JP2008223085A - 塗膜密着性と接着性に優れたアルミニウム材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 必要な機械的性能を有しつつ、水濡れ性や接着性といった表面性能を満足させるアルミニウム合金板を生産性を損なうこと無く製造する。
【解決手段】 アルミニウム合金板を連続焼鈍し、続けてコイルに巻き取るまでの間にレーザー照射を行う。レーザー照射を行う前に、水又はアルカリ脱脂液の吹付け又は浸漬、或いはこれらを組み合わせた処理を施しても良く、レーザー照射の前又は後で200℃以下の熱処理を施しても良い。そして、Mgを0.01〜6.00mass%含有するアルミニウム合金板に好適に適用される。
【選択図】なし

Description

この発明は缶や自動車、家電及び建材等に用いられるアルミニウム板材に適用する表面処理方法であり、特にアルカリ脱脂及び表面酸化皮膜の除去を必要とするものに関係し、接着剤を使用した接着性に優れたアルミニウムを安価に製造する方法である。
アルミニウムは加工性に優れていること、耐食性に優れ金属の中でも特に軽量であるといった理由で、缶や自動車、家電用部材、建材等、多様な分野で広く利用されている金属であり、その製品の多くは最終段階で熱処理や表面清浄化処理が施されている。圧延の際の油分が残留した表面や、熱処理を経ることで特定の成分が濃化した表面では、印刷、着色、接着、その他リン酸亜鉛処理といった化成処理性等が劣ってしまうため、通常、脱脂や酸洗といった薬剤洗浄が施されている。ただし、薬剤洗浄は所定の表面性能を発揮させるために十分な処理時間を稼ぐ目的で長い処理槽の設置が必要であると共に、環境への負荷が大きく使用に際しては廃液処理が必須で、コストが嵩むことから、このような湿式処理に代わる表面清浄化方法としてUV照射やサンダー、ショットブラスト等の乾式処理法も一部行われている。しかしながら、この内UV照射は油分以外の除去には向かず、また、サンダーやショットブラストといった機械的な方法では、表面に付着した粉末状の除去物を完全に除去することが困難であるという問題を含んでいる。
これらの方法とは別に乾式処理法の一つとしてレーザー照射による表面処理が特許文献1(特開平05−339765)に提案されている。これはレーザー照射による表面清浄化の後、バッチ焼鈍を施すというもので、除去対象物の蒸発によって清浄化されるため表面に除去物が残留し難い。また、吸い込み口を設置することで容易に回収が図れると共に湿式処理のように廃液処理を必要としないことから環境面でも優れている。加えて、レーザー処理装置は設置に必要なスペースが比較的小規模で済むことから、既存のラインに新たに組み込むといったことも容易である。ただし、この方法ではレーザー処理の後段で熱処理を施すというもので、熱処理によって表面に特定の元素が濃化することで表面性能が劣化するような合金種の場合には、この手順は不適切である。
一方、特許文献2(特開平06−010175)には通板される帯状アルミニウムにレーザーを照射することでアルカリ脱脂と焼鈍の両処理を済ませる方法が提案されている。この方法では特許文献1(特開平05−339765)に対して指摘した問題点が解決されると共に、工程数が減るために生産性にも優れる。しかしながら、適用可能な板厚として言及されている5μm〜3.0mmの内、特に約100μmを超えるものに対してレーザー照射のみにより到達できる板温で、熱処理として足りるものは非常に限られている。元々レーザーは局所的なエネルギー供給に優れた処理であるため、被処理材を加熱するべく照射エネルギーを高くした場合、表面の照射部分だけが蒸散するだけで目的の機械的性質が得られないと共に、表面が荒れて使い物にならない。
また、特許文献3(特開平09−310189)には、熱処理を経て表面に形成された酸化物や窒化物といったスケール除去を目的として、被処理材を回転させながらレーザーを照射する方法が提案されているが、被処理材を処理に適した形状とすることに手間が掛かると共に、成形したものに対して個別の処理となるため大量生産には向かない。また、熱処理と表面清浄化処理との間が空くことで、除去対象に起因する問題が生じる危険性が高くなる。
特開平05−339765号公報 特開平06−010175号公報 特開平09−310189号公報
