JP2008232032A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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剛也 天野
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一美 星屋
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Abstract

【課題】パワートレインの耐久性を効率的且つ効果的に担保する。
【解決手段】エタノール混合燃料を使用可能なエンジン200を搭載するFFVたる車両10において、ECU100は、パワートレイン保護処理を実行する。当該処理においては、変速機たるECT400において実現されている変速比に応じて、エンジン200の出力トルクTEの上限値たる上限トルクTEMAXが設定される。一方、ECU100は、エンジン200の負荷率KLから算出した基準トルクTEKLに対し、エタノール濃度DEに応じた補正を施すことにより推定トルクTEESTを算出する。ここで、推定トルクTEESTが上限トルクTEMAXよりも大きい場合、出力トルクTEが上限トルクTEMAXとなるように点火時期又はスロットル開度或いはその両方が設定され、出力トルクTEが制限される。
【選択図】図5

Description

本発明は、アルコール混合燃料を使用可能な内燃機関を制御する内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、変速ショックの防止を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたエンジンの制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、アルコール含有燃料のアルコール濃度に応じてエンジン出力低下の補正量を増量することにより、十分なトルクダウンを行うことが可能であるとされている。
尚、アルコール濃度により変化するエンジン出力性能に基づいて無段変速機のプライマリ圧及びセカンダリ圧を制御する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−296071号公報 特開平4−316759号公報
従来の技術では、限定された状況でのみアルコール濃度に応じた出力調整が図られるため、物理的或いは機械的な衝撃等に対する変速機の耐久性を、内燃機関の全ての動作条件(少なくとも日常的に使用されるものと判断される程度の動作条件)において少なくとも不足が生じない程度に担保するためには、変速機の容量を内燃機関の最大出力に適合させる必要がある。内燃機関の出力は、燃料中のアルコール濃度が高い程大きくなるから、結局変速機の容量は、燃料の採り得る最大のアルコール濃度に適合したものとせざるを得ない。
ところが、燃料中のアルコール濃度は常に最大値を採る訳ではないから、変速機の耐久性は必要以上に高くなり易い。一方、相対的に大容量の変速機は、小容量の変速機と較べてトルク損失が大きくなり易く、動力の伝達効率が低下し易い。また、同時に変速機が大型化し、重量も増加するため、燃費等、経済性能の点からも不利となり易い。
一方で、アルコール濃度に応じて常に内燃機関の出力を制限し、変速機の保護を図ろうとした場合、出力の向上による車両の動力性能の向上といった、アルコール混合燃料を使用することによってもたらされ得る利益が消失しかねない。
即ち、従来の技術には、アルコール混合燃料を使用する内燃機関を搭載する車両において、変速機を含むパワートレインの耐久性を効率的且つ効果的に担保することが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、パワートレインの耐久性を効率的且つ効果的に担保し得る内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、アルコール混合燃料を使用可能な内燃機関と、変速機を含むパワートレインとを備えた車両において該内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、前記変速機の変速比を特定する変速比特定手段と、前記特定された変速比に基づいて前記内燃機関の出力トルクを制限すべきか否かの判別を行う判別手段と、前記出力トルクを制限すべき旨の前記判別が行われた場合に、前記出力トルクが制限されるように前記内燃機関を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る車両に備わる「内燃機関」とは、例えば複数の気筒を有し、当該気筒各々の燃焼室において、燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する爆発力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等を適宜介して動力として取り出すことが可能に構成された、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を包括する概念であり、本発明では特に、燃料としてエタノールやメタノール等の各種アルコールとガソリンとを混合してなるアルコール混合燃料を使用可能に構成された機関を包括する概念である。尚、本発明に係る内燃機関は、燃料中のアルコール濃度が少なくとも単一な値に限定されない、好適な一形態としては当該アルコール濃度が例えば0%から100%の範囲で変化しても動作に支障のない、所謂FFV(Flexible Fuel Vehicle)用の内燃機関として構成される。
また、本発明に係る車両には、AT(Automatic Transmission:自動変速機)、MT(Manual Transmission:手動変速機)又はCVT(Continuously Variable Transmission:連続式無段変速機)等の各種態様を採り得る変速機を含み、更には例えばデファレンシャル等の減速機、プロペラシャフト或いはアクスルシャフト等の車軸を適宜含み、内燃機関から出力される動力を駆動輪に対し物理的及び機械的に伝達する物理的、機械的、機構的及び電気的なシステムを包括する概念としてのパワートレインが備わる。
ここで、このような内燃機関においては、アルコールがガソリンと較べて大きい気化潜熱を有することに起因して、燃料中のアルコール濃度が高い程、気筒内に吸入される吸入空気が冷却され、気筒内部への充填効率が増大する傾向がある。このため、総体的にみれば、燃料中のアルコール濃度が高い程、内燃機関の出力トルクは増大することになる。
一方、上述した変速機を含むパワートレインの耐久性を規定する物理的又は機械的な強度(以下、適宜「強度」と略称する)は、少なくとも内燃機関の最大出力に対しても物理的又は機械的な不具合(例えば、損壊、損傷或いは故障等に起因する不具合)の顕在化を阻止し得る程度に担保されている必要がある。従って、必然的に、パワートレインの強度は、アルコール濃度が内燃機関毎に採り得る範囲で最高である場合(典型的には、100%)における内燃機関の出力特性に適合するように設定される必要がある。即ち、総じて、アルコール混合燃料を使用可能に構成された内燃機関に連結されるパワートレインの強度は、例えば燃料としてガソリンのみを使用するように構成された内燃機関に連結されるパワートレインと較べて高い。言い換えれば、パワートレインは、より大きい入力を許容し得るように、例えば、シャフト径の拡大、構成部材の使用量の増加、より頑強な構成の採用或いは構成部材の厚みや強度の増加等を適宜に介することによって大容量化される。
他方、燃料中のアルコール濃度は、経時的に、例えば顕著な一例としては給油を実行する毎に変化するから、常に内燃機関が採り得る最高濃度(例えば、100%)に維持されることは稀である。アルコール濃度が最高濃度よりも低ければ、内燃機関の最大出力も全体的に低下の傾向を示すから、上述したようにパワートレインの強度を最高濃度に適合させた場合には、必然的にパワートレインの強度が必要以上に担保されることになる。
ここで特に、パワートレインを大容量化した場合、耐久性が担保される反面、トルクの損失が大きくなり易く、総じて動力の伝達効率が低下し易い。従って、必要以上にパワートレインの強度が担保されている場合、このような動力の伝達効率の低下に、更にパワートレイン全体の重量増加や巨大化に係る燃費の悪化や搭載性の悪化も加わって、内燃機関を効率的に動作させる観点からは各種の不利益が生じ得る。
このような、パワートレインの耐久性が効率的且つ効果的に担保されないことによる不利益を解消することを目的の一として、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る変速比特定手段によって、変速機の変速比が特定される。
