド層11の磁化方向と同じになったとき、磁気抵抗効果素子の磁化状態は、パラレルになる。また、磁区S3の磁化方向がピンド層11の磁化方向と逆になったとき、磁気抵抗効果素子の磁化状態は、アンチパラレルになる。
C. 動作
次に、図4の磁気抵抗効果素子の動作について説明する。
次に、図4の磁気抵抗効果素子の動作について説明する。
ここでは、磁気抵抗効果素子は、TMR(tunnel magneto-resistance)特性を有するものとし、パラレル状態を“0”(低抵抗)とし、アンチパラレル状態を“1”(高抵抗)と仮定する。
図4の構造では、フリー層12内の対向エリアCが非常に薄く、対向エリアCの断面積も非常に小さい。このため、非常に小さな臨界電流によって磁壁の移動が可能になる。
図7は、磁気抵抗効果素子の磁化状態をパラレルからアンチパラレルにする書き込み動作を示している。
磁気抵抗効果素子の初期状態は、パラレルであると仮定する。
この書き込み動作(“1”−書き込み)では、スピン注入電流Isは、フリー層12内の第1エリアAから第2エリアBに向かって流す。この時、電子の流れは、第2エリアBから第1エリアAに向かう方向になる。
従って、第2方向にスピン偏極された電子が第1エリアA内の電子にスピントルクを与えるため、第1エリアA内の磁化方向は、第2エリアBに接触する部分から順次反転する。
その結果、磁壁の位置は、W2からW1に移動する。即ち、図5及び図6における磁区S3の磁化が反転し、磁気抵抗効果素子は、パラレル状態からアンチパラレル状態になる。
ここで、磁気抵抗効果素子をメモリセルとして使用する場合には、書き込み後、長期間が経過しても、残留磁化の向きが変化しないこと(熱熱擾乱耐性)が要求される。
本発明の例に係る素子構造では、フリー層12は、常に、磁化方向が互いに逆向きの第1エリアAと第2エリアBとを有しているため、図8に示すように、磁力線が閉じた状態になる。
従って、本発明の例に関わる素子構造は、外部からの擾乱を受け難く、熱的に非常に安定である。即ち、熱擾乱耐性を有し、メモリセルに適した磁気抵抗効果素子を実現できる。
図9は、磁気抵抗効果素子の磁化状態をアンチパラレルからパラレルにする書き込み動作を示している。
磁気抵抗効果素子の初期状態は、アンチパラレルであると仮定する。
この書き込み動作(“0”−書き込み)では、スピン注入電流Isは、フリー層12内の第2エリアBから第1エリアAに向かって流す。この時、電子の流れは、第1エリアAから第2エリアBに向かう方向になる。
従って、第1方向にスピン偏極された電子が第2エリアB内の電子にスピントルクを与えるため、第2エリアB内の磁化方向は、第1エリアAに接触する部分から順次反転する。
その結果、磁壁の位置は、W1からW2に移動する。即ち、図5及び図6における磁区S3の磁化が反転し、磁気抵抗効果素子は、アンチパラレル状態からパラレル状態になる。
そして、図10に示すように、磁力線が閉じた状態になる。
従って、本発明の例に関わる素子構造は、パラレル状態においても、外部からの擾乱を受け難く、熱的に非常に安定である。即ち、熱擾乱耐性を有し、メモリセルに適した磁気抵抗効果素子を実現できる。
図8及び図10において、読み出し動作は、通常どおり、ピンド層11とフリー層12との間に読み出し電流を流し、TMR効果を利用して、磁気抵抗効果素子の抵抗値を検出することにより行う。
D. 回路例
図11乃至図16は、図4の磁気抵抗効果素子をメモリセルとして使用した場合の回路例を示している。
図11乃至図16は、図4の磁気抵抗効果素子をメモリセルとして使用した場合の回路例を示している。
図11の例では、図4の端子T1,T2に相当する部分に、ドライバ/シンカー21A,21Bを接続し、図4の端子T3に相当する部分に、センスアンプ22を接続する。
読み出し電流Irは、センスアンプ(S/A)22から、強磁性トンネル接合を経由して、ドライバ/シンカー21A,21Bのうちの1つに向かって流す。
図12の例では、図4の端子T1に相当する部分に、ドライバ/シンカー21A及びセンスアンプ22を接続し、図4の端子T2に相当する部分に、ドライバ/シンカー21Bを接続し、図4の端子T3に相当する部分に、電源端子(例えば、接地端子)Vssを接続する。
読み出し電流Irは、センスアンプ22から、強磁性トンネル接合を経由して、電源端子Vssに向かって流す。
図13の例では、図4の端子T1に相当する部分に、ドライバ/シンカー21Aを接続し、図4の端子T2に相当する部分に、ドライバ/シンカー21B及びセンスアンプ22を接続し、図4の端子T3に相当する部分に、電源端子(例えば、接地端子)Vssを接続する。
読み出し電流Irは、センスアンプ22から、強磁性トンネル接合を経由して、電源端子Vssに向かって流す。
図14の例は、図11の例の変形例である。図11の例では、ドライバ/シンカー21Bは、フリー層12の上面にコンタクトするが、本例では、ドライバ/シンカー21Bは、フリー層12の下面にコンタクトする。
図15の例は、図12の例の変形例である。図12の例では、ドライバ/シンカー21Bは、フリー層12の上面にコンタクトするが、本例では、ドライバ/シンカー21Bは、フリー層12の下面にコンタクトする。
図16の例は、図13の例の変形例である。図13の例では、ドライバ/シンカー21B及びセンスアンプ22は、フリー層12の上面にコンタクトするが、本例では、ドライバ/シンカー21B及びセンスアンプ22は、フリー層12の下面にコンタクトする。
E. まとめ
第2実施の形態によれば、書き込み(磁化反転)に必要なスピン注入電流は、フリー層のみに流せばよく、トンネルバリア層にスピン注入電流を流す必要がない。このため、トンネルバリア層が破壊されることはなく、臨界電流密度の低減という問題も解消される。
第2実施の形態によれば、書き込み(磁化反転)に必要なスピン注入電流は、フリー層のみに流せばよく、トンネルバリア層にスピン注入電流を流す必要がない。このため、トンネルバリア層が破壊されることはなく、臨界電流密度の低減という問題も解消される。
また、磁壁を移動させるために必要なスピン注入電流の電流は、ピンド層の側面上に形成されるフリー層(磁区S3)の厚さで規定できるため、磁気抵抗効果素子の特性に影響されることがない。
さらに、フリー層(磁区S3)を薄くすればするほど、スピン注入電流の電流を小さくすることができるため、低消費電流化を容易に実現できる。
(3) 磁化の固着方法
ピンド層及びフリー層の磁化を固着する方法について説明する。
ピンド層及びフリー層の磁化を固着する方法について説明する。
ここでは、強磁性層と反強磁性層との交換結合を利用する。この方法が磁化を最も安定的に固着できるからである。
図17の例では、ピンド層(第1強磁性層)11上に反強磁性層16Aを配置する。図18の例では、ピンド層11下に反強磁性層16Bを配置する。また、図19の例では、ピンド層11は、反強磁性層16A,16Bにより挟み込まれる。さらに、図20の例では、ピンド層11及び反強磁性層16A,16B,16Cは、交互に積み重ねられる。
これらいずれの構造においても、ピンド層11の磁化を安定的に固着できるため、磁気抵抗効果素子の信頼性を向上できる。
図21の例では、フリー層(第2強磁性層)12内の第1エリアAの一部(磁区S1)上に反強磁性層17Aを配置する。図22の例では、反強磁性層17Aは、絶縁層14上の一部からフリー層12内の第1エリアA上の一部(磁区S1)に跨って配置される。
図23の例では、フリー層12内の第2エリアBの一部(磁区S2)上に反強磁性層17Bを配置する。図24の例では、反強磁性層17Bは、絶縁層15上の一部からフリー層12内の第2エリアB上の一部(磁区S2)に跨って配置される。
