JP2008228583A - セルロースの分解方法及びグルコースの生産方法 - Google Patents

セルロースの分解方法及びグルコースの生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロース原料に含有されるセルロースを分解する方法を提供するものである。
【解決手段】粉砕したセルロース系バイオマスを耐圧密閉容器に封入し、濃度5%水酸化ナトリウム水溶液、純水とニッケルに対して亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト、銅、錫の何れか1種類以上を固溶させたオキシ水酸化ニッケル5gを添加して、触媒反応液を調製する。次に、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する触媒反応液を、攪拌翼を用いて攪拌しつつ、昇温速度5℃/分で加熱し、セルロースの分解反応を行なう。反応は、反応器内の自生圧(水の飽和蒸気圧)下で行なう。触媒反応液の液温が所定温度に到達後各1時間加熱した後、触媒反応液を約3℃/分の速度で室温まで冷却した。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルロースを含有するセルロース原料に対して、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する方法、そしてグルコースを生産する方法に関するものである。
今日、バイオマスは二酸化炭素削減(地球温暖化対策)、循環型社会の構築などの取り組みを通じて注目されている。植物系バイオマスとしてはセルロースがあり、このセルロースは、例えばセルロースエステルやセルロースエーテル等の有用な誘導体の原料やエタノールの原料等として多様な用途がある。
このセルロースは、植物細胞の細胞壁および繊維を主成分としており、自然界に産出する有機物中で最も多く存在する炭水化物である。このセルロースは、多数のβ−グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子である。自然状態においてはヘミセルロースやリグニンと結合して存在することが多い。
セルロースを利用する場合、セルロースを分解する必要があり、硫酸や塩酸を用いた酸加水分解法や、酵素のセルラーゼを用いた酵素加水分解法が検討されている。
具体的には、加圧熱水を用いた方法として、セルロース粉末を、200〜300℃に加熱した加圧熱水と接触させて加水分解する方法が検討されている(例えば、特許文献1を参照)。また、植物系バイオマスを140℃〜230℃で飽和蒸気圧以上に加圧した加圧熱水で加水分解してセルロースを抽出し、セルロースを380〜420℃に加熱された雰囲気中でニッケル系触媒により分解する方法(例えば、特許文献2を参照)等も提案されている。
また、鉱酸や有機酸による加水分解によって熱水凝集性セルロースエーテルを解重合する方法についても報告されている(例えば、特許文献3を参照)。
その他、固体触媒を用いた方法として、分子内に酸性官能基または塩基性官能基を有する活性炭等を用い、セルロースと前記触媒を含む反応液を125〜250℃で処理する方法(例えば、特許文献4を参照)等も提案されている。
特開平10−327900号公報(第1頁) 特開2002−59118号公報(第1頁) 特表2003−508597号公報(第1頁) 特開2006−129735号公報(第1頁)
しかし、セルロースは非常に安定で、分解は困難であり、工業的な利用を妨げている。すなわち、セルラーゼを用いる方法では、セルロースの強固な結晶構造のため、加水分解速度が極めて遅いという欠点がある。
また、特許文献1、2に記載された加圧熱水を用いる方法では、反応の進行が遅いため効率的に加水分解を行なうことができない。更に、熱水を加圧する必要があるため、加圧装置が必要となり、全体として装置が大型化し、効率的でない。
また、特許文献3に記載された酸等の薬品を用いた加水分解はコストが高い。更に、刺激性を有するため環境に対する負荷が大きいという問題を生じる。
さらに、特許文献4に記載された固体触媒を用いた方法は、固体触媒を用いるため、セルロース分解工程は複雑でないが、分解反応温度としては125〜250℃と高く、生産物エネルギーに対して、生産するためのエネルギー効率が低いという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、セルロース原料に含有されるセルロースを分解する方法を提供するものである。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、セルロースを含有するセルロース原料とアルカリ性水溶液とからなる反応液を、所定温度で加熱することによりセルロースを分解する方法であって、前記反応液に、セルロースの分解反応を促進させるための触媒としてオキシ水酸化ニッケルを加えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセルロースの分解方法において、前記オキシ水酸化ニッケルは、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト、銅、錫の何れか1種類以上固溶することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2に記載のセルロースの分解方法において、前記セルロース原料には、化学修飾されたセルロースを含有させることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のセルロースの分解方法において、前記加熱における所定温度は、80℃以上130℃以下であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、セルロースを含有するセルロース原料とアルカリ性水溶液とからなる反応液を、所定温度で加熱することによりセルロースを分解してグルコースを生産する方法であって、前記反応液に、セルロースの分解反応を促進させるための触媒としてオキシ水酸化ニッケルを加えることを要旨とする。