ここで、本発明に係る「特定」とは、例えば、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する電気信号等として検出すること、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択又は推定すること、それら検出された物理的数値若しくは電気信号又は選択若しくは推定された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従った論理演算や数値演算の結果として導出すること、或いはこのように検出、選択、推定又は導出された値等を単に電気信号等として取得すること等を包括する広い概念である。係る概念の範囲内において、変速比特定手段は、例えば変速機が有段変速装置であれば、予め変速段毎に規定される変速比の中から、例えばシフト位置センサ等の検出手段から供給されるシフト位置の情報に基づいて、或いは変速機を物理的に、機械的に又は電気的に制御するコントローラや制御装置等から供給される現時点で実現されている変速段の情報等に基づいて、該当する変速比を選択的に取得することによって変速比を特定する。或いは、無段変速機等の場合には、回転センサ等の検出手段によって検出される、入力軸の回転速度及び出力軸の回転速度相互間の比を算出することによって、変速比を特定してもよい。
一方、このように変速比が特定されると、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る判別手段が、この特定された変速比に基づいて内燃機関の出力トルクを制限すべきか否かの判別を行う。
ここで特に、パワートレインの耐久性を担保する観点からは、パワートレインに入力される駆動力(以下、単に「駆動力」と称する)が重要となる。駆動力は、内燃機関の出力トルクに変速機の変速比を乗じた値と少なくとも相関する値(単に当該乗算の結果が駆動力として利用されてもよい)であり、内燃機関の出力トルクが等しければ、変速機が有段(即ち、変速比として複数且つ段階的な値を採る)であるか、無段(即ち、変速比は連速的に変化し得る)であるかにかかわらず、変速比が大きい程(即ち、より低速側の変速比程)大きくなる。
従って、判別手段は、特定された変速比に基づいて、その時点のアルコール濃度及びエンジンの動作条件、並びに予め設定されたパワートレインの強度等を考慮し、出力トルクを制限すべきか否かについての総合的な判断を、個々のタイミングで的確に行うことができる。
この際、判別手段が行う判別に係る判別基準は、少なくとも、過大な駆動力が入力として供給されることによるパワートレインの耐久性の低下、及びそれに伴って生じ得るパワートレインの物理的又は機械的な不具合が実践上顕在化することのないように定められる限りにおいて、何ら限定されない趣旨である。
このような判別が行われた結果、出力トルクを制限すべき旨の判別が行われた場合、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段によって、当該出力トルクが制限されるように内燃機関が制御される。
この際、出力トルクを制限するための制御プロセスは、出力トルクを制限し得る限りにおいて限定されない趣旨であるが、好適な一形態としては、点火時期の遅角又はスロットル開度の減少或いはその両方等により出力トルクが制限される。尚、出力トルクが制限される限りにおいて、パワートレインに入力される駆動力は幾らかなり減少するのであり、出力トルクの制限量や制限率等、その度合いは必ずしも限定されないが、好適な一形態として、出力トルクは、その時点でパワートレインに入力される駆動力が、パワートレイン毎に、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、パワートレインに物理的な不具合を生じさせることのないように定められ得る許容値を超えることのないように制限される。
このように、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、変速機の変速比に基づいて内燃機関の出力トルクを制限すべきか否かに係る判別がなされ、真に出力トルクを制限すべき場合に限って出力トルクを制限することが可能となる。従って、パワートレインの耐久性が十分に担保された状態で、アルコール混合燃料を使用することによって得られる出力向上に係る利益と、パワートレインの相対的な小容量化による伝達効率の低下抑制及び燃費悪化抑制に係る利益とを、可及的に両立しつつ享受することが可能となる。即ち、パワートレインの耐久性が効率的且つ効果的に担保されるのである。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記出力トルクを特定するトルク特定手段と、前記特定された変速比に応じて前記出力トルクの上限を規定する第1の上限値を設定する第1の上限値設定手段とを更に具備し、前記判別手段は、前記特定された出力トルクと前記設定された第1の上限値との比較に基づいて前記判別を行い、前記制御手段は、前記出力トルクを制限すべき旨の判別が行われた場合に、前記出力トルクが前記設定された第1の上限値以下となるように前記内燃機関を制御する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得るトルク特定手段が、例えば負荷率及び機関回転速度等、内燃機関の動作条件及び燃料中のアルコール濃度等に基づいて、出力トルクを特定する。一方で、この出力トルクの上限を規定する第1の上限値が、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1の上限値設定手段によって、例えば、予め然るべき記憶手段に記憶されるマップ等からその時点の変速比に対応する或いは更にその時点の内燃機関の運転条件等に対応する一の値が選択的に取得される等して設定される。
ここで、判別手段は、この第1の上限値と、特定されたトルクとの比較に基づいて、前述した判別を行う。従って、出力トルクを制限すべきか否かに係る判別基準が明確且つ簡便に与えられ、判別手段の処理上の負荷が軽減される。一方で、制御手段は、出力トルクを制限すべき旨の判別がなされた場合には、出力トルクがこの第1の上限値以下となるように内燃機関を制御する。従って、この態様によれば、出力トルクを制限すべき場合に、パワートレインを過大な入力から好適に保護することが可能となり、実践上有益である。
尚、この態様では、前記判別手段は、前記特定された出力トルクが前記設定された第1の上限値より大きい場合に前記出力を制限すべき旨の判別を行ってもよい。
このようにすれば、出力トルクを制限すべきか否かに係る判別基準がより一層明確となり、判別手段の処理負荷を軽減し得る。
第1の上限値設定手段を備える本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記第1の上限値設定手段は、前記特定された変速比が大きい程小さくなるように前記第1の上限値を設定する。
上述したように、変速比が大きい程パワートレインに入力される駆動力は大きくなる。従って、第1の上限値を、変速比が大きい程小さく設定することによって、駆動力に基づいた出力トルク制限の要否を、より正確に判別することが可能となり、実践上有益である。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記出力トルクを特定するトルク特定手段と、前記特定された出力トルク及び変速比に基づいて前記パワートレインに加わる駆動力を特定する駆動力特定手段と、前記駆動力の上限を規定する第2の上限値を設定する第2の上限値設定手段とを更に具備し、前記判別手段は、前記特定された駆動力と前記第2の上限値との比較に基づいて前記判別を行い、前記制御手段は、前記出力トルクを制限すべき旨の判別が行われた場合に、前記出力トルクが制限されることにより前記駆動力が前記設定された第2の上限値以下となるように前記内燃機関を制御する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る駆動力特定手段により、前述した態様と同様の構成を採り得るトルク特定手段によって特定される出力トルク及び変速機の変速比に基づいて駆動力が特定される。
一方、この態様によれば、この駆動力の上限を規定する第2の上限値が、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2の上限値設定手段によって、例えば、予め然るべき記憶手段に記憶されるマップ等からその時点の変速比に対応する或いは更にその時点の内燃機関の運転条件等に対応する一の値が選択的に取得される等して設定される。