これらいずれの構造においても、フリー層12の磁化の一部を安定的に固着できるため、磁気抵抗効果素子の信頼性を向上できる。
(4) 材料例
ピンド層及びフリー層は、例えば、以下の材料から構成する。
ピンド層及びフリー層は、例えば、以下の材料から構成する。
・ Ni-Fe, Co-Fe, Co-Fe-Ni合金
・ CoFeB, (Co,Fe,Ni)-(Si,B), (Co,Fe,Ni)-(Si,B)-(P,Al,Mo,Nb,Mn)
・ Co-(Zr,Hf,Nb,Ta,Ti)などのアモルファス材料
・ Co2(CrxFe1-x)Al, Co2MnSi, Co2MnAlなどのホイスラー材料
但し、上記材料のうち、括弧内にカンマで区切られる複数の元素が存在する場合には、これら複数の元素のうちの1つを選択することを意味する。
・ CoFeB, (Co,Fe,Ni)-(Si,B), (Co,Fe,Ni)-(Si,B)-(P,Al,Mo,Nb,Mn)
・ Co-(Zr,Hf,Nb,Ta,Ti)などのアモルファス材料
・ Co2(CrxFe1-x)Al, Co2MnSi, Co2MnAlなどのホイスラー材料
但し、上記材料のうち、括弧内にカンマで区切られる複数の元素が存在する場合には、これら複数の元素のうちの1つを選択することを意味する。
また、このグループから選択される複数の材料をスタックして積層構造としてもよい。
ピンド層及びフリー層を構成する強磁性体には、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)、Bi(ビスマス)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの非磁性元素を添加してもよい。
この場合、これら非磁性元素により、ピンド層及びフリー層の磁気特性、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を制御することができる。
トンネルバリア層は、例えば、Al2O3(酸化アルミニウム)、SiO2(酸化シリコン)、MgO(酸化マグネシウム)、AlN(窒化アルミニウム)、Bi2O3(酸化ビスマス)、MgF2(フッ化マグネシウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、LaAlO3(ランタンアルミネート)、Al-N-O(酸化窒化アルミニウム)、HfO(酸化ハフニウム)などの絶縁体から構成する。
トンネルバリア層を構成する絶縁体は、化学量論的にみて完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素、フッ素などの欠損、或いは、過不足が存在していてもよい。また、トンネルバリア層の厚さは、トンネル電流を流すために、10nm以下、好ましくは、2nm以下にする。
フリー層上に配置される絶縁層及びフリー層下に配置される絶縁層は、絶縁体であれば、どのような材料を使用しても構わない。
但し、これら絶縁層として、Al2O3(酸化アルミニウム)、SiO2(酸化シリコン)、MgO(酸化マグネシウム)、AlN(窒化アルミニウム)、Bi2O3(酸化ビスマス)、MgF2(フッ化マグネシウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、LaAlO3(ランタンアルミネート)、Al-N-O(酸化窒化アルミニウム)、HfO(酸化ハフニウム)などの材料を使用すると、これら材料と強磁性体(ピンド層及びフリー層)との間にエッチング選択比を持たせることができる。
従って、ピンド層及びフリー層の加工を容易に行うことができる。
例えば、これら絶縁体材料のエッチングレートをピンド層(強磁性体)のエッチングレートよりも遅くなるように設定すると、図25に示すように、ピンド層11の側壁のテーパ角度θ1を絶縁層14,15の側壁のテーパ角度θ2よりも大きくし、ピンド層11の側面を絶縁層14,15の側面に比べて大きなテーパ角度にすることができる。
この場合、フリー層12の磁区S3は、その厚さに応じて、さらに、3つの磁区S3−1,S3−2,S3−3に分けられる。
この構造によるメリットは、フリー層12の最も薄い部分は、ピンド層11の側面に対向する部分のみである点にある。即ち、スピン注入電流の大きさを制御することにより、磁壁は、磁区S3−2のみを移動可能になる。このように、磁壁の移動範囲を必要最小限にすることで、高速書き込みを実現できる。
反強磁性層は、例えば、Fe-Mn(鉄−マンガン)、Pt-Mn(白金−マンガン)、Pt-Cr-Mn(白金−クロム−マンガン)、Ni-Mn(ニッケル−マンガン)、Ir-Mn(イリジウム−マンガン)、NiO(酸化ニッケル)、FeO、Fe2O3、Fe3O4(酸化鉄)、Ni-Fe-Coの複合酸化物(Ni-Fe-Co-O)などの反強磁性材料から構成する。
ピンド層の磁化の固着に使用する反強磁性材料としては、Fe-Mn(鉄−マンガン)、Pt-Mn(白金−マンガン)、Pt-Cr-Mn(白金−クロム−マンガン)、Ni-Mn(ニッケル−マンガン)、Ir-Mn(イリジウム−マンガン)、NiO(酸化ニッケル)、FeO、Fe2O3、Fe3O4(酸化鉄)、又は、Ni-Fe-Coの複合酸化物(Ni-Fe-Co-O)を使用することが好ましい。
また、ピンド層の磁化の固着に使用する反強磁性層のシート抵抗は、磁気抵抗MRの低下を防ぐために、ピンド層のシート抵抗より十分大きく設定されていることが望ましい。
Pt-Mn(白金−マンガン)、Pt-Cr-Mn(白金−クロム−マンガン)、Ni-Mn(ニッケル−マンガン)などのフェルミ面にSDWのギャップを有する反強磁性材料は、大きな抵抗率を持つため、より好ましい。
また、NiO(酸化ニッケル)、FeO、Fe2O3、Fe3O4(酸化鉄)、Ni-Fe-Coの複合酸化物(Ni-Fe-Co-O)などの絶縁体から反強磁性体を構成すると、さらに好ましい。
3. 実施例
実施例を以下に説明する。
実施例を以下に説明する。
(1) 第1実施例
ピンド層はCoFe(10nm)/NiO(10nm)から構成される。ピンド層上にはSiO2(150nm)が配置される。ピンド層のエッジ面上には、Mg(1nm)/MgO(1.5nm)からなるトンネルバリア層が配置される。トンネルバリア層上には、CoFe(5nm)からなるフリー層、およびMgO(3nm)からなるキャップ層が配置される。ピンド層と上部配線層の間、およびフリー層と上部配線層の間には層間絶縁層SiO2が配置される。
ピンド層はCoFe(10nm)/NiO(10nm)から構成される。ピンド層上にはSiO2(150nm)が配置される。ピンド層のエッジ面上には、Mg(1nm)/MgO(1.5nm)からなるトンネルバリア層が配置される。トンネルバリア層上には、CoFe(5nm)からなるフリー層、およびMgO(3nm)からなるキャップ層が配置される。ピンド層と上部配線層の間、およびフリー層と上部配線層の間には層間絶縁層SiO2が配置される。
フリー層中の第1エリアの磁化を固着させるための反強磁性層にNiO(20nm)を配置し、フリー層中の第2エリアの磁化を固着させるための反強磁性層にPtMn(20nm)を配置する。第2エリアの磁化を固着させるための磁場中熱処理温度は330℃、第1エリアの磁化およびピンド層を固着させるための磁場中熱処理温度は240℃とする。
但し、括弧内の数値は、材料の厚さを表わす。
(2) 第2実施例
