JP2008238357A - 真空チャック、真空吸着装置、吸着方法、および真空チャックの水分保持率管理方法 - Google Patents

真空チャック、真空吸着装置、吸着方法、および真空チャックの水分保持率管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 真空チャックの研削工程後、洗浄で除去できなかった研削屑が水と結合してできたスラリーが真空チャックを構成する吸着部の気孔に浸入して乾燥すると、研削屑が気孔内部で固着して、真空チャックの通気抵抗が高くなっていた。
【解決手段】 セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着し、保持するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャックであって、前記多孔質体の少なくとも一部において、下記式(1)で規定される水分保持率(R)が90%以上である真空チャックとする。
R={(W−W1)/(W−W1)}×100 (1)
但し R:水分保持率(%)
1:前記多孔質体の乾燥質量(g)
2:常温常湿下で放置した前記多孔質体の質量(g)
3:前記多孔質体の飽水質量(g)
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の被吸着体を研磨,露光,検査等するために、これら被吸着体を吸着する真空チャック、真空吸着装置、吸着方法、および真空チャックの水分保持率管理方法に関するものである。
半導体デバイスの製造工程では、半導体ウエハを処理するために吸着して保持する真空チャックが用いられている。この真空チャックの構成や真空チャックの各部材の材料には種々の工夫が検討され、半導体ウエハに対して確実に吸着でき均一な吸着作用を与える、多孔質体を用いた真空チャックが用いられるようになってきている。
このような真空チャックは特許文献1に開示されている。図9は特許文献1に開示されている真空チャック(吸着板)の一例を示したものであり、(a)は真空チャックの分解斜視図、(b)は真空チャックを備えたチャックテーブルの分解斜視図である。
図9に示す真空チャック21は吸引源に連通し吸引作用を施す基台22に載置され、吸引作用を表面に施して板状物を吸引保持するものであり、ポーラス部23と、このポーラス部23の外周のみを囲繞するリング状の枠体24とが同質のセラミックスで一体焼成されているものである。ポーラス部23は、以下のような方法で得られることが記載されている。なお、図中22aは円形の吸引溝、22bはリング状の吸引溝、22c,22dは吸引孔であり、24aは鍔状の取付部である。
先ず、グレード♯100のアルミナ、GC等の主原料となるセラミックス粉末を80重量%以上と、二酸化珪素、二酸化チタン等の副原料となるセラミックス粉末を20重量%以下とを混合し、ポーラス部23を構成する原料を生成する。次に、ポーラス部23を構成する原料を所定の治具に収容し、所定の圧力を加えて圧縮成形体を生成する。最後に、圧縮成形体を1000℃〜1300℃、好ましくは1150℃の炉の中で5時間〜20時間焼結する。
また、特許文献2では、上記の真空チャック21等のウエハ研磨装置用部材に用いる炭化珪素・金属複合体を以下のような方法で作製することが開示されている。
即ち、特許文献2に開示されている技術は、炭化珪素結晶によって構成される多孔質組織中に開放気孔が存在し、その開放気孔中に炭化珪素100重量部に対して15重量部〜50重量部の金属が含浸され、前記炭化珪素結晶の平均粒径が20μm以上、気孔率が30%以下、熱伝導率が160W/(m・K)以上である炭化珪素・金属複合体を製造する方法であって、平均粒径5μm〜100μmのα型炭化珪素の粗粉末100重量部に対して、平均粒径0.1μm〜1.0μmのα型炭化珪素の微粉末を10重量部〜100重量部を配合し、これを均一に混合する工程、前記工程により得られた混合物を所定形状に成形して成形体を得る工程、前記成形体を1700℃〜2400℃の温度範囲で焼成して焼結体を得る工程、および前記成形体または前記焼結体に金属を含浸する工程を含む炭化珪素・金属複合体の製造方法である。
特開2001−138228号公報 特開2001−158680号公報
特許文献1で開示されたような真空チャック21は、半導体ウエハを研削してもその表面に発生していた窪み,段差,うねりを防止することができるものの、真空チャック21の製造工程の一部である研削工程後に、イオン交換水または蒸留水等を用いて真空チャック21を超音波洗浄しても、ポーラス部23の主原料であるセラミックス粉末の粒径が大きく、ポーラス部23を形成する平均細孔径が大きいため、ポーラス部23の保水性は低いと考えられる。
そのため、超音波洗浄で除去できなかった研削屑が水と結合したスラリーがポーラス部23の気孔に浸入すると、スラリーが容易に乾燥して研削屑が気孔内部で固着するおそれがある。そして、この研削屑の固着により真空チャック21の通気抵抗が高くなり、半導体ウエハ全面を均一に吸引することができなかったり、半導体ウエハの加工後に、基台22側より圧縮流体を送り込んで表面を洗浄しようとすると、ポーラス部23が枠体24から外れたりする等のおそれもある。
また、特許文献2で開示された炭化珪素・金属複合体を上記のような真空チャック21に用いると、前記微粉末間に形成される微小な気孔には研削屑が固着しやすいため、この固着が原因となってポーラス部23の通気抵抗が高くなるおそれがある。
そこで本発明は、保水性を高くすることにより、通気抵抗を低くした真空チャックおよびこれを用いた真空吸着装置、吸着方法、そして、真空チャックの保水性の管理を容易にする水分保持率管理方法を提供することを目的とする。
