JP2008235503A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置 Download PDF

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茂 小島
Yushi Ono
雄史 小野
Keiichi Furukawa
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Abstract

【課題】電流ロスが小さく、輝度均一性がよい有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】基板上に陽極と対向する陰極とを有し、該電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光部位の短辺の長さが35mm以上であり、かつ該有機エレクトロルミネッセンス素子の特性値Pを下記式で定義したとき、P≧8.0 であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(式):P=(1/R)0.1×γ0.13×(1/D)0.4×(1/IL0.4×100
但し、R:陽極及び陰極のシート抵抗値の和(Ω/□)、D:発光部の短辺側の長さ(mm)、γ:I−V特性、IL:1000cd/m2発光時の電流密度(A/m2
【選択図】なし

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう。)及びそれを用いた照明装置に関する。
消費電力が少なく、容積が小さい面発光素子のニーズが高まり、このような面発光素子の一つとしてエレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」と略す。)が注目されている。そして、このようなEL素子は使用する材料によって無機EL素子と有機EL素子とに大別される。
ここで、無機EL素子は一般に発光部に高電界を作用させ、電子をこの高電界中で加速して発光中心に衝突させ、これにより発光中心を励起させて発光させるようになっている。一方、有機EL素子は電子注入電極とホール注入電極とからそれぞれ電子とホールとを発光層内に注入し、このように注入された電子とホールとを発光層内で結合させて、有機化合物を励起状態にし、この有機化合物が励起状態から基底状態に戻るときに発光するようになっており、無機EL素子に比べて、低い電圧で駆動できるという利点がある。面で発光するという利点を活かして、薄型でフレキシブルな照明用途としての展開が期待されている。
有機EL素子を、照明用として発光面積を大きくすると、透明電極の抵抗の影響が大きくなり、面内で輝度均一性が低下する。輝度均一性が悪い素子は、見栄えが悪いだけでなく、電流の損失による効率の低下や、それにともなう発熱などの問題がある。また、発熱に伴い、素子寿命の低下など問題が発生する。このように、照明用の有機EL素子においては、輝度均一性が良い、すなわち、電流の損失ない素子の開発が求められてる。
これに対し、特許文献1では、透明電極の抵抗値を規定しているが、まだ十分とは言いがたい。また、透明電極の抵抗値のみを調整しても、輝度均一性が向上しない場合があった。
また、特許文献2では、大面積のパネルを分割し、輝度均一性向上、電流ロスの低減を図ろうとしている。しかしながら、パネルを細かく分割しなければ、輝度均一性が保たれない場合があった。そのような場合は、均一な面光源というEL素子の利点が失われてしまうという問題点があった。
特開2002−15623号公報 特開2004−69774号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、電流ロスが小さく、輝度均一性がよい有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は下記手段により解決される。
1.基板上に陽極と対向する陰極とを有し、該電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光部位の短辺の長さが35mm以上であり、かつ該有機エレクトロルミネッセンス素子の特性値Pを下記式で定義したとき、P≧8.0 であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(式):P=(1/R)0.1×γ0.13×(1/D)0.4×(1/IL0.4×100
但し、R:陽極及び陰極のシート抵抗値の和(Ω/□)、D:発光部の短辺側の長さ(mm)、γ:I−V特性、IL:1000cd/m2発光時の電流密度(A/m2
2.前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透明電極のシート抵抗が1〜30Ω/□であり、かつ前記発光層が、3種類以上の発光性化合物からなり、該発光性化合物のうち少なくとも3種の発光性化合物各々の発光極大波長が440〜480nm、500〜540nm、及び600〜640nmの波長領域の相互に異なるいずれかの領域にあり、全ての発光性化合物がリン光発光性化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光性化合物のうち、発光極大波長が最も近いもの2種が同一発光層内にあることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光性化合物のうち発光極大波長が最も短波長である化合物を含む発光層が、複数ある発光層の中で最も陰極側にあることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層の陰極側に正孔阻止層、発光層の陽極側に電子阻止層がそれぞれ設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記基板がプラズマ処理されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陽極と陰極に間に、電荷発生層があり、該電極と該電荷発生層の間、及び各電荷発生層の間に発光層がそれぞれ設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光面側のガラスの外側に、低屈折率層、光拡散層、及び光取り出し手段を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
9.前記1〜8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、基板と透明電極の間に又は透明電極の表面の少なくとも一方にフォトニック構造が設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
10.前記1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする照明装置。
なお、本発明者らは、大面積化による輝度均一性の低下、すなわち、面内での効率低下を低減するため鋭意検討を行った。特に、透明電極の抵抗値や、発光面積などについての検討を行った。その結果として、先行技術同様に、透明電極の抵抗値を下げ、発光面積を小さくすることで、輝度均一性が向上することが明らかになった。
しかしながら、発光面積・透明電極の抵抗が変化しなくても、輝度均一性が変化する場合があることが分かった。これまでの先行例では、輝度均一性は透明電極の性質による部分が大きく他についての言及は見られなかった。
本発明者らが、先行例では触れられていなかった電極以外ついても、さらに検討を重ねた結果、有機層の発光特性によっても、輝度均一性が変化することがわかった。
まず第1に、発光効率によって輝度均一性が変化することがわかった。同一輝度で比較し、発光効率が良い有機層構成で、大面積のパネルを作製すると、輝度均一性が良い傾向にあることが分かった。これについて、電流−電圧−輝度−輝度均一性について詳細に検討したところ、使用時の電流密度が小さければ、輝度均一性が良いことがわかった。パネル内に流れる電流量が多いほど、透明電極の抵抗により消費される電流が多くなり、輝度均一性が低下したものと推察される。
第2に、電圧−輝度特性が変化することで輝度均一性に変化があることが分かった。電圧変化に対する輝度変化が大きい素子ほど輝度均一性が悪いことが分かった。パネル内で生じた電圧ムラが同一であっても、電圧に対する輝度の変化量が大きいほど輝度の変化量が大きくなったと推察される。