ピンド層はCoFe(10nm)/IrMn(10nm)/CoFe(10nm)の積層膜から構成される。ピンド層上にはSiO2(150nm)が配置される。ピンド層のエッジ面上には、Al2O3(1.5nm)からなるトンネルバリア層が配置される。トンネルバリア層上には、NiFe(5nm)からなるフリー層、およびMgO(3nm)からなるキャップ層が配置される。ピンド層と上部配線層の間、およびフリー層と上部配線層の間には層間絶縁層SiO2が配置される。
ピンド層はCoFe(10nm)/IrMn(10nm)/CoFe(10nm)の積層膜から構成される。ピンド層上にはSiO2(150nm)が配置される。ピンド層のエッジ面上には、Al2O3(1.5nm)からなるトンネルバリア層が配置される。トンネルバリア層上には、NiFe(5nm)からなるフリー層、およびMgO(3nm)からなるキャップ層が配置される。ピンド層と上部配線層の間、およびフリー層と上部配線層の間には層間絶縁層SiO2が配置される。
フリー層中の第1エリアの磁化を固着させるための反強磁性層にPtMn(10nm)を配置し、フリー層中の第2エリアの磁化を固着させるための反強磁性層にNiO(20nm)を配置する。第1エリアの磁化を固着させるための磁場中熱処理温度は330℃、ピンド層を固着させるための磁場中熱処理温度は270℃、第2の磁区を固着させるための磁場中熱処理温度は240℃とする。
但し、括弧内の数値は、材料の厚さを表わす。
(3) 第3実施例
ピンド層はCoFe(10nm)/NiO(10nm)から構成される。ピンド層上にはSiO2(150nm)が配置される。ピンド層のエッジ面上には、Mg(1nm)/MgO(1.5nm)からなるトンネルバリア層が配置される。トンネルバリア層上には、CoFeB(5nm)からなるフリー層、およびMgO(3nm)からなるキャップ層が配置される。ピンド層と上部配線層の間、およびフリー層と上部配線層の間には層間絶縁層SiO2が配置される。
ピンド層はCoFe(10nm)/NiO(10nm)から構成される。ピンド層上にはSiO2(150nm)が配置される。ピンド層のエッジ面上には、Mg(1nm)/MgO(1.5nm)からなるトンネルバリア層が配置される。トンネルバリア層上には、CoFeB(5nm)からなるフリー層、およびMgO(3nm)からなるキャップ層が配置される。ピンド層と上部配線層の間、およびフリー層と上部配線層の間には層間絶縁層SiO2が配置される。
フリー層中の第1エリアの磁化を固着させるための反強磁性層にRu(1nm)/CoFe(3nm)/NiO(20nm)を配置し、フリー層中の第2の磁区を固着させるための反強磁性層にRu(1nm)/CoFe(3nm)/CoFe(20nm)を配置する。第2の磁区を固着させるための磁場中熱処理温度は330℃、第1の磁区およびピンド層を固着させるための磁場中熱処理温度は240℃とする。
但し、括弧内の数値は、材料の厚さを表わす。
4. 応用例
本発明の課題は、スピン注入電流(書き込み電流)がトンネルバリア層を流れることによるトンネルバリア層の破壊の防止にある。
本発明の課題は、スピン注入電流(書き込み電流)がトンネルバリア層を流れることによるトンネルバリア層の破壊の防止にある。
上述の実施の形態では、スピン注入電流の経路について、トンネルバリア層を経由しない経路とし、本発明の課題を解決する。
この応用例では、スピン注入電流がトンネルバリア層を経由しても、トンネルバリア層が破壊されない構造について提案する。
(1) 第1応用例
図26は、第1応用例に係る磁気抵抗効果素子を示している。
半導体基板10上には、絶縁層15が形成される。
図26は、第1応用例に係る磁気抵抗効果素子を示している。
半導体基板10上には、絶縁層15が形成される。
絶縁層15上には、ピンド層(第1強磁性層)11が配置される。ピンド層11上には、絶縁層14が配置される。また、ピンド層11の側面上には、トンネルバリア層13が配置され、トンネルバリア層13上には、フリー層(第2強磁性層)12が配置される。
強磁性トンネル接合は、ピンド層11の側面に形成される。
そして、ピンド層11の磁化方向は、第1方向に固着される。ピンド層11の磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層により行う。フリー層12は、磁化方向が第2方向となる第1磁区S1(第1エリア)を有する。
第2磁区S2は、磁化方向が第1方向又は第2方向となる。第2磁区S2の磁化方向が第2方向のときには、第2磁区S2は、第1エリアとなる。
第3磁区S3(第2エリア)の磁化方向に制限はないが、第3磁区S3の磁化方向は、第1方向にするのが好ましい。
フリー層12内の第1磁区S1は、端子T1に接続される。また、ピンド層11は、端子T3に接続される。
書き込みは、端子T1,T3の間、即ち、ピンド層11とフリー層12内の第1磁区S1との間にスピン注入電流を流し、フリー層12内の第2磁区S2の磁化方向を反転させることにより行う。
この応用例の特徴は、フリー層12内の磁壁を通したスピン注入に加えて、トンネルバリア13を通してピンド層11からスピン注入を行っているという点にある。このため、スピン注入電流の経路がトンネルバリア層13を経由しても、上述の2つのスピン注入の効果により臨界電流を非常に小さくすることができるため、トンネルバリア層13が破壊されることはない。
本例では、ピンド層11の磁化方向とフリー層12の第1磁区S1の磁化方向とが互いに逆向きであることが必要である。
即ち、磁気抵抗効果素子の磁化状態をパラレルにする場合には、端子T1,T3の間に電流I1を流し、ピンド層11において第1方向にスピン偏極された電子をフリー層12内の第2磁区S2に供給する。
その結果、フリー層12内の第2磁区S2の磁化方向は、第1方向にスピン偏極された電子によるスピントルクにより第1方向になる。
従って、強磁性トンネル接合におけるピンド層11とフリー層12との磁化状態は、パラレルになる。
また、磁気抵抗効果素子の磁化状態をアンチパラレルにする場合には、端子T1,T3の間に電流I2を流し、フリー層12の第1磁区S1において第2方向にスピン偏極された電子をフリー層12内の第2磁区S2に供給する。
その結果、フリー層12内の第2磁区S2の磁化方向は、第2方向にスピン偏極された電子によるスピントルクにより第2方向になる。
ここで、第1磁区S1で第2方向にスピン偏極された電子は、第2磁区S2内の電子に対して第2方向のスピントルクを与えると共に、ピンド層11で反射される。この反射された電子は、第2磁区S2に対して第2方向のスピントルクを与えるため、パラレルからアンチパラレルにするときの臨界電流(反転電流)の値を小さくできる。
また、第3磁区S3の磁化を第1方向に固定すれば、第1磁区S1で第2方向にスピン偏極された電子は、第3磁区S3でも反射される。
通常、パラレルからアンチパラレルにするときの反転電流の値は、アンチパラレルからパラレルにするときの反転電流よりも大きいため、第1応用例の構造は、非常に有効である。
このようにして、強磁性トンネル接合におけるピンド層11とフリー層12との磁化状態は、アンチパラレルになる。
尚、本例では、フリー層12の第2磁区S2の磁化方向が変化することにしたが、少なくともフリー層12のうちピンド層11の側面に対向するエリア(対向エリア)が磁化反転すれば、メモリセルとして機能する。
(2) 第2応用例
図27は、第2応用例に係る磁気抵抗効果素子を示している。
半導体基板10上には、絶縁層15が形成される。
図27は、第2応用例に係る磁気抵抗効果素子を示している。
半導体基板10上には、絶縁層15が形成される。
