JP2008226580A - 沿面放電体感装置および沿面放電体感実験方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】沿面放電を発生させる装置であって、アースされた誘導電極4と、該誘導電極4と非接触状態に配設された放電電極3とからなる一対の電極と、一対の電極間に配設され、その表面に沿面放電を生じさせ得る絶縁部材5と、放電電極3に接続されたバンデグラフ起電機2とからなる。バンデグラフ起電機2を作動させれば、絶縁部材5の表面に沿面放電を発生させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、かかる沿面放電を実際に体感し、その危険性を感じ取ることができる沿面放電体感装置およびこの装置を使用した沿面放電体感実験方法に関する。
また、上述したような沿面放電を利用する技術も工場内などでは使用されているものの、沿面放電を発生させる装置は厳重に管理され、作業者等が沿面放電を直接観測し体験する機会はほとんどない。
第2発明の沿面放電体感装置は、第1発明において、前記放電電極は、前記絶縁部材側の先端部の曲率半径が5〜50mmであることを特徴とする。
第3発明の沿面放電体感装置は、第1発明において、 前記絶縁部材の厚さが、0.01〜8mmであることを特徴とする。
第4発明の沿面放電体感装置は、第1発明において、前記放電電極と前記絶縁部材の表面との距離が、20mm以下であることを特徴とする。
第5発明の沿面放電体感装置は、第1、2、3または4発明において、前記一対の電極および前記絶縁部材を内部に収容するケースを備えており、該ケースは、内部を視認しうる観測窓を備えていることを特徴とする。
第6発明の沿面放電体感装置は、第5発明において、前記ケース内を換気する換気手段を備えていることを特徴とする。
第7発明の沿面放電体感装置は、第5発明において、前記ケース内が、相対湿度65%以下に保たれていることを特徴とする。
第8発明の沿面放電体感実験方法は、第1、2、3、4、5、6または7発明の沿面放電体感装置を、相対湿度65%以下の雰囲気で作動させることを特徴とする。
第2発明によれば、コロナ放電の発生を防ぐことができ、確実に沿面放電を発生させることができる。
第3発明によれば、絶縁部材の絶縁破壊による誘導電極と放電電極の短絡頻度を小さくすることができ、かつ、誘導電極の作用を効果的に得ることができるので、沿面放電を発生させることが容易になる。
第4発明によれば、バンデグラフ起電機によって放電電極を帯電させた場合であっても、確実に沿面放電を発生させることができる。
第5発明によれば、ケース内において沿面放電による可燃物などの着火実験を行えば、観測窓からその状況を観察できるので、沿面放電による災害等の把握をより深めることができる。
第6発明によれば、換気手段によってケース内を換気しながら実験を行えば、実験時に発生した有害ガスがケース外に漏れることを防ぐことができる。
第7発明によれば、ケース内が沿面放電が発生しやすい雰囲気になるので、沿面放電を確実に発生させることができ、発生する沿面放電の規模を大きくすることができる。
第8発明によれば、沿面放電が発生しやすい雰囲気であるから、沿面放電を確実に発生させることができ、発生する沿面放電の規模を大きくすることができる。
図1は本実施形態の沿面放電体感装置1の概略ブロック図である。図2(A)は電極近傍の概略拡大説明図であり、(B)は電極近傍の概略平面図である。
図1において、符号2はバンデグラフ起電機を示している。このバンデグラフ起電機2は、静電気を連続して発生させることができるものであり、その帯電部分2aに150kV程度の高電圧を発生させることはできるが、作り出せる電流は小さい起電機である。なお、バンデグラフ起電機2は、機種を適切に選定することによって正または負どちらか一方の所望する電荷を発生させ、帯電部分2aに帯電させることができる。
なお、放電電極3とバンデグラフ起電機2の帯電部分とを電気的に接続する方法は、上記のごとき構成に限られず、バンデグラフ起電機2の帯電部分2aと放電電極3とが電気的にボンディング(接続)され、かつ、大地を含む周辺の導体から電気的に絶縁することができる構成であればよい。
