JP2008229713A - レーザスクライブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 レーザスクライブ処理では、被割断基板に対して熱変化を与えることで成立するプロセスであり、被割断基板への吸熱と被割断基板からの放熱のバランスが変化することは望ましくない。被割断基板の板厚が薄くなると、被割断基板を保持するテーブル側への熱伝導がしやすくなる。
【解決手段】 装置の被割断基板吸着テーブルに、被割断基板の板厚に対して2倍以下の直径孔、若しくは横断幅を持つ溝を設ける。
さらには、板厚と同等かそれ以下、あるいは、板厚の半分かそれ以下の場合、より好ましい。
【選択図】 図4
【解決手段】 装置の被割断基板吸着テーブルに、被割断基板の板厚に対して2倍以下の直径孔、若しくは横断幅を持つ溝を設ける。
さらには、板厚と同等かそれ以下、あるいは、板厚の半分かそれ以下の場合、より好ましい。
【選択図】 図4
Description
本発明は、レーザ光を用いて、ガラス板、セラミック板などの脆性材料製板を被割断基板として切断するための方法およびその装置に関する。
被割断基板を割断する割断工程に先立ち、被割断基板に対しレーザ光を被割断基板の割断予定線に沿って相対的に移動させることにより割断予定線の始端から終端に向かうスクライブ線を形成するレーザスクライブ装置において、従来のレーザスクライブ切断装置では平板に溝が彫り込まれたテーブルや多数の支持ピンで支持する方式が採用されてきた。しかし、これらの手法では比較的厚い基板、つまり板厚0.5mm以上のガラス板に対しては有効であった。
背景技術として、下記の様に、特開2002−047025号では、基板の前記切断位置に対応する位置の両側の少なくとも5mm以下の範囲の部分の熱伝導率を3W/(m・K)以下にするとしている。また、多数ピンで支持する場合、支持部材のうち少なくとも上記基板母材の切断位置の下方に設けられた支持部材の基板母材と接触する部分の面積が4mm2以下とすることが、切断面に歪みが生じるなどの切断不良の発生率を低減する効果をいっそう向上させることができる点で好ましい。と記載されている。
しかし、金属は、熱伝導率が大きいため、保持材料として不適切と記載されている。固定溝方式では、パネルレイアウトが変化すると、吸着プレートを交換する必要がある。ピン支持方式では、平面度を得られにくく製作が難しい。また被割断基板に傷が着く恐れがある。作業環境の観点からも、作業者がけがをする恐れがあると云った問題がある。ピン先端の面積は一意的に4mm2以下と記載されているが、実際には、板厚によって最適値が異なる。
最近の傾向として、被割断基板が0.5mmよりも薄い基板、例えば、0.4mm、0.3mm、0.2mm以下の被割断基板を加工すると、種々の新たな問題が顕著化してきている。その中でも、吸着溝や孔、ピンなど、被割断基板と接触する部分の材質の変化、つまりは熱伝導率の違いにより、レーザスクライブ処理の可否や、スクライブ処理後に成される分断後の品質の低下を引き起こすことが分かった。
レーザスクライブ処理では、被割断基板に対して熱変化を与えることで成立するプロセスであり、被割断基板への吸熱と被割断基板からの放熱のバランスが変化することは望ましくない。被割断基板の板厚が薄くなると、被割断基板を保持するテーブル側への熱伝導がしやすくなる。従い、スクライブ予定線直下のテーブル状態に変化があると、熱バランスが崩れやすくなる。
種々実験を行った結果、被割断基板の板厚に対して2倍以下の直径孔、若しくは横断幅を持つ溝であれば、被割断基板の分断後の品質はさほど悪化しない。さらに、被割断基板の板厚と同等の直径若しくは横断幅を持つ溝であれば、被割断基板の分断後の品質はより向上する。さらに、被割断基板の板厚の1/2以下の直径の孔、若しくは横断幅を持つ溝であれば、被割断基板の分断後の品質はより向上し、より好ましい。
従来のレーザスクライブ装置では、吸着力を高めるため、吸着のための孔や溝を大きめに配置していた。この方法では、テーブル上に配置する被割断基板の大きさが変わり、吸着孔すべてが被割断基板で覆われなくなると、吸着孔の負圧部分が大気に開放されてしまし、被割断基板を吸着できなくなる。
吸着孔を微細孔にすることにより、吸着テーブル上すべてを被割断基板で覆われない場合でも、吸着孔が大きい場合と比較して、吸着孔から流れる空気の流量が減る。これにより、テーブルに対して被割断基板が小さくても、被割断基板がずれない様な吸着力を保つことが出来る。
