JP2008224370A - 3次元形状計測装置のキャリブレーション方法および3次元形状計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スリット平面の式を必要とせず、そのためキャリブレーションにおいても精度を要求される設定準備を不要とした容易に行える3次元形状計測装置のキャリブレーション方法およびこれを使用した3次元形状計測方法を提供する。
【解決手段】相互間の距離が既知で撮像部からの距離が異なる複数の平行な平面にスリットパターンが投影された状態を撮像する第1のステップと、各前記平面毎に該スリットパターンの像の位置と形状を表現する式のパラメータを各スリット像毎に計算する第2のステップと、該スリットパターンの像を観測した平面の高さ座標と関連づけて各スリット毎に該パラメータを記憶する第3のステップと、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】相互間の距離が既知で撮像部からの距離が異なる複数の平行な平面にスリットパターンが投影された状態を撮像する第1のステップと、各前記平面毎に該スリットパターンの像の位置と形状を表現する式のパラメータを各スリット像毎に計算する第2のステップと、該スリットパターンの像を観測した平面の高さ座標と関連づけて各スリット毎に該パラメータを記憶する第3のステップと、を有する。
【選択図】図1
Description
この発明は、対象物にスリットパターンを投影して3次元形状を計測する3次元形状計測装置のキャリブレーション方法および3次元形状計測方法に関する。
下記非特許文献1には、スリットパターンを対象物に投影して、その状態をカメラで撮像した画像から、対象物の3次元形状を計算する原理が記載されている。
また、下記特許文献1や非特許文献2には、仮想的なパターン投影レンズのレンズ中心を想定しない、レーザダイオードと回転ポリゴンミラーによるスリットパターン投影方法に適合したキャリブレーション方法が記載されている。
上記特許文献1や非特許文献2に示された、仮想的なパターン投影レンズのレンズ中心を想定しない、レーザダイオードと回転ポリゴンミラーによるスリットパターン投影方法に適合したキャリブレーション方法においては、以下のような問題があった。
第1に、事前にカメラキャリブレーションが必要であるが、一般に精度のよいカメラキャリブレーションは容易ではない。
第2に、カメラの光軸に垂直にキャリブレーション用スクリーンを設置する場合、光軸とスクリーン面の垂直性の判定が難しく、精度のよい設置は容易ではない。
第3に、レンズの外観からレンズ中心を知ることができないため、カメラのレンズ中心とキャリブレーション用スクリーンの間の距離を精度よく計測することが難しい。
第1に、事前にカメラキャリブレーションが必要であるが、一般に精度のよいカメラキャリブレーションは容易ではない。
第2に、カメラの光軸に垂直にキャリブレーション用スクリーンを設置する場合、光軸とスクリーン面の垂直性の判定が難しく、精度のよい設置は容易ではない。
第3に、レンズの外観からレンズ中心を知ることができないため、カメラのレンズ中心とキャリブレーション用スクリーンの間の距離を精度よく計測することが難しい。
以上のように、従来技術によるキャリブレーションは、スリットパターンをスクリーンに投影してカメラで観測する以前の、キャリブレーションを実施する設定準備段階で誤差を生じやすいステップが多く、精度良いキャリブレーションを実現するためには、細心の注意と多大の時間を要していた。
従来のキャリブレーション方法において、上記の第1、第2、第3の精度を出すことが容易でない設定準備が必要であったのは、カメラ座標系の3次元空間におけるスリット平面の位置を精度よく求めるためである。これは、計測対象物の3次元座標の計算にスリット平面の式を用いる計算モデルを採用していたためである。
この発明は、スリット平面の式を必要とせず、そのためキャリブレーションにおいても前述のような精度を要求される設定準備を不要とした容易に行える3次元形状計測装置のキャリブレーション方法および3次元形状計測方法を提供することを目的とする。