絶縁層15上には、ピンド層(第1強磁性層)11が配置される。ピンド層11上には、絶縁層14が配置される。また、ピンド層11の側面上には、トンネルバリア層13が配置され、トンネルバリア層13上には、フリー層(第2強磁性層)12が配置される。
強磁性トンネル接合は、ピンド層11の側面に形成される。
そして、ピンド層11の磁化方向は、第1方向に固着される。ピンド層11の磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層により行う。フリー層12は、磁化方向が第2方向となる第1磁区S1(第1エリア)を有する。
第2磁区S2は、磁化方向が第1方向又は第2方向となる。第2磁区S2の磁化方向が第2方向のときには、第2磁区S2は、第1エリアとなる。
第3磁区S3(第2エリア)の磁化方向に制限はないが、第3磁区S3の磁化方向は、第1方向にするのが好ましい。
フリー層12内の第1磁区S1は、端子T2に接続される。また、ピンド層11は、端子T3に接続される。
書き込みは、端子T2,T3の間、即ち、ピンド層11とフリー層12内の第1磁区S1との間にスピン注入電流を流し、フリー層12内の第2磁区S2の磁化方向を反転させることにより行う。
この応用例の特徴は、フリー層12内の磁壁を通したスピン注入に加えて、トンネルバリア13を通してピンド層11からスピン注入を行っている、という点にある。このため、スピン注入電流の経路がトンネルバリア層13を経由しても、臨界電流を非常に小さくすることができるため、トンネルバリア層13が破壊されることはない。
本例では、ピンド層11の磁化方向とフリー層12の第1磁区S1の磁化方向とが互いに逆向きであることが必要である。
即ち、磁気抵抗効果素子の磁化状態をパラレルにする場合には、端子T2,T3の間に電流I1を流し、ピンド層11において第1方向にスピン偏極された電子をフリー層12内の第2磁区S2に供給する。
その結果、フリー層12内の第2磁区S2の磁化方向は、第1方向にスピン偏極された電子によるスピントルクにより第1方向になる。
従って、強磁性トンネル接合におけるピンド層11とフリー層12との磁化状態は、パラレルになる。
また、磁気抵抗効果素子の磁化状態をアンチパラレルにする場合には、端子T2,T3の間に電流I2を流し、フリー層12の第1磁区S1において第2方向にスピン偏極された電子をフリー層12内の第2磁区S2に供給する。
ここで、第1応用例と同様に、第1磁区S1で第2方向にスピン偏極された電子は、第2磁区S2内の電子に対して第2方向のスピントルクを与えると共に、ピンド層11で反射される。また、第3磁区S3の磁化を第1方向に固定すれば、第1磁区S1で第2方向にスピン偏極された電子は、第3磁区S3でも反射される。このため、パラレルからアンチパラレルにするときの臨界電流(反転電流)の値を小さくできる。
その結果、フリー層12内の第2磁区S2の磁化方向は、第2方向にスピン偏極された電子によるスピントルクにより第2方向になる。
従って、強磁性トンネル接合におけるピンド層11とフリー層12との磁化状態は、アンチパラレルになる。
尚、本例においても、第1応用例と同様に、少なくともフリー層12のうちピンド層11の側面に対向するエリア(対向エリア)が磁化反転すれば、メモリセルとして機能する。
(3) その他
上述の第1及び第2応用例の主旨は、フリー層の厚さを変化させ、強磁性トンネル接合を形成するエリアを最も薄くすることで、そのエリアのみを磁化反転させる、という点にある。
上述の第1及び第2応用例の主旨は、フリー層の厚さを変化させ、強磁性トンネル接合を形成するエリアを最も薄くすることで、そのエリアのみを磁化反転させる、という点にある。
従って、第1及び第2応用例では、エッジMTJ素子を例にとったが、図1に示すような構造においても、フリー層の厚さを変えることで、第1及び第2応用例を適用することが可能である。
5. 適用例
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子を磁気ランダムアクセスメモリに適用した場合の適用例を説明する。
本発明の例に係る磁気抵抗効果素子を磁気ランダムアクセスメモリに適用した場合の適用例を説明する。
(1) 第1適用例
第1適用例は、第2実施の形態に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとした場合の例である。
第1適用例は、第2実施の形態に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとした場合の例である。
A. 回路構造
図28は、第1適用例の回路構造を示している。
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子と、2つのMOSトランジスタとにより構成される(2Tr-1MTJ type)。
図28は、第1適用例の回路構造を示している。
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子と、2つのMOSトランジスタとにより構成される(2Tr-1MTJ type)。
ワード線WLは、第1方向に延び、その一端は、書き込みドライバ/シンカー21B及びロウデコーダ23に接続される。また、ビット線BLは、第1方向に交差する第2方向に延び、その一端は、書き込みドライバ/シンカー21A、読み出し回路(センスアンプ)22及びカラムデコーダ24に接続される。
ここでは、読み出し回路22をビット線BLの一端に接続しているが、これに代えて、ワード線WLの一端に接続してもよい。
メモリセルMCとしての磁気抵抗効果素子のフリー層12は、磁化方向が紙面表から裏に向かう方向となる第1エリアと、磁化方向が紙面裏から表に向かう方向となる第2エリアとを有する。また、磁気抵抗効果素子のピンド層11の磁化は、紙面表から裏に向かう方向に固定される。
ワード線WLは、メモリセルMCとしての磁気抵抗効果素子のフリー層12のうちの第1エリアに接続される。ビット線BLは、スイッチ素子としてのMOSトランジスタQrを介して磁気抵抗効果素子のピンド層11に接続され、かつ、スイッチ素子としてのMOSトランジスタQwを介して磁気抵抗効果素子のフリー層12のうちの第2エリアに接続される。
MOSトランジスタQrのゲート電極は、ビット線BL(r)に接続され、MOSトランジスタQwのゲート電極は、ビット線BL(w)に接続される。
ビット線BL(r)、BL(w)は、ビット線BLと同様に、第2方向に延びる。また、ビット線BL(r)、BL(w)の一端は、書き込み/読み出しデコーダ25に接続される。
B. 動作
このような構造の磁気ランダムアクセスメモリの場合、読み出し動作は、ビット線BL(r)のレベルを“H(high)”にし、ビット線BL(w)のレベルを“L(low)”にすることにより行う。
このような構造の磁気ランダムアクセスメモリの場合、読み出し動作は、ビット線BL(r)のレベルを“H(high)”にし、ビット線BL(w)のレベルを“L(low)”にすることにより行う。
この場合、MOSトランジスタQrがオンになり、MOSトランジスタQwがオフになる。
読み出し電流Irは、例えば、読み出し回路22から書き込みドライバ/シンカー21Bに向かって流す。この時、書き込みドライバ/シンカー21Bは、読み出しシンカーとしての機能を果たす。
読み出し電流Irは、磁気抵抗効果素子の強磁性トンネル接合を経由して流れるため、強磁性トンネル接合の抵抗値(例えば、パラレル状態→低抵抗、アンチパラレル状態→高抵抗)に応じて、磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを読み出すことができる。