レーザースクライブ装置について図1を用いて説明する。
レーザースクライブ装置1は、本体部2、制御盤ボックス30、テーブル部4、アライメント部5、スクライブヘッド部6の各ユニットから構成される。
本体部2は、本体フレーム21、サブフレーム211、カバー212などを含む部材にて構成され、制御盤ボックス30、操作部31、テーブル部4、アライメント部5、スクライブヘッド部6を含み、それぞれ配置されている。
次に、図2に示す様に、本体部2には、メンテナンス用カバーフレーム22が付随する。このメンテナンス用カバーフレーム22は、装置内部と装置外部とを区分けするカバー222やフレームなどの部材から構成される。
このメンテナンス用カバーフレーム22は、一部が装置の外装カバーであり、一部は装置外装カバーとオーバーラップした形で構成されている。そのメンテナンス時の状態を図3に示す。
装置稼働時、メンテナンス用カバーフレーム22は、装置設置面積を最小状態にすることを考慮に入れ、符号224で示す様に装置外装カバーと重なり合う様に配置されている。
装置メンテナンス時、メンテナンス用カバーフレーム22は、装置外装カバーとオーバーラップする部分225が最小になる様に配置され、装置内部に作業者が入って作業をすることが可能となる様に、設計されている。
次に、制御盤ボックス30には、制御用機器と呼ばれる機器として、数値演算装置(いわゆるパソコンやPLC、シーケンサ、NCコントローラなど)、ブレーカ、リレー、モータアンプ、変圧器、直流電源装置、ノイズフィルタ、信号入力ユニット、信号出力ユニット、A/D変換ユニット、モータ位置決めユニット、信号カウンタ、タイマー等を含む機器が接続され、収納されている。これらの機器は装置内機器レイアウト上の都合により、適宜制御盤外に配置される場合がある。
操作部31は、図2に示す様に、レーザスクライブ装置1のカバー212に情報表示部、情報入力部として構成され設置されている。
情報入力部は、情報入力手段としてキーボード332、操作SW(マウス)などを含む機器にて構成される。
情報表示部は、情報出力手段をも兼ね、情報表示器331や表示ランプなどを含む機器にて構成される。
情報入力部のキーボード332はレーザスクライブ装置1の数値演算装置と接続され、オペレータからの動作指令や設定値を入力したり、登録する役割を持つ。
情報出力部は、情報入力部と同様、情報表示部が兼ね、レーザスクライブ装置1の数値演算装置と接続され、オペレータに装置や装置内の機器の状態や情報を伝える役割を持つ。
情報出力手段は上記の他に、ブザーやスピーカ、表示メーターなどが適宜使用可能である。
情報出力手段は上記の他に、ブザーやスピーカ、表示メーターなどが適宜使用可能である。
テーブル部43は、図1及び図4に示す様に、被割断基板10を載置するテーブル本体部43を移動させるステージ部43−aとを含む部材にて構成される。ステージ部43−aは、水平方向(図1に矢印で示す、X(左右)411・Y(前後)413方向)に移動可能なように、XY2軸直交した駆動部41と、鉛直方向を中心軸にして水平方向(図1の矢印に示すθ方向)に回転可能なように、θ軸回転部415とを含み、ステージ部43−aと本体フレーム21に取り付けられている。
ステージ部43−aには、図5に示す様に、巻取カバー42が設置される場合がある。この巻取カバー42は、ステージ部43−aの1軸に付き2つ取り付けられる。それぞれの巻取カバー42は、ステージ部43−aの動作に合わせて伸縮可能で、外部からステージ内部への異物の混入を防ぐ役割を持つ。
テーブル本体部43は、吸着テーブル431と中間プレートを含む。吸着テーブル431はXY方向に平坦で、被割断基板10が載置可能な形状をしている。
吸着テーブル431には、被割断基板10と接する部分の一部に、吸着溝と呼ばれる溝や、吸着孔孔と呼ばれる孔が設けられ、真空気室434や図示しない配管ホースや配管継手などを介して真空ポンプへ連通されている。吸着テーブル431に載置された被割断基板10は、吸着溝や吸着孔を負圧にすることで吸着テーブル431と密着し、吸着テーブル431が高速で移動しても位置ずれを起こすことがなくなる。
吸着テーブル431とテーブル本体部43との間に図示しないが、中間プレートが配備され、複数のネジや留め具を介して取り付けられる。中間プレートのネジや留め具は、吸着テーブル431の水平度や平坦度調整のために用いられる。
