JP2008229743A - 一体形ヘリカルブローチおよびブローチ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯厚上がり刃までがブローチ本体と一体に形成された一体形ヘリカルブローチにおいて、溝壁面のムシレなどによる加工面品位の劣化や切削抵抗の増大などを防ぐ。
【解決手段】ブローチ本体1に一体に形成された歯厚上がり刃7とされる切刃5のうち、ブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aでは、すくい面5Aと鈍角側の側面5Bとの交差稜線部に切削刃9を形成するとともに鋭角側の側面5Cとの交差稜線部にガイド刃10を形成する一方、ブローチ本体1後端側の歯厚上がり刃7Bでは、すくい面5Aと鋭角側の側面5Bとの交差稜線部に切削刃9を形成するとともに鈍角側の側面5Cとの交差稜線部にガイド刃10を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えばヘリカル内歯車のように内周に捩れ溝を有するワークを切削加工するのに用いられる一体形ヘリカルブローチ、および該一体形ヘリカルブローチによりワークの内周に捩れ溝を形成するブローチ加工方法に関するものである。
このようなヘリカル内歯車として、例えばプラネタリーインターナルギアは、自動変速機用のギヤとして各種提供されているが、最近では自動変速機の要求品質の高度化に伴いギアの品質の高度化も求められるようになってきている。このようなヘリカル内歯車の加工に用いられるヘリカルブローチとしては、例えば特許文献1に、所要の歯形を歯丈方向に追い込み切削する歯高を順次漸増させたスプライン刃からなる荒刃(外径上がり刃)群と、スプライン刃と削成される内歯の歯頂部のみを切削する外径を順次漸増させた丸刃とを軸方向に交互に設けた仕上げ刃群とからなり、各スプライン刃の各切刃が所要の捩れ角に沿って配列されたヘリカルブローチにおいて、仕上げ刃群の最終刃側の複数の刃をスプライン刃のみとしてブローチ本体に着脱されるシェルに設けて歯厚が順次漸増するように構成した歯厚上がり刃とするとともに鈍角切刃コーナ側の側面逃げ角を鋭角切刃コーナ側のそれより大きくしたものが提案されている。
また、特許文献2には、同様に仕上げ刃群をブローチ本体に着脱されるシェルに設けた組立式ヘリカルブローチにおいて、この仕上げ刃群を切削方向に3つの群に区別し、前半側では鈍角側を案内面として鋭角側を切削し、中間部では鋭角側を案内面として鈍角側を切削し、後半部では鈍角側を案内面として鋭角側を再度切削するように構成したものが提案されている。このような組立式ヘリカルブローチによれば、前半部の歯厚上がり刃によって鋭角側の溝壁面に生じた歯すじ誤差の修正を後半部の歯厚上がり刃によって行うことができ、面粗さの小さい平滑な加工面(溝壁面)を容易に得ることができるとされている。
特開昭60−150907号公報 実開平6−33627号公報
ところが、このように上記歯厚上がり刃がブローチ本体に着脱されるシェルに形成された組立式ヘリカルブローチにあっては、このシェルに極僅かながらもガタつきが生じることが避けられないため、特許文献1に記載のもののようにシェルに形成された個々の歯厚上がり刃の鈍角切刃コーナ側と鋭角切刃コーナ側との双方を同時に捩れ溝の両溝壁面にそれぞれ食い付かせて切削しようとするとビビリが生じ、加工精度の劣化を招くことになる。この点、特許文献2に記載のようにシェルに設けた歯厚上がり刃を切削方向ごとに鈍角側を案内面とするものと鋭角側を案内面とするものに区別した組立式ヘリカルブローチでは、鋭角側の溝壁面と鈍角側の溝壁面とが個別に切削されるためビビリが生じることが少なく、歯厚上がり刃のうちブローチ本体先端側の歯厚上がり刃によって先に切削された溝壁面にブローチ本体後端側の歯厚上がり刃が案内されて反対側の溝壁面が仕上げられるので、十分な加工精度を確保することができる。