また、書き込み動作は、ビット線BL(w)のレベルを“H”にし、ビット線BL(r)のレベルを“L”にすることにより行う。
この場合、MOSトランジスタQwがオンになり、MOSトランジスタQrがオフになる。
スピン注入電流(書き込み電流)Isは、書き込みドライバ/シンカー21A,21Bの間に流す。スピン注入電流Isの向きは、書き込みデータに応じて変化させる。
例えば、“0”−書き込みのときは、スピン注入電流Isを、書き込みドライバ/シンカー21Aから書き込みドライバ/シンカー21Bに向かって流せば、強磁性トンネル接合の磁化状態は、磁壁の移動によりパラレル状態になる。
また、“1”−書き込みのときは、スピン注入電流Isを、書き込みドライバ/シンカー21Bから書き込みドライバ/シンカー21Aに向かって流せば、強磁性トンネル接合の磁化状態は、磁壁の移動によりアンチパラレル状態になる。
C. デバイス構造
図29は、図28のメモリセルのデバイス構造を示す平面図である。図30は、図29のXXX−XXX線に沿う断面図である。
図29は、図28のメモリセルのデバイス構造を示す平面図である。図30は、図29のXXX−XXX線に沿う断面図である。
半導体基板(例えば、p型シリコン基板)10の表面領域には、MOSトランジスタ(例えば、nチャネルMOSトランジスタ)Qr,Qwが形成される。
MOSトランジスタQr,Qwの共通の拡散層は、例えば、メタルから構成されるビット線BLに接続される。ビット線BL(r)、BL(w)は、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
MOSトランジスタQrは、コンタクトプラグ18Aを介してピンド層11に接続される。MOSトランジスタQwは、コンタクトプラグ18Bを介してフリー層12に接続される。
ピンド層11上には、絶縁層14が配置される。また、ピンド層11の側面上には、トンネルバリア層13が配置され、トンネルバリア層13上には、フリー層12が配置される。
強磁性トンネル接合は、ピンド層11の側面に形成される。
ピンド層11の磁化方向は、固着される。ピンド層11の磁化方向の固着は、例えば、反強磁性層により行う。フリー層12の一部の磁化方向も、反強磁性層17A,17Bにより固着される。
反強磁性層17A上には、コンタクトプラグ19を介してメタルから構成されるワード線WLが形成される。
D. まとめ
このように、第2実施の形態に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとして磁気ランダムアクセスメモリを構成できる。
このように、第2実施の形態に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとして磁気ランダムアクセスメモリを構成できる。
従って、低消費電流及び高信頼性の磁気ランダムアクセスメモリの実現に貢献できる。
(2) 第2適用例
第2適用例は、第1応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとした場合の例である。
第2適用例は、第1応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとした場合の例である。
A. 回路構造
図31は、第2適用例の回路構造を示している。
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子と、1つのMOSトランジスタとにより構成される(1Tr-1MTJ type)。
図31は、第2適用例の回路構造を示している。
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子と、1つのMOSトランジスタとにより構成される(1Tr-1MTJ type)。
この構造のメモリセルは、上述の2Tr-1MTJ typeのメモリセルに比べてセルサイズが小さくなるメリットがある。
ワード線WLは、第1方向に延び、その一端は、書き込みドライバ/シンカー21B及びロウデコーダ23に接続される。また、ビット線BLは、第1方向に交差する第2方向に延び、その一端は、書き込みドライバ/シンカー21A、読み出し回路(センスアンプ)22及びカラムデコーダ24に接続される。
読み出し回路22は、第1適用例と同様に、ワード線WLの一端に接続しても構わない。
メモリセルMCとしての磁気抵抗効果素子のフリー層12は、磁化方向が紙面裏から表に向かう方向となる第1磁区S1と、磁化方向が変化する第2磁区S2とを有する。第3磁区S3の磁化方向は、第1磁区S1の磁化方向と逆にするのが好ましい。
また、磁気抵抗効果素子のピンド層11の磁化は、紙面表から裏に向かう方向に固定される。
ワード線WLは、メモリセルMCとしての磁気抵抗効果素子のフリー層12のうちの第1磁区S1に接続される。
ビット線BLは、スイッチ素子としてのMOSトランジスタQを介して磁気抵抗効果素子のピンド層11に接続される。MOSトランジスタQのゲート電極は、ビット線BL(r/w)に接続される。
ビット線BL(r/w)は、ビット線BLと同様に、第2方向に延びる。また、ビット線BL(r/w)の一端は、書き込み/読み出しデコーダ25に接続される。
B. 動作
このような構造の磁気ランダムアクセスメモリの場合、読み出し動作は、ビット線BL(r/w)のレベルを“H”にし、MOSトランジスタQをオンにすることにより行う。
このような構造の磁気ランダムアクセスメモリの場合、読み出し動作は、ビット線BL(r/w)のレベルを“H”にし、MOSトランジスタQをオンにすることにより行う。
読み出し電流Irは、例えば、読み出し回路22から書き込みドライバ/シンカー21Bに向かって流す。この時、書き込みドライバ/シンカー21Bは、読み出しシンカーとしての機能を果たす。
読み出し電流Irは、磁気抵抗効果素子の強磁性トンネル接合を経由して流れるため、強磁性トンネル接合の抵抗値(例えば、パラレル状態→低抵抗、アンチパラレル状態→高抵抗)に応じて、磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを読み出すことができる。
また、書き込み動作も、読み出し動作と同様に、ビット線BL(r/w)のレベルを“H”にし、MOSトランジスタQをオンにすることにより行う。
スピン注入電流(書き込み電流)Isは、書き込みドライバ/シンカー21A,21Bの間に流す。スピン注入電流Isの向きは、書き込みデータに応じて変化させる。
例えば、“0”−書き込みのときは、スピン注入電流Isを、書き込みドライバ/シンカー21Bから書き込みドライバ/シンカー21Aに向かって流せば、ピンド層11でスピン偏極された電子がフリー層12の第2磁区S2にスピントルクを与えるため、強磁性トンネル接合の磁化状態は、パラレル状態になる。
また、“1”−書き込みのときは、スピン注入電流Isを、書き込みドライバ/シンカー21Aから書き込みドライバ/シンカー21Bに向かって流せば、フリー層12の第1磁区S1でスピン偏極された電子がフリー層12の第2磁区S2にスピントルクを与えるため、強磁性トンネル接合の磁化状態は、アンチパラレル状態になる。
C. デバイス構造
図32は、図31のメモリセルのデバイス構造を示す平面図である。図33は、図32のXXXIII−XXXIII線に沿う断面図である。
図32は、図31のメモリセルのデバイス構造を示す平面図である。図33は、図32のXXXIII−XXXIII線に沿う断面図である。
半導体基板(例えば、p型シリコン基板)10の表面領域には、MOSトランジスタ(例えば、nチャネルMOSトランジスタ)Qが形成される。