吸着テーブル431は、吸着サブテーブルと呼ばれる部材を設ける場合がある。
吸着サブテーブル440は、被割断基板10と吸着テーブル431との間に配置され、吸着テーブル431に取り付けられる。
吸着サブテーブル440は被割断基板10の一部だけが接触する形状をしている。
吸着サブテーブル440が被割断基板10を支持する位置は、被割断基板10の外周部又は四隅などが例示でき、さらには、場合により被割断基板10の中央部又はそれ以外の場所も例示できる。
また、吸着テーブル431には、図示しない排気パンが設置されている。
排気パンには、配管チューブ、ミストセパレータなどを介してブロワなどの負圧吸引装置に連通されている。スクライブヘッド6内のノズルから噴射されるミストは、排気パンを通じて回収し、吸着テーブル上にミストが残らない様に構成されている。
排気パンには、配管チューブ、ミストセパレータなどを介してブロワなどの負圧吸引装置に連通されている。スクライブヘッド6内のノズルから噴射されるミストは、排気パンを通じて回収し、吸着テーブル上にミストが残らない様に構成されている。
アライメント部5は、カメラ部52、カメラ駆動部55にて構成されている。カメラ部52は、撮像カメラ521、レンズ、照明などを含む機器にて構成される。撮像カメラ521としては、CCDカメラ、CMOSカメラなどが使用される。
撮像カメラ521は、被割断基板10上の一部のマーク若しくは被割断基板10の姿勢や外郭部を観察する機能がある。撮像カメラ521と画像処理部とは信号ケーブルを介して接続されており、撮像カメラ521で観察された画像が画像処理部へ伝送される。画像処理部へ伝送された画像は、適宜、情報表示器331に出力される。
レンズは、被割断基板10上の一部のマーク若しくは被割断基板10の外郭部の像を撮像カメラ521上に結像させる役目を持つ。
照明は、被割断基板10上の一部のマーク若しくは被割断基板10の外郭部を明るくし、撮像カメラ521で観察しやすい明るさにする役目を持つ。照明は、LED光源、ハロゲン光源、メタルハライド光源、白色電球、蛍光灯などを含み、明るさを調節する調光手段を配備する場合もある。
カメラ駆動部55は、カメラ固定部、ステージ部などを含む部材にて構成される。画像処理部は、パソコンに搭載して使用する画像処理ボードや汎用の画像処理装置などを含む機器にて構成される。
スクライブヘッド部6は、図6に示す様に、イニシエータ部61、レーザ加熱部7そしてミスト冷却部8にて構成される。
イニシエータ部61は、スクライブホイール65、ホイールヘッド部63にて構成される。ホイールヘッド部63には、ピン64を介して、スクライブホイール65が取り付けられている。ピン64は円筒状をしているため、スクライブホイール65はホイールヘッド65内で落下や位置擦れを起こさない様に、回転可能になっている。
ホイールヘッド部63には、スクライブホイール65が被割断基板10のなす平面方向(XY方向)に対して鉛直方向(当該装置の場合のZ方向621)に移動可能な様に、Z軸位置決め機構622が配置されている。
レーザ加熱部は、レーザ発振器71、ミラー部73、レンズ部75、レーザ制御部77にて構成される。レーザ発振器71は本体フレーム21に取り付けられている。レーザ発振器71には炭酸ガスレーザ(CO、CO2レーザ)が使用される。レーザ発振器71から出射されたビームはミラーやレンズを介して、被割断基板10に照射される。ミラー部73は、レーザ発振器71から出射されたレーザビームの方向を変えるために、適宜の枚数が用いられる。レンズは少なくとも1つ以上を用い、レーザ発振器71から出射されたビームを被割断基板10に対して効率良く加熱できるような形状をしている。
レンズを使用する替わりに、反射面が平面でないミラーを使用することで、レンズを使用した場合と同様に、被割断基板10に対して効率良く加熱することが可能である。ミラーは、レーザを効率良く反射する材料を使用することが望ましく、金属(銅やアルミ、シリコンなど)の上に金属(金や銀、銅、アルミなど)や誘電体多層膜がコーティングされたものが使用される。
ミラー部73は、ミラーホルダー751とミラー752を含み、自然冷却だけでなく、適宜冷却して使用する場合もある。ミラー732を冷却する手段としては、ミラー73やミラーホルダーに多数のフィンを接触させて冷却する空冷方式、ミラー73やミラーホルダーに接触させて所定の温度の水や流体を循環させるユニットにて冷却する水冷方式等がある。