本発明者らは、これら、透明電極の抵抗値、発光面積、使用時の電流密度、発光特性(電圧変化に対する輝度変化)について、さらに詳細に検討したところ、前記式で表される発光素子の輝度均一性が良いことが分かり、本発明に至った。
本発明の上記手段により、電流ロスが小さく、輝度均一性がよい有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置を提供することができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に陽極と対向する陰極とを有し、該電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光部位の短辺の長さが35mm以上であり、かつ該有機EL素子の特性値Pを下記式で定義したとき、P≧8.0 であることを特徴とする。
(式):P=(1/R)0.1×γ0.13×(1/D)0.4×(1/IL0.4×100
但し、R:陽極及び陰極のシート抵抗値の和(Ω/□)、D:発光部の短辺側の長さ(mm)、γ:I−V特性、IL:1000cd/m2発光時の電流密度(A/m2
上記特徴は、請求項1〜9に係る発明に共通する技術的特徴である。
以下、本発明について詳細な説明をする。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の構成》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板(支持基盤)、電極、種々の機能を有する有機層等の構成要素によって構成される。好ましい構成の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(iii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《発光層ユニット》
本発明に係る「発光層ユニット」とは、複数の発光層を有する構成単位であって、最も陽極側の発光層から最も陰極側の発光層まで積層された有機層をいう。すなわち、各発光層は、異なる発光色の発光性化合物を含有する有機層からなる。
当該発光層ユニットの代表例を以下に例示するが、これらに限定されない。
(i)発光層A/発光層B
(ii)発光層A/中間層/発光層B
(iii)発光層A/正孔阻止層/発光層B
(iv)発光層A/電子阻止層/発光層B
(v)発光層A/発光層B/発光層C
(vi)発光層A/中間層/発光層B/中間層/発光層C
(vii)発光層A/中間層/発光層B/正孔阻止層/発光層C
(viii)発光層A/電子阻止層/発光層B/中間層/発光層C
なお、本発明に係る発光層は、電極、電子輸送層、又は正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層ユニットは、発光極大波長が各々440nm〜480nm、500nm〜540nm、600nm〜640nmの範囲にある発光極大波長の異なる2種以上の発光性化合物を含有する複数の発光層で構成することもできる。当該ユニットは各発光層間に非発光性の中間層を有して複数の発光層で構成しても、単層の中に発光極大波長の異なる2種以上の発光性化合物を含有することで発光極大波長が異なる少なくとも2種以上の異なる発光をさせても良い。
なお、本発明に係る有機EL素子の発光色を白色にする場合には、上記発光層ユニットが、少なくとも三つの発光層を有することが好ましい。
(本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の特徴)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極極、複数の発光層、及び陰極を設けて成る有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光部位の短辺の長さが35mm以上であり、かつ有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の特性値Pを前記式で定義したとき、P≧8.0 であることを特徴とする。
本発明の有機EL素子の好ましい態様については、透明電極のシート抵抗が1〜30Ω/□であり、かつ前記発光層が、3種類以上の発光性化合物からなり、該発光性化合物のうち少なくとも3種の発光性化合物各々の発光極大波長が440〜480nm、500〜540nm、及び600〜640nmの波長領域の相互に異なるいずれかの領域にあり、全ての発光性化合物がリン光発光性化合物であることが好ましい。
また、前記発光性化合物のうち、発光極大波長が最も近いもの2種が同一発光層内にあることが好ましい。
更には、発光性化合物のうち発光極大波長が最も短波長である化合物を含む発光層が、複数ある発光層の中で最も陰極側にあることが好ましい。
また、好ましい態様としては、発光層の陰極側に正孔阻止層、発光層の陽極側に電子阻止層がそれぞれ設けられていることである。
更に、前記基板がプラズマ処理されていることが好ましい態様である。
なお、前記陽極と陰極に間に、電荷発生層があり、該電極と該電荷発生層の間、及び各電荷発生層の間に発光層がそれぞれ設けられていること、発光面側のガラスの外側に、低屈折率層、光拡散層、及び光取り出し手段を有すること、及び基板と透明電極の間に又は透明電極の表面の少なくとも一方にフォトニック構造が設けられていること等も好ましい態様である。
以下、本発明に係る特性、構成要素等について詳細な説明をする。
《特性値P》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、当該素子の特性値Pを下記式で定義したとき、P≧8.0 であることを特徴とする。なお、本発明において、当該特性値Pは8.2以上が好ましく、8.4以上がさらに好ましい。
(式):P=(1/R)0.1×γ0.13×(1/D)0.4×(1/IL0.4×100
但し、R:陽極及び陰極のシート抵抗値の和(Ω/□)
D:発光部の短辺側の長さ(mm)
γ:I−V特性
L:1000cd/m2発光時の電流密度(A/m2
ここで、「発光部の短辺側の長さ」とは、有機EL素子を正面から見たときの短辺の長さをいう。正方形の場合は辺の長さをいう。多角形、変形素子の場合は、シート抵抗の大きい電極の給電部と、給電部からもっとも遠い場所の間の長さをいう。
本発明に係るシート抵抗:R(Ω/□)は、三菱化学製Loresta−GP MCP−T610を用いてJIS7194に基づいて測定した値を用いる。
なお、素子そのものの電極を測定することは困難であるため、基板上に同一装置を用いて同様の条件で作製した電極の抵抗値を本発明のシート抵抗値とする。
本発明に係る「I−V特性(γ)」を表すγについて、本願では、下記のように表す。
0.02[A/m2]の電流を流すために必要な電圧をVa[V]、40.02[A/m2]の電流を流すために必要な電圧を、Vb[V]として、
γ=Vb−Va
このようにγを表した時、γが小さいほど、電圧変化に対する輝度変化が大きくなる。逆に、γが大きい素子は電圧変化に対する輝度の変化が小さくなる。
このI−V特性を求めるための測定は、5mmX5mm以下の発光面積の素子を用いて行った。
上記特性値Pの定義式中の各値は、基板の大きさ、形、透明電極の形成方法、膜厚、基板の洗浄方法、基板の表面処理方法、有機層構成、陰極の特性な変化する。その結果、特性値Pは単純に決定するのは困難、かつ、さまざまな因子の影響がある。加えて、相互に影響しあう因子がありそれぞれを切り分けて、値を決定することも困難である。たとえば、透明電極の膜厚を調整し抵抗値を変えると、光取り出しの効率が変化し発光時の電流密度も変化する場合がある。
本発明者らが、検討中に明らかにした、輝度均一性に影響を及ぼす因子、および、Pを大きくする手段を下記する。
(i)透明電極のシート抵抗・シート抵抗を小さくすることでPを大きくすることが可能である。
(ii)透明電極の膜厚:取り出し効率に影響があり、発光時の電流密度も変化する。
(iii)透明電極の処理方法:電荷の注入に変化があると推定され、I−V特性、発光時の電流密度も変化する。
