JP2008226823A - 高圧放電ランプ点灯装置および照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とのいずれも最適に点灯可能で兼用できる高圧放電ランプ点灯装置15を提供する。
【解決手段】水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とでは、ランプ始動時のランプ電圧の上昇特性に違いがある。ランプ始動時のランプ電圧の上昇特性の違いを判別することにより、ランプ種類を判別する。判別したランプ種類に応じたランプ電力で高圧放電ランプ13を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とでは、ランプ始動時のランプ電圧の上昇特性に違いがある。ランプ始動時のランプ電圧の上昇特性の違いを判別することにより、ランプ種類を判別する。判別したランプ種類に応じたランプ電力で高圧放電ランプ13を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのいずれも点灯可能な高圧放電ランプ点灯装置、およびこの高圧放電ランプ点灯装置を用いた照明器具に関する。
従来、複数の定格電力の水銀を含む高圧放電ランプを点灯可能で、この高圧放電ランプの定格電力を自動的に判別し、判別した定格電力で高圧放電ランプを点灯させる高圧放電ランプ点灯装置がある。この高圧放電ランプ点灯装置では、ランプ始動直後に起こる水銀の蒸発に伴うランプ電圧の上昇特性の違いから高圧放電ランプの定格電力を判別しており、これによって、ランプ始動時とランプ再始動時のいずれの場合でも高圧放電ランプの定格電力を判別可能としている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−310677号公報(第9−10頁、図9−12)
近年、環境負荷の観点から水銀を含まない高圧放電ランプの製品化の検討がされてきている。この水銀を含まない高圧放電ランプは、水銀を含む高圧放電ランプと同じ定格電力のものでも点灯特性が水銀を含む高圧放電ランプと異なるので、水銀を含む高圧放電ランプ用の高圧放電ランプ点灯装置を兼用することは困難であり、水銀を含まない高圧放電ランプ用の高圧放電ランプ点灯装置が必要であった。
また、大きさや口金が水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとで共通ないし類似する場合、水銀を含む高圧放電ランプ専用の高圧放電ランプ点灯装置であるにもかからず、水銀を含まない高圧放電ランプを取り付けてしまうおそれもあり、本来ならば好適でない制御で高圧放電ランプを点灯させてしまうおそれがあった。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとの種類判別を行うことができる高圧放電ランプ点灯装置、およびこの高圧放電ランプ点灯装置を用いた照明器具を提供することを目的とする。
請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置は、ランプ電圧を検出するランプ電圧検出手段と;ランプ始動時にランプ電圧検出手段で検出されるランプ電圧に基づいて水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別するランプ種類判別手段と;ランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御するランプ電力制御手段と;を具備しているものである。
本発明および以下の発明において、特に特定しない限り、用語の定義および技術的意味は次による。
高圧放電ランプは、例えば、メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプなどが含まれ、金属ハロゲン化物や希ガスを含む放電媒体が封入されている。高圧放電ランプには、水銀を含むものと含まないものとがある。水銀を含まないとは、水銀を全く含んでいないものや、実質的に含んでいない程度のものをいう。
水銀を含む高圧放電ランプとしては、ランプ始動時に、まず希ガスが放電して一定のランプ電圧が発生し、さらに温度が上昇するにつれて水銀の蒸発が加速度的に増し、水銀が急激に完全蒸発してランプ電圧が急激に増した後、水銀が完全蒸発しきるためにランプ電圧の上昇が急激に緩やかになる。すなわち水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点が生じる。この変曲点の後には、ランプ電圧が緩やかに上昇し、さらに温度が上昇するにつれて金属ハロゲン化物の蒸発が増し、水銀が完全蒸発するときほどではないものの、ランプ電圧が比較的急激に増した後、ランプ電圧が安定する。また、水銀を含む高圧放電ランプは、水銀を含まない高圧放電ランプに比べて、ランプ始動時のランプ電圧の立ち上がりが早く、安定時のランプ電圧が高い特性を有している。
水銀を含まない高圧放電ランプは、希ガスおよび金属ハロゲン化物の蒸発による影響が主であるため、ランプ始動時に、ランプ電圧が緩やかに上昇し、上述した水銀を含む高圧放電ランプのような水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点は生じない。また、水銀を含まない高圧放電ランプは、水銀を含む高圧放電ランプに比べて、ランプ電圧の立ち上がりが遅く緩やかで、安定時のランプ電圧が低い特性を有する。
ランプ始動時とは、グロー放電からアーク放電に転移した以降のことであり、最大でランプ始動直後からランプ電圧が上昇して安定するまでの間が含まれるが、ランプ始動直後からランプ電圧が上昇して安定するまでの間の一部であってもよい。
ランプ電圧検出手段は、ランプ電圧を直接または間接的に検出できればよく、特定の回路構成に限定されない。そして、ランプ電圧検出手段の検出値は高圧放電ランプの安定点灯時の制御にも利用してもよい。
ランプ種類判別手段は、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのランプ始動時におけるランプ電圧の上昇特性の違いを利用してランプ種類を判別する。
ランプ電力制御手段は、判別した高圧放電ランプの点灯特性に応じたランプ電力に切り換えて制御できればよく、特定の回路構成に限定されない。
本発明の高圧放電ランプ点灯装置は、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプの両方を点灯することが可能である。この場合、例えば20Wから70W程度等の比較的ワットが近いものである。
また、好適な形態として、対象となるワットが低いものである。理由は、高ワットであるとランプ種類を判別するまでの時間が相対的に長くなるため、判別するために高出力を高圧放電ランプに入力してしまうことによって電極等に劣化が生じてしまうおそれもあるが、低ワットであるとランプ種類を判別時間が比較的短く、高圧放電ランプに対する負荷が抑制できるためである。
また、ランプ種類判別手段でランプの種類を判別するタイミングとして好適であるのは、始動直後(例えばアーク転移後0〜5秒)はランプ電圧が一瞬高くなるなどの不安定現象が生じやすいので、始動直後の変動は含まないことである。これは、高圧放電ランプの電極に付着した微量の薬品や水銀が、絶縁破壊やアーク転移時の放電衝撃および熱衝撃で瞬間的に飛散や蒸発し、発光管内に浮遊することにより、これらが電圧(電位傾度)を発生する現象のためである。この現象が無ければ、始動直後はほぼ封入希ガス放電だけによるランプ電圧を示し、その後、水銀または薬品が十分蒸発する時間まで(例えば15〜60秒)ランプ電圧が略上昇しない期間が生じる。これに対し、この現象が生じると、例えば、始動後0〜1秒に、始動10秒後の安定時電圧と比べて1.5から3倍電圧に及ぶヒゲ状の電圧ピーク(横軸時間、縦軸ランプ電圧グラフにて)を持つ。このピークは複数またはなだらかな山状が重なった様子に現れることも多い。多くの場合、2〜15秒後には、この現象で飛散蒸発した物質が、まだ相対的に十分低温である管壁にて再度液化固体化するので、この電圧不安定上昇は治まる。よって、電圧の不安上昇が生じなくなった以降のランプ電圧によって、ランプ種類を判別することにより、より精度よく判別できる。
そして、高圧放電ランプ点灯装置は、ランプ始動時のランプ電圧に基づいて水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとを判別し、判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのいずれも不具合を生じることを防止する。
請求項2記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ種類判別手段は、ランプ電圧検出手段の検出に基づいて、ランプ始動時におけるランプ電圧の変曲点の有無を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別するものである。
水銀を含む高圧放電ランプの場合、水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点が生じるため、水銀を含む高圧放電ランプであると判別する。
水銀を含まない高圧放電ランプの場合、水銀の影響による変曲点が生じないため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
そのため、ランプ始動時におけるランプ電圧の変曲点の有無を検出することで、ランプ種類を正確に判別可能となる。
