JP2008224183A - 氷蓄熱設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】氷蓄熱設備における蓄熱槽の機能を向上する。
【解決手段】蓄熱槽1に粒状氷aを供給して蓄熱槽1の貯留水Cに浮遊する氷集積層Aを形成する蓄氷運転と、この蓄氷運転の後に蓄熱槽1の下部から冷熱消費装置19への供給冷水Cを取り出しながら氷集積層Aを冷熱消費装置19からの戻り水Cにより融解させる解氷運転とを実施する氷蓄熱設備において、貯留水Cの上方空間に吐出口Xを配置し、蓄氷運転では吐出口Xから粒状氷aを吐出させて吐出口Xよりも低い位置に氷集積層Aを形成し、かつ、解氷運転では吐出口Xから戻り水Cを吐出させて氷集積層Aを融解させる運転制御手段26を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、水とともに氷を蓄熱槽に貯留して冷熱を顕熱及び潜熱の形で蓄熱し、その蓄熱冷熱を空調用途等に供する氷蓄熱設備に関する。
従来、氷蓄熱設備においては、蓄熱槽に蓄氷するのに、過冷却解除方式で生成した氷と水とのスラリー(氷水スラリー)を蓄熱槽における貯留水の上方空間から貯留水上へ吐出供給する氷供給口や、氷水スラリーを貯留水の水面近傍で貯留水中へ吐出供給する氷供給口を設ける、また、貯留水に浮遊する氷集積層の形で蓄氷した後、その氷集積層を融解させて氷の保有潜熱(冷熱潜熱)を取り出す解氷を行うのに、蓄熱槽下部からの取出冷水を供給する空調器やファンコイルユニットなどの冷熱消費装置からの戻り水を氷集積層に対して上方から散水する散水ノズルや、戻り水を氷集積層の下面近傍で貯留水中に吐出する水中ノズルを設ける、さらにまた、この解氷に続いて冷熱消費装置からの戻り水を蓄熱槽上部に戻すのに、その戻り水を貯留水の水面近傍で貯留水中へ吐出させる還水口を設けるなどしていた(特許文献1参照)。
特開平6−300327号公報
しかし、従来の氷蓄熱設備では、上記の如き氷供給口、散水ノズル、水中ノズル、還水口などを蓄熱槽に設けるために蓄熱槽の構造が複雑になり、その構造の複雑さの割りに蓄熱槽の機能が低い問題があった。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な設備構成を採ることにより、蓄熱槽の機能を効果的に向上させる点にある。
〔1〕本発明の第1特徴特徴は氷蓄熱設備に係り、その特徴は、
蓄熱槽に粒状氷を供給して前記蓄熱槽の貯留水に浮遊する氷集積層を形成する蓄氷運転と、この蓄氷運転の後に前記蓄熱槽の下部から冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記氷集積層を前記冷熱消費装置からの戻り水により融解させる解氷運転とを実施する氷蓄熱設備において、
前記貯留水の上方空間に吐出口を配置し、前記蓄氷運転では前記吐出口から前記粒状氷を吐出させて吐出口よりも低い位置に前記氷集積層を形成し、かつ、前記解氷運転では前記吐出口から前記戻り水を吐出させて前記氷集積層を融解させる運転制御手段を設けてある点にある。
つまり、この第1特徴構成によれば、蓄熱運転において貯留水に浮遊する氷集積層を形成するのに、貯留水の上方空間に配置した吐出口から粒状氷を吐出させることで、その吐出口よりも低い位置に氷集積層を形成するから、例えば、粒状氷を貯留水の水面近傍で水中に吐出して氷集積層を形成する方式などに比べ、貯留水や成長する氷集積層自身が氷吐出の障害にならない状態で粒状氷を吐出口から円滑に吐出させることができ、これにより、蓄氷面や次工程の解氷面において良好な氷集積層を能率良く形成することが容易になる。
また、蓄氷運転後の解氷運転において氷集積層を融解させるのに、粒状氷に代え冷熱消費装置からの戻り水を上記吐出口から吐出させることで、その戻り水を上記氷集積層(すなわち、吐出口よりも低い位置に形成された氷集積層)に対し散水して氷集積層を融解させることができ、これにより、例えば、戻り水を貯留水の水中に吐出して氷集積層を融解させる方式などに比べ、蓄熱槽下部からの冷水取出に対し氷集積層の融解を平面視で全体的にムラなく進めて氷の保有潜熱を円滑に取り出すなど良好に氷集積層を融解させることが容易になる。