(iv)有機層構成:発光効率、I−V特性に影響がある。特に、発光層、電荷輸送層の膜厚、また、発光層の順序、発光層前後の層構成などにより、I−V特性が変化する。また、発光ドーパントにリン光性のドーパントを用いることで発光効率が大きく変わり、発光時の電流密度、I−V特性にも変化がある。
Pを大きくするためには発光効率を上げて電流密度を小さくすることが有効である。特に、リン光性ドーパントの使用や発光極大波長の近い発光性化合物を同一発光層に含めることなどで効率を上げることができる。
(v)電荷発生層の数:電極間に複数の電荷発生層を設け、いわゆるタンデム構造にすることで、特にI−V特性に変化があり、γが大きくなりPを大きくすることが可能である。
また、光取り出し構造を設けることで、発光時の電流密度が低下し、Pを大きくすることが可能である。
《プラズマ処理》
透明電極に酸素プラズマ処理を施し、駆動電圧を低下させる方法が知られている。透明電極の仕事関数が変化し、有機層への注入効率が変化するためと推定されている。
また、本発明においても、透明電極へのプラズマ処理により輝度均一性の向上が見られた。駆動電圧の低下は輝度均一性への影響はあまりなく、I−V特性の変化により輝度均一性の向上が見られた。
この原因については定かではないが、電極表面の酸化性が変化するため、各電圧での注入効率が変化し、発光開始電圧だけでなく、I−V特性にも変化が及んだと推定される。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
(ホスト化合物)
本発明に係る有機EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、その化合物上のキャリアの再結合によって生成した励起子のエネルギーを発光性化合物(発光性ドーパント:ゲスト化合物)に移動し、その結果、当該発光性化合物を発光させる化合物、及び当該ホスト化合物上のキャリアを発光性化合物にトラップさせ、当該発光性化合物上で励起子を生成させ、その結果、当該発光性化合物を発光させる化合物をいう。
本発明においては、発光層に含有される化合物の中で、そのホスト化合物の比率は20質量%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光性ドーパントとして用いられるリン光性化合物等を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することが可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
本発明に用いられる発光ホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に用いられるホスト化合物としては下記一般式(a)で表されるホスト化合物が好ましい。
Figure 2008235503
(式中、Xは、NR’、O、S、CR’R”またはSiR’R”を表す。R’、R”は、各々水素原子または置換基を表す。Arは芳香環を表す。nは0から8の整数を表す。)
一般式(a)のXにおいて、R’、R”で、各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(a)において好ましいXは、NR‘またはOであり、R’としては芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が特に好ましい。
一般式(a)において、Arで表される芳香環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、後述するような置換基を有していてもよい。
一般式(a)において、Arで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
一般式(a)において、Arで表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
上記の中でも、一般式(a)において、Arで表される芳香環として、好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、特に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環である。
上記の中でも、置換基を有するベンゼン環が好ましく、特に好ましくは、カルバゾリル基を有するベンゼン環が好ましい。
また、一般式(a)において、Arで表される芳香環としては、下記に示すような、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
尚、これらの環は更に、置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。尚、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
ここで、一般式(a)において、Arで表される芳香環が有してもよい置換基は、R’、R”で、各々表される置換基と同義である
また、一般式(a)において、nは0〜8の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特にXがO,Sである場合には1〜2であることが好ましい。
ここで、一般式(a)において、Arで表される芳香環が有してもよい置換基は、R’、R”で、各々表される置換基と同義である。
以下に一般式(a)で表される発光ホスト化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008235503
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また、本発明に用いるホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ、発光の長波長化を防ぎ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
本発明に係るホスト化合物としては、更に、公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種もちいることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用もできる。
従来公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が好適である。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等
(発光性ドーパント)
本発明に係る発光性ドーパントとしては、リン光性化合物(「リン光発光性化合物」、「リン光発光体」等ともいう。)及び蛍光性化合物を用いることが出来るが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、本発明の有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光性ドーパント(単に、「発光材料」ということもある。)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、少なくとも1種以上のリン光発光体を含有することを要する。蛍光発光体を併用する場合は、青色を選択することが好ましい。
(リン光性化合物:リン光発光体)
本発明に係るリン光性化合物(「リン光発光体」、「リン光性ドーパント」ともいう。)は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。リン光発光体の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光体に移動させることでリン光発光体からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光発光体がキャリアトラップとなり、リン光発光体上でキャリアの再結合が起こりリン光発光体からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光体の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。リン発光体は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。本発明に係るリン光発光体としては、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。本発明では、特に赤色はイリジウム化合物から選択されることが好ましい。
