JP2008224166A - フィンチューブ型熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、フィンチューブ型熱交換器において、切り起こし部による伝熱促進効果と排水性とを両立させることにある。
【解決手段】本発明のフィンチューブ型熱交換器1は、伝熱フィン2と複数の伝熱管3とを備える。伝熱フィンは気流中に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入され、気流に略直交に配置される。伝熱フィンには、伝熱管の下側に複数の第1切り起こし21a〜21cが、伝熱管の上側に複数の第2切り起こし21d〜21fが形成されている。複数の第1切り起こしを結ぶ第1直線L1と、複数の第2切り起こしを結ぶ第2直線L2とは、気流を伝熱管の気流の流れ方向後側に案内するように、気流の流れ方向に対して傾斜している。複数の第1切り起こし部は、複数の第2切り起こし部よりも低く切り起こされる。
【選択図】図1

Description

本明発明は、フィンチューブ型熱交換器、特に、気流中に配置された伝熱フィンと、伝熱フィンに挿入されており気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管とを備えたフィンチューブ型熱交換器に関する。
従来、空気調和装置等において、空気流中に配置された伝熱フィンと、伝熱フィンに挿入されており空気流の流れ方向に略直交する向きに配置された複数の伝熱管とを備えたフィンチューブ型熱交換器(すなわち、クロスフィンアンドチューブ型熱交換器)が良く用いられている。このような、フィンチューブ型熱交換器では、伝熱フィンにおける伝熱管の空気流の流れ方向下流側の部分に形成される死水域の低減、および、伝熱フィンにおける境界層の更新を目的とした伝熱促進手法として、伝熱フィン面の伝熱管の両側の位置に、空気流の流れ方向上流側に向かって拡開する切り起こし部を、切り起こし加工により形成する手法が採用されることがある(特許文献1参照)。
特開昭61―110889号公報
上述のような切り起こし部が採用されたフィンチューブ型熱交換器を、空気調和装置等に代表されるような空気を熱源とする冷媒等の熱媒体の蒸発器として使用する場合には、空気と熱媒体との熱交換により発生したドレン水が切り起こし部に滞留して通風抵抗を増大させるという問題が生じてしまう。
本発明の課題は、フィンチューブ型熱交換器において、切り起こし部による伝熱促進効果と排水性とを両立させることにある。
第1発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、伝熱フィンと、複数の伝熱管とを備える。伝熱フィンは、気流中に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置される。伝熱フィンには、第1切り起こし部と、第2切り起こし部とが、切り起こし加工により形成される。第1切り起こし部は、伝熱管の鉛直方向における下側において気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ。第2切り起こし部は、伝熱管の鉛直方向における上側において気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ。第1直線と第2直線とは、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れに対して傾斜している。第1直線は、複数の第1切り起こし部を仮想的に結ぶ。第2直線は、複数の第2切り起こし部を仮想的に結ぶ。複数の第1切り起こし部は、複数の第2切り起こし部よりも低く切り起こされる。
本発明では、第1切り起こし部および第2切り起こし部が、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって複数に分割され、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように気流の流れ方向に対して傾斜して配置される。そして、伝熱管の下側に形成される第1切り起こし部が、伝熱管の上側に形成される第2切り起こし部よりも低く切り起こされる。すなわち、伝熱管と第1切り起こし部との間にドレン水が保持されにくくなるように、伝熱管の下側に形成される第1切り起こし部の高さを低くしている。
したがって、ドレン水などの水滴が発生した場合に、水滴を下方に流下させやすくできる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第2発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、伝熱フィンと、複数の伝熱管とを備える。伝熱フィンは、気流中に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置される。伝熱フィンには、伝熱管の鉛直方向における上側において気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数の切り起こし部が切り起こし加工により形成されている。また、伝熱フィンには、伝熱管の鉛直方向における下側において気流との熱交換を促進される熱交換促進部が形成されている。そして、複数の切り起こし部を仮想的に結ぶ第2直線は、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。
本発明では、伝熱管の上側のみに伝熱管の気流の流れ方向後側に案内する切り起こし部を形成し、伝熱管の下側には熱交換促進部を形成している。すなわち、本発明では、水滴の溜まりやすい伝熱管の下側に切り起こし部を設けないため、ドレン水などの水滴が発生した場合に、水滴が溜まりにくい構造となっている。このため、水滴を溜めずに排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第3発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第2発明に係るフィンチューブ型熱交換器であって、熱交換促進部は、スリット形状である。
本発明では、水滴の溜まりやすい伝熱管の下側に切り起こし部を設けずに、スリット形状としている。伝熱フィンの伝熱管の下側をスリット形状とすることで、気流との熱交換を促進できる。また、スリット形状は切れ目に沿って水滴を流下させやすい形状であるため、水滴を伝わせる導水路として伝熱フィンの伝熱管の下側部分を機能させることができる。このため、熱交換効率を向上させることができ、また、水滴を溜めずに排水することができる。したがって、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第4発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第2発明に係るフィンチューブ型熱交換器であって、熱交換促進部は、ルーバ形状である。