MOSトランジスタQの2つの拡散層のうちの1つは、例えば、メタルから構成されるビット線BLに接続される。ビット線BL(r/w)は、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
MOSトランジスタQの2つの拡散層のうちの他の1つは、コンタクトプラグ18を介してピン層(反強磁性層)11’に接続される。
ピン層11’上には、ピンド層11が配置され、ピンド層11上には、絶縁層14が配置される。また、ピンド層11の側面には、トンネルバリア層13が配置され、トンネルバリア層13上には、フリー層12が配置される。
強磁性トンネル接合は、ピンド層11の側面に形成される。
ピンド層11の磁化方向は、固着される。ピンド層11の磁化方向の固着は、ピン層11’により行う。フリー層12の一部の磁化方向は、反強磁性層17Aにより固着される。
反強磁性層17A上には、コンタクトプラグ19を介してメタルから構成されるワード線WLが形成される。
この構造では、2つのメモリセルMCは、ワード線WL及びビット線BLを共有する。このような場合でも、2つのメモリセルMCは、それぞれ、MOSトランジスタQのオン/オフによって、独立に、読み出し/書き込みが可能である。
D. まとめ
このように、第1応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとして磁気ランダムアクセスメモリを構成できる。
このように、第1応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとして磁気ランダムアクセスメモリを構成できる。
従って、低消費電流及び高信頼性の磁気ランダムアクセスメモリの実現に貢献できる。
(3) 第3適用例
第3適用例は、第2応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとした場合の例である。
第3適用例は、第2応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとした場合の例である。
A. 回路構造
図34は、第3適用例の回路構造を示している。
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子と、1つのMOSトランジスタとにより構成される(1Tr-1MTJ type)。
図34は、第3適用例の回路構造を示している。
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子と、1つのMOSトランジスタとにより構成される(1Tr-1MTJ type)。
この構造のメモリセルは、第2適用例と同様に、上述の2Tr-1MTJ typeのメモリセルに比べてセルサイズが小さくなるメリットがある。
ワード線WLは、第1方向に延び、その一端は、書き込みドライバ/シンカー21B及びロウデコーダ23に接続される。また、ビット線BLは、第1方向に交差する第2方向に延び、その一端は、書き込みドライバ/シンカー21A、読み出し回路(センスアンプ)22及びカラムデコーダ24に接続される。
読み出し回路22は、第1適用例と同様に、ワード線WLの一端に接続しても構わない。
メモリセルMCとしての磁気抵抗効果素子のフリー層12は、磁化方向が紙面裏から表に向かう方向となる第1磁区S1と、磁化方向が変化する第2磁区S2とを有する。第3磁区S3の磁化方向は、第1磁区S1の磁化方向と逆にするのが好ましい。
また、磁気抵抗効果素子のピンド層11の磁化は、紙面表から裏に向かう方向に固定される。
ワード線WLは、メモリセルMCとしての磁気抵抗効果素子のフリー層12のうちの第2磁区S2に接続される。
ビット線BLは、スイッチ素子としてのMOSトランジスタQを介して磁気抵抗効果素子のピンド層11に接続される。MOSトランジスタQのゲート電極は、ビット線BL(r/w)に接続される。
ビット線BL(r/w)は、ビット線BLと同様に、第2方向に延びる。また、ビット線BL(r/w)の一端は、書き込み/読み出しデコーダ25に接続される。
B. 動作
このような構造の磁気ランダムアクセスメモリの場合、読み出し動作は、ビット線BL(r/w)のレベルを“H”にし、MOSトランジスタQをオンにすることにより行う。
このような構造の磁気ランダムアクセスメモリの場合、読み出し動作は、ビット線BL(r/w)のレベルを“H”にし、MOSトランジスタQをオンにすることにより行う。
読み出し電流Irは、例えば、読み出し回路22から書き込みドライバ/シンカー21Bに向かって流す。この時、書き込みドライバ/シンカー21Bは、読み出しシンカーとしての機能を果たす。
読み出し電流Irは、磁気抵抗効果素子の強磁性トンネル接合を経由して流れるため、強磁性トンネル接合の抵抗値(例えば、パラレル状態→低抵抗、アンチパラレル状態→高抵抗)に応じて、磁気抵抗効果素子に記憶されたデータを読み出すことができる。
また、書き込み動作も、読み出し動作と同様に、ビット線BL(r/w)のレベルを“H”にし、MOSトランジスタQをオンにすることにより行う。
スピン注入電流(書き込み電流)Isは、書き込みドライバ/シンカー21A,21Bの間に流す。スピン注入電流Isの向きは、書き込みデータに応じて変化させる。
例えば、“0”−書き込みのときは、スピン注入電流Isを、書き込みドライバ/シンカー21Bから書き込みドライバ/シンカー21Aに向かって流せば、ピンド層11でスピン偏極された電子がフリー層12の第2磁区S2にスピントルクを与えるため、強磁性トンネル接合の磁化状態は、パラレル状態になる。
また、“1”−書き込みのときは、スピン注入電流Isを、書き込みドライバ/シンカー21Aから書き込みドライバ/シンカー21Bに向かって流せば、フリー層12の第1磁区S1でスピン偏極された電子がフリー層12の第2磁区S2にスピントルクを与えるため、強磁性トンネル接合の磁化状態は、アンチパラレル状態になる。
C. デバイス構造
図35は、図34のメモリセルのデバイス構造を示す平面図である。図36は、図35のXXXVI−XXXVI線に沿う断面図である。
図35は、図34のメモリセルのデバイス構造を示す平面図である。図36は、図35のXXXVI−XXXVI線に沿う断面図である。
半導体基板(例えば、p型シリコン基板)10の表面領域には、MOSトランジスタ(例えば、nチャネルMOSトランジスタ)Qが形成される。
MOSトランジスタQの2つの拡散層のうちの1つは、例えば、メタルから構成されるビット線BLに接続される。ビット線BL(r/w)は、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
MOSトランジスタQの2つの拡散層のうちの他の1つは、コンタクトプラグ18を介してピン層(反強磁性層)11’に接続される。
ピン層11’上には、ピンド層11が配置され、ピンド層11上には、絶縁層14が配置される。また、ピンド層11の側面には、トンネルバリア層13が配置され、トンネルバリア層13上には、フリー層12が配置される。
強磁性トンネル接合は、ピンド層11の側面に形成される。
ピンド層11の磁化方向は、ピン層11’により固着される。フリー層12の一部の磁化方向は、反強磁性層17Bにより固着される。
反強磁性層17B上には、コンタクトプラグ19を介してメタルから構成されるワード線WLが形成される。
この構造では、2つのメモリセルMCは、ワード線WL及びビット線BLを共有する。このような場合でも、2つのメモリセルMCは、それぞれ、MOSトランジスタQのオン/オフによって、独立に、読み出し/書き込みが可能である。