以下に、リン光発光体として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
Figure 2008235503
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(蛍光性化合物:蛍光発光体)
蛍光性化合物(「蛍光発光体」、「蛍光性ドーパント」等ともいう。)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等が挙げられる。
《非発光性の中間層》
本発明においては、キャリア制御層として、非発光性の中間層を設けても良い。非発光性の中間層の層厚としては、1〜15nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが、隣接発光層間のエネルギー移動など相互作用を抑制し、且つ、素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないという観点から好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層のすくなくとも一方の発光層のホスト化合物と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト化合物(ここで、共通ホスト化合物が用いられるとは、リン光発光エネルギー、ガラス転移温度等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。また、電圧(電流)をかけたときの色ずれが改善されるという効果が得られることも判った。
更に、上記のように、共通ホスト化合物の最低励起三重項エネルギー準位T1が、リン光発光体の最低励起三重項エネルギー準位T2よりも高い励起三重項エネルギーを有する化合物を用いることで、発光層の三重項励起子を効果的に発光層内に閉じ込めるので高効率な素子を得られることが判った。
また、青・緑・赤の3色の有機EL素子においては、各々の発光材料にリン光発光体を用いる場合、青色のリン光発光体の励起3重項エネルギーが一番大きくなるが、前記青色のリン光発光体よりも大きい励起3重項エネルギーを有するホスト化合物を発光層と非発光性の中間層とが共通のホスト化合物として含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子においては、ホスト化合物はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する化合物が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機化合物のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすい為、中間層材料、ホスト化合物は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。また、一方では、正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は、阻止層即ち、正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様としてあげられる。
《正孔輸送層》
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するもので有機物、無機物のいずれでもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明ではより高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。本発明ではこのようなp性の高い正孔輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含む。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料は従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えばニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることができる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができ、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。また不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
注入層は必要に応じて設け、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、前述した電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
阻止層は、上記の如く、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
本発明においては、正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対し、そのイオン化ポテンシャルが0.2eV以上大きいことが好ましい。本発明に係る正孔阻止層は、前記エレクトロンドナーを含有すると、電子密度が増加するので、更なる低電圧化のために好ましい。
なお、イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。本発明に好ましく用いられる電子阻止層は、前記正孔輸送層の材料である。更に前記エレクトロンアクセプターを含有すると更なる低電圧化の効果が得られる。
本発明に係わる正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《基板》
本発明の有機EL素子に係る基板(以下、基体、支持基盤、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3ml/m2・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
高バリア性フィルムとするために樹脂フィルム表面に形成されるバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
《バリア膜の形成方法》
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。不透明な支持基盤としては、例えばアルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。
《封止》
本発明の有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば封止部材と、電極、支持基盤とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3ml/m2・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基盤と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基盤と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相および液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。吸湿性化合物としては例えば金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物および過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基盤と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《光取り出し及び/又は集光シート》
