JP2008230528A - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】SATの大きさ及び変化量に対し適切な操舵反力が得られるようにすることにより、ドライバに対して車両の挙動を予測し易くすると共に、操舵時における滑り始めを検知し易くさせてハンドルの切増しを抑制することができ、比較的安価でしかも信頼性の高い高い電動パワーステアリング装置の制御装置を提供する。
【解決手段】SATを推定するSAT推定手段と、SATの変化及び前記操舵トルクの変化の比率を設定するF調整手段とを具備し、アシストトルク及び操舵トルクの比であるアシストゲインとF調整手段によりSATフィードバックゲインを求め、SATフィードバックゲインに基づいてSATを調整し、調整されたSATフィードバック補償値によりアシストトルクを補正する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両の操舵にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、特に車両の状態により変化するセルフアライニングトルクの変化量と操舵トルクの変化量が予め設定された比率になるように補正値を算出し、この算出された補正値でアシスト量(アシストトルク)を補正して操舵トルクを適切に調整することができる電動パワーステアリング装置の制御装置に関する。
車両のステアリング装置をモータの回転力で補助負荷付勢する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助負荷付勢するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシストトルク(操舵補助力)を正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデュ−ティ比の調整で行っている。
ここで、電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図18に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に連結されている。コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が、減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30には、バッテリ14から電力が供給されると共に、イグニッションキー11を経てイグニッション信号が入力され、コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいてアシスト指令の操舵補助指令値Iの演算を行い、演算された操舵補助指令値Iに基づいてモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPUやMCUを含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図19のようになる。
図19を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThは操舵補助指令値演算部32に入力され、車速センサ12で検出された車速Vも操舵補助指令値演算部32に入力される。操舵補助指令値演算部32は、入力された操舵トルクTh及び車速Vに基づいて、メモリ33に記憶されているアシストマップを参照してモータ20に供給する電流の制御目標値である操舵補助指令値Iを決定する。操舵補助指令値Iは減算部30Aに入力されると共に、応答速度を高めるためのフィードフォワード系の微分補償部34に入力され、減算部30Aの偏差(I−i)は比例演算部35に入力されると共に、フィードバック系の特性を改善するための積分演算部36に入力され、その比例出力は加算部30Bに入力される。微分補償部34及び積分補償部36の出力も加算部30Bに加算入力され、加算部30Bでの加算結果である電流制御値Eが、モータ駆動信号としてモータ駆動回路37に入力される。モータ駆動回路37にはバッテリ14から電力が供給され、モータ20のモータ電流値iはモータ電流検出部38で検出され、モータ電流値iは減算部30Aに入力されてフィードバックされる。
このような電動パワーステアリング装置において、直進状態にある車両は、ドライバからのハンドル1の操舵により転舵輪が転舵されると前輪に横すべり角が生じ、横力が発生し、車両の重心に対して回転モーメントが発生することで、旋回状態に変化する。その後、後輪にも横すべり角が発生し、前輪及び後輪に発生した横力と車両の重心点の回転モーメントが釣合うことで定常旋回状態となる。このように、前輪に発生している横力は、キングピン軸回りの回転反力、つまりセルフアライニングトルク(以下、「SAT」とする)としてハンドル1に伝わる。更にハンドル1を操舵することで、前輪に発生する横すべり角の変化は更なるSATの変化となり、その変化が前輪からハンドル1、そしてドライバに伝わる。
SATはハンドルを元の位置に戻そうとする力であり、図20に示すようにドライバがハンドルを操舵することによって操舵トルクThが発生し、その操舵トルクThに従ってモータMがアシストトルクTmを発生する。その結果、前輪が転舵され、反力としてSATが発生する。その際、モータMの慣性とステアリング機構部の慣性を併せた等価慣性J及び摩擦トルクFrによってハンドル操舵の抵抗となるトルクが生じ、これらの力の釣合を考えると、下記数1の運動方程式が得られる。なお、ωは角速度、ωは角加速度である。
Figure 2008230528
