JP2008227657A - 収容トレイ、圧電振動素子の搭載方法、圧電振動子、及び圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電振動素子を絶縁基板上の熱硬化性接着剤上に落下させて被接着側端部下面を該接着剤に接着させた後で、絶縁基板及び圧電振動素子の上下を反転させてから該接着剤を硬化させることにより圧電振動素子を傾斜状態で搭載完了する方法において、圧電振動素子の自重のみに依存することなく圧電振動素子の傾斜角度を常に一定に設定することを可能とする収容トレイを提供する。
【解決手段】絶縁基板2上の未硬化状態にある熱硬化性接着剤25により一端部を接着保持された圧電振動素子20を有した素子搭載ユニットAを支持する収容凹所を備えたトレイ本体51と、収容凹所の上開口部側を閉止する蓋部材60と、を備えた収容トレイであって、蓋部材の下面には、収容凹所内に収容された素子搭載ユニットを構成する圧電振動素子の自由端部上面と対向する位置決め用の突起61が配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】絶縁基板2上の未硬化状態にある熱硬化性接着剤25により一端部を接着保持された圧電振動素子20を有した素子搭載ユニットAを支持する収容凹所を備えたトレイ本体51と、収容凹所の上開口部側を閉止する蓋部材60と、を備えた収容トレイであって、蓋部材の下面には、収容凹所内に収容された素子搭載ユニットを構成する圧電振動素子の自由端部上面と対向する位置決め用の突起61が配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は圧電振動素子を片持ち支持した構造を備えた圧電振動子等の圧電デバイスの製造工程において使用する素子搭載ユニット収容トレイの改良に関し、特にパッケージ内の素子搭載パッド上に塗布した熱硬化性接着剤上に圧電振動素子端部をマウンターにより着座させた後の接着剤の硬化時に圧電振動素子の搭載角度を一義的に確定することを可能とする収容トレイ、圧電振動素子の搭載方法、圧電振動子、及び圧電発振器に関する。
水晶振動素子等の圧電振動素子は、圧電振動子、圧電発振器等に組み込まれて使用される。圧電振動子は、目標とする共振周波数を得る為に好適な肉厚の振動部を有した圧電基板に励振電極やリード端子等を構成する金属膜を蒸着等によって形成した構成を備えている。
表面実装型の圧電振動子は、セラミック等の絶縁材料から成るパッケージの凹陥部内に素子搭載パッドを設け、この素子搭載パッド上に塗布した熱硬化性の導電性接着剤により圧電振動素子の一端部を片持ち状態で支持してから、凹陥部を金属蓋により気密封止した構成を有している。
表面実装型の圧電振動子は、セラミック等の絶縁材料から成るパッケージの凹陥部内に素子搭載パッドを設け、この素子搭載パッド上に塗布した熱硬化性の導電性接着剤により圧電振動素子の一端部を片持ち状態で支持してから、凹陥部を金属蓋により気密封止した構成を有している。
圧電振動素子は、通常、各リード端子を含む基板一端部を導電性接着剤によって素子搭載パッド上面に電気的機械的に接続固定された片持ち構造により支持される。圧電振動素子の素子搭載パッド上への搭載は自動マウンターによって行われるのが一般である。自動マウンターは、図4に示すように吸着ノズル100の吸着面101に設けた複数の通気孔102から供給される負圧によって圧電振動素子110の片面を吸着しつつ、パッケージの凹陥部105の内底面上に設けた素子搭載パッド106上に塗布した導電性接着剤107の直上位置に圧電振動素子110の一端部下面を接近させた状態で負圧供給を中止し、更に各通気孔102から正圧を供給開始して圧電振動素子を吸着面から落下させる。圧電振動素子110はその一端部下面を導電性接着剤の直上位置に近接させた状態で至近距離から落下して導電性接着剤上に着座することにより接着がなされる。
ところで、表面実装型圧電振動子の小型化、低背化が進むに連れてパッケージの凹陥部内における圧電振動素子の収納スペースが減少し、素子搭載パッド上に接続固定された圧電振動素子の一端部とは反対側の自由端部と凹陥部内底面との間のギャップGが狭小化し易くなっている。
このようにパッケージの小容積化が進む中で、従来のように圧電振動素子面が凹陥部内底面と平行な水平姿勢となるように搭載しようとすると、搭載時の僅かな搭載角度の下降傾斜、導電性接着剤の硬化時の応力による影響等によって圧電振動素子の自由端部が凹陥部内底面に接触し、圧電振動素子の共振周波数が変動するという不具合があった。また、完成品としての圧電デバイスに落下衝撃が加わった時にも圧電振動素子は振動して面方向へ撓みを起こすが、このとき圧電振動素子自由端部がパッケージ内底面に衝突すると、その瞬間に振動数が変化してずれを起こしたり、破損する虞がある。