この発明は、投影部により一つ又は識別可能な複数のスリットのスリットパターンを対象物に投影し、その状態を撮像部により撮像して得られる画像に基づいて前記対象物の3次元形状を計測する3次元形状計測装置のキャリブレーション方法であって、相互間の距離が既知で前記撮像部からの距離が異なる複数の平行な平面に該スリットパターンが投影された状態を撮像する第1のステップと、各前記平面毎に該スリットパターンの像の位置と形状を表現する式のパラメータを各スリット像毎に計算する第2のステップと、該スリットパターンの像を観測した平面の高さ座標と関連づけて各スリット毎に該パラメータを記憶する第3のステップと、を有することを特徴とする3次元形状計測装置のキャリブレーション方法にある。
また、投影部により一つ又は識別可能な複数のスリットのスリットパターンを対象物に投影し、その状態を撮像部により撮像して得られる画像に基づいて前記対象物の3次元形状を計測する3次元形状計測方法において、画像の各画素位置に結像された反射光がいずれのスリットからの光であるかを判定する第1のステップと、請求項1のキャリブレーション方法によってキャリブレーション時の平面の高さ座標と関連づけられて記憶されている各スリット像毎の位置と形状を表現する式のパラメータの中から該スリットに対応する各平面対応のパラメータを読み出す第2のステップと、該読み出した複数の平面に対応するパラメータの中から二つの平面に対応するパラメータを選択する第3のステップと、該選択された二つのパラメータと該画素の座標から該画素位置に撮像された対象物の表面の高さ座標を計算する第4のステップと、を有することを特徴とする3次元形状計測方法にある。
この発明における3次元形状計測の方法は、スリット平面の式を必要とせず、そのためキャリブレーションにおいても精度を要求される設定準備が不要となり、キャリブレーションが容易に行える。また、平行な2平面に投影されたスリット像の形状を直接利用して奥行き座標Zを計算するため、中間的なスリット平面の計算を必要とせず、スリット平面の計算誤差に影響されない。
この発明の説明を行う前に従来技術について少し説明を行う。
上記非特許文献1には、スリットパターンを対象物に投影して、その状態をカメラで撮像した画像から、対象物の3次元形状を計算する原理が記載されている。
当時、液晶シャッターマスクにスリットパターンを発生させ、それをレンズを通して対象物に投影するする方法がもっとも進んでいた。このような装置では投影されるスリットパターンはすべてパターンを投影するレンズの中心を通るとみなすことができる。そこで装置のキャリブレーションとして、カメラ座標系からみたパターン投影レンズのレンズ中心の3次元座標と各スリットが空間に投影されてできるスリット平面の法線方向を精度よく求めることがなされた。3次元空間の1点と法線方向が定まれば、3次元空間の平面は決定される。
投影されたスリット光が対象物の表面で反射されてカメラのある画素に結像したとき、その画素とカメラのレンズ中心を結ぶ直線と、対応するスリット平面の交点を物体表面の3次元座標として計算するのが、この手法の原理である。
なお、投影されるスリットが複数の場合、撮像されたスリット像がどのスリットに対応しているかを判別する必要があるが、そのための方法として、1枚だけのスリットパターンでなく、スリット幅が順次半減する一連のスリットパターンを投影し、その像として明暗がどのように変化したかによってスリットを識別する、空間コード化法と呼ばれる方法が一般的である。その手法については上記非特許文献1に詳しく述べられている。本明細書ではスリットが識別できることを前提とし、その方法については説明を省略する。
またその後、スリットパターンを投影する方法として、レーザダイオードのスポット光をシリンドリカルレンズで細い線状に広げ、それを回転ポリゴンミラーで偏向させ、ポリゴンミラーの回転と同期してレーザダイオードの出力をオン、オフすることにより、実質的に平面のスリットパターンを投影するのと同じ照明を実現する方法が開発された。この場合、従前のパターン投影レンズは存在しないが、仮想的にパターン投影レンズが存在するものとして、仮想のレンズ中心を計算する方法でキャリブレーションがなされる。
