JP2008238036A - アスベスト含有廃材の処理方法 - Google Patents

アスベスト含有廃材の処理方法 Download PDF

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謙介 金井
Hiroyuki Sakakibara
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Abstract

【課題】アスベスト含有廃材を完全にかつ安全に無害化する処理方法を提供する。
【解決手段】アスベストを含有する廃材をアルカリ水溶液下で湿式粉砕して、該アスベスト含有廃材を非アスベスト化して無害化処理物とし、該無害化処理物を、セメントクリンカ焼成プラントの原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれかに供給して、セメントキルンにより溶融処理し、これにより、アスベスト含有廃材を安全にかつ完全に無害化できるとともに、該廃材を再利用したセメントを製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスベストを含有する廃材の処理方法に関し、特に、アスベストを含有する廃材を完全にかつ安全に処理することができる、アスベスト含有廃材の処理方法に関する。
従来より、アスベストは長期間にわたって強度低下が起きないことから、様々な分野で広く使用されてきており、スレート板、水道管、耐火被覆材、ブレーキパッド、ガスケット、保温板、ロープ、パッキング、アセチレンボンベの充填材として多くの部材に使用されてきたが、近年、アスベストは、綿肺、肺癌、悪性中皮腫など多くの健康阻害の要因となることが明らかとなり、使用が禁止されている。
特に、アスベストを含む部材としては、スレート部材や、耐火性被覆材等が多く使用されており、これらのスレート部材等は、天井、壁材などに多く用いられている。
しかし、これらの多量に使用されてきたアスベスト含有部材は、上記したような環境的理由により、そのまま使用を継続することは危険であり、早急に廃棄・無害化処理をしなければならない状況となっている。
これまでのアスベスト含有部材は、一般廃棄物として取り扱われて、現在は産業廃棄物として廃棄処分されているが、アスベストの飛散や放散が問題となっており、緊急な安全対策が求められている。
特に、耐火被覆材や崩壊した天井板などアスベストを含有する建材を用いた建造物の解体等がピークを迎えているが、アスベストの暴露とそのアスベストの飛散、放散の問題が深刻化している。
かかるアスベスト(石綿)は天然に産する鉱物繊維で、例えば、蛇紋岩系のクリソタイル(3MgO・2SiO・2HO)角閃石系のアモサイト((Mg,Fe)Si22(OH))、クロシドライト(NaFe 2+Fe 3+Si22(OH))、アンソフィライト(MgSi22(OH))、トレモライト(CaMgSi22(OH))、アクチノライト(Ca(Mg,Fe)Si22(OH))が挙げられる。
かかる蛇紋岩系のクリソタイルは、加熱すると約700℃で脱水、変態し、約900℃で無害なフォレストライト(2MgO・SiO)になることが知られているが、現実は、容易に無害化することは困難である。
かかるアスベストの有害性は、その繊維質に由来するものであるので、繊維質の改質、融解により無害化する方法として、特許第3680958号(特許文献1)には、ロータリーキルンを用いたセメントの製造方法であって、前記ロータリーキルンの排出口側に設けた燃焼手段の近傍から石綿廃材を前記ロータリーキルン内に供給し、この供給された石綿廃材、及びセメント原料を前記燃焼手段によって処理することを特徴とするセメント製造方法が記載されている。
また、特開2005−279589号公報(特許文献2)には、アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物、又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、それを減圧下に置いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸することによって前処理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬して780℃〜1000℃の範囲に加熱することによってスレート廃材中のアスベストを溶融させてガラス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法が記載されている。