本発明はこれまでの製造方法による物と同等、必要な機械的性能を有しつつ、水濡れ性や接着性といった表面性能を満足させるアルミニウム材を、生産性を損なうこと無く製造することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、アルミニウム合金板を連続焼鈍し、続けてコイルに巻き取るまでの間にレーザー照射を行うことで表面酸化皮膜を除去することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明の様に、レーザー照射を行う前に、水又はアルカリ脱脂液の吹付け又は浸漬、或いはこれらを組み合わせた処理を施しても良い。
また、請求項3に記載の発明の様に、レーザー照射の前又は後で200℃以下の熱処理を施しても良い。
さらに、本発明は請求項4記載の様に、Mgを0.01〜6.00mass%含有するアルミニウム合金板に好適に適用できる。
本発明は、連続焼鈍処理に続いてレーザー照射による表面清浄化を行うことで、機械的性能を満たし、且つ塗膜密着性や接着性といった表面性能に優れたアルミニウムを安価にそして効率良く製造できる。更には、アルミニウム表面を改質させることでレーザー照射による清浄化効果の向上を可能にしている。
本発明は、アルミニウム合金板を連続焼鈍し、続けてコイルに巻き取るまでの間にレーザー照射を行うことで表面酸化皮膜を除去した、水濡れ性や接着性に優れたアルミニウム材の製造方法である。
即ち、焼鈍処理の後にレーザー照射を行うことで、油分等の焼鈍以前の工程で表面に付着したものや、表面性能に悪影響を与える焼鈍処理によって変化した最表面層をまとめて除去することができ、表面清浄が完了する。この際、焼鈍処理後に連続処理として直ちに表面清浄化することで、焼鈍処理とレーザー照射とを別々に行った場合に起こり得る、除去対象物を原因とする不具合を解消できる。
具体的には熱処理を経て形成された最表面層は空気中の水分を吸着し易く、母材の腐食を促進するが、母材内部に浸食した腐食生成物はレーザー照射による除去が困難であり、接着性や塗膜密着性等を劣化させる原因となることが推測される。
また、被処理材は連続焼鈍処理ラインに通板されたままでレーザーが照射されるため、焼鈍処理だけを行う場合とほとんど工数が変わらず生産性の観点からも好ましいと共に、焼鈍と表面清浄化とでそれぞれの処理に適した条件を設定できることから制御も容易である。加えて、先述のとおり他の表面清浄化方法に比べて設置に必要とされるスペースが少ないことから、既存の連続焼鈍ラインに追加で設置することも可能である。
本発明では更に、レーザー照射を行う前に水又はアルカリ脱脂液の吹付け又は浸漬、或いはこれらを組み合わせた処理を施したアルミニウム材の製造方法としている。レーザー照射では、反射率の高いアルミニウムに比べて圧倒的にエネルギー吸収率の高い油等の除去対象物が優先的に除去されるわけであるが、除去対象物が表面に濃化した特定の成分といったようにアルミニウム内部にある場合、除去対象のエネルギー吸収効率が低くなり、焼鈍処理のラインスピードに合わせた処理速度では要求される表面状態を達成できない場合がある。具体的にはMgを含有するアルミニウム合金に対して、機械的性能を発揮させるための熱処理を施した場合、塗膜密着性や接着性に悪影響を及ぼすMg濃化層が形成される。濃化層の内、MgOの存在比率の高い最表面部分は吸収率が高く比較的容易に除去できるが、最表面から僅かに入り込んだ金属Alと混ざり合った部分ではレーザーのエネルギー吸収率が低くなり、急激に除去が困難になる。
本発明者らはこの問題に対して検討を行った結果、アルミニウム表面の水和化を主とする表面改質処理によって除去効率を向上させられることを見出した。即ち、濃化した特定成分を包含する最表面のアルミニウムを反射率の低い水和物に改質させることでアルミニウム自体のレーザー吸収効率を増加させ、水和化したアルミニウムと一緒に濃化成分を除去することで清浄化効果を向上させている。アルミニウムの水和化は水蒸気の吹付けや水への浸漬等によって達成できる。