また、図21は、横力の着力点が前輪Wfの中心線CL1よりもニューマチックトレールξn分だけ後方にある様子を示し、ハンドルの戻りを良くするためのキャスタ角によるキャスタトレールξcが、前輪Wfの中心線CL1より前方にあることを示している。ここで、前輪Wfの片輪にかかるSATは横力とトレールの積(横力×トレール)であり、つまり、トレールをξ、横すべり角をβf、前輪WfのコーナリングパワーをKfとすると、SATは下記数2で求めることができる。なお、横すべり角βfとコーナリングパワーKfの乗算値を横力、ニューマチックトレールξnとキャスタトレールξcの加算値をトレールξとする。横すべり角βfが小さい場合は、横すべり角βfと横力は線形と見なして良いからである。
Figure 2008230528
図22は、横すべり角βfに対するSAT及び横力の変化を示す特性図であり、横すべり角βfが増加するに従って横力及びSATも増加し、横力が飽和するとSATが徐々に減少し始め、グリップを失っていく様子を示している。
次に、前輪が横滑りしながら転動する様子を図23、図24及び図25に示して説明する。
図23は、タイヤの接地面全体において発生する横力を示す図であり、横力によってタイヤがトレッド部の横方向へ変形(斜線部)し、SATが横すべり角βfを減少させる方向に働く様子を示している。図24は、図23の斜線部を詳細に示す図であり、横力の着力点(斜線部の重心)、粘着領域、接地長及び滑り域を示している。
そして、図25は、図24の斜線部の粘着領域の変化を簡略化して三角形として示しており、ニューマチックトレールξnの変化を示している。横すべり角βfが大きくなるに従って三角形ABC1から三角形ABC2へ、そして三角形ABC3まで変化し、三角形の変化に対応した着力点の変化をそれぞれP1、P2及びP3で示している。また、三角形ABC1〜ABC3の合力の着力点P1〜3に対応して、横すべり角βfの変化に伴うニューマチックトレールξnの変化を示している。つまり、横すべり角βfが大きくなると、三角形ABC1〜ABC2までの合力は増加するがニューマチックトレールξnは変化せず、三角形ABC2〜ABC3まで変化すると合力は変化せず、ニューマチックトレールξnに変化が現れる様子を示している。なお、前輪の摩擦係数μが同じであれば、前輪が滑り始める力は変わらないものとする。
このような電動パワーステアリング装置において、例えばドライバがコーナリング時における車両の挙動を補正しようとする場合、ドライバはSATを感じて車両の挙動を補正するように操舵する。しかしながら、車両の挙動変化に伴う横加速度、ヨーレートを受けるタイミングや大きさが変化すると、変化の状況によっては、ドライバは常にほぼ一定の操舵フィーリングを感じることができない。
かかる問題を解決する装置として、例えば特開2003−285754号公報(特許文献1)に示される装置がある。この特許文献1の装置では、車両の挙動が変化しても、ドライバが常にほぼ一定の良好な操舵フィーリングであると感じるようにしている。即ち、モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出するトルクセンサと、このトルクセンサの値を小さくするようにモータの制御量を設定する第1制御部と、ドライバが感じる操舵力とドライバが感じる車両の挙動との関係が予め設定した関係となるようにモータの制御量を設定する第2制御部と、これら第1制御部及び第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量によりモータを制御するモータ制御部とを具備している。
また、特開2006−131064号公報(特許文献2)に示される装置では、前輪と後輪とに作用する横力を直接的に検出することで、車輪に作用する横力を特定し、アシストトルクの応答性及び制御精度を改善するようにしている。また、コーナリング時におけるヨーレートの変化を抑制するようにアシストトルクを補正することで、ドライバに修正操舵を促すようにしている。即ち、ステアリング装置において、前輪と後輪とのそれぞれを検出対象として、車輪に作用する横力を直接的に検出する検出部と、ドライバによって操作されるハンドルの操作量を車輪へ伝達する操舵系に設けられており、操舵系にアシストトルクを加えるアクチュエータと、前輪に作用する横力と後輪に作用する横力とに基づいて、操舵系に加えるアシストトルクを補正する処理部と、補正されたアシストトルクに基づいて、アクチュエータを制御する制御部とを具備している。
特開2003−285754号公報 特開2006−131064号公報
しかしながら、特許文献1の装置では、目標となる操舵特性モデルを用いて、ほぼ一定となるような操舵フィーリングを演算して出力するようにしているため、ドライバがSATを的確に判断できない問題がある。つまり、ドライバが車両の挙動を把握しにくくなってしまう場合がある。また、特許文献2の装置では、前輪及び後輪の横力を検出し、目標とする操舵トルクを演算して補正するが、車両の挙動を検出するための各種検出センサを必要とする共に、高機能、高処理能力を備えたCPUを必要とするため、コストが大きくなってしまう問題がある。
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、車両の挙動に合わせ、即ちSATの大きさ及び変化量に対し適切な操舵反力(操舵トルク)が得られるようにすることにより、ドライバに対して車両の挙動を予測し易くすると共に、操舵時における滑り始めを検知し易くさせてハンドルの切増しを抑制することができ、比較的安価でしかも信頼性の高い電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することにある。