(作用)
本願発明は、セルロースの分解反応において触媒としてオキシ構造を有するオキシ水酸化ニッケルを用いた場合、効率よくセルロースが分解されるという、本発明者によって初めて明らかにされた知見に基づくものである。これにより、安価かつ効率よく低エネルギーでセルロースを分解し、生成物としてグルコースを得ることができる。
触媒反応は、反応物分子が触媒へ配位または吸着することにより開始され、触媒に配位または吸着した反応物分子が分子内の結合を弱めたり解離したりすることによって同じ分子の均一系反応に比べて活性化エネルギーを著しく低下させ、これにより反応速度を増大させるものである。反応物分子が触媒へ配位または吸着する際は、触媒の有する表面積や表面電荷などが重要な役割を果たすため、分子内にO=基とOH−基を有するオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)を触媒として用いることにより、水素結合にて反応物分子が触媒へ配位または吸着する効率を高めることができる。
これにより、セルロース原料とオキシ水酸化ニッケル触媒とを含む反応液を加熱処理するという簡単な手順により、セルロースの分解を行なうことができる。従って、非常に簡便かつ安価に、効率よくセルロースを分解することができ、大規模な反応装置も必要としない。
オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する方法によれば、加熱処理において、オキシ水酸化ニッケルが分子内のO=基やOH−基でセルロース原料中のセルロースを水素結合にて効率よく吸着し、セルロースの分解を促進する。従って、化学修
飾されたセルロースを用いることにより、セルロースの加水分解生成物としてのグルコースを迅速かつ効率的に得ることができる。
また、本発明に係るセルロースの分解方法およびグルコースを生産する方法では、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する所定温度が80℃以上130℃以下であることを特徴としている。ここで、反応温度が80℃未満であると分解反応の遅延を招く。一方、130℃を超えると、その分セルロースを分解するためのエネルギーを消費することとなり、グルコース等のセルロース分解反応物が有するエネルギーに対して効率が低下する。従って、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する温度範囲でセルロースの分解を行なうことにより、分解を速やかに行なうことができるとともに、効率的にセルロースの分解反応物を生産することができる。
セルロース原料に含まれるセルロースを効率的に分解することができ、生成物としてのグルコースを効率よく得ることができる。また、非常に簡便な方法であるため、安価にセルロースを分解することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を、セルロースの分解方法を用いて説明する。本発明に係るグルコースの生産方法は、本発明に係るセルロースの分解方法を用いている。従って、本発明に係るグルコースの生産方法の説明は、本発明に係るセルロースの分解方法の説明と共通するものである。
セルロースの分解方法は、セルロースを含有するセルロース原料と、アルカリ性水溶液と、セルロースの分解反応を触媒するオキシ水酸化ニッケルとからなる触媒反応液を調製し、この液を所定温度に加熱するステップを含むものである。
本実施形態に用いるセルロース原料のセルロース含有率は、特に限定されるものではなく、含まれるセルロースを触媒反応液に分散することができるものであればよい。セルロース原料の形状は、特に限定されるものではないが、水への分散が容易であるため、粉末状であることが好ましい。
本実施形態では、触媒として用いるオキシ水酸化ニッケルは、コバルト、銅の何れか1種類以上を固溶する。
また、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する反応液は、セルロースの含有率が高く分解しやすい化学修飾セルロースを含有させることが好ましい。
本発明の加熱処理は、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する触媒反応液を所定温度に加熱することにより、セルロースにオキシ水酸化ニッケルを作用させるステップである。この加熱方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて行なうことができる。例えば、市販のオートクレーブを用いて加熱することができる。
反応温度は、特に限定されるものではないが、80℃以上であれば実効的な反応速度を確保することができる。また、加熱装置の簡便性の観点から、反応温度は130℃以下であることが好ましい。反応温度を、オキシ水酸化ニッケルが触媒として機能してセルロースを分解する範囲内とすることで、セルロースにオキシ水酸化ニッケル触媒を効率よく作用させることができる。反応温度が80℃未満であると分解反応が遅延し、130℃を超えると、その分グルコースを生産するためのエネルギーを消費することとなり、グルコースが有するエネルギーに対して生産効率が低下してしまうため好ましくない。
触媒反応液の昇温速度は、特に限定されるものではないが、生成物の過分解を抑制する観点から昇温速度が比較的低い10℃/分以下が好ましい。例えば、太陽熱利用の加熱装置などの場合には、このような昇温速度を実現することができる。
また、触媒反応液の冷却速度は、特に限定されるものではないが、冷却装置の簡便性の観点から、自然冷却、水冷など冷却速度が比較的低い10℃/分以下が好ましい。
反応時間は、特に限定されるものではなく、触媒反応液は、設定した反応温度に到達した直後に冷却してもよいし、設定した反応温度に任意の時間保持してもよい。