更に、特開2006−52177号公報(特許文献3)には、無機質系材料の廃材を、セメント製造用原料とともにセメント製造用キルン内に投入して、加熱処理することによりセメントに変換してなる無機質系材料の廃材の処理方法において、廃材の寸法を、最小値が1mm以上で最大値がセメント製造用キルンの内径の1/10以下であり且つ廃材内部のどの個所であっても表面までの最短距離が30mm以下の範囲内となるように寸法調整し、廃材とセメント原料との合計量に占める廃材の比率が乾燥状態における質量比率で1〜20%の範囲とし、廃材をセメント製造用原料とともにセメント製造用キルン内にキルンの窯尻から投入し、1000〜1500℃で20〜60分間加熱処理して焼結体を得、得られた焼結体を粉末化することを特徴とする無機質系材料の廃材の処理方法が記載されている。
上記の各々の特許文献に記載された従来の方法においては、アスベスト含有廃棄物を溶融炉やセメントキルンに投入して無害化を行っているものである。
しかし、アスベスト含有廃棄物を、溶融炉やセメントキルンに供給する際に、アスベストの飛散や放散を防止することはできず、また、上記従来の方法では、前処理としてアスベスト含有廃材を粉砕したり、分解したり、微細クラック等を形成したりするために、重機などを用いてアスベスト含有廃材を破壊するなど、主として機械的手段を用いるので、結局アスベストが飛散、放散してしまい、溶融炉やセメントキルンに供給する工程における人体への健康面での影響問題は十分に解決されていない。
また、従来の酸処理による無害化方法では、酸に溶解して液状化するため、酸処理後の処置が困難であり、また反応性の高いアスベスト以外の無機物が酸に溶解するため、アスベストを溶解するためには、多量の酸が必要となる問題がある。
特許第3680958号 特開2005−279589号公報 特開2006−52177号公報
本発明の目的は、任意の形態のアスベスト含有廃材を完全にかつ安全に無害化処理できるアスベスト含有廃材の処理方法を提供することである。
また、特に、アスベストを含有する廃材の寸法が大きかったり、スレート板である場合にも、アスベスト粉塵等の飛散や拡散を防止するとともに、完全にかつ安全に無害化処理でき、かつ溶融や多量の酸による処理に拠ることのないアスベスト含有廃材の処理方法を提供することである。
本発明者らは、アスベスト含有廃材を、微粉砕処理、特にアルカリ水溶液下で湿式粉砕処理し、次いで、セメントキルンで溶融処理する2段階処理を行うことによって、アスベスト含有廃材を安全にかつ完全に無害化できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の請求項1記載のアスベストの処理方法は、アスベストを含有する廃材を微粉砕処理することで該廃材中のアスベストを非アスベスト化した無害化処理物を、更に溶融炉により溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
好適には、請求項2記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記無害化処理物は、アスベストを含有する廃材をアルカリ水溶液下で湿式粉砕することで該廃材中のアスベストを非アスベスト化したものであることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項3記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項2記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の苛性アルカリや、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ等の水溶液、またはこれらの混合水溶液であることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項4記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1〜3いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記溶融炉がセメントキルンであることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項5記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項4記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記無害化処理物を、セメントクリンカ焼成プラントの原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれかに供給して、セメントキルンにより溶融処理することを特徴とするアスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項6記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項4または5項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記非アスベスト化した無害化処理物をフラックスと共にセメントキルンに供給することを特徴とするアスベスト含有廃材の処理方法である。