D. まとめ
このように、第2応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとして磁気ランダムアクセスメモリを構成できる。
このように、第2応用例に係る磁気抵抗効果素子をメモリセルとして磁気ランダムアクセスメモリを構成できる。
従って、低消費電流及び高信頼性の磁気ランダムアクセスメモリの実現に貢献できる。
(4) その他
第2及び第3適用例においては、読み出し電流の経路と書き込み電流の経路とが同じであるため、読み出し時におけるディスターブを回避するために、読み出し電流Irの値は、スピン注入電流Isの値よりも十分に小さくする。
第2及び第3適用例においては、読み出し電流の経路と書き込み電流の経路とが同じであるため、読み出し時におけるディスターブを回避するために、読み出し電流Irの値は、スピン注入電流Isの値よりも十分に小さくする。
6. 製造方法
第1適用例に係る磁気ランダムアクセスメモリの製造方法を説明する。
第1適用例に係る磁気ランダムアクセスメモリの製造方法を説明する。
ここでは、最も複雑な構造を持つ第1適用例に係る製造方法のみを説明するが、当然に、この製造方法を第2及び第3適用例に係る磁気ランダムアクセスメモリに応用することも可能である。
まず、図37に示すように、半導体基板10の表面領域に、MOSトランジスタQr,Qwを形成する。また、CVD法により、MOSトランジスタQr,Qwを覆う絶縁層15を形成した後、CMP(chemical mechanical polishing)法により、絶縁層15を研磨し、絶縁層15の上面を平坦化する。
そして、絶縁層15内にコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内にコンタクトプラグ18A,18Bを満たす。また、コンタクトプラグ18A,18Bの上面を凹凸にする処理を施す。
次に、図38に示すように、スパッタ法により、絶縁層15上に、コンタクトプラグ18Aに接触するピンド層(例えば、CoFe/NiO)11を形成すると共に、ピンド層11上に絶縁層(例えば、SiO2)14を形成する。
フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、絶縁層14をエッチングする。この後、レジストパターンを除去する。
そして、絶縁層14をハードマスクとして、イオンミリングによりピンド層11をエッチングする。この時、ピンド層11の下地となる絶縁層15の一部がエッチングされる。
ここで、ピンド層11のエッチングにハードマスクを用いたのは、レジストパターンをマスクにしてピンド層11をエッチングすると、レジストパターンを除去するときのアッシングにより、強磁性層としてのピンド層11の側面が酸化されることから、これを防止するためである。
次に、図39に示すように、デバイス(ウェハ)を大気に曝すことなく、スパッタ法により、絶縁層14,15上及びピンド層11の側面上に、トンネルバリア層(例えば、MgO)13を形成すると共に、トンネルバリア層13上に、フリー層(例えば、CoFe)12及びキャップ層(例えば、SiO2)20を形成する。
具体的には、これら材料の形成は、真空中でデバイスを搬送するロードロック方式により行う。
このように、デバイスを大気に曝さないようにしたのは、デバイスが大気に触れると、強磁性層としてのピンド層11の側面(露出部)が酸化されるためである。
また、コンタクトプラグ18Bの上面は、凹凸処理されている。このため、非常に薄いトンネルバリア層13は、コンタクトプラグ18Bの上面上においては、均一に成膜されず、その結果、コンタクトプラグ18Bとフリー層12との導通が確保される。
この後、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、キャップ層20をエッチングする。この後、レジストパターンを除去する。
そして、キャップ層20をハードマスクとして、イオンミリングにより、フリー層12及びトンネルバリア層13をエッチングする。この時、トンネルバリア層13の下地となる絶縁層14,15の一部がエッチングされる。
次に、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクにして、RIEにより、キャップ層20をエッチングし、図40に示すように、キャップ層20内にフリー層(絶縁層14上のエリア)12に達しない凹部を形成する。この後、レジストパターンを除去する。そして、キャップ層20を、イオンミリングによりエッチングを行い、図41に示すように、フリー層12が露出した時にエッチングを止める。
次に、図42に示すように、デバイス(ウェハ)を大気に曝すことなく、スパッタ法により、反強磁性層(例えばPtMn/Au)17Aを成膜する。具体的には、これら材料の形成は、真空中でデバイスを搬送するロードロック方式により行う。この方法によれば、フリー層12が大気に曝されないため、フリー層12の酸化を防ぐことができる。
その後、フォトリソグラフィ法によりレジストパターンを形成し、その後、イオンミリングによりエッチングを行い、図43に示すように、フリー層12の一端に反強磁性層17Aを形成する。
また、図44に示すように、反強磁性層17Aの形成と同様の方法により、フリー層12の他端(反強磁性層12Aに対して反対側のエリア)に、反強磁性層17B(例えば、IrMn/SiO2)を形成する。
ここで、反強磁性層17A,17Bの形成について、このようなプロセスを採用したのは、強磁性層としてのフリー層12と反強磁性層17A,17Bとのエッチング選択比をとるのが難しいことによる。
この後、ピンド層11及びフリー層12の磁化させたい方向に磁場を印加しながら240℃から330℃の範囲でアニールを実行する。例えば、300℃で紙面に上向き、270℃で紙面に下向き、240℃で紙面に上向きに磁場を印加して、ピンド層11及びフリー層12内の磁区の磁化方向を決定し、メモリセルとしての磁気抵抗効果素子を形成する。
そして、図45に示すように、CVD法により、磁気抵抗効果素子を覆う絶縁層15’を形成し、CMP法により、絶縁層15’を研磨し、絶縁層15’の上面を平坦化する。
また、絶縁層15’内にコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内にコンタクトプラグ19を満たす。絶縁層15’上には、コンタクトプラグ19に接触するワード線WLを形成する。
このような製造方法によれば、磁気抵抗効果素子のサイズは、例えば、10×100nm2という小面積を実現できる。
また、フリー層12のサイズ(断面積)が、主に、その厚さで規定されるため、スピン注入電流の値のばらつきがウェハ内で5%以下となる。
7. その他
上述の第1及び第2実施の形態、第1及び第2応用例、並びに、第1乃至第3適用例において、ピンド層11及びフリー層12の磁化方向は、いずれも紙面に対して垂直方向である。
上述の第1及び第2実施の形態、第1及び第2応用例、並びに、第1乃至第3適用例において、ピンド層11及びフリー層12の磁化方向は、いずれも紙面に対して垂直方向である。
これは、本発明の例では、フリー層12の厚さがスピン注入電流Isの大きさ(低消費電流化)に直接影響することから、フリー層12の厚さを非常に薄くすることが好ましい、という実情に基づく。
また、エッジMTJ構造の場合には、強磁性トンネル接合におけるフリー層12のアスペクト比(紙面に垂直な方向のピンド層及びフリー層の幅/ピンド層の厚さ)が20〜100となることから、フリー層12の形状異方性を考慮すると、ピンド層11及びフリー層12の磁化方向は、紙面に対して垂直方向とするのがさらに好ましくなる。