本発明では、水滴の溜まりやすい伝熱管の下側に切り起こし部を設けずに、ルーバ形状としている。伝熱フィンの伝熱管の下側をルーバ形状とすることで、気流との熱交換を促進できる。また、ルーバ形状は切れ目に沿って水滴を流下させやすい形状であるため、水滴を伝わせる導水路として伝熱フィンの伝熱管の下側部分を機能させることができる。このため、熱交換効率を向上させることができ、また、水滴を溜めずに排水することができる。したがって、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第5発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第2発明または第4発明に係るフィンチューブ型熱交換器であって、熱交換促進部は、ワッフル形状である。
本発明では、水滴の溜まりやすい伝熱管の下側に切り起こし部を設けずに、ワッフル形状としている。伝熱フィンの伝熱管の下側をワッフル形状とすることで、気流との熱交換を促進できる。また、ワッフル形状は折り目に沿って水滴を流下させやすい形状であるため、水滴を伝わせる導水路として伝熱フィンの伝熱管の下側部分を機能させることができる。このため、熱交換効率を向上させることができ、また、水滴を溜めずに排水することができる。したがって、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第6発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、伝熱フィンと、複数の伝熱管とを備える。伝熱フィンは、気流中に配置される。複数の伝熱管は、伝熱フィンに挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置される。伝熱フィンには、第1切り起こし部と、第2切り起こし部とが、切り起こし加工により形成されている。第1切り起こし部は、伝熱管の鉛直方向における下側において気流の流れ方向上流側から下流側に向かって並ぶ。第2切り起こし部は、伝熱管の鉛直方向における上側において気流の流れ方向上流側から下流側に向かって並ぶ。複数の第1切り起こし部と複数の第2切り起こし部とは、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。また、複数の第1切り起こし部は、所定領域を除く位置に形成される。この所定領域は、伝熱管の管径の2分の1以上の幅で、伝熱管の中心軸を通り略鉛直な第3直線を含む帯状領域である。
本発明では、伝熱管の下側に形成される第1切り起こし部は、所定領域を除く位置に形成される。所定領域は、伝熱管の管径の2分の1以上の幅であり、伝熱管の中心軸を通り略鉛直な第3直線を含む帯状領域である。すなわち、第1切り起こし部は、伝熱管の中心軸直下近傍で、少なくとも伝熱管の管径の2分の1以上の幅の領域には形成されない。
したがって、水滴が発生しやすい伝熱管の直下近傍の領域に、切り起こし部を形成せずに、ドレン水を流下させやすくできる。このため、伝熱フィンの水はけ性能を向上させることができ、伝熱効果を向上させることができる。
第7発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第6発明に係るフィンチューブ型熱交換器であって、複数の第1切り起こし部は、気流の流れ方向上流側の第1切り起こし部の第1迎え角よりも気流の流れ方向下流側の第1切り起こし部の第2迎え角が大きく形成される。
本発明では、気流の流れ方向上流側の第1切り起こし部の第1迎え角よりも、気流の流れ方向下流側の第1切り起こし部の第2迎え角を大きくしている。すなわち、気流は、気流の上流側にある第1切り起こし部と気流の下流側にある第1切り起こし部とにより、2段階にわたって流れる方向を変更される。
したがって、より多くの伝熱管近傍の気流を、伝熱管の気流の流れ方向後側(特に直後付近)に流すことができる。このため、伝熱フィンの気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。
第8発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第6発明または第7発明に係るフィンチューブ型熱交換器であって、複数の第2切り起こし部は、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並んでいる。複数の第2切り起こし部を仮想的に結ぶ第2直線は、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。
本発明では、伝熱フィンにおいて、伝熱管の上側に形成される第2切り起こし部は、上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並んでおり、伝熱管近傍の気流が伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。すなわち、第2切り起こし部のうち伝熱フィンの気流の流れ方向下流側に配置された第2切り起こし部が、気流の流れ方向上流側に配置された第2切り起こし部と同じ傾斜を有することになる。
このため、伝熱管の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減するだけでなく、第2切り起こし部の背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができる。
第9発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、第6発明または第7発明に係るフィンチューブ型熱交換器であって、複数の第2切り起こし部は、気流の流れ方向上流側の第2切り起こし部の第3迎え角よりも気流の流れ方向下流側の第2切り起こし部の第4迎え角が大きく形成される。
本発明では、気流の流れ方向上流側の第2切り起こし部の第3迎え角よりも、気流の流れ方向下流側の第2切り起こし部の第4迎え角を大きくしている。すなわち、気流は、気流の上流側にある第1切り起こし部と気流の下流側にある第1切り起こし部とにより、2段階にわたって流れる方向を変更される。