ところで、こうして鈍角側を案内面とするものと鋭角側を案内面とするものとに歯厚上がり刃を区別したヘリカルブローチでは、特許文献2に記載のように鈍角側を案内面として鋭角側を切削するものが外径上がり刃に続いて仕上げ刃群の前半側すなわちブローチ本体先端側に配列され、これに続いて鋭角側を案内面として鈍角側を切削するものがブローチ本体後端側に配列されている。これは、捩れ溝の鈍角側の溝壁面はワークに対してブローチが相対的に前進する方向に対向するように向けられることになって歯厚上がり刃との当たりが強くなる傾向になるので、この鈍角側の溝壁面を先に歯厚上がり刃の切削刃によって切削しようとすると、この切削刃の食い付きが強くなりすぎて歯厚上がり刃が鋭角側の溝壁面に確実に案内されずに鈍角側の溝壁面が過切削されてしまうおそれがあるからである。
しかしながら、このような構成を、外径上がり刃と歯厚上がり刃とがともにブローチ本体に一体に形成された一体形ヘリカルブローチに適用しようとすると、事情は異なるものとなる。すなわち、このような一体形ヘリカルブローチでは、上述のようにシェルがガタつくような事態は生じることがない一方で、捩れ溝の鈍角側の溝壁面への歯厚上がり刃の当たりが強くなることは変わらないので、組立式ヘリカルブローチと同様にブローチ本体先端側の歯厚上がり刃においてガイド刃が鈍角側に配されていると、外径上がり刃によって加工された面粗さの大きい溝壁面に対し、まずこのガイド刃が鈍角側の溝壁面に強く押し付けられて摺接することになる。従って、そのような一体形ヘリカルブローチでは、ブローチ加工時の切削抵抗の増大を招くのは勿論、場合によってはこの鈍角側の溝壁面にブローチ本体後端側の歯厚上がり刃による仕上げ代よりも大きなムシレを生じたりして、加工面の品位が著しく損なわれてしまうという問題が生じるのである。
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述のような歯厚上がり刃までがブローチ本体と一体に形成された一体形ヘリカルブローチにおいて、このような溝壁面のムシレなどによる加工面品位の劣化や切削抵抗の増大などを防ぐことが可能な一体形ヘリカルブローチ、およびかかる一体形ヘリカルブローチを用いたブローチ加工方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の一体形ヘリカルブローチは、軸状のブローチ本体の外周部に、径方向外周側に突出する複数の切刃が、上記ブローチ本体に一体に形成されて、このブローチ本体の先端側から後端側に向けて該ブローチ本体の軸線回りに捩れる螺旋状に配列され、これらの切刃によりワークの加工穴内周に所定のリードの捩れ溝を形成する一体形ヘリカルブローチにおいて、上記切刃のうちブローチ本体先端側の切刃は外径上がり刃とされるとともにブローチ本体後端側の複数の切刃は歯厚上がり刃とされ、これらの歯厚上がり刃においては、ブローチ本体先端側を向くすくい面と上記ブローチ本体の周方向のうちいずれか一方の側を向く側面との交差稜線部に切削刃が形成されるとともに、この切削刃とは反対側の側面と上記すくい面との交差稜線部はガイド刃とされ、上記歯厚上がり刃のうち、ブローチ本体先端側の歯厚上がり刃は、上記すくい面と鈍角側の側面との交差稜線部に上記切削刃が形成されるとともに鋭角側の側面との交差稜線部に上記ガイド刃が形成される一方、ブローチ本体後端側の歯厚上がり刃は、上記すくい面と鋭角側の側面との交差稜線部に上記切削刃が形成されるとともに鈍角側の側面との交差稜線部に上記ガイド刃が形成されていることを特徴とする。
すなわち、本発明の一体形ヘリカルブローチは、特許文献2に記載のヘリカルブローチと同様に、歯厚上がり刃のブローチ本体先端側を向くすくい面とブローチ本体の周方向を向く鈍角側と鋭角側の両側面のうちいずれか一方の側を向く側面との交差稜線部に切削刃が形成されるとともに、この切削刃とは反対側の側面とすくい面との交差稜線部はガイド刃とされたものではあるものの、この特許文献2に記載のようなブローチ本体に着脱されるシェルに歯厚上がり刃が形成された組立式ヘリカルブローチとは逆に、歯厚上がり刃のうち外径上がり刃に続くブローチ本体先端側の歯厚上がり刃では、すくい面と鈍角側の側面との交差稜線部が切削刃とされるとともに鋭角側の側面との交差稜線部がガイド刃とされる一方、ブローチ本体後端側の歯厚上がり刃は、すくい面と鋭角側の側面との交差稜線部が切削刃とされるとともに鈍角側の側面との交差稜線部がガイド刃とされている。