特にバックライト用の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、通常、全方位に光が放射され視野角が変わっても明るさが変わらないような特性が望ましいが、使用形態によっては、正面輝度をより高くし、大きな視野角(斜め方向から観察する角度)においては輝度を低下させることが望ましい。そのために、有機エレクトロルミネッセンス素子の上に、放射角を制御する拡散板、プリズムシート等が組み合わされることが好ましい。
通常、基板(ガラス基板、樹脂基板など)から光を放射するような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層から放射された光の一部が基板と空気との界面において全反射を起こし、光を損失するという問題が発生する。この問題を解決するために、基板の表面にプリズムやレンズ状の加工を施す、もしくは基板の表面にプリズムシートやレンズシートを貼り付けることにより、全反射を抑制して光の取り出し効率を向上させる。
以下に、光取り出し及び/又は集光シートの好ましい形態を説明するが、本発明では目的効果を損なわない範囲内であれば、これらを用いて光取りだし効率を向上させることが出来る。
(1)ガラス基板の上に拡散板とプリズムシートを置く構成
例えば、ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、ガラス基板の発光層とは反対側の基板表面に接するように第1の拡散板を置く。拡散板に接するように第1のレンズシート(例えば、3M製 BEF II)をレンズ面がガラス基板と反対側に向くように配置し、さらに第2のレンズシートをレンズのストライプが第1のレンズのストライプと直交し、かつそのレンズ面がガラス基板と反対側に向くように配置する。次に第2のレンズシートに接するように第2の拡散板を配置する。第1ならびに第2のレンズシートの形状としては、PET基材上にアクリル樹脂で頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものである。頂角が丸みを帯びた形状(3M製 RBEF)、ピッチをランダムに変化させた形状(3M製 BEF III)、その他類似の形状であっても良い。第1の拡散板としては、約100μmのPET基材上に光を拡散するビーズを混ぜた膜を形成したもので、透過率は約85%で、ヘイズ値は約75%である。第2の拡散板としては、約100μmのPET基材上に光を拡散するビーズを混ぜた膜を形成したもので、透過率は約90%で、ヘイズ値は約30%である。ガラス基板に接して配置する拡散板は、ガラス基板に光学接着剤を介して接着されていても良い。また、ガラス基板表面に光を拡散する層を直接塗布する、もしくはガラス基板の表面に光を拡散するための微細な構造が設けられたものであってもよい。以上、ガラス基板で説明したが、基板は樹脂基板であってもよい。
(2)基板の表面にマイクロレンズアレイを形成する場合
ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、ガラス基板の有機発光層が設けられた面とは反対側の表面にマイクロレンズアレイシートを光学接着剤を介して貼り付ける。マイクロレンズアレイシートは、各々50μmの四角垂(ピラミッドの形状)でその頂角が90度のマイクロレンズを、50μmピッチで整列させた形状をしている。シートの製造方法としては、マイクロレンズアレイの母型となる金属の金型と、0.5mmのスペーサをはさんで設置されたガラス平板の間にUV硬化樹脂を注入し、ガラス基板からUV露光することで樹脂を硬化させてマイクロレンズアレイシートを得る。ここで、各々のマイクロレンズの形状としては、円錐形状、三角錐形状、凸レンズ形状等を適用可能である。ガラス基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付ける構造として説明したが、樹脂基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付けるでもよい。また、マイクロレンズアレイシートのマイクロレンズアレイが設けられた面と反対面に透明電極/有機発光層/電極/封止層を設ける、という構成でもよい。
(3)基板の表面にマイクロレンズアレイシートを下向きに接着する構造
ガラス基板/透明導電膜/有機発光層/電極/封止層からなる有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、ガラス基板の有機発光層が設けられた面とは反対側の表面にマイクロレンズアレイシートを、マイクロレンズの凹凸面がガラス基板側に向くように光学接着剤を介して貼り付ける。マイクロレンズアレイシートは、各々一辺が50μmの四角垂形状の頂点を平坦にした構造をしたマイクロレンズをピッチ50μmで整列した形状をしている。平坦となった頂点部分がガラス基板の表面に接着される。ここで、各々のマイクロレンズの形状としては、円錐形状、三角錐形状、凸レンズ形状等を適用可能である。ガラス基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付ける構造として説明したが、樹脂基板にマイクロレンズアレイシートを貼り付けてもよい。
光取り出し効率を更に高めるためには、透明電極と透明基板の間に低屈折率層を挿入することが好ましい。透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。また、低屈折率媒質の厚みは、光の媒質中の波長よりも長い厚み、好ましくは2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。以下に本発明に係る低屈折率層の例を説明するが、本発明では目的効果を損なわない範囲内であれば、これらに限定されない。
(1)中空シリカを分散させる場合
ゾル−ゲル法により中空シリカを分散させ低屈折率層を形成したガラス基板の作製方法を説明する。ガラス基板上に以下の手順で低屈折率層を形成することができる。原料化合物として金属アルコキシド(正珪酸四エチルSi(OC254:「TEOS」と略す。)、溶媒としてエタノール、触媒として酢酸、それに加水分解に必要な水を加えた調合液に、低屈折率材料(触媒化成工業製、シリカ粒子(屈折率1.35))をイソプロピルアルコールに加えた液を混合させ、数十℃に保って加水分解と重縮合反応を起こさせ、液体のゾルを生成する。作製されたゾルをスピンコートでガラス基板上に塗布して反応させるとゲルとして固化する。これをさらに150度の雰囲気中で乾燥させて乾燥ゲルとし、その時の膜厚が0.5μmとなるように、溶液の調合とスピンコートの条件を設定する。その結果、膜厚0.5μm、屈折率1.37の低屈折率層が形成される。ここで、溶液の塗布方法としてスピンコートと記述したがディップコート他、均一な膜厚を得られる手法であればよい。基板としてガラス基板の例を示したが、プロセス温度が150度以下であるので、樹脂基板の上に直接塗布することも可能である。また、原料化合物や低屈折率材料としてさらに低い屈折率を選択し、得られる低屈折率層の屈折率が1.37以下にすることでさらなる効果が期待できる。膜厚については0.5μm以上が望ましく、1μm以上であればさらに好ましい。
中空シリカの作製は、例えば、特開2001−167637号公報、特開2001−233611号公報、特開2002−79616号公報等に記載されている。
(2)シリカエアロゲルの場合
透明低屈折率層は、シリコンアルコキシドのゾルゲル反応により形成される湿潤ゲルを超臨界乾燥することによって得られるシリカエアロゲルによって形成される。シリカエアロゲルとは、均一な超微細構造を持った光透過性の多孔質体である。テトラメトキシシランのオリゴマーとメタノールを混合してA液を調製し、また水、アンモニア水、メタノールを混合してB液を調製した。A液とB液を混合して得たアルコキシシラン溶液を、基板2上に塗布する。アルコキシシランをゲル化させた後、水、アンモニア水、メタノールの養生溶液中に浸漬し、室温にて1昼夜養生する。次に、養生を行なった薄膜状のゲル状化合物を、ヘキサメチルジシラザンのイソプロパノール溶液中に浸漬し、疎水化処理をし、その後、超臨界乾燥を行って、シリカエアロゲルを形成する。
(3)多孔質シリカの場合