しかし、ポリゴンミラーを用いた場合、厳密には従前のパターン投影レンズのレンズ中心のように、すべてのスリット平面に共通の点は存在せず、計測精度を向上するために新たなキャリブレーション方法が必要と考えられるようになった。
上記特許文献1はそのような、新しいキャリブレーション方法に関するものであり、全スリット平面に共通な点を想定せず、全てのスリット平面を個々にキャリブレーションする方法である。
上記特許文献1のキャリブレーション方法について説明すると、スリット平面のキャリブレーションに先立って、まずカメラ単体のキャリブレーションが実施される。これはカメラの座標系からみた3次元空間の点(X, Y, Z)がカメラ撮像面のどの座標(u, v)に投影されるかを関係付ける式のパラメータを決定するものである。その結果、点(X, Y, Z)が決まれば対応する画像座標(u, v)が計算できる。一方、画像座標(u, v)が決まっても3次元空間の対応点(X, Y, Z)は一意には計算で決まらない。しかし、Zが既知ならば、(u, v)に対応する(X, Y, Z)を計算することができる。このことは3次元の対象物をあつかう画像処理の分野ではよく知られた事実である。
そこで特許文献1のキャリブレーション方法では、カメラ座標からみたZ座標がZ1の位置にカメラの光軸に垂直なスクリーンを張り、スリット光を投影してその像を観測し、さらにスクリーンをZ2の位置に平行移動した後、再度スリット光を投影してその像を観測する。
次に、スクリーンがZ1の位置のときのスリット像の異なる適当な2点を選び、スクリーンがZ2の位置のときのスリット像から適当な1点を選ぶ。前述のように、それら3点に対応する3次元空間の座標は、Z座標が既知であり、カメラキャリブレーションの結果を用いて計算することができる。それらの3次元空間の3点は対応するスリット平面が通る点である。3次元空間で異なる3点を通る平面は唯一つで、3点の3次元座標から平面の式は決定される。
この平面の式のパラメータを全てのスリット平面について計算し、キャリブレーション結果として記憶しておくのが、特許文献1のキャリブレーション方法である。
このキャリブレーション結果を用いた3次元計測は原理的に次のようになされる。あるスリット光が対象物に反射して撮像面の(u, v)の位置に結像したとすると、対応する対象物の表面の3次元座標は、カメラのレンズ中心と点(u, v)を結ぶ直線と、上記キャリブレーション結果から得られる3次元空間の対応スリット平面との交点として得られる。
上記非特許文献2には特許文献1と原理的に等しいキャリブレーション方法が記述されているが、採用するスリット平面パラメータを具体的に定め、計算プロセスについても詳しく記載し、実験結果も示している。
しかしながらこれらの方法は、計測対象物の3次元座標の計算にスリット平面の式を用いる計算モデルを採用しているため、カメラ座標系の3次元空間におけるスリット平面の位置を精度よく求めるため、精度良いキャリブレーションを実現するためには、細心の注意と多大の時間を要していた。
図9にこの発明に係る3次元形状計測装置の概略的な構成を示す。3次元計測装置は、スリットパターン投影部1、撮像部2、およびコンピュータで構成された制御処理部3等からなる。スリットパターン投影部1には、光源1aおよび横方向に延びた複数のスリットが形成されたパターンマスク1bなどが設けられる。光源1aは、白色光を発光するフラッシュ光源である。また、光源1aから射出した光を集光するためのコンデンサレンズおよび投影レンズ(図示省略)などが必要に応じて設けられる。
撮像部2は、静止画または動画を撮像することが可能なデジタル式のカメラ2aによって構成される。カメラ2aには、撮像レンズおよびイメージセンサ(図示省略)などが設けられる。イメージセンサによって、対象物などに投影された縞パターンを撮影(撮像)する。撮像レンズによって、対象物の表面にピントが合わされる。撮像部2において最もピントの合う面が基準面である。
投影部1の投影レンズの主点位置とカメラ2aの撮像レンズの主点位置とが所定の距離(基線長)だけ離れた位置となるように、投影部1および撮像部2が配置され、固定される。
制御処理部3は、CPU3a、入出力インタフェース3b、プログラムやデータを格納したメモリ3c、並びにディスプレイ装置、キーボード、マウス等(図示省略)からなる。
実施の形態1.