ここで、判別手段は、この第2の上限値と、特定された駆動力との比較に基づいて、前述した判別を行う。従って、出力トルクを制限すべきか否かに係る判別基準が明確且つ簡便に与えられ、判別手段の処理上の負荷が軽減される。一方で、制御手段は、出力トルクを制限すべき旨の判別がなされた場合には、駆動力がこの第2の上限値以下となるように出力トルクが制限される。従って、この態様によれば、出力トルクを制限すべき場合に、パワートレインを過大な入力から好適に保護することが可能となり、実践上有益である。
ここで特に、本態様によれば、パワートレインの耐久性を規定する駆動力そのものに基づいて、出力トルクを制限すべきか否かに係る判別を行うことができる。駆動力の上限値は、パワートレインに固有の値であり、変速比によって変化しない(別言すれば、駆動力の概念に変速比が含まれている)から、有段の変速機(例えば、前進の変速段が概ね4〜7個程度である変速機)と較べて十分に多数の変速比を実現することが可能なCVT等においては、このように駆動力自体の比較により判別手段に係る判別プロセスの煩雑化を緩和することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、本発明に係る内燃機関の制御装置に対応する車両10の要部構成を概念的且つ模式的に表してなる概略構成図である。
図1において、車両10は、ECU100、エンジン200、トルクコンバータ300、ECT(Electronic Controlled Transmission:電子制御式自動変速装置)400、ECT駆動部500及び油圧コントローラ600を備え、特に、エンジン200の燃料としてエタノールとガソリンとを混合してなるエタノール混合燃料(即ち、本発明に係る「アルコール混合燃料」の一例である)を使用可能に構成された、FFVである。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、車両10の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述するパワートレイン保護処理を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、車両10の動力源として機能するように構成されたエンジンである。ここで、図2を参照して、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2はエンジン200の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、シリンダ201内にその一部たる点火プラグの一部が露出してなる点火装置202の点火動作により混合気を爆発させると共に、その爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクションロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランクシャフト205の回転位置に基づいて、点火装置202の点火時期等を制御するように構成されている。また、ECU100は、クランクシャフト205の回転位置に基づいてエンジン200の機関回転数NEを算出することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
シリンダ201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート213において、インジェクタ214から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。ここで、燃料は、燃料タンク215に貯留されており、図示せぬ低圧ポンプの作用によりデリバリパイプ216を介してインジェクタ214に圧送供給されている。インジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。尚、デリバリパイプ216には、燃料中のエタノール濃度DEを検出するためのアルコールセンサ217が設置されている。アルコールセンサ217は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたエタノール濃度DEは、ECU100により常に或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
シリンダ201内部と吸気管207とは、吸気バルブ218の開閉によって連通状態が制御されている。シリンダ201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ218の開閉に連動して開閉する排気バルブ219の開弁時に排気ポート220を介して排気管221に導かれる。
吸気管207上には、クリーナ208が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される構成となっている。クリーナ208の下流側(シリンダ側)には、エアフローメータ209が配設されている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接検出することが可能に構成されている。尚、エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気の質量流量は、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、シリンダ201内部へ吸入される空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ210が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度たるスロットル開度を検出することが可能に構成されている。また、スロットルバルブ210の近傍には、スロットルバルブモータ211が設置されている。スロットルバルブモータ211は、スロットルバルブ210の物理的な開閉動作を制御可能に構成されたモータであり、ECU100と電気的に接続されている。
ECU100は、図2において不図示のアクセル開度センサによって検出されるアクセル開度に基づいて、このスロットルバルブモータ211の駆動状態を制御する。その結果、スロットルバルブ210は、係るスロットルバルブモータ211の駆動力によって駆動される。尚、スロットルバルブ210は、ECU100により制御されたスロットルバルブモータ211の駆動力により駆動される電子制御式のスロットルバルブであり、スロットル開度は、ECU100によって、運転者の意思(即ち、アクセル開度)とは無関係に制御され得る。
排気管221には、三元触媒223が設置されている。三元触媒223は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。排気管221における三元触媒223の上流側には、空燃比センサ222が配設されている。空燃比センサ222は、排気ポート220を介して排出される排気ガスからエンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。空燃比センサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。また、シリンダ201を収容するシリンダブロック(符号省略)に設けられた冷却水の流路たるウォータージャケットには、当該冷却水の温度を検出することが可能に構成された水温センサ224が設置されている。水温センサ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水の温度は、ECU100によって常に、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
図1に戻り、トルクコンバータ300は、エンジン200における前述したクランクシャフト205の後段に接続された、流体伝達装置である。トルクコンバータ300は、クランクシャフト205を介して伝達されるエンジン200の回転動力を、ECT400に伝達することが可能に構成されている。尚、トルクコンバータ300の詳細な構成については後述する。
タービン回転センサ301は、トルクコンバータ300の後述するタービンランナ320の回転速度(以下、適宜「タービン回転速度」と称する)を検出可能に構成されたセンサである。タービン回転センサ301は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたタービン回転速度NTは、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