レンズ部75は、レンズホルダー751、レンズ752を含み、レンズは、レーザ71を効率良く透過する材料を使用することが望ましく、炭酸ガスレーザの場合、ZnSe(セレン化亜鉛)やGe(ゲルマニウム)が使用される。レンズは、自然冷却だけでなく、適宜冷やして使用する場合もある。
レーザ制御部77は、所望のレーザ出力となるように、レーザ発振器71もしくはレーザ発振器71と接続されたアンプユニットに対して、パワー制御用の電気信号を出力する。アンプユニットは、レーザ発振器71に内蔵される場合と、レーザ発振器71とは隔てて設置される場合とがある。レーザ発振器71と隔てて設置されたアンプユニットは、適宜スクライブ装置1内部に設置される。パワー制御用の電気信号には、高周波パルスの電圧や直流電流などが使用される。
次にチラー714について述べる。レーザ発振器71やアンプユニットは、自然冷却以外に、強制的に冷却を必要とする場合が多い。レーザ発振器71を冷却する手段として、レーザ発振器71筐体の一部に多数の放熱フィンを取り付けた空冷方式が例示できる。空冷方式の場合、送風機を併用して冷却効率を上げるものがある。レーザを冷却する手段として、空冷方式の他に水冷方式が上げられる。水冷方式は、レーザー発振器71の筐体の温度を、外部から供給した冷水に熱を伝え、外部に放出する方式である。冷媒として、水以外にエチレングリコールを含む溶液や、油類などを含む方式も広義で含み、水冷方式と呼ぶものとする。
図1あるいは、図4あるいは図6に示す様に、ミスト冷却部は、水供給部81、エア供給部、ノズル83とからなる。水供給部81は、本体フレーム21上の貯水タンク若しくは装置外部から供給される水を所定の圧力で送り出す、加圧ポンプやレギュレータなどの圧力調整手段と、送液チューブにて構成される。エア供給部は、装置外部のブロア26から供給されるエアを所定の圧力で送り出す、加圧ポンプやレギュレータなどの圧力調整手段と、配管チューブにて構成される。ノズル83は、水供給部より送られた水と、エア供給部82より送られたエアを混合して霧状にして、被割断基板10に噴射される構造になっている。ノズル83は少なくとも1つ以上用いられ、複数使用する場合は、複数の水供給部が適宜配置される。
ミスト吸引部85は、吸引ノズル851、配管ホース、ミストセパレータ852、排気ファンにて構成される。吸引ノズル851はスクライブヘッド6内に配置され、配管ホースを通じて、ミストセパレータ、排気ファンと連通されている。ミストセパレータや排気ファンは、スクライブ装置本体2内の本体フレーム21上若しくはスクライブ装置外部に配置される。ミストセパレータは、排気エア中の水分を分離し、排気ファンの腐食を防止する役割がある。排気ファンは、吸引ノズル851先端部分を負圧にし、かつ所定の流量のエアを吸引するために用いられる。排気ファンには、軸流ファン、遠心ファン、斜流ファンなどが用いられるが、真空ポンプを用いることも出来る。
ミスト噴霧領域の制限機構について述べる。ミスト冷却部のノズル83から供給されるミストは、被割断基板10に直接噴霧されるだけでなく、所定の形状で所定の面積を持った開口部を設けた板を通過させて噴霧することもできる。該板を通過させると、ミストの噴霧エリアは、直接噴霧する場合よりも狭くすることができる。
次に、ビーム照射位置の変更について述べる。ミラー、レンズの内、少なくとも一つは、位置を変えることが可能で、ビーム入射方向をZ方向とした場合に、Z方向と直交する1軸もしくは2軸方向(いわゆるX方向及び/又はY方向)に位置変更が可能なように配置されている。ミラー及び/又はレンズの位置を変更することにより、被割断基板10に照射されるレーザビームの照射位置を変更することができる。X方向及び/又はY方向の位置変更手段として、図示していない直動式アクチュエータが上げられ、シリンダや回転モータとボールネジ、リニアモータなどで構成される。この直動式アクチュエータは、制御用機器と接続されていて、適宜位置決めが可能である。
また、ビーム形状については、レンズの内、少なくとも一つは、位置を変えることが可能で、被割断基板10との距離が変更可能なように配置されている。レンズの位置を変えることにより、被割断基板10に照射されるレーザビームの寸法が変化する。レンズの位置変更手段として、直動式アクチュエータが上げられ、シリンダや回転モータとボールネジ、リニアモータなどで構成される。この直動式アクチュエータは、制御用機器と接続されていて、適宜位置決めが可能である。