このようにパッケージの小容積化が進む中で、従来のように圧電振動素子面が凹陥部内底面と平行な水平姿勢となるように搭載しようとすると、搭載時の僅かな搭載角度の下降傾斜、導電性接着剤の硬化時の応力による影響等によって圧電振動素子の自由端部が凹陥部内底面に接触し、圧電振動素子の共振周波数が変動するという不具合があった。また、完成品としての圧電デバイスに落下衝撃が加わった時にも圧電振動素子は振動して面方向へ撓みを起こすが、このとき圧電振動素子自由端部がパッケージ内底面に衝突すると、その瞬間に振動数が変化してずれを起こしたり、破損する虞がある。
このような不具合に対処するために圧電振動素子110の一端部下面を素子搭載パッド106上の導電性接着剤107に搭載する際の姿勢を、圧電振動素子の自由端部が上向きに傾斜するように吸着搭載ノズル100の吸着面101と搭載基板面(凹陥部内底面)との相対的な傾斜角度を調整するようにした技術が提案されている。
しかし、圧電振動素子は極めて軽量であるため落下時に空気抵抗による影響を受けやすく、至近距離から落下させたとしても一端部下面が導電性接着剤面に到達するまでの過程中に圧電振動素子の下面全体に加わる空気抵抗のバラツキによって落下姿勢が一定にならない。このような原因により導電性接着剤が硬化した際の圧電振動素子の傾斜姿勢にばらつきが発生し易く、圧電振動素子の自由端部と搭載基板面との間のギャップ、及びパッケージ凹陥部を閉止するリッド下面との間のギャップGを一定に確保することは極めて困難であった。
しかし、圧電振動素子は極めて軽量であるため落下時に空気抵抗による影響を受けやすく、至近距離から落下させたとしても一端部下面が導電性接着剤面に到達するまでの過程中に圧電振動素子の下面全体に加わる空気抵抗のバラツキによって落下姿勢が一定にならない。このような原因により導電性接着剤が硬化した際の圧電振動素子の傾斜姿勢にばらつきが発生し易く、圧電振動素子の自由端部と搭載基板面との間のギャップ、及びパッケージ凹陥部を閉止するリッド下面との間のギャップGを一定に確保することは極めて困難であった。
特許文献1には、基板上の接着ペーストに振動素子の一端部を着座させてから基板と共に振動素子の上下を逆転させ、この状態で接着ペーストを乾燥させることにより振動素子の自由端部を傾斜させて保持する方法が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の従来方法では、基板上に保持された振動素子の上下を反転させた際に自重によって傾斜状態となる振動素子の傾斜角度を一定にコントロールできないという問題があった。即ち、振動素子の自重のみに依存することによるギャップコントロールには限界があった。
しかし、特許文献1に記載の従来方法では、基板上に保持された振動素子の上下を反転させた際に自重によって傾斜状態となる振動素子の傾斜角度を一定にコントロールできないという問題があった。即ち、振動素子の自重のみに依存することによるギャップコントロールには限界があった。
なお、圧電振動素子を構成する圧電基板には、図4に示した如く厚みが均一なフラット板タイプの他に、外周縁(両端部)よりも中央部の厚みが大きいベベルタイプや、コンベックスタイプがあるが、後二者の圧電基板にあっては導電性接着剤との接着面が傾斜、或いは湾曲しているために接着剤による保持力が安定せず、圧電振動素子の保持角度に特にバラツキが発生し易い。
更に、音叉型振動素子のように細長くて厚みのある圧電基板を片持ち支持した場合には、自重により自由端部が垂れ下がる虞が高くなるため、この点の改善も従来から求められていた。
特開2002−198757公報
更に、音叉型振動素子のように細長くて厚みのある圧電基板を片持ち支持した場合には、自重により自由端部が垂れ下がる虞が高くなるため、この点の改善も従来から求められていた。
以上のように従来は、絶縁基板上の素子搭載パッド上に塗布した熱硬化性接着剤上に圧電振動素子の一端部下面を着座(接着)させてから、圧電振動素子を含めた絶縁基板の上下を反転させることにより圧電振動素子の自由端部と絶縁基板面との離間距離を確保し、この状態で接着剤を硬化させていた。
しかし、この従来方法では、上下を反転させた際に自重によって傾斜状態となる振動素子の傾斜角度を一定にコントロールできないという問題があった。