ここで、アスベストの無害化または非アスベスト化とは、アスベストが微粉砕されて、アスペクト比が3未満の粒子形状となるか、またはアスベストがアルカリ水溶液下でメカノケミカル反応して、クリソタイル、クロシドライト、アモサイト等の針状結晶がそれ以外の物質に転化した状態を表すものであり、このような状態であることで、人体に対して無害となる。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法は、アスベスト含有廃材を、安全にかつ完全に無害化処理することができる。
アスベスト含有廃材を微粉砕することで、有害な針状結晶を破壊して、アスペクト比の減少により、物理的な形状変化による有害性の低減が図れる。
特に、アスベスト含有廃材をアルカリ溶液下で湿式粉砕することで、粉砕にアスペクト比の減少による物理的な形状変化による毒性の低減に加えて、更にアルカリ共存下における粉砕エネルギーによるメカノケミカル反応によって効率的にアスベストの構造破壊が促進されるため、短時間で処理物を無害化することができる。
しかも、アスベスト含有廃材の性状を問わず、スレート板、吹き付け廃材等のあらゆる形状や大きさの廃材を多量の酸による処理に拠ることなく処理することができる。
さらに、特にセメントクリンカ焼成プラントのセメントキルンを用いて溶融することで、セメントクリンカを製造することができ、アスベスト含有廃材の有効な再利用を促進することも可能となる。
本発明を以下の最良の形態例について説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のアスベストの処理方法は、アスベストを含有する廃材を微粉砕処理することで該廃材中のアスベストを非アスベスト化した無害化処理物を、更に溶融炉により溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
このように、2段階の処理とすることで、アスベスト含有廃材を安全に、完全に無害化することができることとなる。
特に、溶融炉で溶融処理に供する前に、アスベストを微粉砕処理により無害化することで、取り扱いが安全になり、健康面への影響が極めて少なくすることができるようになる。
さらに、セメントキルンによる溶融の場合に、アスベストを含有する廃材を微粉砕処理して無害化処理物を極めて安全性の高いものとした後に、セメントクリンカ焼成プラントの原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれかに供給するようにしたので、破砕工程あるいは粉砕工程が後工程に続く場合でも破砕・粉砕によるアスベストの飛散、放散を生じる恐れがない。
本発明における微粉砕処理は、好適には、アスベストを含有する廃材を密閉状態で破砕・微粉砕し、更に好適には、微粉砕をアルカリ水溶液下での湿式粉砕により行うことによって前記廃材中のアスベストを非アスベスト化するものである。
アスベストは、その針状結晶が有害であるため、針状結晶を破壊すれば有害ではなくなる。従って、アスベスト含有廃材を微粉砕処理することで、アスベストのアスペクト比を減少させ、針状結晶を破壊するものである。
本発明における微粉砕処理では、針状結晶を破壊するまで、アスベスト含有廃材を微粉砕処理する。
特に、アスベストを含有する廃材の破砕・微粉砕を密閉状態で行うようにすれば環境的に安全である。
このように、環境的に安全に破砕・微粉砕処理し、更に、アルカリ処理と粉砕処理とを同時に行うメカノケミカル処理とすることで、寸法の大きいアスベスト含有廃材であっても、安全にかつ完全に無害化することができることとなる。従って、健康面への影響を極めて少なくすることができるようになる。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法を適用できるアスベスト含有廃材としては、特に種類は限定されず、例えば、吹付け廃材、スレート板等の、アスベストを含有する廃材であれば、すべて対象とすることができる。
本発明のアスベスト含有廃材の微粉砕処理は、まず、アスベストを含有する廃材を、好適には、密閉状態で破砕処理し、更に、密閉状態で微粉砕処理、更に好適にはアルカリ水溶液下で湿式粉砕処理する。
ここで、密閉状態とは、アスベストが作業環境中の自由な大気(密閉空間内の大気を除く)と直接接触していない状態をいい、例えば、ケースにより密閉可能な破砕機を密閉している状態、破砕機から粉砕機までの移送手段をケースにより密閉している状態、またはケースにより密閉可能な粉砕機を用いて実現される密閉状態、あるいは、好適には、アスベスト含有廃材をアルカリ水溶液等の液体に浸漬させた状態等が挙げられる。
具体的には、破砕機、移送手段及び粉砕機等を配置し、これらの各装置を一つの密閉されたケースで覆う方法や、破砕機、移送手段及び粉砕機等の各々の装置を各々のケース等で密閉する方法等が挙げられる。