以下この発明の一実施の形態による3次元形状計測装置のキャリブレーション方法について説明する。図1はこの発明におけるキャリブレーションを実施している様子を示す図である。図9に示すスリットパターン投影部1からk番目のスリットパターンが投影され、スリット平面k10はその光線が通る面を表す平面である。実際には、識別可能な多数のスリットパターンが投影されるが、キャリブレーションは各スリットパターン像毎に独立になされるので、代表してk番目のスリットについて図示し、説明する。
以下この発明の一実施の形態による3次元形状計測装置のキャリブレーション方法について説明する。図1はこの発明におけるキャリブレーションを実施している様子を示す図である。図9に示すスリットパターン投影部1からk番目のスリットパターンが投影され、スリット平面k10はその光線が通る面を表す平面である。実際には、識別可能な多数のスリットパターンが投影されるが、キャリブレーションは各スリットパターン像毎に独立になされるので、代表してk番目のスリットについて図示し、説明する。
基準面20の上に直方体のキャリブレーション用ワーク30が載置されている。基準面20の高さ座標をZ=Z0、キャリブレーション用ワーク30の上面の高さ座標をZ=Z1とする。基準面20とキャリブレーション用ワーク30の上面は平行である。
50および51はスリット平面k10と基準面20との交線である。同様に60はスリット平面k10とキャリブレーション用ワーク30の上面との交線である。投影されたスリット光は50、51および60の直線上で反射される。
図2は図1の状態を撮像部2のカメラ2aで撮像したキャリブレーション画像100を示している。基準面20とカメラ2aの光軸が必ずしも垂直でなくてもよいことを強調するため、キャリブレーション用ワーク30の側面が少しだけ描かれている。
キャリブレーション用ワーク30の上面、および基準面20で反射されたスリット光はキャリブレーション画像100の上で、50、51および60の直線として撮像される。直線50と51は二つに分かれているが、同じ直線上にあることは明らかである。以下では直線50といった場合、51も含むものとする。3次元空間では直線50と直線60は平行であるが、キャリブレーション画像100上で観測される直線50と直線60は必ずしも平行とは限らない。
制御処理部3で行われるこの発明によるキャリブレーションは、キャリブレーション画像100上の直線50および直線60を表すパラメータを計算する。平面上の直線を表現する式はいくつかあるが、ここでは(ρ,θ)表現を用いる。画像の左上隅を原点として、原点から直線までの距離をρ、原点から直線に降ろした垂線とu軸とのなす角度をθとすると、直線は
u・cosθ+v・sinθ=ρ (1)
であらわすことができる。画像上の直線を抽出する方法としてはハフ変換がよくしられており、(ρ,θ)はハフ変換の手法により容易に求めることができる。ただし、(ρ,θ)を求める手法はハフ変換に限るものではなく、また直線の表現としても(ρ,θ)表現に限るものではない。
ここで直線50が
u・cosθ0+v・sinθ0=ρ0 (2)
直線60が
u・cosθ1+v・sinθ1=ρ1 (3)
のように求められたとすると、k番目のスリットに対するキャリブレーションデータとして、(k:Z0、ρ0、θ0)、(k:Z1、ρ1、θ1)のデータの組を制御処理部3のメモリ3cに記憶する。
以上、この実施の形態1におけるキャリブレーションをまとめると、次のようになる。
(1) 最初に、直方体のキャリブレーション用ワークを計測対象領域の基準面上にセットする。置き方に厳密性は問わない。
(2) 次に、スリット光を投影する。
(3) 次に、スリット像を撮像する。
(4) 次に、基準面上のスリット像である直線、および該直方体の上面のスリット像である直線をあらわすパラメータを抽出する。
(5) 次にスリット番号と抽出パラメータの組をキャリブレーションデータとして記憶する。
(1) 最初に、直方体のキャリブレーション用ワークを計測対象領域の基準面上にセットする。置き方に厳密性は問わない。
(2) 次に、スリット光を投影する。
(3) 次に、スリット像を撮像する。
(4) 次に、基準面上のスリット像である直線、および該直方体の上面のスリット像である直線をあらわすパラメータを抽出する。
(5) 次にスリット番号と抽出パラメータの組をキャリブレーションデータとして記憶する。
実施の形態2.