したがって、より多くの伝熱管近傍の気流を、伝熱管の気流の流れ方向後側(特に直後付近)に流すことができる。このため、伝熱フィンの気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。
第1発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、ドレン水などの水滴が発生した場合に、水滴を下方に流下させやすくできる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第2発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、水滴を溜めずに排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる
第3発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第4発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第5発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、このフィンチューブ型熱交換器内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
第6発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、伝熱管の直下近傍の領域に切り起こし部を形成しないようにすることで、ドレン水を下に流しやすくできる。このため、伝熱フィンの水はけ性能を向上させることができ、伝熱効果を向上させることができる。
第7発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、より多くの伝熱管近傍の気流を、伝熱管の気流の流れ方向後側(特に直後付近)に流すことができる。このため、伝熱フィンの気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。
第8発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、伝熱管の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減するだけでなく、第2切り起こし部の背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができる。
第9発明に係るフィンチューブ型熱交換器では、より多くの伝熱管近傍の気流を、伝熱管の気流の流れ方向後側(特に直後)に流すことができる。このため、伝熱フィンの気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。
<第1実施形態>
以下、本発明に係るフィンチューブ型熱交換器の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図4に本発明の一実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1の要部を示す。ここで、図1は、フィンチューブ型熱交換器1の断面図である。図2は、図1のII−II断面図である。図3は、図1のIII−III断面図である。図4は、図1のIV−IV断面図である。
(1)フィンチューブ型熱交換器の基本構成
フィンチューブ型熱交換器1は、クロスフィンアンドチューブ型熱交換器であり、主として、複数のプレート状の伝熱フィン2と、複数の伝熱管3とを備えている。伝熱フィン2は、その平面方向を空気等の気流の流れ方向に概ね沿わせた状態で、板厚方向に並んで配置されている。伝熱フィン2には、気流の流れ方向に略直交する方向に間隔を空けて複数の貫通孔2aが形成されている。貫通孔2aの周囲部分は、伝熱フィン2の板厚方向の一方側に突出する環状のカラー部23となっている。カラー部23は、板厚方向に隣り合う伝熱フィン2のカラー部23が形成された面と反対の面に当接しており、各伝熱フィン2の板厚方向間に所定の間隔Hを確保している。伝熱管3は、内部に冷媒等の熱媒体が流れる管部材であり、板厚方向に並んで配置された複数の伝熱フィン2に挿入されており、気流の流れ方向に略直交する方向に配置されている。具体的には、伝熱管3は、伝熱フィン2に形成された貫通孔2aを貫通しており、フィンチューブ型熱交換器1の組立時の拡管作業によって、カラー部23の内面に密着している。
また、第1実施形態のフィンチューブ型熱交換器1は、複数の伝熱管3の配列方向が略上下方向となるように設置された状態で使用されるものである。このため、気流は、フィンチューブ型熱交換器1を、略水平方向に向かって横切るように流れることになる。なお、以下の説明において、「上側」、「上方」や「下側」、「下方」という文言を用いる場合には、伝熱管3の配列方向を示しているものとする。
(2)伝熱フィンの詳細形状
次に、第1実施形態のフィンチューブ型熱交換器1に用いられている伝熱フィン2の詳細形状について説明する。
伝熱フィン2には、各伝熱管3の鉛直方向における両側(すなわち、各伝熱管3の下側および上側)において、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数(第1実施形態では、下側に3つ、上側に3つ)の切り起こし部21a〜21fが、切り起こし加工により、伝熱フィン表面2bに形成されている。ここで、下側の切り起こし部を第1切り起こし部21a〜21c、上側の切り起こし部を第2切り起こし部21d〜21fとする。この第1切り起こし部21a〜21cを仮想的に結ぶ第1直線L1または第2切り起こし部21d〜21fを仮想的に結ぶ第2直線L2は、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。ここで、第1直線L1および第2直線L2の気流の流れ方向に対する迎え角α1,α2は、10°〜30°の範囲内になるように設定されている。
このように第1切り起こし部21a〜21cおよび第2切り起こし部21d〜21fは、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように気流の流れ方向に対して傾斜している。このため、主として、切り起こし部21a〜21fのうち伝熱フィン2の気流の流れ方向上流側に配置された第1切り起こし部21aおよび第2切り起こし部21dによって境界層を更新する効果を確実に得ることができる。また、伝熱フィン2の気流の流れ方向下流側に配置された第1切り起こし部21cおよび第2切り起こし部21fによって伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。