低屈折率材料として、撥水性を有するヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンを含有した低比誘電率物質の溶液を、基板上に塗布して成膜を行う。ここで用いる低比誘電率物質の溶液には、ヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンのような撥水性の物質以外にも、必要に応じてアルコールや酢酸ブチルなどを添加物として加えても良い。そして、焼成処理などにより、上記低比誘電率物質の溶液中の溶媒や水、酸またはアルカリ触媒や界面活性剤などを蒸発させながら多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜を形成する。これを洗浄し、低屈折率膜を得る。
この様に基板上に低屈折率膜を形成した後、低屈折率膜上に、直接、又は、例えばRFスパッタ法等によりSiO2膜からなる透明絶縁膜で中間層を形成し、その後、中間層の上にDCスパッタ法によりITO膜の成膜を行い、透明電極付き基板とする。
また、更に光取り出し効率を高めるためには、例えば、特開平11−283751号、特願2005−48686号明細書等に記載されたように、全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法を併用するのが好ましい。例えば、ガラス基板上に回折格子を形成する。
この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、増幅する光の媒質中の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
例えば、ガラス基板上に回折格子を形成するには、ガラス基板を洗浄後、表面にポジ型のレジストを塗布する。次にレジスト上に基板垂直方向からθ度の角度で対向するように互いにコヒーレントな波長λの2つの平行光を照射する。このとき、レジストにはピッチdの干渉縞が形成される。ここで、d=λ/(2cosθ)となる。波長488nmのアルゴンレーザを用いると、フォトニック結晶のピッチとして300nmを作製するとき、2つの光束ともに基板に垂直な方向から角度35.6度で露光すると、ピッチ300nmの第1の干渉縞が形成される。次に基板を基板の面内に90度回転させて、第1の干渉縞に直交するように第2の干渉縞を形成する。露光する光束をそのまま維持しておけばピッチ300nmで第2の干渉縞が形成される。レジストには2つの干渉縞が重畳されて露光され、格子状の露光パターンが形成される。露光パワーと現像条件を適切に設定することにより、2つの干渉縞が重なりあって強く露光された部分のみレジストが除去されるように現像する。ガラス基板上には縦横のピッチが各々300nmの格子の重なりあった部分にほぼ円形にレジストが除去されたようなパターンが形成される。円の直径は、例えば、220nmとする。次にドライエッチングを施すことによりレンジストが除去された部分に深さ200nmの孔を形成する。その後レジストを除去しガラス基板を洗浄する。以上により、表面に深さ200nm、直径220nmの孔が縦横300nmピッチの正方格子の頂点に並んだガラス基板が形成される。次に、穴の底から測って膜厚300nm程度のITO膜をバイアススパッタリングにより成膜し、バイアススパッタリングの条件を適切にコントロールすることで、表面の凹凸を50nm以下に平坦にすることができる。以上のように作製されたITO付きのガラス基板の表面に研磨を施すことで、有機EL用のITO付きガラス基板が形成される。ガラス基板にフォトレジストを塗布してパターニングし、ガラス基板をエッチングする方法のほか、同様の手法でガラス型を形成し、ガラス基板上にUV硬化のレジストをナノインプリントの手法で転写してガラス基板をエッチングする方法も可能である。また、ガラス基板に形成されたパターンをニッケル電鋳などの手法で金型に転写し、その金型をナノインプリントの手法で樹脂に転写したものを基板として用いるこで、樹脂基板でも本発明を実施することが可能である。
上記のような光取り出し及び/又は集光シートを用いた有機EL素子においては、正面輝度増幅率が高められている。このようにして取り出された光は、白色光であるように調整される。
通常、発光色は440nm以上500nm未満の発光を青色、500nm以上540nm未満の発光を緑色、600nm以上〜640nm未満の発光を赤色に区分する。従って、発光する材料(実質的にドーパント)によっても異なるが、本発明において、光取り出し及び/又は集光シートが無い場合の有機エレクトロルミネッセンス素子の正面輝度ピーク値は、該シートがある場合に対して、定性的には青色が最も小さい比率となる。
連続駆動等における寿命においては、一般的に青色が律速になるので、この様な光取りだし及び又は集光シートを用いた場合、有機エレクトロルミネッセンス素子においてより高寿命が可能となる。また、駆動電圧の制約となるのは、HOMOとLUMOのエネルギーギャップが最も大きい青色であるため、前記光取り出しを向上させた有機EL素子は、青色の正面輝度が少なくて済む設計となり、駆動電圧を下げることが可能となる。
即ち、青色発光層の膜厚が薄くでき、かつ駆動電圧が下げられるため、光取り出し及び/又は集光シートがない場合に比べ、高寿命が可能となり、この組み合わせにより、トータルで白色光を得るようにすることができる。
ここにおいて、光取り出し及び/又は集光シートによる正面輝度の増幅率は、分光放射輝度計(例えば、CS−1000(コニカミノルタセンシング社製))等を用い、正面からの発光輝度(2℃視野角正面輝度)を、光取出し及び/又は集光シートがある状態ともたない状態で、発光面からの法線に分光放射輝度計の光軸が一致するようにして、必要な可視光波長範囲で測定、積算し比をとればよい。
《フォトニック構造》
本願でいうところの、フォトニック構造とは、電極表面あるいは、電極/基板間に設けられた150nm以上1300nm以下の周期で変化する凹凸構造、又は、150nm以上1300nm以下の周期で屈折率が変化する構造、又は、前記2者を合わせもつ構造のことをいう。
このような構造を設けることで、光の1次の回折や、2次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、外部に取り出すことができる。
二次元的な周期を持っていることが好ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、2次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の発光、正面輝度、色度》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子や当該素子に係る化合物の発光色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本願で言うところの白色とは、色温度が2500K以上8000K以下、かつ、UCS色度図(CIE1976)上でので、黒体軌跡・昼光軌跡との偏差を表すΔuvが、−0.01以上、+0.01以下のことを言う。
ここで、Δuv=(Δu*2+Δv*2(1/2)
Δu*、Δv*はそれぞれ、UCS色度(CIE1976)座標u*、v*の黒体軌跡・昼光軌跡との偏差を示す。
本発明でいうところの、輝度均一性とは、図1の測定点25点の輝度を測定し、最小値を最大値で割った割合を用いて表す。本発明では、最大値が1000cd/m2になるように調整して、測定した輝度均一性の値を用いる。数字が大きいほど、輝度均一性が良いことを示す。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な支持基盤上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。
製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《用途》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に、カラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもいいし、電極と発光層をパターニングしてもいいし、素子全層をパターニングしてもよい。
《表示装置》
