JP2008239853A - エポキシ樹脂並びにエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、スルフィド構造含有エポキシ樹脂、これらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関するものであり、プリント配線板、半導体封止材等の電気電子分野の絶縁材料等に好適に使用される。
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物の代表的分野に半導体封止材料があるが、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケージサイズは大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方式も表面実装化への移行が進展しており、半田耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿化に加え、リードフレーム、チップ等の異種材料界面での接着性・密着性の向上が強く求められている。回路基板材料においても同様に、半田耐熱性向上の観点から低吸湿性、高耐熱性、高密着性の向上に加え、誘電損失低減の観点から低誘電性に優れた材料の開発が望まれている。これらの要求に対応するため、様々な新規構造のエポキシ樹脂及び硬化剤が検討されている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたエポキシ樹脂及び硬化剤が求められている。
従って、上記背景から種々のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤が検討されている。エポキシ樹脂硬化剤の一例として、ナフタレン系樹脂が知られており、特許文献1にはナフトールアラルキル樹脂を半導体封止材へ応用することが示されている。但し、ナフトールアラルキル樹脂は、低吸湿性、低熱膨張性等に優れるものの、硬化性に劣る欠点があった。また、特許文献2にはビフェニル構造を有する硬化剤が提案され、難燃性向上に有効であることが記載されているが、硬化性に劣る欠点があった。更に、ナフタレン系樹脂、ビフェニル系樹脂ともに、炭化水素のみで構成される主骨格を有することから、難燃性や密着性の発現に十分ではなかった。
また、特許文献3にはスルフィド構造を有する2官能性ヒドロキシ化合物を含むエポキシ樹脂組成物が開示されているが、2官能性ヒドロキシ化合物は高融点であることから、エポキシ樹脂硬化剤としての取り扱い性に問題があった。更には、2官能性化合物であるため、多官能性化合物と比較して耐熱性に劣る欠点もあった。
一方、エポキシ樹脂についても、これらの要求を満足するものは未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、ノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、接着性、耐湿性等に問題がある。更には、主骨格が炭化水素のみで構成される従来のエポキシ樹脂では、難燃性を全くもたない。
ハロゲン系難燃剤を用いることなく難燃性を向上させるための方策として、リン酸エステル系の難燃剤を添加する方法が開示されている。しかし、リン酸エステル系の難燃剤を用いる方法では、耐湿性が十分ではない。また、高温、多湿な環境下ではリン酸エステルが加水分解を起こし、絶縁材料としての信頼性を低下させる問題があった。
リン原子やハロゲン原子を含むことなく、難燃性を向上させるものとして、特許文献2及び4ではビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を半導体封止材へ応用した例が開示されている。特許文献5には、ナフタレン構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を使用する例が開示されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂は難燃性や、密着性、耐熱性のいずれかにおいて性能が十分でない。特許文献6、7及び8にはナフトール系アラルキル型エポキシ樹脂及びこれを含有する半導体封止材が開示されているが、難燃性に着目したものはない。また、特許文献9には、ジフェニルエーテル構造を有する多価ヒドロキシ化合物及びそのエポキシ化物が開示されているが、密着性や難燃性に着目したものではない。さらには、特許文献10には、スルフィド構造を有する2官能性エポキシ樹脂を用いた半導体封止材料が開示されているが、これらのエポキシ樹脂は耐熱性において性能が十分でなく、また難燃性に着目したものではない。
本発明の目的は、金属基材との密着性や難燃性に優れるとともに、耐熱性等にも優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なスルフィド構造含有エポキシ樹脂を提供すること、優れた成形性を有するとともに、密着性、難燃性及び耐熱性等に優れた硬化物を与える電気・電子部品類の封止、回路基板材料等に有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること、及びその硬化物を提供することにある。
本発明のスルフィド構造含有エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される。
このスルフィド構造含有エポキシ樹脂は、下記一般式(2)
で表される多価ヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
スルフィド構造含有多価ヒドロキシ化合物は、下記式(3)又は(4)で表されるヒドロキシ化合物1モルに対し、下記式(5)で表される架橋剤0.1〜0.9モルとを反応させることにより得ることができる。
本発明のSAEは、エポキシ樹脂組成物に応用した場合、異種材料との高密着性に優れるとともに、難燃性及び耐熱性に優れた硬化物を与え、電気・電子部品類の封止、回路基板材料等の用途に好適に使用することが可能である。本発明のSAE又はSARを配合したエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、エポキシ樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は密着性、難燃性、高耐熱性等の点で優れたものを与え、電気・電子部品類の封止、回路基板材料等の用途に好適に使用することが可能である。
本発明についてさらに詳細に述べる。
本発明のスルフィド構造含有エポキシ樹脂(以下、SAEともいう)は一般式(1)で表される。また、スルフィド構造含有多価ヒドロキシ化合物(以下、SARともいう)は一般式(2)で表される。SAEは、SARをエポキシ化することにより得ることができる。
本発明のSAEは、上記一般式(2)で表されるSARと、エピクロルヒドリンを反応させることより製造することが有利であるが、この反応に限らない。