従って、このような一体形ヘリカルブローチによりワークの加工穴内周に捩れ溝を形成する本発明のブローチ加工方法にあっては、外径上がり刃によって形成されたワークの捩れ溝のまず鋭角側の溝壁面にブローチ本体先端側の歯厚上がり刃のガイド刃が摺接しつつ、このブローチ本体先端側の歯厚上がり刃の切削刃によって捩れ溝の鈍角側の溝壁面が切削され、次いで、この鈍角側の溝壁面にブローチ本体後端側の歯厚上がり刃のガイド刃が摺接しつつ、このブローチ本体後端側の歯厚上がり刃の切削刃によって捩れ溝の鋭角側の溝壁面が切削されて仕上げ加工が行われることになる。
このため、外径上がり刃によって加工された捩れ溝の面粗さの大きい溝壁面のうち、ブローチ本体が相対的に前進する方向に対向する鈍角側の溝壁面にガイド刃が先に摺接することがなく、まずこの鈍角側の溝壁面をブローチ本体先端側の歯厚上がり刃の切削刃によって仕上げた後に、この仕上げられた鈍角側の溝壁面にブローチ本体後端側の歯厚上がり刃のガイド刃が摺接して、反対側の鋭角側の溝壁面をこのブローチ本体後端側の歯厚上がり刃の切削刃が切削し、両溝壁面が仕上げられることになる。従って、このように面粗さの大きいままの鈍角側の溝壁面に先にガイド刃が摺接することがないために、切削抵抗が増大することがなく、また該溝壁面にムシレが生じて加工面品位が損なわれるようなこともない。
その一方で、このような外径上がり刃から歯厚上がり刃までがブローチ本体に一体に形成された一体形ヘリカルブローチでは、組立式ヘリカルブローチのシェルのようなガタつきが生じることがなく、ワークに形成すべき捩れ溝のリードに合わせて比較的正確に歯厚上がり刃をワークに対して相対的に移動させて切削を行うことができる。このため、上述のように歯厚上がり刃のうち外径上がり刃に続くブローチ本体先端側の歯厚上がり刃が先に鈍角側の溝壁面を切削することになっても、過切削が生じたりするのを抑えることができる。
ここで、上記ブローチ本体先端側の歯厚上がり刃の上記ガイド刃に、負の二番角を有するネガランドを形成すれば、歯厚上がり刃の鋭角側の側面とすくい面との交差稜線部に形成されるこのガイド刃の強度を確保することができて、このガイド刃に欠損などが生じたりするのを防ぐことができる。
このように、上記構成の一体形ヘリカルブローチおよび該一体形ヘリカルブローチによるブローチ加工方法によれば、切削抵抗の増大を抑えることができるとともに、ワークに形成される捩れ溝の、まず鈍角側の溝壁面を、ムシレや過切削を生じることなく仕上げ切削することができる。そして、次にこうして仕上げられた鈍角側の溝壁面にガイド刃を摺接させてブローチ本体後端側の歯厚上がり刃の切削刃により鋭角側の溝壁面を仕上げ切削することができるので、結果的にワークの捩れ溝を高品位かつ高精度に、しかも切削抵抗を抑えて効率的にブローチ加工することが可能となる。
図1、図2ないし図4は本発明の一体形ヘリカルブローチの実施の形態を示すものである。本実施形態のヘリカルブローチは、例えば上述したプラネタリーインターナルギア等のヘリカル内歯車のように内周に捩れ溝を有するワークをブローチ加工するものであって、そのブローチ本体1は、図1または図2に示すように軸線Oを中心とした長尺の軸状をなし、その両端部は掴み部2,3とされるとともに、これら掴み部2,3の間は切刃部4とされている。そして、この切刃部4においてブローチ本体1の外周には、上記軸線Oに対する径方向外周側に突出する複数(多数)の切刃5が、該ブローチ本体1の先端側(図1において下側)から後端側(図1において上側)に向けて軸線O回りに捩れるリードLに沿った螺旋状をなすように配列され、かつこのような切刃5の列が周方向に間隔をあけて複数列形成されている。なお、図1は、軸線O方向において複数の切刃5の間に形成される刃溝がこの軸線Oに直交する平面状に形成された刃溝軸直タイプの一体形ヘリカルブローチに本発明を適用する場合を示すものであり、図2は、この刃溝が軸線O回りにねじれたネジレ刃溝タイプの一体形ヘリカルブローチに本発明を適用した場合を示すものである。