しかし、この従来方法では、上下を反転させた際に自重によって傾斜状態となる振動素子の傾斜角度を一定にコントロールできないという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、圧電振動素子を絶縁基板上の熱硬化性接着剤上に落下させて被接着側端部下面を該接着剤に接着させた後で、絶縁基板及び圧電振動素子の上下を反転させてから該接着剤を硬化させることにより圧電振動素子を傾斜状態で搭載完了する方法において、圧電振動素子の自重のみに依存することなく圧電振動素子の傾斜角度を常に一定に設定することを可能とする収容トレイ、圧電振動素子の搭載方法、圧電振動子、及び圧電発振器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る収容トレイは、上面に素子搭載パッドを有すると共に下面に実装電極を有した絶縁基板、及び該素子搭載パッド上の未硬化状態にある熱硬化性接着剤により一端部を接着保持された圧電振動素子を有した素子搭載ユニットを、前記絶縁基板下面を下向きにして支持する収容凹所を備えたトレイ本体と、該収容凹所の上開口部側に装着されることにより該上開口部を閉止する蓋部材と、を備えた収容トレイであって、前記蓋部材の下面には、前記収容凹所内に収容された前記素子搭載ユニットを構成する前記圧電振動素子の自由端部上面と対向する位置決め用の突起が配置されていることを特徴とする。
使用する熱硬化性接着剤の性能、圧電振動素子の重量、形状(接着保持し易いか否か)等の要因により、圧電振動素子の自重のみによって保持姿勢をコントロールすることには限界がある。本発明ではこのような不確定要因に依存することなく、接着剤を硬化させる前の段階で圧電振動素子の姿勢を一定に保持し、この状態で接着剤を硬化させるようにしたので、最終的に得られる姿勢を一定とし、パッケージ内壁との間のギャップを常に一定に保持することが可能となる。
使用する熱硬化性接着剤の性能、圧電振動素子の重量、形状(接着保持し易いか否か)等の要因により、圧電振動素子の自重のみによって保持姿勢をコントロールすることには限界がある。本発明ではこのような不確定要因に依存することなく、接着剤を硬化させる前の段階で圧電振動素子の姿勢を一定に保持し、この状態で接着剤を硬化させるようにしたので、最終的に得られる姿勢を一定とし、パッケージ内壁との間のギャップを常に一定に保持することが可能となる。
また、本発明に係る収容トレイは、前記蓋部材の前記突起を回避した位置に開放部を形成したことを特徴とする。
収容トレイ内に素子搭載ユニットを収容した状態でエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤を硬化させるために加熱すると、接着剤から発生したアウトガスが圧電振動素子に付着して周波数を変動させる要因となる。そこで、本発明では収容トレイの適所、この例では蓋部材に開放部を設けてアウトガスがパッケージ内に溜まらないようにした。
収容トレイ内に素子搭載ユニットを収容した状態でエポキシ系接着剤等の熱硬化性接着剤を硬化させるために加熱すると、接着剤から発生したアウトガスが圧電振動素子に付着して周波数を変動させる要因となる。そこで、本発明では収容トレイの適所、この例では蓋部材に開放部を設けてアウトガスがパッケージ内に溜まらないようにした。
また、本発明に係る収容トレイは、前記トレイ本体の収容凹所内底面に前記絶縁基板の実装電極を吸着する磁石を配置したことを特徴とする。
絶縁基板の下面には表面実装用の実装電極が配置される。この実装電極は少なくとも一部に磁性体層を有しているため、磁石によって吸着する対象物として利用することができる。
絶縁基板の下面には表面実装用の実装電極が配置される。この実装電極は少なくとも一部に磁性体層を有しているため、磁石によって吸着する対象物として利用することができる。
また、本発明に係る圧電振動素子の搭載方法は、前記収容トレイの前記収容凹所内に前記絶縁基板を収容する絶縁基板収容工程と、前記絶縁基板上の前記素子搭載パッド上に前記熱硬化性接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記熱硬化性接着剤上に前記圧電振動素子の一端部を接着させる素子接着工程と、前記収容凹所の上開口部を前記蓋部材により閉止する蓋部材装着工程と、前記トレイ本体と前記蓋部材の上下が逆転するように前記収容トレイを反転することにより前記圧電振動素子の自由端部片面を前記突起と接触させる第1の反転工程と、上下を反転した前記収容トレイに収容された前記素子搭載ユニットを加熱して前記熱硬化性接着剤を硬化させる加熱工程と、を備えたことを特徴とする。
蓋部材に位置決め用(ギャップ形成用)の突起を設けたので、トレイ本体と蓋部材によって保持された素子搭載ユニットの上下を逆転させるという簡単な作業を付加するだけで、その後の加熱硬化工程によって圧電振動素子の保持角度を一義的に確定させることが可能となる。
