JP2008225136A - 光学補償フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学欠点の少ない配向膜をもち、液晶表示特性の優れた光学補償フィルムを提供し、該光学補償フィルムを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透明支持体11の少なくとも片面に、表面がラビング処理されてなる配向膜12と、2軸性の複屈折を有する光学異方層13とを備える光学補償フィルム10において、配向膜12は、アクリレートモノマーを主成分とするUV硬化型樹脂組成物が塗布、乾燥後に硬化されたものであり、該配向膜12の鉛筆硬度がH〜4Hであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、屈折率異方性を有する光学異方層を備える光学補償フィルム及び該光学補償フィルムを用いた液晶表示装置に関するものである。
光学補償シートは、液晶ディスプレイの種々の光学特性を改善するための非常に有用な部材として、様々な液晶表示装置で用いられている。この光学補償シートは、透明支持体上に液晶性化合物からなる光学異方性層を積層することにより得ることが出来る。また、光学異方性層は重合性基を有する液晶性化合物を用いて、重合反応によって一定の配向状態に固定化することにより形成される。
液晶性化合物を一定の配向状態にさせる工業的に代表的な方法してはラビング法が知られている。透明支持体表面に配向膜を設け、その表面をレーヨン、コットン等の布で一定方向にラビングし、そのラビング方向に液晶性化合物を配向させる方法である。配向膜に用いられる材料としては、例えばポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド等のポリマーが挙げられる。中でも化学的、熱的耐久性の観点から、ポリイミドが最も多く用いられている。
配向膜をラビングする配向処理方法は、生産性に優れた方法であるが、近年、液晶表示装置の大型化や高性能化に伴い、様々な問題が指摘されるようになった。例えば、ラビングによる配向膜が削りカスやキズ、配向膜上の凹凸欠点が表示欠陥の原因になることが挙げられる。さらに、光学補償シートはプラスチックフィルムを支持体とし、その支持体上に配向膜を形成するため、成膜時に高温を必要とするポリマーの使用は避けなければならない。そのため、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸やポリイミドよりも焼成温度が低いポリビニルアルコールを基板上に塗布し低温で焼成する試みがなされている。しかし低温焼成により反応が十分進行せず、配向膜硬度不足に起因する表示欠陥発生の問題がさらに深刻になっている。
特許文献1には、トリアセチルセルロース又は/及びケン化トリアセチルセルロース表面を直接ラビング処理し、液晶性高分子を配向固定させる方法をとっており、この方法により配向膜の耐久性の低さに起因する光学素子の不良をなくすことができる。しかし、トリアセチルセルロース及びケン化トリアセチルセルロースは耐溶剤性が低く、液晶性化合物のコーティング液に使用する溶剤に溶解し、配向ムラができるなど液晶配向性が悪くなるという問題を生じやすい。特許文献2では、配向可溶性ポリイミドやアルキル変性ポバール等からなる配向膜が、また特許文献3では、配向膜用組成物に使用されるポリマーの例として、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、ビニルアルコール・ビニルアミン共重合体、或いは、ゼラチン等の水及び/又は低級アルコール系溶剤に可溶なポリマーが挙げられているが、これらのポリマーを用いた配向膜の耐久性や表示欠陥発生防止の効果は言及されていない。
特開平11−23843号公報 特開2004−206102号公報 特開2001−59909号公報
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、光学欠点の少ない配向膜をもち、液晶表示特性の優れた光学補償フィルムを提供し、該光学補償フィルムを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、透明支持体の少なくとも片面に、表面がラビング処理されてなる配向膜と、2軸性の複屈折を有する光学異方層とを備える光学補償フィルムにおいて、前記配向膜は、アクリレートモノマーを主成分とするUV硬化型樹脂組成物が塗布、乾燥後に硬化されたものであり、該配向膜の鉛筆硬度がH〜4Hであることを特徴とする光学補償フィルムである。
ここで、前記光学異方層は、前記配向膜上に塗布されたキラルな重合可能な液晶材料が偏光UV光の照射により光重合されてなるものであることが好ましい。
また、前記偏光UV光の初期暴露時照射強度が200mW/cm以上であることが好適である。
また、前記液晶材料の塗布が、ロールツーロールによる塗布乾燥方式であることが好ましい。
前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載の光学補償フィルムを備えることを特徴とする液晶表示装置である。
本発明の光学補償フィルムによれば、光学欠点の少ないものとすることができる。また、生産性よく高視野角特性が得られる。
さらに、本発明の光学補償シートを搭載した液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に係る光学補償フィルムについて説明する。
図1は、本発明に係る光学補償フィルムの構成を示す断面図である。
光学補償フィルム10は、透明支持体11の少なくとも片面に、表面がラビング処理されてなる配向膜12と、2軸性の複屈折を有する光学異方層13とが積層され、配向膜12は、アクリレートモノマーを主成分とするUV硬化型樹脂組成物が塗布、乾燥後に硬化されたものであり、配向膜12の鉛筆硬度がH〜4Hであることを特徴とするものである。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600に規定されるもので、規格鉛筆で配向膜を荷重1kgfで引っ掻き、疵跡が生じない最も硬い鉛筆の硬度をいう。
(透明支持体11)
透明支持体11は、可撓性のある高分子フィルムであり、液晶による光学補償効果を妨げないために、光学異方性が少なく、かつ透明性に優れているものが好ましい。また、光学補償フィルムの製造環境温度に耐えうる必要があり、そのガラス転移温度は100℃以上であることが好ましい。例として、トリアセチルセルロースなどのセルロース誘導体からなるフィルムや、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン誘導体からなるフィルムが挙げられる。
透明支持体11は各層の形成に先立ち、積層する各層との密着力を高めるために脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理UVオゾン処理、エキシマUV処理等の表面処理が施されていてもよい。また、透明支持体11の製法は特に限定されるものではなく、製造方法としては、例えば溶融押出し法、キャスティング法などが挙げられる。
(配向膜12)
配向膜12は、透明支持体11上に配向膜溶液としてアクリレートモノマーを主成分とする紫外線(UV)硬化型樹脂組成物が塗布、乾燥後に硬化され、この硬化膜表面がラビング処理されたものである。
紫外線(UV)硬化型樹脂組成物とは、適当な溶剤により溶液にした光重合開始剤を含む樹脂を、膜厚が出来るだけ均一になるように塗布し、加熱乾燥により溶剤を除去後、光重合開始剤が活性化する様な紫外線の照射により硬化するものである。このとき、乾燥温度や紫外線の照射条件は塗布された液晶の配向状態を乱さない範囲で定められる。また、UV硬化型樹脂組成物の塗膜の厚みは、1〜10μmが好ましい。厚みが1μm未満になると表面硬度が低下する傾向があり好ましくない。厚みが10μmを超えると塗膜外観や透明性が悪くなる傾向があり好ましくない。そして本発明においては、UV硬化型樹脂組成物の樹脂溶液として、紫外線硬化型樹脂に、ラジカル反応性を有する二重結合とエポキシ基、水酸基、イソシアネート基およびアルコキシシラン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基とを有するモノマーを配合した組成物を用いる。