本発明の真空チャックは、1)セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャックであって、前記多孔質体の少なくとも一部における、下記式(1)で規定される水分保持率(R)が90%以上であることを特徴とする。
R={(W−W1)/(W−W1)}×100 (1)
但し R:水分保持率(%)
1:前記多孔質体の乾燥質量(g)
2:常温常湿下で放置した前記多孔質体の質量(g)
3:前記多孔質体の飽水質量(g)
また、2)上記1)において、前記セラミックスは主成分が炭化珪素であることを特徴とする。
また、3)上記2)において、前記吸着部は、気孔率が30%以上45%以下であって、平均気孔径が20μm以上40μm以下であることを特徴とする。
また、4)上記2)において、前記吸着部は、厚みが7mm以上であることを特徴とする。
また、5)上記1)乃至4のいずれかにおいて、前記吸着部は、前記吸着面を径方向に分割する炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁を備えたことを特徴とする。
また、6)上記5)において、前記環状隔壁と前記支持部とが一体的に形成されてなることを特徴とする。
また、本発明の真空吸着装置は、7)上記1)乃至6)のいずれかの真空チャックを吸着手段として用いたことを特徴とする。
また、本発明の吸着方法は、8)上記1)乃至6)のいずれかの真空チャックを用いて被吸着体前記吸着部により吸着することを特徴とする。
また、本発明の真空チャックの水分保持率管理方法は、9)セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャックの水分保持率管理方法であって、前記多孔質体の少なくとも一部における、上記式(1)で規定される水分保持率(R)が所定値以上となるように調整することを特徴とする。
また、10)上記9)において、前記水分保持率(R)が90%以上となるように調整することを特徴とする。
さらに、11)上記9)または10)において、前記セラミックスは主成分が炭化珪素であることを特徴とする。
なお、上記において、常温常湿下とは、温度が5℃〜35℃、相対湿度が30%〜60%をいうものとし、主成分とは50質量%超をいうものとする。
本発明の真空チャックは、セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えたものであって、前記多孔質体の少なくとも一部における、上記式(1)で規定される水分保持率(R)が90%以上であることから、研削工程後にイオン交換水または蒸留水等により真空チャックを洗浄した後、洗浄により除去できなかった研削屑が水と結合してスラリーとなって、吸着部の気孔に浸入しても、スラリーが気孔内部で乾燥しにくく研削屑が固着することがほとんどなくなるため、通気抵抗が高くなることがない。
また、本発明の真空チャックによれば、前記セラミックスは主成分が炭化珪素であることから、熱伝導性に優れるため、加工により被吸着体に発生した熱を速やかに放熱することができる。
また、本発明の真空チャックによれば、前記吸着部は、気孔率が30%以上45%以下であって、平均気孔径が20μm以上40μm以下であることから、熱伝導性および剛性が維持されるとともに、気孔内部における保水性が高くなるため、上記スラリーが吸着部の気孔に浸入しても、スラリーが気孔内部でさらに乾燥しにくく固着しにくくなり、通気抵抗の増加を抑制することができる。
また、本発明の真空チャックは、前記吸着部の厚みが7mm以上であることから、吸着部を形成する多孔質体の水分保持量(W−W1)が相対的に増えて、その結果水分保持率(R)も高くなるため、通気抵抗の増加をさらに抑制することができる。
また、本発明の真空チャックは、吸着部が前記吸着面を径方向に分割する炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁を備えることから、径が異なる種々の被吸着体を精度よく加工することができるととともに、炭化珪素質焼結体は、熱伝導率が高いため、加工により被吸着体に発生した熱の一部は環状隔壁を介してより速やかに放熱することができる。
また、本発明の真空チャックは、前記環状隔壁と前記支持部とが一体的に形成されてなることから、環状隔壁と支持部とのガラス状の結合層による接合が不要となるため、前記結合層による熱伝導の低下を抑制することができ、より高い熱伝導性を得ることができる。
また、本発明の真空吸着装置は、上述の通り、保水性を高くすることにより、通気抵抗を低くした真空チャックを吸着手段として用いているため、長期間の使用に供することができ、信頼性が高い。
また、本発明の吸着方法は、前記記載の真空チャックを用いて被吸着体を吸着する方法であって、前記吸着部により被吸着体を吸着することから、通気抵抗が抑えられた、信頼性の高い方法を提供できる。
また、本発明の真空チャックの水分保持率管理方法は、セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャックの水分保持率管理方法であって、前記多孔質体の少なくとも一部における、上記式(1)で規定される水分保持率(R)が所定値以上となるように調整するので、研削工程後にイオン交換水または蒸留水等により真空チャックを洗浄した後、洗浄により除去できなかった研削屑が水と結合してスラリーとなって、吸着部の気孔に浸入しても、スラリーが気孔内部で乾燥しにくく研削屑が固着することがほとんどなくなるため、通気抵抗が制御された真空チャックを得ることができる。
さらに、本発明の真空チャックの水分保持率管理方法は、前記水分保持率(R)が90%以上となるように調整することから、通気抵抗が低い優れた真空チャックを得ることができる。