また、各切り起こし部21a〜21fは、気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増するように形成されている。図3は、第1切り起こし部21a〜21cを示す図であり、図4は、第2切り起こし部21d〜21fを示す図である。第1実施形態において、各切り起こし部21a〜21fは、略台形状または略三角形状であり(図3および図4参照)、第1切り起こし部21a〜21cの最大高さh1と第2切り起こし部21d〜21fの最大高さh2とがカラー部23の高さHよりも低くなるように形成されている。また、第1切り起こし部21a〜21cの最大高さh1は、第2切り起こし部21d〜21fの最大高さh2よりも低く形成されている。
このように、各伝熱管3の両側に形成された切り起こし部21a〜21fのそれぞれが気流の流れ方向上流側から下流側に向かう複数(第1実施形態では、上下で各3つずつ)の第1切り起こし部21a〜21cおよび第2切り起こし部21d〜21fに分割されている。このため、伝熱フィン2に発生したドレン水を第1切り起こし部21a〜21cの隙間および第2切り起こし部21d〜21fの隙間から排出されやすくできる。また、ドレン水は、冷媒が直接中を流れる伝熱管3の近傍に特に発生しやすいため、伝熱管3の下側に多くのドレン水が流下することになり、伝熱管3の下側に切り起こし部(第1実施形態では第1切り起こし部21a〜21c)が存在すると、切り起こし部の上にドレン水が保持される場合が多い。ここでは、第1切り起こし部21a〜21cは、その最大高さh1が第2切り起こし部21d〜21fの最大高さh2よりも低く形成されている。このため、ドレン水を効率よく排水することができる。これらにより、伝熱フィン2に発生するドレン水の影響をあまり受けることなく、切り起こし部21a〜21fによる伝熱促進効果を得ることができるようになる。
また、切り起こし部21a〜21fが切り起こされる際に伝熱フィン2に形成されるスリット孔22a〜22fは、各切り起こし部21a〜21fの上側に配置される。さらに、伝熱フィン2には、カラー部23の周囲にカラー部23と同心円形状の凹部24が設けられている。この凹部24は、図2に示すように断面がカラー部23に外接する位置にカラー部23とは逆の方向に伝熱フィン2を凹ませて形成されている。
このように、各切り起こし部21a〜21fは、伝熱フィン2を上部から下部に向かって切り起こして形成されている。このため、特にドレン水が滞留しやすい伝熱管3と第1切り起こし部21a〜21cとの間に第1スリット孔22a〜22cが形成されることになり、伝熱管3と第1切り起こし部21a〜21cとの間にドレン水が滞留しにくくなる。このため、ドレン水は、伝熱フィン2から排出されやすくなる。また、伝熱フィン2における伝熱管3の周囲全体に凹部24を形成している。したがって、この凹部24にドレン水が一時的に滞留し、所定量以上のドレン水が滞留した後に流下し排出されることになる。このため、第1切り起こし部21a〜21cと伝熱管3との間に滞留することなく、ドレン水を排出することができる。
さらに、第1切り起こし部21a〜21cおよび第2切り起こし部21d〜21fが気流の流れ方向上流側から下流側に向かって第1直線L1および第2直線L2上を真っ直ぐに並ぶことによって、切り起こし部21a〜21fのうち伝熱フィン2の気流の流れ方向下流側に配置された第1切り起こし部21cが気流の流れ方向上流側に配置された第1切り起こし部21aと同じ傾斜を有し、また、第2切り起こし部21fが気流の流れ方向上流側に配置された第2切り起こし部21dと同じ傾斜を有することになるため、伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減するだけでなく、第1切り起こし部21cおよび第2切り起こし部21fの背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができる。
以上のように、第1実施形態のフィンチューブ型熱交換器1では、伝熱フィン2に発生するドレン水の影響をあまり受けることなく、切り起こし部21a〜21fによる伝熱促進効果を得ることができるとともに、第1切り起こし部21cおよび第2切り起こし部21fの背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができるため、切り起こし部21a〜21fによる伝熱促進効果と排水性とを両立させることができる。
また、このフィンチューブ型熱交換器1では、各切り起こし部21a〜21fの形状を気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増した形状にすることによって、各切り起こし部21a〜21fの背後に縦渦を生じさせることができるため、各切り起こし部21a〜21fによる伝熱促進効果をさらに高めることができる。
<第1実施形態の特徴>
第1実施形態では、第1切り起こし部21a〜21cおよび第2切り起こし部21d〜21fが、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって複数に分割されている。そして、各切り起こし部21a〜21fは、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように気流の流れ方向に対して傾斜して配置される。さらに、伝熱管3の下側に形成される第1切り起こし部21a〜21cが、伝熱管3の上側に形成される第2切り起こし部21d〜21cよりも低く切り起こされる。すなわち、伝熱管3と第1切り起こし部21a〜21cとの間にドレン水が保持されにくくなるように、伝熱管3の下側に形成される第1切り起こし部21a〜21cの高さを低くしている。
したがって、ドレン水などの水滴が発生した場合に、各切り起こし部21a〜21fの隙間から、水滴を下方に流下させやすくできる。また、第1切り起こし部21a〜21cの高さを低くしているため、ドレン水などの水滴が発生しやすい伝熱管3の下側に水滴を溜まりにくくさせることができる。このため、水滴を効率よく排水することができ、このフィンチューブ型熱交換器1内を通過する気流の風量を確保することができる。これにより、水滴が発生することによる熱交換効率の低下を極力防ぐことができる。
<第1実施形態の変形例>
以上、本発明の第1実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