ここで、切刃部4のうちブローチ本体1先端側の部分の複数の切刃5は、上記ヘリカル内歯車の歯形を歯丈方向に追い込み切削する外径上がり刃6とされていて、この外径上がり刃6においては切刃5の歯高が該切刃5の列に沿ってブローチ本体1後端側に向け順次増大するようにされている。また、この外径上がり刃6よりもブローチ本体1後端側の切刃部4には、こうして外径上がり刃6によって所定の歯丈に切削された歯形の歯面すなわちワークの捩れ溝の両溝壁面を、歯厚方向すなわちブローチ本体1の周方向に追い込み切削して所定の歯厚に形成する複数の歯厚上がり刃7が備えられている。なお、切刃部4のうち上記外径上がり刃6とされた切刃5が配列される部分には、歯形の歯頂部を切削する丸刃8が歯厚上がり刃7と交互に備えられていてもよい。そして、これら外径上がり刃6、歯厚上がり刃7、および丸刃8のすべての切刃5が、本実施形態ではブローチ本体1に一体に形成されている。
さらに、上記複数の歯厚上がり刃7には、該歯厚上がり刃7のうちでも外径上がり刃6に続くブローチ本体1先端側に設けられて、ワークの捩れ溝の両溝壁面のうち一方を追い込み切削してゆく複数の歯厚上がり刃7Aと、これらの歯厚上がり刃7Aのブローチ本体1後端側に設けられて、両溝壁面のうちの他方を追い込み切削してゆく複数の歯厚上がり刃7Bとが備えられている。従って、個々の歯厚上がり刃7においては、その切刃5のブローチ本体1先端側を向くすくい面5Aと、ブローチ本体1の周方向のうち溝壁面を追い込み切削してゆくいずれか側を向く側面5Bとの交差稜線部に切削刃9が形成されることになる。
一方、こうして切削刃9が形成された交差稜線部とは周方向に反対側のすくい面5Aの交差稜線部には、切削刃9によって追い込み切削される上記溝壁面とは反対側のねじれ溝の溝壁面に摺接して当該歯厚上がり刃7を案内するガイド刃10が形成され、このガイド刃10に連なる歯厚上がり刃7の側面はガイド面5Cとされ、これらガイド面5Cとガイド刃10とで構成される部位がガイド部11とされる。なお、このガイド面5Cが形成される側面と上記切削刃9に連なる歯厚上がり刃7の側面5Bとには、それぞれ上記ガイド刃10と切削刃9に対してブローチ本体1の後端側に向け、複数の切刃5がなすリードLに対して0°および負の角度をも含む逃げ角が付されている(本実施形態では、ガイド刃10の逃げ角は0°、切削刃9の逃げ角は正とされている)。
そして、本実施形態の一体形ヘリカルブローチにおいて、上記複数の歯厚上がり刃7全体のうちブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aは、図3に示すように上記すくい面5Aと鈍角側(図2において右側)の側面5Bとの交差稜線部に上記切削刃9が形成されるとともに、鋭角側(図2において左側)の側面が上記ガイド面5Cとされてそのすくい面5Aとの交差稜線部に上記ガイド刃10が形成されたものとされている。なお、このブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aには、図4に示すように上記ガイド面5Cのすくい面5A側を鈍角に面取りするようにして、負の二番角(逃げ角)θを有するネガランド10Aをガイド刃10に形成するようにしてもよい。一方、これに対してブローチ本体1後端側の歯厚上がり刃7Bは、すくい面5Aと鋭角側の側面5Bとの交差稜線部に上記切削刃9が形成されるとともに、鈍角側の側面がガイド面5Cとされてそのすくい面5Aとの交差稜線部に上記ガイド刃10が形成されたものとされている。
従って、ブローチ本体1先端側の複数の歯厚上がり刃7Aにおいては、鋭角側のガイド刃10がリードLに沿って連なるように配列されるとともに、鈍角側の切削刃9は後端側に向かうに従いリードLに対してこの鈍角側に徐々にせり出すようにされる一方、ブローチ本体1後端側の複数の歯厚上がり刃7Bにおいては、その鈍角側のガイド刃10が、概ね上記ブローチ本体1先端側の複数の歯厚上がり刃7Aのうち最後端のものの切削刃9から上記リードLに沿って連なるように配列されるとともに、鋭角側の切削刃9は、ブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aのガイド刃10からリードLに沿って後端側に向かうに従い徐々に鋭角側にせり出すように配設される。