蓋部材に位置決め用(ギャップ形成用)の突起を設けたので、トレイ本体と蓋部材によって保持された素子搭載ユニットの上下を逆転させるという簡単な作業を付加するだけで、その後の加熱硬化工程によって圧電振動素子の保持角度を一義的に確定させることが可能となる。
また、本発明に係る圧電振動子は、前記絶縁基板と、請求項4に記載の圧電振動素子の搭載方法によって前記熱硬化性接着剤上に接続固定された圧電振動素子と、該圧電振動素子を含む前記絶縁基板上の空間を封止する蓋部材と、前記絶縁基板の底部に配置された実装電極と、前記素子搭載パッドと前記実装電極とを導通させる接続導体と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る圧電発振器は、前記圧電振動子に発振回路を構成するIC部品を一体化したことを特徴とする。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)は本発明方法によって圧電振動素子を搭載した圧電振動子の一例としての水晶振動子の全体縦断面図であり、(b)は圧電振動素子の一例としての水晶振動素子の構成説明図(下面側から見た斜視図)である。
水晶振動子(圧電振動子)1は、セラミック等の絶縁材料から成るパッケージ本体(絶縁基板)2と、パッケージ本体2の外周壁5の上面に固定されて凹陥部3内を気密封止する金属蓋(リッド)15と、凹陥部3内に配置される水晶振動素子(圧電振動素子)20と、を有する。このパッケージ本体2は、セラミック製の底板4と、底板4の上面周縁に沿って所要幅にて積層されたセラミック製の環状の外壁(外周壁)5と、外壁5の上面に沿って固定された環状のシールリング(コバール)6と、凹陥部3の内底面上に離間して露出配置された2つの素子搭載パッド7と、底板4の外底面に露出配置された実装電極8と、実装電極8と素子搭載パッド7等との間を接続する内部導体9と、を備えている。
図1(a)は本発明方法によって圧電振動素子を搭載した圧電振動子の一例としての水晶振動子の全体縦断面図であり、(b)は圧電振動素子の一例としての水晶振動素子の構成説明図(下面側から見た斜視図)である。
水晶振動子(圧電振動子)1は、セラミック等の絶縁材料から成るパッケージ本体(絶縁基板)2と、パッケージ本体2の外周壁5の上面に固定されて凹陥部3内を気密封止する金属蓋(リッド)15と、凹陥部3内に配置される水晶振動素子(圧電振動素子)20と、を有する。このパッケージ本体2は、セラミック製の底板4と、底板4の上面周縁に沿って所要幅にて積層されたセラミック製の環状の外壁(外周壁)5と、外壁5の上面に沿って固定された環状のシールリング(コバール)6と、凹陥部3の内底面上に離間して露出配置された2つの素子搭載パッド7と、底板4の外底面に露出配置された実装電極8と、実装電極8と素子搭載パッド7等との間を接続する内部導体9と、を備えている。
水晶振動素子20は、図1(b)に示すように水晶基板21の両主面上に励振電極22を夫々形成した構成を備え、励振電極22に所要の交番電流を通電したときに表裏の励振電極22により挟まれた水晶基板部分(主振動部)が厚み滑りを起こすと共にエネルギー閉じ込め現象を起こして、励振電極付着部分に主振動が励起される。水晶振動素子20は、各励振電極22から基板の一端縁に延びるリード端子22aを備え、各リード端子を含む基板端部下面は各素子搭載パッド7上の熱硬化性の導電性接着剤25によって電気的機械的に接続固定される。この例では、各リード端子22aの内の上面側のリード端子は基板端縁を超えて下面側に先端を導出させており、基板下面に離間配置された各リード端子の端部は、夫々各素子搭載パッド7上の導電性接着剤25と一対一にて接続される。
図2はこの水晶振動素子20を素子搭載パッド7上の導電性接着剤25上に搭載するための装置構成、及び搭載手順を示す図である。
パッケージ本体2を複数枚シート状に連結した大面積のウェハを切断することにより得た個々のパッケージ本体2は、収容トレイ50のトレイ本体51の収容凹所52内にパッケージ本体底面を下向きにした状態でセットされる。
収容トレイ50は、上面に収容凹所52を複数備えたトレイ本体51と、各収容凹所52の上開口部52aに装着されることにより上開口部を閉止する蓋部材60(図3参照)と、を備えている。各収容部52は底板4の上面と外周壁53とによって形成されている。