特に、セラミックスとして炭化珪素を主成分としたものを用いることにより、熱伝導性および機械的性質に優れていることから、上述した効果をよりいっそう高めることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、模式的に示した図面を参照しつつ詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の真空チャックの一実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のA−A線における拡大断面図であり、図2および図3は、本発明の真空チャックの他の実施形態を示し、それぞれ(a)は斜視図、(b)は同図(a)のA−A線における拡大断面図である。なお、図面において共通の部位を表す場合は同一符号を用いる。
図1に示すように、真空チャック1は、半導体ウエハやガラス基板等の被吸着体(不図示)を吸着し、保持するための吸着面2bを備えた吸着部2と、内部に吸着面2bに気孔2aを介して連通する吸引路3aを備えるとともに、吸着部2の周縁部を囲繞して支持する支持部3とを備えて成り、吸着部2の吸着面2bに上記被吸着体が載置され、真空ポンプ(不図示)により、支持部3の吸引路3a、吸着部2の気孔2aを介して吸引することで固定されるものである。
吸着部2はセラミックスの多孔質体からなるが、半導体ウエハやガラス基板等の被吸着体と接しており、高い熱伝導性および機械的特性が要求されることから、特に炭化珪素を主成分とする多孔質体からなるものとすると好適であるが、炭化珪素を主成分とするもの以外にアルミナ等を主成分とするものでも適用可能である。この多孔質体は、例えば、この炭化珪素の結晶粒子を珪素で接合した、気孔2aを多数有する多孔質体である。吸着部2を成す多孔質体を構成する珪素は、炭化珪素結晶粒子に対する濡れ性がよく、しかもそれ自身の熱伝導率が高いため、真空チャック1自体の剛性および熱伝導を高くすることができる。
支持部3は、中央に円形の凹部3bを有する円板状の緻密質体から成り、ガラス、珪素または樹脂等で形成された結合層4により凹部3b内で吸着部2を固定して支持するものである。吸着面2bは平坦度が研磨後の半導体ウエハやガラス基板の精度に影響を与えることから極力小さくする必要があり、吸着部2が支持部3に支持された後、研削される。また、半導体ウエハやガラス基板を吸着部2に吸着、保持して研磨を繰り返すと、吸着面2bは平坦度が大きくなるため、使用頻度に応じて研削される。支持部3は、吸着部2と同様、高い熱伝導性および機械的特性が要求されることから、特に炭化珪素を主成分とするものがよく、例えば、その相対密度は98%以上とするとよい。
また、支持部3は、吸着部2の吸着面2bと支持部3の凹部3bを形成する外壁3cの頂面3dとが同一平面上に位置するように構成してあり、支持部3の外周縁にはフランジ部3eが備えられ、ネジ止めや係合等の手段によりフランジ部3eを各種装置に取り付けるようになっている。
本発明の真空チャック1は、吸着部2を成す多孔質体の通気抵抗が、以下の式(1)で規定される水分保持率(R)に影響される。
R={(W−W1)/(W−W1)}×100 (1)
但し R:水分保持率(%)
1:前記多孔質体の乾燥質量(g)
2:常温常湿下で放置した前記多孔質体の質量(g)
3:前記多孔質体の飽水質量(g)
ここで、水分保持率(R)が低いと、研削工程後にイオン交換水または蒸留水等により真空チャック1を洗浄した後、洗浄により除去できなかった研削屑が水と結合してスラリーとなって、吸着部2の気孔2aに浸入すると、スラリーが気孔2a内部で乾燥して研削屑が固着して通気抵抗が高くなるが、水分保持率(R)が高いと、スラリーが吸着部2の気孔2aに浸入しても、気孔2a内部で乾燥しにくく研削屑が固着することがほとんどなくなるため、通気抵抗が高くなることがない。
本発明の真空チャック1では、吸着部2を成す多孔質体は、水分保持率(R)が90%以上であることが重要である。水分保持率(R)を90%以上にすることで、スラリーが吸着部2の気孔2aに浸入しても、気孔2a内部で乾燥しにくく研削屑が固着することがほとんどなくなるため、通気抵抗が高くなることがない。
なお、多孔質体の乾燥質量(W1)は、吸着部2より幅10mm、長さ10mm、高さ5〜7mmの直方体状の試料を切り出し、100℃、1時間保持した後の質量をいう。また、室温下で放置後の多孔質体の質量(W2)は、上記試料を蒸留水またはイオン交換水中にて1時間真空脱泡した後、温度が5〜35℃、湿度が30〜60%の雰囲気中で濡れたガーゼ(例えば、旭化成せんい(株)製、BEMCOT(登録商標)S−2)の上で3時間保持した後の質量をいう。また、多孔質体の飽水質量(W)は蒸留水またはイオン交換水中にて上記試料を1時間真空脱泡してから、試料を水中から取り出し、湿った上記のガーゼで手早く表面をぬぐい、水滴を除去した後の質量をいう。これらの各質量は、電子天秤等の質量計で測定すればよい。得られた各質量の測定値は式(1)に代入することによって、水分保持率(R)を求めることができる。なお、上記試料の大きさはこれに限定されない。
また、本発明の真空チャック1は、吸着部2の気孔率によって、熱伝導性、剛性および通気抵抗が影響を受ける。吸着部2の気孔率が高いと空気の通路である気孔2aの体積が増えるため通気抵抗は低くなるが、剛性や熱伝導は下がる。一方、気孔率が低いと気孔2aの体積が減るため通気抵抗は高くなるが、剛性や熱伝導は上がる。
また、本発明の真空チャック1は、吸着部2の平均気孔径によって、通気抵抗が影響を受ける。平均気孔径が小さいと気孔2aの曲率が大きくなるため通気抵抗が高くなるが、平均気孔径が大きくても、気孔2a内部における保水性が低くなるため、上記スラリーが吸着部2の気孔2aに浸入すると、スラリーが気孔2a内部で乾燥して固着するおそれが高く、通気抵抗は高くなる。