本発明は、操舵トルク及び車速に基づいて算出された電流指令値により操舵系にアシストトルクを付与するモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、本発明の上記目的は、SATを推定するSAT推定手段と、前記SATの変化及び前記操舵トルクの変化の比率を設定するF調整手段とを設け、前記アシストトルク及び前記操舵トルクの比であるアシストゲインと前記F調整手段によりSATフィードバックゲインを求め、前記SATフィードバックゲインに基づいて前記SATを調整し、前記調整されたSATフィードバック補償値により前記アシストトルクを補正することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記比率が前記車速に応じて設定されるようになっていることにより、或いは前記比率が前記モータの角速度、又はコラム角速度若しくはラック速度に応じて設定されるようになっていることにより、或いは前記比率が前記SAT推定値と前記モータの角速度、又はコラム角速度若しくはラック速度とに応じて設定されるようになっていることにより、或いは前記比率が前記SAT推定値及びハンドルの切増し/切戻しの判定信号に応じて設定されるようになっていることにより、或いは前記比率が、前記モータの角速度又はコラム角速度若しくはラック速度、前記車速、前記SAT推定値及びハンドルの切増し/切戻しの判定信号に応じて設定されるようになっていることにより、或いは前記判定信号が切増しで、前記SAT推定値の絶対値が減少で、かつ前記SAT推定値の変化の絶対値が所定値より小さいときに正相関になるように前記比率を求めて補正するようになっていることにより、或いは前記判定信号が切増しで、前記SAT推定値の絶対値が減少で、かつ前記SAT推定値の変化の絶対値が所定値以上のときに負相関になるように前記比率を求めて補正するようになっていることにより、或いは前記所定値を前記車速又は前記モータ角速度若しくはコラム角速度、或いは前記車速及び前記モータ角速度若しくはコラム角速度で変えるようになっていることにより、或いは前記アシストゲイン演算部を、前記電流指令値の変化量を算出する電流指令値変化量算出手段と、前記電流指令値の変化量を前記操舵トルク変化量で除算する除算部とで構成していることにより、或いは前記SAT推定手段の後段、又は前記アシストゲイン演算部の後段に位相補償手段が設けられていることにより、或いは前記位相補償手段が現在値と過去値に基づいて将来の補償値を演算する位相進み補償手段であることにより、或いは前記アシストゲイン演算部の後段又は前段に高周波ノイズ除去用フィルタが設けられていることにより、より効果的に達成される。
本発明の電動パワーステアリング装置の制御装置によれば、車両の状態により変化するSATの変化量とドライバからの操舵トルク変化量が予め設定された比率になるように、SATフィーバックゲインを調整してアシスト量(アシストトルク)を補正するので、車両の挙動の変化として現れるSATの変化を操舵トルクの変化として感じ易くなり、ドライバが操舵状況を適切に認識することができると共に、ドライバは車両の挙動を予測し易くなるので運転が容易になる。
また、SATの変化量に基づいて操舵トルクを調整するようにしているので、車両の操舵時における滑り始めを検知し、ハンドルの切増しを抑制するように操舵トルクを補正することができる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、SATの変化及び操舵トルクの変化の比率を設定するF調整手段を具備しており、アシストトルク及び操舵トルクの比であるアシストゲインとF調整手段によりSATフィードバックゲインを求め、SATフィードバックゲインに基づいてSATを調整し、調整されたSATフィードバック補償値によりアシストトルクを補正しているので、ドライバに正しく操舵状況及び車両の挙動を伝えると共に、ドライバは安全な方向へ操舵し易くなる。
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
先ず本発明の前提となる基本制御系を図1に示して説明する。図1の構成は、上記数1に基づいて構成されたものである。
トルクセンサにより検出された操舵トルクThはアシストマップ59、微分器51及びSAT推定手段40内の加算部45Bに入力され、アシストマップ59においてアシストゲインKmで算出された基本アシストトルクThaが加減算部50Aに加算入力され、微分補償のための微分器51において微分された操舵トルクがゲイン部52でゲインKdを乗算され、補償された微分補償トルクThbが加減算部50Aに加算入力される。また、SAT推定手段40で推定されたSAT推定値SATがゲイン部43でゲイン演算され、ゲイン部43からのSATフィードバック補償値SAT が加減算部50Aに減算入力され、加減算部50Aで加減算処理された電流指令値Iが伝達関数部53及び伝達関数部44に入力される。伝達関数部53及び44はいずれも伝達関数Kt・G(Ktはモータのトルク定数、Gは減速ギア比)を有しており、伝達関数部53はモータ及び減速ギアにより実際に発生するアシストトルクを示すブロックであり、伝達関数部44は推定論理(ソフトウェア)で換算することを示すブロックである。
そして、伝達関数部53で伝達関数Kt・Gを乗算されたアシストトルクTAがブロックA内の減算部50Bに入力され、伝達関数部44で伝達関数Kt・Gを乗算されたモータによる補助(アシスト)トルクTm(=I・Kt・G)が加算部45Bに入力され、加算部45Bで操舵トルクThと加算処理されたトルク信号Th+Tmは減算部45Cに入力される。
