JP5160928B2 - 沿面放電によるガス爆発体感装置および沿面放電によるガス爆発体感実験方法 - Google Patents

沿面放電によるガス爆発体感装置および沿面放電によるガス爆発体感実験方法 Download PDF

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Description

本発明は、沿面放電によるガス爆発体感装置および沿面放電によるガス爆発体感実験方法に関する。絶縁材料表面に電圧を印加したときに、絶縁材料の表面に保持できる電荷の量は、絶縁材料の背後に導体を有する場合の方が背後に導体を有しない場合と比較して多量の電荷を保持し易くなり、一定の条件を満たした場合には、この絶縁材料の表面に沿って放電路が形成される沿面放電が発生する。かかる沿面放電が発生した場所に可燃性や引火性の物質が存在すると、これらの物質が燃えたり爆発したりする可能性がある。
本発明は、かかる沿面放電に起因するガス爆発を実際に体感し、その危険性を感じ取ることができる沿面放電によるガス爆発体感装置および沿面放電によるガス爆発体感実験方法に関する。
従来から沿面放電を工業的に利用する技術が開発されている。例えば、導電性フィルムを製造する製造工程において、シート状非導電性基材の表面に沿面放電を発生させて表面処理を行う技術(特許文献1)や、イオン発生装置においてイオンを発生させる方法として沿面放電を利用する技術(特許文献2、3)が開発されている。
上記のごとく、沿面放電は工業的に利用される一方、偶発的に発生する沿面放電は火災や爆発等の原因となる可能性があり、かかる災害を防ぐために、工場やプラント等の作業者や設計者がかかる沿面放電の危険性を理解することが求められている。
かかる沿面放電の危険性を理解する上では、沿面放電に起因する災害、例えば、ガス爆発等を体感することは有用である。
しかし、沿面放電はその発生条件が特殊であるため、現在のところ研究室のような特別な施設において実験が行われているのみであり(非特許文献1、2)、一般の作業者等が沿面放電現象や沿面放電に起因するガス爆発等を体感できる簡易な実験装置は存在していない。
特開平9−201915号 特開2003−153995号 特開2006−114326号 Martin Glor, "Ignition hazard due to static electricity in particulate processes", Power Technology135-136(2003), p.223-233 Martin Glor, "Electrostatic Hazards in Powder Handling",JOHN WILEY & SONS INC., 1988, p.83-93
本発明は上記事情に鑑み、沿面放電に起因するガス爆発等を手軽に体感することができる沿面放電によるガス爆発体感装置およびこの装置を使用した沿面放電によるガス爆発体感実験方法を提供することを目的とする。
第1発明の沿面放電によるガス爆発体感装置は、沿面放電を発生させる装置であって、アースされた誘導電極と、該誘導電極と非接触状態に配設された放電電極とからなる一対の電極と、該一対の電極間に配設され、その表面に沿面放電を生じさせ得る絶縁部材と、前記放電電極に接続されたバンデグラフ起電機と、前記沿面放電が生じる領域を囲むように配設された、内部を視認しうる防護カバーとからなることを特徴とする。
第2発明の沿面放電によるガス爆発体感実験方法は、第1発明の沿面放電によるガス爆発体感装置において、前記絶縁部材における前記防護カバーで囲まれた部分の表面に揮発性および引火性を有する物質を配置した状態で、前記バンデグラフ起電機を作動させることを特徴とする。
第3発明の沿面放電によるガス爆発体感実験方法は、第2発明において、前記物質として、ガス爆発体感装置を設置している周辺の温度より引火点が低い物質を使用することを特徴とする。