特に、アスベスト含有廃材をアルカリ水溶液に浸漬して破砕処理する場合には、アスベストが飛散・放散しないように破砕する工程と、アルカリ処理工程とを好適に同時に行うことができる。またこの場合、破砕処理に続けてそのまま粉砕処理を行ってもよい。
アスベスト含有廃材が、少なくともアルカリ水溶液による湿潤状態となれば足りるので、上記破砕を、上記したようにアスベスト含有廃材がアルカリ水溶液に浸漬された状態のままで実施しても、あるいは、アスベスト含有廃材をアルカリ水溶液に浸漬して湿潤状態となれば、アルカリ水溶液から取り出して破砕を実施してもよい。
またアスベスト含有廃材をアルカリ処理するアルカリ水溶液に浸漬して破砕処理する場合には、破砕処理に続けてそのまま粉砕処理を行ってもよい。
この場合には、アスベストを含有する廃材をアルカリ水溶液に浸漬した状態で破砕・粉砕・アルカリ処理を同時に行うものである。
上記破砕する際の手段としては、公知の建材廃材を破砕する手段を用いることができる。
例えば、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ジョークラッシャー、回転式破砕機、シュレッダー等がある。
このように、破砕することで、大きい形状の廃材も、粉砕機にポンプ圧送しやすくなるとともに、該廃材の比表面積を大きくして、アルカリ溶液による無害化を効率よく図ることができることとなる。
破砕機から粉砕機にポンプ圧送する場合には、ポンプ圧送時の詰まりや粉砕工程での能力低下がなされないように、粉砕物の粒子径は3mm以下とすることが好ましく、より好ましくは1mm以下とするのがよい。
本発明における微粉砕処理は、好適には、アスベスト含有廃材を密閉状態で破砕し、破砕された該廃材を好ましくはアルカリ水溶液下で、例えば湿式粉砕機にポンプ圧送して該廃材を更に湿式粉砕する。
このようにすることで、アスベストが飛散・放散しないように粉砕する工程をアルカリ水溶液下で効率よく行うことができる。
すなわち、アルカリによるアスベストの構造破壊と、粉砕によるアスペクト比の減少により、物理的な形状変化による毒性の低減、及びアルカリ共存下における粉砕エネルギーによるメカノケミカル反応により、アスベストの構造破壊が促進されるため、短時間で処理物を無害化することができる。
粉砕手段としては、公知の建材廃材を粉砕する手段を用いることができる。
例えば、媒体撹拌ミル、タワーミル、振動ミル、ボールミル、遊星ミル等が用いられる。
粉砕することで、アスベスト含有廃材とアルカリ水溶液の接触面積を増大させ、無害化を効果的に行うことができる。
また粉砕処理することで、アルカリ水溶液の温度が約70〜80℃に上昇する。
したがって、かかる温度上昇により、更に効率的に無害化が図れる。
上記破砕及び/又は粉砕する工程において、必要に応じて、加温、加圧することも可能であり、これにより廃材の無害化処理を、より短時間で実施することができることとなる。
粉砕機で粉砕された粉砕物は、湿式サイクロン等の分級機により分級する。
分級された粒子のうち、粗粒分は粉砕機へ戻し、細粒分は無害化処理物として系外へ排出する。
粉砕時間、粉砕ボール径、湿式粉砕の場合のスラリー濃度、分級条件等の運転条件は、使用する設備毎に事前に試験運転を行うことにより定める。
試験運転では、分級後の細粒分をサンプリングし、X線回折による測定でクリソタイル、クロシドライト、アモサイト等の含有率が0.1%未満となるか、または、位相差顕微鏡、偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡のいずれかの顕微鏡観察による測定でアスペクト比が3未満になるよう運転条件を定める。
破砕されたアスベスト含有廃材を、粉砕処理しながらアルカリ水溶液に含浸して、十分に非アスベスト化させて無害化する際に使用できるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の苛性アルカリや、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ等、またはこれらの混合水溶液を有効に用いることができ、その濃度はアスベストの非アスベスト化への反応が生じる条件であれば特に限定されないが、濃度が高いほうが短時間でまた多量に無害化処理することができる。
また、アルカリ水溶液の濃度は、現場の状況等に応じて適宜設定すればよい。
かかるアルカリ処理することで、アスベストのSi−OやFeOの骨格を形成する構造を破壊することができ、したがって、針状結晶を壊すことができる。
またアスベストの針状結晶の縦横比を小さくすることがき、針状結晶構造を立方化構造に近い構造とすることが可能となる。
以上のとおり処理された無害化処理物は、更に中和処理および/または脱水処理を実施されることが好ましい。
中和処理及び脱水処理を行うことにより、無害化処理物から余剰のアルカリやアルカリ塩及び水分を除去することができ、溶融炉に対する炉内劣化や燃費悪化等の負担を軽減することができ、特にセメントキルンによる溶融の場合は、製造されるセメント中のアルカリ量増加による品質低下を防止することができる。
