JP2008235003A - 再帰性反射器 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、曲面のレンズに再帰性反射器を設けるときに、小型化した再帰性反射器を形成しておき、レンズの曲面に沿って折り曲げていく状態で取付ける、或いは、レンズ成型時にレンズの曲面に合わせてピンを傾けるなど手間が係る問題点があった。
【解決手段】本発明により、再帰性反射面が形成されている複数の略板状とした反射面を、各反射面が位置的に重複を生じないように、段差部で略階段状に配置した第一の表示用部材と、反射面が形成されている複数の略板状とした反射面を、各反射面が位置的に重複を生じないように開口部を有する段差部を設けて略階段状に配置された透光性樹脂による第二の表示用部材とから成り、第二の表示用部材の段差部に設けられる開口部には第一の表示用部材の反射面が嵌合し、第二の表示用部材の段差部には第一の部材の反射面が重畳し、一体化されていることを特徴とする再帰性反射器
【選択図】図1

Description

本発明は、再帰性反射器(リフレックスリフレクタ)と称され、車両の停車時、即ち、ライト類が全て消灯されている状態においても、接近する他車からのヘッドライトなどからの光を、光が発せられた方向に向けて正確に反射し、近接する車両の運転者に停車車両が存在することを告知する反射器に関するものである。
ここで、再帰性反射器は、それぞれが直角に組合わされた3面の正方形の鏡面の、それぞれで反射することで、光が再帰性反射器に進入したときと全く同じ方向に帰る性質を利用するものであるので、通常には、前記再帰性反射器は、平面を基準として上記した、3面の正方形の鏡面で構成されるエレメントの多数がが配置され、一面の反射面を構成している。
しかしながら、車両のデザインにおいては、例えば、ライトの一部、例えばアウターレンズが曲面で形成されたものもあり、必ずしも、上記した再帰性反射器90を取付ける位置が平面であるとは限らず、図3に再帰性反射器90を形成したレンズ80の断面図の例で示すようにデザイン面などから見て、2次などの曲面などである方が好ましい場合を生じることが多く、これに対応するために、反射面を曲面とする再帰性反射器90の製造方法が図4〜図5に示すような方法が提案されている。
即ち、上記でも説明したように、再帰性反射器90の1つの反射面は図3に示すように、正六角形のピン91の先端側の二面ずつを、ピン91の中心で先端が一致するように、ピン91の軸に対して所定の角度で削って、先端側に、それぞれが直交する正方形の3面、即ち、再帰性反射面92を有するピン91を作成し、これらのピン91の所定数を平行に並べる(束ねる)ことで、一面の再帰性反射器90用の原型を得、原形に対して電気鍍金により金属膜を積層した後に原形を離型して金型部品を得るという、いわゆるエレクトロフォーミング法により再帰性反射面の金型部品を得るのである。
その後、上記再帰性反射面の金型部品を金型の一部として埋め込こむことで、再帰性反射面を備えたアウターレンズの金型が完成する。再帰性反射器においては、反射面の面精度、面相後の角度精度など高度な金型加工精度を必要とするため、NCなどの機械加工による金型の製造は行われず、上記のように専ら多面構造のピンを組合わせることで再帰性反射面の原形は作られている。
以上の説明からも明らかなように、ピン91は先端に最小単位の再帰性反射面92を有しているものであるので、例えば、図4に示すように、各ピン91の間に所定の長さを有するダボ93を設けても良く、或いは、図5に示すように各ピン91の間に所定の角度を有するシム94を挟み込んでも良いものである。尚、図3に符号70で示すものは、上記のように曲面に再帰反射面92を形成するときの2本のピンの状態を概念的に示すものである。
特開2000−296525号公報
しかしながら、上記のように各ピンの間にダボ93を設ける方法においても、シム94を挟み込む方法においても、1本のピン91は、六角形の対辺が2〜3mm程度のものであるので、例えば、ピン91が2mmであり、前記再帰性反射器90の外径が100mm×50mm程度のものであれば、使用されているピン91の数は1000本以上に達する。
即ち、このことは、上記したように多数のピン91のそれぞれに、例えばダボ93を取付けなくては成らないと言うことであり、大変に手間がかかる作業となると共に、それぞれのピン91に設けられた再帰性反射面92が同じ傾きとして組み立てられていないときには再帰する方向にバラツキが出るなどの問題を生じ、高い組立精度も要求され、コストアップが著しいものとなる課題を生じていた。