第4発明の沿面放電によるガス爆発体感実験方法は、第2または第3発明において、前記防護カバー内において、前記物質を、前記放電電極と非接触の状態となるように該放電電極の周囲に配置することを特徴とする。
第1発明によれば、バンデグラフ起電機を作動させれば、絶縁部材の表面に沿面放電を発生させることができるから、防護カバーを通して沿面放電の発生状況を観察できる。また、防護カバー内であって、沿面放電が発生する領域内に可燃物を配置しておけば、沿面放電によって可燃物に着火することができる。すると、防護カバー内で発生した沿面放電による可燃物の着火やその後の燃焼あるいは爆発状況を観察できるから、沿面放電に起因する災害等を体感でき、沿面放電に起因する災害等の発生状況に対する理解を深めることができる。とくに、揮発性および引火性を有する物質の場合、防護カバー内に揮発した物質(揮発ガス)が溜まっていき、防護カバー内において揮発ガスが着火可能な濃度となると沿面放電が着火源となってガス爆発が生じるので、沿面放電による災害等の体感効果を高めることができる。
第2発明によれば、バンデグラフ起電機を作動させれば、絶縁部材の表面に沿面放電を発生させることができる。すると、防護カバー内に揮発した物質のガス(揮発ガス)が溜まっていき、防護カバー内において揮発ガスが着火可能な濃度となると沿面放電が着火源となってガス爆発が生じるので、沿面放電に起因するガス爆発を体感でき、沿面放電に起因する災害等の発生状況に対する理解を深めることができる。
第3発明によれば、ガス爆発体感装置を設置している場所の温度より引火点が低い物質を使用するので、沿面放電によって確実に着火することができる。
第4発明によれば、放電電極の周囲に、放電電極と非接触の状態となるように引火性および揮発性を有する物質を配置しているので、沿面放電を確実に発生させることができ、引火性および揮発性を有する物質に着火する確率を高くすることができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態のガス爆発体感装置1の概略ブロック図である。図2(A)は電極近傍の概略拡大説明図であり、(B)は電極近傍の概略平面図である。
図1において、符号2はバンデグラフ起電機を示している。このバンデグラフ起電機2は、静電気を連続して発生させることができるものであり、その帯電部分2aに150kV程度の高電圧を発生させることはできるが、作り出せる電流は小さい起電機である。なお、バンデグラフ起電機2は、機種を適切に選定することによって正または負どちらか一方の所望する電荷を発生させ、帯電部分2aに帯電させることができる。
このバンデグラフ起電機2の帯電部分2aは、例えば、フッ素樹脂製チューブによって被覆された電線3aによって、放電電極3の上端部に電気的に接続されている。この放電電極3は、略筒状に形成された部材であり、その下端部の端面が略球面に形成されているが、詳細は後述する。
なお、放電電極3とバンデグラフ起電機2の帯電部分とを電気的に接続する方法は、上記のごとき構成に限られず、バンデグラフ起電機2の帯電部分2aと放電電極3とが電気的にボンディング(接続)され、かつ、両者を大地を含む周辺の導体から電気的に絶縁することができる構成であればよい。
図1に示すように、前記放電電極3の下方には、誘導電極4が配設されている。この誘導電極4は、その表面が平坦な面に形成された円板状の部材である。この誘導電極4は、例えば、鉄やステンレス等の導電性材料によって形成された電極であり、アースされた状態で絶縁性材料によって形成された台6の上に配置されている。
なお、誘導電極4は台6等を設けず、床や地面、テーブル等の上に直接設置してもよい。
また、誘導電極4の上面には、絶縁部材5が配置されている。この絶縁部材5は、放電電極3と誘導電極4との間を絶縁するように配置された、略四角形状に形成されたシートである。この絶縁部材5は、誘導電極4の上面を覆い隠すことができる程度の大きさに形成されており、その中心が放電電極3の中心軸の延長線上に位置するように配設されている(図2(B))。