パワーメータ72は、レーザスクライブ装置1の内部に設置されている。パワーメータ72は、本体部2筐体とレーザ受光部70と温度センサ部と制御部とを含む。レーザ受光部70はレーザを受光し、温度センサ部にて電気信号が出力され、制御ボード77にて増幅処理やフィルタ処理がなされる。レーザ部7のレーザ発振器から出射されたレーザビームは、被割断基板10に照射されない時に、パワーメータヘッド部のレーザ受光部に照射される。レーザ発振器から出射されたビームが被割断基板10に照射されるか、パワーメータに照射されるかは、ミラーの位置や角度を変更することで選択可能である。ミラーの位置や角度を変更する手段として、直動式アクチュエータ、回転式アクチュエータが上げられる。このアクチュエータは制御用機器77と接続されていて、適宜位置決めが可能である。パワーメータ72で計測された計測値は、電気信号に変換して出力され、制御ボード77に入力される。照射されるレーザビームのパワーに応じて、パワーメータ72から電気信号が出力されるので、制御用機器側でレーザビームのパワーを計測することが出来る。
パワーメータ用チラー726について述べる。パワーメータ72のヘッドには、冷却が不要なものと、冷却が必要なものとがある。パワーメータ72のヘッドを冷却する手段として、パワーメータ72のヘッド筐体の一部に多数の放熱フィンを取り付けた空冷方式が例示できる。空冷方式の場合、送風機を併用して冷却効率を上げるものがある。また、パワーメータ72のヘッドを冷却する手段として、空冷方式の他に水冷方式が上げられる。水冷方式は、パワーメータ72のヘッド筐体の温度を、外部から供給した冷水に熱を伝え、外部に放出する方式をからなる。冷媒として、水以外にエチレングリコールを含む溶液や、油類などを含む方式も広義で含み、いずれの水冷方式を用いても良い。水冷方式の場合、冷水供給源がレーザ発振器の冷却用とパワーメータ72のヘッド部の冷却用とが独立している場合と、共通の場合とがある。
基板変位センサ66は、スクライブヘッド6内部に設置されており、スクライブヘッド6と被割断基板10との距離を測定することができる。基板変位センサ66には、接触式または非接触式のものが使用される。基板変位センサ66で計測された計測値は、電気信号に変換して出力され、制御盤ボックス30内の制御用機器に入力される。スクライブヘッド6と被割断基板10との距離に応じて、基板変位センサから電気信号が出力されるので、制御用機器側で距離を計測することが出来る。
基板表面温度センサ781は、スクライブ装置1の内部に設置されている。基板表面温度センサ781を用いて、スクライブ装置1中の被割断基板10の表面温度を測定することができる。基板表面温度センサ781で計測された計測値は、電気信号に変換して出力され、制御盤ボックス30内の制御用機器に入力される。
観察カメラ部について述べる。スクライブ装置1内やスクライブヘッド6内には、観察カメラが設置されている場合がある。観察カメラ部は、カメラ部、カメラ駆動部にて構成されている。カメラ部は、撮像カメラ、レンズ、照明などを含む機器にて構成される。撮像カメラには、CCDカメラ、CMOSカメラなどが用いられる。また、カメラ部は、被観察物上の一部若しくは全部の模様や姿勢や外郭部を観察する機能がある。カメラ部と画像処理部とは信号ケーブルを介して接続されており、撮像カメラで観察された画像が画像処理部へ伝送される。画像処理部へ伝送された画像は、適宜、情報表示部に出力される。レンズは、被割断基板10上の一部のマーク若しくは被割断基板10の外郭部の像を撮像カメラ上に結像させる役目を持つ。その場合の照明は、被割断基板10上の一部のマーク若しくは被割断基板10の外郭部を明るくし、撮像カメラで観察しやすい明るさにする役目を持つ。照明は、LED光源、ハロゲン光源、メタルハライド光源、白色電球、蛍光灯などを含み、明るさを調節する調光手段を持つ場合もある。
レーザスクライブ装置1には、局所クリーンユニットと呼ばれるクリーンエア供給手段が設置される場合がある。また、必要に応じて、装置内の空気を外部に排出する排気ブロワが設置される。
次に、上記装置を用いて、被割断基板10にレーザスクライブ処理をおこなう方法について説明する。
被割断基板10としては、携帯用情報端末やパソコン用モニタ、薄型TVなどの、FPD(Flat Panel Display)に使用されるガラス板等を例示できる。