なお、誘導電極4は台6等を設けず、床や地面、テーブル等の上に直接設置してもよい。
さらになお、絶縁部材5は誘導電極4よりも小さくてもよいが、絶縁部材5によって誘導電極4の上面が覆い隠されていれば、絶縁部材5の絶縁破壊なしで放電電極3と誘導電極4との間を直接つなぐような放電が発生することを防ぐことができ好適である。
さらになお、絶縁部材5は1つの部材でもよいし、薄膜を数枚重ねた状態でもよい。絶縁部材5の厚さが薄いと、低い電圧で絶縁部材の絶縁破壊が生じて放電電極3と誘導電極4との間を繋ぐ放電が発生してしまい、そのときに、火花放電のみが観測されるか、観測される沿面放電の規模が小さくなる場合がある。このような場合には、絶縁部材5を複数枚重ねて厚みを増すことによって、沿面放電が確実に発生させることができるようになり、しかも、より大きな沿面放電が観察できるようになる。
本実施形態の沿面放電体感装置1の場合、バンデグラフ起電機2で発生した電荷によって放電電極3を強帯電させるために、通常の実験では、放電電極3と地面等との間を電気的に遮断した状態で実験が行われる。
しかし、スイッチ3cを設けておけば、バンデグラフ起電機2から放電電極3への電荷の供給を停止してから、放電電極3を地面等に接続したときにおける状況も観察することもできる。つまり、バンデグラフ起電機2による電荷の供給が停止してから放電電極3をアースしたときの状況も観察でき、そのときに絶縁部材5の表面に発生する沿面放電も観察することができる。
これは静電気の発生量は相対湿度の影響を大きく受け、相対湿度が小さいほど静電気の発生量が大きくなるからである。逆にいえば、相対湿度が大きくなると静電気の発生量が小さくなり、沿面放電が発生しにくくなるからである。例えば、相対湿度が65%より高くなると、沿面放電の発生の規模が小さくなったり、また、沿面放電が全く発生しなかったりする可能性が考えられる。すると、プラントなどの作業者に対して沿面放電の体感教育実験を行っても、その教育効果が弱くなってしまう。
したがって、本実施形態の沿面放電体感装置1による沿面放電の体感教育実験は、相対湿度が65%以下の雰囲気で行うことが好ましく、体感教育の教師や受講者の健康確保(喉の渇き防止)と一定規模以上の沿面放電を発生させるという観点からは、相対湿度は30%以上55%以下がより好ましい。
なお、以下に説明する条件は、あくまでバンデグラフ起電機2によって放電電極3を帯電させる場合に必要とされる条件である。
したがって、この放電電極3は、その球面状の面の曲率半径Rが5〜50mmであることが好ましく、その球面状の面の曲率半径Rが5〜25mmであればさらに好ましい。
なお、放電電極3は必ずしも略円筒状である必要はなく、その断面積がある程度の大きさを有していればよい。そして、その先端に球面状の面を有しその面の曲率半径Rが5〜25mmであれば、コロナ放電の発生を防ぎ沿面放電を発生させることができる。
以下に、沿面放電を生じさせるために必要となる、絶縁部材5の素材の条件および、絶縁部材5の形状の条件について説明する。
したがって、絶縁部材5は、その表面抵抗率が1010Ω以上かつ体積抵抗率108Ω・m以上であることが好ましく、表面抵抗率が1012Ω以上かつ体積抵抗率1010Ω・m以上であればさらに好ましい。
上記の条件は、絶縁部材5の素材として、ポリエチレンやポリプロピレン等を採用すれば満たすことができる。
したがって、絶縁部材5は、厚さが0.01〜8mmであることが好ましく、厚さが0.1〜3mmであればさらに好ましい。
なお、絶縁部材5は、単体で厚さが0.01〜8mmとなる必要はなく、厚さの薄いシート状部材を0.01〜8mmとなるように重ねて使用してもよい。
したがって、絶縁部材5は、その内部に半径L1が5cm以上の円を取ることができる程度の大きさに形成されていることが好ましく、さらに、半径L1が10cm以上の円を取ることができることができれば、さらに好ましい。
したがって、放電電極3は、その先端曲面と絶縁部材5の表面との距離Hが、20mm以下であることが好ましく、5mm以下であればさらに好ましい。