請求項3記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ種類判別手段は、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量の変化を監視し、前記変化が減少を示す場合であって、かつ、減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より大きい場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より小さい場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別するものである。
本発明および以下の発明において、ランプ電圧の上昇時における変化量は、単位時間当たりの変化量である。
基準値は、水銀を含む高圧放電ランプの場合、ランプ始動時に水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少したときに負となる変化量の最大値が大きく、水銀を含まない高圧放電ランプの場合、ランプ始動時に水銀の完全蒸発の影響による変曲点がなく、負となる変化量の最大値が小さいので、これら水銀を含む高圧放電ランプの負となる変化量の最大値と水銀を含まない高圧放電ランプの負となる変化量の最大値との中間の値に設定される。
水銀を含む高圧放電ランプの場合には、ランプ始動時に、水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点が生じ、この変曲点でランプ電圧の上昇時における変化量の変化が減少したと判別し、かつ、その負となる変化量の最大値が予め定められた基準値より大きいため、水銀を含む高圧放電ランプであると判別する。
水銀を含まない高圧放電ランプの場合には、ランプ始動時に、水銀を含む高圧放電ランプのような水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点がなく、ランプ電圧が緩やかに上昇し、ランプ電圧が安定し始める際などにランプ電圧の上昇時における変化量の変化が減少したと判別し、かつ、その負となる変化量の最大値が予め定められた基準値より小さいため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
請求項4記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ種類判別手段は、ランプ電圧検出手段の検出に基づいて、高圧放電ランプが安定し始める状態を検出し、その状態でのランプ電圧を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別するものである。
水銀を含む高圧放電ランプの場合、高圧放電ランプが安定し始める状態でのランプ電圧は、水銀の影響で高くなるため、水銀を含む高圧放電ランプであると判別する。
水銀を含まない高圧放電ランプの場合、高圧放電ランプが安定し始める状態でのランプ電圧は、水銀の影響がなく、低いため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
そのため、高圧放電ランプが安定し始める状態でのランプ電圧を検出することで、ランプ種類を正確に判別可能となる。
請求項5記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項4記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ種類判別手段は、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を監視し、ランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始め、かつ、ランプ電圧が予め定められた基準値より高い場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、ランプ電圧が予め定められた基準値より低い場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別するものである。
変化量値は、上昇するランプ電圧が安定し始めるときのランプ電圧の上昇時における変化量に設定することができる。
基準値は、上昇するランプ電圧が安定し始めるとき、水銀を含む高圧放電ランプのランプ電圧が高く、水銀を含まない高圧放電ランプのランプ電圧が低いので、これら水銀を含む高圧放電ランプのランプ電圧と水銀を含まない高圧放電ランプのランプ電圧との中間の値に設定することができる。
水銀を含む高圧放電ランプの場合には、ランプ始動時に、上昇するランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始めたときに、そのランプ電圧が予め定められた基準値より高いため、水銀を含む高圧放電ランプであると判別する。
水銀を含まない高圧放電ランプの場合には、ランプ始動時に、上昇するランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始めたときに、そのランプ電圧が予め定められた基準値より低いため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
請求項6記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし5いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ種類判別手段は、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を予め定められた基準値と比較し、変化量が基準値を超える場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、変化量が基準値を超えない場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別するものである。
ランプ電圧の上昇時における変化量は、単位時間当たりの変化量である。この単位時間当たりの変化量は、例えば3秒間の変化量としてもよい。
基準値は、水銀を含む高圧放電ランプの場合、水銀が急激に完全蒸発してランプ電圧が急激に増し、一方、水銀を含まない高圧放電ランプの場合、ランプ電圧が緩やかに増すので、水銀を含む高圧放電ランプのランプ電圧が急激に増す単位時間当たりの変化量と水銀を含まない高圧放電ランプのランプ電圧が緩やかに増す単位時間当たりの変化量との中間の値に設定される。
水銀を含む高圧放電ランプの場合には、ランプ始動時に、温度が上昇するにつれて水銀の蒸発が加速度的に増し、水銀が急激に完全蒸発してランプ電圧が急激に増すことにより、そのランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた基準値を超えるため、水銀を含む高圧放電ランプであると判別する。
水銀を含まない高圧放電ランプの場合には、ランプ始動時に、水銀を含む高圧放電ランプのような温度が上昇するにつれて水銀の蒸発が加速度的に増し、水銀が急激に完全蒸発してランプ電圧が急激に増すことがなく、ランプ電圧が緩やかに上昇することにより、そのランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた基準値を超えないため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
請求項7記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ電力制御手段は、少なくともランプ種類判別手段でランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含む高圧放電ランプの特性に応じたランプ電力で制御するものである。
このように制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプのランプ電圧の上昇が顕著となって水銀を含まない高圧放電ランプのランプ電圧との区別がつきやすくなり、ランプ種類の判別精度が向上する。
請求項8記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ電力制御手段は、少なくともランプ種類判別手段でランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含まない高圧放電ランプの特性に応じたランプ電力で制御するものである。
このように制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのいずれでも始動後の高圧放電ランプの光の立ち上がりが早くなる。
請求項9記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、高圧放電ランプの初回点灯時にランプ種類判別手段で判別したランプ種類を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された情報をリセットするリセット手段とを具備し、ランプ電力制御手段は、高圧放電ランプの初回点灯時にランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じたランプ電力で制御し、高圧放電ランプの次回以降の点灯時には記憶手段に記憶されているランプ種類に応じたランプ電力で制御し、リセット手段により記憶手段の情報がリセットされた場合にはリセットされた直後の点灯時にランプ種類判別手段を動作させるものである。