ECT400は、クラッチ要素、ブレーキ要素及びワンウェイクラッチ要素等、不図示の油圧アクチュエータによって駆動される油圧式摩擦係合装置を複数備えた、本発明に係る「変速機」の一例たる電子制御式自動変速装置である。ECT400では、これら各油圧式摩擦係合装置各々の係合状態が変化することによって、相互に異なる複数の変速比を得ることが可能に構成される。尚、ECT400の詳細な構成については、トルクコンバータ300と併せ、後に図3を参照する形で説明する。
車両10には更に、デファレンシャル11、左駆動軸SFL、右駆動軸SFR、左前輪FL、右前輪FR、車速センサ12、シフトレバー13、シフト位置センサ14、アクセル開度センサ15及びアクセルペダル16が備わる。
デファレンシャル11は、ECT400の出力回転軸に接続された差動ギアであり、駆動輪且つ操舵輪たる左前輪FLおよび右前輪FR相互間の回転差を吸収することが可能に構成されている。尚、デファレンシャル11は、ECT400の出力回転軸の回転速度を固有の変速比に従って減速する最終減速機として機能するように構成されている。
左駆動軸SFL及び右駆動軸SFRは、夫々左前輪FL及び右前輪FRに連結された回転軸であり、夫々がデファレンシャル11に連結される構成となっている。従って、車両10において、エンジン200から発せられる動力は、クランクシャフト205、トルクコンバータ300、ECT400、デファレンシャル11及び当該左右の駆動軸を介して駆動輪たる左右の前輪に伝達される構成となっている。ここで特に、ECT400、デファレンシャル11、左駆動軸SFL及び右駆動軸SFRは、全体として、車両10のパワートレイン(符号省略)を構成している。尚、以下の説明においては、ECT400、デファレンシャル11、左駆動軸SFL及び右駆動軸SFRを包括する呼称として適宜「パワートレイン」なる言葉を使用することとする。
車速センサ12は、車両10の速度たる車速Vを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ12は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
シフトレバー13は、車両10のドライバによる操作が可能に構成された変速用の操作手段である。本実施形態において、シフトレバー13には、1レンジ、2レンジ、Dレンジ、Nレンジ、Rレンジ、及びPレンジの計6種類のシフト位置が用意されており、当該シフト位置の各々に応じて前述したECT400の変速比が変化する構成となっている。
シフト位置センサ14は、シフトレバー13のシフト位置を検出可能に構成されたセンサである。シフト位置センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたシフト位置は、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。ECU100は、この検出されたシフト位置に応じてECT400を制御する構成となっている。
アクセル開度センサ15は、図2において述べたように、ドライバにより操作されるアクセルペダル16の開度たるアクセル開度Accを検出することが可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ15は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Accは、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
ECT駆動部500は、ECT400を物理的、機械的、電気的及び磁気的に駆動することが可能に構成された、より具体的には、上述した複数の摩擦係合装置の係合状態を変化させることが可能に構成された駆動ユニットである。ECT駆動部500は、複数のリニアソレノイド及びソレノイドを備え、各々が後述するECT400の油圧式摩擦係合装置の各々を駆動する油圧アクチュエータを駆動する構成となっている。
油圧コントローラ600は、上述したECT駆動部500におけるリニアソレノイドの励磁状態制御(例えばデューティ比制御)及びソレノイドの励磁状態制御(例えば、励磁及び非励磁の切り替え制御)等により、ECT400における各摩擦係合装置に対応する油圧アクチュエータの油圧を制御可能に構成された制御ユニットである。油圧コントローラ600は、ECU100と電気的に接続されており、その動作状態がECU100によって上位に制御される構成となっている。
次に、図3を参照し、トルクコンバータ300及びECT400の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、トルクコンバータ300及びECT400の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、トルクコンバータ300は、ポンプインペラ310、タービンランナ320、ステータ330、ワンウェイクラッチ340及びロックアップクラッチ350を備える。
ポンプインペラ310は、エンジン200のクランクシャフト205と連結され、クランクシャフト205の回転に同期して回転可能に構成されている。
タービンランナ320は、ATF(Automatic Transmission Fluid)を介してポンプインペラ310と対向配置されると共に、ECT400の入力軸401に連結されている。従って、このタービンランナ320の回転速度は、ECT400の入力軸401の回転速度と等価である。尚、既に説明したように、係るタービンランナ320の回転速度たるタービン回転速度NTは、タービン回転センサ301によって検出される構成となっている。
ステータ330は、ワンウェイクラッチ340を介して非回転部材であるハウジング(符号省略)に連結され、タービンランナ320からポンプインペラ310へ還流するATFの方向を変換することが可能に構成されたトルク増幅手段である。
ロックアップクラッチ350は、その係合状態に応じて、クランクシャフト205から伝達される回転動力を、トルクコンバータ300を介することなく入力軸401に直接伝達することが可能に構成されたクラッチである。
一方、図3において、ECT400は、入力軸401上に同軸に配設されると共にキャリアとリングギアとが夫々相互に連結されることにより所謂CR−CR結合の遊星歯車機構を構成するシングルピニオン型の一対の第1遊星歯車機構430及び第2遊星歯車機構440と、入力軸401と平行なカウンタ軸402に同軸に配置された一組の第3遊星歯車機構450と、カウンタ軸402の軸端に固定されて、前述したデファレンシャル11と噛み合う出力ギア403とを備える。
これら第1遊星歯車機構430、第2遊星歯車機構440及び第3遊星歯車機構450の各構成要素、即ちサンギア、リングギア及びそれらに噛み合う遊星ギアを回転可能に支持するキャリアは、4つのクラッチC0、C1、C2及びC3により相互に選択的に連結され、また3つのブレーキB1、B2及びB3によって非回転部材であるハウジングに選択的に連結され、或いは二つのワンウェイクラッチF1及びF2により相互に又はハウジングと係合させられる構成となっている。
これら各クラッチ及び各ブレーキは、多板式のクラッチやバンドブレーキ等、油圧アクチュエータによりその係合状態が制御される油圧式摩擦係合装置であり、既に述べたように、油圧コントローラ600によって制御されるECT駆動部500により駆動制御され、その係合力を規定する油圧が変化する構成となっている。
このような構成の下、入力軸401と同軸上に配置された一対の第1遊星歯車機構430、第2遊星歯車機構440、クラッチC0、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2及びワンウェイクラッチF1によって、前進四段後進一段の変速段を備えた主変速部410が構成される。また、カウンタ軸402上に配置された一組の遊星歯車機構450、クラッチC3、ブレーキB3及びワンウェイクラッチF2によって、補助変速部420が構成される。尚、この補助変速部420によって前進二段の変速段が実現されることにより、ECT400全体としては前進五段の変速段が実現されている。
<実施形態の動作>
<ECT400の動作>
ここで、図4を参照し、これら油圧式摩擦係合装置の係合状態とECT400の変速段との関係について説明する。ここに、図4は、ECT400における油圧式摩擦係合装置各々の係合状態とECT400の変速段との対応関係を説明する表である。
図4において、縦の系列には、シフトレバー13によって選択されるシフト位置及びそれに対応する変速段が順次配されており、横の系列には、前述した各油圧式摩擦係合装置が配されている。図4において「○」は係合していることを表し、「×」は解放されていることを表している。また、「△」は、駆動時のみ係合することを表している。