中和処理は、アルカリ水溶液下での湿式粉砕を行った場合に行われ、粉砕処理工程で得られた無害化処理物をアジテータに投入して酸で中和し、これをデカンターにて酸をリンスするようにすればよい。
脱水処理は、デカンター、フィルタープレス等により行えばよく、このような処理によりケーキ状処理物が得られる。
次いで、本発明の方法においては、前記非アスベスト化した無害化処理物を、溶融炉に、好適にはセメントクリンカ焼成プラント用のセメントキルンに供給して、溶融処理するものである。
このようにセメントクリンカ焼成プラント用のセメントキルンで高温溶融処理することにより、アスベストを完全に無害化処理することができることとなるとともに、セメント原料とともに処理されて、セメントクリンカとして再利用されることとなる。
かかるセメントキルンは、好適にはセメントクリンカ焼成プラントのセメントロータリーキルンを適用することができ、かかるセメントキルンを利用することで、一度に多量に均一に溶融処理することが可能となるとともに、セメントクリンカを製造することが可能となり、アスベスト含有廃材を有効にリサイクル適用することも可能となる。
また、上記微粉砕処理して非アスベスト化した無害化処理物をセメントクリンカ焼成プラント用のセメントキルンで溶融処理するにあたっては、図1に示すように、後述の原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれの工程においても、前記微粉砕処理を経た非アスベスト化の無害化処理物を供給することができる。
セメントを製造するには、原料工程、焼成工程、仕上げ工程に大別される。
更に、原料工程は、原料受け入れ工程、粉砕・分級工程に大別される。
原料受け入れ工程では、まず、場外から運搬されてくるセメントクリンカ焼成用の原料、即ち石灰石を主体とし、他に粘土、珪石、鉄原料等を受け入れホッパ1にて分別して受け入れる。
当該原料が大塊である場合には、受け入れホッパ1の下流に破砕機(図示せず)が設けられ、所定の粒径に破砕された後、輸送機により各原料が原料貯蔵庫2に貯蔵される。
続く原料工程での粉砕・分級工程では、原料貯蔵庫2の原料を「原料粉砕機」(原料ミル)で混合粉砕し、「分級機」で分級して、安定した粉体原料が調製される。
かかる原料粉砕機は現在、乾燥、粉砕、粗粉と微粉との分級の3つの機能を合わせもつ「たて型ミル」3が多く用いられている。
そして、得られた粉体原料を、例えば、ブレンディングサイロ4で均一に混合した後、原料ストレージサイロ5に導入する。
本発明の処理方法では、微粉砕処理後の非アスベスト化した無害処理物は、他の原料と同様に、受け入れホッパ1に導入されて原料として別途貯蔵されて、上記粉砕機3に導入されても、あるいは特に貯蔵されることなく粉砕機3に直接導入されてもよく、またはこの原料工程では導入されなくてもよい。
次いで前記原料工程を経て調製された粉体原料は、焼成工程を経ることとなる。
かかる焼成工程は、粉体原料が所定の温度になるまで加熱され、セメントとしての水硬特性を呈するように、焼成される工程である。
かかる焼成工程は、セメントキルン供給工程、焼成工程、冷却工程に大別される。
セメントキルン供給工程では、先ず粉体原料は、予熱装置(プレヒーター)6に投入されて加熱され、次いでロータリーキルン8に投入される。
予熱装置6に投入されたセメント原料は、予熱装置6内を下降しながら800〜900℃に加熱される。
予熱装置6内におけるセメント原料の加熱は、予熱装置6内に熱風を送り込むことにより行われる。
なお、予熱装置6の多くは、下段に仮焼炉7が設けられている。
焼成工程では、予熱装置6で加熱され、セメントロータリーキルン8に送られたセメント原料が、該ロータリーキルン8内を1分間に2〜3回転し出口方向に移動しながら約1500℃程度の高温で焼成されて焼結体(セメントクリンカ)となりロータリーキルン8から取り出される。
該ロータリーキルン8内でのセメント原料の焼成は、ロータリーキルン8の窯前(焼結体が取り出される側)方向から窯尻(セメント原料が投入される側)方向に向けて、微粉炭を燃焼させてロータリーキルン8内に送り込むことにより行われ、当該ロータリーキルン8内の温度は、窯尻で約1000℃程度であり、最高温度が約1400〜1500℃であり、窯前が約1200℃程度である。
そして、ロータリーキルン8から取り出された焼結体は、冷却機9に送られる。
冷却工程では、ロータリーキルン8から取り出された焼結体は、冷却機9で強制空冷により急冷され、仕上げ工程へと送られる。
本発明の処理方法においては、微粉砕処理後の非アスベスト化した無害処理物は、原料工程を経て予熱装置6に導入されても、ロータリーキルン8の窯前で導入されても窯尻で導入されても、該セメントキルンで溶融処理できるのであれば、供給されるタイミングは特に問われない。
上記したように、セメント原料とともにロータリーキルン内に投入されたアルカリ処理後のアスベスト含有廃材は、ロータリーキルン内で回転しながら、例えば、1000〜1500℃で20〜60分間加熱溶融処理される。