FPD用ガラス板は、マザーガラスと呼ばれる大型の基板サイズで各種製造工程を通った後、最終製品のサイズのパネル単位に切り出される。ガラス板の材料として、ソーダライムガラスや無アルカリガラスと呼ばれる材料等が例示できる。
まず被割断基板10を吸着テーブルに載置し、吸着させる。
被割断基板10の表面にアライメントマークが配置されていない場合、被割断基板10の外形基準でアライメントを行う方法を選択することができる。被割断基板10の外形基準の方法としては、テーブル部43に刻印された目印や線を参考に作業者が位置を調整する方法や、テーブル部43上に位置決め基準となる突起を配置してガラス板をそれに沿わせる方法などが挙げられる。
被割断基板10表面にアライメントマークが配置されている場合、吸着テーブル431に対して被割断基板10が多少ずれた状態で載置されていても構わない。
アライメントマークをアライメントカメラにて読み取り、被割断基板10のずれ量を制御盤ボックス30の数値演算装置にて演算する。数値演算装置は、被割断基板10のずれ量とテーブルの位置情報を元に、被割断基板10の姿勢を正すための補正演算を行う。被割断基板10を載置したテーブル41は、被割断基板10の厚み測定位置へ移動し、スクライブヘッド部6と被割断基板10の表面との距離を測定する。制御装置は測定した距離情報を元に、イニシエータ61の高さを調節する。
テーブル部43はスクライブ処理開始位置へ所定の速度で移動する。テーブル部43の移動中に、イニシエータ61によって被割断基板10の端面の表面部に極めて小さな亀裂が形成される。この小さな亀裂が、レーザスクライブ処理の開始点となる。
レーザ発振器7からスクライブヘッド6に対してレーザビームが照射される。レーザビームはスクライブヘッド6内のレンズにてスクライブ処理に最適なビーム形状に成形され、被割断基板10の表面に照射される。被割断基板10は、レーザが照射されつつ所定の速度で移動しているので、スクライブ予定線111に対して連続的に加熱される。この時、被割断基板10表面には圧縮応力が生じる。
被割断基板10は、レーザで加熱された直後、ミスト冷却部8のノズル83からミストが噴霧され、冷却される。この時、被割断基板10の表面には引張応力が生じる。
上記で述べた、加熱と冷却のサイクルにより、被割断基板10表面には圧縮と引張の応力変化が起きる。この圧縮と引張の応力変化は被割断基板10の移動に伴って、連続的に行われる。
このとき、イニシエータ61にて形成した被割断基板10の端面の表面部の小さな亀裂が連続的に拡がる。この連続した亀裂がスクライブ線112である。尚、このスクライブ線112は通常目視では認識できない。
このとき、イニシエータ61にて形成した被割断基板10の端面の表面部の小さな亀裂が連続的に拡がる。この連続した亀裂がスクライブ線112である。尚、このスクライブ線112は通常目視では認識できない。
事前に登録したスクライブ処理条件情報に基づき、被割断基板10基板上の所定の位置に対して、スクライブ処理を行う。必要に応じて、被割断基板10の姿勢を変え、スクライブ処理を行う。上記動作を必要回数繰り返すことにより、格子状にスクライブ線を形成する。
被割断基板10基板を装置外に取り出し、次にスクライブ処理する被割断基板10をテーブルに載置する。
被割断基板10からなる貼合せ基板は片面ずつスクライブ処理する必要があるので、第1面をスクライブ処理した後、被割断基板10を表裏反転し、第2面をスクライブヘッド6側に向けて載置する。スクライブ装置1に反転機構が付属している場合は、被割断基板10を反転機構で反転させた後、テーブル部43に載置する。スクライブ処理処理が完了した被割断基板10基板は、スクライブ線に沿って必要な外力を加えて割断され、短冊化もしくは個片化される。
尚、短冊化とは、複数のパネルが列状に連なった状態であることを意味し、個片化とは、複数のパネルがそれぞれ個々に分離されている状態を意味する。
スクライブ線112に沿って曲げ応力が作用することで、亀裂が拡がり、被割断基板10基板が割断される。
〔実施例1〕