この実施の形態は、実施の形態1のキャリブレーション方法にもとづく3次元形状計測方法に関するものである。図3は、ドーム状の計測対象物200を基準面20の上に載置して、その形状を計測している様子を示したものである。説明のためにスリット平面k10のみが図示されているが、実際には多数のスリットパターンが投影される。図4はその状態を撮像部2のカメラ2aで撮像した計測画像101を示している。カメラ2aと基準面、およびスリット平面の相対的位置関係は図1のキャリブレーション時と同じである。
この実施の形態は、実施の形態1のキャリブレーション方法にもとづく3次元形状計測方法に関するものである。図3は、ドーム状の計測対象物200を基準面20の上に載置して、その形状を計測している様子を示したものである。説明のためにスリット平面k10のみが図示されているが、実際には多数のスリットパターンが投影される。図4はその状態を撮像部2のカメラ2aで撮像した計測画像101を示している。カメラ2aと基準面、およびスリット平面の相対的位置関係は図1のキャリブレーション時と同じである。
従ってスリット平面k10と基準面20との交線である直線50は図2のキャリブレーション画像100と図4の計測画像101では、同じ位置に観測される。曲線70は計測対象物200とスリット平面k10との交線である。図2で観測された直線60は図4では観測されないが、参考のために破線60で示している。3次元空間では直線50、60および曲線70は同じスリット平面k10の上に載っている。
計測画像101において、曲線70上の任意の点(u’,v’)はスリット光kの反射が観測される点である。このような点の高さ座標Z’が、実施の形態1のキャリブレーション法の結果に基づいて計算できることを示す。
まず図5に示すように、点(u’,v’)を通り、直線50および60の両方と交差する任意の補助線80を引き、直線50と補助線80の交点を(u0,v0)、直線60と補助線80の交点を(u1,v1)とする。補助線80はu軸に平行でもよい。その場合、
v0=v1=v’ (4)
となり、u0、u1は式(4)を式(2)及び式(3)に代入して解くことにより得られる。補助線80を直線50と交差する角度が直線60と交差する角度と等しくなるように引くとすると、そのような直線の式は
u・sin{(θ0+θ1)/2}−v・cos{(θ0+θ1)/2}=ρ’ (5)
の形となる。ここでρ’は式(5)で示される直線が(u’,v’)を通ることから定まり、(u0,v0)、(u1,v1)は式(5)と式(2)及び式(3)との連立方程式を解いて得られる。
点(u’,v’)に対応する3次元空間の座標を(X’,Y’,Z’)とする。同様に点(u0,v0)、(u1,v1)に対応する3次元空間の座標をそれぞれ(X0,Y0,Z0)、(X1,Y1,Z1)とする。図6は補助線80を3次元空間に引きなおした図で、点(u’,v’)、(u0,v0)、(u1,v1)の3次元空間での対応点を図示している。
3次元空間を2次元の画像平面に射影するカメラモデルとして、カメラ2aから対象までの距離が、対象の奥行きに比較して十分大きければ、平行射影モデルで近似しても誤差の少ないことが知られている。そこでまず、カメラ2aを平行射影モデルで近似できるとき、Z0,Z1、u0、u1、u’からZ’が計算できることを示す。
図7は、3次元空間の補助線80を通って、カメラ2aの光軸に平行な面に、u=u0、u=u’、u=u1の直線を通ってカメラ光軸に平行な各面との交線、およびZ=Z0、Z=Z’、Z=Z1の各面との交線を表示したものである。300は画像面を示す。カメラ2aとして平行射影モデルを考えているのでu=u0、u=u’、u=u1の直線を通る各面との交線は互いに平行になる。Z平面とカメラ2aの光軸が必ずしも垂直である必要がないことを強調するため、uに関する直線群と、Zとに関する直線群が垂直でない図にしてある。