このような観点から、吸着部2は気孔率を30%以上45%以下とし、平均気孔径を20μm以上40μm以下とすることが好適で、気孔率および平均気孔径をこの範囲にすることで、真空チャックの通気抵抗、剛性および熱伝導のバランスを最適化することができる。
なお、吸着部2の気孔率および平均気孔径については、それぞれアルキメデス法、JIS R 1655−2003に準拠して求めることができる。
このような吸着部2は、例えば、その直径が140〜300mm、厚み(d2)が5〜11mmの円板形状をなす多孔質体であって、支持部3は、中央に円形の凹部3bを備え、外壁3c間の外径が143〜380mm、厚み(d3)が14.3〜60mmである略円盤状の緻密質な枠体である。
また、本発明の真空チャック1は、吸着部2の厚みによって水分を保持することができる質量(以下、最大水分保持量といい、W−Wで示される。)が異なり、吸着部2の厚みが厚くなるほど最大水分保持量は増え、吸着部2の厚みが薄くなるほど最大水分保持量は減るが、室温下で一定時間放置後の水分蒸発量(W−Wで示される。)は厚みに係わらず一定である。例えば、吸着部2の厚みが厚く、最大水分保持量(W−W)が20g、室温下で一定時間放置後の水分蒸発量(W−W)が2gである場合、水分保持量(W−W1)は18gとなり、水分保持率(R)は90%である。一方、吸着部2の厚みが薄く、最大水分保持量(W−W)が10g、室温下で一定時間放置後の水分蒸発量(W−W)が2gである場合、水分保持量(W−W1)は8gとなり、水分保持率(R)は80%である。
このような観点から、吸着部2は厚みを7mm以上にすることが好適で、厚みをこの範囲にすることで、吸着部2を形成する多孔質体の水分保持量(W−W1)が相対的に増えて、水分保持率(R)も高くなるため、通気抵抗の増加をさらに抑制することができる。
また、図2に示す真空チャック1は、吸着部2が吸着面2bを径方向に分割する炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁5を備えたものであり、環状隔壁5は、その底面はガラス状の結合層4により、フランジ部3eを備えた支持板3fに、側面は同じくガラス状の結合層4により吸着部2に接合して成る。環状隔壁5は、その幅が数mm程度であり、吸着部2を径方向に2c,2dと分割することで、径が異なる種々の被吸着体に対し、独立して吸着機能や洗浄機能を作用させるためのものである。外壁3cも炭化珪素質焼結体からなり、その底面はガラス状の結合層4により支持板3fに接合されて、支持部3を形成し、内周面はガラス状の結合層4により吸着部2に接合される。吸着部2が吸着面2bを径方向に分割する炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁5を備えることで、径が異なる種々の被吸着体を精度よく加工することができると同時に、炭化珪素質焼結体は、熱伝導率が高いため、環状隔壁5を介して吸着部2より速やかに放熱することもできる。
図3に示す真空チャック1は、吸着部2が吸着面2bを径方向に分割する炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁5を備え、しかも環状隔壁5と支持部3とが一体的に形成されてなるものであり、環状隔壁5は、その側面のみがガラス状の結合層4で吸着部2と接合されている。このような構造にすることにより、環状隔壁5と支持部3とのガラス状の結合層による接合が不要となるため、ガラス状の結合層4による熱伝導の低下を抑制することができ、より高い熱伝導性を得ることができる。
図2および図3における環状隔壁5は、緻密質の炭化珪素質焼結体であって、その相対密度は98%以上であることが好適である。
なお、図2および図3では、吸着部2は環状隔壁5を1層備えた真空チャック1を示したが、環状隔壁5を複数層備えたものであっても何等差し支えない。また、本発明における主成分とは、吸着部2および支持部3を構成する成分のうち、より好適には70質量%以上、さらに最適には75質量%以上を占める成分をいう。
ここで、炭化珪素の結晶粒子を珪素で接合した状態について図6を用いて説明する。図6は炭化珪素の結晶粒子10を珪素11で接合した状態を示す模式図である。
吸着部2を形成する多孔質体は、珪素11が炭化珪素の結晶粒子10を接合し、12を気孔とする多孔質体である。炭化珪素に対する珪素の濡れ性は良好で、珪素11が炭化珪素の結晶粒子10に容易に被着し、この被着した珪素11は互いに強固に連結して珪素相を形成するので、剛性および熱伝導率を高く保持することができる。この形成過程では、珪素相の内部に空隙、気泡等の非連結部13を発生させないことが好ましい。このような非連結部13は熱伝導性を低下させるからである。
なお、非連結部13の有無は、例えば走査型電子顕微鏡を用い、倍率を50〜5000倍とし、1.8mm×2.0mmの範囲で観察することができる。また、非連結部13の面積比率は、以下の式(2)で示される比率として定義され、吸着部2の熱伝導性は非連結部13の面積比率を小さくするほうが好ましく、その上限は2.5%とすることが好適である。
非連結部13の面積比率=(非連結部13の面積)/(珪素11の面積+非連結部13の面積)×100(%)・・・(2)
この面積比率は次のようにして求めることができる。即ち、吸着部2から切り出した一部を、真空中で樹脂に埋め込んで円柱状の試料とし、この試料の平面をダイヤモンド砥粒を用いて研磨して鏡面とした後、工業用顕微鏡(Nikon ECLIPSE LV150)を用いて、この鏡面を5〜50倍にて撮影した画像をJPEG形式にて保存する。次に、JPEG形式で保存した画像ファイルをソフト(Adobe社製Photoshop(登録商標)Elements 1.0以降)を用いて画像処理を施し、BMP形式にて保存する。具体的には画像上の有彩色を削除し、白黒の二階調化(白黒化)を行なう。この二階調化では、工業用顕微鏡(Nikon ECLIPSE LV150)で撮影した画像と比べながら、炭化珪素の結晶粒子10と珪素11が識別できる閾値を設定する。閾値を設定した後、この二階調化された画像から珪素11の面積をピクセル単位で読みとる。非連結部13についても上述と同様の方法で読みとり、上記式(2)で算出することができる。
