JP2008233039A - 液体試料用フローセル - Google Patents

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裕之 佐藤
Takakazu Yano
矢野  敬和
Masahiro Fukuda
福田  匡広
Yoshiharu Sugiura
美晴 杉浦
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Abstract

【課題】旋光度計や分光光度計などの光測定において液体試料用フローセルの管路内に気泡が滞ってしまうと、光線が気泡により散乱してしまうため、正確な測定をすることができなくなってしまう。
【解決手段】液体試料用フローセルにおいてその管路形状を工夫することで流す液体に回転や速度変化・乱流を与えることにより管路内に溜まる気泡を流す液体そのもので管路より押し出す。これにより、前記フローセルを装置からはずしてメンテナンスしたり気泡除去のための付加装置を設ける必要がなくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は液体試料用フローセルに発生する気泡に関し、外部からの振動や圧力の印加を必要とせずにその気泡を取り除くことが可能な技術に関するものである。
液体試料用フローセルは、主に様々な液体試料中の成分を連続的に定量測定するなどの目的で用いられる。例えば、液体試料用フローセルに光を入射してその透過光信号より測定を行う光測定においては旋光度計や分光光度計などが挙げられる。図4は一般的な旋光度計の構成を示す概略図である。図4において、光源401より出射した光線を偏光子402に照射する。偏光子402によって光線は偏光子402の透過軸方向に光軸を持つ直線偏光となり、次に直線偏光を旋光角度変調素子403に照射する。旋光角度変調素子としては、例えば、液晶素子やファラデー素子などが挙げられる。旋光角度変調素子403を通過する際に直線偏光はその偏光方向が変調される。次に偏光方向が変調された直線偏光を試料の入った液体試料用フローセル404に照射する。ここで、直線偏光は液体試料用フローセル404を通過する際、液体試料内に含まれる旋光性物質によって旋光する。次に流体試料用フローセル404を通過した光線を検光子405に照射することで、検光子405の透過軸方向の光線のみが透過し、光検出器406の受光部に到達する。このとき、検光子405を回転させ、光検出器406で検出される光強度が最小となるときの検光子405の角度を測定することにより試料の旋光度を測定することが出来る。
上述のような旋光度計や、分光光度計などで液体試料内の成分を光を用いて測定する際、液体試料中の気泡が大きな問題となる。すなわち、液体試料中に気泡が存在する場合、気泡により光が散乱し、直進光が光検出器に到達しないため正確に測定することはできない。また、光線の径よりも小さい微小な気泡が混入した場合でも、本来到達する光線の一部が同様に散乱してしまうため、測定誤差を招く可能性が大きい。また、フローセルであるため、液体試料と共に気泡が流れ出ていく場合は、測定できない時間はその間のみで収まるが、気泡が光路内に一度留まってしまった場合、その後水等を大量に流してもその気泡を取り除くことは難しく、装置からはずしてのメンテナンスやフローセルの交換が必要となる。
そこで、この問題を解決するために、例えば特許文献1によれば、フローセルの入口をフローセル内室に比べて細い径とし、加えて入口に塵除去用のフィルタをつけることにより、気泡のフローセル内室への混入を防いでいる。また、フローセルに超音波振動子を設け、超音波によりフローセル内面に付着した気泡や塵を取り外す構成としている。また、特許文献2によれば、フローセルの出口を2箇所に設けることによって気泡が流れ易い構造としている。
実開平7−8759号公報(2頁) 実開平6−62355号公報(2頁)
しかし、前述の従来技術では以下に示す問題を有している。フローセルの入口をフローセル内室に比べて細い径とし、加えて入口に塵除去用のフィルタをつけることにより、気泡のフローセル内室への混入を防ぐ方法においては、例えば、気泡が多量に流れてきた場合などはそのまま気泡はフローセルに入り、フローセル内に混入した気泡が光路に留まってしまう可能性がある。また、フローセルに超音波振動子を設け、超音波によりフロー