ブロックAは機構部を簡略的にモデル化した伝達関数ブロックであり、Jは慣性(=モータ慣性とステアリング機構部の慣性を併せた等価慣性)、Frは摩擦トルクである。また、車両からの実SATがブロックA内の減算部50Bに減算入力され、ブロック58からの角速度(コラム軸角速度)ωが摩擦演算部54を介してFr・sign(ω)で減算部50Bにフィードバックされ、減算部50Bの減算処理結果である加速トルクTCがブロック58に入力される。ブロック58からの角速度ωは積分器57で積分され、角度θとなる。角度θは図示しないレゾルバ等の角度検出部に入力され、検出された角度θが角速度算出部56に入力され、角速度算出部56で算出された角速度ωが角加速度算出部55及びSAT推定手段40内の摩擦演算部41に入力され、角加速度算出部55で角加速度ωが算出される。角加速度ωはSAT推定手段40内の慣性演算部47に入力される。
なお、ブロック57はコラム軸角速度ωから角度θの伝達関数を示すものであり、コラム軸角速度ωを直接測定するのではなく、減速比Gの減速機を介して得られるモータの角度θを微分して角速度ωを求め、モータ角速度/減速比を求めると、これがコラム軸角速度となるが、実質的にはω=ωである。
一方、角速度算出部56で算出された角速度ωが、SAT推定手段40内の摩擦演算部41を介してFr・sign(ω)で加算部45Aに入力され、角加速度算出部55からの角加速度ωが慣性演算部47に入力され、慣性演算部47の出力であるJ・ωが加算部45Aに入力され、加算部45Aで加算処理された演算値h(=J・ω+Fr・sign(ω))が減算部45Cに減算入力される。減算部45Cにおいて、トルク信号Th+Tmから演算値hが減算処理され、その減算結果は、ドライバの操舵感覚を向上するのに必要十分な情報のみをフィードバックするためのQフィルタ42に入力され、Qフィルタ42の出力であるSAT推定値SATが、ドライバに車両の挙動と合った操舵トルクとなるように設定されているSATゲインKsを有するゲイン部43に入力され、ゲイン部43からのSATフィードバック補償値SAT が加減算部50Aに減算入力される。
なお、SAT推定手段40は摩擦演算部41、Qフィルタ42、伝達関数部44、慣性演算部47等で構成されている。
このような本発明の前提となる図1の基本制御系において、SAT推定手段40及びゲイン部43で演算されたSATフィードバック補償値SAT は加減算部50Aに入力され、基本操舵トルクTha及び微分補償トルクThbの加算値から減算することによって電流指令値I、つまりアシストトルクTAを補正している。そして、SATの変化量と操舵トルクThの変化量の比率が比率Fになるようにゲイン部43のSATゲインKsを調整するが、SATゲインKsの調整によりアシスト量を補正する原理を以下に説明する。
先ず、上記数1に基づいて時点kにおける力の釣合式を表すと、下記数3になる。
Figure 2008230528
ここで、Kmはアシストマップ59のアシストゲイン、Kdはゲイン部52に設定されているゲインである。
そして、時点(k+1)における力の釣合は、下記数4になる。
Figure 2008230528
ここで、静的状態においては、ω(k+1)=ω(k)=0、ω(k+1)=ω(k)=0、dTh/dt(k+1)=dTh/dt(k)=0であり、上記数4と数3の差を求めると、下記数5及び数6になる。
Figure 2008230528
Figure 2008230528
ここで、SATの変化量ΔSAT=SAT(k+1)−SAT(k)、SAT推定値SATの変化量ΔSAT=SAT(k+1)−SAT(k)、操舵トルクThの変化量ΔTh=Th(k+1)−Th(k)である。
そして、ΔSAT=ΔSATとし、ΔTh=F・ΔSATとなる比率Fを定義すると、下記数7のようになる。
Figure 2008230528
更に、両辺をSATの変化量ΔSATで除算することにより、下記数8が得られる。
Figure 2008230528
そして、上記数8は、下記数9に整理することができる。
Figure 2008230528
数9をSATゲインKsについて解くと、下記数10になる。
Figure 2008230528
上記数10から、SATの変化量ΔSATと操舵トルクThの変化量ΔThの比率Fが設定されると、既知のアシストゲインKm、減速ギア比G及びトルク定数Ktを入力することによりSATゲインKsを得ることができることが分かる。即ち、SATの変化量ΔSATに対する操舵トルクThの変化量ΔThの比率Fに基づいて、ゲイン部43のSATゲインKsを調整することができる。なお、アシストゲインKmはアシストマップ59により事前に求めることができるが、操舵トルクThの変化量ΔThに対する電流指令値Iの変化量から求めても良い。
図2は、下記数11によりSATゲインKsを一定として、アシストゲインKmが変化する場合の比率F(=ΔTh/ΔSAT)の特性例を示しており、比率Fは一定でなく、アシストゲインKmが大きくなるほど比率Fが徐々に小さくなる特性を示している。
Figure 2008230528
このように、車両の状態を表すSATの変化量ΔSATと操舵トルクThの変化量ΔThが特定の比率Fになるように設定し、比率Fに基づいてゲイン部43のSATゲインKsを調整し、SATゲインKsに基づいてSAT推定値SATを補正し、その補正された補正値をSATフィードバック補償値SAT とする。つまり、補正されたSATフィードバック補償SAT をアシストトルクに付加(減算)することで、ドライバに操舵状況及び車両の挙動を、より感じさせるように操舵トルクThを補正すると共に、適切な比率Fに基づいてアシストトルクを補正するので、安全な舵角方向への操舵を容易にさせることが可能となる。