そして、このように蓄熱運転及びその後の解氷運転の夫々において蓄熱槽の機能を高く確保しながらも、吐出口を蓄熱運転における粒状氷の吐出と解氷運転における戻り水の吐出とに兼用する構成であるから、その兼用化により蓄熱槽の槽構造を簡素にすることもでき、これにより、設備コストを安価にするとともに、運転上や保守上の管理も容易にすることができる。
〔2〕本発明の第2特徴構成は氷蓄熱設備に係り、その特徴は、
蓄熱槽の下部から冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記蓄熱槽の貯留水に浮遊する氷集積層を前記冷熱消費装置からの戻り水により融解させる解氷運転と、この解氷運転に続いて前記蓄熱槽の下部から前記冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記冷熱消費装置からの戻り水を前記蓄熱槽の上部に戻す水放熱運転とを実施する氷蓄熱設備において、
前記蓄熱槽の上部に上下移動可能な吐出口を配置し、前記解氷運転では前記吐出口を前記貯留水の上方空間で前記氷集積層よりも高く位置させて、その吐出口から前記戻り水を吐出させることで前記氷集積層を融解させ、かつ、前記水放熱運転では前記吐出口を前記貯留水の水面近傍で水中に位置させて、その吐出口から前記戻り水を吐出させることで戻り水を蓄熱槽上部に戻す運転制御手段を設けてある点にある。
つまり、この第2特徴構成によれば、解氷運転において氷集積層を融解させるのに、上下移動可能な吐出口を貯留水の上方空間で氷集積層よりも高く位置させて、その吐出口から冷熱消費装置よりの戻り水を吐出させるから、その戻り水を氷集積層(すなわち、吐出口よりも低い位置に形成された氷集積層)に対し散水して氷集積層を融解させることができ、これにより、例えば、戻り水を貯留水の水中に吐出して氷集積層を融解させる方式などに比べ、蓄熱槽下部からの冷水取出に対し氷集積層の融解を平面視で全体的にムラなく進めて氷の保有潜熱(冷潜熱)を円滑に取り出すなど良好に氷集積層を融解させることが容易になる。
また、解氷運転に続く水放熱運転において冷熱消費装置からの戻り水を蓄熱槽上部に戻すのに、上下移動可能な吐出口を貯留水の上方空間から下降させて貯留水の水面近傍で水中に位置させた状態で、その吐出口から戻り水を吐出させるから、例えば、氷集積層の無い状態で戻り水を貯留水の上方空間に吐出させて蓄熱槽上部に戻すなどに比べ、蓄熱槽下部からの冷水取出に対し戻り水による貯留水の乱れを抑止して貯留水を温度成層状態に保つなど良好に戻り水を蓄熱槽に戻すことが容易になる。
そして、このように解氷運転及びそれに続く水放熱運転の夫々において蓄熱槽の機能を高く確保しながらも、吐出口を解氷運転における貯留水上方空間での戻り水吐出と水放熱運転における貯留水中での戻り水吐出とに兼用する構成であるから、その兼用化により蓄熱槽の槽構造を簡素にすることもでき、これにより、設備コストを安価にするとともに、運転上や保守上の管理も容易にすることができる。
なお、本発明の実施において、上記の第1特徴構成と第2特徴構成とを併行実施すれば、蓄熱槽の機能向上及び蓄熱槽構造の簡素化を一層効果的に達成することができる。
〔3〕本発明の第3特徴構成は氷蓄熱設備に係り、その特徴は、
蓄熱槽における貯留水の上方空間に吐出口を配置し、前記蓄熱槽に蓄氷する蓄氷運転では前記吐出口から粒状氷を吐出させて前記貯留水に浮遊する氷集積層を吐出口よりも低い位置に形成する氷蓄熱設備において、
前記吐出口を上下移動可能にし、前記蓄氷運転において氷集積層上面と前記吐出口との離間寸法を所定寸法に保つ状態に前記氷集積層の成長に伴い前記吐出口を上昇させる運転制御手段を設けてある点にある。
つまり、この第3特徴構成によれば、貯留水の上方空間に配置した吐出口から粒状氷を吐出させて、その吐出口の下方に氷集積層を形成するのに、その氷集積層の成長に伴い吐出口を上昇させて氷集積層上面と吐出口との離間寸法を所定寸法に保つようにするから、例えば、吐出口が固定で氷集積層の成長に伴い氷集積層上面と吐出口との離間寸法が徐々に短くなる(すなわち、氷集積層上面からの吐出口高さが徐々に低くなる)のに比べ、氷集積層の上面に対する吐出粒状氷の供給状態を一定の良好な状態に保って氷集積層を形成することができ、これにより、蓄氷面や次工程の解氷面において良好な氷集積層を能率良く形成することを一層効果的に達成することができる。