また曲面のアウターレンズ外面に沿って再帰性反射面全体を配置、構成する場合、金型抜き方向に対して内側に傾斜することで金型抜き操作を不能とする、いわゆるアンダーカットに発生が避けられない。この場合、金型を分割し、お互いに別方向に抜くことのできるスライド金型を採用することで解決を図るが、金型の分割部位、つまりスライド金型の摺動面には強い摩擦力が働く。前記のエレクトロフォーミング法により作成された前記再帰性反射面の金型部品は、摺動による摩擦に弱いという特性があるため、摺動面に前記再帰性反射面の金型部品が露出するような構成は採用できない。
このため、曲面に沿って再帰性反射面の配置を行おうとすると、金型の分割部位は、再帰性反射面とは全く異なる形状、または類似の形状であっても金型精度の問題から再帰性を備えない形状となる。また曲面に沿って配置を行うと、再帰性反射を行う方向が連続的に変化することで、観察方向によっては充分な有効反射面席が得られないこともある。
上記問題の解決に、平板状の再帰性反射器を、前記曲面のアウターレンズに沿って複数は位置するという対応方法もあるが、この場合は部品点数の増加による部品、組立、管理コストの上昇を招く。また、上記有効面積が確保できない場合もある。このように、曲面のアウターレンズに沿った再帰性反射面の配置には、一様な再帰性反射性能を備えた再帰性反射面を構成することが困難であるという問題点があった。
本発明は、上記した課題を解決するための具体的手段として、再帰性反射面が形成されている複数の略板状とした反射面を、板面直角方向から見るときに各反射面が位置的に重複を生じないように、段差部を設けて略階段状に配置した透光性樹脂による第一の表示用部材と、同様に反射面が形成されている複数の略板状とした反射面を、板面直角方向から見るときに各反射面が位置的に重複を生じないように開口部を有する段差部を設けて略階段状に配置された透光性樹脂による第二の表示用部材とから成り、前記第二の表示用部材の前記段差部に設けられる前記開口部には前記第一の表示用部材の反射面が嵌合し、前記第一の表示用部材の前記段差部には前記第二の部材の反射面が重畳し、一体化が可能な構成とされていることを特徴とする再帰性反射器としたことで、従来の平面状の再帰性反射器を用いて観視範囲の拡大を可能とし、課題を解決するものである。
本発明により、主とする反射方向に対して、反射方向を45°とした平板状の再帰性反射器を階段状に組合わせることで、前記再帰性反射器を形成するための金型にはダボもシムも不要として、金型の製造の簡素化によるコストダウンを可能とすると共に、性能的にもほぼ同等のものとし、または金型の分割、スライド金型の導入を不要としてて、金型生産工程を簡素化し、また所定の監察方向への有効反射面席を十分に確保する効果を奏するものである。
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは、本発明に係る再帰性反射器であり、この再帰性反射器1は、第一の表示部材である後方用反射組立2と、第二の表示部材である側方用反射組立3の、2つの部品の組合わせで構成されている。尚、第一の表示部材である後方用反射組立2も、第二の表示部材である側方用反射組立3もテールライトのレンズと共用される場合があるので、例えば、無色透明とした透光性樹脂により射出成形などの手段により形成されている。
先ず、後方用反射組立2は、複数の後方再帰性反射器2aと、これら後方再帰性反射器2aの周囲に一体化して設けられている後方枠部2bと、前記後方枠部2b同士を階段状に接続していく後方段差板2cとで構成されており、前記後方再帰性反射器2a、後方枠部2bは後方段差板2cで接続されている。また、前記後方段差板2cにより、前記後方枠部2b、および、後方再帰性反射器2aはそれぞれが略平行となるようにされている。
尚、図1では、前記後方段差板2cは1枚のみが使用されている状態として記載されているが、本発明は、前記後方段差板2cの使用は1枚に限定するものではなく、更に多くの後方段差板2cと後方枠部2b、後方再帰性反射器2aが接続されて、より多段の階段状とされていても良いものである。
また、本発明では、前記後方用反射組立2に対応して、側方用反射組立3が用いられている。そして、この側方用反射組立3も、少なくとも1枚の側方再帰性反射板3aと、この側方再帰性反射器3aの周縁近傍に設けられる側方枠部3bと、前記側方枠部3bの両端に接続される側方段差板3cとで、前記後方用反射組立2とほぼ同様な形状とされている。