尚、図4では、Rレンジ(後進用の変速段に相当)、Pレンジ及びNレンジ(動力遮断時の変速段に相当)並びにDレンジ(前進用の変速段(5段)に相当)に対応する係合状態のみが示される。即ち、1stレンジ及び2ndレンジに相当する係合状態は、Dレンジにおいて実現される1st及び2ndの変速段に相当する係合状態と等価であるため、その図示が省略されている。
図示するように、ECT400では、シフト位置がDレンジである場合に、図示「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」に相当する前進5段の変速段が実現される。尚、これら前進用変速段の変速比は、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」の順で小さくなる。即ち、「1st」が最大であり、「5th」が最小となる。尚、これ以降の説明では、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」を、夫々適宜「1速」、「2速」、「3速」、「4速」及び「5速」等と称することとする。また、シフトレバー13のシフト位置がDレンジである場合、変速段は、ECU100の制御により、例えばROMに格納された変速用のマップに基づいて自動的に切り替えられる。従って、ECT400において、その時点で如何なる変速段が選択されているかについては、ECU100により絶えず把握されている。
<パワートレイン保護処理>
エンジン200は、FFV用のエンジンであり、燃料として使用されるエタノール混合燃料中のエタノール濃度DEは、0%〜100%の間で変化し得る。一方、エタノールは、ガソリンと較べて大きい気化潜熱を有するから、燃料中のエタノール濃度DEが高い程、シリンダ201内に吸入される吸入空気は冷却され得、その充填効率が増大する傾向がある。このため、例えば同一の動作条件で比較した場合、エンジン200の負荷率KLは、或いは出力トルクは、燃料としてガソリンのみが使用される場合(即ち、エタノール濃度DEがゼロである場合と等価)と較べて大きくなり易い。従って、定性的にみて、エタノール濃度DEが高い程、エンジン200の出力トルクTEは増大し易い。
このように燃料性状によって出力トルクTEが変化し得る構成であることに鑑みれば、ECT400を含むパワートレインの耐久性を担保する観点からは、当該パワートレインの物理的な強度は、本来、エンジン200が出力し得る最大の出力、即ち、エタノール濃度DEが100%である場合に整合させるべきであるが、そのように構成すれば、必然的にエタノール濃度が低い場合に過剰品質となり、トルク損失による動力の伝達効率低下、燃費の悪化及び搭載性の悪化等といった不利益が顕在化し易い。そこで、車両10では、ECU100が、パワートレイン保護処理を実行することによって、パワートレインの耐久性を効率的且つ効果的に担保することを可能としている。
ここで、図5を参照し、パワートレイン保護処理の詳細について説明する。ここに、図5は、パワートレイン保護処理のフローチャートである。
図5において、ECU100は、予め設定された車両10の動作状態に関連する各種信号を取得する(ステップS101)。具体的に、ECU100は、エタノール濃度センサ217により検出されるエタノール濃度DE、クランクポジションセンサ206により検出されるクランクシャフト205の回転位相を時間処理して得られる機関回転速度NE、アクセル開度センサ15により検出されるアクセル開度Acc、スロットルポジションセンサ212により検出されるスロットル開度Thr、及びECT400の現時点の変速比iを取得する。この際、変速比iは、シフト位置センサ14により検出されるシフトレバー13のシフト位置、又はECU100自身が把握する、ECT400において現在選択されている前進用の変速段(即ち、前述した1速乃至5速のいずれかの変速段)の情報に基づいて取得される。ECU100のROM内には、予めECT400の採り得る変速比iの情報が、変速段の各々に対応付けられる形で記憶されており、ECU100は、記憶された変速比の中から、現時点で動作に供されている変速段に対応する変速比を選択的に取得することによって、変速比iを取得する。即ち、ステップS101に係る処理によって、本発明に係る「変速比を特定する」処理の一例が実現される。
次に、ECU100は、エンジン200の上限トルクTEMAXを設定する(ステップS102)。上限トルクTEMAXは、ECT400の採り得る変速比毎に、機関回転速度NEに対応付けられる形で予めマップとして記憶されており、ECU100は、変速比i及び機関回転速度NEに対応する一の値を当該マップから選択的に取得することにより上限トルクTEMAXを設定する。尚、上限トルクTEMAXは、本発明に係る「第1の上限値」の一例である。
次にECU100は、エンジン200の負荷率KLを算出する(ステップS103)。この際、ECU100は、負荷率KLと、機関回転速度NE及びスロットル開度Thrとを相互に対応付けてなるマップから、一の値を選択的に取得することによって、負荷率KLを算出する。但し、負荷率KLを算出する手法としては公知の各種形態を採ることが可能であり、例えば、下記(1)式に準じた数値演算が実行されてもよい。
KL=Mc/(DSP/NCYL)/ρastd×100・・・(1)
ここで、Mcは、吸気工程完了時において各シリンダ内に充填されている空気の量として規定される筒内充填空気量(単位はg)を、DSPは、エンジン200の排気量(単位はL)を、NCYLはシリンダ数を、ρastdは標準状態(例えば、1気圧、25℃)における空気の密度(例えば、約1,2g/L)を夫々表す。この際、Mcは、スロットル開度Thr及び機関回転速度NEに応じて定まる、シリンダ201内に流入する空気の流量mc(単位はg/sec)と、吸気工程1回に要する時間(即ち、機関回転速度NEに応じて定まる)との積として扱うことができる。従って、機関回転速度NE及びスロットル開度Thr、或いは更にエアフローメータ209により検出される吸入空気量Gに基づいて、負荷率KLを数値演算の結果として求めることも可能となる。
負荷率KLを算出すると、ECU100は、算出された負荷率KLからエンジン200の基準トルクTEKLを算出する(ステップS104)。ここで、基準トルクTEKLとは、燃料がガソリンである場合(即ち、エタノール濃度DEがゼロである場合)のトルクTEの値を表す。基準トルクTEKLは、予め機関回転速度NE及び負荷率KLに対応付ける形で予めマップとして記憶されており、ECU100は、ステップS103に係る処理で算出された負荷率KLと、機関回転速度NEとに基づいて、当該マップから一の値を選択的に取得することによって、基準トルクTEKLを算出する。
基準トルクTEKLを算出すると、ECU100は更に、この基準トルクTEKLを補正するためのトルク補正値KALを取得する(ステップS105)。ここで、トルク補正値KALは、上述したようにエンジン出力がエタノール濃度に応じて変化することを補正するための補正係数であり、本実施形態では、基準トルクTEKLに対し乗じるべき値として設定される。ここで、図6を参照し、トルク補正値KALについて説明する。ここに、図6は、トルク補正値KALの特性を表す模式図である。
図6において、トルク補正値KALは、エタノール濃度DEに対しリニアな関数として設定される。ここで、エタノール濃度DEがゼロ、即ち燃料がガソリンである場合には、トルク補正値KALは1である。ECU100は、このような特性を有するトルク補正値KALを、エタノール濃度DEに対応付ける形で予めROMに記憶している。
図5に戻り、ECU100は、ステップS105に係る処理において、ステップS101において取得されたエタノール濃度DEに基づいてトルク補正値KALを選択的に取得する。
トルク補正値KALを取得すると、ECU100は、推定トルクTEESTを算出する(ステップS106)。即ち、エンジン200の出力トルクTEを推定する。推定トルクTEESTは、現時点の動作条件において実際にエンジン200が出力し得る出力トルクTEの値であり、基準トルクTEKLに対しトルク補正値KALを乗じることにより算出される。
こうして推定トルクTEESTが算出されると、即ち、エンジン200の出力トルクTEが推定されると、ECU100は、この推定トルクTEESTが、先に求めた上限トルクTEMAX未満(上限トルクの設定如何により、容易に「以下」と置換し得る)であるか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107に係る処理は、即ち、ECU100が本発明に係る「判別手段」として機能する際の処理の一例である。
ステップS107に係る判別の結果、推定トルクTEESTが上限トルクTEMAX未満である場合(ステップS107:YES)、ECU100は、出力トルクTEを推定トルクTEESTに制御するための制御量、より具体的には、スロットル開度Thr及び点火装置202に係る点火時期を設定する(ステップS108)。