また、UV硬化型樹脂組成物で用いるアクリレートモノマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌール酸EO変性アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ノルボルネンアクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーを主成分とすることが好ましく、特に架橋度が高いイソシアヌール酸EO変性アクリレートを主成分とすることが好ましい。これらのアクリレートモノマーは、単独で用いても複数種を混合して用いても良い。また、本発明の配向膜用紫外線硬化型樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系のレベリング剤、シリコン系、チタネート系、メルカプト系のシランカップリング剤等を添加しても良い。
光重合開始剤は、使用する溶剤に溶解するものであればよく、例えば2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いても複数種を混合して用いても良い。光重合開始剤の添加量はアクリレートモノマーに対し、0.1〜5%が好ましく、1〜3%がより好ましい。上限値以上添加した場合は、配向膜の透明性低下を、また下限値以下の添加量ではアクリレートモノマーの硬化不足を招くため好ましくない。
UV硬化型樹脂組成物で用いる溶剤は、樹脂成分を溶解することが出来れば特には限定しない。単独でも混合して使用しても良い。
前記UV硬化型樹脂組成物を用いた配向膜の形成方法としては、キスコート法、バーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法等を用いて、UV硬化性樹脂を溶剤に溶解し塗布成膜した後にUV硬化する湿式塗布方法や、UV硬化性樹脂組成物の表面に研磨されたガラス等の固体基板を接触させながら硬化成膜する転写法等を挙げることができる。生産性等を考慮すると湿式塗布法が好ましいが、本発明の光学補償フィルムを得る方法としては成膜方法に何ら制限はない。
UV硬化型樹脂組成物を硬化させるための紫外線照射に関しては、必要な波長の光を選択的に照射してもよい。例えば、照射部に選択透過フィルターをもうけるか、フィルムの塗膜が形成される側とは反対面から照射する方法などが挙げられる。また大気中の酸素によってUV硬化型樹脂組成物の硬化反応が阻害される場合には、窒素など不活性ガス雰囲気化で照射を行っても良い。紫外線照射量は、365nmまたは254nmの波長か、ある波長を選択的に照射する場合は、紫外線領域で最大照射量となる波長域での照射量を、紫外線照度計によって測定するとよい。
前記方法で得られる配向膜の表面硬度は、JIS K5600に準ずる鉛筆硬度測定(荷重1kgf)において、H〜4Hの範囲内にあることが好ましい。鉛筆硬度がH未満の場合、耐擦傷性が不足するためラビング処理、或いは搬送工程でキズが発生しやすくなる。また、鉛筆硬度が4Hを超える場合、膜が脆くなり過ぎてクラック発生率が高くなる、或いはラビングが困難になる等の不具合が発生するため好ましくない。配向膜の硬度設定は、UV硬化型樹脂組成物の樹脂成分選択とその官能基濃度、また配向膜の膜厚によって決定される。
ラビング処理方法としては、公知のラビング処理方法を採用することができ、例えばレーヨン、綿、ポリアミド等の素材からなるラビング布を金属ロール等に巻き付け、前記硬化膜に接した状態で前記ロールを回転、移動させる方法、前記ロールを固定したまま硬化膜側を移動させる方法等を挙げることができる。
(光学異方層13)
光学異方層13は、特表2005−513241号公報に開示されているキラルな重合可能な液晶材料を用いて形成する2軸性フィルムである。
すなわち好ましいのは、光学的に二軸ネガティブC対称を有しnx ≠ny ≠nZ およびnx、ny >nz である二軸リタデーションフィルムであって、ここでnx およびny はフィルム面内で直交する2方向の主屈折率であり、nz はフィルム面に垂直方向の主屈折率である。また、波長が380nm以上の光に対して、好ましくは380〜780nmの可視光に対して実質的に透明な、二軸リタデーションフィルムである。二軸性フィルムの厚さは好ましくは0.5〜5μmであり、特に好ましくは1〜3μmである。
螺旋ピッチは、可視光波長より短い360nm未満の反射波長を達成するために、好ましくは225nm未満を選択する。なお、光学異方層13は、架橋コレステリックポリマーを含むのが好ましい。
二軸性フィルムである光学異方層13は、例えば、短いピッチ(高い捻れ)のコレステリック液晶(CLC)ポリマーフィルム中に螺旋変形を含むことにより、製造することができる。これは、例えば、基板上に塗布してプレナー配向に配列させた、重合可能なコレステリック液晶材料を光重合することによって達成でき、ここで、重合可能な材料は二色性(dichroic)または液晶の光重合開始剤を含み、光重合は、直線偏光、例えば直線偏光UV光の照射によって開始される。その結果、CLC螺旋が光重合の間に歪められる。この方法は、長いピッチのCLCポリマーフィルムの製造用としてD. J. Broer et al., Adv. Mater. 1999, 11(7), 573-77に記載されている。
光学異方層13は、混合物の反射波長が重合に通常用いられる光の波長(典型的には約365nm)より低くなること、および螺旋歪みが可能となることを意図して開発された、重合可能なキラル液晶材料から製造することができる。これは例えば、高い捻れを有するキラル成分、および/またはブラッグ反射帯をUV範囲に押しやるための多量のキラル成分を加えること、そして例えば、螺旋歪みを可能とする二色性の光重合開始剤を加えることにより達成される。
重合可能な材料は、好ましくはコレステリック液晶(CLC)材料である。好ましくは、1種または2種以上のアキラルな重合可能なメソゲン性化合物と、少なくとも1種のキラル化合物を含む。該キラル化合物は、重合可能でないキラル化合物、例えば液晶混合物またはデバイスにおいて用いられるキラルドーパント、重合可能なキラル非メソゲン性化合物、または重合可能なキラルメソゲン性化合物から選択することができる。特に好ましいのは、高い螺旋捻れ力(helical twisting power)を有するキラルドーパントであり、なぜならばこれらは、低量で用いられる場合も短ピッチCLC混合物を提供するからである。
特に好ましいのは、キラルな重合可能なLC混合物であって、
a)少なくとも1個の重合可能な基を含む、少なくとも1種の重合可能なメソゲン性化合物、
b)重合可能および/またはメソゲン性で、a)の成分の一つの化合物または付加的化合物であってもよい、少なくとも1種のキラル化合物、
c)少なくとも1種の二色性光重合開始剤、
d)随意的に、1個または2個以上の重合可能な基を有する、1種または2種以上の非メソゲン性化合物、
e)随意的に、1種または2種以上の非二色性の光重合開始剤、
f)随意的に、光重合を開始するために用いられる波長において最大吸収を示す、1種または2種以上の染料、
g)随意的に、1種または2種以上の連鎖移動剤、および
h)随意的に、1種または2種以上の界面活性(surface active)化合物、
を含む、前記混合物である。
なお、アキラルおよびキラルな化合物は、反応基の数が異なるのが好ましい。
本発明の好ましい態様においては、重合可能なメソゲン性材料は、少なくとも1種の二または多反応性キラルな重合可能なメソゲン性化合物および、少なくとも1種の一、二または多反応性アキラルな重合可能なメソゲン性化合物を含む。
本発明の他の好ましい態様においては、重合可能な材料は、少なくとも1種の一反応性キラルな重合可能なメソゲン性化合物および、少なくとも1種の一、二または多反応性アキラルな重合可能なメソゲン性化合物を含む。
他の好ましい態様においては、重合可能な材料は、少なくとも1種の非反応性キラル化合物および、少なくとも1種の一、二または多反応性重合可能なメソゲン性化合物を含む。
二または多反応性化合物が重合可能な材料の中に存在する場合、3次元ポリマーネットワークが形成される。かかるネットワークにより作成される光学リタデーションフィルムは、自立的であり、高い機械的安定性および熱的安定性を示し、その物理特性および光学特性は温度への依存性が低い。
二または多反応性化合物の濃度を変化させることにより、ポリマーフィルムの架橋密度を調節し、これによって物理および化学特性、例えば光学リタデーションフィルムの光学特性の温度依存性に重要なガラス遷移温度、熱的および機械的安定性、または溶媒抵抗性などを、容易に調節することができる。
好ましい重合可能なLC混合物は、
−10〜80%の、1種または2種以上の二反応性アキラルなメソゲン性化合物、
−5〜80%の、1種または2種以上の一反応性アキラルなメソゲン性化合物、
−5〜80%の、1種または2種以上の一または二反応性キラルなメソゲン性化合物、および/または、1〜20%の、1種または2種以上の、メソゲン性であってもよい非反応性キラル化合物、