本発明のスルフィド構造含有エポキシ樹脂(以下、SAEともいう)は一般式(1)で表される。また、スルフィド構造含有多価ヒドロキシ化合物(以下、SARともいう)は一般式(2)で表される。SAEは、SARをエポキシ化することにより得ることができる。
本発明のSAEは、上記一般式(2)で表されるSARと、エピクロルヒドリンを反応させることより製造することが有利であるが、この反応に限らない。
SARをエピクロルヒドリンと反応させる反応の他、SARとハロゲン化アリルを反応させ、アリルエーテル化合物とした後、過酸化物と反応させる方法をとることもできる。上記SARをエピクロルヒドリンと反応させる反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
例えば、上記SARを過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、20〜150℃、好ましくは、30〜80℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際のアルカリ金属水酸化物の使用量は、SARの水酸基1モルに対して、0.8〜1.5モル、好ましくは、0.9〜1.2モルの範囲である。また、エピクロルヒドリンはSAR中の水酸基1モルに対して過剰に用いられるが、通常、SAR中の水酸基1モルに対して、1.5〜30モル、好ましくは、2〜15モルの範囲である。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂及び硬化剤を含むものであるが、次の2種類がある。
1)エポキシ樹脂の一部又は全部として前記SAEを配合した組成物。
2)エポキシ樹脂及び硬化剤の一部又は全部として前記SAEとSARを配合した組成物。
1)エポキシ樹脂の一部又は全部として前記SAEを配合した組成物。
2)エポキシ樹脂及び硬化剤の一部又は全部として前記SAEとSARを配合した組成物。
上記1)の組成物の場合、エポキシ樹脂成分として、一般式(1)で表されるSAE以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。この場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、フェノール系アラルキル樹脂類、ナフトール系アラルキル樹脂類、又はテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、本発明のSAEを必須成分とする組成物の場合、一般式(8)で表されるSAEの配合量はエポキシ樹脂全体中、5〜100%、好ましくは60〜100%の範囲であることがよい。
また、上記2)の組成物の場合、SARの配合量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲である。これより少ないと密着性及び難燃性向上の効果が小さく、これより多いと成形性及び硬化物の強度が低下する問題がある。
硬化剤の全量として本発明のSARを用いる場合、通常、SARの配合量は、SAR中のOH基とエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量バランスを考慮して配合する。エポキシ樹脂及び硬化剤の当量比は、通常、0.2〜5.0の範囲であり、好ましくは0.5〜2.0の範囲である。これより大きくても小さくても、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するとともに、硬化物の耐熱性、力学強度等が低下する。
硬化剤として本発明のSAR以外の硬化剤を併用することができる。その他の硬化剤の配合量は、SARの配合量が、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲が保たれる範囲内で決定される。SARの配合量がこれより少ないと低吸湿性、密着性及び難燃性向上の効果が小さく、これより多いと成形性及び硬化物の強度が低下する問題がある。
SAR以外の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用でき、ジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらの中でも、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール、ビスクロロメチルビフェニル等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
アミン類としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
上記組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上である。
顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料、等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2から5重量部の範囲である。
更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤の溶解させたワニス状態とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー等のポリエステル不織布、等の繊維状物に含浸させた後に溶剤除去を行い、プリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に塗布することにより積層物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、エポキシ樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は低吸湿性、高耐熱性、密着性、難燃性等の点で優れたものとなる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
ここで、粘度はB型粘度計を用い、軟化点はJIS−K−2207に従い環球法で測定した。また、GPC測定条件は、装置;HLC−82A(東ソー(株)製)、カラム;TSK−GEL2000×3本及びTSK−GEL4000×1本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;テトラヒドロフラン、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIであり、検量線にはポリスチレン標準液を使用した。