なお、本発明の実施において、上記第3特徴構成を第1特徴構成と併行実施すれば、蓄熱槽構造の簡素化も可能にしながら蓄熱槽の機能向上を一層効果的に達成することができる。
〔4〕本発明の第4特徴構成は、氷蓄熱設備に係り、その特徴は、
蓄熱槽における貯留水の上方空間に吐出口を配置し、前記蓄熱槽の下部から冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記貯留水に浮遊する氷集積層を融解させる解氷運転では、前記冷熱消費装置からの戻り水を前記吐出口から吐出させて前記氷集積層を融解させる氷蓄熱設備において、
前記吐出口を上下移動可能にし、前記解氷運転において氷集積層上面と前記吐出口との離間寸法を所定寸法に保つ状態に前記氷集積層の融解に伴い前記吐出口を下降させる運転制御手段を設けてある点にある。
つまり、この第4特徴構成によれば、貯留水の上方空間に配置した吐出口から冷熱消費装置よりの戻り水を吐出させて、貯留水に浮遊する氷集積層(すなわち、吐出口よりも低い位置に形成された氷集積層)を融解させるのに、その氷集積層の融解に伴い吐出口を下降させて氷集積層上面と吐出口との離間寸法を保つようにするから、例えば、吐出口が固定で氷集積層の融解に伴い氷集積層上面と吐出口との離間寸法が徐々に長くなる(すなわち、氷集積層上面に対する吐出口の高さが徐々に高くなる)のに比べ、氷集積層の融解を平面視で全体的にムラなく進めて氷の保有潜熱(冷潜熱)を円滑に取り出すなどのことを一層効果的に達成することができる。
なお、本発明の実施において、上記第4特徴構成を第1特徴構成又は第2特徴構成と併行実施すれば、蓄熱槽構造の簡素化も可能にしながら蓄熱槽の機能向上を一層効果的に達成することができる。
また、第1〜第4特徴構成のいずれかの実施において、吐出口は、粒状氷や冷熱消費装置からの戻り水を平面視で均等に分散させて水平向きに吐出する構造にするのが望ましい。
図1は空調用の氷蓄熱設備を示し、1は水Cとともに氷を貯留する蓄熱槽であり、この蓄熱槽1内の下部には、槽内貯留水Cの取り出し及び戻り水Cの槽内への戻しに用いる下部出入器2を設け、また、蓄熱槽1内の上部で下部出入器2のほぼ直上方には、同じく槽内貯留水Cの取り出し及び戻り水Cの槽内への戻しに用いるとともに、氷供給器として槽内への氷の供給に用いる上部出入器3を設けてある。
下部出入器2及び上部出入器3は、図2に示す如く、ほぼ同構造のものであり、平行に配置した上下二枚の円板状部材2a,3aの間の隙部に対して、上部又は下部の出入管4,5を一方の円板状部材2a,3aの中心部で開口させるとともに、それら二枚の円板状部材2a,3aの外周縁どうしにわたる多孔板2b,3bを円板状部材2a,3aの全周にわたらせて張設し、この多孔板2b,3bの張設部(厳密には多孔板2b,3bにおける多数の孔)を槽内に対する出入口2c,3cとする構造にしてある。
すなわち、戻り水Cの槽内への戻しについては、出入管4,5を通じて戻る戻り水Cを下部出入器2又は上部出入器3における出入口2c,3cから平面視で放射状に分散させて水平向きに吐出し、一方、槽内貯留水Cの取り出しについては、槽内貯留水Cを下部出入器2又は上部出入器3における出入口2c,3cから平面視で均等に吸入して出入管4,5に導くようにしてある。
下部出入器2及びそれに接続した下部出入管4は槽内において固設してあり、これに対し、上部出入器3に接続した上部出入管5の縦配管部5aは、その長手方向(すなわち上下方向)に伸縮自在な管にし、この縦配管部5aの伸縮により槽内上部での上部出入器3の上下移動を可能にしてある。
そして、上部出入器3には、蓄熱槽1の上方から垂下した棒状連動部材6の下端を連結し、蓄熱槽1の上方には、この棒状連動部材6をラックピニオン機構などを介して上下移動させる駆動装置7を設けてあり、この駆動装置7により棒状連動部材6を上下に駆動移動させることで上部出入器3を図中実線で示す状態と一点鎖線で示す状態とにわたり槽内上部において上下移動させるようにしてある。