セル内面に付着した気泡や塵を取り外す構成とする方法では、超音波振動子を配置するためにフローセル自体の構成が非常に複雑になってしまい、かつ大電力を必要としてしまう。更に、本来非常に精密な構成の光学系に超音波振動を加えることは光学素子のずれなどを引き起こす可能性があり、好ましくない。また、フローセルの出口を2箇所に設けることによって気泡が流れ易い構造とする方法においては出口側に気泡が留まる可能性は減少するが、光路入口側や光路途中に気泡が留まることは大いに考えられる。
そこで、本発明では上述した従来技術による問題点を解消するため、特別な付加装置を使わずに、液体試料が光線の光軸に沿って通過する管路内から気泡を押し出す技術を提供する事を目的とする。
これらの課題を解決するために本発明による液体試料用フローセルには、下記に記載の手段を採用する。すなわち本発明の液体試料用フローセルは、液体試料に光線を照射し液体試料に関する情報を得る光計測において、光線が入射し、液体試料が光線の光軸に沿って通過する管路と、液体試料を管路へ送り込むセル入口と、液体試料を管路から外部へ排出するセル出口とを有し、管路内壁に特別な形状部分を有することを特徴とする。
そして、その特別な形状部分が、らせん状の溝形状であり、流す液体でうず流を発生させ、積極的に気泡を押し出すことが好ましい。
また、本発明の液体試料用フローセルは、特別な形状部分が、管路の断面積を周期的に変化させた形状であることにより、流す液体に加減速を発生させ、流す液体で気泡がその場に留まろうとすることを防いで押し出すことが好ましい。
また、本発明における液体試料用フローセルは、特別な形状部分が、管路内壁がその管路中での液体試料の流れを変化させる形状であることにより液体に乱流をおこし、流す液体で気泡がその場に溜まろうとすることを防いで押し出すことが好ましい。
(作用)
液体試料用フローセルにおいて流体試料に気泡が混入していた場合、気泡が液体試料用フローセルの光線を照射する管路に留まってしまうと、光線が散乱して正確な測定ができなくなってしまう。そこで、その管路内に溜まる気泡を除去したい場合、管路形状を工夫することで流す液体に回転や速度変化、乱流を与えることにより、流す液体そのもので溜まろうとする気泡を押し流す。この方式においては気泡を管路から除去するためにフローセルを取り外したり、外部付加装置を設ける必要がない。
以上の説明のように、本発明の液体試料用フローセルにおいては、下記に記載する効果を有する。
旋光度計や分光光度計などの光測定において様々な液体試料中の成分を連続的に定量測定するなどの目的で用いられる液体試料用フローセルにおいて、液体試料中に気泡が混入しており、気泡が光線を照射する管路中に入ってしまった場合、光線が気泡により散乱してしまうため、正確な測定をすることができなくなってしまう。そこで、気泡が入った場合でもスムーズに排出されることが望ましいが、気泡が管路中に留まってしまうという現象が発生する可能性がある。そこで液体試料用フローセルの管路形状を工夫することで流す液体に回転や速度変化、乱流を与えることにより管路内に溜まる気泡を流す液体そのもので押し出す。この方式においては液体試料用フローセルに気泡が入ってしまった場合でも速やかに気泡を押し出すことにより測定の再開が可能となる。また実験・測定装置の場合気泡のない観測部位を確保するための管路自体の複数化・大型化や気泡を管路から除去するための外部付加装置が必要ない。よって装置自体の小型化を実現できる。
以下、図面を用いて本発明を利用した液体試料用フローセルの最適な実施形態を説明する。
(第一の実施形態)
図1は本発明の実施形態の一例としてビームを走査させて液体の特性を観測する液体試料用フローセルの図である。(a)が斜視図、(b)が平面図、(c)が(b)においてA−A´線で切断した断面図である。図1において、液体試料用フローセル102には窓104を管路の両端に接着しており、液体を密封するとともに、ビーム走査の入出射口となっている。また、セル入口103a、セル出口103bと接続パイプ105が窓104に近接する形で管路の両端に設けてあり、図では省略するが、接続パイプ105にPTFEやビニル製のチューブを取り付けて外部から試液を取り入れ、また排出する。