また、反応時の圧力は、特に限定されるものではないが、例えば反応器内の自生圧(水の飽和蒸気圧)以上で反応を行なうことが好ましい。ただし、反応条件を一定に保つため、圧力は一定に保持することが好ましい。従って、反応は耐圧密閉容器中で行なうことが好ましい。
以上のように、本発明に係るセルロースの分解方法では、加熱ステップにおいてオキシ水酸化ニッケル触媒を用いてセルロースを分解し、グルコースを生成する。これにより、セルロース原料に含まれるセルロースの分解を促進することができる。
なお、本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明する。ここでは、後述するように図1に示す評価テーブル10に記載した条件により実施したが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施条件]
粉砕したセルロース系バイオマス10.0g(アルドリッチ社製)を耐圧密閉容器に封入し、濃度5%水酸化ナトリウム水溶液50g、純水600gとニッケルに対してコバルトや銅を固溶させたオキシ水酸化ニッケル5gを添加して、触媒反応液を調製した。次に、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する触媒反応液を、攪拌翼を用いて攪拌しつつ、昇温速度5℃/分で加熱し、セルロースの分解反応を行なった。なお、反応は、反応器内の自生圧(水の飽和蒸気圧)下で行なった。触媒反応液の液温が評価テーブル10に記載した所定温度に到達後各1時間加熱した後、触媒反応液を約3℃/分の速度で室温まで冷却した。ここで、室温とは、一般的な室温の範囲内(15〜25℃)を示すものとする。
冷却後、容器内の生成物を回収し、反応終了後の残存セルロース量を算出した。残存セルロース量としては、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する反応終了後の触媒反応液を冷却後、ポリエーテルスルフォン製の濾過フィルターにて濾過し不溶物を純粋で数回洗浄後、105±5℃で2時間以上乾燥後秤量した。なお、残存セルロース質量の算出方法としては、上記秤量した質量から予め測定した濾過フィルターとオキシ水酸化ニッケル等の質量を差し引き、この質量を残存セルロース質量とした。
そして、オキシ水酸化ニッケルを添加して分解反応を行なった場合のセルロース残存率を、反応終了後の触媒反応液に含まれる固形物の質量に対するセルロースの質量比(mass%)として反応温度ごとに求めた。その評価結果を評価テーブル10に示す。
[実施例1]
反応温度を130℃とし、オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%、コバルト2mass%としたこと以外は、上述の実施条件と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[実施例2]
反応温度を120℃とし、オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%、コバルト2mass%としたこと以外は、上述の実施条件と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[実施例3]
反応温度を100℃とし、オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%、コバルト2mass%としたこと以外は、上述の実施条件と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[実施例4]
反応温度を80℃とし、オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%、コバルト2mass%としたこと以外は、上述の実施条件と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[実施例5]
オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%としたこと以外は、実施例3と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[実施例6]
セルロースを分解する反応液に、化学修飾されたセルロース(ビスコース等を含む)を3g含有させること以外は実施例3と同様にして、セルロースの分解を行なった。
[比較例1]
セルロースを分解する反応液にオキシ水酸化ニッケルを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[比較例2]
セルロースを分解する反応液にオキシ水酸化ニッケルを添加しないこと以外は、実施例2と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[比較例3]
セルロースを分解する反応液にオキシ水酸化ニッケルを添加しないこと以外は、実施例3と同様にしてセルロースの分解を行なった。
[比較例4]
セルロースを分解する反応液にオキシ水酸化ニッケルを添加しないこと以外は、実施例4と同様にしてセルロースの分解を行なった。
(評価結果)
評価テーブル10の実施例1〜4と比較例1〜4の結果を比較すると、反応温度80〜130℃において、オキシ水酸化ニッケルを添加しなかった場合のセルロース残存率が95〜97%という結果に対して、オキシ水酸化ニッケルを添加した場合のセルロース残存率は67〜70%となっている。このことから、セルロースの分解がオキシ水酸化ニッケルの存在により急速に加速されたことが分かる。これは、セルロースの分解反応において
、オキシ水酸化ニッケルが触媒として効率的に働いたためと判断される。