この吸着ノズル30は、パッケージ本体内底面と平行な吸着面31に複数の通気孔32を備えており、各通気孔32はポンプ40、及びバルブ41と接続されている。ポンプ40は正圧、及び負圧を切り換えて出力可能な構成を有する。各通気孔32に対してポンプから供給される正圧、及び負圧の圧力値は、バルブ41を個別に調整することによって個別に変化させることが可能である。また、吸着ノズル30は図示しない駆動機構によって矢印方向へ進退自在に構成されている。
パッケージ本体2を複数枚シート状に連結した大面積のウェハを切断することにより得た個々のパッケージ本体2は、収容トレイ50のトレイ本体51の収容凹所52内にパッケージ本体底面を下向きにした状態でセットされる。
収容トレイ50は、上面に収容凹所52を複数備えたトレイ本体51と、各収容凹所52の上開口部52aに装着されることにより上開口部を閉止する蓋部材60(図3参照)と、を備えている。各収容部52は底板4の上面と外周壁53とによって形成されている。
この吸着ノズル30は、パッケージ本体内底面と平行な吸着面31に複数の通気孔32を備えており、各通気孔32はポンプ40、及びバルブ41と接続されている。ポンプ40は正圧、及び負圧を切り換えて出力可能な構成を有する。各通気孔32に対してポンプから供給される正圧、及び負圧の圧力値は、バルブ41を個別に調整することによって個別に変化させることが可能である。また、吸着ノズル30は図示しない駆動機構によって矢印方向へ進退自在に構成されている。
水晶振動素子20を吸着した状態で吸着ノズル30をパッケージ本体上に移動させて図示の下限位置まで下降させる。この状態で吸着面31から水晶振動素子20を離脱させて落下させる際に、接着剤25に近い側の一端部(被接着側端部)20a側が他端部(自由端部)20b側に先行して吸着面から離脱するように、各通気孔からの正圧、負圧の供給の有無、圧力値、供給タイミングを夫々適切に制御する。
このような手順によってパッケージ本体2上の導電性接着剤25に水晶振動素子20を着座させた状態にある構成要素を素子搭載ユニットAと称する。
水晶振動素子20の一端部20aを未硬化状態にある導電性接着剤25上に着座させた状態で導電性接着剤を加熱して硬化させるとすれば、水晶振動素子の自重や、導電性接着剤硬化時の応力によって、最終的に得られる水晶振動素子の保持角度にばらつきが生じることは前述の通りである。
本発明ではこのような不具合に対処するために、トレイ本体51の上開口部に蓋部材60を被せて閉止した状態で収容凹所52内の素子搭載ユニットAの上下を反転させると共に、蓋部材60の下面(内側面)に突設した位置決め用の突起(スペーサ)61によって水晶振動素子20の自由端部20bの傾斜角度を一義的に規制するようにしたものである。突起61により水晶振動素子端部の過剰な垂れ下がりを防止することができる。
このような手順によってパッケージ本体2上の導電性接着剤25に水晶振動素子20を着座させた状態にある構成要素を素子搭載ユニットAと称する。
水晶振動素子20の一端部20aを未硬化状態にある導電性接着剤25上に着座させた状態で導電性接着剤を加熱して硬化させるとすれば、水晶振動素子の自重や、導電性接着剤硬化時の応力によって、最終的に得られる水晶振動素子の保持角度にばらつきが生じることは前述の通りである。
本発明ではこのような不具合に対処するために、トレイ本体51の上開口部に蓋部材60を被せて閉止した状態で収容凹所52内の素子搭載ユニットAの上下を反転させると共に、蓋部材60の下面(内側面)に突設した位置決め用の突起(スペーサ)61によって水晶振動素子20の自由端部20bの傾斜角度を一義的に規制するようにしたものである。突起61により水晶振動素子端部の過剰な垂れ下がりを防止することができる。
図3(a)(b)及び(c)は収容トレイ内に素子搭載ユニットを収容した反転前の状態を示す縦断面図、反転前の状態における収容凹所内の平面図、及び反転後の収容トレイ内の状態を示す縦断面図である。
本発明の収容トレイ50は、蓋部材60の下面(内側面)に、トレイ本体51側の収容凹所52内に収容された素子搭載ユニットAを構成する水晶振動素子20の自由端部20b上面と対向する位置決め用の突起61を配置した構成が特徴的である。突起61は、素子搭載ユニットAを収容した収容トレイ50の上下を反転(逆転)させた時に自重によって蓋部材60側へ接近しようとする水晶振動素子の自由端部20bの面と当接することにより、それ以上の傾斜を阻止するスペーサとして機能する。このため、次の導電性接着剤の加熱硬化工程では、水晶振動素子の傾斜角度を一定に保持しつつ加熱を行うことが可能となる。