<第2実施形態>
以下、本発明に係るフィンチューブ型熱交換器の第2実施形態について、図面に基づいて説明する。
図5に本発明の第2実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1aの要部を示す。ここで、図5は、フィンチューブ型熱交換器1aの断面図である。
第2実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1aの基本構成自体は第1実施形態と同様であり、フィンチューブ型熱交換器1とフィンチューブ型熱交換器1aとの違いは、伝熱フィンの形状が異なることのみである。このため、第2実施形態のフィンチューブ型熱交換器1aの基本構成の説明を省略し、以下に伝熱フィン4の詳細形状について説明する。ここで、第2実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1aの伝熱フィン4は、第1実施形態のフィンチューブ型熱交換器1の伝熱フィン2に対応する。
(1)伝熱フィンの詳細形状
次に、第2実施形態のフィンチューブ型熱交換器1aに用いられている伝熱フィン4の詳細形状について説明する。
伝熱フィン4には、各伝熱管3の鉛直方向における上側において、第1実施形態の伝熱フィン2における第2切り起こし部21d〜21fと同様に、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数(第2実施形態では、上側に3つ)の切り起こし部41d〜41fが、切り起こし加工により、伝熱フィン表面4bに形成されている。この切り起こし部41d〜41fを仮想的に結ぶ第2直線L2は、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。ここで、第2直線L2の気流の流れ方向に対する迎え角α2は、10°〜30°の範囲内になるように設定されている。
また、伝熱フィン4には、各伝熱管3の鉛直方向における下側において、鉛直方向に延びる膨出スリット45が複数(第2実施形態では5つ)設けられている。図6に、図5のVI−VI断面図を示す。この膨出スリット45は、図6に示すように、伝熱フィン4が板厚方向に膨出することによって形成されている。また、膨出スリット45は、鉛直方向に向けて複数の切れ目が入れられて、伝熱フィン4の板厚方向に対して塑性変形することで膨出して形成されており、この膨出部分において水平方向に貫通した状態になっている。
このように切り起こし部41d〜41fは、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように気流の流れ方向に対して傾斜している。このため、主として、切り起こし部41d〜41fのうち伝熱フィン4の気流の流れ方向上流側に配置された切り起こし部41dによって境界層を更新する効果を確実に得ることができる。また、伝熱フィン4の気流の流れ方向下流側に配置された切り起こし部41fによって伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。
また、切り起こし部41d〜41fは、気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増するように形成されている。第2実施形態において、切り起こし部41d〜41fは、第1実施形態の第2切り起こし部21d〜21fと同様に、略台形状または略三角形状であり、切り起こし部41d〜41fの最大高さh2がカラー部43の高さHよりも低くなるように形成されている。
このように各伝熱管3の上側に形成された切り起こし部41d〜41fのそれぞれが気流の流れ方向上流側から下流側に向かう複数(第2実施形態では3つ)の切り起こし部41d〜41fに分割されており、切り起こし部41d〜41fが気流の流れ方向上流側から下流側に向かって第2直線L2上を真っ直ぐに並んでいる。このため、切り起こし部41d〜41fのうち伝熱フィン4の気流の流れ方向下流側に配置された切り起こし部41fが気流の流れ方向上流側に配置された切り起こし部41dと同じ傾斜を有することになるため、伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減するだけでなく、切り起こし部41fの背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができる。
また、伝熱フィン4には、カラー部43の周囲にカラー部43と同心円形状の凹部44が設けられている。この凹部44は、第1実施形態の伝熱フィン2の凹部24と同様に、断面がカラー部43に外接する位置にカラー部43とは逆の方向に伝熱フィン4を凹ませて形成されている。
このように、伝熱フィン4における伝熱管3の周囲全体に凹部44を形成している。したがって、この凹部44にドレン水が一時的に滞留し、所定量以上のドレン水が滞留した後に流下し排出されることになる。このため、ドレン水を、切り起こし部41d〜41fと伝熱管3との間に滞留させることなく、排出させることができる。
さらに、各伝熱管3の下側に膨出スリット45が形成されている。このため、伝熱フィン4に発生したドレン水を膨出スリット45を伝わせて流下させやすくすることができ、フィンチューブ型熱交換器1aからドレン水を排出させやすくできる。これにより、伝熱フィン4に発生するドレン水の影響をあまり受けることなく、切り起こし部41d〜41fによる死水域を低減させる伝熱促進効果と、膨出スリット45による境界層を更新する伝熱促進効果とを得ることができるようになる。
以上のように、第2実施形態のフィンチューブ型熱交換器1aでは、伝熱フィン4に発生するドレン水の影響を受けることなく、切り起こし部41d〜41fおよび膨出スリット45による伝熱促進効果を得ることができるとともに、気流の流れ方向下流側の切り起こし部41fの背後に新たな死水域が形成されるのを防ぐことができるため、切り起こし部41d〜41fおよび膨出スリット45による伝熱促進効果と排水性とを両立させることができる。
また、このフィンチューブ型熱交換器1aでは、切り起こし部41d〜41fの形状を気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増した形状にすることによって、各切り起こし部41d〜41fの背後に縦渦を生じさせることができるため、各切り起こし部41d〜41fによる伝熱促進効果をさらに高めることができる。
<第2実施形態の特徴>
第2実施形態では、伝熱管3の上側のみに伝熱管3の気流流れ方向後側に案内する切り起こし部41d〜41fを形成して、水滴の溜まりやすい伝熱管3の下側に切り起こし部を設けずに複数の膨出スリット45を形成している。