−0〜10%の、1種または2種以上の連鎖移動剤、
−0〜3%の、1種または2種以上の、非反応性、一反応性、二または多反応性界面活性剤、
−0.1〜8%の、1種または2種以上の二色性光重合開始剤、好ましくは0.5〜5%の二色性、特に好ましくは液晶光重合開始剤、
−0〜6%、好ましくは0.1〜5%の、1種または2種以上の非二色性光重合開始剤、
を含む。
本発明に用いる、アキラルおよびキラルな重合可能なメソゲン性一、二または多反応性化合物は、それ自体知られた方法により、また例えば、有機化学の標準的な業績に記された、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Thieme-Verlag, Stuttgartに記載の方法により、製造することができる。典型的な例は、例えばWO 93/22397;EP 0261 712;DE 19504224;DE 4408171およびDE 4405316に記載されている。
特に有用な一反応性キラルおよびアキラルな重合可能なメソゲン性化合物の例を以下に示す。
Figure 2008225136
Figure 2008225136
Figure 2008225136
有用な二反応性キラルおよびアキラルな重合可能なメソゲン性化合物の例を以下に示す。
Figure 2008225136
上の式において、Pは重合可能な基、好ましくはアクリル、メタクリル、ビニル、ビニルオキシ、プロペニルエーテル、エポキシまたはスチトリル(stytryl)基であり、xおよびyは、互いに独立して1〜12であり、Aは、L1 または1,4−シクロヘキシレンによって随意的に1、2または3置換された1,4−フェニレンであり、vは、0または1であり、Z0 は、−COO−、−OCO−、−CH2 CH2 −または単結合であり、Yは、極性基であり、Terは、テルペノイドラジカル例えばメンチルであり、Cholは、コレステリル基であり、R0 は、非極性アルキルまたはアルコキシ基であり、そして、L1 およびL2 は互いに独立して、H、F、Cl、CN、または随意的にハロゲン化された、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルもしくはアルコキシカルボニルオキシ基である。
この関連における用語「極性基」は、F、Cl、CN、NO2 、OH、OCH3 、OCN、SCN、および随意的にフッ素化された4個までのC原子を有するカルボニルまたはカルボキシル基、モノ−、オリゴ−、またはポリフッ素化された1〜4個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基から選択される基を意味する。用語「非極性基」は、1個もしくは2個以上、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキル基、または2個もしくは3個以上、好ましくは2〜12個のC原子を有するアルコキシ基を意味する。
重合可能な材料はまた、1個または2個以上の、メソゲン性または液晶であってもよい、重合可能でないキラルドーパントを含んでもよい。特に好ましいのは、メソゲン性基を付加されたキラルなソルビトール基を含む化合物、特に、WO 98/00428に開示された高い捻れ力を有する化合物である。さらに好適なキラル化合物は、例えば、市場で入手可能なS1011、R811またはCB15(Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ)である。
特に好ましいのは、以下の式から選択されるキラル化合物であって、ここに示されていない(R,S)、(S,R)、(R,R)および(S,S)の鏡像異性体を含み、ここでEおよびFは、互いに独立して、上記のAの意味を有し、vは、0または1であり、Z0 は、−COO−、−OCO−、−CH2 CH2 −または単結合であり、Rは、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、カルボニルまたはカルボニルオキシ基である。
Figure 2008225136
式IIIの化合物は、WO 98/00428に開示されており、式IVの化合物は、GB 2,328,207に開示されており、これら開示の全体は、参照のため本明細書に組み込まれる。
さらに好ましいキラルドーパントは、EP 01111954.2に開示されているキラルなビナフチル誘導体、EP 00122844.4およびEP 00123385.7に記載されたキラルなビナフトールアセタール誘導体、EP 00115249.5に開示されたキラルなTADDOL誘導体、およびEP 00115250.3およびEP 00115251.1に開示された、少なくとも1個のフッ素化架橋基および、先端または中央キラル基を有するキラルドーパントである。
コレステリックフィルムの製造のためには、重合可能なLC材料が好ましくは基板上に塗布され、ホモジニアスな配向に配列され、コレステリック構造を永久に固定するために重合される。
重合可能な材料は、溶媒、好ましくは有機溶媒に溶解することもできる。溶媒としては、液晶材料、カイラル剤が溶解し、かつ配向膜12の配向性を阻害しなければ特に限定されるものではない。具体的にはトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤等が挙げられる。重合可能な材料が溶媒に溶解された溶液は次に配向膜12上に、例えばMXグラビア塗布方式やダイコーティング塗布方式、あるいはスピンコーティングまたは他の知られた技術によって塗布し、溶媒は重合前に蒸発させて取り除く。多くの場合、溶媒の蒸発を促進するために混合物を熱することが好適である。
LC材料の重合は、好ましくは化学線を照射することによって実施される。化学線照射とは、光、例えばUV光、IR光もしくは可視光などによる照射、X線もしくはガンマ線による照射、または高エネルギー粒子、例えばイオンもしくは電子などによる照射を意味する。好ましくは重合は、光照射、特にUV光、特に好ましくは直線偏光UV光の照射により実施される。化学線の源としては、例えば単一のUVランプ、または複数UVランプのセットを用いることができる。高出力のランプを用いる場合は、硬化時間を短縮できる。光照射の他の可能な源は、レーザー、例えばUVレーザー、IRレーザー、または可視光レーザーである。
重合は、化学線の波長において吸収する開始剤の存在下で行う。例えば、UV光による重合の場合は、UV照射の元で分解して重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成する光重合開始剤を用いることができる。UV光重合開始剤が好ましく、特に、ラジカル(radicalic)UV光重合開始剤が好ましい。
コレステリックフィルムにおいて螺旋歪みを達成するには、重合可能なCLC混合物は、二色性光重合開始剤、例えば液晶光重合開始剤を含むのが好ましい。LC光重合開始剤としては、例えば以下の化合物を用いることができる。
Figure 2008225136
二色性光重合開始剤に加えて、重合可能な混合物はまた1種または2種以上の従来の光重合開始剤を含んでもよい。ラジカル重合のための標準の光重合開始剤としては、例えば、市場で入手可能な登録商標イルガキュア(Irgacure)651、登録商標イルガキュア184、登録商標ダロキュア(Darocure)1173または登録商標ダロキュア4205(全てCiba Geigy AGより)を用いることができ、陽イオン性光重合の場合には、市場で入手可能な登録商標UVI6974(ユニオンカーバイド)を用いることができる。
硬化時間は、特に、重合可能な材料の反応性、被覆層の厚さ、重合開始剤のタイプ、およびUVランプの出力に依存する。本発明による硬化時間は、10分以下が好ましく、5分以下が特に好ましく、2分未満がより特に好ましい。大量生産には3分以下の短い硬化時間が、特に好ましくは1分以下、より特に好ましくは30秒以下が好ましい。
重合可能なLC材料は、付加的に、1種または2種以上の他の好適な成分、例えば、触媒、増感剤、安定剤、連鎖移動剤、阻害剤、共反応性モノマー、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水性剤(hydrophobing agent)、接着剤、流れ改良剤(flow improver)、消泡剤、脱気剤、希釈剤、反応希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料などを含んでよい。
混合物はまた、重合に用いる照射波長に最大吸収を調節した、1種または2種以上の染料、特にUV染料例えば4,4’アゾキシアニソール、または市場で入手可能なTinuvin(Ciba AG、ベーゼル、スイス)を含んでよい。