8は冷凍機9の吸熱部と熱源熱交換器10との間においてブラインBをブラインポンプ11により循環させるブライン循環路、12は冷凍機9の放熱部と冷却塔13との間において冷却水CWを冷却水ポンプ14により循環させる冷却水循環路、15は蓄熱槽1の貯留水Cを蓄熱槽1と熱源熱交換器10との間において熱源側冷水ポンプ16により循環させる熱源側冷水循環路であり、下部出入器2に接続した下部出入管4は熱源側冷水循環路15の往路15aを通じて熱源熱交換器10の水入口10aに接続し、上部出入器3に接続した上部出入管5は熱源側冷水循環路15の復路15bを通じて熱源熱交換器10の水出口10bに接続してある。
また、この熱源側冷水循環路15には、下部出入器2に接続した下部出入管4を熱源熱交換器10の水入口10aに代えて水出口10bに連通させ、かつ、上部出入器3に接続した上部出入管5を熱源熱交換器10の水出口10bに代えて水入口10aに連通させた状態で、蓄熱槽1の貯留水Cを蓄熱槽1と熱源熱交換器10との間において同じく熱源側冷水ポンプ16により循環させるための2本の切換用バイパス路15c,15d、及び、切換用開閉弁V1〜V5を装備してある。
つまり、この熱源側冷水循環路15では、下部出入器2−往路15a−熱源熱交換器10−復路15b−上部出入器3の順に貯留水Cを循環させる正転循環(図4参照)と、上部出入器3−切換用バイパス路15c−熱源熱交換器10−切換用バイパス路15d−下部出入器2の順に貯留水Cを循環させる逆転循環(図3参照)との選択的な実施を切換用開閉弁V1〜V5の開閉操作により可能にしてある。
一方、熱源側冷水循環路15の往路15aには、2本のバイパス路15c,15dの接続部よりも蓄熱槽1寄りの箇所において空調機やファンコイルユニットなどの負荷装置19(冷熱消費装置)に対する負荷側冷水循環路20の往路20aを接続し、熱源側冷水循環路15の復路15bには、2本のバイパス路15a,15bの接続部よりも蓄熱槽1寄りの箇所において負荷側冷水循環路20の復路20bを接続してあり、これら負荷側冷水循環路20の往路20a及び復路20bには、それらを開閉する切換用開閉弁V6,V7を熱源側冷水循環路15に対する接続部近傍において装備し、また、負荷側冷水循環路20の往路20aには、蓄熱槽1の貯留水Cを負荷側冷水循環路20を通じて負荷装置19と蓄熱槽1との間で循環させる負荷側冷水ポンプ21を装備してある。
22a〜22cは蓄熱槽1の下部、上下中間部、上部の夫々における貯留水Cの温度ta,tb,tcを検出する第1〜第3温度センサ、23は熱源熱交換器10の水出口10bにおける水温度toを検出する第4温度センサ、24は蓄熱槽1において貯留水Cに浮遊する氷集積層Aの上面位置hを検出する氷センサ、25は棒状連動部材6の下方への延出長Lを検出するストロークセンサ、26はこれらセンサの検出情報に基づき切換用開閉弁V1〜V7の開閉操作や各装置の発停操作などを実行する運転制御器であり、具体的には、この運転制御器26は次の(イ)〜(ヘ)の制御を実行する。
なお、図3〜図10において、各切換用開閉弁V1〜V7のうち白抜きのものは開弁状態を示し、黒塗りのものは閉弁状態を示す。
(イ)前段水蓄熱運転
設定蓄熱開始時刻T1になると、先の放熱運転の完了で例えば16℃の貯留水Cが蓄熱槽1内に満たされた図10に示す如き状態から、図3に示す如く、上部出入器3を蓄熱槽1における貯留水Cの水面近傍で水中に位置させた状態で、切換用開閉弁V1〜V7の開閉操作及び熱源側冷水ポンプ16の運転により熱源側冷水循環路15において前記の逆転循環を実施するとともに、冷凍機9、ブラインポンプ11、冷却塔13、冷却水ポンプ14を運転する。
また、この熱源側冷水循環路15での逆転循環において、熱源熱交換器10の水出口10bにおける水温度toが第1設定温度t1(本例ではt1=4℃)になるように、第4温度センサ23により検出される出口水温度toに基づき冷凍機9の出力を調整する。