一方、推定トルクTEESTが上限トルクTEMAX以上である場合(ステップS107:NO)、ECU100は、出力トルクTEを上限トルクTEMAXに制御するための制御量、より具体的にはスロットル開度Thr及び点火装置202に係る点火時期を設定する(ステップS109)。ここで、推定トルクTEESTが上限トルクTEMAXよりも大きい場合には、ステップS109に係る処理において設定される制御量は、エンジン200の出力トルクTEを制限するためのものとなる。より具体的には、点火時期は遅角側で設定され、スロットル開度Thrは減少側で設定される。
ステップS108又はステップS109により、制御量が決定されると、ECU100は、当該決定された制御量に基づいてエンジン動作条件を制御する(ステップS110)。ここで、ステップS108に係る処理により制御量が設定された場合には、エンジン200の出力トルクTEは、何ら制限されることなく出力されるが、ステップS109に係る処理により制御量が設定された場合には、エンジン200の出力トルクTEは、上限トルクTEMAXに制限される。即ち、推定トルクTEESTが上限トルクTEMAXよりも大きい場合に限って、エンジン200の出力トルクTEは上限トルクTEMAXに制限される。ステップS110に係る処理が実行されると、ECU100は、処理をステップS101に戻し、一連の処理を繰り返す。パワートレイン保護処理は以上の如く遂行される。
ここで、図7を参照し、パワートレイン保護処理の効果について説明する。ここに、図7は、パワートレイン保護処理の効果を説明する模式図である。
図7において、縦軸及び横軸に夫々出力トルクTE及び機関回転速度NEが表されてなる座標平面が規定される。当該座標平面上で、エタノール濃度DEが0%及び100%である場合の二条件について、エンジン200の最大トルク(即ち、WOT(Wide Open Throttle)トルク)を規定すると、夫々図示PRF_0WOT1(破線参照)及びPRF_100WOT1(一点鎖線参照)となる。
当該座標平面上で、上限トルクTEMAXを表すと、ECT400が1速に制御されている場合、即ち、1速の変速比iに対応する上限トルクTEMAXは、図示PRF_TEMAX1st(実線参照)となる。ここで、エタノール濃度DEが0%である場合、機関回転速度NE全域でWOTトルクが1速の上限トルクTEMAXを超えることはない。従って、図5のステップS106に係る処理において算出される推定トルクTEESTが上限トルクTEMAXを超えることはなく、出力トルクTEの制限は行われない。
一方、エタノール濃度DEが100%である場合、機関回転速度NE1において出力トルクTEが上限トルクTEMAX1st1に到達するまでは、WOTトルクであっても推定トルクTEESTが上限トルクTEMAX以下となり、出力トルクTEの制限は行われない。ところが、機関回転速度NE1よりも高回転領域においては、WOTトルクが上限トルクTEMAXを超えるため、出力トルクTEの制限がなされる。例えば、機関回転速度NEがNE2(NE2>NE1)である場合、エンジン200の出力トルクTEは、本来図示TE2(即ち、推定トルクTEEST)であるが、当該制限により、上限トルクTEMAX1st2(TEMAX1st2<TE2)に制限される。
ここで、ECT400が2速乃至5速に制御される場合、上限トルクTEMAXは図示PRF_TEMAX2nd〜5th(二点鎖線参照)によって固定値として規定され、機関回転速度NE全域でPRF_100WOT1によって規定される値よりも大きいTEMAX2/5を採る。即ち、本実施形態に係るECT400は、その強度が、2速乃至5速の変速段に対してはエンジン200の最大出力に十分耐え得るように担保されており、如何なるアルコール濃度DEであっても、また如何なるスロットル開度Thrであっても、更には如何なる機関回転速度NEであっても、出力トルクTEの制限はなされない。
即ち、上限トルクTEMAXが図7に示すような特性を採るとすれば、ECT400の変速段が1速に制御される場合であって、且つエタノール濃度DEが少なくとも0%以外の値を採る少なくとも一部の場合に限って(図7から推察すれば、概ね50%以上のエタノール濃度DEに対して)、スロットル開度Thrに応じて(即ち、図7に示されるのはWOTトルクであり、スロットル開度Thrが小さければ、特性は全体的に下方にシフトし得る)、更には機関回転速NEに応じて、適宜出力トルクTEの制限が行われることになる。
このように、本実施形態によれば、変速比iに応じて設定される上限トルクTEMAXによって、ECT400を含むパワートレインの耐久性を、動力の伝達効率を可及的に維持しつつ担保し、エタノール混合燃料を使用することによる出力向上に係る利益を可及的に享受することが可能となる。図7を参照する形で具体的に言えば、パワートレインは、変速段が1速に制御される場合の一部において出力トルクTEが制限されることによって、その物理的な強度自体は、入力され得る駆動力の全域にわたって担保されている必要がなくなり(入力され得る駆動力の全域にわたって十分な強度を有さずともよいように出力トルクTEが制限される、と言い換えてもよい)、相対的に小容量に構成することが可能となる。従って、パワートレインの耐久性が十分に担保された状態で、エタノール混合燃料を使用することによる動力性能の向上に係る利益と、パワートレインを小容量化することによる動力伝達損失の低減及び燃費の向上といった利益とを可及的に両立することが可能となる。即ち、効率的且つ効果的にパワートレインの耐久性が担保されるのである。
また、このように変速比毎に上限トルクTEMAXを設定し得ることに鑑みれば、パワートレインの耐久性は常に担保されるのであり、小容量化による伝達効率及び搭載性の向上を重視するか、或いは大容量化によってエンジンの出力向上を図るかについて、車両の仕様、仕向け及び要求性能等に応じて最適化することが可能となり、実践上極めて有益である。
ここで、例えば、エタノール濃度DEに応じて出力トルクTEの抑制を図る旨の技術を比較例として用いると、図7を参照した場合、エタノール濃度DEが100%である場合には、出力トルクTEの制限を行う必要が生じる。然るに、上述したように、出力トルクTEの制限が必要となるのは本来、パワートレインに入力される駆動力、言い換えれば変速比に応じて定まる、上限トルクTEMAXを超える範囲のみであり、例えばエタノール濃度DEが100%であったとしても、スロットル開度ThrがWOT未満の領域や、機関回転速度NEが低い領域等では、必ずしも出力トルクTEの制限を必要としない。従って、このような比較例では、明らかに不要な出力トルクの制限が行われることとなり、アルコール混合燃料を使用することによる動力性能向上の利益が明らかに消失してしまう。即ち、本実施形態に係るパワートレイン保護処理は、このような比較例に対して明らかに高い利益を提供し得る。
尚、予め図7に示すような変速比iに応じた上限トルクTEMAXの特性が判明している場合、或いは、少なくともエンジン200の動作条件(エタノール濃度DEを含む)によらず耐久性を担保し得る変速段が決まっている場合等には、ステップS101に係る処理において得られる変速比i次第で、ステップS103乃至ステップS107に係る処理を省略し、ステップS108に係る処理を実行して、速やかにエンジン200の動作状態を制御してもよい。
<第2実施形態>
<実施形態の構成>
本発明に係るパワートレインの構成は第1実施形態のものに限定されない。ここで、図8を参照し、本発明の第2実施形態に係る車両20の構成について説明する。ここに、図8は、本発明に係る内燃機関の制御装置に対応する車両20の要部構成を概念的且つ模式的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、車両20は、本発明に係る「変速機」の一例として、ECT400の代わりにCVT700を備える点において、第1実施形態に係る車両10と顕著に異なっている。CVT700は、二個のプーリを備え、当該プーリ各々において無端状のベルトを巻回するためのV溝の溝幅を可変とすることにより変速比を連続的に変化させることが可能に構成された、本発明に係る「変速機」の他の一例たる電子制御式自動変速機である。
ここで、図9を参照し、CVT700の構成について説明する。ここに、図9は、CVT700の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、CVT700は、入力回転軸710、前後進切替装置720、変速部730、出力回転軸740及び油圧制御部750を備える。
入力回転軸(プライマリシャフトとも称される)710は、トルクコンバータ300のタービンランナ320と連結されたシャフト(符号省略)と前後進切替装置720を介して連結された回転軸である。