他の好ましい態様においては、重合可能な材料の混合物は、1個の重合可能な官能基を有する一反応性非メソゲン性化合物を70%まで、好ましくは1〜50%まで含む。代表的な例は、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートである。
ポリマーの架橋を増やすため、重合可能なLC材料に対して、2個または3個以上の重合可能な官能基を有する非メソゲン性化合物を20%まで、二または多反応性重合可能なメソゲン性化合物の代替としてまたはそれに付加して、加えることもできる。二反応性非メソゲン性モノマーの代表的な例は、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルジアクリレートまたはアルキルジメタクリレートである。多反応性非メソゲン性モノマーの代表的な例は、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリトリトールテトラアクリレートである。
光学異方層13のポリマーフィルムとしての物理的特性を改良するため、重合可能な材料に1種または2種以上の連鎖移動剤を加えることも可能である。特に好ましいのは、チオール化合物、例えばドデカンチオールなどの単官能基性チオール化合物、または例えばトリメチルプロパン・トリ(3−メルカプトプロピオナート)などの多官能基性チオール化合物であり、特に好ましいのはメソゲン性または液晶のチオール化合物である。連鎖移動剤を加えると、位相差層15のポリマーフィルムとしてのフリーポリマー鎖の長さ、および/または2個の架橋の間のポリマー鎖の長さが制御可能である。連鎖移動剤の量を増やすと、得られるポリマーフィルムのポリマー鎖の長さは減少する。
光学異方層13を形成するには、キラルな重合可能な材料のプレナー配向を達成すること、すなわち、螺旋軸をフィルム面に実質的に直角とすることが必要である。そのために、透明支持体11の上に配向膜12が設けられている。傾斜角の小さいプレナー配向は、重合可能なメソゲン性材料に1種または2種以上の界面活性剤を加えることによっても達成できる。好適な界面活性剤は、例えばJ. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, Supplement 1, 1-77 (1981)に記載されている。特に好ましいのは非イオン性の界面活性剤であり、例えば非イオン性フルオロカーボン界面活性剤、例えば市場で入手可能な、登録商標フルオラッド(Fluorad)(3Mより)、または登録商標ZonylFSN(DuPontより)などである。
ところで、光学異方層13における螺旋歪みは、ネガティブC型構造においてさらなる面内異方性(Δnx−y )を直線偏向UVにて生成させ、二軸ネガティブC型対称を有し、nx ≠ny ≠nz であってnx およびny がnz より大である、屈折率楕円体によりもたらされるものであるが、この面内異方性の程度には直線偏向UVの照射強度が影響する。一方で光学異方層13とするにはコレステリック構造を永久に固定するために重合可能な液晶材料が必要であり、その重合はたとえばUV光によってもたらされる。
また、光学異方層13の形成の際には(直線偏向)UV光の照射により、面内異方性とフィルムの硬化重合がほぼ同時行われるのが特徴であり、好適な光学二軸性位相差フィルムとするためには、直線偏向UV光が重要となる。また、このような光学二軸性フィルムを低コストで生産する手段の一つとして、基材としてロールフィルムを用い、連続的に二軸性材料(LC材料)を塗布処理するロールツーロール方式が優れている。通常、連続塗布方式によるロールツーロールプロセスにおいて、光重合性材料の硬化のみを目的とした場合、一般的には重合硬化のための積算光量が重要となり、UV照射強度の暴露履歴に関しては特別に気にする必要がなかった。
図2に、通常のロールツーロールプロセスにおけるUV照射機の経時におけるUV光の照射強度暴露履歴の模式図を示す。この場合、被照射体(重合性液晶ポリマー)は弱い照射強度から暴露され始めることになる。このようなUV照射強度の暴露履歴は被照射体が硬化重合のみの場合はさして問題はないが、本発明で使用する液晶材料(重合性液晶ポリマー)においては、先にも述べたように、面内異方性の生成に直線偏向UVの照射強度が重要であるため、初期暴露の照射強度により光学異方層13の光学特性が左右されることとなる。なお、暴露初期の高い照射強度が重要な場合において、パルス方式でのUV照射方法も挙げられるが、この場合、連続的な二軸性フィルムの製造は困難となり、コスト面などで不利となる。
また、光学異方層13は、面内の屈折率異方性を偏向UV光によって生成させるが、同時にUV光により架橋される重合性の前記液晶材料のため、面内の屈折率異方性が発現するのとほぼ同時に重合が開始されることとなる。発明者らが実験のなかで得られた結果では、前述したキラルな重合可能な液晶材料を用いた場合、高い異方性を出す場合において、積算光量には依存せず、照射強度に依存することがわかった。
また、このような特性を持つUV重合性の液晶材料を使用するに当たって、生産性が高いロールツーロールプロセスで偏向UVが照射される場合、十分な光学特性(BI)が得られないことが判明した。この結果に関して、ロールツーロールプロセスの場合、UV光に暴露される初期は弱い(低い)照射強度で暴露され始め、徐々に高い照射強度が暴露される形となるが、この場合、屈折率の異方性が得られるに十分な照射強度で暴露されていないにもかかわらず、架橋による硬化が進み、やがて高いUV照射強度が暴露されたころには、架橋硬化により異方性を出すための分子運動(移動)ができず、必要とする異方性が得られず、結果として十分な光学特性が得られないものが生成されてしまうものと推測している。
発明者らは、この知見に基づいて鋭意検討を行った結果、本発明を成したものであり、本発明の光学補償フィルムとして所望の光学特性をもつ光学異方層13を得るために偏光UV光の初期暴露時照射強度を200mW/cm以上とする。
また、連続塗布型のロールツーロールプロセスに直線偏向UV照射強度を200mW/cm以上とするUV装置を適用すると、高い生産性で連続的なフィルムを製造することが可能となるとともに、コスト面で有意な、特性の優れた光学異方層13を形成することが可能となる。
本発明の光学補償シートは、様々な光学分野で利用することができ、例えば液晶表示装置の視野角補償シートや位相差シートとして使用することができる。さらにこれらの光学補償シートを該液晶表示装置に用いられる偏光板と組み合わせて偏光シートとしてもよい。
図3に、本発明の光学補償シート10を用いた偏光シートの構成例を示す。
偏光シートは通常偏光素子シートの両面に保護膜が設けられてなるものであるが、本発明の偏光シート20は、偏光素子シート21の一方の面に保護膜の機能を兼用させる形で前記光学補償シート10が形成され、他方の面に保護膜22が形成された構成となっている。
ここで、偏光素子シート21は、液晶用偏光板を構成する偏光素子として一般的に使用されているものでよく、例えば延伸、染色したポリビニールアルコール(PVA)からなるものである。また、保護膜22も、液晶用偏光板を構成する保護膜として一般的に使用されているものでよく、例えばTACからなるものである。
図4に、本発明の光学補償シート10を用いた偏光シートの別の構成例を示す。
本発明の偏光シート30は、従来公知の偏光素子シート31と、該偏光素子シート31の両面に保護膜が設けられてなる偏光板と、前記光学補償シート10とが粘着層あるいは接着層33を介して貼りあわされてなる構成となっている。
このような本発明の偏光シート20,30を公知の液晶パネルの少なくとも片面に設けることにより、例えば視野角が改善された、あるいは高いコントラストの液晶表示装置を構成することができる。
図5に、本発明の液晶表示装置の構成例を示す。
液晶表示装置100は、公知の液晶パネル101の一方の面に本発明の偏光シート20が、光学補償シート10が該液晶パネル101と接するように設けられ、液晶パネル101の他方の面に公知の偏光板102が設けられた構造を有する。
図6に、本発明の液晶表示装置の別の構成例を示す。
液晶表示装置200は、公知の液晶パネル201の一方の面に本発明の偏光シート30が、光学補償シート10が該液晶パネル201と接するように設けられ、液晶パネル201の他方の面に公知の偏光板202が設けられた構造を有する。
これらの液晶表示装置100,200において、偏光板102,202の外側に公知のバックライトを設ける。また、偏光シート20、30の外側に公知のハードコート層を設けてもよい。