また、真空チャックの通気抵抗については、真空ポンプ(不図示)を配管(不図示)を介して吸引路3aに接続した後、例えば80〜90kPaの圧力で吸引する。そして、この吸引により吸着部2の厚み、気孔率および平均気孔径に応じて圧力損失が発生するが、この圧力損失については、配管に備え付けられた圧力ゲージでその値を読みとればよい。この圧力損失の値が大きければ、通気抵抗が高いことを示し、圧力損失の値が小さければ、通気抵抗が低いことを示す。
図4は真空チャックの剛性の計測手段を示す断面図である。真空チャックの剛性については、同図に示すように、真空チャック1に対し同心円状に支持リング6で真空チャック1を支持し、真空チャック1の中心に荷重を与えたときの、真空チャック1の変位量を電気マイクロメータ(不図示)で計測し、以下の式(3)により、ヤング率を求めればよい。
E=((3+υ)P(d/2)・12(1−υ))/(16π(1+υ)・h・ω)・・(3)
但し、E:真空チャック1のヤング率(GPa)
υ:真空チャック1のポアソン比
P:荷重(N)
d:支持リング6の内径(mm)
h:真空チャック1の厚み(mm)(図1、図2および図3ではhはd3である。)
ω:真空チャック1の変位量(mm)
図5は真空チャックの熱伝導性の計測手段を示す断面図である。真空チャックの熱伝導性については、同図に示すように、炭化珪素からなる均熱板7をホットプレート8に置いた後、ホットプレート8を加熱し、均熱板7を60℃に保持する。この状態で、均熱板7上に真空チャック1を置き、このときから50秒後の支持部3の裏面の中心の温度を熱電対9で測定する。この温度が高ければ、真空チャック1の熱伝導性は高く、この温度が低ければ、熱伝導性は低いといえる。
<実施形態2>
図7は、本発明の真空チャックの他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のX−X線における拡大断面図である。
図7に示す真空チャック1は、炭化珪素を主成分とする多孔質体からなり、被吸着体を吸着し、保持するための角形状の吸着面2bを備えた吸着部2と、吸着部2を支持する支持部3とを備えた真空チャックである。吸着面2bが角形状であることから、被吸着体が角板形状である場合に適した真空チャックである。
支持部3は、中央に凹部3bを備えており、凹部3b内には隔壁14を備えた吸着部2が配置される。支持部3は、炭化珪素を主成分とする焼結体から成り、凹部3bの底面に開口する吸引溝3f,3fと、これら吸引溝3f,3fに連通する吸引路3a,3aが設けられている。吸引路3a,3aを適宜選択することにより、被吸着体の大きさに応じて、吸着面2bの大きさを自由に設定することができる。
具体的には、平面視した際の被吸着体の大きさが吸着面2b全面の大きさに近い被吸着体を吸着する場合には、全ての吸引路3a,3aから空気を吸引し、吸着溝3f,3fを通じて被吸着体を吸着し、保持する。また、平面視した際の被吸着体の大きさが隔壁14で囲まれる部分の大きさと略同一の大きさの被吸着体を吸着する場合には、吸引路3aのみから空気を吸引し、吸着溝3fを通じて被吸着体を吸着し、保持する。
支持部3の下方には、真空チャック1を支持、固定するための基部(不図示)が備えられており、支持部3と基部(不図示)とは、等間隔に設置された取付孔15にボルト(不図示)等を介して連結、固定される。
<実施形態3>
図8は、本発明の真空チャックのさらに他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のX−X’線における断面図である。
図8に示す真空チャック1は、炭化珪素を主成分とする多孔質体からなり、被吸着体を吸着し、保持するための角形状の吸着面2bを備えた吸着部2と、吸着部2を支持する支持部3とを備えた真空チャックである。吸着面2bが図8に示すように均等に分割された角形状であることから、被吸着体が複数の角板形状である場合に適した真空チャックである。例えば、図8に示す真空チャックは、各吸着部2を、被吸着体の大きさに合わせて形成し、各吸着部2にそれぞれ被吸着体を吸着し、保持することができる。
なお、図8に示す真空チャック1を用いると、4個の同じ大きさの被吸着体を同時に吸着して加工することができるが、隔壁14の配置を変更することによって、被吸着体の大きさを任意に変更することもできる。また、図8は4個の吸着部2を備えた真空チャックを示しているが、隔壁14の個数を増やし、吸着部2の個数を増やしても何等差し支えない。
<真空チャックの製造方法>
次に、本発明の真空チャックの製造方法の一例について説明する。
本発明の真空チャック1の一部である吸着部2を得るには、先ず平均粒径90〜250μmのα型炭化珪素粉末40〜90質量%および平均粒径30〜160μmのα型炭化珪素粉末10〜60質量%の合計100質量部に対して、平均粒径1〜90μmの珪素粉末5〜30質量部を調合し、成形助剤として後の脱脂処理後の残炭率が10%以上となるような熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル樹脂の少なくともいずれか1種を添加し、ボールミル、振動ミル、コロイドミル、アトライター、高速ミキサー等で均一に混合する。特に、上記成形助剤として、熱硬化後の低収縮性の点からレゾール型またはノボラック型のフェノール樹脂が好適である。
成形助剤の添加量は、成形体の生密度に影響するため、吸着部2の気孔率および平均細孔径にも強く影響する。吸着部2の気孔率を30%以上45%以下であって、平均気孔径を20μm以上40μm以下とするには、α型炭化珪素粉末100質量部に対し、成形助剤の添加量を5〜20質量部とすればよい。