リセット手段は、例えば、リセットボタンの操作でリセットしても、高圧放電ランプの着脱をセンサや電気接続状態などの検知で自動的にリセットするようにしてもよい。
このように判別したランプ種類を記憶して利用することにより、高圧放電ランプをランプ種類に応じた適正なランプ電力でランプ始動時から制御可能となる。
請求項10記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし9いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ種類毎にランプ電圧の正常範囲を有し、ランプ電圧検出手段で検出したランプ電圧がランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じたランプ電圧の正常範囲外となるときに異常と判別する異常判別手段を具備しているものである。
水銀を含む高圧放電ランプのランプ電圧の正常範囲は、水銀を含まない高圧放電ランプのランプ電圧の正常範囲より大きく、ランプ種類毎にランプ電圧の正常範囲が異なっている。
このようにして異常と判別することにより、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとで、それぞれの適切な正常範囲を用いて異常を正確に判別可能となる。
請求項11記載の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし10いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置において、ランプ電力制御手段は、ランプ種類判別手段で判別したランプ種類が当該高圧放電ランプ点灯装置の適合ランプ種類以外であれば、ランプ電力が供給されないように制御するものである。
これにより、適合ランプ種類以外のランプの誤装着を防止可能となる。
請求項12記載の照明器具は、高圧放電ランプが装着される器具本体と;高圧放電ランプを点灯させる請求項1ないし11いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置と;を具備しているものである。
1つの照明器具で、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとの両方を使用可能となる。
請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、ランプ始動時のランプ電圧に基づいて水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別し、判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御するため、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのいずれでも不具合を生じることを防止することができる。
請求項2記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、ランプ始動時におけるランプ電圧の変曲点の有無を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを正確に判別できる。
請求項3記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項2記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量の変化を監視し、この変化が減少を示す場合であって、かつ、減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より大きい場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別でき、減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より小さい場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別でき、ランプ種類を正確に判別できる。
請求項4記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、高圧放電ランプが安定し始める状態を検出し、その状態でのランプ電圧を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを正確に判別できる。
請求項5記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項4記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を監視し、ランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始め、かつ、ランプ電圧が予め定められた基準値より高い場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別でき、ランプ電圧が予め定められた基準値より低い場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別でき、ランプ種類を正確に判別できる。
請求項6記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1ないし5いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を予め定められた基準値と比較し、変化量が基準値を超える場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別でき、変化量が基準値を超えない場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別でき、ランプ種類を正確に判別できる。
請求項7記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、少なくともランプ種類判別手段でランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含む高圧放電ランプの特性に応じたランプ電力で制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプのランプ電圧の上昇が顕著となって水銀を含まない高圧放電ランプのランプ電圧との区別がつきやすくなり、ランプ種類の判別精度を向上できる。
請求項8記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、少なくともランプ種類判別手段でランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含まない高圧放電ランプの特性に応じたランプ電力で制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのいずれでも始動後の高圧放電ランプの光の立ち上がりを早くできる。
請求項9記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、高圧放電ランプの初回点灯時に、ランプ種類判別手段で判別したランプ種類を記憶手段に記憶することにより、高圧放電ランプの次回以降の点灯時には、記憶手段に記憶されているランプ種類に応じた適正なランプ電力で制御できる。
請求項10記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1ないし9いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、ランプ種類毎にランプ電圧の正常範囲をそれぞれ有し、検出したランプ電圧が、判別したランプ種類に応じたランプ電圧の正常範囲外となるときに異常と判別するため、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとで、それぞれの適切な正常範囲を用いて異常を正確に判別できる。
請求項11記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、請求項1ないし10いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置の効果に加えて、判別したランプ種類が当該高圧放電ランプ点灯装置の適合ランプ種類以外であれば、ランプ電力が供給されないように制御でき、適合ランプ種類以外のランプの誤装着を防止できる。