本発明の収容トレイ50は、蓋部材60の下面(内側面)に、トレイ本体51側の収容凹所52内に収容された素子搭載ユニットAを構成する水晶振動素子20の自由端部20b上面と対向する位置決め用の突起61を配置した構成が特徴的である。突起61は、素子搭載ユニットAを収容した収容トレイ50の上下を反転(逆転)させた時に自重によって蓋部材60側へ接近しようとする水晶振動素子の自由端部20bの面と当接することにより、それ以上の傾斜を阻止するスペーサとして機能する。このため、次の導電性接着剤の加熱硬化工程では、水晶振動素子の傾斜角度を一定に保持しつつ加熱を行うことが可能となる。
突起61の形成位置、及びその形状、寸法は、図3(b)に示すように水晶振動素子20の自由端部20bの端縁を突起下面(支持面)によって確実に支持することができるように設定する。収容凹所52を構成する外周壁53の内部寸法は、素子搭載ユニットAの出入れのためのマージンを含めて僅かに大きく設定されているために収容凹所52内における素子搭載ユニットAの位置にはばらつきが生じる。このため、収容凹所52の内壁と素子搭載ユニットAとの間の最大間隔aと、突起61の幅寸法bとの関係が、b>a となるように設定することにより、水晶振動素子の自由端部20bを常に安定して突起61の下面によって支持することが可能となる。
更に、本発明の収容トレイ50は、蓋部材60の下面であって突起61を回避した位置に、収容トレイ内外を連通させるための開放部63を形成した構成も特徴的である。開放部は導電性接着剤を硬化させるための加熱工程において発生するアウトガスをパッケージ外へ排出するために機能する。アウトガスをパッケージ外部に排出することにより、水晶振動素子をパッケージ内に気密封止した後におけるエージングの影響を解消することが可能となる。
更に、収容トレイ50の収容凹所52の内底面に必要に応じて、パッケージ本体外底面に設けた実装電極8を吸着保持するための磁石55を配置しておくことにより、収容凹所内における素子搭載ユニットAの位置決めを確実化することができる。特に、磁石55によってパッケージ本体底面を吸着しておくことにより、後述するように収容トレイ50の上下を反転させた時に素子搭載ユニットAが収容トレイ内でがたつきを起こすことを防止することができる。素子搭載ユニットAががたつくことを防止することにより、突起61による水晶振動素子自由端部の位置決めを更に確実化することができる。
更に、本発明の収容トレイ50は、蓋部材60の下面であって突起61を回避した位置に、収容トレイ内外を連通させるための開放部63を形成した構成も特徴的である。開放部は導電性接着剤を硬化させるための加熱工程において発生するアウトガスをパッケージ外へ排出するために機能する。アウトガスをパッケージ外部に排出することにより、水晶振動素子をパッケージ内に気密封止した後におけるエージングの影響を解消することが可能となる。
更に、収容トレイ50の収容凹所52の内底面に必要に応じて、パッケージ本体外底面に設けた実装電極8を吸着保持するための磁石55を配置しておくことにより、収容凹所内における素子搭載ユニットAの位置決めを確実化することができる。特に、磁石55によってパッケージ本体底面を吸着しておくことにより、後述するように収容トレイ50の上下を反転させた時に素子搭載ユニットAが収容トレイ内でがたつきを起こすことを防止することができる。素子搭載ユニットAががたつくことを防止することにより、突起61による水晶振動素子自由端部の位置決めを更に確実化することができる。
次に、図2、図3に基づいて本発明の収容トレイを用いた水晶振動素子の搭載方法について説明する。
まず、収容トレイ50の各収容凹所52内にパッケージ本体(絶縁基板)2を夫々収容する絶縁基板収容工程と、パッケージ本体上の素子搭載パッド7上に導電性接着剤(熱硬化性接着剤)25を塗布する接着剤塗布工程とを順次実施してから、図2に示すように吸着ノズル30を用いて導電性接着剤25上に水晶振動素子の一端部20aを接着させる素子接着工程を実施する。ここまでの工程により、収容凹所52内には素子搭載ユニットAが収容された状態となる。
次いで、図3(a)に示すように収容凹所52の上開口部52aを蓋部材60が閉止するように、蓋部材60をパッケージ本体2の上面に被せて組み付ける蓋部材装着工程を実施する。蓋部材60をパッケージ本体上面に組み付けることによって、(b)に示すように各突起61の下面が各収容凹所52内の水晶振動素子20の自由端部側の上面と対面した状態となる。
まず、収容トレイ50の各収容凹所52内にパッケージ本体(絶縁基板)2を夫々収容する絶縁基板収容工程と、パッケージ本体上の素子搭載パッド7上に導電性接着剤(熱硬化性接着剤)25を塗布する接着剤塗布工程とを順次実施してから、図2に示すように吸着ノズル30を用いて導電性接着剤25上に水晶振動素子の一端部20aを接着させる素子接着工程を実施する。ここまでの工程により、収容凹所52内には素子搭載ユニットAが収容された状態となる。