通常、連続焼鈍ラインにはアルミニウムを冷却又は表面清浄処理する目的で気体の吹付けを行う装置や浴槽が既に設置されており、本方法を適用するに当って大幅な改造を行う必要はない。また、水の代わりにアルカリ脱脂液を使用した場合にもアルミニウム最表面の改質が起こるため同様の効果が得られると共に、本来の脱脂作用によって予め油成分が除去されることで、高い清浄効果が期待できる。
当然ながら、水又はアルカリ脱脂液による前処理は組合せて適用することもできる。湿式によるアルミニウムの表面処理を適用した場合、処理材へのスケールの付着も問題となることがあるが、続くレーザー照射によりスケールも容易に除去され得る。また、連続処理とすることで水和化した最表面層を付着したまま保管することによる腐食等の問題が起こらない。
アルミニウム合金の中には必要な機械的特性を達成させるために、400℃以上に加熱する溶体化処理の後に200℃以下の温度で数時間から数十時間程度の保持を必要とするものがある。本発明者らはこういったアルミニウム合金に対してはレーザー照射の前又は後で200℃以下の熱処理を施すことが可能であることを確認した。200℃を超えるような熱処理を施した場合には特定成分の表面への濃化が起こってくるため、熱処理後に再び表面清浄化を行う必要が出てくるが、200℃程度までの加熱であれば濃化が起こらず問題が起こらないことが分かった。連続焼鈍後の冷却の温度を制御することで、最終的に巻き取った際に適当な温度を達成出来るならば、特に再加熱する必要は無い。
本発明の対象となるアルミニウム材は一般の工業用純アルミニウム及びアルミニウム合金であり、厚さは特に規定するところではないが100μm〜5mm厚のコイル状に巻き上げて扱える帯状体(条とも呼ばれる)である。
アルミニウム表面の改質による表面清浄化は、特に熱処理によって最表面にMgが濃化するMg含有アルミニウム合金に好適に利用できることから、本発明では請求項4としてMgを0.01〜6.00mass%含有するアルミニウム合金を指定している。
連続焼鈍は、目的とする機械的性能に合わせた一般的な条件で行われるもので、1mpm〜200mpmの速度で通板させながら、被処理材を融点程度まで加熱できる能力を有しているものであれば、他の規制はない。連続焼鈍ライン内には、焼鈍のための加熱装置及び冷却装置、レーザー照射のための装置、及び巻き取り装置、加えてアルミニウム表面を改質させる場合には浴槽又はスプレー装置或いはその両方又は/及び焼鈍処理後に加熱を必要とする場合には加熱装置が組み込まれていれば問題なく、それ以外の浴槽やスプレー装置、レベラー、スリッター等の装置が付帯されていても構わない。
レーザー照射装置は容易に入手可能な市販のもので構わず、Nd:YAGレーザー、(TEA−)COレーザー、エキシマレーザー、He−Neレーザー、フリーエレクトロンレーザー、半導体レーザー、色素レーザー等の公知のレーザーが利用できる。出力は照射エネルギー密度で0.01J/cm以上を達成できるものであれば問題なく、好ましくは1J/cm〜100kJ/cmで、パルスタイプ又は連続ビームタイプのどちらでも良い。照射エネルギーを調整することで、表面に凹凸を設けることもできる。レーザーの照射条件は、処理対象の表面状態、除去対象物の性状及び目標とする表面状態とから、適宜、条件を決定する必要があり、予めそれぞれのアルミニウム材について求めておく必要がある。照射方法はレーザー装置自体や反射鏡等を動かすことでフォーカスしたスポットを走査させる方法や、レンズ等を用いることでデフォーカスして照射するといった方法があり、片面毎の照射による両面処理又は両面同時照射により処理する方式が考えられる。また、2種類以上の異なる波長のレーザーを同時又は交互に同一箇所に対して照射する方法や、レーザー照射装置を多段で設けることで複数回レーザーを照射する方法、或いは照射面からの反射光を更に反射して被処理面に返す反射鏡を設置する等して表面清浄化の効果向上を図ることもできる。もちろんこれらを組合せて効果を向上させることもできる。