上述した原理に基づいて、本発明の第1実施例を図3に示して説明する。また、図3は図1に示す基本制御系に対応しており、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
トルクセンサにより検出された操舵トルクThがアシストゲイン演算部61に入力され、操舵トルクThに対応して予め演算されたアシストゲインKm(アシストマップ59の傾き)が伝達関数部(=Kt・G)64に入力され、伝達関数部64で演算“Km・Kt・G”を行って加算部67Bに入力されると共に、定数部65Aの「1」が加算部67Bに入力され、加算部67Bで加算処理された信号“1+Km・Kt・G”がF調整手段60に入力される。
F調整手段60では、SATの変化量ΔSATに対する操舵トルク変化量ΔThの比率F(=ΔTh/ΔSAT)が予め設定されており、加算部67Bからの信号“1+Km・Kt・G”と乗算処理し、その乗算処理結果“F(1+Km・Kt・G)”を減算部67Aに加算入力し、定数部65Bからの「1」を減算処理し、その減算結果“F(1+Km・Kt・G)−1”を乗算部70に入力する。そして、乗算部70でSAT推定手段40からのSAT推定値SATと乗算され、その乗算結果“SAT・F(1+Km・Kt・G)−1”が伝達関数部(=1/(Kt・G))66に入力されて乗算され、その乗算結果“SAT・{F(1+Km・Kt・G)−1}/(Kt・G)(=SAT・Ks)”がSATフィードバック補償値SAT として加減算部50Aに減算入力される。
本実施例によれば、SATの変化量ΔSATに対する操舵トルク変化量ΔThの比率Fが予め設定されており、比率Fになるようにアシストトルクを補正している。
次に、本発明の第2実施例を、図3(第1実施例)に対応させて図4に示して説明する。
本実施例では、車速センサで検出された車速VがF調整手段60に入力されており、SATの変化量ΔSATと操舵トルクの変化量ΔThとの比率Fが、車速Vに応じて設定されるようになっている。つまり、車速Vに応じて設定される比率Fを用いてアシストトルクを補正している。
このように車速Vに応じて比率Fを設定することにより、図5に示すように車速Vに応じた操舵トルクThの大きさ、変化を達成できる例を示している。例えば操舵トルクThが小さい(ハンドルが軽い)場合、車速Vの値によってはドライバが十分なSATを感じることができず、少しの操舵で車両がふらつくなどドライバに安心感を与えられないので、車速Vに応じた操舵感覚が十分に得られるように操舵トルクThの大きさ及び変化を大きくするように比率Fを設定し、SATゲインKsを調整する例を示している。つまり、舵角θとSATは、舵角θが小さい場合はほぼ一定の関係にあり、SATと操舵トルクThの関係も図5と同様であり、傾きが異なっているということは、比率Fが異なることを意味する。
また、図6は本発明の第3実施例を図4に対応させて示しており、F調整手段60への入力を車速Vに代えて角速度ωとしている。即ち、角速度算出部56で算出された角速度ωがF調整手段60に入力され、SATの変化量ΔSATと操舵トルクThの変化量ΔThとの比率Fを角速度ωに応じて設定するようになっている。本実施例によれば、角速度ωに応じて設定される比率Fを用いてアシストトルクを補正する。なお、本例では角速度ωを、舵角θを角速度算出部56に入力して算出しているが、角速度検出センサを用いて検出するようにしても良い。
このように角速度ωに応じて比率Fを設定することにより、図7に示すように角速度ωに応じた操舵トルクThの大きさ、変化を達成できる例を示している。例えば角速度ωに対して操舵トルクThが小さい(軽く感じる)場合、角速度ωの大きさによっては、ドライバにグリップ感覚の不安を与えてしまう恐れがある。つまり、角速度ωが大きいほど、操舵トルクThの変化を大きくするように比率Fを設定し、SATゲインKsを調整する必要がある。
更に、本発明の第4実施例を図8に示して説明する。
第4実施例では、SAT推定手段40により推定されたSAT推定値SATと角速度ωがF調整手段60に入力されており、SAT推定値SATと角速度ωに応じて比率Fが設定されるようになっている。つまり、第4実施例では、SAT推定値SATと角速度ωに応じて設定される比率Fを用いてアシストトルクを補正する。
図9は、横すべり角βfに対するSATの変化及びSATの変化率を示す特性例であり、SATの変化は横すべり角βfが小さいときはほぼ線形に増加するが、横すべり角βfが大きくなるに従い傾きが緩くなり、ピークを過ぎてから緩やかに減少し、更にほぼ線形的に減少する。一方、横すべり角βfに対するSATの変化率は、SATの線形増加領域及び線形減少領域で一定となり、SATのピーク領域で正から負への線形傾斜となる特性を示す。ここで、図10は図8の第4実施例において、図9に示されるSATの特性に基づき、SATの大きさに応じて比率Fを変更することにより、よりSATの変化を感じ易くする比率Fの設定例を示している。例えばドライバがSATの変化を容易に認識できるようにするため、舵角θの小さい領域では操舵トルクThの立ち上がりを滑らかにし、比率Fを緩やかに大きくする。図示破線のように、一定としても良い。また、SATが線形に上昇している舵角θの領域では、操舵トルクThの変化をSATの変化と線形にするため、比率Fをほぼ一定にし、SATが減少変化する舵角θの大きい領域ではSATの減少を分かり易くするために比率Fを大きくし、車両挙動の現象をドライバに判り易くする。このとき、舵角θが大きくなってSATが小さくなったのか、舵角θが小さくなってSATが小さくなったのかを判定するために、角速度情報を用いると良い。SAT推定値SATと角速度ωが同符号のとき、比率Fを大きくする。