図7を見ると三角形の相似形から
(u’−u0)/(u1−u0)=(Z’−Z0)/(Z1−Z0) (6)
となる。したがってZ’は次式で計算される。
Z’={(u’−u0)/(u1−u0)}(Z1−Z0)+Z0 (7)
次に、カメラ2aを中心投影モデルとして考える場合でも、Z0,Z1、u0、u1、u’からZ’が計算できることを示す。
図8は補助線80が画像面300に投影されている様子をXZ平面に投影してみているものである。Cはカメラ2aの投影中心(レンズ中心)で、3次元空間の点はその点と投影中心を結ぶ直線が画像面と交差する点に結像する。説明の厳密さを期すため、この図8ではカメラ2aの光軸LAとZ平面は垂直になるように設置されているものとする。u軸の原点およびX軸の原点はカメラ2aの光軸との交点とする。画像面300は投影中心Cからfの距離(焦点距離)にあるものとする。
図8において補助線80の直線は
X={(X1−X0)/(Z1−Z0)}(Z−Z0)+X0 (8)
であらわされる。一方、中心投影による結像の公式から
u=fX/Z (9)
である。式(8)、式(9)を利用すると、
(u’−u0)/(u1−u0)={Z1(Z’−Z0)}/{Z’(Z1−Z0)} (10)
が導かれる。式(6)と式(10)を比較するとZ1/Z’が中心投影の効果といえる。
r=(u’−u0)/(u1−u0) (11)
と置くと、式(10)を解いて
Z’=Z0Z1/{rZ0+(1−r)Z1} (12)
が得られる。
式(12)の導出においてはカメラ2aの光軸と基準面20が垂直であることを前提としたが、垂直でなくてもr=0およびr=1の場合には誤差がゼロであることは式(12)をみれば明白であり、その中間のrの値についても、カメラ2aの光軸と基準面20が垂直の関係から少しずれていたとしても十分精度のよい近似値が得られる。
以上、この実施の形態2における3次元形状計測方法をまとめると、次のようになる。
(1) 最初に多数のスリット光を計測対象物に投影した画像を取得する。
(2) 次に、注目画素(u’,v’)がどのスリット光の反射に対応しているか判断する。
(3) 次に、そのスリット光(ここではkとする)に対応するキャリブレーションデータ(k:Z0、ρ0、θ0)、(k:Z1、ρ1、θ1)を読み出す。
(4) 次に、注目画素(u’,v’)を通る補助線80を引く。
(5) 次に、(u0,v0)、(u1,v1)を計算する。
(6) 次に、式(12)から注目画素(u’,v’)に対応する高さ座標Z’を計算する。
(7) 次に、全ての画素について(2)〜(6)を繰り返す。
(1) 最初に多数のスリット光を計測対象物に投影した画像を取得する。
(2) 次に、注目画素(u’,v’)がどのスリット光の反射に対応しているか判断する。
(3) 次に、そのスリット光(ここではkとする)に対応するキャリブレーションデータ(k:Z0、ρ0、θ0)、(k:Z1、ρ1、θ1)を読み出す。
(4) 次に、注目画素(u’,v’)を通る補助線80を引く。
(5) 次に、(u0,v0)、(u1,v1)を計算する。
(6) 次に、式(12)から注目画素(u’,v’)に対応する高さ座標Z’を計算する。
(7) 次に、全ての画素について(2)〜(6)を繰り返す。
以上の説明では式(6)〜(12)にu座標とX座標を用いていて、v座標とY座標が現れないが、それは図1から図6の説明において、スリット平面がX軸方向には傾いていてY軸方向には傾いていない図で説明したためであり、座標軸のとり方は説明図通りに限定されるものではない。
実施の形態3.