請求項12記載の照明器具によれば、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとの両方を使用できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし図9に第1の実施の形態を示し、図1は高圧放電ランプ点灯装置の回路図、図2は高圧放電ランプ点灯装置により水銀を含む高圧放電ランプに応じたランプ電力で始動点灯させる場合の電圧−電流特性のグラフ、図3は図2に示す電圧−電流特性をもつ高圧放電ランプ点灯装置で、水銀を含む高圧放電ランプおよび水銀を含まない高圧放電ランプをそれぞれ始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧特性のグラフ、図4は図2に示す電圧−電流特性をもつ高圧放電ランプ点灯装置で、水銀を含む高圧放電ランプを始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧の上昇時における負となる変化量のグラフ、図5は図2に示す電圧−電流特性をもつ高圧放電ランプ点灯装置で、水銀を含まない高圧放電ランプを始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧の上昇時における負となる変化量のグラフ、図6は図2に示す電圧−電流特性をもつ高圧放電ランプ点灯装置で、水銀を含む高圧放電ランプを始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧の上昇時における変化量のグラフ、図7は図2に示す電圧−電流特性をもつ高圧放電ランプ点灯装置で、水銀を含まない高圧放電ランプを始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧の上昇時における変化量のグラフ、図8は高圧放電ランプ点灯装置で水銀を含む高圧放電ランプおよび水銀を含まない高圧放電ランプを点灯させたときの電圧−電力特性のグラフ、図9は高圧放電ランプ点灯装置を用いた照明器具の斜視図である。
図9に示すように、照明器具11は、スポットライトであり、器具本体12を有し、この器具本体12内には高圧放電ランプ13およびこの高圧放電ランプ13が着脱可能に接続されるソケット14が配設され、器具本体12外にはソケット14に接続された高圧放電ランプ13を点灯させる高圧放電ランプ点灯装置15が配設されている。
高圧放電ランプ13は、例えば、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどであり、同じ定格電力で水銀を含むものと水銀を含まないものとの2種類があり、いずれのランプ種類でも金属ハロゲン化物や希ガスを含む放電媒体が封入されている。また、いずれのランプ種類の高圧放電ランプ13でもソケット14に着脱可能としている。
図1に示すように、高圧放電ランプ点灯装置15は、商用交流電源eに整流手段として全波整流するダイオードD1〜D4で形成されたダイオードブリッジ21の入力端子が接続され、このダイオードブリッジ21の出力端子は力率改善用のコンデンサC1に接続されている。
コンデンサC1には、入力電流の力率改善用の昇圧チョッパ回路22が接続されている。この昇圧チョッパ回路22は、コンデンサC1にインダクタL1、スイッチング素子としての電界効果トランジスタQ1および検出素子Z1の直列回路が並列に接続され、電界効果トランジスタQ1および検出素子Z1の直列回路に対して並列にダイオードD5、コンデンサC2およびコンデンサC3の直列回路が接続されている。そして、電界効果トランジスタQ1のゲートには、制御回路24が接続されている。この制御回路24は、ダイオードブリッジ21の正極、ダイオードD5とコンデンサC2との接続点、検出素子Z1にそれぞれ接続されている。
コンデンサC2およびコンデンサC3の直列回路に対して並列に、高圧放電ランプ点灯手段としてのランプ電流制御と極性反転機能とを有する降圧形のレギュレータ回路25が接続されている。このレギュレータ回路25は、コンデンサC2およびコンデンサC3の直列回路に対して並列に、スイッチング素子としての電界効果トランジスタQ2およびダイオードD6の直列回路、および、ダイオードD7およびスイッチング素子としての電界効果トランジスタQ3の直列回路が並列にそれぞれ接続されている。そして、コンデンサC2およびコンデンサC3の接続点と電界効果トランジスタQ2およびダイオードD6の接続点との間には、ランプ電流検出用の検出素子Z2、高圧放電ランプ13、トランスTrの二次巻線Tr2およびインダクタL3が直列に接続されている。また、トランスTrの二次巻線Tr2およびインダクタL3の接続点とダイオードD7および電界効果トランジスタQ3の接続点との間には、インダクタL4が接続されている。さらに、コンデンサC2およびコンデンサC3の接続点とインダクタL3およびインダクタL4の接続点の間には、コンデンサC4、およびランプ電圧検出用の検出素子Z3が並列に接続されている。
トランスTrの一次巻線Tr1に、イグナイタ回路26が接続されている。このイグナイタ回路26は、ランプ始動時に動作してトランスTrの二次巻線Tr2に高圧パルスを発生させる。
電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3のそれぞれのゲート、さらにイグナイタ回路26には、制御回路24が接続されている。この制御回路24は、検出素子Z2および検出素子Z3に接続されている。
そして、制御回路24は、検出素子Z3の出力からランプ電圧を検出するランプ電圧検出手段の機能と、ランプ始動時のランプ電圧検出手段による検出値に基づいて水銀を含む高圧放電ランプ13であるか水銀を含まない高圧放電ランプ13であるかを判別するランプ種類判別手段の機能と、このランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御するランプ電力制御手段の機能とを有している。
また、ランプ種類判別手段は、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのランプ始動時におけるランプ電圧の上昇特性の違いを利用してランプ種類を判別する。
また、ランプ電力制御手段は、水銀を含む高圧放電ランプ13を始動および点灯させる水銀入りランプ用電力制御特性で制御する水銀入りランプ電力制御手段、水銀を含まない高圧放電ランプ13を始動および点灯させる無水銀ランプ用電力制御特性で制御する無水銀ランプ電力制御手段の機能、ランプ種類の判別に応じてこれら2種類のランプ電力制御手段のうちのいずれかを一方選択する選択手段の機能を有している。
さらに、ランプ電力制御手段は、少なくともランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含む高圧放電ランプ13の特性に応じたランプ電力で制御する機能を有している。
さらに、ランプ電力制御手段は、判別したランプ種類が当該高圧放電ランプ点灯装置15の適合ランプ種類以外であれば、ランプ電力が供給されないように制御する機能を有している。
次に、第1の実施の形態の動作について説明する。
まず、図1において、高圧放電ランプ点灯装置15の回路の動作を説明する。
電源投入により、商用交流電源eの電圧をダイオードブリッジ21で全波整流する。制御回路24は、昇圧チョッパ回路22の入力側および出力側の電圧、および検出素子Z1の電圧または電流を検出し、電界効果トランジスタQ1をオン、オフ制御し、ダイオードブリッジ21からの直流電圧の力率を改善するとともに昇圧する。
また、制御回路24は、イグナイタ回路26を動作し、このイグナイタ回路26でトランスTrの二次巻線Tr2に高圧パルスを発生させる。
また、制御回路24は、レギュレータ回路25の電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3を制御する。
すなわち、電界効果トランジスタQ2がオンすると、コンデンサC2、電界効果トランジスタQ2、インダクタL3、トランスTrの二次巻線Tr2、高圧放電ランプ13、検出素子Z2およびコンデンサC2の閉路で電流が流れる。
電界効果トランジスタQ2がオフすると、インダクタL3に蓄積された電流が、トランスTrの二次巻線Tr2、高圧放電ランプ13、検出素子Z2、コンデンサC3、ダイオードD6およびインダクタL3の閉路で流れる。
一方、電界効果トランジスタQ3がオンすると、コンデンサC3、検出素子Z2、高圧放電ランプ13、トランスTrの二次巻線Tr2、インダクタL4、電界効果トランジスタQ3およびコンデンサC3の閉路で電流が流れる。
電界効果トランジスタQ3がオフすると、インダクタL4に蓄積された電流が、ダイオードD7、コンデンサC2、検出素子Z2、高圧放電ランプ13、トランスTrの二次巻線Tr2およびインダクタL4の閉路で流れる。
そして、制御回路24は、各検出素子Z2,Z3からランプ電流およびランプ電圧の検出値を入力し、電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3のオン、オフ動作を制御する。
このように電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3のオン、オフ動作によって高圧放電ランプ13に矩形波電圧を印加し、この矩形波電圧にイグナイタ回路26からの高圧パルスを重畳することにより、高圧放電ランプ13を始動点灯させる。
なお、高圧放電ランプ13が始動した後には、検出素子Z2で検出されるランプ電流に応じてイグナイタ回路26はパルス出力を停止する。
次に、高圧放電ランプ点灯装置15で水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とを判別して最適に点灯制御することについて説明する。
図2には、高圧放電ランプ点灯装置15により水銀を含む高圧放電ランプ13に応じたランプ電力で始動点灯させる場合の電圧−電流特性を示す。
図3には、高圧放電ランプ点灯装置15により、図2に示す電圧−電流特性で、水銀を含む高圧放電ランプ13および水銀を含まない高圧放電ランプ13をそれぞれ始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧特性、つまりランプ電圧の立ち上がり特性を示す。