以下実施例を上げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらの実施例に何ら限定されることはない。
(実施例1)
透明支持体11として厚さ80μmの透明トリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム製)を用い、巻出装置、コーター部、加熱乾燥ゾーン、高圧水銀灯、巻取装置を有する製造装置を用いて次の処理を行った。
まず、UV硬化性樹脂組成物として、イソシアヌ−ル酸EO変性ジアクリレート48%、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン2%、トルエン50%を50℃にて攪拌、均一な溶液にしたものをコーター部のグラビアロールコーターで乾燥前膜厚5μmとなるように透明支持体11上に塗布し、加熱乾燥ゾーン中で溶媒を除去後、紫外線を照射により硬化させて硬化膜とした。
この硬化膜表面の外観は良好であり、この硬化膜の表面硬度をJIS K5600に準ずる方法(荷重1kgf)で測定したところ鉛筆硬度Hであった。次いで、表面をラビング処理し配向膜12を得た。
続いて、以下の組成の混合物である液晶材料が50重量%となるようにトルエン70%、シクロヘキサノン30%の混合溶剤で溶解した。
<液晶材料>
・一反応性キラル化合物: 63.0wt%
・二反応性アキラル化合物: 20.0wt%
・一反応性アキラル化合物: 7.8wt%
・非反応性キラル化合物: 5.0wt%
・連鎖移動剤: 2.0wt%
・二色性光重合開始剤: 2.0wt%
・フッ素系界面活性剤FC171(登録商標、界面活性剤):0.2wt%
なお、FC171(登録商標)は、3M(St. Paul, ミネソタ、米国)から市場で入手可能な、重合可能でないフルオロカーボン界面活性剤である。
ついで、この液晶材料の溶液を、前記製造装置を用いて配向膜12上へ乾燥前膜厚10μmとなるように塗布し、加熱乾燥ゾーン中で溶媒を除去した後、直線偏光紫外線照射により硬化させ光学異方層13を形成し、光学補償フィルム10を得た。
得られた光学補償フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ均一で明瞭な明暗が認められ、ラビング方向へ良好に配向していることが確認された。
(比較例1)
実施例1において、UV硬化性樹脂組成物をイソボルニルアクリレート100重量部、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン 2重量部、トルエン200重量部を50℃にて攪拌、均一な溶液にしたものに変更し、それ以外の条件を実施例1と同じ条件で光学補償フィルムを製造した。
得られたサンプルを実施例1と同様に評価したところ、透明支持体11上にUV硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥し硬化させた硬化膜の表面外観は、若干の凹み欠点が見られた。また、この配向膜の表面硬度をJIS K5600に準ずる方法(荷重1kgf)で測定したところ鉛筆硬度HBであった。さらに、得られた光学補償フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、ラビング方向に顕著なスジ状の傷が認められた。また光学異方層の配向性も乱れているところが観察された。
(実施例2)
本実施例では、光学異方層13の形成条件を変化させて、光学補償フィルムの特性を調査した。以下、その詳細を説明する。
<実施例2−1>
(1)光学補償フィルムサンプル
実施例1における透明支持体11上に配向膜12を形成したもの(フィルム)を用いて、以下の条件で光学異方層13を形成して光学補償フィルム10のサンプルを得た。
まず、以下の組成の混合物である液晶材料が50重量%となるようにトルエンで溶解した。
<液晶材料>
・化合物(1);一反応性キラル化合物: 52.2wt%
・化合物(2);二反応性アキラル化合物: 20.0wt%
・化合物(3);一反応性アキラル化合物: 7.8wt%
・化合物(4);非反応性キラル化合物: 15.0wt%
・化合物(5);連鎖移動剤: 2.0wt%
・化合物(6);二色性光重合開始剤: 2.0wt%
・化合物(7);フッ素系界面活性剤FC171(登録商標、界面活性剤):1wt%
ついで、この液晶材料の溶液を、マイクログラビア方式およびバックアップロール式ダイコーティング方式により前記フィルム上にロールツーロール方式により塗布し、配向膜12上へ乾燥前膜厚10μmとなるように塗布した。また、溶媒は、乾燥ドライヤーにより適切な温度で蒸発させた。この時、フィルムを速度5m/minで走行させており、ドライヤーでの乾燥時間はおおよそ10秒とした。乾燥後、得られた被膜に、常温25℃で0.8mWcm−2の直線偏光UV光(365nm)を窒素雰囲気下で照射して、光学異方層13を形成し、光学補償フィルム10のサンプルを得た。
得られた光学補償フィルムサンプルについて以下の測定を行った。
(a)厚み誤差
光学補償フィルム10のサンプルの厚みを光学式膜厚測定計にて、5mm間隔で縦方向、横方向にすべての面積で測定を行い、その最大値最小値の差異を、全厚み測定値の平均で割ったものを、そのサンプルの厚み誤差とし、パーセント表示で表した。
(b)光軸ズレ
サンプルの光軸は、大塚電子社製レターデーション測定器にて厚み測定と同様に5mm間隔で縦方向、横方向にすべての面積で測定を行い、その最大値最小値の差異を光軸のばらつきとした。また全光軸の測定値の平均値のエッジラインに対するズレを基準線に対するズレとした。
(c)ピッチ長
光学異方層13のコレステリック螺旋構造のピッチ長を、SEMにて断面の映像の測定を行い算出した。
(d)光学特性BI
大塚電子製のレターデーション測定装置を用いて、5mm間隔で縦方向、横方向すべての面積で、以下の式で定義される面内のレターデーションRoおよび膜厚方向のレターデーションRthの測定を行い、それぞれのRo/Rthの値を求め、その値の平均値を光学特性BIとした。
Rth=|{(nx−ny)/2−nz}×(光学異方層膜厚)| ・・・ (1)
(ここで、nx,nyは前記光学補償フィルムの透過軸に対して平行方向であり光学異方層13の面内で直交する方向の屈折率、nzは前記光学補償フィルムの透過軸に対して垂直方向となる光学異方層13の厚さ方向の屈折率である。)
Ro =|(nx−ny)×(光学異方層膜厚)| ・・・ (2)
(ここで、nx,nyは前記光学補償フィルムの透過軸に対して平行方向であり光学異方層13の面内で直交する方向の屈折率である。)
測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.2%
・光軸基準値に対するズレ : 0.3度
・光軸ばらつき : 0.6度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.30
(2)液晶表示装置の作製
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、市販のセルローストリアセテートフイルムに貼り付けた。次に、前記光学補償フィルムサンプルを、遅相軸が偏光膜の吸収軸と平行になるようにセルローストリアセテートフイルムの片側に貼り付け、光学補償一体型の偏光板サンプルを得た。
ついで、VA型液晶セルを使用した液晶表示装置(ソニー(株)社製)において、該液晶表示装置に本来設けられている一対の偏光板の代わりに前記偏光板サンプルを粘着剤を介して接着して液晶表示装置を作製した。なお、偏光板サンプルは、液晶セルのバックライト側で偏光膜が外側となるように接着した。
得られた液晶表示装置の液晶表示特性(LCD表示特性)として、該液晶表示装置の正面コントラスト、視野角コントラストについて調べた。
正面コントラストの測定法としては、前記液晶表示装置に、白画像および黒画像を表示させ、商品名Ez contrast 160D(ELDIM社製)により、表示画面の正面における、XYZ表示系のY値、x値、y値をそれぞれ測定した。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、正面(視野角0°)コントラスト(YW/YB)を算出した。実用性を考慮した場合、1000(YW/YB)以上であること最低限必要であり、さらに1200以上であることが望ましい。ここでは、正面コントラストの評価として1000未満であるものを記号×、1000以上、1200未満であるものを記号○、1200以上あるものを記号◎とした。
視野角コントラストについては、一般的には10以上が必要とされている。ここでは、視野角コントラストの評価として10未満であるものを記号×、10以上、20未満であるものを記号○、20以上あるものを記号◎とした。