なお上述の実施の形態1、2では基準面に投影したスリット光が画像面に直線として結像されるものとしているが、カメラのレンズ歪の度合いによっては直線とみなすと無視できない誤差を生じる場合がある。そのような場合には直線50および直線60を画像面で区分的な直線(区分直線)で表現した折線近似を採用してもよい。その場合、区分領域ごとに(ρ,θ)のパラメータをキャリブレーションデータとして保持すればよい。またキャリブレーション時には図1のキャリブレーション用ワーク30に代えて、スクリーンをZ=Z0の位置とZ=Z1の位置に移動させて2回スリット光を観測するようする。
なお上述の実施の形態1、2では基準面に投影したスリット光が画像面に直線として結像されるものとしているが、カメラのレンズ歪の度合いによっては直線とみなすと無視できない誤差を生じる場合がある。そのような場合には直線50および直線60を画像面で区分的な直線(区分直線)で表現した折線近似を採用してもよい。その場合、区分領域ごとに(ρ,θ)のパラメータをキャリブレーションデータとして保持すればよい。またキャリブレーション時には図1のキャリブレーション用ワーク30に代えて、スクリーンをZ=Z0の位置とZ=Z1の位置に移動させて2回スリット光を観測するようする。
実施の形態4.
また上述の実施の形態1、2では基準面に投影したスリット光が画像面に直線として結像されるものとしているが、カメラのレンズ歪の度合いによっては直線とみなすと無視できない誤差を生じる場合がある。そのような場合には直線50および直線60を画像面で曲線で表現してもよい。その場合には曲線のパラメータをキャリブレーションデータとして記憶する。またキャリブレーション時には図1のキャリブレーション用ワーク30に代えて、スクリーンをZ=Z0の位置とZ=Z1の位置に移動させて2回スリット光を観測するようすることは折線近似する場合と同じである。
また上述の実施の形態1、2では基準面に投影したスリット光が画像面に直線として結像されるものとしているが、カメラのレンズ歪の度合いによっては直線とみなすと無視できない誤差を生じる場合がある。そのような場合には直線50および直線60を画像面で曲線で表現してもよい。その場合には曲線のパラメータをキャリブレーションデータとして記憶する。またキャリブレーション時には図1のキャリブレーション用ワーク30に代えて、スクリーンをZ=Z0の位置とZ=Z1の位置に移動させて2回スリット光を観測するようすることは折線近似する場合と同じである。
実施の形態5.
また、実施の形態1ではZ=Z0とZ=Z1の2面をキャリブレーションに用いる例を示したが、さらに多数の面をキャリブレーションに用いるようにしてもよい。実施の形態2の説明の中で述べたように、光軸と基準面が垂直でない場合でもキャリブレーションに用いた面の高さ位置では誤差がゼロになるので、キャリブレーションに用いる面の間の距離が小さくなれば全体的にも計測誤差は小さくできる。
また、実施の形態1ではZ=Z0とZ=Z1の2面をキャリブレーションに用いる例を示したが、さらに多数の面をキャリブレーションに用いるようにしてもよい。実施の形態2の説明の中で述べたように、光軸と基準面が垂直でない場合でもキャリブレーションに用いた面の高さ位置では誤差がゼロになるので、キャリブレーションに用いる面の間の距離が小さくなれば全体的にも計測誤差は小さくできる。
実施の形態6.