この際、最高温度を1450℃以上とするとともに、1450℃以上の温度で加熱される時間を5分以上とするのが好適である。
かかる加熱処理により、アスベスト含有廃材は、溶融されて焼成されて焼結体を形成する。
前記加熱処理に関する温度および時間の条件は、一般的なセメントの焼成条件であるので、通常のセメントを製造する条件で廃材を処理することができるものである。
またかかる溶融処理をする際に、必要に応じて、フラックスを添加することも可能である。
かかるフラックスとしては、例えば、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸カルシウム、ボロナイトカルサイトなどのホウ酸化合物、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウムなどのリン酸化合物、珪酸、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの珪酸化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸化合物、炭酸バリウム、硫酸バリウム等のバリウム化合物、フッ化水素、フッ化カルシウムなどのフッ素化合物等を用いることができる。
かかるフラックス剤の添加量は、過剰でも特に問題になることはないが、少ないと融解が遅くなる場合や不均質になる場合もあるので、上記量のフラックスを溶融処理において添加することが望ましいが、必ず添加する必要があるものではない。
かかるフラックスは、溶融時における融点を低下させるか、あるいは溶融時間を短縮させるという機能を有するものである。
このようにして得られた焼結体にセメントの凝結時間調整を目的として石膏が必要に応じて加えられ、仕上げ粉砕機(仕上げミル)で粉砕される仕上げ工程を得て、セメントが得られる。
このようにして得られたセメントは、安定した性能を有するものであり、アスベスト含有廃材を完全に安全に無害化して再利用を図ることができるものである。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法は、任意の形状のアスベスト含有廃材に有効に適用することができる。
また該廃材を再利用した、セメントを製造することにも適用することが可能となる。
セメントクリンカ(焼結体)を製造する概略を示す工程図。
符号の説明
1 原料受け入れホッパ
2 原料貯蔵庫
3 原料粉砕機
4 ブレンディングサイロ
5 原料ストレージサイロ
6 予熱装置(プレヒーター)
7 仮焼炉
8 セメントロータリーキルン
9 冷却機

Claims (6)

  1. アスベストを含有する廃材を微粉砕処理することで該廃材中のアスベストを非アスベスト化した無害化処理物を、更に溶融炉により溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  2. 請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記無害化処理物は、アスベストを含有する廃材をアルカリ水溶液下で湿式粉砕することで該廃材中のアスベストを非アスベスト化したものであることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  3. 請求項2記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記アルカリ水溶液は、苛性アルカリ若しくは炭酸アルカリの水溶液、またはこれらの混合水溶液であることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  4. 請求項1〜3いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記溶融炉がセメントキルンであることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  5. 請求項4記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記無害化処理物を、セメントクリンカ焼成プラントの原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれかに供給して、セメントキルンにより溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  6. 請求項4または5記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記非アスベスト化した無害化処理物をフラックスと共にセメントキルンに供給することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
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