JP2008221856A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノズル孔13を有するノズルプレート29に、印字面と反対側からプレス加工をすることによって、印字面側の開口13aの周縁から当該開口13aの内側に向かって突出するバリ13bが残るように、貫通状のノズル孔13を形成する。ノズルプレート29の印字面と反対側の面からレジスト51を塗布してノズル孔13の内部に当該レジスト51を充填する。ノズルプレート29の印字面側の面に研磨加工を施すことによって、バリ13bを除去する。
【選択図】図5
Description
しかしながら、上述のようにメッキ膜が開口のキワ位置まで形成されるようにメッキ処理をコントロールすることは困難であった。特に、高画質化の要請からノズル孔の小径化・高集積化が進展している近時の状況においては、安定して開口のキワのぎりぎりまでメッキ膜を形成させることは極めて困難とされていた。
しかしながらこの構成では、撥水メッキ膜がノズル孔内部にまで形成されているために、当該ノズル孔の内部でのインクの濡れ性が低下し、例えばノズル孔の部分にインクの良好なメニスカスを安定して形成できなくなるという問題がある。
また、レジスト充填時にレジストをノズル孔から意図的にハミ出させ、その後のノズルプレートの印字面側の面を研磨加工することで当該ハミ出したレジストを除去する方法を用いるので、ノズル孔の内部を、ノズルプレートの印字面側の面との境界のキワまで、レジストにより確実にマスキングできる。従って、ノズルプレートの印字面側の面の撥水メッキを、そのノズル孔の開口部のキワまで形成できる。この結果、インクによるノズル孔の目詰まりを確実に防止できる。
更には、前記研磨加工によって、ハミ出したレジストを除去するとともにプレス加工によって生じたバリを取ることが可能であるので、作業を合理化でき、製造工数を低減させることができる。
また、レジスト充填時にレジストをノズル孔から意図的にハミ出させ、その後のノズルプレートの印字面側の面を研磨加工することで当該ハミ出したレジストを除去する方法を用いるので、ノズル孔の内部を、ノズルプレートの印字面側の面との境界のキワまで、レジストにより確実にマスキングできる。従って、ノズルプレートの印字面側の面の撥水メッキを、そのノズル孔の開口部のキワまで形成できる。この結果、インクによるノズル孔の目詰まりを確実に防止できる。
更には、前記研磨加工によって、ハミ出したレジストを除去するとともにプレス加工によって生じたバリを取ることが可能であるので、作業を合理化でき、製造工数を低減させることができる。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)の全体的な構成を示した側面図である。
図2はインクジェットヘッドが並べて設けられた状態を示す底面図、図3はインクジェットヘッドの側面拡大図である。図4は、流路ユニット内のインク流路を示す、インクジェットヘッド本体の断面図である。
前記給紙部11のすぐ下流側には用紙送りローラ5・5が備えられて、画像記録媒体たる用紙を図中左方から右方へ送るように構成されている。用紙搬送経路の中間部においては、二つのベルトローラ6・7と、両ローラ6・7間に掛け渡されるように巻回されたループ状の搬送ベルト8を備える。搬送ベルト8の外周面(搬送面)にはシリコーン処理が施されており、前記送りローラ5・5によって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト8上側の搬送面にその粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ6の駆動によって下流側(右方)に向けて搬送できるようになっている。
なお、符号9は押さえ部材であって、搬送ベルト8上の用紙が搬送面から浮かないように、搬送ベルト8の搬送面に用紙を押し付けて搬送面上に確実に粘着させるためのものである。
インクジェットヘッド2は、その下面が前記搬送ベルト8の搬送面との間に少量の隙間を形成しながら配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト8上を搬送される用紙は四つのインクジェットヘッド2のヘッド本体18のすぐ下方側を順に通過し、この用紙の上面(印字面)に向けて前記ノズル孔13から各色のインクを噴射することで、所望のカラー画像を形成できるようになっている。
ベースブロック17は図3に示すように平板積層構造とされ、その内部には、図示せぬインク供給源からヘッド本体18のインク供給口18aへインクを導くためのインク流路17aが形成されている。
ヘッド本体18は、多数の圧力室や前記ノズル孔13が形成された流路ユニット20と、その上面に並べて接着される複数の台形平板状のアクチュエータユニット19と、によりなる。
流路ユニット20は図4に示すように、九枚のステンレス製の薄い平板21〜29を積層した構造とされている。上から数えて第5〜第7層の平板25〜27に跨るようにしてマニホールド流路30が形成され、この流路30が前述のインク供給口18aに連通している。直ぐ上に位置する第4層の平板24には連絡孔31が形成され、この連絡孔31が、第3層の平板23に形成された絞り部32に接続している。
この構成において、対となる電極間に電位差が与えられることで、当該活性部の部分が前記圧力室34側に凸となるように変形する。この結果、圧力室34の容積が縮小されて、圧力室34内部のインクに噴射のための圧力が与えられる。
なお、符号42はヘッド本体18の側部を覆うように盛られたシリコーン系の接着剤であり、フレキシブルフラットケーブル41が引き出される部分で強く屈曲されないよう保護するとともに、アクチュエータユニット19の部分にインク等が侵入するのを防止する役割を果たす。
即ち、本実施形態のノズルプレート29には、その前記印字面と対向する側の面(印字面に近い側の面)に撥水メッキが施されており、このメッキ膜をノズル孔13の開口ぎりぎりまで形成している結果、噴射されたインクが開口部分で濡れて留まってノズル孔13の目詰まりの原因となることを回避しているのである。
以下に、上記撥水メッキを形成する方法を示す。なお、以下の方法は、他の平板21〜28と相互に積層・接着される前の段階のノズルプレート29に対し行われるものである。
図5はノズルプレートに撥水メッキ膜を施す方法を説明した図である。