また、実施の形態5のキャリブレーションによれば、キャリブレーションに用いた面の数だけスリット平面kに対応するパラメータの組がキャリブレーションデータとして記憶される。3次元形状の計算に当たっては、そのうちのどの2組を用いるか決定するステップが必要になる。この場合は、画像原点からみて注目画素より遠くかつ注目画素に最も近い直線のパラメータと、画像原点からみて注目画素より近くてかつ注目画素に最も近い直線のパラメータを用いればよい。このことにより、注目画素に近い位置に観測されたスリット像に基づくキャリブレーションデータを用いることになるため、他のキャリブレーションデータを用いるよりも精度のよい結果が得られる。
また、実施の形態5のキャリブレーションによれば、キャリブレーションに用いた面の数だけスリット平面kに対応するパラメータの組がキャリブレーションデータとして記憶される。3次元形状の計算に当たっては、そのうちのどの2組を用いるか決定するステップが必要になる。この場合は、画像原点からみて注目画素より遠くかつ注目画素に最も近い直線のパラメータと、画像原点からみて注目画素より近くてかつ注目画素に最も近い直線のパラメータを用いればよい。このことにより、注目画素に近い位置に観測されたスリット像に基づくキャリブレーションデータを用いることになるため、他のキャリブレーションデータを用いるよりも精度のよい結果が得られる。
1 スリットパターン投影部、1a 光源、1b パターンマスク、2 撮像部、2 カメラ、3制御処理部、3a CPU、3b 入出力インタフェース、3c メモリ、10 スリット平面k、20 基準面、30 キャリブレーション用ワーク、50,51,60 交線(直線)、70 交線(曲線)、80 補助線、100 キャリブレーション画像、101 計測画像、200 計測対象物、300 画像面。
Claims (7)
- 投影部により一つ又は識別可能な複数のスリットのスリットパターンを対象物に投影し、その状態を撮像部により撮像して得られる画像に基づいて前記対象物の3次元形状を計測する3次元形状計測装置のキャリブレーション方法であって、
相互間の距離が既知で前記撮像部からの距離が異なる複数の平行な平面に該スリットパターンが投影された状態を撮像する第1のステップと、
各前記平面毎に該スリットパターンの像の位置と形状を表現する式のパラメータを各スリット像毎に計算する第2のステップと、
該スリットパターンの像を観測した平面の高さ座標と関連づけて各スリット毎に該パラメータを記憶する第3のステップと、
を有することを特徴とする3次元形状計測装置のキャリブレーション方法。 - 第2のステップにおいて、スリットパターンの像を直線とみなして、スリット像の直線のパラメータを計算することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状計測装置のキャリブレーション方法。
- 第2のステップにおいて、スリットパターンの像を区分直線とみなして、スリット像の直線のパラメータを複数の区分直線のパラメータの組として計算することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状計測装置のキャリブレーション方法。
- 第2のステップにおいて、スリットパターンの像を曲線とみなして、直線のパラメータの代わりに曲線のパラメータを計算することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状計測装置のキャリブレーション方法。
- 相互間の距離が既知の複数の平行な面を有するキャリブレーション用ワークを使用することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状計測装置のキャリブレーション方法。
- 第1のステップにおいて、3つ以上の平行な平面にスリットパターンが投影された状態を撮像することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状計測装置のキャリブレーション方法。
- 投影部により一つ又は識別可能な複数のスリットのスリットパターンを対象物に投影し、その状態を撮像部により撮像して得られる画像に基づいて前記対象物の3次元形状を計測する3次元形状計測方法において、
画像の各画素位置に結像された反射光がいずれのスリットからの光であるかを判定する第1のステップと、
請求項1のキャリブレーション方法によってキャリブレーション時の平面の高さ座標と関連づけられて記憶されている各スリット像毎の位置と形状を表現する式のパラメータの中から該スリットに対応する各平面対応のパラメータを読み出す第2のステップと、
該読み出した複数の平面に対応するパラメータの中から二つの平面に対応するパラメータを選択する第3のステップと、
該選択された二つのパラメータと該画素の座標から該画素位置に撮像された対象物の表面の高さ座標を計算する第4のステップと、
を有することを特徴とする3次元形状計測方法。
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2007
- 2007-03-12 JP JP2007061844A patent/JP2008224370A/ja active Pending
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