このため、バンデグラフ起電機2によってその帯電部分2aを高電圧に帯電させれば、放電電極3も強帯電し、誘導電極4には放電電極3の電荷と異なる符号の電荷が誘導される。これにより絶縁部材5の表面に保持できる電荷量が増大する。そして、放電電極3に対する電圧の印加が所定の条件を超えたときに、絶縁部材5に沿った形で沿面放電を発生させることができる。
そして、バンデグラフ起電機2はその帯電部分2aに150kV程度の高電圧を発生させることができる。よって、放電電極3も高電圧に帯電させることができるので、沿面放電が発生する可能性を高くすることができる。
なお、上記例では、略四角形状の絶縁部材5を例示したが、絶縁部材5の形状は略四角形状に限られず、円形等としてもよい。
また、絶縁部材5は誘導電極4よりも小さくてもよいが、絶縁部材5によって誘導電極4の上面が覆い隠されていれば、放電電極3と誘導電極4との間を直接つなぐような放電が、絶縁部材5が絶縁破壊しない場合にも発生することを防ぐことができ好適である。
さらになお、絶縁部材5は1つの部材でもよいし、薄膜を数枚重ねた状態でもよい。絶縁部材5の厚さが薄いと、低い電圧で絶縁部材の絶縁破壊が生じて放電電極3と誘導電極4との間を繋ぐ放電が発生してしまい、そのときに、火花放電のみが観測されるか、観測される沿面放電の規模が小さくなる場合がある。このような場合には、絶縁部材5を複数枚重ねて厚みを増すことによって、沿面放電が確実に発生させることができるようになり、しかも、より大きな沿面放電が観察できるようになる。
図1および図2(B)に示すように、本実施形態のガス爆発体感装置1には、上述した前記絶縁部材5の上面に防護カバー7が設けられている。この防護カバー7は、上端および下端がいずれも開口した、中空な筒状の部材であり、その壁7wが前記放電電極3を囲むように配設されている。より具体的にいえば、防護カバー7は、その壁7wによって囲まれた中空な空間7h内に位置する絶縁部材5上に、前述したような沿面放電が発生するように配設されている。
しかも、防護カバー7は、例えば、ガラスや金属などの強度のある素材によって形成されている。
このため、バンデグラフ起電機2を作動させて、中空な空間7h内に位置する絶縁部材5上に、この絶縁部材5に沿った形で沿面放電が発生すれば、その状況を防護カバー7外から視認することができるのである。
なお、防護カバー7としてガラスやアクリル樹脂製のカバーを使用すれば、壁7wを通して中空な空間7h内を観察することができるので、中空な空間7h内の状況を視認しやすくなる為、好ましい。
図2(B)に示すように、本実施形態のガス爆発体感装置1の場合、防護カバー7の壁7wによって囲まれた空間7h内に位置する絶縁部材5の上、つまり、沿面放電が発生する位置に、揮発性および引火性を有する物質Lを配置すれば、沿面放電によってこの物質Lが揮発したガス(揮発ガス)に着火することができ、防護カバー7の中空な空間7h内でガス爆発を生じさせることができる。
つまり、防護カバー7の空間7h内の絶縁部材5上に配置された物質Lは、時間の経過とともに揮発していくが、防護カバー7の下端が絶縁部材5に載せられているので、揮発ガスは周囲に拡散できず、中空な空間7h内に溜まる。すると、この揮発ガスは、防護カバー7内において、防護カバー7内の空気と混合して混合ガスを形成する。この混合ガス中の揮発ガスの濃度が着火可能な濃度となり、かつ混合ガスと沿面放電とが接触すれば、この沿面放電が着火源となってガス爆発が生じる。
すると、実験を行った人は、防護カバー7の上部から、あるいは、壁7wを通して、沿面放電の発生状況を確認するとともに、この沿面放電の発生に起因して生じるガス爆発の状況も観察することができる。つまり、沿面放電に起因するガス爆発を体感できる。すると、単に沿面放電の状況を確認するだけの場合に比べて、実験者や観測者に与えるインパクトが強くなり、沿面放電による災害等の危険性に対する認識をより深めることができる。