つまり、この前段水蓄熱運転では、上部出入器3を貯留水Cの水面近傍で水中に位置させた状態で、その上部出入器3の出入口3cを通じ蓄熱槽1における高温の貯留水C(16℃冷水)を熱源熱交換器10に供給して冷凍機9による冷却ブラインBとの熱交換により第1設定温度t1に冷却し、その冷却した第1設定温度t1の水C(4℃冷水)を下部出入器2の出入口2cから平面視で放射状に分散させて蓄熱槽1における下部の貯留水C中へ水平向きに吐出し、これにより、第3温度センサ22cにより検出される蓄熱槽上部の貯留水温度tcが第1設定温度t1に低下するまでの間(すなわち、熱源熱交換器10で第1設定温度t1に冷却した水C(4℃冷水)により蓄熱槽1が満たされるまでの間)、熱源熱交換器10で第1設定温度t1に冷却した比重の大きな水C(4℃冷水)を槽内の下側に存在させ、かつ、未だ第1設定温度t1に冷却していない比重の小さな水C(16℃冷水)を槽内の上側に存在させる温度成層状態を保って、それら下側貯留水C(4℃冷水)と上側貯留水C(16℃冷水)との境界Kを漸次的に上昇させる槽内流動形態で、熱源熱交換器10により冷却した第1設定温度t1の水C(4℃冷水)が保有する冷熱(顕熱)を蓄熱槽1に蓄熱する。
(ロ)後段水蓄熱運転
上記の前段水蓄熱運転において第3温度センサ22cにより検出される蓄熱槽上部の貯留水温度tcが第1設定温度t1に低下する(すなわち、熱源熱交換器10で第1設定温度t1に冷却した水C(4℃冷水)により蓄熱槽1が満たされた状態になる)と、図4に示す如く、上部出入器3を引き続き貯留水Cの水面近傍で水中に位置させた状態で、切換用開閉弁V1〜V7の開閉操作及び熱源側冷水ポンプ16の運転により熱源側冷水循環路15において前記の正転循環を実施するとともに、冷凍機9、ブラインポンプ11、冷却塔13、冷却水循環ポンプ14を引き続き運転する。
また、この熱源側冷水循環路15での正転循環において、熱源熱交換器10の水出口10bにおける水温度toが第2設定温度t2(本例ではt2=0℃)になるように、第4温度センサ23により検出される出口水温度toに基づき冷凍機9の出力を調整する。
つまり、この後段水蓄熱運転では、下部出入器2の出入口2cを通じて蓄熱槽1の下部から取り出した貯留水C(4℃冷水)を熱源熱交換器10に供給して冷凍機9による冷却ブラインBとの熱交換により第2設定温度t2に冷却し、その冷却した第2設定温度t2の水C(0℃冷水)を貯留水Cの水面近傍で水中に位置する上部出入器3の出入口3cから平面視で放射状に分散させて蓄熱槽1における上部の貯留水C中へ水平向きに吐出し、これにより、第1温度センサ22aにより検出される蓄熱槽下部の貯留水温度taが第2設定温度t2に低下するまでの間(すなわち、熱源熱交換器10で第2設定温度t2に冷却した水C(0℃冷水)により蓄熱槽1が満たされるまでの間)、熱源熱交換器10で第2設定温度t2に冷却した比重の小さな水C(0℃冷水)を槽内の上側に存在させ、かつ、未だ第2設定温度t2に冷却していない比重の大きな水C(4℃冷水)を槽内の下側に存在させる温度成層状態を保って、それら上側貯留水C(0℃冷水)と下側貯留水C(4℃冷水)との境界Kを漸次的に下降させる槽内流動形態で、熱源熱交換器10により冷却した第2設定温度t2の水C(0℃冷水)が保有する冷熱(顕熱)を蓄熱槽1に蓄熱する。
(ハ)蓄氷運転
上記の後段水蓄熱運転において第1温度センサ22aにより検出される蓄熱槽下部の貯留水温度taが第2設定温度t2に低下する(すなわち、熱源熱交換器10で第2設定温度t2に冷却した水C(0℃冷水)により蓄熱槽1が満たされた状態になる)と、図5に示す如く、上部出入器3を駆動装置7により上昇させて蓄熱槽1における貯留水Cの上方空間に位置させ、その状態で熱源側冷水循環路15において正転循環を継続するとともに、冷凍機9、ブラインポンプ11、冷却塔13、冷却水ポンプ14を引き続き運転する。
また、この熱源側冷水循環路15での正転循環において、熱源熱交換器10の水出口10bにおける水温度toが氷点下の第3設定温度t3(本例ではt3=−2℃)になるように、第4温度センサ23により検出される出口水温度toに基づき冷凍機9の出力を調整する。
つまり、この蓄氷運転では、下部出入器2の出入口2cを通じて蓄熱槽1の下部から取り出した貯留水C(0℃冷水)を熱源熱交換器10に供給して冷凍機9による冷却ブラインBとの熱交換により氷点下の第3設定温度t3に冷却し、その冷却した第3設定温度t3の過冷却水C(−2℃)を貯留冷水Cの上方空間に位置させた上部出入器3の出入口3cから吐出させる。