ところで、炭化珪素にはα型とβ型が存在するが、一般的にα型はβ型より耐酸化性が高く、粒子内部には残留炭素や残留珪素を殆ど含まない。このような理由から出発原料にはα型炭化珪素を用いる。
また、珪素粉末は、後の熱処理で珪素相となって、炭化珪素の結晶粒子を連結する。
珪素粉末の純度は高いほうが好ましく、95質量%以上の純度のものが好適で、99質量%以上の純度のものが特に好ましい。なお、使用する珪素粉末の形状は特に限定されず、球形又はそれに近い形状のみならず、不規則形状であっても好適に用いることができる。
上記炭化珪素粉末、珪素粉末の各平均粒径は液相沈降法、光投下法、レーザー散乱回折法等により測定することができる。
次に、混合した原料を転動造粒機、スプレードライヤー、圧縮造粒機、押し出し造粒機等各種造粒機を用いて顆粒にする。
次に、この顆粒を乾式加圧成形、冷間等方静水圧成形等の成形手段で所望の形状に成形して成形体とし、必要に応じて、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素、真空等の非酸化雰囲気中で、400〜600℃で脱脂処理を行なった後、脱脂処理と同様、非酸化雰囲気中、1400〜1450℃で熱処理することで炭化珪素および珪素が複合化した多孔質体とすることができる。
特に、熱処理温度を1420〜1440℃にすることが好適であり、この温度範囲で熱処理することで、気孔率が30%以上45%以下であって、平均気孔径が20μm以上40μm以下である多孔質体を得ることができる。
なお、熱処理の温度を下げるには、珪素の純度を99.5〜99.8質量%とすることが好適である。
このような製造方法で得られた多孔質体は、その上面を研削、研磨等の機械加工を施して、吸着部2とすることができ、この吸着部2は例えば、その直径が140〜300mm、厚み(d2)が5〜11mmの円板形状をなすものである。
なお、吸着面2bは平坦度が加工後の半導体ウエハやガラス基板の精度に影響を与えることから極力小さくする必要があり、少なくとも平坦度1μm以下、好ましくは平坦度0.3μm以下とすることが望まれる。
次に、炭化珪素を主成分とし、中央に円形の凹部3bを備え、外壁3c間の外径が143〜380mm、厚み(d3)が14.3〜60mmである略円盤状の緻密質な枠体である支持部3を準備し、SiOが30〜65質量%、Alが10〜40質量%、Bが10〜20質量%、CaOが4〜5質量%、MgOが1〜5質量%、TiOが0〜5質量%からなるペースト状のガラス、あるいはSiOが30〜65質量%、Alが10〜40質量%、Bが10〜20質量%、CaOが4〜5質量%、MgOが1〜5質量%、BaOが0〜6質量%およびSrOが0〜5質量%からなるペースト状のガラスを凹部3bに塗布する。ガラス塗布後、吸着部2を凹部3bに置き、専用の加圧装置で厚み方向から加圧する。加圧後、950〜980℃で熱処理することにより吸着部2と支持部3とは、ガラス状の結合層4で接合され、図1に示す真空チャックを得ることができる。
また、環状隔壁5を備える、図2に示す真空チャックは、以下に示す方法で得ることができる。即ち、先ず、炭化珪素を主成分とし、厚みが9.3〜50mmの緻密質な円板形状をなす支持板3fを準備する。支持板3f上に上述したいずれかのガラスを塗布し、支持板3f上に予め外周面に前記ガラスが塗布された円板形状をなす吸着部2cを略同心円上になるように置く。そして、炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁5、環状体である吸着部2d、炭化珪素質焼結体からなる外壁3cを順次支持板3f上に置き、専用の加圧装置で厚み方向から加圧する。なお、環状隔壁5および吸着部2dの内周面、外周面および底面、外壁3cの内周面および底面には、予め前記ガラスが塗布されている。加圧後、950〜980℃で熱処理することにより、吸着部2、環状隔壁5および外壁3cは支持板3fに対し、ガラス状の結合層4で接合される。同時に、外壁3cおよび支持板3fは、支持部3を形成して、図2に示す真空チャックを得ることができる。
環状隔壁5と支持部3とが一体的に形成された、図3に示す真空チャックは、以下に示す方法で得ることができる。即ち、先ず炭化珪素を主成分とし、予め、環状隔壁5と外壁3cとを備え、中央に円形の凹部3b、そして、環状隔壁5を挟んで、環状の凹部3bを備えてなる、略円盤状の緻密質な枠体である支持部3を準備し、上述したいずれかのガラスを凹部3bに塗布する。ガラス塗布後、吸着部2を凹部3bに置き、専用の加圧装置で厚み方向から加圧する。加圧後、950〜980℃で熱処理することにより吸着部2と支持部3とは、ガラス状の結合層4で接合され、図3に示す真空チャックを得ることができる。
このような本発明の真空吸着装置(真空チャックを吸着手段として用いた装置等であり、特に吸引手段として真空ポンプを備えた装置等)や吸着方法は、上述の通り、保水性を高くすることにより、通気抵抗を低くした真空チャック1を用いているため、長期間の使用に供することができ、信頼性が高く好適である。
また、セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャック1の水分保持率管理方法によれば、前記多孔質体の少なくとも一部における、上記式(1)で規定される水分保持率(R)が所定値以上となるように調整するので、研削工程後にイオン交換水または蒸留水等により真空チャックを洗浄した後、洗浄により除去できなかった研削屑が水と結合してスラリーとなって、吸着部の気孔に浸入しても、スラリーが気孔内部で乾燥しにくく研削屑が固着することがほとんどなくなるため、通気抵抗が制御された真空チャックを得ることができる。