なお、引火性および揮発性を有する物質Lは、放電電極の周囲に、放電電極と非接触の状態となるように配置する。放電電極と物質Lが接触していると沿面放電が発生しにくくなるからであり、非接触の状態とすれば、沿面放電を確実に発生させることができ、混合ガスに着火する確率を高くすることができる。
また、図3に示すように、本実施形態のガス爆発体感装置1は、放電電極3、誘導電極4、絶縁部材5およびの防護カバー7の周囲を囲うケース10を備えていてもよい。
図3において、ケース10は、箱状に形成されており、その内部に放電電極3等を収容できる空間を備えたものである。このケース10の前面には、その内部を視認できるように観測窓10aが設けられている。そして、このケース10は、観測窓10a以外の部分は、例えば、鉄やステンレス等の金属によって形成されており、観測窓10aは、例えば、強化ガラス等によって形成されている。
以上のような構成の場合、沿面放電に起因して生じる防護カバー7内のガス爆発を、観測窓10aを通して確認できるし、ガス爆発時に発生する熱や有害物質等が周囲に飛散することを、防護カバー7だけでなくケース10でも防ぐことができる。
とくに、ケース10内を換気する換気手段11を設けておけば、着火燃焼時に発生する有害ガスがケース10から漏れ出すことを防ぐことができる。この換気手段11は、単にケース10内の空気を吸引し外部に排出するポンプなどでもよいが、ケース10内から吸引した気体に含まれる燃焼ガスを除害する除害手段を備えている方が好ましい。
また、ガス爆発実験を行わない場合であっても、沿面放電が発生したときにオゾンが発生する可能性があるので、換気手段11を備えたケース10内で実験を行うことが安全衛生上好ましい。
なお、図3では、バンデグラフ起電機2がケース10外に配設されているが、ケース10として、その内部にバンデグラフ起電機2と電線3aも収容できるものを設けてもよい。
また、本実施形態のガス爆発体感装置1による沿面放電の体感教育実験は、沿面放電が発生する空間が、相対湿度65%以下の雰囲気で実施することが好ましく、相対湿度が30%以上55%以下であれば更に好ましい。例えば、空調設備を備えた室内において、ケース10を有しないガス爆発体感装置1によって沿面放電の体感教育実験を行うのであれば、上記のごとき湿度となるように、空調設備によってガス爆発体感装置1を設けている空間内の雰囲気を調整することが好ましい。
これは静電気の発生量は相対湿度の影響を大きく受け、相対湿度が小さいほど静電気の発生量が大きくなるからである。逆にいえば、相対湿度が大きくなると静電気の発生量が小さくなり、沿面放電が発生しにくくなるからである。例えば、相対湿度が65%より高くなると、沿面放電の発生の規模が小さくなったり、また、沿面放電が全く発生しなかったりする可能性が考えられる。すると、プラントなどの作業者に対して沿面放電の体感教育実験を行っても、その教育効果が弱くなってしまう。
したがって、本実施形態のガス爆発体感装置1による沿面放電の体感教育実験は、相対湿度が65%以下の雰囲気で行うことが好ましく、体感教育の教師や受講者の健康確保(喉の渇き防止)と一定規模以上の沿面放電を発生させるという観点からは、相対湿度は30%以上55%以下がより好ましい。
また、図3に示すように、本実施形態のガス爆発体感装置1がケース10を備えている場合には、ケース10内を相対湿度65%以下とした状態で実験を実施することが好ましく、相対湿度が30%以上55%以下であれば更に好ましい。
かかる条件を実現するには、例えば、ケース10の空間内の空気の相対湿度を適度(相対湿度65%以下)に調整できる装置12、例えば、空気調和装置等を設ける。すると、この空気調和装置等から相対湿度が調整された空気をケース10内に供給できるようにしておけば、ケース10内の雰囲気を沿面放電の発生に適した状態とすることができる。そして、かかるケース10内の相対湿度を調整できる装置12を備えていれば、ケース10を設置する場所の雰囲気に関係なく、本実施形態のガス爆発体感装置1による実験を効果的に行うことができる。