更に、本発明の第5実施例を図11に示して説明する。
本実施例では切増し/切戻し判定手段80及びF設定部62を新たに付加しており、切増し/切戻し判定手段80はハンドルの切増し及び切戻しを判定して判定信号DSを出力する。そして、判定信号DSがF設定部62に入力されると共に、SAT推定手段40により推定されたSAT推定値SATがF設定部62に入力され、F設定部62で設定された設定値AdがF調整手段60に入力されている。切増し/切戻し判定手段80は、例えば特開2006−248252号公報に示されるように、舵角θと角速度ωの符号が同一の場合に“切増し”と判定し、舵角θと角速度ωが異符号の場合に“切戻し”と判定し、2値(切増し/切戻し)の判定信号DSを出力する。また、特開2003−170856号公報に示されるように、操舵トルクThの符号と操舵トルク変化率の符号とが同一で、且つ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上のときに“切増し”と判定し、操舵トルクThの符号と操舵トルク変化率の符号とが異符号で、且つ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上のときに“切戻し”と判定するようにしても良い。
次に、図11の第5実施例の動作例を、図12のフローチャートを参照して説明する。
先ず切増し/切戻し判定手段80からの判定信号DS及びSAT推定手段40からのSAT推定値SATがF設定部62に入力され、F設定部62はハンドルが“切増し”になっているか否かを判定し(ステップS10)、“切増し”が判定されなかった場合はリターンとなる。一方、上記ステップS10において“切増し”が判定された場合は、SAT推定値SATの絶対値が減少しているか否かを判定し(ステップS11)、SAT推定値SATの絶対値が減少していない場合はリターンとなる。上記ステップS11においてSAT推定値SATの絶対値の減少が判定された場合には、SATの変化量ΔSATの絶対値|ΔSAT|と所定値αの大小を比較し(ステップS12)、絶対値|ΔSAT|が所定値αより小さい場合には正の相関関係(例えばSATが減少していくとき、トルクも減少させる)となるように設定値Adを設定する(ステップS13)。また、絶対値|ΔSAT|が所定値α以上の場合には、負の相関関係(例えばSATが減少していくとき、トルクを増加させる)となるように設定値Adを設定する(ステップS14)。
このように、ハンドルの切増し時にSAT推定値SATの絶対値が増加しているとき、操舵トルクThの変化量ΔThがSATの変化量ΔSATと正相関になるようにアシストトルクを補正し、ハンドルの切戻し時にSAT推定値SATの絶対値が減少しているとき、操舵トルクThの変化量ΔThがSATの変化量ΔSATと正相関になるようにアシストトルクを補正する。
ここで、F設定部62は入力されたSAT推定値SAT及び切増し/切戻しの判定信号DSに基づいて設定値Adを定め、F調整手段60はF設定部62からの設定値Adに応じて比率Fを設定する。以下、F設定部62の設定値Adによる比率Fの設定例を、図13を参照して説明する。なお、図13は例として、右切り(角度θが正の方向に大きくなる)のときにSATが正の方向に大きくなる場合を示しており、左切り(角度θが負の方向に大きくなる)ときは、図13の原点を中心として180度回転した特性となる。
図13(A)の各線の傾きが設定値Adとなっており、例えば図13(B)及び(C)のような関係があるとき、つまり舵角θに対してSATが線形に増加し、かつ時間tに対して舵角θが増加→ピーク値→減少と変化するとき、舵角θとして緩やかに立ち上がるようなsin波で入力すると、SATもsin波状に変化し、図13(A)に示すような変化量ΔSATと変化量ΔThの関係となる。角速度ω>0の切増し時にSAT推定値SATが増加している場合、操舵トルクThの変化量ΔThがSAT推定値SATの変化量ΔSATと正相関になるようにアシストトルクを補正し、角速度ω<0の切戻し時にSAT推定値SATが減少している場合、操舵トルクThの変化量ΔThがSAT推定値SATの変化量ΔSATと正相関になるようにアシストトルクを補正する。例えば特性(a)及び(d)については、0→a1→0→d1→0となる。
また、車速Vによって設定値Adを変えるようになっており、切増し時には車速Vが大きくなるに従って(a)→(b)→(c)のように変化させ、切戻し時には車速Vが大きくなるに従って(d)→(e)→(f)のように変化させる。(a)→(b)→(c)のようにするのは、第2実施例で説明した理由による。また、(a)と(d)の傾きが異なる理由は、切戻し時は外力(SAT)による戻りの力があるため、トルクの変化を大きくすると戻される感じが大きくなってドライバが操舵し難くなり、ドライバの戻され感を低減するためには傾きを小さくする必要があるためである。
一方、ハンドルが切増しで且つ検出される変化量ΔSATの絶対値|ΔSAT|が減少している場合、つまり滑り始めの状態では、SAT変化量ΔSATの絶対値|ΔSAT|と所定値αの大小を比較し、絶対値|ΔSAT|が所定値αより小さいときには正の相関関係になるように設定値Adにより比率Fを設定する。また、絶対値|ΔSAT|が所定値α以上になった場合は、負の相関関係になるように図13(A)に示されるように、角速度ωに従って(g)→(h)→(i)になるように設定値Adにより比率Fを設定する。なお、所定値αの範囲は、ドライバがハンドルを切増しするほど操舵トルクが軽く感じられるようにするものであり、所定値αを超えてSATが大きく減少すると、操舵トルクをタイヤのグリップが戻る方向、つまり切戻しの方向へ促すように操舵トルクを重くする。