被割断基板10を割断する割断工程に先立ち、被割断基板10に対しレーザ光からなる加熱ビーム70を被割断基板10のスクライブ予定線111に沿って相対的に移動させることによりスクライブ予定線111の始端から終端に向かうスクライブ線112を形成するレーザスクライブ装置1において、被割断基板10を吸着テーブル431上にいかに安定させて、吸着させるかの課題に対し、レーザスクライブ処理では、被割断基板10に対して熱変化をあたえることで成立する加工プロセスであり、被割断基板10への吸熱と被割断基板10からの放熱のバランスが変化することは望ましくない。従い、昨今の様に、被割断基板10の板厚が薄くなると、被割断基板10を保持するテーブル部43側への熱伝導がし易くなる。そのような状態下で、スクライブ予定線111直下のテーブル部43の状態に変化があると、熱バランスが崩れる。
被割断基板10を割断する割断工程に先立ち、被割断基板10に対しレーザ光からなる加熱ビーム70を被割断基板10のスクライブ予定線111に沿って相対的に移動させることによりスクライブ予定線111の始端から終端に向かうスクライブ線112を形成するレーザスクライブ装置1において、被割断基板10を吸着テーブル431上にいかに安定させて、吸着させるかの課題に対し、レーザスクライブ処理では、被割断基板10に対して熱変化をあたえることで成立する加工プロセスであり、被割断基板10への吸熱と被割断基板10からの放熱のバランスが変化することは望ましくない。従い、昨今の様に、被割断基板10の板厚が薄くなると、被割断基板10を保持するテーブル部43側への熱伝導がし易くなる。そのような状態下で、スクライブ予定線111直下のテーブル部43の状態に変化があると、熱バランスが崩れる。
上記熱バランスを安定的に保つために、本発明では、図5に示す様に、被割断基板10の板厚に対して2倍以下の直径の吸引孔442を設けたテーブル部43で吸着し、スクライブ処理を施した。その後、被割断基板10の切断工程にて、切断したが、切断した後の品質は悪化せず、良好な分断被割断基板10が得られた。
次に、被割断基板10の板厚と同等かそれ以下の直径の吸引孔442をテーブル部43に設けた吸引孔442との被割断基板10割断結果、及び、被割断基板の板厚の1/2と同等かそれ以下の直径の吸引孔442をテーブル部43に設けた吸引孔442との被割断基板10の割断結果との関係を表1に示した。
〔実施例2〕
次に、被割断基板10の板厚に対して図6に示す様に、2倍以下の横断幅の溝443を加工した吸着プレート431を準備し、あるいは、被割断基板10の板厚と同等かそれ以下の横断幅の溝443を加工した吸着プレート431との被割断基板10の割断結果、及び、被割断基板10の板厚の1/2と同等かそれ以下の横断幅の溝443を加工した吸着プレート431との被割断基板10の割断結果をもって、スクライブ処理を実施し、被割断基板10を割断したところ被割断基板10の品質は悪化せず、良好な割断被割断基板10が得られた。その結果を表1に示した。
〔実施例2〕
次に、被割断基板10の板厚に対して図6に示す様に、2倍以下の横断幅の溝443を加工した吸着プレート431を準備し、あるいは、被割断基板10の板厚と同等かそれ以下の横断幅の溝443を加工した吸着プレート431との被割断基板10の割断結果、及び、被割断基板10の板厚の1/2と同等かそれ以下の横断幅の溝443を加工した吸着プレート431との被割断基板10の割断結果をもって、スクライブ処理を実施し、被割断基板10を割断したところ被割断基板10の品質は悪化せず、良好な割断被割断基板10が得られた。その結果を表1に示した。
レーザスクライブ装置を用いて、被割断基板に、スクライブ処理を施す方法において、被割断基板としては、携帯用情報端末やパソコン用モニタ、薄型TVなどの、FPD(Flat Panel Display)に使用されるガラス基板等に摘要できる。
また、FPD用ガラス板は、マザーガラスと呼ばれる大型の基板サイズで各種製造工程を通った後、最終製品のサイズのパネル単位に切り出される。ガラス板の材料として、ソーダライムガラスや無アルカリガラスと呼ばれる材料が例示できる。
1 レーザスクライブ装置
4 テーブル部
10 被割断基板
111 スクライブ予定線
112 スクライブ線
2 本体部
30 制御盤ボックス
331 情報表示部
43 テーブル本体部
43−a ステージ部
431 吸着プレート
432 吸着孔
434 真空気室
440 吸着サブテーブル
442 吸着孔
443 吸着溝
55 カメラ駆動部
521 撮像カメラ
6 スクライブヘッド部
61 イニシエータ部
7 レーザ加熱部
71 レーザ発信器
8 ミスト冷却部
4 テーブル部
10 被割断基板
111 スクライブ予定線
112 スクライブ線
2 本体部