水銀を含む高圧放電ランプ13は、ランプ始動時に、まず希ガスが放電して一定のランプ電圧が発生し、さらに温度が上昇するにつれて水銀の蒸発が加速度的に増し、水銀が急激に完全蒸発することでランプ電圧が最も大きな上昇率で急激に増した後、水銀が完全蒸発しきるためにランプ電圧の上昇が急激に緩やかになり、すなわち水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点Pが生じる。この変曲点Pの後には、ランプ電圧が緩やかに上昇し、さらに温度が上昇するにつれて金属ハロゲン化物の蒸発が増し、水銀が完全蒸発するときほどではないものの、ランプ電圧が比較的急激に増した後、ランプ電圧が安定する。また、水銀を含む高圧放電ランプ13は、水銀を含まない高圧放電ランプ13に比べて、ランプ始動時のランプ電圧の立ち上がりが早く、安定時のランプ電圧が高い特性を有している。
水銀を含まない高圧放電ランプ13は、水銀の蒸気による影響がなく、希ガスおよび金属ハロゲン化物の蒸発による影響が主であるため、ランプ始動時に、ランプ電圧が緩やかに上昇し、上述した水銀を含む高圧放電ランプ13のような水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点Pは生じない。また、水銀を含まない高圧放電ランプ13は、水銀を含む高圧放電ランプ13に比べて、ランプ電圧の立ち上がりが遅く緩やかで、安定時のランプ電圧が低い特性を有する。
そして、制御回路24のランプ種類判別手段は、水銀を含む高圧放電ランプと水銀を含まない高圧放電ランプとのランプ始動時におけるランプ電圧の上昇特性の違いを利用してランプ種類を判別する。ランプ種類判別方法としては、例えば、次に示す第1ないし第4のランプ種類判別方法がある。
第1のランプ種類判別方法では、ランプ電圧の検出に基づいて、ランプ始動時におけるランプ電圧の変曲点Pの有無を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプ13であるか水銀を含まない高圧放電ランプ13であるかを判別する。具体的には、ランプ始動時に、電源投入から例えば100秒間程度の所定時間内で、ランプ電圧の上昇時における変化量(傾き)の変化を監視し、この変化が減少を示したときに、その減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より大きい場合には水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別し、その減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より小さい場合には水銀を含まない高圧放電ランプ13であると判別する。
図4に、水銀を含む高圧放電ランプ13の場合に、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量の変化を示す。ランプ始動時に水銀が完全蒸発した時点つまり変曲点Pの後にランプ電圧の上昇の変化が急激に減少したとき、負となる変化量の最大値が大きくなる。一方、図5に、水銀を含まない高圧放電ランプ13の場合に、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量の変化を示す。ランプ始動時に水銀の完全蒸発の影響による変曲点Pがないため、負となる変化量の最大値が小さい。このことから、基準値は、これら水銀を含む高圧放電ランプ13の負となる変化量の最大値と水銀を含まない高圧放電ランプ13の負となる変化量の最大値との中間の値に設定される。
水銀を含む高圧放電ランプ13の場合には、ランプ始動時に、水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点Pが生じ、この変曲点Pの後にランプ電圧の上昇時における変化量の変化が減少したと判別し、かつ、その負となる変化量の最大値が予め定められた基準値より大きいため、水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別できる。
水銀を含まない高圧放電ランプ13の場合には、ランプ始動時に、水銀を含む高圧放電ランプ13のようなランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点Pがなく、ランプ電圧が緩やかに上昇し、ランプ電圧が安定し始める際などにランプ電圧の上昇時における変化量の変化が減少したと判別し、かつ、その負となる変化量の最大値が予め定められた基準値より小さいため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別できる。
また、第2のランプ種類判別方法では、ランプ電圧の検出に基づいて、高圧放電ランプ13が安定し始める状態を検出し、その状態でのランプ電圧を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプ13であるか水銀を含まない高圧放電ランプ13であるかを判別する。具体的には、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を監視し、ランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始めたときに、ランプ電圧が予め定められた基準値より高い場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、ランプ電圧が予め定められた基準値より低い場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
例えば、1秒間隔でランプ電圧を検出し、現時点のランプ電圧と5秒前におけるランプ電圧とを比較し、その差(変位量)が予め定められた変位量値である0.5V以内であれば、ランプ電圧が安定し始めたと判別する。その時点におけるランプ電圧が予め定められた基準値より高い場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、ランプ電圧が予め定められた基準値より低い場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
あるいは、1秒間隔でランプ電圧を検出し、現時点から10秒前までのランプ電圧値を記憶し、平均値と標準偏差を算出する。標準偏差を平均値で割った値(変位量)が予め定められた変位量値である0.005(すなわち0.5%)以下となった場合、ランプ電圧が安定し始めたと判別する。その時点におけるランプ電圧が予め定められた基準値より高い場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、ランプ電圧が予め定められた基準値より低い場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する。
これらの場合、変曲点Pの直後におけるランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなるときを、ランプ電圧が安定し始めたときにおけるランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなるときと区別する必要がある。これには、例えば30秒程度の所定時間継続して、ランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さいときに、ランプ電圧が安定し始めたと判別できる。変曲点Pの直後におけるランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなった場合、所定時間内にランプ電圧の上昇時における変化量が再び大きくなるため、ランプ電圧が安定し始めたときではないと判別できる。
基準値は、上昇するランプ電圧が安定し始めるとき、水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ電圧が高く、水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧が低いので、これら水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ電圧と水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧との中間の値であって例えば60Vに設定される。
そして、水銀を含む高圧放電ランプ13の場合には、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始めたときに、そのランプ電圧が予め定められた基準値より高いため、水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別できる。
水銀を含まない高圧放電ランプ13の場合には、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始めたときに、そのランプ電圧が予め定められた基準値より低いため、水銀を含まない高圧放電ランプであると判別できる。
また、第3のランプ種類判別方法では、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における単位時間当たりの変化量を予め定められた基準値と比較し、変化量が基準値を超える場合には水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別し、変化量が基準値を超えない場合には水銀を含まない高圧放電ランプ13であると判別する。
単位時間当たりの変化量は、例えば3秒間の変化量とする。