<実施例2−2>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を20wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を47.2wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.1%
・光軸基準値に対するズレ : 0.2度
・光軸ばらつき : 0.3度
・ピッチ長 : 80nm
・BI : 0.25
<実施例2−3>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を10wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を57.2wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.2%
・光軸基準値に対するズレ : 0.5度
・光軸ばらつき : 1.0度
・ピッチ長 : 120nm
・BI : 0.35
<実施例2−4>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を2wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を51.2wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.7%
・光軸基準値に対するズレ : 0.3度
・光軸ばらつき : 0.4度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.30
<実施例2−5>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.5wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を52.7wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.8%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 0.9度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.30
<実施例2−6>
実施例2−1において、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を40℃とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.1%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 0.7度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.33
<実施例2−7>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を1.8wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を51.4wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を50℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.9%
・光軸基準値に対するズレ : 0.3度
・光軸ばらつき : 0.6度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.36
<実施例2−8>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.7wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を52.5wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を40℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.6%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 0.9度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.33
<実施例2−9>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を11wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を55.9wt%とし、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を1.3wt%として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.0%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 0.5度
・ピッチ長 : 85nm
・BI : 0.34
<実施例2−10>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を18wt%、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を1.8wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を48.4wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を50℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.8%
・光軸基準値に対するズレ : 0.2度
・光軸ばらつき : 0.5度
・ピッチ長 : 115nm
・BI : 0.28
<実施例2−11>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を10wt%、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.5wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を57.7wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を40℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 2.0%
・光軸基準値に対するズレ : 0.5度
・光軸ばらつき : 1.0度
・ピッチ長 : 80nm
・BI : 0.39
<実施例2−12>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を20wt%、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を1.9wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を46.3wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を50℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.5%
・光軸基準値に対するズレ : 0.1度
・光軸ばらつき : 0.2度
・ピッチ長 : 120nm
・BI : 0.27
<比較例2−1>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を21wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を46.2wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.2%
・光軸基準値に対するズレ : 0.1度
・光軸ばらつき : 0.2度
・ピッチ長 : 125nm
・BI : 0.23
<比較例2−2>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を9wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を58.2wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.2%
・光軸基準値に対するズレ : 0.6度