伝熱フィン4の伝熱管3の下側に膨出スリット45を形成することで、気流との熱交換を促進できる。また、膨出スリット45はその切れ目に沿って水滴を流下させやすい形状であるため、水滴を伝わせる導水路として伝熱フィン4の伝熱管3の下側部分を機能させることができる。これにより、伝熱フィン4に発生するドレン水の影響をあまり受けることなく、切り起こし部41d〜41fによる死水域を低減させる伝熱促進効果と、膨出スリット45による境界層を更新する伝熱促進効果とを得ることができるようになる。
<第2実施形態の変形例>
以上、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)
第2実施形態では、伝熱管3の下側に膨出スリット45を形成しているが、これに限らず、伝熱管3の下側にルーバ55を形成しても構わない。また、この場合の伝熱フィン5としてワッフル形状となるように、折り目56a〜56cをルーバ55と併用して形成しても構わない(図7参照)。また、折り目を設けたワッフル形状のみを採用してもよいし、ルーバ形状のみを採用しても構わない。
本変形例(1)に係るフィンチューブ型熱交換器1bでは、図7のように伝熱フィン5の伝熱管3の下側の形状にルーバ55を採用している。また、図7のVIII−VIII断面図を図8に示す。なお、本変形例における伝熱フィン5の番号表記は、第2実施形態における伝熱フィン4における番号表記の4番台を5番台に、40番台を50番台に置き換えたものである。さらに、このフィンチューブ型熱交換器1bの構成は、第2実施形態のフィンチューブ型熱交換器1aとは、伝熱フィン4と伝熱フィン5との形状が異なるのみであり、他の構成は第2実施形態のフィンチューブ型熱交換器1aと同様である。
<第3実施形態>
以下、本発明に係るフィンチューブ型熱交換器の第3実施形態について、図面に基づいて説明する。
図9に本発明の第3実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1cの要部を示す。ここで、図9は、フィンチューブ型熱交換器1cの断面図である。
第3実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1cの基本構成自体は、第1実施形態と同様であり、フィンチューブ型熱交換器1とフィンチューブ型熱交換器1cとの違いは、伝熱フィンの形状が異なることのみである。このため、第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cの基本構成の説明を省略し、以下に伝熱フィン6の詳細形状について説明する。ここで、第3実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器1cの伝熱フィン6は、第1実施形態のフィンチューブ型熱交換器1の伝熱フィン2に対応する。
(1)伝熱フィンの詳細形状
次に、第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cに用いられている伝熱フィン6の詳細形状について説明する。
伝熱フィン6には、各伝熱管3の鉛直方向における両側(すなわち、各伝熱管6の下側および上側)において、複数(第3実施形態では、下側に2つ、上側に3つ)の切り起こし部61a〜61eが、切り起こし加工により、伝熱フィン表面6bに形成されている。ここで、各伝熱管3の鉛直方向における上側に形成される第2切り起こし部61c〜61eは、第1実施形態の伝熱フィン2における第2切り起こし部21d〜21fと同様であり、気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並んでいる。この第2切り起こし部61c〜61eを仮想的に結ぶ第2直線L2は、伝熱管3近傍の気流が伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。ここで、第2直線L2の気流の流れ方向に対する第3迎え角α2は、10°〜30°の範囲内になるように設定されている。
また、各伝熱管3の鉛直方向における下側に形成される第1切り起こし部61a,61bは、第2切り起こし部61c〜61eとは異なり気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐには並んでおらず、気流の流れ方向上流側の第1切り起こし61aの気流に対する第1迎え角α1よりも、気流の流れ方向下流側の第1切り起こし61bの気流に対する第2迎え角β1が大きくなるように形成されている。すなわち、第1切り起こし部61bは、第1切り起こし部61aにより勾配を付けられた気流が、第1切り起こし部61bによりさらに勾配を付けられて伝熱管3の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している。ここで、気流の流れ方向上流側の第1切り起こし部61aの第1迎え角α1は10°〜30°の範囲内になるように設定されており、気流の流れ方向下流側の第1切り起こし部61bの第2迎え角β1は31°〜45°の範囲内になるように設定されている。なお、ここで、第2迎え角β1の角度を31°〜45°としているが、これに限定するものではなく、第1迎え角α1よりも大きければよい。さらに、第1切り起こし部61a,61bは、各伝熱管3の下側の領域Rを除く位置に形成されている。この領域Rは、伝熱管の管径Dの2分の1以上の幅Wであり、伝熱管の中心軸を通り鉛直な第3直線L3を含む帯状領域である。
また、第2切り起こし部61c〜61eは、気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増するように形成されている。第3実施形態において、第2切り起こし部61c〜61eは、第1実施形態の第2切り起こし部21d〜21fと同様に、略台形状または略三角形状であり、第2切り起こし部61c〜61eの最大高さh2がカラー部63の高さHよりも低くなるように形成されている。また、第1切り起こし部61aは第2切り起こし部61cと同形状であり、第1切り起こし部61bは第2切り起こし部61eと同形状である。このため、第1切り起こし部61a,61b部分の断面図は、図示しないが第2切り起こし部61c〜61eと同様に気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増するように形成される。
