JP2008237517A - 血圧計用カフ - Google Patents

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Abstract

【課題】カフ帯に内蔵されている形状記憶合金アクチュエーターについて、少ない形状記憶合金の熱による制御をより容易にしつつ故障の原因を排除することで、低電力でかつ容易に作れる血圧計用カフを提供すること。
【解決手段】形状記憶合金アクチュエーターをマルテンサイト変態温度の異なる複数の形状記憶合金材料をつなぎ合わせて構成することで、アクチュエーターを温度に応じて段階的に締めることが出来、温度変化による制御が容易になる。そのうえ、変態温度近傍の状態である時間が少ないので形状記憶合金の記憶が書き換えられる可能性を極力排除することを可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、被測定部位を圧迫することで血圧を測定する血圧計用カフに関するものである。
従来、特許文献1や特許文献2に形状記憶合金を用いたカフの被測定部位への巻き付け、および測定時の加圧の構造が開示されている。これらの血圧計は、縮むように記憶された形状記憶合金が伸びた状態にあって、マルテンサイト変態温度以上に加熱した際に現れる記憶した形状へ戻ろうとする力を利用することでカフを任意の太さに合わせて装着したり、被測定部を加圧したりすることを特徴とする。
ここで、特許文献1では、カフは単一の形状記憶合金材料で構成されており、形状記憶合金のマルテンサイト変態に伴う収縮を用いて被測定部位に装着させる。
しかし、形状記憶合金の特性として、マルテンサイト変態点より低温ならば柔らかく塑性があり、高温ならば固く、記憶された形状まで常に戻ろうとする傾向がある。
そのため単一の形状記憶合金を用いてカフの径を狭めて腕に圧を加えないようにしながら装着し、測定時にはカフの径を維持したままで血圧測定を実行するためには、マルテンサイト変態点近傍の温度領域において記憶した形状に戻りきらないように非常に精密な温度管理が出来なければ実現は難しい。さらに、変態点近傍の形状記憶合金は強度に乏しため、変態点近傍の状態においては何らかの大きな力が加わると形状記憶合金の元の結晶構造自体がずれてしまう、いわゆる形状記憶合金の「記憶の書き換え」が起こりやすくなる恐れがあった。また、特許文献2では、カフ全体にコイル状の単一の形状記憶合金で出来たアクチュエーターが巻きつけられており、その形状記憶合金アクチュエーターを締めることで被測定部を加圧することが特徴であるが、この構造だと特許文献1の問題点に加えて、緩やかな一定速度での加圧が難しい上に形状記憶合金を多く使用することから消費電力が大きくなってしまい、血圧計の小型化に伴う電源をコードレス化する際の問題となっていた。
特開2006−204401号報(第3頁) 特開2006−288914号報(第2頁)
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものでありその目的とするところは、形状記憶合金の「記憶の書き換え」等の不具合が起こりにくく、繊細な温度調整も必要とせず、被測定部位全体に対し初期の締め付けがカフ内の位置に因らず一定に近い状態を実現した上で、さらに低電力でアクチュエーターを動かせる血圧計用カフを提供することである。
上記課題を解決するために、被測定者の被測定部位に装着されて被測定者の血管を圧迫する血圧計用カフについて、血管を圧迫するための流体袋帯と、流体袋帯を被測定部位に密着および固定させるための締付帯を有し、締付帯にマルテンサイト変態温度の異なる複数の形状記憶合金で構成されたアクチュエーターを有することを特徴とする。また、このマルテンサイト変態温度の異なる複数の形状記憶合金で構成されたアクチュエーターへ電流を流すことで形状記憶合金を加熱することが好ましい。さらに、このマルテンサイト変態温度の異なる複数の形状記憶合金で構成されたアクチュエーターが温度センサーを有することが好ましい。
本発明の血圧計用カフにあっては、アクチュエーターをマルテンサイト変態温度が異なる形状記憶合金をつなぎ合わせて構成し、温度によってアクチュエーターを段階的に収縮させる構造にすることで、温度制御が従来の技術に比べ非常に大まかでよく、簡単に行うことが出来る。