図6に、水銀を含む高圧放電ランプ13の場合に、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における単位時間当たりの変化量を示す。ランプ始動時に水銀が急激に完全蒸発した際にランプ電圧が変曲点Pへ向けて急激に増し、このときの単位時間当たりの変化量が大きくなる。一方、図7に、水銀を含まない高圧放電ランプ13の場合に、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における単位時間当たりの変化量を示す。ランプ始動時に水銀の完全蒸発の影響による変曲点Pがないため、ランプ電圧が緩やかに増し、単位時間当たりの変化量が小さい。このことから、基準値は、水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ電圧が変曲点Pへ向けて急激に増す単位時間当たりの変化量と水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧が緩やかに増す単位時間当たりの変化量との中間の値とし、例えば、ランプ電圧の3秒間の変化量が4.05V(1.35V/sec)に設定される。
水銀を含む高圧放電ランプ13の場合には、ランプ始動時に、温度が上昇するにつれて水銀の蒸発が加速度的に増し、水銀が急激に完全蒸発してランプ電圧が変曲点Pへ向けて急激に増すことにより、そのランプ電圧の上昇時における単位時間当たりの変化量が予め定められた基準値を超えるため、水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別できる。
水銀を含まない高圧放電ランプ13の場合には、ランプ始動時に、水銀を含む高圧放電ランプのような水銀が急激に完全蒸発してランプ電圧が変曲点Pへ向けて急激に増すことがなく、ランプ電圧が緩やかに上昇することにより、そのランプ電圧の上昇時における単位時間当たりの変化量が予め定められた基準値を超えないため、水銀を含まない高圧放電ランプ13であると判別できる。
ここで、高圧放電ランプ13のランプ電圧の上昇について試験を実施した結果を示す。
まず、バルブ熱容量が大きく、温度上昇が最小となる条件(例えばPhilips社製CDM35W、円筒型肉厚タイプアルミナバルブで、メタルハライド薬品、水銀、Arガスが0.2気圧前後封入されたもの)の水銀を含む高圧放電ランプを、定格35W、始動時15Wの専用の高圧放電ランプ点灯装置で垂直点灯させた場合、ランプ電圧の3秒間の最大変化量は5.22V(1.74V/sec)であった。この5.22V(1.74V/sec)の値は、予め定められた基準値4.05V(1.35V/sec)を超えるため、水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別できる。
一方、バルブ熱容量が最も小さく、温度上昇が大きくなる条件(バルブが長さ34mmおよび肉厚0.5mmのアルミナ製で、中央にID6mm球、両端にID0.7mm細管を有する一体成形されたもので、さらに、TmI3−NaI(60:40wt%)が4mg、ZnI2が0.2mg、Xeガスが13気圧封入されたもの)の水銀を含まない高圧放電ランプ13を、定格35W、始動時35Wの高圧放電ランプ点灯装置15で垂直点灯させたときの最大変化量は1.5V(0.5V/sec)であった。また、バルブ熱容量が最も小さく、温度上昇が最も大きくなる条件(バルブが長さ34mmおよび肉厚0.5mmのアルミナ製で、中央にID6mm球、両端にID0.7mm細管を有する一体成形されたもので、さらに、TmI3−NaI(60:40wt%)が4mg、ZnI2が0.2mg、Arガスが0.2気圧封入されたもの)の水銀を含まない高圧放電ランプ13を、定格35W、始動時35Wの高圧放電ランプ点灯装置15で垂直点灯させたときの最大変化量は2.85V(0.95V/sec)であった。これら1.5V(0.5V/sec)または2.85V(0.95V/sec)の値は、水銀を含む高圧放電ランプ13の変化量5.22V(1.74V/sec)や基準値4.05V(1.35V/sec)より十分小さいため、水銀を含まない高圧放電ランプ13であると判別できる。
水銀を含まない高圧放電ランプ13では、ランプ電圧を形成する薬品が、電圧形成用薬品(ZnI2など)と主発光薬品(TmI3、HoI3など)の両方であり、これらのうち、ZnI2は比較的低い500℃未満で融解して蒸気圧が高まり、点灯中は完全蒸発する場合がある。したがって、これが多く封入されている品種では、電圧上昇が増すが、水銀が急激に蒸発する温度よりはるかに高いため、水銀を含まない高圧放電ランプ13の変化量が最も大きい場合でも、水銀を含む高圧放電ランプ13の最も小さい場合の変化量に及ばない。
したがって、基準値4.05V(1.35V/sec)を境に水銀有無を判別しても、正確に判別できることが判った。
なお、基準値は、適用する高圧放電ランプ13のW(ワット)によって相違し、適用する各々のランプWで水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ電圧と、水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧との中間値に設定されることが好ましい。また、ランプWが大きくなるほど、基準値は小さくなる傾向となる。
高圧放電ランプ13は稀に不安定になりランダムに数秒以内の短期に突発的な電圧変化を生じる場合があり、この突発的な電圧変化についてはキャンセルする必要がある。これには、3秒間に突発的な電圧変化を検出したとき、その前3秒と本来の3秒とを合わせた6秒間にランプ電圧が連続的に変化しているか判別し、連続する場合には水銀を含む高圧放電ランプ13であると判別し、連続しない場合には突発的な電圧変化であるとしてキャンセルできる。
また、第4のランプ種類判別方法では、水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ始動時におけるランプ電圧の上昇が緩やかになって安定し始める程度のタイミングであって、電源投入から例えば100秒程度の所定時間後のタイミングで、ランプ電圧が予め定められた基準値よりも高ければ水銀を含む高圧放電ランプ13と判別し、逆に低ければ水銀を含まない高圧放電ランプ13と判別する。この判別の基準となる基準値は、水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ始動時におけるランプ電圧の上昇が終了するタイミングで、水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ電圧と水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧との間の中間値に設定されることが好ましい。
そして、制御回路24のランプ種類判別手段による第1ないし第4のランプ種類判別方法のいずれか1つまたはいくつかを組み合わせてランプ種類を正確に判別できるため、制御回路24のランプ電力制御手段は、判別した高圧放電ランプ13の点灯特性に応じたランプ電力に切り換えて制御する。
このように、高圧放電ランプ点灯装置15では、ランプ始動時のランプ電圧に基づいて水銀を含む高圧放電ランプ13であるか水銀を含まない高圧放電ランプ13であるかを判別し、判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御するため、水銀を含む高圧放電ランプ13および水銀を含まない高圧放電ランプ13のいずれも最適な制御により点灯可能で、兼用できる。
また、図8には、水銀を含む高圧放電ランプ13および水銀を含まない高圧放電ランプ13の電圧−電力特性を示す。これら高圧放電ランプ13は定格ランプ電圧がそれぞれ異なるが、それぞれの定格ランプ電圧付近では定電力特性を有している。そして、水銀を含む高圧放電ランプ13は、水銀を含まない高圧放電ランプ13と比べて、ランプ始動直後からのランプ電圧上昇中には比較的低い電力となる。
そのため、ランプ始動直後からのランプ電圧上昇中には図8に示すように比較的低い電力となる水銀を含む高圧放電ランプ13の特性に応じたランプ電力で制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプ13のランプ電圧の上昇が顕著となって水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧との区別がつきやすくなり、ランプ種類の判別精度を向上できる。
また、制御回路24は、高圧放電ランプ13の初回点灯時にランプ種類判別手段で判別したランプ種類を記憶する記憶手段、およびこの記憶手段に記憶された情報をリセットするリセット手段を備え、さらに、制御回路24のランプ電力制御手段は、高圧放電ランプ13の初回点灯時にランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じたランプ電力で制御し、高圧放電ランプ13の次回以降の点灯時には記憶手段に記憶されているランプ種類に応じたランプ電力で制御するようにしてもよい。リセット手段は、例えば、リセットボタンの操作でリセットしても、高圧放電ランプの着脱をセンサや電気接続状態などの検知で自動的にリセットするようにしてもよい。
また、制御回路24は、判別したランプ種類が当該高圧放電ランプ点灯装置15の適合ランプ種類以外であれば、ランプ電力が供給されないように制御でき、適合ランプ種類以外のランプの誤装着を防止できる。
このように判別したランプ種類を記憶して利用することにより、高圧放電ランプ13をランプ種類に応じた適正なランプ電力でランプ始動時から制御できる。そのため、ランプ始動時、光束の立ち上がりが極端に遅くなったり、高圧放電ランプ13の電極に負担がかかるというような不具合を防止できる。