そして、この際、上部出入器3に張設した多孔板3bへの過冷却水C(−2℃)の衝突により過冷却を解除して、その過冷却水C(−2℃)を0℃の冷水Cとそれに含まれる多数の粒状氷aとに変化させた状態で上部出入器3の出入口3c(すなわち吐出口)から吐出させ、これにより、貯留水C(0℃冷水)に浮かぶ氷集積層Aを上部出入器3の出入口3c(特許請求の範囲で言う吐出口)よりも低い位置で蓄熱槽1内に形成して、多数の粒状氷aの保有冷熱(主に冷潜熱)を蓄熱槽1に蓄熱する。
また、この蓄氷運転では、氷センサ24により検出される氷集積層Aの上面位置hとストロークセンサ25により検出される棒状連動部材6の下方延出長Lとに基づき、氷集積層Aの上面と上部出入器3の出入口3c(吐出口)との離間寸法を所定寸法に保つように、氷集積層Aの成長に伴い駆動装置7により上部出入器3を貯留水Cの上方空間において漸次的に上昇させ、これにより、氷集積層Aの上面に対する吐出粒状氷Aの供給状態を氷集積層Aの成長にかかわらず良好な状態に保つ。
そして、この氷集積層Aが成長して、その下面が図6に示す如く蓄熱槽1の下部に達する状態になると蓄氷運転を終了し、前段水蓄熱運転、後段水蓄熱運転、及び、蓄氷運転からなる一連の蓄熱運転を完了する。
(ニ)解氷運転
設定空調開始時刻T2になると、先の蓄熱運転の完了で低温の貯留水C(0℃冷水)と所要厚さの氷集積層Aとが蓄熱槽1内に存在する図6に示す状態から、図7に示す如く、上部出入器3を引き続き貯留水Cの上方空間に位置させた状態で、切換用開閉弁V1〜V7の開閉操作及び負荷側冷水ポンプ21の運転により、蓄熱槽1の貯留水C(0℃冷水)を下部出入器2−負荷側冷水循環路20の往路20a−負荷装置19−負荷側冷水循環路20の復路20b−上部出入器3の順に循環させる。
つまり、この解氷運転では、氷集積層Aとともに存在する蓄熱槽1の貯留水C(0℃冷水)を下部出入器2の出入口2cを通じ負荷装置19に供給し、そして、負荷装置19での冷熱消費により昇温した負荷装置19からの戻り水C(例えば16℃冷水)を上部出入器3の出入口3c(吐出口)から吐出させることにより、その戻り水C(16℃冷水)を先の蓄氷運転で上部出入器3よりも低い位置に形成した氷集積層Aに対し散水して氷集積層Aを効率的に融解させ、これにより、蓄熱槽1における貯留水Cの温度を均一かつ安定的に0℃に保って、負荷装置19に供給する冷水Cの温度を安定的に0℃に保つ。
また、この解氷運転では、氷センサ24により検出される氷集積層Aの上面位置hとストロークセンサ25により検出される棒状連動部材6の下方延出長Lとに基づき、氷集積層Aの上面と上部出入器3の出入口3c(吐出口)との離間寸法を所定寸法に保つように、氷集積層Aの融解に伴い駆動装置7により上部出入器3を貯留水Cの上方空間において漸次的に下降させ、これにより、氷集積層Aに対する戻り水C(16℃冷水)の散水状態を氷集積層Aの融解にかかわらず良好な状態に保つ。
(ホ)前段水放熱運転
上記の解氷運転において融解による氷集積層Aの消滅が氷センサ24により検出されると、図8に示す如く、駆動装置7により上部出入口3を下降させて蓄熱槽1における貯留水Cの水面近傍で水中に位置させ、この状態で、先の解氷運転に引き続き、蓄熱槽1の貯留水Cを下部出入器2−負荷側冷水循環路20の往路20a−負荷装置19−負荷側冷水循環路20の復路20b−上部出入器3の順に循環させる。
つまり、先の解氷運転において氷集積層Aが融解により消滅すると、蓄熱槽1の貯留水Cは負荷装置19からの戻り水Cのため水面近傍側から0℃を上回るようになるが、この前段水放熱運転では、氷集積層Aの融解による消滅後、第1〜第3温度センサ22a〜22cにより検出される蓄熱槽下部の貯留水温度ta,蓄熱槽上下中間部の貯留水温度tb,蓄熱槽上部の貯留水温度tcの夫々がほぼ前記の第1設定温度t1(本例ではt1=4℃)に上昇するまでの間、負荷装置19からの戻り水C(16℃冷水)を貯留水Cの水面近傍で水中に位置させた上部出入器3の出入口3c(吐出口)から吐出させて蓄熱槽1の上部に戻すことにより、負荷装置19からの戻り水C(16℃冷水)と蓄熱槽1における貯留水C(0℃冷水)との比重差による混合で、蓄熱槽1における貯留水Cの温度をほぼ0℃からほぼ4℃まで均一かつ漸次的に上昇させ、これにより、負荷装置19に供給する冷水Cの急激かつ大きな温度変化を防止する。