本発明に係る表示装置は多色または白色の表示装置に用いられる。多色または白色の表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。また、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層ユニット(上記の発光層A、B及びCの少なくとも3層を有し、各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい)、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色または白色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれらに限定されない。
《照明装置》
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。
なお、前記記一般式(BD1)で表されるリン光性化合物を含有し青色光(B)を発光する発光層の他に、緑色光(G)、赤色(R)光の発光層を具備することで、色度が改善された白色光を取出すことが可能な有機EL素子を得ることができる。
本発明に係る白色有機エレクトロルミネッセンス素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもいいし、電極と発光層をパターニングしてもいいし、素子全層をパターニングしてもいい。発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係わる白金錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて、また、本発明に係る光取りだし及び/又は集光シートと組み合わせて、白色化すれば良い。
このように、本発明に用いられる白色の有機EL素子は、CF(カラーフィルター)と組み合わせて、また、CF(カラーフィルター)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路を配置することで、請求項4に記載されるように、有機エレクトロルミネッセンス素子から取り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介して、青色光、緑色光、赤色光を得ることで、低駆動電圧で、長寿命のフルカラーの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイが出来好ましい。
また、これらディスプレイに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また、露光光源のような一種のランプとして、液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
市販の無アルカリ硝子基板上に、スパッタ装置により透明電極としてITOを280nm設けた。このときの、シート抵抗は6Ω/□であった。
フォトリソグラフィー法により、4mm×4mmの発光部位が得られるようにITOのパターニングを実施し、基板1Aを作製した。
50mm×50mmの発光部位が得られるようにITOのパターニングを実施し、基板1Bを作製した。
[素子101の作製]
上記基板1Aを、iso−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、6つのタンタル製抵抗加熱ボートに、CuPC、α−NPD、DPVBi、BCzVB、Alq3、DCMをそれぞれ入れ、真空蒸着装置(第1真空槽)に取付けた。
さらにタンタル製抵抗加熱ボートにフッ化リチウムを、タングステン製抵抗加熱ボートにアルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第2真空槽に取り付けた。
まず、第1の真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、表1に従い、CuPCの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で透明支持基板に膜厚10nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入層を設けた。
つづいて、α−NPDの入った前記過熱ボートに通電して過熱し、蒸着速度0.1nm−0.2nm/秒で膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、正孔輸送層を設けた。
さらに、DPVBiの入った前記加熱ボートとBCzVBの入ったボートをそれぞれ独立に通電して発光ホストであるDPVBiと発光ドーパントであるBCzVBの蒸着速度が100:1になるように調節し膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、青色発光層を設けた。
さらに、Alq3の入った前記加熱ボートとDCMの入ったボートをそれぞれ独立に通電して発光ホストであるAlq3と発光ドーパントであるDCMの蒸着速度が100:1になるように調節し膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、橙色発光層を設けた。
さらに、Alq3の入った前記過熱ボートに通電して過熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で膜厚45nmの厚さになるように蒸着し、電子輸送層を設けた。
次に、前記の如く電子輸送層電子注入層まで製膜した素子を真空のまま、2×10-4Paまで減圧された第2真空槽に移した後、電子注入層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが配置されるように装置外部からリモートコントロールして設置した。
フッ化リチウム入りのボートに通電して蒸着速度0.01〜0.02nm/秒で膜厚0.5nmの陰極バッファー層を設け、次いでアルミニウムの入ったボートに通電して蒸着速度1〜2nm/秒で膜厚100nmの陰極をつけた。
さらにこの有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスで置換したグローブボックス)へ移し、補水剤である酸化バリウムを貼付したガラス製の封止缶にて封止を行い、素子101Aを作製した。
なお、補水剤である酸化バリウムは、アルドリッチ社製の高純度酸化バリウム粉末を、粘着剤付きのフッ素樹脂系半透過膜(ミクロテックス S−NTF8031Q 日東電工製)でガラス製封止缶に貼り付けたものを予め準備して使用した。封止缶と有機EL素子の接着には紫外線硬化型の接着剤を用い、紫外線ランプを照射することで両者を接着し封止素子を作製した。
基板1Bも同様にして素子を作製し、それぞれ素子101A、101Bとした。
また、アルミ陰極のシート抵抗は別途無アルカリガラス基板上にアルミを100nm蒸着し、測定した。シート抵抗は0.5Ω/□であった。
[素子102の作製]
素子101の作製と同様に、下記表に従い蒸着を行い、素子102A、102Bを作製した。
[測定]
有機EL素子の駆動電源源・測定モニタとして、株式会社エーディーシー社製R6243、また、輝度特定装置として、コニカミノルタセンシング社製CS1000Aを使用した。
I−V特性については、4mm×4mmの素子を用いて測定を行った。
輝度均一性については、40mm×40mmの素子を用いて測定を行った。輝度均一性が、70%以上であれば、使用可能と判断する。
Figure 2008235503
Figure 2008235503
Figure 2008235503
Figure 2008235503
実施例2
実施例1と同様にして、ITO150nm付、発光面積4mm×4mmの基板2Aと、発光面積 42mm×42mmの基板2Bを用意した。
実施例1と同様に、素子201A〜素子205Bを作製し、測定を行った。素子202〜205は、発光層の膜厚のみ変化させた。
Figure 2008235503
Figure 2008235503
実施例3
実施例1と同様にして、ITO110nm付、発光面積4mm×4mmの基板3Aと、発光面積 45mm×45mmの基板3Bを用意した。
実施例1と同様に、素子301A〜素子304Bを作製し、測定を行った。
Figure 2008235503
Figure 2008235503
実施例4
実施例1と同様にして、ITO110nm付、発光面積4mm×4mmの基板4Aと、発光面積 60mm×60mmの基板4Bを用意した。
実施例1と同様に、素子401〜素子402を作製し、測定を行った。