但し、本発明の例によれば、ピンド層11及びフリー層12の磁化方向が紙面に対して垂直方向ではなくても、本発明の例による効果(トンネルバリア層の破壊防止、低消費電流化など)を得ることができるため、本発明の例が、ピンド層11及びフリー層12の磁化方向が紙面に対して垂直方向な場合だけに限定される、ということはない。
8. むすび
本発明の例によれば、書き込みにスピン注入法を採用してもトンネルバリア層が破壊されることがない。
本発明の例によれば、書き込みにスピン注入法を採用してもトンネルバリア層が破壊されることがない。
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10: 半導体基板、 11: ピンド層、 12: フリー層、 13: トンネルバリア層、 14,15,15’: 絶縁層、 16A,16B,16C,17A,17B: 反強磁性層、 18A,18B,19: コンタクトプラグ、 20: キャップ層、 21A,21B: 書き込みドライバ/シンカー、 22: 読み出し回路(センスアンプ)、 23: ロウデコーダ、 24: カラムデコーダ、 25: 書き込み/読み出しデコーダ、 WL: ワード線、 BL,BL(r),BL(w): ビット線、 Q,Qr,Qw: MOSトランジスタ。
Claims (14)
- 磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が前記第1方向となる第1エリア及び磁化方向が前記第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアを有する第2強磁性層と、前記第1及び第2強磁性層の間に配置されるトンネルバリア層とを具備し、前記第1及び第2エリアの間にスピン注入電流を流すことにより、前記第1及び第2エリアの境界に生じる磁壁を、少なくとも前記第2強磁性層のうち前記第1強磁性層に対向する対向エリアを跨ぐ範囲で移動させることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
- 磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が前記第1方向となる第1エリア及び磁化方向が前記第1方向とは逆向きの第2方向となる第2エリアを有する第2強磁性層と、前記第1強磁性層の側面及び前記第2強磁性層の間に配置されるトンネルバリア層とを具備し、前記第1及び第2エリアの間にスピン注入電流を流すことにより、前記第1及び第2エリアの境界に生じる磁壁を、少なくとも前記第2強磁性層のうち前記第1強磁性層の側面に対向する対向エリアを跨ぐ範囲で移動させることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
- 前記対向エリアは、前記第2強磁性層内の前記対向エリア以外のエリアよりも薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記スピン注入電流は、前記対向エリア内の磁化が反転し、かつ、前記第2強磁性層内の前記対向エリア以外のエリアの磁化が反転しない値を有することを特徴とする請求項3に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1エリアの一部の磁化方向は、前記第1方向に固着され、前記第2エリアの一部の磁化方向は、前記第2方向に固着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記スピン注入電流は、前記トンネルバリア層に流れないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
- 複数のメモリセルを備え、当該メモリセルは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を記憶素子として備えることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の第2強磁性層の第1エリアに接続されるワード線と、前記ワード線が延びる方向に交差する方向に延びるビット線と、前記磁気抵抗効果素子の第1強磁性層と前記ビット線との間に接続される第1スイッチ素子と、前記磁気抵抗効果素子の前記第2強磁性層の第2エリアと前記ビット線との間に接続される第2スイッチ素子とを具備し、読み出し時に前記第1スイッチ素子がオンになり、書き込み時に前記第2スイッチ素子がオンになることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
- 磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が前記第1方向とは逆向きの第2方向となる第1磁区及び磁化方向が前記第1又は第2方向となる第2磁区を有する第2強磁性層と、前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層の前記第2磁区の間に配置されるトンネルバリア層とを具備し、前記第2磁区は、前記第1磁区よりも薄く、前記第1及び第2強磁性層の間にスピン注入電流を流すことにより、少なくとも前記第2磁区のうち前記第1強磁性層に対向するエリアの磁化を反転させることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
- 磁化方向が第1方向に固着される第1強磁性層と、磁化方向が前記第1方向とは逆向きの第2方向となる第1磁区及び磁化方向が前記第1又は第2方向となる第2磁区を有する第2強磁性層と、前記第1強磁性層の側面及び前記第2強磁性層の前記第2磁区の間に配置されるトンネルバリア層とを具備し、前記第2磁区は、前記第1磁区よりも薄く、前記第1及び第2強磁性層の間にスピン注入電流を流すことにより、少なくとも前記第2磁区のうち前記第1強磁性層の側面に対向するエリアの磁化を反転させることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
- 前記スピン注入電流は、前記第2磁区の磁化が反転し、かつ、前記第1磁区の磁化が反転しない値を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1磁区の磁化方向は、前記第2方向に固着されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
- 複数のメモリセルを備え、当該メモリセルは、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を記憶素子として備えることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
- 請求項9乃至12のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の第2強磁性層の第1磁区に接続されるワード線と、前記ワード線が延びる方向に交差する方向に延びるビット線と、前記磁気抵抗効果素子の第1強磁性層と前記ビット線との間に接続されるスイッチ素子とを具備し、読み出し時及び書き込み時に前記スイッチ素子がオンになることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
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