なお、ブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aのさらに先端側、すなわち外径上がり刃5と歯厚上がり刃7との間には、外径上がり刃5によって形成された捩れ溝と略等しい幅を有し、かつその両側面の先端側が先細りとされて共に負の逃げ角を与えられた案内刃12が配設されている。また、複数の歯厚上がり刃7のうちブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aと後端側の歯厚上がり刃7Bとの間には、鋭角側の側面がブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aのガイド刃10が位置する螺旋上に位置し、かつ鈍角側の側面はブローチ本体1後端側の歯厚上がり刃7Bのガイド刃10が位置する螺旋上に位置するようにして、これら両側面に逃げ角が付されていない1または複数の切刃が設けられていてもよい。
このように構成された一体形ヘリカルブローチにより上述のようなワークの加工穴内周に捩れ溝を形成する本発明のブローチ加工方法の一実施形態では、ブローチ本体1を上記リードLに沿ってワークに対し相対的に前進させつつ回転させることにより、まず外径上がり刃5によって所定の深さまで捩れ溝が形成され、次いでこの捩れ溝の鋭角側の溝壁面にブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aのガイド刃10が摺接して該歯厚上がり刃7Aが案内されつつ、このブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aの切削刃9により捩れ溝の鈍角側の溝壁面が切削されて、外径上がり刃5による溝幅W1から鈍角側の溝壁面に仕上げ代Aの仕上げ加工が施される。そして、これに続いて今度はこの鈍角側の溝壁面にブローチ本体1後端側の歯厚上がり刃7Bのガイド刃10が摺接して該歯厚上がり刃7Bが案内されつつ、このブローチ本体1後端側の歯厚上がり刃7Bの切削刃9によって捩れ溝の鋭角側の溝壁面が切削されて、溝幅W+Aから鋭角側の溝壁面に仕上げ代Bが与えられ、所望の溝幅W2=W1+A+Bの捩れ溝が形成される。
従って、上記構成の一体形ヘリカルブローチおよび該ブローチを用いたこのようなブローチ加工方法では、歯厚上がり刃7とされる切刃5が、そのすくい面5Aと鈍角側、鋭角側いずれかの側面5Bとの交差稜線部に切削刃9が形成されるとともに、反対の側面がガイド面5Cとされてそのすくい面5Aとの交差稜線部にガイド刃10が形成されたガイド部11を有するものであるので、すくい面の両側の交差稜線部が切削刃として同時に捩れ溝の両溝壁面に食い付くことがなく、加工精度を劣化させるビビリ等の発生を防止することができる。しかも、歯厚上がり刃7までの切刃5がブローチ本体1に一体に形成されているので、該切刃5の剛性を高めて一層の加工精度の向上を図ることができる。
そして、この歯厚上がり刃7による切削では、外径上がり刃5によって形成された捩れ溝の両溝壁面のうち、まず先に鈍角側の溝壁面がブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aの切削刃9によって仕上げられるので、これとは逆に逃げ角の小さいガイド刃10が、荒加工されたままで面粗さが大きく、しかも歯厚上がり刃7との当たりが強くなるこの鈍角側の溝壁面に摺接する場合のように、大きな切削抵抗が作用したり、あるいは溝壁面にムシレが生じたりするのを防ぐことができる。さらに、上述のように歯厚上がり刃7までがブローチ本体1に一体に形成された一体形ヘリカルブローチでは、この歯厚上がり刃がブローチ本体に着脱されるシェルに形成された組立式ヘリカルブローチのようにシェルのガタつきによって所定の仕上げ代よりも大きく溝壁面に切削刃9によって切り込まれて過切削されたりすることもなく、ワークに形成する捩れ溝のリードLに沿って精度よく歯厚上がり刃7を移動させることができる。
このため、本実施形態の一体形ヘリカルブローチおよびブローチ加工方法によれば、切削抵抗の増大を抑えつつ、特に鈍角側の溝壁面にムシレや過切削が生じるのを防いで、高精度で高品位の捩れ溝をワークに形成することが可能となる。このため、例えばこのワークが自動変速機のプラネタリーインターナルギアのような品質の高度化が要求されているものであっても、かかる要求に十分に応えうるヘリカル内歯車を製造することが可能となる。