30 制御盤ボックス
331 情報表示部
43 テーブル本体部
43−a ステージ部
431 吸着プレート
432 吸着孔
434 真空気室
440 吸着サブテーブル
442 吸着孔
443 吸着溝
55 カメラ駆動部
521 撮像カメラ
6 スクライブヘッド部
61 イニシエータ部
7 レーザ加熱部
71 レーザ発信器
8 ミスト冷却部
Claims (6)
- 被割断基板を割断する割断工程に先立ち、被割断基板に対しレーザ光を被割断基板の割断予定線に沿って相対的に移動させることにより割断予定線の始端から終端に向かうスクライブ線を形成するレーザスクライブ装置において、スクライブ処理をおこなうテーブル表面上の被割断基板吸着プレートに、被割断基板の板厚に対して2倍以下の直径の吸引孔を備えたことを特徴とするレーザスクライブ装置。
- スクライブ処理をおこなうテーブル表面上の被割断基板吸着プレートに、被割断基板の板厚、あるいは板厚以下の直径の吸引孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザスクライブ装置。
- スクライブ処理をおこなうテーブル表面上の被割断基板吸着プレートに、被割断基板の板厚に対して1/2あるいは、板厚に対して1/2以下の直径の吸引孔を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザスクライブ装置。
- 被割断基板を割断する割断工程に先立ち、被割断基板に対しレーザ光を被割断基板の割断予定線に沿って相対的に移動させることにより割断予定線の始端から終端に向かうスクライブ線を形成するレーザスクライブ装置において、スクライブ処理をおこなうテーブル表面上の被割断基板吸着プレートに、被割断基板の板厚に対して2倍以下の横断幅を持つ溝を備えたことを特徴とするレーザスクライブ装置。
- スクライブ処理をおこなうテーブル表面上の被割断基板吸着プレートに、被割断基板の板厚、あるいは板厚以下の横断幅を持つ溝を備えたことを特徴とする請求項4に記載のレーザスクライブ装置。
- スクライブ処理をおこなうテーブル表面上の被割断基板吸着プレートに、被割断基板の板厚に対して1/2あるいは、板厚に対して1/2以下の横断幅を持つ溝を備えたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のレーザスクライブ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007077467A JP2008229713A (ja) | 2007-03-23 | 2007-03-23 | レーザスクライブ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=39903126
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008229713A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012151263A (ja) * | 2011-01-19 | 2012-08-09 | Disco Abrasive Syst Ltd | 加工装置 |
KR20160102661A (ko) * | 2015-02-23 | 2016-08-31 | 국민대학교산학협력단 | 방열구조를 갖는 빔을 이용한 비접촉 가공장치 |
-
2007
- 2007-03-23 JP JP2007077467A patent/JP2008229713A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012151263A (ja) * | 2011-01-19 | 2012-08-09 | Disco Abrasive Syst Ltd | 加工装置 |
KR20160102661A (ko) * | 2015-02-23 | 2016-08-31 | 국민대학교산학협력단 | 방열구조를 갖는 빔을 이용한 비접촉 가공장치 |
KR101676721B1 (ko) * | 2015-02-23 | 2016-11-16 | 국민대학교산학협력단 | 방열구조를 갖는 빔을 이용한 비접촉 가공장치 |
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