アルミニウム表面を改質させるために接触させる水又はアルカリ脱脂液はどちらも特に限定されないが、水はイオン交換水程度の高純度であった方がアルミニウム表面に悪影響を与える要因が少なくて好ましい。脱脂液のアルカリ浴成分は特に限定するものではなく、具体的には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムといったアルカリ金属水酸化物、リン酸3ナトリウム、リン酸1水素2ナトリウムといったリン酸塩、ピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウムといった縮合リン酸塩、ホウ酸ナトリム等のホウ酸塩、オルソケイ酸ナトリウム等のアルカリケイ酸塩、炭酸ナトリウムや炭酸水素カリウムといったアルカリ金属炭酸塩、或いはこれらの物質の2種以上の混合物の水溶液で良い。また、一定量のキレート剤あるいは界面活性剤を含んでいても良い。キレート剤としてはEDTAに代表されるようなアミン系物質やグルコン酸ナトリウムに代表されるような2塩基以上の酸の塩が挙げられる。
水及び脱脂液のどちらを用いる場合でも、表面を改質させるためには温度は高い方が反応速度が高くなって好ましく、何れも40℃以上で処理することが好ましい。従って、連続焼鈍後、アルミニウムを浴槽内に通板させることで表面を改質させる場合、浴温維持を助ける目的で液温より高い温度でアルミニウムを通板すると効率的である。
表面改質の処理時間は1〜60秒程度が良い。1秒より短い場合には十分な改質が起こらずに清浄化効果が低下してしまい、60秒より長い場合には改質した層が余分に形成されることで除去すべき量も増え、除去能を向上する条件としなければならないと共に、処理に時間が掛かるので生産性の上で好ましくない。
焼鈍後のアルミニウムを再加熱する装置についても、焼鈍装置と同様、特に限定されることは無い。また、レーザー照射によるエネルギー供給を材料加熱の一助とすることも出来る。通常、このような処理を必要とする材料は、焼鈍後の温度の低い状態を出来るだけ短くする方が好ましく、その点、焼鈍から続く工程を連続で処理する本発明は都合が良い。
発明例1:JIS A 5182アルミニウム合金を、通常のDC鋳造−均熱−熱間圧延−冷間圧延によって板厚1.0mm、幅1000mmの冷間圧延板(H18材−ここまでで止めたものを比較例1とする。また、この試験材を5182H18材と称する)とした。この冷間圧延板を連続焼鈍炉にて500℃×10秒間の加熱後100℃まで空冷しO材とした(以下この試験材を5182-O材と称する)。続いて冷却から連続する形でこれをコイルに巻き取る前に10000Hzのパルス周波数で1パルス当たりの照射エネルギーが10J/cmとなるようにYAGレーザーを照射する処理を行った。
比較例2:5182-O材を冷却処理の後に巻き取り、一週間後に10000Hzのパルス周波数で1パルス当たりの照射エネルギーが10J/cmとなるようにYAGレーザーを照射した。
これらの材料に対し表面有機物炭素量、GD−OES測定のMgピーク強度の測定、水濡れ性及び接着性の評価を行った。
・評価方法
表面有機物炭素量はTOC分析値が5mg/m未満のものを◎、5mg/cm以上で10mg/cm未満のものを○、10mg/cm以上のものを×と評価した。
Mg濃度はGD−OES測定結果にピークの認められないもの若しくはピーク強度が0.4V未満のものを◎、0.4V以上、1.0V未満のもの○、1.0V以上のものを×とした。測定条件はArガス圧:600Pa、出力:30W、モジュール:650、フェーズ:350、アノード径:4mmφ、Mg検出波長384nm、Mg感度750Vである。
水濡れ性は150mm×70mmに切断した各材料を水浴中に浸漬させ、水から引き上げてから30秒経過した時点での濡れ面積の割合で評価する。濡れ面積が90%以上のものを◎、80%以上で90%未満のものを○、80%未満のものを×とした。
接着性の評価は、各材料を幅25mm×長さ100mmに切断後、自動車のヘミング用構造接着剤(サンスター技研製)を用いて、接着剤厚さ0.15mmで接着した後170℃×20分キープのベークを施し、40℃の温水中に20日浸漬後直ちに引張り試験でのせん断強さで評価した。評価基準はせん断強度が13MPa以上のものを◎、11MPa以上、13MPa未満のものを○、11MPa未満のものを×とした。
材料強度はJIS H4000に規定される方法で耐力を測定した。
Figure 2008223085
結果は表1に示したとおりである。