とくに、バンデグラフ起電機2を含む全ての装置をケース10内に設置している場合であれば、ガス爆発体感装置1を設置する周囲の雰囲気に係わらず、バンデグラフ起電機2に安定した状態で静電気を発生させることができるので、より好ましい。
なお、図1に示すように、ガス爆発体感装置1において、放電電極3を地面等と電気的に接続する電線3bを設けておき、この電線3bに放電電極3と地面等との間を電気的に接続遮断できるスイッチ3cを設けてもよい。
本実施形態のガス爆発体感装置1の場合、バンデグラフ起電機2で発生した電荷によって放電電極3を強帯電させるために、通常の実験では、放電電極3と地面等との間を電気的に遮断した状態で実験が行われる。
しかし、スイッチ3cを設けておけば、バンデグラフ起電機2から放電電極3への電荷の供給を停止してから、放電電極3を地面等に接続したときにおける状況も観察することもできる。つまり、バンデグラフ起電機2による電荷の供給が停止してから放電電極3をアースしたときの状況も観察でき、そのときに絶縁部材5の表面に発生する沿面放電や、この沿面放電を着火源とするガス爆発も観察することができる。
さらになお、上述したガス爆発体感装置1では、放電電極3、絶縁部材5および誘導電極4がこの順で上下に並ぶように配設しているが、放電電極3の球面状の面と誘導電極4の一面とが対向し、両者の間を絶縁するように絶縁部材5が配設され、かつ、沿面放電が発生する領域を囲むように防護カバー7が配設されていればよく、放電電極3、絶縁部材5および誘導電極4は必ずしも上下方向に並べる必要はない。
つぎに、本実施形態のガス爆発体感装置1における、放電電極3、絶縁部材5および防護カバー7について、詳細に説明する。
なお、以下に説明する条件は、あくまでバンデグラフ起電機2によって放電電極3を帯電させる場合に必要とされる条件である。
放電電極3は、例えば、鉄やステンレスなどの導電性を有する材料によって形成された電極であり、略円筒状に形成されている。この放電電極3は、その球面状の面の曲率半径Rが5〜50mmとなるように形成されている。これは、放電電極3の曲率半径Rが小さすぎる(5mm未満)とコロナ放電が発生してしまい沿面放電を発生させることができなくなるし、曲率半径Rが大きすぎる(50mmより大きい)と、放電電極3自体が沿面放電の観察の妨げとなるからである。
したがって、この放電電極3は、その球面状の面の曲率半径Rが5〜50mmであることが好ましく、その球面状の面の曲率半径Rが5〜25mmであればさらに好ましい。
なお、放電電極3は必ずしも略円筒状である必要はなく、その断面積がある程度の大きさを有していればよい。そして、その先端に球面状の面を有しその面の曲率半径Rが5〜25mmであれば、コロナ放電の発生を防ぎ沿面放電を発生させることができる。
絶縁部材5は、絶縁性を有する素材によって形成されたシート状の部材であり、その表面に沿面放電を生じさせ得る素材によって、その表面に沿面放電を生じさせ得る形状に形成されている。
以下に、沿面放電を生じさせるために必要となる、絶縁部材5の形状の条件および、絶縁部材5の素材の条件について説明する。
絶縁部材5は、その表面抵抗率が1010Ω以上かつ体積抵抗率108Ω・m以上であることが好ましい。絶縁部材5の表面抵抗率、体積抵抗率のいずれかが上記の値よりも小さい場合には、絶縁部材5の表面電荷が漏洩し易くなり、沿面放電が発生しにくくなるからである。
したがって、絶縁部材5は、その表面抵抗率が1010Ω以上かつ体積抵抗率108Ω・m以上であることが好ましく、表面抵抗率が1012Ω以上かつ体積抵抗率1010Ω・m以上であればさらに好ましい。
上記の条件は、絶縁部材5の素材として、ポリエチレンやポリプロピレン等を採用すれば満たすことができる。
また、絶縁部材5は、厚さが0.01〜8mmであることが好ましい。厚さが8mmよりも厚くなると、背後導体である誘導電極4の影響力が弱くなるため沿面放電を発生させることが困難となり、また、0.01mmよりも薄くなると絶縁部材5が絶縁破壊して、放電電極3と誘導電極4が短絡してしまう可能性が高くなるからである。