・光軸ばらつき : 1.2度
・ピッチ長 : 77nm
・BI : 0.36
<比較例2−3>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を2.2wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を51.0wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.5%
・光軸基準値に対するズレ : 0.2度
・光軸ばらつき : 0.3度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.30
<比較例2−4>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.4wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を52.8wt%とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 2.0%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 1.1度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.30
<比較例2−5>
実施例2−1において、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を55℃とし、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.2%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 0.8度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.24
<比較例2−6>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.4wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を52.8wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を40℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 2.2%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 1.2度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.33
<比較例2−7>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を2.2wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を51.0wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を55℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.7%
・光軸基準値に対するズレ : 0.4度
・光軸ばらつき : 0.9度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.24
<比較例2−8>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を8wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を59.2wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を50℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 1.3%
・光軸基準値に対するズレ : 0.8度
・光軸ばらつき : 1.5度
・ピッチ長 : 74nm
・BI : 0.42
<比較例2−9>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を20wt%、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.3wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を47.9wt%として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 2.3%
・光軸基準値に対するズレ : 0.2度
・光軸ばらつき : 1.1度
・ピッチ長 : 120nm
・BI : 0.25
<比較例2−10>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を18wt%、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を2.2wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を48.0wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を40℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.6%
・光軸基準値に対するズレ : 0.1度
・光軸ばらつき : 0.1度
・ピッチ長 : 115nm
・BI : 0.27
<比較例2−11>
実施例2−1において、前記液晶材料の化合物(4)非反応性キラル化合物の比率を8wt%、前記液晶材料の化合物(7)界面活性剤の比率を0.3wt%、化合物(1)一反応性キラル化合物の比率を59.9wt%とし、直線偏光UV光照射時の雰囲気温度を55℃として、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 2.5%
・光軸基準値に対するズレ : 1.0度
・光軸ばらつき : 2.5度
・ピッチ長 : 74nm
・BI : 0.27
<参考例2−1>
実施例2−1において、光学異方層13形成時の乾燥ドライヤーの段階でフィルム走行をストップし、3時間適切な温度で保持し、その後再び走行させ、それ以外は実施例2−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
ここで、光学補償フィルムの測定結果は次の通りとなった。
・厚み誤差 : 0.3%
・光軸基準値に対するズレ : 0.1度
・光軸ばらつき : 0.1度
・ピッチ長 : 100nm
・BI : 0.30
表1に、以上の測定、評価結果を示す。
Figure 2008225136
実施例2−1から実施例2−12までのサンプルは、液晶表示装置として正面コントラスト、視野角コントラスト、生産性について良好な結果がみられた。
また、光学補償フィルムとして、基準値からの光軸ズレの悪化や光軸のばらつきが大きくなると、黒画像におけるY値(YB)が悪化し、正面コントラストが実用上問題となる。また、正面コントラストの改善と相反して、光学特性BIが0.25未満に減少すると視野角コントラストが実用上問題となる。
光学特性BIについては上述の通り、実用上の視野角コントラストに対して、0.25以上必要であるが、逆にBIが0.40以上となる作成条件では、光軸ずれが大きくなり正面コントラストの低下に影響を及ぼしてしまう。
また、実際の光軸においては、正面コントラストが実用上問題ないレベルにあるためには、基準値からのズレが0.5度以内、ばらつきが1.0度以内であることが必須である。
なお、化合物(7)界面活性剤の比率は、液晶層の表面レベリング性に影響を与える。0.5wt%以上で膜厚の誤差が2%以内に改善され、光軸のばらつきも1.0度以内となり、正面コントラストが実用上問題ないレベルとなる。しかし、2.0wt%超では、乾燥時の配向性に悪影響を及ぼすために、へイズが発生し、正面コントラストが実用範囲外となってしまうため注意が必要である。
(実施例3)
本実施例では、光学異方層13の形成に当って、偏向UV光の弱い漏れ光が被対象物に暴露させることを防止し、被対象物に対してUV暴露の初期の段階に必要な照射強度を与えることについて検討した。以下、その詳細を説明する。
<実施例3−1>
(1)光学補償フィルムサンプルの作製
実施例1における透明支持体11上に配向膜12を形成したもの(フィルム)を用いて、以下の条件で光学異方層13を形成して光学補償フィルム10のサンプルを得た。