また、前記側方用反射組立3においては、前記側方段差板3cには開口部3dが設けられており、前記後方用反射組立2の後方枠部2bに一体化して形成されている後方再帰性反射器2aが挿入可能な寸法とされている。尚、前記側方用反射組立においても、図示より多段の階段状としてあっても良いものであることは言うまでもない。
ここで、前記後方用反射組立2を形成する時の金型の構成について形成してみると、この後方用反射組立2は図中に矢印Xで示す方向への金型の開閉動作のみで形成可能であり、このときには、従来例でも説明した、後方再帰性反射器2aを形成するためのピンも、前記矢印X方向に軸を揃えることで形成可能である。
また、前記側方用反射組立3においても、例えば、開口部3dが形成される端部3eの形状などを工夫すれば、図中に矢印Yで示す方向への金型の開閉動作のみで形成が可能であり、割型、スライド型を採用することなく成形可能となる。よって、前記側方用反射組立3においても、側方再帰性反射器3aを形成するためのピンも、前記矢印Y方向に揃えることで形成可能となる。
本発明により、上記の構成としたことで、側方反射組立3の開口部3dに、後方用反射組立2の、前記後方再帰性反射器2aを挿入することで、全体が略階段状となり、後方用反射組立2の前記後方再帰性反射器2aと、側方反射組立3の側方再帰性反射器3aとは、それぞれは、90°異なる方向からの光に反応し反射光を生じるものとなる、
ここで、車両の両後端のコーナーに設けられているテールライトの一部に、一方の再帰性反射器(例えば、2a)が反射面を車両の後方に向け、他方の再帰性反射器(例えば、3a)が側方に向けるように配置すれば、他車からは後方の後面から側面に亘る全方面から反射光が見えるものとなり、ダボなどを使用して形成した再帰性反射器と比較して大面積の反射面が得られることが確認された。
本発明によれば、前記再帰性反射器(2a、3a)を形成するにあたり、ピンにはダボもシムも用いず、また、スライド金型の導入を行わず、通常の方法で形成された再帰性反射器1を、交互にほぼ直角として組み合わさるように形成することで、同様な効果が得られるものとなり、極めて煩雑化するピンの製作、および、それぞれのピンが、平行として密着しないことによる金型の組立の煩雑化、型の分割およびスライド金型の導入に伴う金型設計の工数増大、または多数部品の採用による作業工数の増大、管理工数の増大を避けることができるのである。
本発明に係る再帰性反射器である後方用反射組立と側方用反射組立とを、組立前の状態で示す斜視図である。 上記後方用反射組立と側方用反射組立とを、組み立てた状態で示す斜視図である。 従来例のこの種の再帰反射器をレンズ曲面に設けたときの例を示す説明図である。 従来例のレンズ曲面に設けるために、ダボを設けたピンの例を示す説明図である。 従来例のレンズ曲面に設けるために、シムをを設けたピンの例を示す説明図である。
符号の説明
1…再帰性反射器
2…後方用反射組立
2a…後方再帰性反射器
2b…後方枠部
2c…後方段差板
3…側方用反射組立
3a…側方再帰性反射器
3b…側方枠部
3c…側方段差板
3d…開口部
3e…端部

Claims (3)

  1. 再帰性反射面が形成されている複数の略板状とした反射面を、板面直角方向から見るときに各反射面が位置的に重複を生じないように、段差部を設けて略階段状に配置した透光性樹脂による第一の表示用部材と、同様に反射面が形成されている複数の略板状とした反射面を、板面直角方向から見るときに各反射面が位置的に重複を生じないように開口部を有する段差部を設けて略階段状に配置された透光性樹脂による第二の表示用部材とから成り、前記第二の表示用部材の前記段差部に設けられる前記開口部には前記第一の表示用部材の反射面が嵌合し、前記第一の表示用部材の前記段差部には前記第二の部材の反射面が重畳し、一体化が可能な構成とされていることを特徴とする再帰性反射器。
  2. 前記第一の部材と前記第二の部材とを重畳させたときには、前記第一の部材の反射面と、前記第二の部材の反射面とが、略階段状の形状を呈することを特徴とする請求項1記載の再帰性反射器。
  3. 前記第一の部材に設けられている前記反射面と、前記第二の部材に設けられている前記反射面との総数は複数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の再帰性反射器。
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