また、図4に示したように、ブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aのガイド刃10に、負の二番角θを有するネガランド10Aを形成した場合には、このブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aの鋭角側の側面となるガイド面5Cとすくい面5Aとの交差稜線部に形成されるこのガイド刃10に高い強度を確保することができ、上述のようにこのガイド刃10がワークの捩れ溝の鋭角側の溝壁面に摺接して歯厚上がり刃7Aを案内する際に、ガイド刃10に欠損などが生じたりするのを防ぐことができ、そのガイド性を確実に維持してこの歯厚上がり刃7Aの切削刃9により捩れ溝の鈍角側の溝壁面をより精度良く切削することが可能となる。
本発明を、刃溝軸直タイプの一体形ヘリカルブローチに適用する場合の実施形態を示す側面図である。 本発明を、ネジレ刃溝タイプの一体形ヘリカルブローチに適用した場合の実施形態を示す側面図である。 図1または図2に示す実施形態の歯厚上がり刃7を示す拡大側面展開図である。 図3に示す歯厚上がり刃7のうち、ブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃7Aの変形例を示す図である。
符号の説明
1 ブローチ本体
4 切刃部
5 切刃
5A 歯厚上がり刃7とされる切刃5のすくい面
5B 歯厚上がり刃7とされる切刃5の切削刃9に交差する側面
5C 歯厚上がり刃7とされる切刃5のガイド刃10に交差するガイド面
6 外径上がり刃
7 歯厚上がり刃
7A 歯厚上がり刃7のうちブローチ本体1先端側の歯厚上がり刃
7B 歯厚上がり刃7のうちブローチ本体1後端側の歯厚上がり刃
9 切削刃
10 ガイド刃
10A ネガランド
11 ガイド部
O ブローチ本体1の軸線
L 切刃5のリード
θ 負の二番角

Claims (3)

  1. 軸状のブローチ本体の外周部に、径方向外周側に突出する複数の切刃が、上記ブローチ本体に一体に形成されて、このブローチ本体の先端側から後端側に向けて該ブローチ本体の軸線回りに捩れる螺旋状に配列され、これらの切刃によりワークの加工穴内周に所定のリードの捩れ溝を形成する一体形ヘリカルブローチにおいて、
    上記切刃のうちブローチ本体先端側の切刃は外径上がり刃とされるとともにブローチ本体後端側の複数の切刃は歯厚上がり刃とされ、
    これらの歯厚上がり刃においては、ブローチ本体先端側を向くすくい面と上記ブローチ本体の周方向のうちいずれか一方の側を向く側面との交差稜線部に切削刃が形成されるとともに、この切削刃とは反対側の側面と上記すくい面との交差稜線部はガイド刃とされ、
    上記歯厚上がり刃のうち、ブローチ本体先端側の歯厚上がり刃は、上記すくい面と鈍角側の側面との交差稜線部に上記切削刃が形成されるとともに鋭角側の側面との交差稜線部に上記ガイド刃が形成される一方、ブローチ本体後端側の歯厚上がり刃は、上記すくい面と鋭角側の側面との交差稜線部に上記切削刃が形成されるとともに鈍角側の側面との交差稜線部に上記ガイド刃が形成されていることを特徴とする一体形ヘリカルブローチ。
  2. 請求項1に記載の一体形ヘリカルブローチであって、
    上記ブローチ本体先端側の歯厚上がり刃の上記ガイド刃には、負の二番角を有するネガランドが形成されていることを特徴とする一体形ヘリカルブローチ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の一体形ヘリカルブローチによりワークの加工穴内周に捩れ溝を形成するブローチ加工方法であって、
    上記外径上がり刃によって形成された上記ワークの捩れ溝の鋭角側の溝壁面に上記ブローチ本体先端側の歯厚上がり刃の上記ガイド刃を摺接させつつ、このブローチ本体先端側の歯厚上がり刃の上記切削刃によって該捩れ溝の鈍角側の溝壁面を切削し、
    次いで、この鈍角側の溝壁面に上記ブローチ本体後端側の歯厚上がり刃の上記ガイド刃を摺接させつつ、このブローチ本体後端側の歯厚上がり刃の上記切削刃によって該捩れ溝の鋭角側の溝壁面を切削して仕上げ加工することを特徴とするブローチ加工方法。
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