このように各伝熱管3の両側に形成された切り起こし部61a〜61eのそれぞれが気流の流れ方向上流側から下流側に向かう複数(第3実施形態では、下側で2つ、上側で3つ)の第1切り起こし部61a,61bおよび第2切り起こし部61c〜61eに分割されている。また、各伝熱管3の下側に形成された切り起こし部61a,61bは、領域Rに形成されない。このため、伝熱フィン6に発生したドレン水を第1切り起こし部61a,61bの隙間および第2切り起こし部61c〜61eの隙間から排出されやすくできる。特に、伝熱管3の下側の領域Rにはドレン水が溜まりやすいが、伝熱管の下側の領域Rに切り起こし部を形成しないことにより、領域Rを伝わせて伝熱管3近傍で発生したドレン水を排出させることができる。これにより、伝熱フィン6に発生するドレン水の影響を受けることなく、切り起こし部61a〜61eによる伝熱促進効果を得ることができるようになる。
また、伝熱フィン6には、カラー部63の周囲にカラー部63と同心円形状の凹部64が設けられている。この凹部64は、第1実施形態における伝熱フィン2の凹部24と同様に、断面がカラー部63に外接する位置にカラー部63とは逆の方向に伝熱フィン6を凹ませて形成されている。
このように、伝熱フィン6における伝熱管3の周囲全体に凹部64を形成している。したがって、この凹部64にドレン水が一時的に滞留し、所定量以上のドレン水が滞留した後に流下し排出されることになる。このため、ドレン水を、切り起こし部61a〜61eと伝熱管3との間に滞留させることなく、排出させることができる。
さらに、伝熱管3の下側の第1切り起こし部61a,61bは、伝熱管3の上側の第2切り起こし部61c〜61eに比べると、領域Rに形成されないために切り起こし部の数が1つ少ない2つになっているが、気流の流れ方向下流側の第1切り起こし部61bの気流に対する第2迎え角β1を、気流の流れ方向上流側の第1切り起こし部61aの気流に対する第1迎え角α1よりも大きくすることで、少しでも多くの気流を伝熱管3の気流の流れ方向後側に流すようにしている。このため、伝熱管3の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減することができる。
以上のように、第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cでは、伝熱フィン6に発生するドレン水の影響を受けることなく、切り起こし部61a〜61eによる伝熱促進効果を得ることができるため、切り起こし部61a〜61eによる伝熱促進効果と排水性とを両立させることができる。
また、このフィンチューブ型熱交換器1cでは、各切り起こし部61a〜61eの形状を気流の流れ方向下流側に向かって高さが漸増した形状にすることによって、各切り起こし部61a〜61eの背後に縦渦を生じさせることができるため、各切り起こし部61a〜61eによる伝熱促進効果をさらに高めることができる。
<第3実施形態の特徴>
(1)
第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cでは、伝熱管3の下側に形成される第1切り起こし部61a,61bは、領域Rを除く位置に形成される。領域Rは、伝熱管3の管径Dの2分の1以上の幅Wであり、伝熱管3の中心軸を通り鉛直な第3直線L3を含む帯状領域である。すなわち、第1切り起こし部61a,61bは、伝熱管3の中心軸直下で、少なくとも伝熱管3の管径Dの2分の1以上の幅aの領域Rには形成されない。
したがって、伝熱管3の直下付近の領域Rに第1切り起こし部61a,61bを形成せずに、ドレン水を流下させやすくできる。このため、伝熱フィン3の水はけ性能を向上させることができ、伝熱効果を向上させることができる。
(2)
第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cでは、気流の流れ方向下流側の第1切り起こし部61bの第2迎え角β1を、気流の流れ方向上流側の第1切り起こし部61aの第1迎え角α1よりも大きくしている。
したがって、より多くの伝熱管3近傍の気流を、伝熱管3の気流の流れ方向後側に流すことができる。このため、伝熱フィン6の気流の流れ方向後側の部分に形成される死水域を低減する効果を得ることができる。さらに、水はけ性能を向上させているため、伝熱フィンに発生するドレン水の影響をあまり受けることなく、各切り起こし部61a〜61eによる伝熱促進効果を得ることができる。
<第3実施形態の変形例>
以上、本発明の第3実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)
第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cでは、伝熱フィン6において伝熱管3の下側に形成される第1切り起こし部61a,61bのみにおいて、気流の流れ方向下流側の第1切り起こし部61bの気流に対する第2迎え角β1が気流の流れ方向上流側の第1切り起こし部61aの気流に対する第1迎え角α1よりも大きく形成されているが、これに限らずに、伝熱管3の上側の第2切り起こし部61c〜61eにおいても第1切り起こし部61a,61bと同様にしても構わない。
この場合に、例えば図10のように、伝熱フィン7において、伝熱管3の上側に形成される第2切り起こし部71c,71dにおいて、気流の流れ方向下流側の第2切り起こし部71dの気流に対する第4迎え角β2を、気流の流れ方向上流側の第2切り起こし部71cの気流に対する第3迎え角α2よりも大きくなるように形成してもよい。なお、本変形例(1)の伝熱フィン7における番号表記は、第3実施形態における伝熱フィン6における番号表記の6番台を7番台に、60番台を70番台に置き換えたものである。さらに、本変形例(1)のフィンチューブ型熱交換器1dの構成は、第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cとは、伝熱フィン6と伝熱フィン7との形状が異なるのみであり、他の構成は第3実施形態のフィンチューブ型熱交換器1cと同様である。
本発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、ドレン水を排出させやすくして伝熱効果を効果的に得ることができ、フィンチューブ型熱交換器、特に、気流中に配置された伝熱フィンと、伝熱フィンに挿入されており気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管とを備えたフィンチューブ型熱交換器等として有用である。