ここで、この液体試料用フローセル102の管路として穿たれている穴が管路101である。本図においては管路101はその内壁に特別な形状部分として、らせん状の溝形状を持ち、セル入口103a、セル出口103bと垂直に繋がっている。外部から注入される試液は、セル入口103aから入り、管路101の内壁に垂直にぶつかるように流れ込む。このとき管路101の内壁には前述の通りらせん溝が形成されているので試液はそのらせん溝に沿って流れうず流となり管路101内を進む。このうず流により、管路内壁に停滞しようとする微小気泡や、窓104に貼りついて留まろうとする気泡を積極的に押し出す。
この実施例では試液が連続的に注入されることを前提とし、フローセルが空の状態から試液を注入した際に生じる気泡の除去を説明したが、試液の注入が断続的であったり、また、試液中に気泡が混ざって注入される時もその都度、うず流により上記と同じ作用で気泡を押し流す。しかし試液の流れる頻度が極端に低い場合、測定の精度が低下する場合にはフローセルへの注入の前段階で試液が連続的に注入されるようにしておくことが望ましい。
(第二の実施形態)
次に第二の実施形態について説明する。図2は本実施形態における液体試料用フローセルの図である。(a)が斜視図、(b)が平面図、(c)が(b)においてB−B´線で切断した断面図である。第一の実施形態と同様に、液体試料用フローセル202は窓204、セル入口203a、セル出口203b、接続パイプ205そして光線を通す管路201で構成されている。
本実施形態において特別な形状部分として、管路201は周期的に内径を変えてあり、流量一定の法則により流速変化による脈動、つまり管路の細い部分では流速が早くなり太いところでは流速が遅くなることによる流速変化を起こして管路内壁に停滞しようとする微小気泡や、窓204に貼りついて留まろうとする気泡を積極的に押し出す。
(第三の実施形態)
次に第三の実施形態について説明する。図3は本実施形態における液体試料用フローセルの図である。(a)が斜視図、(b)が平面図、(c)が(b)においてC−C´線で切断した断面図である。第一の実施形態と同様に、液体試料用フローセル302は窓304、セル入口303a、セル出口303b、接続パイプ305そして光線を通す管路301で構成されている。
本実施形態において特別な形状部分として、管路301は管路内に段差を付加しそこで
管路の方向に発生するうずによる乱流を起こすことで管路内壁に停滞しようとする微小気泡や、窓304に貼りついて留まろうとする気泡を積極的に押し流す。本図では突起状の形状を付加したが、へこみ状の形状を付加しても構わない。
本発明の第一の実施形態の液体試料用フローセルの図であり、(a)が斜視図、(b)が平面図、(c)が断面図である。 本発明の第二の実施形態の液体試料用フローセルの図であり、(a)が斜視図、(b)が平面図、(c)が断面図である。 本発明の第三の実施形態の液体試料用フローセルの図であり、(a)が斜視図、(b)が平面図、(c)が断面図である。 一般的な旋光度計の構成を示す概略図である。
符号の説明
101 管路
102 液体試料用フローセル
103a セル入口
103b セル出口
104 窓
105 接続パイプ
201 管路
301 管路

Claims (4)

  1. 液体試料に光線を照射し該液体試料に関する情報を得る光計測に使用する液体試料用フローセルであって、前記光線が入射し、前記液体試料が前記光線の光軸に沿って通過する管路と、前記液体試料を前記管路へ送り込むセル入口と、前記液体試料を前記管路から外部へ排出するセル出口とを有し、前記管路の内壁に特別な形状部分を有する液体試料用フローセル。
  2. 前記特別な形状部分がらせん形状の溝であることを特徴とする請求項1に記載の液体試料用フローセル。
  3. 前記特別な形状部分は前記管路の断面積が周期的に変化している部分であることを特徴とする請求項1に記載の液体試料用フローセル。
  4. 前記特別な形状部分が前記管路中での前記液体試料の流れを変化させる形状部分であることを特徴とする請求項1に記載の液体試料用フローセル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015025785A (ja) * 2013-07-29 2015-02-05 三菱レイヨン株式会社 製膜原液の異常検知装置及び異常検知方法

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