比較例1は冷間圧延までの工程で付着した加工油等の有機物が残留しているため水濡れ性が劣る。一方、比較例2ではレーザー照射により表面に付着した有機物が除去され、水濡れ性を満足する表面にはなるが、熱処理からレーザー照射までの期間中に進行した腐食生成物の残留により接着性が要件を満たさない。これに対して発明例1はレーザー照射を行うことで表面有機物炭素量や表面のMg濃度が減少し、良好な水濡れ性と十分な接着性が達成される。
発明例2:5182-O材に対し、冷却から連続して70℃の水に10秒間浸漬させる表面改質処理に続いて、10000Hzのパルス周波数で1パルス当たりの照射エネルギーが10J/cmとなるようにYAGレーザーを照射する処理を連続で行った。この材料に対して表面有機物炭素量、GD−OES測定のMgピーク強度の測定、水濡れ性及び接着性の評価を行った。
表1に示した通り、改質されたアルミニウム層と共にMg濃度の高い表面層が除去されるため、発明例1よりMgピーク強度が減少し、より高い接着強度が得られる。
発明例3:発明例1と同じ冷間圧延板に対して、500℃×10秒間加熱しO材とした後、板温400℃まで冷却した段階で連続的に70℃のイオン交換水に浸しそのまま10秒間浸漬させる冷却・表面改質処理に続いて、さらに連続して10000Hzのパルス周波数で1パルス当たりの照射エネルギーが20J/cmとなるようにYAGレーザーを照射する処理を1ライン上で行った。この材料に対して表面有機物炭素量、GD−OES測定のMgピーク強度の測定、水濡れ性及び接着性の評価を行った。
表1に示した通り、発明例2と同程度の表面有機物炭素量、Mgピーク強度となり、良好な水濡れ性及び接着性が達成された。
発明例4:5182-O材に対し、冷却から連続して市販の脱脂剤(日本ペイント社製:EC−371)を用いて建浴した70℃のアルカリ脱脂浴に10秒間浸漬させる脱脂・表面改質処理を行い、更に連続して12500Hzのパルス周波数で1パルス当たりの照射エネルギーが8J/cmとなるようにYAGレーザーを照射する処理を行った。この材料に対して表面有機物炭素量、GD−OES測定のMgピーク強度の測定、水濡れ性及び接着性の評価を行った。
表1に示した通り、発明例2、発明例3と同程度の表面有機物炭素量、Mgピーク強度となり、良好な水濡れ性及び接着性が達成された。
発明例5:JIS A 6022アルミニウム合金圧延板に対して、通常のDC鋳造−均熱−熱間圧延−冷間圧延によって板厚1.0mm、幅1000mmの冷間圧延板とする。この圧延板を530℃×10秒間加熱し、100℃まで空冷する熱処理を行いO材とした(以下この試験材を6022-O材と称する)。冷却に連続する形で70℃のイオン交換水に10秒間浸漬させる表面改質処理行い、連続して1パルス当たりの照射エネルギーが10J/cmとなるように10000Hzのパルス周波数でYAGレーザーを照射する処理を行った。更に連続させる形でこれを再加熱し、最終的に100℃で巻き取った。
比較例3:6022-O材に対し、熱処理とそれに続く冷却から連続して市販の脱脂剤(日本ペイント社製:EC−371)を用いて建浴した70℃のアルカリ脱脂浴に10秒間浸漬させる脱脂処理を行い、再加熱して最終的に100℃で巻き取った
比較例3は表面のMg濃度が高く、また、改質された比較的脆い表面層が残留しているため、接着性が劣る。一方、発明例5ではこれらの表面層がレーザー照射によって除去されているため良好な接着性が実現されると共に、再加熱の表面性能への影響が無いことが示されている。

Claims (4)

  1. アルミニウム合金板を連続焼鈍し、続けてコイルに巻き取るまでの間にレーザー照射を行うことで表面酸化皮膜を除去することを特徴とする塗膜密着性と接着性に優れたアルミニウム材の製造方法。
  2. レーザー照射を行う前に、水又はアルカリ脱脂液の吹付け又は浸漬、或いはこれらを組み合わせた処理を施すことを特徴とする請求項1のアルミニウム材の製造方法。
  3. レーザー照射の前又は後で200℃以下の熱処理を施すことを特徴とする請求項1または請求項2のアルミニウム材の製造方法。
  4. アルミニウム合金板が、Mgを0.01〜6.00mass%含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のアルミニウム材の製造方法。
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