(ヘ)後段水放熱運転
上記の前段水放熱運転において第1〜第3温度センサ22a〜22cにより検出される蓄熱槽下部の貯留水温度ta,蓄熱槽上下中間部の貯留水温度tb,蓄熱槽上部の貯留水温度tcの夫々がほぼ前記の第1設定温度t1(本例ではt1=4℃)に上昇した後も、運転形態としては引き続き、図9に示す如く、上部出入器3を引き続き貯留水Cの水面近傍で水中に位置させた状態で、蓄熱槽1の貯留水Cを下部出入器2−負荷側冷水循環路20の往路20a−負荷装置19−負荷側冷水循環路20の復路20b−上部出入器3の順に循環させる。
つまり、この後段水放熱運転では、下部出入器2の出入口2cを通じて蓄熱槽1における下部の貯留水C(4℃冷水)を負荷装置19に供給し、そして、負荷装置19での冷熱消費により昇温した負荷装置19からの戻り水C(16℃冷水)を貯留水Cの水面近傍で水中に位置させた上部出入器3の出入口3c(吐出口)から平面視で放射状に分散させて蓄熱槽上部の貯留冷水C中へ水平向きに吐出することにより、高温で比重の小さな負荷装置19からの戻り水C(16℃冷水)を槽内の上側に存在させ、かつ、比重の大きな4℃の貯留水Cを槽内の下側に存在させる温度成層状態を保って、それら下側貯留水C(4℃冷水)と上側貯留水C(16℃冷水)との境界Kを漸次的に下降させる槽内流動形態で、負荷装置19への供給冷水Cを蓄熱槽1の下部から取り出すようにし、これにより、図10に示す如く蓄熱層1における下側の低温貯留水(4℃冷水)を使い切る(逆言すれば、負荷装置19からの戻り水(16℃冷水)により蓄熱槽1が満たされる)までの間、負荷装置19に供給する冷水Cの温度をほぼ4℃に安定的に保つ。
以上要するに、本実施形態において上記(イ)〜(ヘ)の運転制御を実行する運転制御器26は、蓄氷運転の際、吐出口X(上部出入器3の出入口3c)を蓄熱槽1における貯留水Cの上方空間に位置させて、その吐出口Xから粒状氷aを吐出させることで、貯留水Cに浮遊する氷集積層Aを吐出口Xよりも低い位置に形成し、そして、この蓄氷運転の後の解氷運転では、同じく吐出口X(上部出入器3の出入口3c)を蓄熱槽1における貯留水Cの上方空間に位置させて、その吐出口Xから粒状氷aに代え冷熱消費装置19よりの戻り水Cを吐出させることで上記氷集積層Aを融解させ、さらに、この解氷運転に続く水放熱運転では、吐出口X(上部出入器3の出入口3c)を蓄熱槽1における貯留水Cの水面近傍で水中に位置させる状態に下降させて、その吐出口Xから冷熱消費装置19よりの戻し水Cを吐出させることで、その戻し水Cを蓄熱槽1の上部に戻す運転制御手段を構成する。
そしてまた、この運転制御器26は、蓄氷運転の際、氷集積層Aの上面と吐出口X(上部出入器3の出入口3c)との離間寸法を所定寸法に保つように、氷集積層Aの成長に伴い吐出口Xを上昇させ、かつ、解氷運転の際、氷集積層Aの上面と吐出口X(上部出入器3の出入口3c)との離間寸法を所定寸法に保つように、氷集積層Aの融解に伴い吐出口Xを下降させる構成にしてある。
〔別の実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
前述の実施形態では、前段水放熱運転及び後段水放熱運転の両方において上部出入器3の出入口3c(吐出口X)を貯留水Cの水面近傍で水中に位置させる例を示したが、これに代え、前段水放熱運転では解氷運転時と同様、貯留水Cの上方空間に位置させた上部出入器3の出入口3c(吐出口X)から戻し水Cを吐出させるようにして、蓄熱槽1における貯留水Cの混合を促進し、そして、その後の後段水放熱運転において上部出入器3の出入口3c(吐出口X)を貯留水Cの水面近傍で水中に位置させるように下降させた状態で戻り水Cを吐出させることにより、貯留水Cの温度成層状態を保つようにしてもよい。
前述の実施形態では、蓄熱槽1内に1つの吐出口X(上部出入器3の出入口3c)を設ける例を示したが、これに代え、吐出口Xを平面視で分散させて蓄熱槽1に複数設けるようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、蓄熱槽1を一槽だけ設ける構成を示したが、これに代え、複数の蓄熱槽1を並列的に設け、これら蓄熱槽1の夫々に吐出口Xを装備する構成にしてもよい。