また、用いる形状記憶合金の量も少ないため消費電力も抑えることが出来るうえ、形状記憶合金が入っている領域が少ないことから収納にも適している。
さらに、締付帯が有している複数のアクチュエーターで、個々に締めた際の径を変えることでより腕の形にあった締付も可能である。この腕の形に合った締付は、加圧時の空気袋帯の局地的な箇所ごとにおける張力を均一にし、より正確に血圧を測ることを可能とする効果がある。
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図1、図2に基づいて説明する。図1および図2は血圧計用カフの断面図であり、この血圧計用のカフ1は帯状で、締付帯3とカフ1内の流体袋帯2を有し、カフ1の直径を狭めるために締付帯3は形状記憶合金からなるアクチュエーター12とアクチュエーター12に付随する温度センサー4を有している。図1は締付前の状態であり、図2はアクチュエーターを構成する形状記憶合金6が収縮している状態を示している。
流体袋帯2はカフ1の中の一部にあり、流体袋帯2に流体をポンプなどで流し込むことで流体袋帯2が膨らみ血管を圧迫したのち減圧する過程において血圧を決定することになる。
本実施形態においてカフ1の締付帯3は、電流接続端子10aから形状記憶合金接続点13までが同一材料の形状記憶合金6(例えばNiTiのNiを数パーセントFeに置換したもの)であり、接続点13より電流接続端子10bは形状記憶合金6よりもマルテンサイト変態温度の高い形状記憶合金5(例えばNiTi)で構成されている。形状記憶合金5、6は共にワイヤーもしくは細い板状で、直接溶接するか導線等でつなぎ合わされており、このようにして構成された形状記憶合金アクチュエーター12が締付帯3の中に計三本内蔵されている。
このアクチュエーター12の両端は、アクチュエーター12に電流が流せるようにアクチュエーター12の端部に接続した電流接続端子10が出ており、ここから電流を流すことでアクチュエーター12にジュール熱を発生させその熱で、マルテンサイト変態転移を誘起して形状記憶合金の変形を起こす。
適当にカフ1を巻きマジックテープ(登録商標)11等でカフ1が筒状になるように固定した後に、アクチュエーター12に電流を流すことで加熱すると、マルテンサイト変態温度の低い形状記憶合金6から順に変形し折りたたまれることでカフ1の径を小さくする。
サーミスターやダイオードである 温度センサー4はアクチュエーター12の一部に付随しており、温度センサー4から発信される信号を元にアクチュエーター12の温度を管理し、アクチュエーター12の閉め具合を制御している。具体的には以下の通りである。
締付帯3の中において、三本のアクチュエーター12は両端と中央の計三箇所に平行に取り付けられており、アクチュエーター12を構成する形状記憶合金6、5の変態温度をa℃、b℃(a<b)とする(図1参照)。三本のアクチュエーターはそれぞれ独立して閉まり具合を温度の上限を制限することで制御する。たとえば、中央のアクチュエーター12の形状記憶合金材料6だけを締める際はアクチュエーター12の上限の温度をa℃<設定温
度<b℃とすることで締めることができる(図2参照)。この際、上限の温度を超えて温度上昇が起こらないようにするため、アクチュエーター12に通電する電流をPWN(Pulse Width Modulation:パルス幅制御)することにより設定された上限温度を越えた際には電流の実効値を下げる制御をしている。
同様に形状記憶合金6、5ともに締めたい場合はb℃<上限温度とするが、過熱を防ぐためPWNすることによりある一定温度より上がらないようする。
上記の様にして三本のアクチュエーター12に電流を流し加熱して腕によりフィットするように締め、そのままアクチュエーター12に電流を流し続けた状態で流体袋帯2が被測定部を加圧しその後減圧することで血圧値を測定する。
この際、アクチュエーター12の温度は、例えば図2の状態を再現するためには、形状記憶合金6、5の変態点をそれぞれ46℃、50℃とするときアクチュエーターの設定温度を48℃とする。このように、どの形状記憶合金材料の変態温度からも離れているようにすることで変態温度近傍における形状記憶合金の弱さを無くし、また、形状記憶合金のいわゆる「記憶の書き換え」が起りにくくすることが出来るため、形状記憶合金由来の故障も少ない。