次いで、図3(a)に示すように収容凹所52の上開口部52aを蓋部材60が閉止するように、蓋部材60をパッケージ本体2の上面に被せて組み付ける蓋部材装着工程を実施する。蓋部材60をパッケージ本体上面に組み付けることによって、(b)に示すように各突起61の下面が各収容凹所52内の水晶振動素子20の自由端部側の上面と対面した状態となる。
次いで、図3(c)に示した第1の反転工程では、トレイ本体51と蓋部材60の上下が逆転するように収容トレイ50を反転させてから水平な姿勢にて定置することにより、水晶振動素子の自由端部20b側の片面を突起61と接触させる。この工程により、未硬化状態にある導電性接着剤により一端部20aを支持された水晶振動素子20は、その自重によって自由端部20bを下側に位置を変えた蓋部材の突起61上に下降させる。このため、自由端部20bの上開口52a側への傾斜角度が突起61によって規制されて一定になり、過剰な垂れ下がりを防止することができる。
次いで、上下を反転した収容トレイ50をそのまま加熱炉内に移動して加熱(例えば、150℃程度)することにより、素子搭載ユニットを構成する熱硬化性の導電性接着剤25を硬化させる加熱工程を行う。この工程により、導電性接着剤が硬化するために水晶振動素子20の保持角度が確定する。
最後に、収容トレイ50の上下を再度反転させる第2の反転工程によりトレイ本体51を下側にして水平に定置してから、蓋部材60を取り外す。
その後、真空雰囲気中において素子搭載ユニットを収容した各パッケージ本体2の外壁5の上面にリッド15を固定することによって内部が気密封止された圧電振動子1を完成する。
次いで、上下を反転した収容トレイ50をそのまま加熱炉内に移動して加熱(例えば、150℃程度)することにより、素子搭載ユニットを構成する熱硬化性の導電性接着剤25を硬化させる加熱工程を行う。この工程により、導電性接着剤が硬化するために水晶振動素子20の保持角度が確定する。
最後に、収容トレイ50の上下を再度反転させる第2の反転工程によりトレイ本体51を下側にして水平に定置してから、蓋部材60を取り外す。
その後、真空雰囲気中において素子搭載ユニットを収容した各パッケージ本体2の外壁5の上面にリッド15を固定することによって内部が気密封止された圧電振動子1を完成する。
本発明によれば、吸着パッドを用いて水晶振動素子を導電性接着剤上に着座させた際の傾斜角度がどのような状態であったとしても、収容トレイを反転させて水晶振動素子の傾斜角度を確定させた状態で、加熱炉内で導電性接着剤を硬化させる手順を実施するので、接着剤の材質の違い、使用する圧電基板の形状、重量、カットアングル(AT、SCカット等)等の違いに関係なく、片持ち支持された水晶振動素子の傾斜角度(パッケージ内底面、或いはリッド天井面との間のギャップ)を常に一定にすることができる。
従って例えばベベルタイプやコンベックスタイプのように外周端縁へ向かうほどその肉厚がテーパー状、或いは曲線状に漸減する圧電基板の端縁を接着保持する場合においても、所定の傾斜角度(絶縁基板と平行な場合を含む)にて保持することが可能となる。また、音叉型振動子のように厚肉、長尺であるために自由端部が垂れ下がりやすいタイプを接着する場合にあっても傾斜角度を一定に保持することが可能となる。
図1の例では本発明の水晶振動素子の搭載方法を適用し得る圧電デバイスの一例として水晶振動子を示したが、この水晶振動子に対して、発振回路、温度補償回路等を構成するIC部品を組み付けた水晶発振器も本発明の範囲に属するものである。
なお、上記実施形態では、圧電材料として水晶を使用した水晶振動子、水晶発振器を中心として説明してきたが、本発明は水晶以外の圧電材料を使用した各種圧電デバイスにおける圧電振動素子の搭載方法にも適用することができる。
従って例えばベベルタイプやコンベックスタイプのように外周端縁へ向かうほどその肉厚がテーパー状、或いは曲線状に漸減する圧電基板の端縁を接着保持する場合においても、所定の傾斜角度(絶縁基板と平行な場合を含む)にて保持することが可能となる。また、音叉型振動子のように厚肉、長尺であるために自由端部が垂れ下がりやすいタイプを接着する場合にあっても傾斜角度を一定に保持することが可能となる。
図1の例では本発明の水晶振動素子の搭載方法を適用し得る圧電デバイスの一例として水晶振動子を示したが、この水晶振動子に対して、発振回路、温度補償回路等を構成するIC部品を組み付けた水晶発振器も本発明の範囲に属するものである。
なお、上記実施形態では、圧電材料として水晶を使用した水晶振動子、水晶発振器を中心として説明してきたが、本発明は水晶以外の圧電材料を使用した各種圧電デバイスにおける圧電振動素子の搭載方法にも適用することができる。