次に、図10ないし図13に第2の実施の形態を示し、図10は高圧放電ランプ点灯装置の回路図、図11は高圧放電ランプ点灯装置により水銀を含まない高圧放電ランプに応じたランプ電力で始動点灯させた場合の電圧−電流特性のグラフ、図12は図11に示す電圧−電流特性をもつ高圧放電ランプ点灯装置で、水銀を含む高圧放電ランプおよび水銀を含まない高圧放電ランプをそれぞれ始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧特性のグラフ、図13は高圧放電ランプ点灯装置の水銀を含む高圧放電ランプおよび水銀を含まない高圧放電ランプにおけるランプ電圧の正常範囲を示す表である。
図10に示すように、高圧放電ランプ点灯装置15は、商用交流電源eに整流手段として全波整流するダイオードD1〜D4で形成されたダイオードブリッジ21の入力端子が接続され、このダイオードブリッジ21の出力端子は力率改善用のコンデンサC1に接続されている。
コンデンサC1には、入力電流の力率改善用の昇圧チョッパ回路22が接続されている。この昇圧チョッパ回路22は、コンデンサC1にインダクタL1、スイッチング素子としての電界効果トランジスタQ1の直列回路が並列に接続され、電界効果トランジスタQ1に対して並列にダイオードD5およびコンデンサC11の直列回路が接続されている。そして、電界効果トランジスタQ1のゲートには、制御回路24が接続されている。
また、昇圧チョッパ回路22のコンデンサC11には、高圧放電ランプ点灯手段としてのランプ電流制御する降圧レギュレータ回路31が接続されている。この降圧レギュレータ回路31は、コンデンサC11の一端にスイッチング素子としての電界効果トランジスタQ11およびインダクタL11が接続され、これら電界効果トランジスタQ11とインダクタL11との間にカソードが接続されるとともにコンデンサC11の他端にアノードが接続されて逆電圧防止用のダイオードD11が接続され、インダクタL11とコンデンサC11の他端との間にコンデンサC12が接続されている。
降圧レギュレータ回路31の出力端であるコンデンサC12の両端に、ランプ電圧検出用の抵抗R1、抵抗R2が直列に接続されている。降圧レギュレータ回路31の接地側の出力端に、ランプ電流検出用の抵抗R3が接続されている。
そして、制御回路24が、電界効果トランジスタQ11のゲート、ランプ電圧検出用の抵抗R1、抵抗R2の接続点、ランプ電流検出用の抵抗R3に接続されている。
また、降圧レギュレータ回路31の出力端に、極性反転機能を有するブリッジ型インバータ回路32が接続されている。このブリッジ型インバータ回路32は、4つのスイッチング素子としての電界効果トランジスタQ21,Q22,Q23,Q24を有し、2つの電界効果トランジスタQ21,Q22と2つの電界効果トランジスタQ23,Q24との直列回路が降圧レギュレータ回路31の出力端に並列に接続されている。
2つの電界効果トランジスタQ21,Q22の接続点と2つの電界効果トランジスタQ23,Q24の接続点との間に、高圧放電ランプ13、トランスTrの二次巻線Tr2が直列に接続されている。
トランスTrの一次巻線Tr1に、イグナイタ回路26が接続されている。このイグナイタ回路26は、ランプ始動時に動作してトランスTrの二次巻線Tr2に高圧パルスを発生させる。
そして、制御回路24が、電界効果トランジスタQ21,Q22,Q23,Q24のそれぞれのゲートに接続されている。
また、ランプ電力制御手段は、少なくともランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含まない高圧放電ランプ13の特性に応じたランプ電力で制御する機能を有している。
次に、図10に示す高圧放電ランプ点灯装置15の回路の動作を説明する。
電源投入により、商用交流電源eの電圧をダイオードブリッジ21で全波整流する。制御回路24により、昇圧チョッパ回路22の電界効果トランジスタQ1をオン、オフ制御し、ダイオードブリッジ21からの直流電圧の力率を改善するとともに所望の直流電圧に昇圧する。
制御回路24で降圧レギュレータ回路31の電界効果トランジスタQ11をオン、オフ制御し、所望のランプ電流をブリッジ型インバータ回路32に供給する。
また、制御回路24により、イグナイタ回路26を動作させ、このイグナイタ回路26でトランスTrの二次巻線Tr2に高圧パルスを発生させる。
また、制御回路24により、ブリッジ型インバータ回路32の電界効果トランジスタQ21,Q24の対と電界効果トランジスタQ22,Q23の対とを交互にオン、オフ駆動する。
すなわち、電界効果トランジスタQ11,Q21,Q24がオンすると、コンデンサC11、電界効果トランジスタQ11、インダクタL11、電界効果トランジスタQ21、高圧放電ランプ13、トランスTrの二次巻線Tr2、電界効果トランジスタQ24、コンデンサC11の閉路で電流が流れる。
電界効果トランジスタQ11がオフすると、インダクタL11に蓄積された電流が、電界効果トランジスタQ21、高圧放電ランプ13、トランスTrの二次巻線Tr2、電界効果トランジスタQ24、ダイオードD11およびインダクタL11の閉路で電流が流れる。
また、電界効果トランジスタQ11,Q22,Q23がオンすると、コンデンサC11、電界効果トランジスタQ11、インダクタL11、電界効果トランジスタQ23、トランスTrの二次巻線Tr2、高圧放電ランプ13、電界効果トランジスタQ22、コンデンサC11の閉路で電流が流れる。
電界効果トランジスタQ11がオフすると、インダクタL11に蓄積された電流が、電界効果トランジスタQ23、トランスTrの二次巻線Tr2、高圧放電ランプ13、電界効果トランジスタQ22、ダイオードD11およびインダクタL11の閉路で電流が流れる。
そして、制御回路24は、ランプ電流およびランプ電圧の検出値を入力し、電界効果トランジスタQ21,Q24および電界効果トランジスタQ22,Q23のオン、オフ動作を制御し、高圧放電ランプ13に矩形波電圧を印加する。
このように電界効果トランジスタQ21,Q24および電界効果トランジスタQ22,Q23のオン、オフ動作によって高圧放電ランプ13に矩形波電圧を印加し、この矩形波電圧にイグナイタ回路26からの高圧パルスを重畳することにより、高圧放電ランプ13が始動点灯する。
なお、高圧放電ランプ13が始動した後には、イグナイタ回路26はパルス出力を停止する。
次に、高圧放電ランプ点灯装置15で水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とを判別して最適に点灯制御することについて説明する。
図11には、高圧放電ランプ点灯装置15により水銀を含まない高圧放電ランプ13に応じたランプ電力で始動点灯させる場合の電圧−電流特性を示す。
図12には、高圧放電ランプ点灯装置15により、図11に示す電圧−電流特性で、水銀を含む高圧放電ランプ13および水銀を含まない高圧放電ランプ13をそれぞれ始動点灯させたときの点灯時間−ランプ電圧特性、つまりランプ電圧の立ち上がり特性を示す。
このように、図11に示す電圧−電流特性で各種類の高圧放電ランプ13を始動点灯させたときにも、上述した図3のように水銀を含む高圧放電ランプ13に応じたランプ電力で始動点灯させる場合と同様の特性を有している。
つまり、水銀を含む高圧放電ランプ13は、ランプ始動時に、まず希ガスが放電して一定のランプ電圧が発生し、さらに温度が上昇するにつれて水銀の蒸発が加速度的に増し、水銀が急激に完全蒸発することでランプ電圧が最も大きな上昇率で急激に増した後、水銀が完全蒸発しきるためにランプ電圧の上昇が急激に緩やかになり、すなわち水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点Pが生じる。この変曲点Pの後には、ランプ電圧が緩やかに上昇し、さらに温度が上昇するにつれて金属ハロゲン化物の蒸発が増し、水銀が完全蒸発するときほどではないものの、ランプ電圧が比較的急激に増した後、ランプ電圧が安定する。また、水銀を含む高圧放電ランプ13は、水銀を含まない高圧放電ランプ13に比べて、ランプ始動時のランプ電圧の立ち上がりが早く、安定時のランプ電圧が高い特性を有している。
水銀を含まない高圧放電ランプ13は、水銀の蒸気による影響がなく、希ガスおよび金属ハロゲン化物の蒸発による影響が主であるため、ランプ始動時に、ランプ電圧が緩やかに上昇し、上述した水銀を含む高圧放電ランプ13のような水銀が完全蒸発した時点でランプ電圧の上昇が急激に減少する変曲点Pは生じない。また、水銀を含まない高圧放電ランプ13は、水銀を含む高圧放電ランプ13に比べて、ランプ電圧の立ち上がりが遅く緩やかで、安定時のランプ電圧が低い特性を有する。
そして、制御回路24のランプ種類判別手段は、上述した第1ないし第4のランプ種類判別方法のいずれか1つまたはいくつかの組み合わせにより、水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とのランプ始動時におけるランプ電圧の上昇特性の違いを利用してランプ種類を判別する。
この制御回路24のランプ種類判別手段のランプ種類を判別できるため、制御回路24のランプ電力制御手段は、判別した高圧放電ランプ13の点灯特性に応じたランプ電力に切り換えて制御する。