前後進切替装置720は、出力側に入力回転軸710が、また入力側にトルクコンバータ300側のシャフトが連結されてなり、当該シャフトに対する入力回転軸710の回転方向を正逆の間で切り替えることが可能に構成されたプラネタリギアユニットである。前後進切換装置720は、差動回転可能な3つの回転要素を有する遊星歯車機構と、遊星歯車機構の回転要素の回転を停止させるブレーキと、回転要素同士を選択的に連結するクラッチとを有しており、当該ブレーキ及びクラッチ各々の締結解放の状態に応じて、シャフトの回転方向に対する入力回転軸710の回転方向が切り替わる構成となっている。
変速部730は、駆動プーリ(プライマリプーリとも称される)731、無端ベルト732及び従動プーリ(セカンダリプーリとも称される)733、油圧アクチュエータ734、回転センサ735及び736を含んで構成され、CVT700の変速比を物理的機械的に規定してなるユニットである。駆動プーリ731と従動プーリ733とは、夫々の中心軸線を互いに平行にし、且つ所定の間隔を隔てて配置されている。
駆動プーリ731は、入力回転軸710と一体に回転し、且つ軸線方向に固定された固定プーリ片731aと、入力回転軸710と一体回転し、且つ軸線方向に動作可能に構成された可動プーリ片731bとを有している。この可動プーリ片731bの背面側には、可動プーリ片731bを軸線方向に動作させるための油圧アクチュエータ734が設けられている。油圧アクチュエータ734は更に、可動プーリ片731bに軸線方向の推力を与える油圧室(不図示)を有している。一方、これら固定プーリ片731aと可動プーリ片731bとの対向面は、テーパ角を一定とするテーパ面を形成しており、当該テーパ面によって断面視V字型の溝(以下、適宜「V溝」と称する)が形成されている。駆動プーリ331は、このV溝に係る溝幅を変更することが可能に構成されている。
一方、従動プーリ733は、出力回転軸740と一体に回転し、且つ軸線方向に固定された固定プーリ片733aと、出力回転軸740と一体に回転し、且つ軸線方向に動作可能な可動プーリ片733bとを有している。この可動プーリ片733bの背面側には、可動プーリ片733bを軸線方向に動作させるための油圧アクチュエータ(不図示)が設けられている。当該油圧アクチュエータは更に、可動プーリ片733bに軸線方向の推力を与える油圧室を有している。一方、これら固定プーリ片733aと可動プーリ片733bとの対向面は、テーパ角を一定とするテーパ面を形成しており、当該テーパ面によって、駆動プーリ731と同様にV溝が形成されている。
無端ベルト732は、駆動プーリ731と従動プーリ733との間の動力伝達を行うことが可能に構成された金属製且つ無端状のベルトである。無端ベルト732は、上述した各プーリのV溝に挟み込まれる形状の多数の金属片が環状に配列してなると共に、それらの金属片がフープと称される環状の金属バンドによって結束された構成を有している。
係る構成において、無端ベルト732の全長は、当該フープによって制限される。従って、各プーリによって無端ベルト732を挟み付けると、V溝のテーパ面(傾斜面)によって無端ベルト732を半径方向で外側に押し出す向きの力が作用し、その結果、無端ベルト732に張力が加えられるとともに、無端ベルト732と各プーリとの接触圧力が発生し、その接触圧力と摩擦係数とで決まる摩擦力によって、無端ベルト732と各プーリとの間で出力トルクが伝達される。このように無端ベルト732を挟み付ける圧力として規定される挟圧力は、例えば、従動プーリ733側の油圧アクチュエータ(不図示)の油圧室の油圧に応じて制御される。
これに対し、いずれか一方のプーリにおいて無端ベルト732を挟み付ける圧力が相対的に増大し、あるいは低下すると、無端ベルト732の張力に抗して無端ベルト732が当該一方のプーリで半径方向で外側に押し出され、或いは反対に半径方向で内側に入り込み、同時に他方のプーリでは無端ベルト732が半径方向で内側に入り込み、或いは半径方向で外側に押し出される。その結果、無端ベルト732の巻き掛け半径の変化が生じ、変速が実行される。この際、例えば、駆動プーリ731側の油圧アクチュエータの油圧室に供給される作動油の流量が制御されることによって、当該変速に係る変速比が制御される。このように、CVT700における変速は、駆動プーリ731における上述した溝幅を変化させて、無端ベルト732の各プーリに対する巻き掛け半径を変更することにより実行される。
回転センサ735は、入力回転軸710の回転速度、即ち、入力回転速度Vinを検出することが可能に構成されたセンサである。回転センサ735は、ECU100と電気的に接続されており、検出された入力回転速度Vinは、ECU100によって常に、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
回転センサ736は、出力回転軸740の回転速度、即ち、出力回転速度Voutを検出することが可能に構成されたセンサである。回転センサ736は、ECU100と電気的に接続されており、検出された出力回転速度Voutは、ECU100によって常に、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
油圧制御部750は、駆動プーリ731側の油圧アクチュエータ734の油圧室に供給される作動油の油圧を制御するための制御ユニットであり、当該油圧室に対し相互に並列して配置されたアップシフト制御弁751及びダウンシフト制御弁753を備える。
アップシフト制御弁751は、駆動プーリ731側の油圧アクチュエータ734の油圧室に対する作動油の供給を制御するバルブであり、電気的に接続された第1ソレノイド752から出力される信号によって動作するように構成されている。具体的には、アップシフト制御弁751は、第1ソレノイド752における駆動デューティ比に応じて油圧アクチュエータ734の油圧室に作動油を供給するように構成されている。
ダウンシフト制御弁753は、油圧アクチュエータ734の油圧室から作動油を排出するためのバルブであり、第2ソレノイド754から出力される信号によって動作するように構成されている。具体的には、ダウンシフト制御弁753は、第2ソレノイド754における駆動デューティ比に応じて油圧アクチュエータ734の油圧室から作動油を排出する構成となっている。
尚、油圧制御部750は、ECU100と電気的に接続されており、その動作状態、例えば、第1ソレノイド752及び第2ソレノイド754各々における駆動デューティ比等は、ECU100により制御される構成となっている。例えば、ECU100は、アクセル開度Accや車速V、機関回転速度NE等の入力信号に基づいて変速の要否を判断するとともに、当該変速の要否に基づいて、第1ソレノイド752及び第2ソレノイド754の通電状態を制御するための駆動デューティ比等を演算し、その駆動デューティ比に応じた制御信号を出力するように構成されている。また、ECU100は、従動プーリ733が無端ベルト732を挟み付けることによって生じる上述した挟圧力を制御し、CVT700における伝達出力トルク容量を制御することも可能に構成されている。
このような構成の下、CVT700は、ECU100により、アクセル開度Accや車速V等の車両の走行状態に基づいて、目標変速比又は目標入力回転速度が設定され、変速比(即ち、出力回転速度Voutと入力回転速度Vinとの比)又は入力回転速度Vinがその目標値に一致するように制御される。この際、第1ソレノイド752又は第2ソレノイド754が、ECU100から入力された駆動デューティ比に応じた信号を出力することにより、アップシフト制御弁751から駆動プーリ731側の油圧アクチュエータに作動油が供給されてアップシフトが実行される。アップシフトとは、CVT700変速比を減少側に制御することを指す。これに対して、油圧アクチュエータからダウンシフト制御弁753を介して作動油が排出させられてダウンシフトが実行される。ダウンシフトとは、CVT700の変速比を増加側に制御することを指す。尚、アップシフト制御弁751及びダウンシフト制御弁753を制御することにより、CVT700の変速比を略一定に制御することも可能である。
<実施形態の動作>
車両20において、ECU100は、第1実施形態と同様に、パワートレイン保護処理を実行する。ここで、図10を参照し、本発明の第2実施形態に係るパワートレイン保護処理について説明する。ここに、図10は、パワートレイン保護処理のフローチャートである。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、ステップS101に係る処理により各種信号を取得すると、ECU100は、上限駆動力FOUTMAXを設定する(ステップS201)。ここで、上限駆動力FOUTMAXは、CVT700を含むパワートレインの物理的な強度に鑑み、当該パワートレインの耐久性を担保し得る入力の上限を規定するものとして定められた駆動力であり、本発明に係る「第2の上限値」の一例である。上限駆動力FOUTMAXは、第1実施形態に係る上限トルクTEMAXと異なり、変速比を包含する概念であるから、パワートレイン毎に固定値を採る。