まず、以下の組成の混合物である液晶材料が50重量%となるようにトルエンで溶解した。
<液晶材料>
・一反応性キラル化合物: 52.2wt%
・二反応性アキラル化合物: 20.0wt%
・一反応性アキラル化合物: 7.8wt%
・非反応性キラル化合物: 15wt%
・連鎖移動剤: 2.0wt%
・二色性光重合開始剤: 2.0wt%
・フッ素系界面活性剤FC171(登録商標、界面活性剤):1wt%
ついで、この液晶材料の溶液を、連続塗布型のロールツーロール方式でバックアップロール式スリットダイコーティング装置を用いて配向膜12上へ乾燥前膜厚5μmとなるように塗布した。また、該コーティング装置には図7に示すUV照射装置を備えており、フィルムの走行速度であるラインスピードを5m/minとして加熱乾燥ゾーン中で溶媒を除去した後、該UV照射装置において窒素雰囲気下で直線偏光紫外線照射により硬化させて光学異方層13を形成し、光学補償フィルム10のサンプルを得た。
ここで、図7のUV照射装置は、透明支持体11に設けた配向膜12の上に前述した液晶材料を塗布する連続塗布型のロールツーロールコーティング装置の液晶材料が塗布乾燥された段階となる部分に取り付けられるものである。図7において、UV照射装置は、フィルム(配向膜12形成後の透明支持体11)に対して直線偏光UV光を照射するUVランプ51と、ワイヤグリッド52と、遮光板53と、窒素ガスをパージするための窒素配管54と、UV光が照射されるフィルム周囲を窒素雰囲気とするための窒素パージボックス55とを備える。遮光板53は、被照射物であるフィルム(配向膜12形成後の透明支持体11)に対する初期の暴露UV照射強度を制御させるための機構である。遮光板53は任意にその端面の位置をフィルム走行方向に調整することが可能であり、該フィルムへのUV照射初期に与える偏光UV照射強度(UV暴露初期の照射強度)は、そのUVランプ51の最大照射強度であるUV出力、フィルムの走行スピード(ラインスピード)、遮光板53の端面位置により、調整する。なお、該UV照射装置はUV光を直線偏光UV光とするための手段(不図示)を備えるが、従来公知のものでよく、特には規定しない。なお、UV光の照射強度に関しては、UV照射強度測定装置(EIT社製 POWERMAP)を用い、波長360nmにおける照射強度を測定した。
ここで、UV照射装置の条件は次の通りとした。
・UV出力:250mW/cm(測定波長365nm)
・遮光板53の端面位置:UVランプ51の中心の直下の位置
その結果、フィルムのUV暴露初期の照射強度は、250mW/cm(測定波長365nm)であった。
得られた光学補償フィルムサンプルについて、大塚電子製のレターデーション測定装置を用いて、前記式(1)、(2)で定義される面内のレターデーションRoおよび膜厚方向のレターデーションRthの測定を行い、Ro/Rthの値を光学特性BIとして求めた。
(2)液晶表示装置の作製
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、市販のセルローストリアセテートフイルムに貼り付けた。次に、前記光学補償フィルムサンプルを、遅相軸が偏光膜の吸収軸と平行になるようにセルローストリアセテートフイルムの片側に貼り付け、光学補償一体型の偏光板サンプルを得た。
ついで、VA型液晶セルを使用した液晶表示装置(ソニー(株)社製)において、該液晶表示装置に本来設けられている一対の偏光板の代わりに前記偏光板サンプルを粘着剤を介して接着して液晶表示装置を作製した。なお、偏光板サンプルは、液晶セルのバックライト側で偏光膜が外側となるように接着した。
得られた液晶表示装置の液晶表示特性(LCD表示特性)として、該液晶表示装置の正面コントラスト、視野角コントラストについて実施例2と同様の方法で調べた。
<実施例3−2>
実施例3−1において、UV照射装置の条件と以下の条件に変更し、それ以外は実施例3−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
・UV出力:250mW/cm(測定波長365nm)
・遮光板53の端面位置:UVランプ51の中心の直下の位置からフィルム入り側方向に25mm移動した位置
その結果、フィルムのUV暴露初期の照射強度は、230mW/cm(測定波長365nm)であった。
<実施例3−3>
実施例3−1において、UV照射装置の条件と以下の条件に変更し、それ以外は実施例3−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
・UV出力:250mW/cm(測定波長365nm)
・遮光板53の端面位置:UVランプ51の中心の直下の位置からフィルム入り側方向に50mm移動した位置
その結果、フィルムのUV暴露初期の照射強度は、200mW/cm(測定波長365nm)であった。
<比較例3−1>
実施例3−1において、UV照射装置の条件と以下の条件に変更し、それ以外は実施例3−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
・UV出力:250mW/cm(測定波長365nm)
・遮光板53取り外し
その結果、フィルムのUV暴露初期の照射強度は、17mW/cm(測定波長365nm)であった。
<比較例3−2>
実施例3−1において、UV照射装置の条件と以下の条件に変更し、それ以外は実施例3−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
・UV出力:250mW/cm(測定波長365nm)
・遮光板53の端面位置:UVランプ51の中心の直下の位置からフィルム入り側方向に100mm移動した位置
その結果、フィルムのUV暴露初期の照射強度は、50mW/cm(測定波長365nm)であった。
<比較例3−3>
実施例2−1において、UV照射装置の条件と以下の条件に変更し、それ以外は実施例3−1と同じ条件として、光学補償フィルム、液晶表示装置を作製した。
・UV出力:250mW/cm(測定波長365nm)
・遮光板53の端面位置:UVランプ51の中心の直下の位置からフィルム入り側方向に70mm移動した位置
その結果、フィルムのUV暴露初期の照射強度は、150mW/cm(測定波長365nm)であった。
以上の評価結果を表2に示す。
これらの実験結果により、光学異方層形成時の液晶材料のUV暴露初期照射強度を制御することにより、生産性に優れたロールツーロールプロセスでの液晶表示特性の良い光学補償フィルムが得られる。
Figure 2008225136
本発明に係る光学補償フィルムの構成を示す断面図である。 照射されるUV光の強度分布を示す概略図である。 本発明の光学補償フィルムを用いた偏光シートの構成例1である。 本発明の光学補償フィルムを用いた偏光シートの構成例2である。 本発明に係る液晶表示装置の構成例1である。 本発明に係る液晶表示装置の構成例2である。 UV照射装置の構成を示す断面概略図である。
符号の説明
10・・・光学補償フィルム、11・・・透明支持体、12・・・配向膜、13・・・光学異方層、20,30・・・偏光シート、21,31・・・偏光素子シート、22,32・・・保護膜、33・・・粘着層(接着層)、51・・・UVランプ、52・・・ワイヤグリッド、53・・・遮光板、54・・・窒素配管、55・・・窒素パージボックス、100,200・・・液晶表示装置、101,201・・・液晶パネル、102,202・・・偏光板

Claims (5)

  1. 透明支持体の少なくとも片面に、表面がラビング処理されてなる配向膜と、2軸性の複屈折を有する光学異方層とを備える光学補償フィルムにおいて、
    前記配向膜は、アクリレートモノマーを主成分とするUV硬化型樹脂組成物が塗布、乾燥後に硬化されたものであり、該配向膜の鉛筆硬度がH〜4Hであることを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 前記光学異方層は、前記配向膜上に塗布されたキラルな重合可能な液晶材料が偏光UV光の照射により光重合されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 前記偏光UV光の初期暴露時照射強度が200mW/cm以上であることを特徴とする請求項2に記載の光学補償フィルム。
  4. 前記液晶材料の塗布が、ロールツーロールによる塗布乾燥方式であることを特徴とする請求項2に記載の光学補償フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載の光学補償フィルムを備えることを特徴とする液晶表示装置。
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