このように、ランプ始動時のランプ電圧に基づいて水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とを判別し、判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御するため、水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とのいずれも最適に点灯可能で兼用できる。
さらに、ランプ始動直後からのランプ電圧上昇中には図11に示すように比較的電力の大きい水銀を含まない高圧放電ランプ13の特性に応じたランプ電力で制御することにより、水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とのいずれでも始動後の高圧放電ランプ13の光の立ち上がりを早くできる。
また、前記各実施の形態において、制御回路24は、ランプ種類毎にランプ電圧の正常範囲を予め設定し、ランプ電圧検出手段で検出したランプ電圧がランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じたランプ電圧の正常範囲外となるときに異常と判別する異常判別手段の機能を備えている。
この異常判別手段では、ランプ始動直後から水銀を含まない高圧放電ランプ13のランプ電圧の上昇が終了する程度のタイミング以降であって、例えば80秒後以降で、異常判別を行う。この異常判別のタイミングがランプ種類判別後であれば、ランプ種類によって異なる安定時のランプ電圧が確定しているので、その値に対してランプ電圧が異常かどうか判別できる。
図13に示すように、ランプ種類毎のランプ電圧の正常範囲は、例えば、水銀を含む高圧放電ランプ13の場合には、最小電圧を70V、最大電圧を110Vとし、また、水銀を含まない高圧放電ランプ13の場合には、最小電圧を30V、最大電圧を60Vとする。
そして、ランプ始動時に検出したランプ電圧が、判別したランプ種類に応じたランプ電圧の正常範囲内にあれば正常と判別し、また、正常範囲外となるときに異常と判別するため、水銀を含む高圧放電ランプ13と水銀を含まない高圧放電ランプ13とで、それぞれの適切な正常範囲を用いて異常を正確に判別できる。
正常範囲の最小電圧を下回る場合には、高圧放電ランプ13のリークの発生などを検知できる。また、正常範囲の最大電圧を上回る場合には、高圧放電ランプ13の点灯時間の経過に伴うランプ電圧の上昇による高圧放電ランプ13の寿命を検知できる。
11 照明器具
12 器具本体
13 高圧放電ランプ
15 高圧放電ランプ点灯装置
24 ランプ電圧検出手段、ランプ種類判別手段、ランプ電力制御手段、記憶手段および異常判別手段の機能を有する制御回路
12 器具本体
13 高圧放電ランプ
15 高圧放電ランプ点灯装置
24 ランプ電圧検出手段、ランプ種類判別手段、ランプ電力制御手段、記憶手段および異常判別手段の機能を有する制御回路
Claims (12)
- ランプ電圧を検出するランプ電圧検出手段と;
ランプ始動時にランプ電圧検出手段で検出されるランプ電圧に基づいて水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別するランプ種類判別手段と;
ランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じてランプ電力を制御するランプ電力制御手段と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ種類判別手段は、ランプ電圧検出手段の検出に基づいて、ランプ始動時におけるランプ電圧の変曲点の有無を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別する
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ種類判別手段は、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量の変化を監視し、前記変化が減少を示す場合であって、かつ、減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より大きい場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、減少した変化量の最大値が予め定められた基準値より小さい場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する
ことを特徴とする請求項2記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ種類判別手段は、ランプ電圧検出手段の検出に基づいて、高圧放電ランプが安定し始める状態を検出し、その状態でのランプ電圧を検出することで、水銀を含む高圧放電ランプであるか水銀を含まない高圧放電ランプであるかを判別する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ種類判別手段は、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を監視し、ランプ電圧の上昇時における変化量が予め定められた変化量値より小さくなってランプ電圧が安定し始め、かつ、ランプ電圧が予め定められた基準値より高い場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、ランプ電圧が予め定められた基準値より低い場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する
ことを特徴とする請求項4記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ種類判別手段は、ランプ始動時に上昇するランプ電圧の上昇時における変化量を予め定められた基準値と比較し、変化量が基準値を超える場合には水銀を含む高圧放電ランプであると判別し、変化量が基準値を超えない場合には水銀を含まない高圧放電ランプであると判別する
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ電力制御手段は、少なくともランプ種類判別手段でランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含む高圧放電ランプの特性に応じたランプ電力で制御する
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ電力制御手段は、少なくともランプ種類判別手段でランプ種類を判別するまではランプ始動直後から水銀を含まない高圧放電ランプの特性に応じたランプ電力で制御する
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 高圧放電ランプの初回点灯時にランプ種類判別手段で判別したランプ種類を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された情報をリセットするリセット手段とを具備し、
ランプ電力制御手段は、高圧放電ランプの初回点灯時にランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じたランプ電力で制御し、高圧放電ランプの次回以降の点灯時には記憶手段に記憶されているランプ種類に応じたランプ電力で制御し、リセット手段により記憶手段の情報がリセットされた場合にはリセットされた直後の点灯時にランプ種類判別手段を動作させる
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ種類毎にランプ電圧の正常範囲を有し、ランプ電圧検出手段で検出したランプ電圧がランプ種類判別手段で判別したランプ種類に応じたランプ電圧の正常範囲外となるときに異常と判別する異常判別手段を具備している
ことを特徴とする請求項1ないし9いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - ランプ電力制御手段は、ランプ種類判別手段で判別したランプ種類が当該高圧放電ランプ点灯装置の適合ランプ種類以外であれば、ランプ電力が供給されないように制御する
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 高圧放電ランプが装着される器具本体と;
高圧放電ランプを点灯させる請求項1ないし11いずれか一記載の高圧放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
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JP2008011137A JP2008226823A (ja) | 2007-02-13 | 2008-01-22 | 高圧放電ランプ点灯装置および照明器具 |
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JP2008226823A true JP2008226823A (ja) | 2008-09-25 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013025923A (ja) * | 2011-07-19 | 2013-02-04 | Iwasaki Electric Co Ltd | 高圧放電灯点灯装置、それを用いた高圧放電灯の点灯方法、及び照明器具 |
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2008
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