一方、上限駆動力FOUTMAXを設定すると、ECU100は、変速比iを取得する(ステップS202)。ここで、変速比iは、CVT700の入力回転速度Vinと出力回転速度Voutとの比であり、回転センサ735及び736により検出される各回転速度に基づいて取得される。変速比iを取得すると、ECU100は、第1実施形態と同様に、ステップS103からステップS106に係る処理を実行し、推定トルクTEESTを算出する。
ECU100は、次に、算出した推定トルクTEESTと変速比iとに基づいて、推定駆動力FOUTESTを算出する(ステップS203)。ここで、推定駆動力FOUTESTは、推定トルクTEESTに変速比iを乗じた値として算出される。
このようにして推定駆動力FOUTEST及び上限駆動力FOUTMAXが導かれると、ECU100は、推定駆動力FOUTESTが上限駆動力FOUTMAX未満であるか否かを判別する(ステップS204)。推定駆動力FOUTESTが上限駆動力FOUTMAX未満である場合(ステップS204:YES)、ECU100は、エンジン200の出力トルクTEを制限することなく、推定トルクTEESTに応じた制御量を設定する(ステップS108)。
一方、推定駆動力FOUTESTが上限駆動力FOUTMAX以上である場合(ステップS204:NO)、ECU100は、先に取得された変速比iと上限駆動力FOUTMAXとに基づいて、即ち、上限駆動力FOUTMAXを変速比iにより除することによって、上限駆動力FOUTMAXに対応する上限トルクTEMAXを算出し(ステップS205)、算出された上限トルクTEMAXに対応する制御量を設定する(ステップS109)。ステップS108又はステップS109に係る処理が実行されると、第1実施形態と同様にエンジン動作条件が制御され(ステップS110)、処理はステップS101に戻される。第2実施形態に係るパワートレイン保護処理は以上のように実行される。
ここで、このようにパワートレイン毎に、少なくとも耐久性を担保し得る限りにおいて自由に設定可能な上限駆動力FOUTMAXによれば、予め変速比の概念を含むため、変速比毎に上限トルクTEMAXを設定する必要がなく、ECU100の処理負荷が軽減される。尚、このように、推定トルクTEESTではなく推定駆動力FOUTESTに基づいて出力トルクTEを制限すべきか否かを判別する態様も、駆動力が変速比の関数であることに鑑みれば、「変速比に基づいて出力トルクを制限すべきか否かを判別する」範疇である。
ここで、第2実施形態の効果について、図11を参照して説明する。ここに、図11は、第2実施形態に係るパワートレイン保護処理の効果を説明する模式図である。
図11において、縦軸及び横軸には夫々駆動力FOUT及び出力回転速度Voutが表される。ここで、横軸に表される出力軸回転速度Voutは、CVT700の出力軸740の回転速度であるから、結局は車速Vの関数である。従って、横軸には車速Vが表されても、概ね同様の特性を得ることができる。
ここで、上述したように、パワートレインに入力することが許容される上限駆動力FOUTMAXは、図示PRF_FOUTMAX(二点鎖線参照)として表され、図示FOUT1を採る。ここで、エタノール濃度DEが0%である場合のWOT駆動力(即ち、WOTトルクに対応する駆動力)が図示PRF_0WOT2(破線参照)、100%である場合のWOT駆動力が図示PRF_100WOT2(一点鎖線参照)として規定されるものとする。
この場合、エタノール濃度DEが0%である場合には、出力回転速度Voutの全域で駆動力FOUTは上限駆動力FOUT1を下回り、出力トルクTEの制限は行われない。一方、エタノール濃度DEが100%である場合、出力回転速度VoutがVout1未満となる範囲で駆動力FOUTが上限駆動力FOUTMAXを超えるため、当該範囲でエンジン200の出力トルクTEが制限される。
このように、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、CVT700を含むパワートレインの耐久性を、動力の伝達効率を可及的に維持しつつ担保し、エタノール混合燃料を使用することによる出力向上に係る利益を可及的に享受することが可能となる。即ち、効率的且つ効果的にパワートレインの耐久性が担保されるのである。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係り、本発明に係る内燃機関の制御装置に対応する車両の要部構成を概念的且つ模式的に表してなる概略構成図である。 図1の車両におけるエンジンの模式図である。 図1の車両に備わるトルクコンバータ及びECTの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 ECTにおける油圧式摩擦係合装置各々の係合状態とECTの変速段との対応関係を説明する表である。 ECUにより実行されるパワートレイン保護処理のフローチャートである。 図5のパワートレイン保護処理において参照されるトルク補正値KALの特性を表す模式図である。 図5のパワートレイン保護処理の効果を説明する模式図である。 本発明の第2実施形態に係り、本発明に係る内燃機関の制御装置に対応する車両の要部構成を概念的且つ模式的に表してなる概略構成図である。 図8の車両に備わるCVTの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 第2実施形態に係るパワートレイン保護処理のフローチャートである。 図10のパワーとレイン保護処理の効果を説明する模式図である。
符号の説明
10…車両、12…車速センサ、14…シフト位置センサ、15…アクセル開度センサ、20…車両、100…ECU、200…エンジン、210…スロットルバルブ、300…トルクコンバータ、301…タービン回転センサ、400…ECT、500…ECT駆動部、600…油圧コントローラ、700…CVT。

Claims (5)

  1. アルコール混合燃料を使用可能な内燃機関と、変速機を含むパワートレインとを備えた車両において該内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
    前記変速機の変速比を特定する変速比特定手段と、
    前記特定された変速比に基づいて前記内燃機関の出力トルクを制限すべきか否かの判別を行う判別手段と、
    前記出力トルクを制限すべき旨の前記判別が行われた場合に、前記出力トルクが制限されるように前記内燃機関を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記出力トルクを特定するトルク特定手段と、
    前記特定された変速比に応じて前記出力トルクの上限を規定する第1の上限値を設定する第1の上限値設定手段と
    を更に具備し、
    前記判別手段は、前記特定された出力トルクと前記設定された第1の上限値との比較に基づいて前記判別を行い、
    前記制御手段は、前記出力トルクを制限すべき旨の判別が行われた場合に、前記出力トルクが前記設定された第1の上限値以下となるように前記内燃機関を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記判別手段は、前記特定された出力トルクが前記設定された第1の上限値より大きい場合に前記出力を制限すべき旨の判別を行う
    ことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1の上限値設定手段は、前記特定された変速比が大きい程小さくなるように前記第1の上限値を設定する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記出力トルクを特定するトルク特定手段と、
    前記特定された出力トルク及び変速比に基づいて前記パワートレインに加わる駆動力を特定する駆動力特定手段と、
    前記駆動力の上限を規定する第2の上限値を設定する第2の上限値設定手段と
    を更に具備し、
    前記判別手段は、前記特定された駆動力と前記第2の上限値との比較に基づいて前記判別を行い、
    前記制御手段は、前記出力トルクを制限すべき旨の判別が行われた場合に、前記出力トルクが制限されることにより前記駆動力が前記設定された第2の上限値以下となるように前記内燃機関を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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