なお、このときにノズル孔13が上下方向に貫通状に形成されることとなるように(即ち、プレス加工の段階で、ノズル孔13がノズルプレート29の印字面側の面に開口13aを形成することとなるように)、前記型の形状等を設定しておく。
このマスキング工程においては、先ず、ノズルプレート29を適宜のアルカリ溶液に浸漬して脱脂する。その後に図5(c)に示すように、ノズルプレート29に対し、印字面と反対側の面から熱乾燥型のレジスト51をバーコート法で塗布する。
そして、この塗布と同時に当該レジストがノズル孔13の内部に充填され、かつ、ノズル孔13がノズルプレート29の印字面側に形成する開口13aから前記レジスト51が印字面側へハミ出して突出するように、バーコートの塗工速度やレジストインクの粘度・量などが調整されている。なお、ノズル孔13は前述のとおり貫通状に形成されているので、レジスト充填時にはノズル孔13内部の空気が開口13aを介して抜ける形となるから、レジスト51のノズル孔13内部への充填は容易である。
レジスト51の塗布後は、ノズルプレート29を100℃以上の高温の環境に数分程度おいて、レジスト51を乾燥硬化させる。
これによって図5(d)に示すように、前述のプレス加工によって生じたバリ13bが除去されて前記開口13aの形が整えられるとともに、同時に、ノズル孔13の当該開口13aから印字面側へ突出していたレジスト(図5(c)に符号51aで示す部分)も併せて除去される。
このように、レジスト51の突出した部分51aをノズルプレート29の印字面側の面を研磨することで除去する方法を採ることで、レジスト51は図5(d)に示すように、当該ノズルプレート29の印字面側の面と面一となるように削られることになる(レジスト51の削られた面を符号51bで示す)。
即ち、レジスト51がノズル孔13の開口13aから引っ込んだ状態となったり、逆に開口13aから印字面側へ突出した状態となったりすることもない。従って、ノズル孔13の内面はレジスト51によってその開口13aのキワぎりぎりまでマスキングされると同時に、ノズルプレート29の印字面側の面は、前記開口13aのキワぎりぎりまで露出されることになる。
この工程では先ず最初に、硝酸水溶液にノズルプレート29を浸漬して酸活性化処理を施し、次にストライクNiメッキが施される。これは、ステンレス製のノズルプレート29に対し、後述する撥水メッキ膜の密着性を向上させるためのものである。なお、必要に応じて、スルファミン酸Niメッキも併せて施される。
そして、Ni−PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)よりなる撥水メッキを施し、図5の(e)に示すように、膜厚0.5〜3μmのメッキ膜52をノズルプレート29の印字面側の面に形成する。
このようにマスキングを行うのは、ノズルプレート29の印字面との反対側の面に撥水メッキ膜が形成されていると、この面に接着剤を塗布して他の板(具体的には、第8層の平板28)と貼り合わせた際に、十分な接着力を得られないおそれがあるためである。また、ノズル孔13の内面に撥水メッキ膜が形成されると、ノズル孔13の内面のインクの濡れ性が大幅に低下して、例えばノズル孔13の部分に良好なインクメニスカスを安定的に形成できない等の悪影響が考えられるからである。
従って、ノズル孔13から噴射されたインク液滴が、当該開口13aのキワ部分に付着し留まることが確実に防止される。この結果、インクによるノズル孔13の目詰まりを防止でき、記録画質の低下を防止できメンテナンス性に優れたインクジェットヘッドとすることができる。また一方で、撥水メッキ膜52がノズル孔13の内部に入り込んでいないから、ノズル孔13内部のインクの濡れ性が確保され、インクの噴射もスムーズである。
以上によりノズルプレート29が図5(f)に示すように完成し、このノズルプレート29を他の平板21〜28と積層接着させることで、前述の流路ユニット20が構成される。
例えば、前記の実施形態において、撥水メッキ処理はNi−PTFEメッキ処理としているが、撥水性を有する膜をノズルプレート29上に形成できるものである限り、その方法は限定されない。
13 ノズル孔
13a ノズル孔の開口
20 流路ユニット
29 ノズルプレート
51 レジスト
52 撥水メッキ膜
Claims (5)
- インクジェット記録装置に備えられる、印字面にインクを噴射するためのインクジェットヘッドの製造方法であって、
当該インクジェットヘッドの一部を構成するノズルプレートに、前記印字面と反対側からプレス加工をすることによって、前記印字面側の開口端の周縁から当該開口の内側に向かって突出する突出部が残るように、貫通状のノズル孔を形成する第一工程と、
前記ノズルプレートの前記印字面と反対側の面にレジストを塗布するとともに、前記第一の工程で形成された前記ノズル孔の内部に当該レジストを充填する第二工程と、
前記ノズルプレートの前記印字面側の面に研磨加工を施すことによって、前記突出部を除去し、前記ノズル孔の前記開口端を露出させる第三工程と、
前記ノズルプレートの前記印字面側の面に撥水メッキを施す第四工程と、
前記ノズルプレートから前記レジストを剥離して除去する第五工程とを備えていることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記第三工程において、前記充填されたレジストが、前記ノズルプレートに係る前記印字面側の面と面一となるように研磨加工が施されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第一工程において、前記ノズル孔を、前記印字面側に近づくにつれて細くなるように形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第四工程において、前記印字面側の面に形成したニッケル膜を介して前記撥水メッキを施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記ニッケル膜が、前記撥水メッキを施すに先立って形成された、ストライクNiメッキ及びスルファミン酸Niメッキのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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