Figure 2008235503
発光ユニットとしては、下記構成とした。
Figure 2008235503
Figure 2008235503
実施例5
実施例1と同様にして、ITO150nm付、発光面積4mm×4mmの基板5Aと、発光面積 50mm×50mmの基板5Bを用意した。
基板5A、5Bを用いて、素子501〜504を作製した。有機層は、素子401と同様にした。ただし、有機層の蒸着開始前に、表に基づき基板に酸素プラズマ処理を行い、10-3Pa以下の真空度を保ったまま有機層の蒸着を行った。
Figure 2008235503
実施例6
実施例1と同様にして、ITO110nm付、発光面積4mm×4mmの基板6Aと、発光面積 50mm×50mmの基板6Bを用意した。
素子401と同様の有機層、陰極を蒸着した。これを素子601とした。
さらに、素子601に拡散板(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ100PBU)を貼付した素子を602とした。
実施例1と同様に測定を行った。ただし、発光面積4mm×4mmの素子では拡散フィルムを貼付しても効率の向上が見られなかった。このため、拡散フィルムを貼付していない発光面積50mm×50mmの素子と、貼付した素子を、それぞれ、素子を定電流させ、効率の変化を求めた。この効率の変化と、4mm×4mm素子のI−V特性から、4mm×4mmの素子に拡散フィルムを貼付したI−V特性をシミュレーションし、γを求めた。
Figure 2008235503
実施例7
実施例1と同様にして、ITO120nm付、発光面積4mm×4mmの基板7Aと、発光面積 50mm×50mmの基板7Bを用意した。
また、実施例1と同様にして、ITO350nm付、発光面積4mm×4mmの基板8Aと、発光面積 50mm×50mmの基板8Bを用意した。
さらに、下記手法によって、基板9A、9Bを作製した。
ガラス基板を洗浄後、表面にポジ型のレジストを塗布した。
次にレジスト上に基板垂直方向からθ度の角度で対向するように互いにコヒーレントな波長λの2つの平行光を照射する。このとき、レジストにはピッチdの干渉縞が形成される。ここで、d=λ/(2cosθ)。
波長488nmのアルゴンレーザ2つを用い、2つの光束ともに基板に垂直な方向から角度35.6度で露光した。このときピッチ300nmの第1の干渉縞が形成した。次に基板を基板の面内に90度回転させて、第1の干渉縞に直交するように第2の干渉縞を形成する。レジストには2つの干渉縞が重畳されて露光され、格子状の露光パターンが形成される。
2つの干渉縞が重なりあって強く露光された部分のみレジストが除去されるように現像する。ガラス基板上には縦横のピッチが各々300nmの格子の重なりあった部分にほぼ円形にレジストが除去されたようなパターンが形成される。円の直径を220nmになるように露光量はあらかじめ調整した。
次にドライエッチングを施すことによりレンジストが除去された部分に深さ200nmの孔を形成する。その後レジストを除去しガラス基板を洗浄する。
以上により、表面に深さ200nm、直径220nmの孔が縦横300nmピッチの正方格子の頂点に並んだガラス基板8を作製した。
次に、穴の底から測って膜厚600nm程度のITO膜をスパッタにより成膜した。さらに、表面を研磨し、ITO基板を作製した。このITO基板を、通常のフォトリソグラフィーにより、パターニングし、硝子表面に凹凸のついたITO400nm付、発光面積4mm×4mmの基板8Aと、発光面積 50mm×50mmの基板8Bを用意した。
これらの、7A、7B、8A、8B、9A、9B基板上に、素子401と同様の有機層、陰極を蒸着し、それぞれ、素子701A、素子701B、素子702A、素子702B、素子703A、素子703Bとした。これらの各種素子の評価結果を表12に示すが、素子701、素子702、及び素子703の各々の総合的評価結果として表す。
Figure 2008235503
これらの上記の結果から本発明の特性値の範囲内にある素子は輝度均一性が良いことがわかる。なお、表3,表5,及び表7の表中の矢印(←)は「左記に同じ」旨の意味を表す。
《照明装置としての評価》
なお、本発明に係る上記の各種有機エレクトロルミネッセンス素子は、各々、発光効率が高く発光寿命の長い白色光を発する薄型の照明装置として使用することができた。図2は照明装置の概略図を示し、有機EL素子11は、ガラスカバー12で覆われている。尚、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子11を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。図3は照明装置の断面図を示し、図3において、15は陰極、16は有機EL層、17は透明電極付きガラス基板を示す。尚、ガラスカバー12内には窒素ガス18が充填され、捕水剤19が設けられている。
得られた照明装置に通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用できることがわかった。
輝度分布の測定点の概念図 照明装置の概略図 照明装置の断面図
符号の説明
11 有機EL素子
12 ガラスカバー
15 陰極
16 有機EL層
17 透明電極付きガラス基板
18 窒素ガス
19 捕水剤

Claims (10)

  1. 基板上に陽極と対向する陰極とを有し、該電極間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光部位の短辺の長さが35mm以上であり、かつ該有機エレクトロルミネッセンス素子の特性値Pを下記式で定義したとき、P≧8.0 であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    (式):P=(1/R)0.1×γ0.13×(1/D)0.4×(1/IL0.4×100
    但し、R:陽極及び陰極のシート抵抗値の和(Ω/□)、D:発光部の短辺側の長さ(mm)、γ:I−V特性、IL:1000cd/m2発光時の電流密度(A/m2
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透明電極のシート抵抗が1〜30Ω/□であり、かつ前記発光層が、3種類以上の発光性化合物からなり、該発光性化合物のうち少なくとも3種の発光性化合物各々の発光極大波長が440〜480nm、500〜540nm、及び600〜640nmの波長領域の相互に異なるいずれかの領域にあり、全ての発光性化合物がリン光発光性化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光性化合物のうち、発光極大波長が最も近いもの2種が同一発光層内にあることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光性化合物のうち発光極大波長が最も短波長である化合物を含む発光層が、複数ある発光層の中で最も陰極側にあることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層の陰極側に正孔阻止層、発光層の陽極側に電子阻止層がそれぞれ設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記基板がプラズマ処理されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陽極と陰極に間に、電荷発生層があり、該電極と該電荷発生層の間、及び各電荷発生層の間に発光層がそれぞれ設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光面側のガラスの外側に、低屈折率層、光拡散層、及び光取り出し手段を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1〜8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、基板と透明電極の間に又は透明電極の表面の少なくとも一方にフォトニック構造が設けられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする照明装置。
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