ここで、粘度はB型粘度計を用い、軟化点はJIS−K−2207に従い環球法で測定した。また、GPC測定条件は、装置;HLC−82A(東ソー(株)製)、カラム;TSK−GEL2000×3本及びTSK−GEL4000×1本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;テトラヒドロフラン、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIであり、検量線にはポリスチレン標準液を使用した。
ガラス転移点(Tg)及び線膨張係数(CTE)の測定は、熱機械測定装置を用いて10℃/分の昇温速度で求めた。また吸水率は、直径50mm、厚さ3mmの円形の試験片を用いて、85℃、85%RHの条件で100時間吸湿させた吸水率は、本エポキシ樹脂組成物を用いて、直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後133℃、3atm、96時間吸湿させた後の重量変化率とした。接着強度は、銅板2枚の間に25mm×12.5mm×0.5mmの成形物を圧縮成形機により175℃で成形し、180℃にて12時間ポストキュアを行った後、引張剪断強度を求めることにより評価した。難燃性は、厚さ1/16インチの試験片を成形し、UL94V-0規格によって評価し、5本の試験片での合計の燃焼時間で表した。結果をまとめて表2及び表4に示す。
参考例1
500mlの4口フラスコに、フェノール50.0g(0.53モル)、架橋剤としてジクロロメチルジフェニルスルフィド60.2g(0.21モル)を仕込み、攪拌しながら120℃で3時間反応させた。この間、発生する塩酸は系外へ取り除いた。反応後、過剰のフェノールを減圧留去し、多価ヒドロキシ化合物(SAR−A)60.2gを得た。その軟化点は71℃、150℃での溶融粘度は0.31Pa・sであった。
500mlの4口フラスコに、フェノール50.0g(0.53モル)、架橋剤としてジクロロメチルジフェニルスルフィド60.2g(0.21モル)を仕込み、攪拌しながら120℃で3時間反応させた。この間、発生する塩酸は系外へ取り除いた。反応後、過剰のフェノールを減圧留去し、多価ヒドロキシ化合物(SAR−A)60.2gを得た。その軟化点は71℃、150℃での溶融粘度は0.31Pa・sであった。
実施例1
四つ口セパラブルフラスコに参考例1で得たSAR−A50g、エピクロルヒドリン132g、ジエチレングリコールジメチルエーテル20gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液19.4gを2時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂50.5gを得た(SAE−A)。得られた樹脂の軟化点は61℃、150℃における溶融粘度は0.16Pa・s、エポキシ当量は288g/eq.であった。SAE−Aの1H−NMRスペクトルを図1、赤外吸収スペクトルを図2、GPCチャートを図3に示す。
四つ口セパラブルフラスコに参考例1で得たSAR−A50g、エピクロルヒドリン132g、ジエチレングリコールジメチルエーテル20gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液19.4gを2時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂50.5gを得た(SAE−A)。得られた樹脂の軟化点は61℃、150℃における溶融粘度は0.16Pa・s、エポキシ当量は288g/eq.であった。SAE−Aの1H−NMRスペクトルを図1、赤外吸収スペクトルを図2、GPCチャートを図3に示す。
実施例2〜5及び比較例1〜3
エポキシ樹脂成分として、実施例1で合成したSAE−A、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)、二官能性ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂(東都化成製、YSLV−50TE;エポキシ当量 170、融点 45℃)を用い、硬化剤成分として、参考例1で合成したSAR−A、フェノールノボラック(硬化剤A:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103、軟化点 82℃)、1−ナフトールアラルキル型樹脂(硬化剤B:東都化成製、SN−475;OH当量210、軟化点 77℃)を用いた。更に、充填剤として球状シリカ(平均粒径 18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表5及び7に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。表中の数値は配合における重量部を示す。
エポキシ樹脂成分として、実施例1で合成したSAE−A、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)、二官能性ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂(東都化成製、YSLV−50TE;エポキシ当量 170、融点 45℃)を用い、硬化剤成分として、参考例1で合成したSAR−A、フェノールノボラック(硬化剤A:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103、軟化点 82℃)、1−ナフトールアラルキル型樹脂(硬化剤B:東都化成製、SN−475;OH当量210、軟化点 77℃)を用いた。更に、充填剤として球状シリカ(平均粒径 18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表5及び7に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。表中の数値は配合における重量部を示す。
このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃で成形し、更に175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。結果を表6に示す。
Claims (4)
- エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、請求項1に記載のエポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
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PCT/JP2008/055798 WO2008117839A1 (ja) | 2007-03-23 | 2008-03-19 | 新規多価ヒドロキシ化合物、該化合物の製造方法、該化合物を用いたエポキシ樹脂並びにエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 |
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