したがって、絶縁部材5は、厚さが0.01〜8mmであることが好ましく、厚さが0.1〜3mmであればさらに好ましい。
なお、絶縁部材5は、単体で厚さが0.01〜8mmとなる必要はなく、厚さの薄いシート状部材を0.01〜8mmとなるように重ねて使用してもよい。
防護カバー7は、その断面形状は円形や四角形などでもよいが、その中空な空間7h内に、半径R1が5cm以上の円を取ることができる程度の大きさ形成されていることが好ましい(図2(B))。防護カバー7が小さすぎると、小さな沿面放電しか観測されなくなるし、揮発ガスの爆発規模も小さくなるので、観察者等に与える印象が弱くなる。すると、本実施形態のガス爆発体感装置1を使ってプラントなどの作業者に沿面放電に起因するガス爆発の体感教育を行うときに、その教育効果が弱くなる。
したがって、防護カバー7は、その中空な空間7h内に半径R1が5cm以上の円を取ることができる程度の大きさに形成されていることが好ましく、さらに、半径R1が10cm以上の円を取ることができることができれば、さらに好ましい。
また、放電電極3および絶縁部材5、および防護カバー7が上述したような条件を満たした場合であっても、放電電極3と絶縁部材5との距離Hが20mmより長くとなると、沿面放電を発生させるために必要な印加電圧が高くなるため、放電電極3からの放電が生じにくくなる。
したがって、放電電極3は、その先端曲面と絶縁部材5の表面との距離Hが、20mm以下であることが好ましく、5mm以下であればさらに好ましい。
なお、絶縁部材5が上述したような表面抵抗率、体積抵抗率を有しており、しかも、その厚さが0.01〜8mmの場合であれば、絶縁部材5と放電電極3とが接触していても、絶縁部材5の絶縁破壊による誘導電極4と放電電極3との間に発生する短絡頻度を小さくすることができ、かつ、誘導電極4の作用を効果的に得ることができるので、沿面放電を発生させることが容易になる。
ガス爆発実験を行う際に使用する物質Lは、引火性および揮発性を有しているものであれば、特に制限されないが、ガス爆発体感装置1を設置している場所の温度より引火点が低い物質を使用することが好ましい。この場合、沿面放電によって物質Lの揮発ガスに確実に着火することができる。
かかる物質Lとしては、例えば、アセトンやエタノールをあげることができる。とくに、アセトンやエタノール等のように、常温(25度)以下でも揮発し、かつ、引火点が40度以下であるような物質を使用すれば、沿面放電によって物質Lの混合ガスを着火する確率がより高くなるので、好適である。
また、物質Lはその質量が空気よりも重いものであれば、揮発ガスが防護カバー外に拡散する可能性が低くなるから、防護カバー内に揮発ガスを確実に溜めることができる。すると、防護カバー内に着火可能な濃度の混合ガスを確実に形成することができるから、沿面放電によるガス爆発をより確実に生じさせることができる。
本発明のガス爆発体感装置において、可燃性溶剤を使用した爆発実験を行い、沿面放電による揮発ガスへの着火性に防護カバーが与える影響を確認した。
実験には以下の起電機および部材を使用した。
バンデグラフ起電機:島津理化器械株式会社製ツインタワーバンデグラフVG−T
放電電極:先端の曲率半径10mmの棒状材料(素材:ステンレス)
絶縁部材:低密度ポリエチレン製絶縁フィルム(ホリアキ株式会社製、半透明ラップインごみ袋厚口45L、厚さ0.04mm)を、50cm角に切り、4枚重ねたもの
誘導電極:直径0.3mの円形平板(素材:ステンレス)
台:テフロン(登録商標)製ブロック
防護カバー:ガラス製円筒カバー(外径0.23m、内径0.215m、高さ0.1m)
可燃性溶剤:アセトン(引火点:-20℃)
なお、放電電極と絶縁部材との距離は、0.5mmであり、バンデグラフ起電機と放電電極を繋ぐ電線には、内径6mm外径8mmのテフロン(登録商標)チューブによる被覆を施している。