このように、本実施例によれば、車両がコントロール出来なくなる前に、設定値Adに基づいて比率Fが設定され、SATゲインKsが調整され、操舵トルクThが補正される。
更に本発明の第6実施例を、図11に対応させて図14に示して説明する。
本実施例のF設定部62には、SAT推定手段40からSAT推定値SAT、切増し/切戻し判定手段80からハンドルの切増し/切戻しの判定信号DS、角速度算出部56から角速度ω、車速センサから車速Vがそれぞれ入力され、SAT推定値SAT、切増し/切戻しの判定信号DS、角速度ω、車速Vに基づいて設定値AdがF設定部62で設定され、設定された設定値AdがF調整手段60に入力され、F調整手段60で比率Fが設定される。以下に、F設定部62の設定値AdによりF調整手段60の比率Fを設定する例を、図13を参照して説明する。
図13は図14の第6実施例において、SAT推定値SAT及び切増し/切戻しの判定信号DS、車速V及び角速度ωに応じて比率Fを設定することにより、SAT推定値SAT及び判定信号DS、車速V及び角速度ωに応じた操舵トルクThの大きさ及び変化を大きくするように、比率Fを求めることができることを示している。例えば図13に示されるように(g)→(h)→(i)になるように、角速度ωに対応させて設定値Ad(傾き)を調整して比率Fを設定する。なお、入力される車速Vが小さいときは所定値αを大きく、また、車速Vが大きいときは所定値αを小さくするように調整しても良い。これは、車速Vが大きいほど危険度が増すため、切増しを早めに抑制して安定方向に導きたいためである。同様に、角速度ωが大きいほど危険度が増すため、早めに切増しを抑制して安定方向に導きたいため、角速度ωに応じて所定値αを変化させると良い。
ここで、前述した図22に示すように、SATは横力がピークに達する手前で減少し始め、ハンドルを更に切増すことでSATの減少を助長し、不安定(コースアウト)になる。つまり図13に示すように所定値α(SAT=0からのずれ)の範囲は、SATの減少をドライバに認識し易くするための範囲である。また、所定値αの範囲を、ドライバがハンドルを切増しするほど操舵トルクが軽く感じられるようにする。更に、所定値αを超えてSATが大きく減少すると、操舵トルクをタイヤのグリップが戻る方向、つまり切戻しの方向へ促すように操舵トルクを重くする。
このように所定値αを設定することにより、車両が滑り始めの状況で、ドライバのハンドル切増し動作を制限することができるので、車両が不安定になることを抑制できると共に、ドライバが車両状況を認識し易くなるので、的確なハンドル操舵を促すことができる。
更に、本発明の第7実施例を図15に示して説明する。
本実施例は、図3の第1実施例、図4の第2実施例、図6の第3実施例及び図8の第4実施例におけるアシスゲイン演算部61を、電流指令値変化量算出手段63及び除算部71で構成した例である。加減算部50Aからの電流指令値Iが電流指令値変化量算出手段63に入力され、電流指令値変化量算出手段63により算出された電流指令値Iの変化量ΔIが除算部71に入力され、操舵トルク変化量算出手段68により算出された操舵トルクThの変化量ΔThが除算部71に入力され、除算部71における除算結果(=ΔI/ΔTh)が伝達関数部(=Kt・G)64を介して加算部67Bに入力される。電流指令値Iの変化量ΔIと操舵トルクThの変化量ΔThの除算結果を、図3の第1実施例、図4の第2実施例、図6の第3実施例及び図8の第4実施例におけるアシストゲイン演算部61の演算結果Kmとして構成しているので、前記各実施例と同様な効果が得られる。
また、図16に示すように、位相補償手段81をSAT推定手段40の後段に設けるか、或いは位相補償手段80を伝達関数部66の後段に設けるか、或いは位相補償手段83をアシストゲイン演算部61の後段に設け、SAT推定手段40による位相差を補償すると良い。これは、転舵輪が回転し、転舵輪に横スリップ角が生じても、横力或いはSATが発生するのには遅れがあるため、これを位相進み手段で補償し、ドライバに対して一層車両の挙動を予測し易くするためである。また、図17に示すように、位相補償手段80、又は81、又は83に位相進み補償として、過去値及び現在値から将来値を予測して出力するようにしても良い。
更に、外乱ノイズ(例えば路面からの高周波成分等、十数Hz以上のノイズ)を除去するためのフィルタ82をアシストゲイン演算部61の前段に設けるか、或いはフィルタ83をアシストゲイン演算部61の後段に設けることにより、路面からの外乱ノイズを減少させることができ、より安定した操舵感を得ることができる。
なお、図13の特性では線形で示しているが、2次曲線のように変化しても良い。また、図3の伝達関数部66は、数10に従いSATゲインKsが乗算部70に入力される前に設けても良く、STA推定手段40からのSAT推定値SATにSATゲインKsが乗算できる結果となれば良い。また、上述の各実施例ではモータ角速度ωを用いて説明したが、モータ角速度ωに代えて、コラム軸角速度ωやラック速度を用いることも可能である。