さらに、この水分保持率管理方法は、前記水分保持率(R)が90%以上となるように調整することで、通気抵抗が低い優れた真空チャック1を得ることができる。
そして特に、セラミックスとして炭化珪素を主成分としたものを用いることにより、熱伝導性および機械的性質に優れていることから、上述した効果をよりいっそう高めることが可能となる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
先ず、α型炭化珪素粉末、珪素粉末および成形助剤となるフェノール樹脂を均一に混合し、調合原料を作製した。α型炭化珪素粉末の比率および平均粒径、α型炭化珪素粉末の合計100質量部に対する珪素粉末の比率および平均粒径は表1に示す通りとした。
作製した調合原料を転動造粒機に投入し、顆粒とした後、乾式加圧成形にて成形体を得た。次に、この成形体を窒素雰囲気中、500℃で脱脂処理した後、1420℃で同じく窒素雰囲気中で熱処理して、炭化珪素の結晶粒子を珪素で接合した多孔質体からなる、図1、図2および図3に示す吸着部2をそれぞれ作製した。
吸着部2の厚みはいずれも10mmとし、吸着部2の気孔率、気孔2aの平均気孔径についてはそれぞれアルキメデス法、JIS R 1655−2003に準拠して測定した。
次に、炭化珪素を主成分とし、中央に円形の凹部3bを有する略円盤状の緻密質な枠体であって、厚み(d3)が40mmの支持部3を準備し、接合後の結合層4を構成するガラスの各成分がSiO:60質量%、Al:15質量%、B:14質量%、CaO:4質量%、MgO:3質量%、BaO:3質量%、SrO:1質量%になるように調整されたペースト状のガラスを凹部3bに塗布した。ガラス塗布後、吸着部2を凹部3bに置き、専用の加圧装置で厚み方向から加圧した後、980℃で熱処理することで、結合層4の厚みが10〜120μmである真空チャック1を得た。
ここで、図1、図2および図3に示す真空チャック1をそれぞれ1a,1b,1cとして表1に示す。
得られた真空チャック1の熱伝導性の評価については、図5に示す熱伝導試験を実施した。具体的には、先ず、炭化珪素からなる均熱板7をホットプレート8に置いた後、ホットプレート8を加熱し、均熱板7を60℃に保持した。この状態で、真空チャック1を均熱板7上に置き、このときから50秒後の支持部3の裏面の中心の温度を熱電対9(K熱電対)で測定し、表1に支持部裏面温度として示した。この温度が高ければ、真空チャック1の熱伝導性は高く、この温度が低ければ、熱伝導性は低いといえる。
また、真空チャック1の通気抵抗については、真空ポンプ(不図示)を配管(不図示)を介して吸引路3aに接続した後、85kPaの圧力で吸引し、発生した圧力損失の値を読みとった。その値を表1に示す。この圧力損失の値が大きければ、通気抵抗が高いことを示し、圧力損失の値が小さければ、通気抵抗が低いことを示す。
真空チャックの剛性については、図4に示すように、真空チャック1と同心円状に支持リング6で真空チャック1を支持し、真空チャック1の中心に荷重を与えたときの、真空チャック1の変位量を電気マイクロメータ((株)ミツトヨ製、型番:MU−CHECKER M401)で計測し、上記式(3)により、ヤング率を求めた。その値を表1に示す。
また、吸着部2を形成する多孔質体の乾燥質量(W1)は、吸着部2より幅10mm、長さ10mm、高さ7mmの直方体状の試料を切り出し、100℃、1時間で保持した後の質量を、室温下で放置後の多孔質体の質量(W2)は、上記試料を蒸留水またはイオン交換水中にて1時間真空脱泡した後、温度が5〜35℃、湿度が30〜60%の雰囲気中で濡れたガーゼ(旭化成せんい(株)製、BEMCOT(登録商標)S−2)の上で3時間保持した後の質量を、また、多孔質体の飽水質量(W)は蒸留水またはイオン交換水中にて上記試料を1時間真空脱泡してから、試料を水中から取り出し、湿った上記ガーゼで手早く表面をぬぐい水滴を除去した後の質量をそれぞれ電子天秤((株)エー・アンド・デイ、型番:ER−60A)で測定した。
Figure 2008238357
表1からわかるように、水分保持率(R)が90%未満の試料No.1,5,9は、圧力損失が10kPa以上と高いため、真空チャックとして十分な機能を備えているとはいえない。
一方、水分保持率(R)が90%以上の試料No.2〜4,6〜8,10〜21は、圧力損失が9.0kPa以下と低いため、真空チャックとして十分な機能を備えているといえる。
また、吸着部2が環状隔壁5を備えた試料No.6は、試料No.6と水分保持率(R)が等しい試料No.2より、支持部の裏面温度が高いため、熱伝導性が高いといえる。試料No.3および試料No.7、また試料No.4および試料No.8を比べても同様である。
さらに、環状隔壁5と支持部3とを一体的に形成した試料No.10は、試料No.10と水分保持率(R)が等しい試料No.6より、熱伝導率が高いため、加工により被吸着体に発生した熱を速やかに放熱することもできる。試料No.7および試料No.20、また試料No.8および試料No.21を比べても同様である。
特に、気孔率が30%以上45%以下であって、平均気孔径が20μm以上40μm以下である試料No.14〜16は、これらの範囲外である試料No.10〜13,17〜21に比べ、通気抵抗、剛性および熱伝導のバランスが良いといえる。
熱伝導性および放熱性を兼ね備えている上、通気抵抗が低く好適である。
<実施例2>
先ず、平均粒径120μmのα型炭化珪素粉末33.3質量%および平均粒径100μmのα型炭化珪素粉末66.7質量%の合計100質量部に対して、平均粒径25μmの珪素粉末20質量部および成形助剤となるフェノール樹脂を均一に混合し、調合原料を作製した。この調合原料を転動造粒機に投入し、顆粒とした後、乾式加圧成形にて成形体を得た。次にこの成形体を窒素雰囲気中、500℃で脱脂処理した後、1420℃で同じく窒素雰囲気中で熱処理して、炭化珪素の結晶粒子を珪素で接合した多孔質体からなる、図3に示す吸着部2をそれぞれ作製した。