次に、評価テーブル10の実施例3と実施例5の結果を比較すると、オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%、コバルト2mass%とした場合のセルロース残存率が70%という結果に対して、オキシ水酸化ニッケルの固溶体をニッケルに対して銅5mass%とした場合のセルロース残存率が75%である。このことから、オキシ水酸化ニッケルへ固溶させる金属の種類等によりセルロース分解における触媒能が変化することが推察される。固溶させる金属の種類により、オキシ水酸化ニッケルの表面電荷が変化し反応物分子の触媒への配位または吸着する効率が高まるためと推察される。
評価テーブル10の実施例3と実施例6の結果を比較すると、反応液に化学修飾されたセルロースを含有させた場合のセルロース残存率が65%という結果に対して、含有させない場合のセルロース残存率が70%である。このことから、反応液に化学修飾されたセルロースを含有させることにより、セルロースの分解反応が促進されることが分かる。セルロースの分解により生成したグルコース等がセルロース分子間に存在することにより分子間の水素結合の解離を助長することにより、セルロースの分解反応を促進するためと推察される。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 上記実施形態によれば、分子内にO=基とOH−基を有するオキシ水酸化ニッケルを用いてセルロースを効率的に分解できることが初めて明らかになり、セルロースの分解を迅速に行なうことができる。従って、加圧熱水を用いる方法のように、反応の進行が遅いため効率的に加水分解を行なうことができないという問題を解決することができる。また、非常に簡便なステップによって反応を行なうことができ、反応装置も簡易なもので足りるため、容易かつ安価にセルロースを分解することができる。その結果、効率的に、セルロースの分解性生物であるグルコースを得ることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施例では、セルロース原料として粉砕したセルロース系バイオマスを用いた。このセルロース原料は、セルロースを含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば植物系バイオマス、すなわち広葉樹(例えばシイ)、竹、針葉樹(例えばスギ)、ケナフ、家具の廃材、稲わら、麦わら、籾殻等の有機物を用いることができる。また、木材等から分離された化学修飾セルロースを用いることも可能である。
○ 上記実施例では、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する場合、加熱処理を行なった。この加熱処理においては、触媒反応液を攪拌しながら行なうこともできる。攪拌方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、公知のスターラーバーを用いて攪拌すればよい。触媒反応液を攪拌することにより、オキシ水酸化ニッケル触媒とセルロースとの接触頻度を増加させることができるため、セルロース加水分解反応の効率を高めることができる。
○ 上記実施例では、セルロースの分解方法について説明した。このセルロースの分解方法には、オキシ水酸化ニッケルを触媒として用いてセルロースを分解する工程の他、グルコース回収工程、グルコース精製工程を含めることも可能である。グルコース回収工程は、特に限定されるものではないが、例えばゲル濾過、イオン交換樹脂を用いる方法等公知の方法が適宜利用可能である。またグルコース精製工程としては、再結晶等の操作が挙げられる。
○ 上記実施例では、オキシ水酸化ニッケルにコバルトや銅を固溶させた。この場合、固溶体が含まれないオキシ水酸化ニッケルを触媒として用いることが可能である。
また、オキシ水酸化ニッケルは、固溶体としてコバルト、銅のみならず、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、錫の何れか1種類以上を固溶することが好ましい。このような固溶体を用いることにより、オキシ水酸化ニッケル内の分極を変更して、セルロースの分解を促進させることができる。
○ 上記実施例では、オキシ水酸化ニッケルに活性炭等カーボンを加えることにより、分解反応を促進できる可能性がある。
本発明は、グルコースの原料としてのセルロースの利用を促進することができ、エタノールの原料等としてグルコースを利用することが考えられる分野、例えばエネルギー分野、食品分野、薬品分野等に利用することが可能である。
本発明の実施例と比較例の説明図。
符号の説明
10…評価テーブル

Claims (5)

  1. セルロースを含有するセルロース原料とアルカリ性水溶液とからなる反応液を、所定温度で加熱することによりセルロースを分解する方法であって、
    前記反応液に、セルロースの分解反応を促進させるための触媒としてオキシ水酸化ニッケルを加えることを特徴とするセルロースの分解方法。
  2. 前記オキシ水酸化ニッケルは、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト、銅、錫の何れか1種類以上固溶することを特徴とする請求項1に記載のセルロースの分解方法。
  3. 前記セルロース原料には、化学修飾されたセルロースを含有させることを特徴とする請求項1〜2に記載のセルロースの分解方法。
  4. 前記加熱における所定温度は、80℃以上130℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のセルロースの分解方法。
  5. セルロースを含有するセルロース原料とアルカリ性水溶液とからなる反応液を、所定温度で加熱することによりセルロースを分解してグルコースを生産する方法であって、
    前記反応液に、セルロースの分解反応を促進させるための触媒としてオキシ水酸化ニッケルを加えることを特徴とするグルコースの生産方法。
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