本発明の前提となる基本制御系を示すブロック図である。 アシストゲインと比率の関係を示す特性図である。 本発明の第1実施例を示すブロック図である。 本発明の第2実施例を示すブロック図である。 車速に応じて設定される特性図である。 本発明の第3実施例を示すブロック図である。 角速度に応じて設定される特性図である。 本発明の第4実施例を示すブロック図である。 SATの変化とSATの変化率を示す特性図である。 SATに基づいて操舵トルクを設定する特性図である。 本発明の第5実施例を示すブロック図である。 本発明(第5実施例)の動作例を示すフローチャートである。 SATの変化量と操舵トルクの変化量に基づいて操舵トルクを調整する特性を示す図である。 本発明の第6実施例を示すブロック図である。 本発明の第7実施例を示すブロック図である。 本発明にかかる構成例を更に説明するブロック図である。 本発明に係る位相遅れ補償を行う例を示す特性図である。 従来のステアリング装置の構成例を示す図である。 従来のステアリング装置のコントロールユニットの構成例を示すブロック図である。 路面からステアリングまでに発生するトルクの様子を示す模式図である。 前輪に発生するSATを説明するための図である。 滑り角、SAT、横力の関係を示す特性図である。 タイヤの向きと滑り角に発生する滑り領域を示す図である。 横力とトレール及び粘着領域の関係を示す図である。 粘着領域の変化を三角形の図形を用いて説明するための図である。
符号の説明
1 ハンドル
2 コラム軸
10 トルクセンサ
12 車速センサ
20 モータ
30 コントロールユニット
40 SAT推定手段
41、54 摩擦演算部
42 Qフィルタ
43、52 ゲイン部
44、53、64 伝達関数部
55 角加速度算出部
56 角速度算出部
59、61 アシストマップ
60 F調整手段
62 F設定部
63 電流指令値変化量算出手段
65A、65B 定数部
68 操舵トルク変化量算出手段
80 切増し/切戻し判定手段

Claims (13)

  1. 操舵トルク及び車速に基づいて算出された電流指令値により操舵系にアシストトルクを付与するモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置の制御装置において、SATを推定するSAT推定手段と、前記SATの変化及び前記操舵トルクの変化の比率を設定するF調整手段とを具備し、前記アシストトルク及び前記操舵トルクの比であるアシストゲインと前記F調整手段によりSATフィードバックゲインを求め、前記SATフィードバックゲインに基づいて前記SATを調整し、前記調整されたSATフィードバック補償値により前記アシストトルクを補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 前記比率が前記車速に応じて設定されるようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  3. 前記比率が前記モータの角速度、又はコラム角速度若しくはラック速度に応じて設定されるようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. 前記比率が前記SAT推定値と前記モータの角速度、又はコラム角速度若しくはラック速度とに応じて設定されるようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  5. 前記比率が前記SAT推定値及びハンドルの切増し/切戻しの判定信号に応じて設定されるようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  6. 前記比率が、前記モータの角速度又はコラム角速度若しくはラック速度、前記車速、前記SAT推定値及びハンドルの切増し/切戻しの判定信号に応じて設定されるようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  7. 前記判定信号が切増しで、前記SAT推定値の絶対値が減少で、かつ前記SAT推定値の変化の絶対値が所定値より小さいときに正相関になるように前記比率を求めて補正するようになっている請求項5又は6に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  8. 前記判定信号が切増しで、前記SAT推定値の絶対値が減少で、かつ前記SAT推定値の変化の絶対値が所定値以上のときに負相関になるように前記比率を求めて補正するようになっている請求項5又は6に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  9. 前記所定値を前記車速又は前記モータ角速度若しくはコラム角速度、或いは前記車速及び前記モータ角速度若しくはコラム角速度で変えるようになっている請求項7又は8に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  10. 前記アシストゲイン演算部を、前記電流指令値の変化量を算出する電流指令値変化量算出手段と、前記電流指令値の変化量を前記操舵トルク変化量で除算する除算部とで構成している請求項1乃至9のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  11. 前記SAT推定手段の後段、又は前記アシストゲイン演算部の後段に位相補償手段が設けられている請求項1乃至10のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  12. 前記位相補償手段が現在値と過去値に基づいて将来の補償値を演算する位相進み補償手段である請求項11に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  13. 前記アシストゲイン演算部の後段又は前段に高周波ノイズ除去用フィルタが設けられている請求項1乃至12のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
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