吸着部2の厚みは表2に示す通りとし、吸着部2を形成する多孔質体の水分保持率(R)は、いずれも96%とした。
次に、炭化珪素を主成分とし、中央に円形の凹部3bを有する略円盤状の緻密質な枠体であって、厚み(d3)が40mmの支持部3を準備し、接合後の結合層4を構成するガラスの各成分がSiO:60質量%、Al:15質量%、B:14質量%、CaO:4質量%、MgO:3質量%、BaO:3質量%、SrO:1質量%になるように調整されたペースト状のガラスを凹部3bに塗布した。ガラス塗布後、吸着部2を凹部3bに置き、専用の加圧装置で厚み方向から加圧した後、980℃で熱処理することで、結合層4の厚みが110〜120μmである真空チャック1を得た。
得られた真空チャック1の通気抵抗の評価については、実施例1に示した試験と同じ試験を実施した。その測定結果を表2に示す。
Figure 2008238357
表2からわかるように、厚みが7mm以上である吸着部2を備えた試料No.23〜25は、厚みが7mm未満である吸着部2を備えた試料No.22より圧力損失が低く、より好適であるといえる。
本発明の真空チャックの一実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のA−A線における拡大断面図である。 本発明の真空チャックの他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のA−A線における拡大断面図である。 本発明の真空チャックの他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のA−A線における拡大断面図である。 真空チャックの剛性の計測手段を示す断面図である。 真空チャックの熱伝導性の計測手段を示す断面図である。 炭化珪素の結晶粒子を珪素で接合した状態を示す模式図である。 本発明の真空チャックの他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のX−X線における拡大断面図である。 本発明の真空チャックのさらに他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は同図(a)のX−X線における拡大断面図である。 従来の真空チャックの一実施形態を示し、(a)は真空チャックの分解斜視図、(b)は真空チャックを備えたチャックテーブルの分解斜視図である。
符号の説明
1:真空チャック
2:吸着部
2a:気孔
2b:吸着面
3:支持部
3a:吸引路
3b:凹部
3c:外壁
3d:頂面
3e:フランジ部
3f:吸引溝
4:結合層
5:環状隔壁
6:支持リング
7:均熱板
8:ホットプレート
9:熱電対
10:炭化珪素の結晶粒子
11:珪素
12:気孔
13:非連結部
14:隔壁
15:取付孔

Claims (11)

  1. セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャックであって、前記多孔質体の少なくとも一部において、下記式(1)で規定される水分保持率(R)が90%以上であることを特徴とする真空チャック。
    R={(W−W1)/(W−W1)}×100 (1)
    但し R:水分保持率(%)
    1:前記多孔質体の乾燥質量(g)
    2:常温常湿下で放置した前記多孔質体の質量(g)
    3:前記多孔質体の飽水質量(g)
  2. 前記セラミックスは主成分が炭化珪素であることを特徴とする請求項1に記載の真空チャック。
  3. 前記吸着部は、気孔率が30%以上45%以下であって、平均気孔径が20μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の真空チャック。
  4. 前記吸着部は、厚みが7mm以上であることを特徴とする請求項2に記載の真空チャック。
  5. 前記吸着部は、前記吸着面を径方向に分割する炭化珪素質焼結体からなる環状隔壁を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の真空チャック。
  6. 前記環状隔壁と前記支持部とが一体的に形成されてなることを特徴とする請求項5に記載の真空チャック。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の真空チャックを吸着手段として用いたことを特徴とする真空吸着装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載の真空チャックを用いて、被吸着体を前記吸着部により吸着することを特徴とする吸着方法。
  9. セラミックスの多孔質体からなり、被吸着体を吸着するための吸着面を備えた吸着部と、該吸着部を支持する支持部とを備えた真空チャックの水分保持率管理方法であって、前記多孔質体の少なくとも一部において、下記式(1)で規定される水分保持率(R)が所定値以上となるように調整することを特徴とする真空チャックの水分保持率管理方法。
    R={(W−W1)/(W−W1)}×100 (1)
    但し R:水分保持率(%)
    1:前記多孔質体の乾燥質量(g)
    2:常温常湿下で放置した前記多孔質体の質量(g)
    3:前記多孔質体の飽水質量(g)
  10. 前記水分保持率(R)が90%以上となるように調整することを特徴とする請求項9に記載の真空チャックの水分保持率管理方法。
  11. 前記セラミックスは主成分が炭化珪素であることを特徴とする請求項9または10に記載の真空チャックの水分保持率管理方法。
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