なお、絶縁部材5が上述したような表面抵抗率、体積抵抗率を有しており、しかも、その厚さが0.01〜8mmの場合であれば、絶縁部材5と放電電極3とが接触していても、絶縁部材5の絶縁破壊による誘導電極4と放電電極3との間に発生する短絡頻度を小さくすることができ、かつ、誘導電極4の作用を効果的に得ることができるので、沿面放電を発生させることが容易になる。
なお、図3では、バンデグラフ起電機2がケース2外に配設されているが、ケース10として、その内部にバンデグラフ起電機2と電線3aも収容できるものを設けてもよい。
すると、単に沿面放電の状況を確認するだけよりも、実験者や観測者に与えるインパクトが強くなり、沿面放電による災害等の危険性に対する認識をより深めることができる。
しかも、ケース10内において、固体の可燃物Mを着火燃焼したときに発生する熱や有害物質等が周囲に飛散することを防ぐことができる。
換気手段11は、単にケース10内の空気を吸引し外部に排出するポンプなどでもよいが、ケース10内から吸引した気体に含まれる燃焼ガスを除害する除害手段を備えている方が好ましい。
例えば、空間内の空気の相対湿度を適度(相対湿度65%以下)に調整できる装置12、例えば、空気調和装置等を設け、この空気調和装置等から相対湿度が調整された空気をケース10内に供給できるようにしておけば、ケース10内の雰囲気を沿面放電の発生に適した状態とすることができる。そして、かかるケース10内の相対湿度を調整できる装置12を備えていれば、ケース10を設置する場所の雰囲気に関係なく、本実施形態の沿面放電体感装置1による実験を効果的に行うことができる。
とくに、バンデグラフ起電機2を含む全ての装置をケース10内に設置している場合であれば、周囲の雰囲気に係わらず、バンデグラフ起電機2においても安定した状態で静電気を発生させることができるので、より好ましい。
放電電極:先端の曲率半径10mmの棒状材料(素材:ステンレス)
絶縁部材:低密度ポリエチレン製絶縁フィルム(ホリアキ株式会社製、半透明ラップインごみ袋厚口45L、厚さ0.04mm)を、50cm角に切り、4枚重ねたもの
誘導電極:直径0.3mの円形平板(素材:ステンレス)
台:テフロン(登録商標)製ブロック
また、実験は、気温26℃、相対湿度50%の条件で行った。
また、バンデグラフ起電機のスイッチを切り、放電電極をアースした時にも大きな沿面放電が観察された(図5)。
また、バンデグラフ起電機のスイッチを切り、放電電極をアースした時にも沿面放電が観察された。この場合も、距離が0mmにおける同じ条件の場合と比べて、その沿面放電が発生した領域が小さかった。
2 バンデグラフ起電機
3 放電電極
4 誘導電極
5 絶縁部材
10 ケース
10a 観測窓
11 換気手段
Claims (8)
- 沿面放電を発生させる装置であって、
アースされた誘導電極と、該誘導電極と非接触状態に配設された放電電極とからなる一対の電極と、
該一対の電極間に配設され、その表面に沿面放電を生じさせ得る絶縁部材と、
前記放電電極に接続されたバンデグラフ起電機とからなる
ことを特徴とする沿面放電体感装置。 - 前記放電電極は、
前記絶縁部材側の先端部の曲率半径が5〜50mmである
ことを特徴とする請求項1記載の沿面放電体感装置。 - 前記絶縁部材の厚さが、0.01〜8mmである
ことを特徴とする請求項1記載の沿面放電体感装置。 - 前記放電電極と前記絶縁部材の表面との距離が、20mm以下である
ことを特徴とする請求項1記載の沿面放電体感装置。 - 前記一対の電極および前記絶縁部材を内部に収容するケースを備えており、
該ケースは、内部を視認しうる観測窓を備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の沿面放電体感装置。 - 前記ケース内を換気する換気手段を備えている
ことを特徴とする請求項5記載の沿面放電体感装置。 - 前記ケース内が、相対湿度65%以下に保たれている
ことを特徴とする請求項5記載の沿面放電体感装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6または7記載の沿面放電体感装置を、相対湿度65%以下の雰囲気で作動させる
ことを特徴とする沿面放電体感実験方法。
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