本実施形態の血圧計用カフの締付構造では、従来の形状記憶合金を用いた血圧計用カフと比べて形状記憶合金アクチュエーターの繊細な温度制御を必要としないうえ、締付帯の中にある計三本のアクチュエーター12を別々に締めることで、カフ帯が巻かれる被測定部位の箇所やむくみ等の日々の体調によって太さの異なる被測定部位に対し圧迫しない程度の密着に近い状態でカフを取り付けることが出来る。また、従来の形状記憶合金アクチュエーターを用いたカフと比べ形状記憶合金の使用量を大きく抑制出来るため、形状記憶合金の加熱に費やす電力を抑えることが出来る。
加えて、温度センサー4でアクチュエーター12の温度を計測し、上限の温度を制御することで、毎回同じようにカフを装着することが出来ることから、血圧の測定精度が向上する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の血圧計用のカフの締付構造の構成を図3、図4に基づいて説明する。図3および図4は血圧計用のカフの断面図であり、この血圧計用カフは、実施形態1の血圧計用カフを更に発展させたものである。図3のようにカフ1は筒状で、締付帯3が有するアクチュエーター12はマルテンサイト変態温度が異なる形状記憶合金5、6,7,8、9の五本をつなげたもので構成されている。締付帯3は、このアクチュエーター12を5本で構成されており、それぞれのアクチュエーター12を腕にあわせて独立して締めることが出来る。
アクチュエーター12には第1の実施形態と同じく温度センサー4がついており、この温度センサー4が形状記憶合金の締め具合を調節する。例えば、図4では形状記憶合金9と8が締まっている状態である。この締め具合の調節方法は第1の実施形態と同様で、アクチュエーター12に用いられているある形状記憶合金のマルテンサイト変態温度の間の温度に上限温度を設定し、上限温度を超えるとPWNすることにより電流の実効値を下げる制御をしている。
このようなカフ1の締付構造にしておくことで、アクチュエーター12の役割が第1の実施形態のようなカフの微調整にとどまらず、カフ1の装着自体をアクチュエーター12の収縮で行うことが可能となるため、血圧測定の準備として行う行動がカフ1を被測定部位に通すだけでよく、自分でカフを巻く手間が省ける。また、マルテンサイト変態温度の異なる形状記憶合金を多く用いることから、第1の実施形態よりも締付帯における締め方の段階が増え微調整出来る領域も大きくなり、さらに使用者への適応性が高まると共に、
よりむくみ等の日々の体調によって太さの異なる被測定部位に対し圧迫しない程度の密着に近い状態でカフを取り付けることが出来る。
本発明の血圧計用カフの第1の実施形態を示す断面図であり、形状記憶合金が全て伸張している状態の図である。 本発明の血圧計用カフの第1の実施形態を示す断面図であり、形状記憶合金6が収縮している状態の図である。 本発明の血圧計用カフの第2の実施形態を示す断面図であり、形状記憶合金が全て伸張している状態の図である。 本発明の血圧計用カフの第2の実施形態を示す断面図であり、形状記憶合金9、8が収縮している状態の図である。
符号の説明
1 カフ
2 流体袋帯
3 締付帯
4 温度センサー
5、6、7、8、9 形状記憶合金
10 電流接続端子
11 マジックテープ(登録商標)
12 アクチュエーター
13 形状記憶合金接続点

Claims (3)

  1. 被測定者の被測定部位に装着されて被測定者の血管を圧迫する血圧計用カフであって、血管を圧迫するための流体袋帯と、流体袋帯を被測定部位に密着および固定させるための締付帯とを有し、該締付帯にマルテンサイト変態温度の異なる複数の形状記憶合金で構成されたアクチュエーターを有する血圧計用カフ。
  2. 前記アクチュエーターへ電流を流すことで前記形状記憶合金を加熱することを特徴とする請求項1に記載の血圧計用カフ。
  3. 前記アクチュエーターが温度センサーを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の血圧計用カフ。
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