第1実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。 図1のII−II断面図。 図1のIII−III断面図。 図1のIV−IV断面図。 第2実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。 図5のVI−VI断面図。 第2実施形態の変形例(1)に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。 図7のVIII−VIII断面図。 第3実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。 第3実施形態の変形例(1)に係るフィンチューブ型熱交換器の断面図。
符号の説明
1,1a〜1d フィンチューブ型熱交換器
2,4〜7 伝熱フィン
3 伝熱管(複数の伝熱管)
21a〜21c 第1切り起こし部
21d〜21f 第2切り起こし部
41d〜41f 第2切り起こし部
45 (熱交換促進部)
51d〜51f 第2切り起こし部
55,56 (熱交換促進部)
61a,61b 第1切り起こし部
61c〜61e 第2切り起こし部
71a,71b 第1切り起こし部
71c,71d 第2切り起こし部
D 伝熱管の管径
L1 第1直線
L2 第2直線
L3 第3直線
R 領域(所定領域)
W 幅
α1 第1迎え角
α2 第3迎え角
β1 第2迎え角
β2 第4迎え角

Claims (9)

  1. 気流中に配置された伝熱フィン(2)と、
    前記伝熱フィンに挿入されており、前記気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管(3)と、
    を備え、
    前記伝熱フィンには、前記伝熱管の鉛直方向における下側において前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数の第1切り起こし部(21a〜21c)と、前記伝熱管の鉛直方向における上側において前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数の第2切り起こし部(21d〜21f)とが、切り起こし加工により形成されており、
    前記複数の第1切り起こし部を仮想的に結ぶ第1直線(L1)と、前記複数の第2切り起こし部を仮想的に結ぶ第2直線(L2)とは、前記伝熱管近傍の気流が前記伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜しており、
    前記複数の第1切り起こし部は、前記複数の第2切り起こし部よりも低く切り起こされる、
    フィンチューブ型熱交換器(1)。
  2. 気流中に配置された伝熱フィン(4,5,7)と、
    前記伝熱フィンに挿入されており、前記気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管(3)と、
    を備え、
    前記伝熱フィンには、前記伝熱管の鉛直方向における上側において前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並ぶ複数の切り起こし部(41d〜41f)が切り起こし加工により形成されており、前記伝熱管の鉛直方向における下側において前記気流との熱交換を促進させる熱交換促進部(45,55,56)が形成されており、
    前記複数の切り起こし部を仮想的に結ぶ第2直線(L2)は、前記伝熱管近傍の気流が前記伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している、
    フィンチューブ型熱交換器(1a,1c)。
  3. 前記熱交換促進部(45)は、スリット形状である、
    請求項2に記載のフィンチューブ型熱交換器(1a)。
  4. 前記熱交換促進部(55)は、ルーバ形状である、
    請求項2に記載のフィンチューブ型熱交換器(1b)。
  5. 前記熱交換促進部(56)は、ワッフル形状である、
    請求項2または4に記載のフィンチューブ型熱交換器(1b)。
  6. 気流中に配置された伝熱フィン(6、7)と、
    前記伝熱フィンに挿入されており、前記気流の流れ方向に略直交する方向に配置された複数の伝熱管(3)と、
    を備え、
    前記伝熱フィンには、前記伝熱管の鉛直方向における下側において前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって並ぶ複数の第1切り起こし部(61a,61b,71a,71b)と、前記伝熱管の鉛直方向における上側において前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって並ぶ複数の第2切り起こし部(61c〜61f,71c,71d)とが、切り起こし加工により形成されており、
    前記複数の第1切り起こし部と前記複数の第2切り起こし部とは、前記伝熱管近傍の気流が前記伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜しており、
    前記複数の第1切り起こし部は、所定領域(R)を除く位置に形成され、
    前記所定領域は、前記伝熱管の管径(D)の2分の1以上の幅(W)で、前記伝熱管の中心軸を通り略鉛直な第3直線(L3)を含む帯状領域である、
    フィンチューブ型熱交換器(1c,1d)。
  7. 前記複数の第1切り起こし部(61a,61b,71a,71b)は、前記気流の流れ方向上流側の前記第1切り起こし部(61a,71a)の第1迎え角(α1)よりも前記気流の流れ方向下流側の前記第1切り起こし部(61b,71b)の第2迎え角(β1)が大きく形成される、
    請求項6に記載のフィンチューブ型熱交換器(1c,1d)。
  8. 前記複数の第2切り起こし部(61c〜61e)は、前記気流の流れ方向上流側から下流側に向かって真っ直ぐに並んでおり、
    前記複数の第2切り起こし部を仮想的に結ぶ第2直線(L2)は、前記伝熱管近傍の気流が前記伝熱管の気流の流れ方向後側に案内されるように、気流の流れ方向に対して傾斜している、
    請求項6または7に記載のフィンチューブ型熱交換器(1c)。
  9. 前記複数の第2切り起こし部(71c,71d)は、前記気流の流れ方向上流側の前記第2切り起こし部(71a)の第3迎え角(α2)よりも前記気流の流れ方向下流側の前記第2切り起こし部(71d)の第4迎え角(β2)が大きく形成される、
    請求項6または7に記載のフィンチューブ型熱交換器(1d)。
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