1…水晶振動子(圧電振動子)、2…パッケージ本体(絶縁基板)、3…凹陥部、4…底板、5…外壁、7…素子搭載パッド、8…実装電極、9…内部導体、15…金属蓋(リッド)、20…水晶振動素子(圧電振動素子)、20a…一端部(被接着側端部)、20b…他端部、21…水晶基板、22…励振電極、22a…リード端子、25…導電性接着剤(熱硬化性接着剤)、A…素子搭載ユニット、30…吸着ノズル、31…吸着面、50…収容トレイ、51…トレイ本体、52…収容凹所、52a…上開口部、53…外周壁、55…磁石、60…蓋部材、61…突起。
Claims (6)
- 上面に素子搭載パッドを有すると共に下面に実装電極を有した絶縁基板、及び該素子搭載パッド上の未硬化状態にある熱硬化性接着剤により一端部を接着保持された圧電振動素子を有した素子搭載ユニットを、前記絶縁基板下面を下向きにして支持する収容凹所を備えたトレイ本体と、該収容凹所の上開口部側に装着されることにより該上開口部を閉止する蓋部材と、を備えた収容トレイであって、
前記蓋部材の下面には、前記収容凹所内に収容された前記素子搭載ユニットを構成する前記圧電振動素子の自由端部上面と対向する位置決め用の突起が配置されていることを特徴とする収容トレイ。 - 前記蓋部材の前記突起を回避した位置に開放部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の収容トレイ。
- 前記トレイ本体の収容凹所内底面に前記絶縁基板の実装電極を吸着する磁石を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の収容トレイ。
- 請求項1乃至3の何れか一項に記載の収容トレイの前記収容凹所内に前記絶縁基板を収容する絶縁基板収容工程と、
前記絶縁基板上の前記素子搭載パッド上に前記熱硬化性接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記熱硬化性接着剤上に前記圧電振動素子の一端部を接着させる素子接着工程と、
前記収容凹所の上開口部を前記蓋部材により閉止する蓋部材装着工程と、
前記トレイ本体と前記蓋部材の上下が逆転するように前記収容トレイを反転することにより前記圧電振動素子の自由端部片面を前記突起と接触させる第1の反転工程と、
上下を反転した前記収容トレイに収容された前記素子搭載ユニットを加熱して前記熱硬化性接着剤を硬化させる加熱工程と、
を備えたことを特徴とする圧電振動素子の搭載方法。 - 前記絶縁基板と、請求項4に記載の圧電振動素子の搭載方法によって前記熱硬化性接着剤上に接続固定された圧電振動素子と、該圧電振動素子を含む前記絶縁基板上の空間を封止する蓋部材と、前記絶縁基板の底部に配置された実装電極と、前記素子搭載パッドと前記実装電極とを導通させる接続導体と、を備えたことを特徴とする圧電振動子。
- 請求項5に記載の圧電振動子に発振回路を構成するIC部品を一体化したことを特徴とする圧電発振器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007059573A JP2008227657A (ja) | 2007-03-09 | 2007-03-09 | 収容トレイ、圧電振動素子の搭載方法、圧電振動子、及び圧電発振器 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2008227657A true JP2008227657A (ja) | 2008-09-25 |
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ID=39845777
Family Applications (1)
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JP2007059573A Withdrawn JP2008227657A (ja) | 2007-03-09 | 2007-03-09 | 収容トレイ、圧電振動素子の搭載方法、圧電振動子、及び圧電発振器 |
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JP (1) | JP2008227657A (ja) |
-
2007
- 2007-03-09 JP JP2007059573A patent/JP2008227657A/ja not_active Withdrawn
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