吐出口Xは、粒状氷aや戻り水Cを平面視で放射状に分散させて水平向きに吐出させる構造に限らず、粒状氷aや戻り水Cを水平一方向ないし互いに逆向きの水平二方向に向けて吐出させる構造などであってもよく、その具体的構造は種々の変更が可能である。
本発明の実施において、粒状氷aの生成は過冷却解除方式に限られるものではなく、例えば、層状の氷を削って粒状氷を生成する方式や、塊状の氷を砕いて粒状氷を生成する方式などであってもよい。
前述の実施形態では、蓄熱槽1に蓄熱した冷熱を空調に用いる例を示したが、本発明の実施において、蓄熱槽1に蓄熱した冷熱の用途は空調に限られるものではなく、物品の冷却など、どのような用途であってもよい。
氷蓄熱設備の全体構成を示す図 出入器の斜視図 前段水蓄熱運転の運転形態を示す図 後段水蓄熱運転の運転形態を示す図 蓄氷運転の運転形態を示す図 蓄熱運転の完了状態を示す図 解氷運転の運転形態を示す図 前段水放熱運転の運転形態を示す図 後段水放熱運転の運転形態を示す図 放熱運転の完了状態を示す図
符号の説明
1 蓄熱槽
a 粒状氷
C 水
A 氷集積層
19 冷熱消費装置
X 吐出口
26 運転制御手段

Claims (4)

  1. 蓄熱槽に粒状氷を供給して前記蓄熱槽の貯留水に浮遊する氷集積層を形成する蓄氷運転と、この蓄氷運転の後に前記蓄熱槽の下部から冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記氷集積層を前記冷熱消費装置からの戻り水により融解させる解氷運転とを実施する氷蓄熱設備であって、
    前記貯留水の上方空間に吐出口を配置し、前記蓄氷運転では前記吐出口から前記粒状氷を吐出させて吐出口よりも低い位置に前記氷集積層を形成し、かつ、前記解氷運転では前記吐出口から前記戻り水を吐出させて前記氷集積層を融解させる運転制御手段を設けてある氷蓄熱設備。
  2. 蓄熱槽の下部から冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記蓄熱槽の貯留水に浮遊する氷集積層を前記冷熱消費装置からの戻り水により融解させる解氷運転と、この解氷運転に続いて前記蓄熱槽の下部から前記冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記冷熱消費装置からの戻り水を前記蓄熱槽の上部に戻す水放熱運転とを実施する氷蓄熱設備であって、
    前記蓄熱槽の上部に上下移動可能な吐出口を配置し、前記解氷運転では前記吐出口を前記貯留水の上方空間で前記氷集積層よりも高く位置させて、その吐出口から前記戻り水を吐出させることで前記氷集積層を融解させ、かつ、前記水放熱運転では前記吐出口を前記貯留水の水面近傍で水中に位置させて、その吐出口から前記戻り水を吐出させることで戻り水を蓄熱槽上部に戻す運転制御手段を設けてある氷蓄熱設備。
  3. 蓄熱槽における貯留水の上方空間に吐出口を配置し、前記蓄熱槽に蓄氷する蓄氷運転では前記吐出口から粒状氷を吐出させて前記貯留水に浮遊する氷集積層を吐出口よりも低い位置に形成する氷蓄熱設備であって、
    前記吐出口を上下移動可能にし、前記蓄氷運転において氷集積層上面と前記吐出口との離間寸法を所定寸法に保つ状態に前記氷集積層の成長に伴い前記吐出口を上昇させる運転制御手段を設けてある氷蓄熱設備。
  4. 蓄熱槽における貯留水の上方空間に吐出口を配置し、前記蓄熱槽の下部から冷熱消費装置への供給冷水を取り出しながら前記貯留水に浮遊する氷集積層を融解させる解氷運転では、前記冷熱消費装置からの戻り水を前記吐出口から吐出させて前記氷集積層を融解させる氷蓄熱設備であって、
    前記吐出口を上下移動可能にし、前記解氷運転において氷集積層上面と前記吐出口との離間寸法を所定寸法に保つ状態に前記氷集積層の融解に伴い前記吐出口を下降させる運転制御手段を設けてある氷蓄熱設備。
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