また、実験は、気温26℃、相対湿度49%の条件で、防護カバーのある場合と防護カバーがない場合のそれぞれについて2回ずつ行った。爆発実験では、アセトンを、シリンジによって放電電極から0.03m程度離れた絶縁部材上に、放電電極の周囲を囲むように複数箇所滴下した。滴下したアセトンの総量は0.5gである。
まず、沿面放電が発生するか否かについて、可燃性溶剤を絶縁部材上に滴下しない状態で確認した。すると、図4(A)に示すように、バンデグラフ起電機のスイッチを入れた直後から沿面放電が観察された。このとき、沿面放電は、放電電極から約0.08mの位置まで発生していた。
つぎに、防護カバーのある場合において、爆発実験を行った。
アセトンを滴下後、バンデグラフ起電機のスイッチを入れると、スイッチを入れた直後から沿面放電が発生した。そして、1回目の実験では、バンデグラフ起電機のスイッチを入れてから25秒に爆発が生じ、2日目の実験では、28秒後に爆発が発生した。
そして、爆発発生時には、防護カバーを通して内部に発生した火炎(薄い青色)を確認することができた(図5(A)、(B))。なお、図5(A)、(B)において、もやのようになっている部分が火炎であり、図5(B)は、火炎が確認しやすいように図5(A)の写真を加工したものである。
一方、防護カバーがない場合、アセトンを滴下後、バンデグラフ起電機のスイッチを入れると、スイッチを入れた直後から沿面放電は発生した。しかし、この場合には、2回目の実験いずれも、2分以上経過しても爆発は発生しなかった。
つまり、上記実験条件の場合、本発明のガス爆発体感装置(防護カバー有)の場合には、引火性および揮発性を有するガスの爆発実験を行うことができるが、防護カバーがない場合には、ガスの爆発を生じさせることができないことが確認できる。
本発明のガス爆発体感装置は、沿面放電が発生する可能性がある現場において作業を行う作業者に対し、沿面放電による火災や爆発災害の発生を防止するための教育に使用することができる。
本実施形態のガス爆発体感装置1の概略ブロック図である。 (A)は電極近傍の概略拡大説明図であり、(B)は電極近傍の概略平面図である。 ケース10を設けた本実施形態のガス爆発体感装置1の概略ブロック図である。 本実施形態のガス爆発体感装置1によって沿面放電を発生させた状況を示す図である。 (A)は本実施形態のガス爆発体感装置1においてガス爆発が発生した状況の写真であり、(B)は(A)の写真において火炎が確認しやすいように加工したものである。
符号の説明
1 ガス爆発体感装置
2 バンデグラフ起電機
3 放電電極
4 誘導電極
5 絶縁部材
7 防護カバー
L 物質

Claims (4)

  1. 沿面放電を発生させる装置であって、
    アースされた誘導電極と、該誘導電極と非接触状態に配設された放電電極とからなる一対の電極と、
    該一対の電極間に配設され、その表面に沿面放電を生じさせ得る絶縁部材と、
    前記放電電極に接続されたバンデグラフ起電機と、
    前記沿面放電が生じる領域を囲むように配設された、内部を視認しうる防護カバーとからなる
    ことを特徴とする沿面放電によるガス爆発体感装置。
  2. 請求項1記載の沿面放電によるガス爆発体感装置において、前記絶縁部材における前記防護カバーで囲まれた部分の表面に揮発性および引火性を有する物質を配置した状態で、前記バンデグラフ起電機を作動させる
    ことを特徴とする沿面放電によるガス爆発体感実験方法。
  3. 前記物質として、ガス爆発体感装置を設置している場所の温度より引火点が低い物質を使用する
    ことを特徴とする請求項2記載の沿面放電によるガス爆発体感実験方法。
  4. 前記防護カバー内において、前記物質を、前記放電電極と非接触の状態となるように該放電電極の周囲に配置する
    ことを特徴とする請求項2または3記載の沿面放電によるガス爆発体感実験方法。
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